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産業労働委員会(平成14年5月〜平成15年5月)


平成14年7月2日

【渡会委員】
 科学技術振興事業団の研究成果活用プラザは今までに5か所が設置され、今年度、名古屋市南区阿原町にも施設ができると聞いている。今までの施設は県名がついていたのに対し、本県にできるものは研究成果活用プラザ東海と聞いているが、どのような経緯で名称が決められたのか伺う。
 福岡の施設は地域の活性化や科学振興などを図るため、最先端の研究施設がある地域に建てられたと思うが、本県ではこの施設をどのように活用していくのか伺う。

【産業技術課主幹(科学技術推進)】
 東海という名称については、施設の設置に際し、愛知県、岐阜県、三重県が連名で国に陳情したという経緯があることから、名称も県名によるのではなく、東海という名称としている。
 本年の11月に開館する予定で準備を進めており、準備事務局が産業貿易館西館にオープンし、順次、様々な事業がスタートしていくことになると考えている。
 本格的な事業展開は、11月に建物が完成してからとなるが、大学・企業の研究等をいかに早く事業化に結びつけていくかという事業を展開していくことになり、それに向けて施設の建設が着々と進んでいる状況である。

【渡会委員】
 1年1課題で平均5千万円が科学技術振興事業団から研究成果活用プラザに配分され、5課題を行うことが前提と聞いており、2億5千万円が配分されることとなり、これは、非常に大きな予算だと思う。これを活かしていくため、大学、企業とどう連携をとっていくのか。
 また、本県が研究成果活用プラザを活用していく時には、当然県関係者がメンバーに入ってくると思うが、その辺りの考えを伺う。

【産業技術課主幹(科学技術推進)】
 7月中ごろから公募し、この地域の大学・企業との共同研究という形でスタートすると思う。
 東海ということで岐阜県と三重県が入るが、例えば5テーマを行うということになれば、そのうちの過半数くらいは、愛知県の企業、大学がセットになった共同研究体をこの施設で展開するように本県としても働きかけていきたいと思っている。

【産業技術課長】
 研究成果活用プラザには専任ではないが、4名の科学技術コーディネーターが配置される。大学・企業を回り、間を取り持って、大学から企業に移転できるような技術シーズを探し、企業のニーズに合わせて連携させていく活動をしていくこととしており、こうした方を中心に、県の科学技術交流財団が行うテクノサポート事業に従事している7名のサポーターとの連携をうまく図っていきたい。
 組織については、研究成果活用プラザの館長に県のOBを送りたいと考えており、事務局にも出向という形で県職員を出したいと思っている。また、コーディネーターにも県の試験研究機関のOBも就任する予定であり、県の意思をなるべく反映できるようにしていきたい。

【渡会委員】
 産業立地促進税制について、現在企業庁が企業誘致を行っている中で、製造業といっても多種多様であるが、本県は、土地を消化、売っていくことを目指していくのか。
 三重県では液晶分野で評価の高いシャープを誘致し、特定の分野でノウハウを持つ企業30社余りが三重県亀山市に来ており、こうした、まとまった企業誘致、技術開発ができないのか伺う。
 また、国から構造改革特区の話があるが、愛知県がどんどん提示すべきものと理解しており、庁内でそのための準備をしているところと聞いているが、現在どのような状況であるのか伺う。

【産業労働総務課主幹(広報・企画調整)】
 国においては、総合規制改革会議事務室が規制改革特区に対し、7月中に中間取りまとめを出したいということを聞いており、経済財政諮問会議もこの特区構想について取りまとめを出したい意向であると聞いている。
 本県の対応については、5月1日に企画振興部の中に愛知県規制改革特区研究会というオール県庁としての事務局を設置し、関係課長が構成員となり、本県の状況を踏まえたうえで、どういった構想が良いのか研究を始めたところである。5月以降に企画振興部がメインとなって、東京の総合規制改革会議の事務室へ三度出向き、意見交換を行っている。
 民間の動きについては、6月21日に中部経済連合会の主催で、中部5県、名古屋市、10の大学等がメンバーとなり、中部産業振興協議会を設立し、特区制度創設についての国へ要望が採択された。

