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健康福祉委員会(平成12年11月〜平成13年5月)


平成12年12月12日

【渡会委員】
 武豊町の児童虐待の問題について、保健所も保健センターも児童相談所も、相談があり、このことを知っていたと新聞に報道されている。経緯はどうか。

【児童家庭課長】
 最初に児童相談所に相談が寄せられたのは、11年8月30日で、武豊町の保健センターの保健婦からであった。当初、育児不安からの児童虐待が疑われる児童がいるというケースであった。同日、児童福祉司が担当保健婦から事情聴取し、本児の父方の祖母と面接をしている。8月30日には母親に会えなかったが、9月28日に面接している。その時点で、事情聴取をした結果を町の保健婦と話し合い、この児童については父方の祖母が育児支援をすること、施設への入所は祖父母が反対していたことなどの事情もあり、当面は、武豊町の保健センターを窓口にして、育児支援を中心にして対応をすることにした。その後は、連絡を取りながら、武豊町の保健センターで対応をしていた。

【渡会委員】
 知事や部長の答弁に警察、NPOとの連携も含めて、強固に行っているとあったが、具体的にどのような連携なのか。

【児童家庭課長】
 今回は、連携が不十分であった。育児不安からの虐待が疑われる児童ということで、面接し事情聴取した結果、育児支援で対応できるという判断が最初にあり、それに基づいて指導が続けられた結果、こういう事態となった。

【渡会委員】
 最初に対面し、相談した人の主観で、そのようなことが決まってしまうのか。

【児童家庭課長】
 このケースは、児童相談所としての対応もそのように決定したものである。

【渡会委員】
 愛知県のホームページは非常に見づらいが、ホームページ自体はプラスになった。しかし、こういうIT、デジタルの部分とは別に、対面し、対話し、手を差し伸べるという従来の部分が欠けたら何にもならない。何のためのホームページだったのか。児童虐待の認識が甘かったと言われても仕方がない。どう思うか。

【健康福祉部長】
 このたびの武豊町の3歳児の虐待死については、大変悲しむべき結果を招いてしまい、県民の命や暮らしを最優先に考えなければいけない立場にある者にとって、大変残念である。
 今回は、保健センターの側からの通報があり一緒に面接をしたが、祖父母等との接触を通じて、両親が若いこともあり、育児べたであろうということで、育児をサポートすれば、このケースは助かるのではないかという判断があった。
 身体的な虐待と異なり、ネグレクトといわれる事例で、外傷も無く、今すぐ入院しなくてもいいとの医療機関の判断もあり、なかなか相互の連携がうまく取れなかった。
 常々児童相談所では、こうした個別のケースについて、どういう対応をするか、どういう機関とタイアップするかと検討をしているが、今回に限れば、認識が甘かった。これはどんなに非難されても仕方がない。今後、こうした事例が出ないように、各児童相談所が持っているケースを再点検するよう指示する。その進行管理も行い、問題点の洗い出しをさせる。そうした中で、欠けた部分をカバーし、連携についても更に強化していきたい。



平成13年3月13日

【渡会委員】
 小牧市の児童虐待事件について、経過説明と、県としてどのように受け止めているかお尋ねする。

【児童家庭課長】
 事件の経過であるが、児童相談所が、この家庭の状況を知ることになったのは、平成10年5月、二男、二女の不登校問題に係わりを持ったのが発端である。直ちに家庭訪問を行い、両親と面接を始めた矢先に母親が家出をしたことから、本児を含む未就学の3人を施設措置するなどして対応してきた。また、施設から本児たちを家庭に帰すに当たっては、引取り可能な養育環境にあることを家庭訪問し、確認したところである。その後、地域からこの家庭に関する問題となる情報もなく経過をしたが、本年2月28日の市保健センターとの会議の席上で、地域の住民から、本児の姿が夏頃から見えなくなっているという内容の通告があったことを知らされた。翌日、地域調査を実施した結果、本児の姿が確認できないため、警察の調査につなぎ、翌日の母親への取調べで、今回の悲しい事実が判明することとなった。県としては、誠に残念な気持ちで一杯である。今回の事例では、児童相談所は養護ケースとして適切な対応をしたと思うが、家庭からいったん離れた幼い子供たちが、再び家族の一員として戻る際の難しさ、受け入れる側の複雑な家族心情にまで踏み込むことができなかったものと考えている。