【渡会委員】
 本県では、中部国際空港建設や万博の開催を進めていることから、例えば、前島を国際交流の特区にすることや海上の森を自然とのふれあいの特区にすることなど、いろいろ特区として考えられるので、国に対し、地方から発信していくことが大事だと思う。単に土地を売っていくということではなく、この土地にこのトップ企業を誘致しようという考え方が重要だと思うが、どうか。

【産業労働総務課主幹(広報・企画調整)】
 総合規制改革会議は、その地域で実験を行う合理的な根拠のある、比較優位性のある地域を特区の対象地域として認定することを基本としている。
 総合規制改革会議のスケジュールでは年内いっぱいに法制化し、来年夏ごろの地域の指定を考えているとのことであり、それを踏まえ、愛知県規制改革特区研究会とは別に経済界、市町村などの意見を聞く場を企画振興部で設けるための準備を現在進めており、今後、各方面の熟度が増していくと考えている。

【産業労働部長】
 特区については、地域経済の再興の起爆剤として、非常に有効な手段と考えており、国としてもいろいろな規制緩和のメニューを用意し、各県からアイディアの吸い上げを行っている。
 本県は、国、世の中に対し、情報発信していくことに不得手な県であるという指摘は承知しているので、地域のあるべき姿を情報発信していきたいと思っている。
 国ともいろいろな意味で情報交換を行っているが、従来の、地域を特定して振興の枠組みを作りだす地域振興立法とは違うものになると予想され、今回の特区の議論の中でも、国の方から、国による税の減免や補助金等従来型の財政措置を用いないとされており、安易に手が挙がっても、簡単には認めない方針であると言われている。
 特に財務省、経済産業省では、そうした議論が強く、中身を精査し、地方で主導権、主体性を持って行うなら、規制の穴をあけることくらいはするという姿勢であるので、県がどれだけ主体的に行えるかを十分考えたうえで、手を挙げる姿勢が必要であり、内部でも相当の議論が必要である。
 いろいろな特区構想があるのは承知しているが、一番熟度が高いと思っているのは、前島周辺である。近い将来230ヘクタールの更地ができるが、実際に立地されるのは、基本的には民間企業であり、そこで21世紀の新しいモノづくり、街づくりを行ってもらいたいと考えているが、いくら県が音頭を取っても、企業にとって、いかに良いかということにこたえていかなければ特区構想も絵に描いたもちになってしまう。前島に企業に来てもらうためには、どういう条件整備が必要か産業界からの意見を特に聞いていく必要がある。21世紀の新しい街づくりであることから、国際物流機能の特区のようにすることや、燃料電池を駆使した新しい地域分散型エネルギーでモノづくり、街づくりを支えていきたい。
 来月中には、新しい街づくりというリスクのある事業に民間が参画できるための条件整備について、産業界から意見を聴取したいと考えており、特区として手を挙げていく確信が得られれば、国に手を挙げていきたい。
 企業誘致の基本理念について、単に余っている土地を消化する観点から行うのか、また、まとまった技術開発まで念頭に置いた戦略的な観点から行うのかは、とちらも重要であるが、4月1日から行っている産業立地促進税制から考えれば、前者にウェートが置かれている。その理由として、雇用が失われている時に、そこで生産し、雇用を創出していくことが現状では緊急に重要であることから、5人以上雇用してもらえる企業、投資金額1億円以上の場合には、その地域の市町村が望むものであれば業種は問わないこととしている。
 もちろん将来的に技術の波及効果があるレベルの高い先端産業が入っていればそれに越したことはないが、税制の対象はそれに限定をせず、高度先端産業立地促進補助金があり、それを重ね合わせ実施していき、技術開発の伴った企業誘致に努めたいと考えている。



平成14年9月10日

【渡会委員】
 研究課題については提案公募とのことであるが、採用基準はどのようなものか。

【研究成果活用プラザ北海道】
 プラザの事業として、ある分野に特化するというようなことはあらかじめ考えていない。
 北海道という地域性を反映してか結果としてバイオ関係の課題が多い。

【渡会委員】
 プラザはどのように利用されているのか。

【研究成果活用プラザ北海道】
 大学と企業との中核にある研究室として利用されている。大学と企業それぞれから、主に若手の研究者が来館している。大学と企業との研究者が融合した形で利用している。

【渡会委員】
 以前に福岡の研究成果活用プラザを見せてもらったが、研究室の内部には真新しい機器があって、あとはがらんとした状態の部屋が多かった印象がある。活用度はそれほどでもないのではないかと感じたがいかがか。

【研究成果活用プラザ北海道】
 福岡のプラザについても設立されてからまだ間がないため本格的な活用はこれからということであると思う。また、プラザと大学と企業とが三者契約を締結して研究を行うため、研究チームが大学や企業で研究を行っている日は、プラザに研究者がいないこととなる。ただ、研究が進展するにつれてプラザの活用度も高まるといったケースが現実に発生しつつある。そのように研究者の交流が高まってくると、誰がどこでアイデアを出したかが不明確となるおそれがあり、特許やいわゆるスパイ等の問題が懸念されるところである。これらは共同研究におけるこれからの課題であると認識している。



平成14年10月1日

【渡会委員】
 構造改革特区について、産業労働部関係でどの省庁にいくつぐらいの提案をしたのか伺う。

【産業労働総務課主幹(広報・企画調整)】
 人事院を含め10の省庁に対し、電気事業法関係、燃料電池に関係すること、公有水面に関すること及び税に関することなどについて提案を行った。

【渡会委員】
 国の回答を見て経済産業省のものに前向きなものが多いと感じたが、この国の回答に対し、産業労働部としてはどのような対応をしたのか伺う。

【産業労働部長】
 産業労働部として50の提案を行い、うち14については経済改革特区として行ってよいのではないかとの国からの回答を得た。また、現在の制度で対応できる、もしくは特区とするのは難しいとされた36の提案については、その大半について国での再検討をお願いしたところである。

【渡会委員】
 プロトンアイランズ構想も踏まえて国からの回答は前向きなものと評価できるか伺う。

【産業労働部長】
 国に対し50の提案を行い、そのうち14について特区として実施してよいとの回答を得たが、この50分の14という比率は、他県と比較してもよい数字であると思う。その要因として、本県の提案のかなりの部分がエネルギー関連であるが、これを所管する経済産業省が一般的に規制緩和に相当前向きであるといわれていること、また、内容としても電気事業法関係が多くを占めていて、電力自由化の流れの中で国も自由化をどう進めていくかを独自に検討しており、規制緩和を試験的に特区で行うという位置付けがあったことが、本県の提案が受け入れられる上で寄与したのではないかと考えている。
 また、同じ経済産業省所管でも燃料電池の関係については、既に国において相当程度に検討が進んでおり、特区で試験的に実施してもらうほどのことはないとの判断があって、現在の制度で対応可能との国の回答となったと考えられるが、本県としては、これは実施してはいけないというわけではないので、むしろ実施してもよいとの回答とほぼ同じ意味と位置づけて差し支えないと考える。そうすると、50の提案のうちのかなりの項目が禁止されないという意味で特区の目玉として行えるものと考える。
 プロトンアイランズ構想についても、特区がこの構想の推進役になるものと考えるが、地域分散型エネルギーを供給するマネジメント会社が本当にできるのか、また、エネルギーを利用する工場立地がうまくいくのか、そういう具体的な問題があるものの、現在のところ特区との関係で言えば、プロトンアイランズ構想はうまくいっていると感じている。