【渡会委員】
 武豊町での幼児餓死事件を受けて、各児童相談所は総点検をしているが、今回のケースは総点検の対象に入っていたのか。入ってないとすれば、なぜ虐待としての判断をしなかったのか。

【児童家庭課長】
 児童相談所では、本児については通常の養護ケースとして扱っており、総点検の対象には入っていない。虐待ケースとして扱わなかった理由は、児童相談所が本児と係わりを持った時点では、本児の身体、精神面で虐待を疑わせるような兆候はなく、受入れ先の職員も、入院した時から体調は良好で、虐待を疑わせるような形跡はなかったとする発言があり、それぞれの関係者が虐待の兆候を認めなかったということである。

【渡会委員】
 残された家族には、保護が必要な子供が多くいるが、児童相談所としての支援は、どのように考えているか。

【児童家庭課長】
 児童相談所は、残された子供たちの安全を確保するため、それぞれ乳児院、一時保護所、児童養護施設へ保護している。また、心のケアの一環として、個別面接を行っている。現在、児童相談所は、父親の意向、学校関係者の意見を踏まえ、今後の家族問題の修復の方向を視野に入れつつ、子供たちにとっての最善の処遇について検討を進めている。

【渡会委員】
 今後、こうしたことを二度と繰り返さないために、どのような対応を考えているのか。

【児童家庭課長】
 今回の事件の反省点であるが、当初に地域関係者がこの家族の支援で協議の場を持ちながら、その後、地域のネットワークが機能しなかったことを考えると、問題発見から解決までに一機関で対応することなく、地域関係機関、関係者が共同して対処できる連携体制づくりが必要と考える。そこで、今回の事件を踏まえた対応策として、1点目は、児童相談所の養護ケースの再点検、特に乳児院退所後の在宅未就学児のチェックを行っている。2点目は、乳幼児健康審査における未受診時の状況把握を行っている。3点目は、乳児院に退所後のケアを行う家庭支援専門員の設置等を行うこととしている。これらと併せて、今後の対策として、地域住民への啓発と地域関係機関とのネットワーク体制の見直しを行うこととしている。児童相談所単独で、虐待ケースだけでなく、養護ケースまでも常時把握することは困難な面もあるので、子供の命、安全を守るためには、地域関係機関、一般住民の目できめ細かく見守っていただくことや、必要な情報を児童相談所につないでいただくことが欠かせないのである。また、地域の各機関や関係者に発見、継続的ケアの各段階での役割を担っていただいて、共同対処型の連携体制を作ることが早急に必要と考えている。

【渡会委員】
 様々な施策を考えられたと思うので、きちんと実行できる形にしていただきたい。部長の考えをお願いする。

【健康福祉部長】
 今後は何としてでも、こうした悲しい事例が発生することがないよう、その防止に最大限取り組みたいと考えている。

【渡会委員】
 次に、食品衛生対策についてだが、国において昨年12月に策定された食品安全推進アクションプラン、雪印の食中毒、異物混入問題などを踏まえて、県としての平成13年度の施策についてお尋ねする。

【生活衛生課長】
 平成13年度には、これまでの施策に加え、4点の新規施策がある。1点目は食品衛生監視員の食品企業への派遣である。これは大規模かつ複雑化する食品工場を監視指導する専門の食品衛生監視員を養成するため、3名を1か月間、県内の大規模な食品製造企業へ派遣し、監視技術の向上及び企業内部における問題点の把握等を行うものである。2点目は食品衛生監視体制の強化である。これは豊川保健所に設置している広域監視斑全員が東三河全体に立入りできるようにするなど、兼務辞令を出して、直ちに対応できるような体制を講じるものである。3点目は食品の検査体制の強化である。これは最近の高度かつ複雑な検査技術に対応するため、行政区域等を考慮して保健所の検査を5か所に集中して実施するものなどである。4点目は食品検査機器の整備である。これは事故発生時に現場等と連絡が取れるよう、通信機器を設置するとともに、事故の原因物質を究明するため、衛生研究所に高度な分析機器を整備するものである。