【渡会委員】
 国のほうが燃料電池の分野については進んでいる状況であるとしても、本県がそれを超えるぐらいの気持ちでやっていただきたい。新エネルギーについては知事も力を入れているとお聞きしているし、全国に先駆けるようなことを産業労働の部分からお願いしたい。
 また、これは企業庁の所管かもしれないが、プロトンアイランズ構想の企業立地の件については、燃料電池の分野は本県が勝負をかけるべき部分と考えており、産業労働部長としてもしっかりとお願いしたい。

【産業労働部長】
 特区構想は従来の地域振興策と異なり、国がくれるものは規制緩和のメニューだけであって、アイデアも推進力も地域でやれということである。手を挙げておけば何かいいことがあるとかだめならば元に戻ればいいというような誤解が特区に関してはまだあるように感じている。特区については、国は規制緩和するだけで補助金等は一切出さないので、特区をやるという以上アイデアもお金もすべて地域が負担しなければならず、県や市町村のやる気、度量が真に試される構想であるといえる。たいへんな事業であるが今後とも努力していきたい。

【渡会委員】
 報道によると、中部電力が万博会場のパビリオンに、燃料電池と廃棄物から得られるエネルギーとを組み合わせた発電装置により電力を供給する計画を有しているとのことであるが、承知しているか。

【環境調整課長】
 新聞情報で承知している。

【渡会委員】
 最近、電力会社の不祥事がとりざたされている。燃料電池や新エネルギー分野の中核を担っていくと思われる企業に対し、企業モラルの維持などについて県としてどのような姿勢で今後臨んでいくのかお聞かせ願いたい。

【環境調整課長】
 原子力発電所の事件等の問題があるが、電力は私たちの生活になくてはならないものであり、電力会社は安全面に注意して運営に努めていただきたい。

【産業技術課長】
 委員の質問にあった新型発電装置については産業労働部所管の科学技術交流財団が
名古屋大学、中部電力及びトヨタ自動車と共同で研究開発に取り組んでおり、実現に向けて努力しているところである。



平成14年10月2日

【渡会委員】
 中部臨空都市推進計画が取りまとめられ、推進計画やまちづくりガイドラインが公表された。
 前島では研究生産地区ABという所が設けられ、研究生産地区Aでは新技術実証実験施設、大規模生産・研究施設を誘致したいと書いてあり、また、空港島では宇宙産業関連、空輸型工業を臨空生産地区に誘致をしたいとうたってあるが、計画を作る前段階である程度核となる企業が決まっているのか。この推進計画に基づき企業誘致を進め、空港島にせよ、前島にせよゾーンを設けるということであれば、それぞれこうしたいというコンセプトがあって発表されたはずであり、その核となるべき企業が当然あると思うが、現況及び今後の見通しを伺う。

【企画調整課主幹(企業誘致・計画)】
 空港島は総合物流ゾーン、港湾交流ゾーン、臨空生産ゾーンの3つのゾーンに、空港対岸部は研究生産ゾーン、生活文化ゾーン、中央ゾーン、港湾ゾーンの4つのゾーンに分けており、合計7つのゾーンで計画している。
 各ゾーンの核となる施設については、都市機能形成の核となる、例えば飲食・物販等を備えた大規模な複合商業施設や国際交流の拠点となる次世代技術の実証実験施設等を推進計画の中で候補に挙げている。これらの立地の見通しについては、空港や流通に関連する様々な業界にかかわりのある企業からそれぞれ濃淡はあるが、問い合わせをいただいている。
 それから、次世代エネルギーシステム等に関連する実証実験施設については、事業化や推進主体について現在県庁内で検討している。
 いずれにしても、具体的なものはこれからという状況であり、今後より一層精力的に対応していきたいと考えている。

【渡会委員】
 プロトンアイランズ構想が既に発表され、知事を本部長とする中部臨空都市推進本部を設け、ここを中心に事業を行っていくとのことだが、そこが動かないと何も動いていかないと思う。プロトンアイランズ構想の現況及び進ちょく状況を伺う。

【企画調整課主幹(企画誘致・計画)】
 プロトンアイランズ構想については、昨年6月に学識者等で構成するプロトンアイランズ基本計画策定委員会からの中間報告を受け、その内容を公表した。数多くの実証実験プロジェクトを提案していただいており、現在その中から、水素供給システムの事業化や構想の推進役となる組織の検討を進めている。
 また、関係の部局と連携して県全体として推進すべく調整を図っているところであり、今後とも民間企業へ働きかけ、国や関係機関の協力を得ながら県全体の構想として推進していきたい。
 県全体として推進していく方法として、中部臨空都市推進本部等も活用しながら推進していきたいと思っている。

【渡会委員】
 愛知県としては、燃料電池、バイオマスといった、新エネルギーについて、ここを全国に先駆けた先駆地としたいという思いがあると思う。そうであるのならば、どこでもやれるというものではなく、いろいろな業種でこういった燃料電池等を研究しているわけであり、地元の企業も含め、例えばトヨタ、中電など、そういった核になる企業が決まっているのかと思う。
 国が新エネルギー事業について非常に先行しており、愛知県からも経済特区、構造改革特区ということでいくつか出しているが、そういう意味からすると、もっと本県が先頭を走る必要があると思う。企業庁が全体を言うのはなかなか難しく、企業庁のできる部分で中部臨空都市推進本部を支えてほしいと思うが、その辺の考えを伺う。

【企業庁長】
 中部臨空都市推進計画とプロトンアイランズ構想には企業庁の思いが大変入っており、中部臨空都市はこういうまちづくりをしたいという企業庁の思いがしっかり入っている。
 したがって、どこの企業というのは念頭にあるが、特にプロトンアイランズ構想は、それぞれの企業にそれぞれ次世代エネルギーに対する企業秘密事項となるものがあるようで、なかなか企業庁が描いた通り進んでいないというのが現状である。
 従来、企業庁は土地を造って売って終わりという部局だったが、今はまちづくりという新しいことにまで乗り出しており、職員も非常に頑張っている。まさに新しいことを行なっており、そういう意味で、各部局には助けてほしい。もちろん企業庁が主体で動いていくが、すべてを担うという能力もないので、その辺は愛知県全体で取り組んでいくことで、中部臨空都市をいろいろな面で世界に発信できる都市にしたいと思っている。
 企業庁としては、こういった企業が来て欲しいという願いもあるが、企業の論理や企業の方向もあることから、なかなか思っているとおりにはならないが、少しでも企業庁の思いに沿うような形で企業に来ていただきたいと思っている。



平成14年12月10日

【渡会委員】
 都市銀行の制度融資の目標達成率が40.8パーセントであるとのことだが、一番儲けさせてもらっている中小企業に対してこんな仕打ちをしているということである。
 中小企業は貸し渋りに苦しみ、借りに行くことすらあきらめているという状況にあり、また、不良債権処理の加速化が進む中、いつ貸しはがしにあうのかという恐怖感を持っている。
 単独の融資制度ではなく、県が金融機関とタイアップしているものや市町村も含めた三者で融資する制度もあるのではないかと思うが、その割合及び実績を伺う。

【中小企業金融課長】
 県の制度融資は、県と市町村と金融機関がそれぞれ資金を出し合って協調融資を行う商工業振興資金と県と金融機関がそれぞれの割合で原資を出し合って融資を行うものの2種類がある。
 商工業振興資金は、市町村資金が1に対し、県は2の割合で金融機関に預託し、この預託資金の2.4倍を目標として融資することとなっている。その他の制度については、それぞれ制度によって末端金利や融資期間が異なっていて、例えば、経済環境適応資金は1.9倍、高いものでは7.9倍を金融機関が県の原資と協調して融資するという形をとっている。
 最近の実績では、平成13年度の融資目標6,268億円に対し、実績は4,808億円、76.7パーセントの目標達成率となっている。平成14年10月末現在で融資目標6,274億円に対し、融資実績は2,467億円で、達成率は39.3パーセントであり、平成13年度も融資目標は達成していない。