【渡会委員】
 県の仕事は監視指導と検査等である。未然防止という観点から万全に行っていただくよう要望する。






首都機能移転調査特別委員会(平成12年11月〜平成13年5月)


平成12年11月28日

【渡会委員】
 首都機能移転に関する広報活動について、主なものは11月で終了してしまうが、世論を喚起を促すような中央とタイアップした広報活動を来月以降予定しているか。
 また、栃木・福島地域では、知事や協議会の幹部などが周辺地域の県や北海道にまで活発な働きかけを行い、協力を要請しているが、愛知県では西日本への働きかけを知事などが行うことを考えているか。
 更に、岐阜県では、女性向けのシンポジウムなどに力を入れているが、本県では絵画のコンクールや今回のシンポジウムのみであり、行事としては寂しいのではないか。

【首都機能移転対策室長】
 中央とのタイアップした広報活動については、国土庁がニュースレターを発行しており、各地域の活動などを紹介するのでその中で本地域の広報を行っていく。
 西日本への働きかけについては、中部圏知事会が、来年度以降日程は未定だが、講演会やシンポジウムなどの形で、必要性や意義などを訴えていくことになる。また、西日本地域への働きかけは大変重要だと認識しているので、今後様々な機会を捉えて知事による働きかけを行っていくように心掛けていきたい。
 岐阜県との比較では、確かに本県は少し遅れているが、来年度は、出前講座などで県内各地へ首都機能移転の必要性や意義を訴える方策を考えていきたい。また、西三河では8市町で構成した協議会を設置しているが、三河地域や関連地域に幅広く広げていくように検討中であり、更に東三河地域についても当地域で配慮していただいている。

【渡会委員】
 時宜を得たアピールや様々な形の働きかけが重要なので、心掛けてほしい。






公営企業会計決算特別委員会(平成12年11月〜平成13年5月)


平成12年11月10日

【渡会委員】
 審査意見書の6ページから14ページにかけての4事業会計について、知事部局では、4月から第三次行革を1年前倒して部制再編を行い、企業庁も水道部内の課室の合併を行った。当然企業庁にもこの行革に準じた計画があったと思うが、その中で、人件費は、行革で非常勤職員若しくは嘱託職員等の積極的な活用という項目がうたわれていたと思うが、平成11年度決算を総括してどう効果が上がったのか伺う。

【総務課長】
 正規職員では、平成10年度と11年度で約1億1,317万円ほどの減であり、非常勤職員に切り替えたことによる経費増は約737万円であることから、その差引金額が人件費での節減効果である。

【渡会委員】
 今回、実績において当初の計画以上の成果が出たと思うが、積極的にこう取り組んだとか、今後はこう考えているといったことも含め、再答弁を願う。

【企業庁総務課長】
 企業庁も第三次行革大綱を知事部局にならい積極的に推し進めており、知事部局は10年にわたって削減計画を立てているが、企業庁も毎年1パーセントずつを更に2パーセントずつに前倒しして削減を行っており、平成11年度では2パーセントだと13名削減する計画であったが、実績は19名の削減と計画を上回っている。平成12年度は、34名の削減という形で努力しており、平成13年度以降、最終的には65名の削減を予定しているが、結果としてそれを上回る数を削減できればと考えている。

【渡会委員】
 人的部分での努力は数字を聞いて良く分かるが、逆に考えると4事業会計すべて一緒だとは思わないが、この部分は嘱託職員等でも可能だが、ここはどうしても正規職員でなくてはならないといった正規職員と非常勤職員とのバランスがあると思う。平成11年度で19名の削減、12年度で34名の削減ということで非常に大勢だと思うのだが、そのことで純粋に職員の間に不安というものが生じているような気がするがどうか。