【渡会委員】
 中小企業が本当に困っている時に行政が助けないでどうするのかと思う。中小企業には情報が非常に少なく、また、行政に要請するなどの元気もなく、状況が良くなるのをじっと待っている状況である。
 こうした中で、融資目標に達していないことの原因をしっかり総括する必要があると思うが、理由の一つとしてはPR不足もあると思う。概して、中小企業にはなかなか情報がまわらないという状況であるので、金融機関、県、市町村を含めて、こうした資金が生きるようにしていかなければならないと思うが、どのように考えているか伺う。

【中小企業金融課長】
 県の制度融資についてはいろいろなパンフレットを作成しているところであり、産業労働ニュースや新聞・テレビ等の広報媒体も利用している。市町村とタイアップしている商工業振興資金は市町村広報誌や商工会議所,商工会等の広報誌に掲載してPRに努めているところであるが、今後とも、より一層PRを進めていきたい。
 また、現実には資金をどうやって借りたら良いか分からない中小企業の方も大勢おり、そうした方は必ず県か保証協会に相談に来るので、単に県の制度融資のみを紹介するのではなく、例えば、政府系の融資など幅広く制度を紹介し、その中からより良いものを選んでもらうような形で中小企業の気持ちに立って相談ができるように今も努めているが、今後もより一層努めていきたい。

【渡会委員】
 国でも保証協会のセーフティネット保証、政府系金融機関のセーフティネット貸付け等の拡充をしようとしている。国も法整備し、システムを拡大しているものの、単独であることや、連携不足、PR不足など、さまざまな理由があると思うが、なかなかそれが活かされていない。これは県も同じであり、こうした手当が本当に中小企業まで届くような施策が必要だと思う。
 また、中小企業の方の声を聞くと、切に相談にのってほしいような時に担当者に無神経なことを言われるということも聞いているので、貸付側の問題を含めて、県のセーフティネットとは一体何であるかを考えてもらいたい。応対一つとっても丁寧に行うことで、どれだけ中小企業者に対する思いやりあるセーフティネットに通じていくかを考えてほしいと思うが、どのように考えているか伺う。

【産業労働部長】
 県では昨年9月以来、昨年9月、今年の2月、6月の3次にわたり、緊急産業雇用対策を実施してきた。特に売り上げが減少している方、取引先の大企業が倒産したことによる連鎖倒産のおそれのある方に特化して対策を打ってきた。例えぱ、経営安定資金では、融資の対象となる売り上げ減少要因を、従来は前年に比べ10パーセント減少した方だけを制度融資の対象としてきたが、これを2段階に分け前年より5パーセント以上減少した方までを県の制度融資の対象となるように融資の対象枠を広げた。 
 また、取引相手方が倒産した場合に連鎖倒産を防ぐための融資である関連倒産防止資金では、従来は、相手方の負債金額が3,000万円以上の大型倒産のみを対象としていたが、これを1,000万円以上とし、統計上出てくる倒産はすべて面倒をみるというように対象を広げたところである。
 その結果、平成14年10月末現在で、経営安定資金では、毎年比で49パーセントの増となっており、関連倒産防止資金では、前年比で71パーセントの増となっている。それ以外の制度融資も含めるとトータルで減っている状況であるものの、その中でメリハリをつけて、本当に困っている方に、県として特化し対策をとってきたと思っている。
 応対の面もいろいろ聞いている。一番多かったのは金融機関も当然であるが、実際に審査してゴーサインが出るかどうかの一番大きな要因は、保証協会が保証してくれるかということである。この保証協会の段階で、応対も含め保証の審査が厳しすぎる、もう少しハードルを低くしても良いのではないかということも聞いており、県では今年の2月以来、個別の具体的な事例を皆で検討し、個別事例に即して、県と保証協会、地元経済団体との間でコンセンサスを作るための会議を開催している。
 その中で、いくつか保証協会にも改める点があるという結論が出て、その点については保証協会に改めるようお願いをしており、そういった点で苦情は減ってきているが、借りる側からみればまだ不満はあると思っており、県としても金融情勢が良くなったとは考えていないので、何が可能かは今後とも勉強していきたい。



平成14年12月11日

【渡会委員】
プロトンアイランズ構想に関して中部臨空都市推進本部の事務局はどこが担当しているか伺う。

【企画調整課長】
 企画調整課が所管している。

【渡会委員】
 企業庁長から中部臨空都市まちづくりガイドラインに関して、構想の実現には20年から30年の期間を要するとの話があったが、そのように長い期間を要することになるのか。

【企業庁長】
 愛知県の経済が今よりも活況を呈していたころの話ではあるが、そういう時期の土地区間整理事業でも30年ほどかかってまちづくりが完了するというような過去の例もあり、また、関西のりんくうタウンにおいても整備開始から10年ほど経過した現時点で売れた土地が全体の5割程度、建物等が建設済みの土地はそれよりも少ないという状況である。このような状況を踏まえ、中部臨空都市についても熟成するためには30年程度の期間を要するのではないかとの見通しを説明した。

【渡会委員】
 中部臨空都市推進本部としては、企業誘致の点で、例えばこうした企業にあたろうとか、あるいは、今まで関心を示さなかった業種に対して声をかけるというような方針を持って取り組んでいるのか。

【企画調整課長】
 中部臨空都市推進本部では、まず国や県の公共プロジェクトを誘導する方策を検討することとしている。具体的には、愛知2010計画の中で、中部臨空都市の開発に見合う分野の計画を各部局の施策と絡めて、お互いに検討、情報交換し、県の横のつながりを密にして内部の事業を中部臨空都市で何か展開していけないか議論していくこととしている。

【渡会委員】
 各部局の横の連携も重要だが、中部臨空都市のまちづくりに向けて具体的な方針に基づいて企業誘致を行うことが重要であると思う。企業庁は、明確な方針も示さず買いたいと言ってくるところに売るという姿勢なのか。

【企画調整課長】
 企業誘致は必要であるが、まず公共が核となる施設を先導的に誘導したり、先導的プロジェクトを進出企業のために誘致していくことが大事である。そういう認識で、中部臨空都市で展開できる事業はないか検討するため推進本部を立ち上げたものである。

【企業庁長】
 商業施設の誘致を行った場合、民間の方からは集客施設を作っても人が集まるかどうかわからないので、官は何かやってくれるのかとの話が出る。そこで県はもとより国のプロジェクトについても中部臨空都市で展開してもらえないかというようなことを含め、官民一体としてまちづくりをしようという目的で中部臨空都市推進本部を設置した。

【渡会委員】
 科学技術振興事業団が研究成果活用プラザ東海を設置したが、中部臨空都市にあのような研究施設をまず誘致して、さらに民間の研究専門機関に来てもらうというような方策が必要であると思う。民間にもエコとかエネルギー等について研究しているところはたくさんある。きちんとしたポリシーがあって呼んでくる必要があると思うが、実際どのような企業が来れそうなのか、また、公的にはどのようなものが進んでいるのか見えてこない。

【企業庁長】
 プロトンアイランズ構想についても民間企業等に呼びかけを行なっているが、例えば燃料電池の実証実験を行なうにしても電気を供給できる施設が立地していないと実験もできないため、まずそのような施設に立地をお願いして、次に実験施設を誘致するといった関係もあり、なかなか具現化していない状況である。

【渡会委員】
 中部臨空都市のまちづくりガイドラインが作成されたが、現実的な計画が見えてこないと感じている。

【企業庁長】
 ガイドラインもなしで中部臨空都市の話をしても企業は乗ってこないということで、ガイドラインを作成して将来的にはこのような都市になるというものを示したところであり、絵に描いた餅というわけではない。