【企業庁総務課長】
 確かに、全体の仕事の中で嘱託職員が行える仕事と正規職員でなければならない仕事があるが、企業庁としてもその辺の見極めを行い、嘱託職員にできる仕事は、できるだけ嘱託職員が行うとか、委託できるものは委託するという形で進めていく。職員全体に占める嘱託職員の割合は、平成10年度3.9パーセント、平成11年度約4パーセントで、嘱託職員が若干増えている状況である。

【渡会委員】
 平成12年度の削減予定の34名は、特別理由があるのか。

【企業庁総務課長】
 通常の合理化計画に沿って進めており、平成12年度に特別な理由があるわけではない。

【渡会委員】
 民間に委託する部分が非常に少ない気がするが、仕事の内容からするとこれで精一杯なのか。
また、平成11年度に新たに委託した事業があれば伺いたい。今後、積極的に民間委託に取り組んでほしいと思うが、その辺の考えを伺う。

【企業庁総務課長】
 企業庁は、民間委託、いわゆる外部委託についても積極的に取り組んでおり、昭和46年度以降、水道管の保守点検、電蝕防止関係の点検、機器の点検等についてそれぞれ外部委託を行っている。平成11年度は、委託実績がなかったが、平成12年度当初には、筏川の取水場の運転管理業務を民間に委託し、職員を4名削減している。
 なお、今後も必要なところについては、全体的なバランス、あるいは、水道事業に限って言えば、地元の要望等の調整を図り、また、意見を伺いながら、できるところは合理化を図り、適正配置に努めていくといった方針が進めていきたいと思っている。



平成12年11月20日

【渡会委員】
 審査意見書の2,3ページ、県立病院について伺う。経営努力すべき項目として、紹介患者の増加、平均在院日数の短縮による収入の確保、医薬分業等の推進による職員配置の適正化について挙げられているが、この平成11年度、行革の初年度に当たり、どんな具体的な経営改善の努力をしたのか。

【県立病院課主幹(財務)】
 平成11年度には、収入面においては、平均在院日数の短縮、紹介患者率の向上で診療報酬制度に定められた加算制度の活用を行った。また、受益者負担の徹底を行い、平成10年度と比較して約9千万円ぐらいは収益が増加したと思う。また、費用の面では、職員の退職、異動に伴う委託化、嘱託化、医師等の医療技術者の病院間の支援を行い、委託化、嘱託化で削減額が約1億円ぐらいになる。ただ、個々については難しい面があるので、例えば、平成10年度と平均11年度を比較すると、両事業会計で一般会計繰入金の削減と経常損失の減少の面を合わせると、6億9千万余円の改善が行われている。

【渡会委員】
 各病院ともに行革に応じた経営改善計画があると思うが、今後、経常的な人件費の経営改善はどのように考えているのか。

【県立病院課主幹(財務)】
 職員の嘱託化、委託化という面については、今までも病年院窓口の全面委託、清掃業務、守衛業務、看護補助業務等を実施してきている。平成11年には、医薬分業に伴う薬剤師の削減、事務の簡素化による事務職員の削減を行った。これらを将来的にも対応していきたいが、業務を減少しないと職員を減少することは難しいため、病院との協議、あるいは事務事業を見直しながら考えていきたい。

【渡会委員】
 専門性があれば非常勤でも悪いとは思わないが、病院の中で業務自体を減らしていくのは、どういう部分があるのか。県民に対して大変な思いをさせない観点から再度伺う。 

【県立病院課主幹(財務)】
 県内の病院の相当数が給食業務の委託化を進めており、こうした問題も今後取り組まざるを得ない。行動計画という形で5か年の経営目標を作り行っているが、現在の機能を前提としているので、今後は病院の機能そのものから考えていくべきであると思う。
 現在、今年度末の公示を目標に地域保健医療計画が作成されているので、これを受けて今後検討していきたい。




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