平成15年3月13日

【渡会委員】
 中小企業金融対策貸付金について、平成14年度の最終の県制度融資目標に対する実績、達成率について伺う。

【中小企業金融課長】
 平成15年1月末の制度ごとの実績であるが、商工業振興資金は融資目標が1,981億8,400万円に対し、実績が1,397億5,900万円で、達成率70.5パーセント、長期経営強化資金については、762億3,500万円に対し、565億4,600万円で、74.2パーセントを達成している。
 中小企業組織強化資金については、131億1,600万円に対し、109億4,700万円で83.5パーセント、経済環境適応資金は、1,805億円の融資目標に対し、1,226億1,500万円で、67.9パ―セントを達成している。
 短期運転資金については、1,593億1,500万円の目標に対し、367億7,200万円で、23.1パーセントである。

【渡会委員】
 私は、先ほど平成15年度一般会計予算案の採決においても、平成14年度と対比して達成率の低い制度もあるわけであるが、中小企業のための間口を広げて借りやすい環境が整っていると思い賛成をしたが、もう一つ、金融機関別の融資目標に対する達成率を伺う。

【中小企業金融課長】
 1月末の実績であるが、都銀が33.2パーセント、地銀が56.7パーセント、第2地銀が63.4パーセント、信用金庫が66.5パーセント、信用組合が14.4パーセント、政府系金融機関が67.3パーセントである。

【渡会委員】
 達成率は、政府系金融機関、信用金庫、第2地銀の順となっており、都銀の33.2パーセントは他と大きく数字がかけ離れている。
 冒頭、部長から、この10年間で4社のうち1社が消えたとショッキングな話を聞かされた。愛知県も中小企業で守り支えられている県である。10年間、黙って消えていくのを見ていたのか。利息、手数料を払い、ある意味では、都銀を始め金融機関をもうけさせてきたと思う。
 都銀の3割の達成率について、県民の理解を得られる回答を聞きたい。

【中小企業金融課長】
 指摘どおり、今年度の実績は悪い。平成14年の12月には、大手のみずほ、UFJ、三井住友などの7行の都銀に対し、金融庁からいろいろな勧告が出ている。7行の貸出し残高が昨年3月から9月までに、9兆円減少しているという新聞報道や検査結果が出ている。このような状況から、貸渋り、貸はがしの実態を垣間見ることができる。

【渡会委員】
 前回の田島委員の質問でも、融資の促進を強くお願いしたにもかかわらず、改善されていないのはなぜか。

【中小企業金融課長】
 文書等で制度融資を積極的に行うようお願いをしているが、本年度においては、文書のみならず、来庁してもらい責任者に制度融資の取扱いを指示した。
 また、来年度の取扱いについては、預託の場合、制度の実績を厳密にチェックし、県制度融資をただ看板だけで行っているところについては、止めていただくような方向で現在のところ検討している。

【渡会委員】
 平成15年度の制度融資の預託金は、未配分も含めてきちんとペナルティを課すと受け止めたが、そのとおりか。部長に伺う。

【産業労働部長】
 数字等は、中小企業金融課長の説明のとおりであり、非常に遺憾に思っている。とりわけ、金融界のリーダーシップを取るべき都銀が、他の金融機関に比し達成率が一番低い。何とかこれを上げたいと行ってきたことは、課長の発言のとおりである。
 中小企業景況調査で、たった一つ悪くなってきているのが、金融機関の貸出し態度である。このような状況を改善すべきであるという点は、全く同感である。
 今後の考え方であるが、税金を預託してあるにもかかわらず、それをきちんと使えない、あるいは使わない企業に対しては、税金を使うという権利を少し狭めるという、ある種のペナルティというやり方もある。しかし、それで問題がすべて解決するわけではないので、いろいろ指導を行い環境を整備した上で、より多く使ってもらうのが本来あるべき姿である。
 個別に事情を勘案しながら、来年度の預託については、小まめに査定を行っていきたい。

【渡会委員】
 そのような努力をして個々に判断をするというのであれば賛成であるが、そうでなければ、ペナルティをはっきりさせていただくよう要望する。




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