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産業労働委員会(平成21年5月〜平成22年4月)

平成21年6月26日

【渡会克明委員】
 これは「小規模企業の皆様へ」というパンフレットである。今は印刷物ではなくホームページになっているが、この中の最初にマル経融資制度が載っている。県内に小規模事業者はどのくらいいるのか。マル経融資制度はどんな制度か。

【中小企業金融課主幹(団体指導)】
 県内の商工業者数は30万7,469者で、そのうち小規模事業者は22万9,924者であり、全体の74.8パーセントを占めている。マル経融資は、小規模事業者を対象とした無担保無保証の融資である。商工会や商工会議所で申し込みを受け付け、審査会で審査をし、日本政策金融公庫から融資を受ける仕組みとなっている。最近のマル経融資の制度拡充であるが、まず、融資の迅速化を図るため、従来は経営指導員の指導実績が原則6か月以上必要であったが、平成20年4月から、ITを活用して財務会計の透明化が図られている場合などについては、指導実績が6か月未満であっても融資が可能となった。また、経営指導員が経理内容等を確実に把握しているもの、直近の貸付の返済に遅滞がないものなどの場合は、審査会を省略することができることとなった。更に、本年4月15日から、貸付限度額が1,000万円から1,500万円に拡充され、貸付期間も運転資金が5年から7年に、設備資金が7年から10年に延長され、併せて据置期間も延長された。

【渡会克明委員】
 小規模事業者は、従業員20人以下の事業者であり、厳しい状況に置かれている。マル経融資の要件の中に経営指導員の指導を受けることがあるように、商工会・商工会議所の経営指導員が経営指導していて、補助金を県が出している。平成17年度までは国の補助金が入っていたが、三位一体の改革で県の単独補助金になった。平成17年度以降の補助金額の推移はどうなっているのか。

【中小企業金融課主幹(団体指導)】
 平成17年度は37億5,667万8,000円、平成18年度は37億1,640万円、平成19年度は37億35万7,000円、平成20年度は36億4,349万3,000円、平成21年度は34億7,989万4,000円である。

【渡会克明委員】
 補助金が減ってきているが、個人的には頑張ってほしいと思っている。小規模事業者対策として、この補助金をどうしていくつもりか。

【中小企業金融課長】
 小規模事業経営支援事業費補助金は、昭和36年以来、小規模事業者の支援策として有効に機能している。小規模事業者を個別に指導する経営改善普及事業の意義は、今も変わらず重要だと考えている。

【渡会克明委員】
 商工会・商工会議所に対する補助金の予算措置は、どのようになっているのか。

【中小企業金融課長】
 商工会には16億8,900万円、商工会議所には15億1,700万円を経営指導員等の人件費として補助している。事業費は9,500万円を補助している。

【渡会克明委員】
 市町村合併により、複数の商工会等が並存する市町村はどれだけあるのか。合併しても経営指導員の数は減らないのか。

【中小企業金融課主幹(団体指導)】
 1つの行政区に複数存在するところは、名古屋市、岡崎市、南知多町、一宮市、稲沢市、豊田市、新城市、設楽町、豊川市である。  商工会等が合併により統合された場合、商工会等の経営指導員数が設置基準による基準を超過するものについては、暫定的な措置として、その超過数を経営指導員の退職があるまで設置することができることとしている。その後は基準どおりの数になる。

【渡会克明委員】
 商工会議所は、経営指導員等の補助金の対象者以外にプロパー職員がどのぐらいいるのか。豊橋商工会議所はプロパーが20人、補助対象者が15人、岡崎商工会議所はプロパーが18人、補助対象者が21人、名古屋商工会議所ではプロパーが60人、補助対象者が110人と聞いたがどうか。

【中小企業金融課主幹(団体指導)】
 商工会議所全部を調べたわけではないが、プロパーと補助対象者は概ね同数である。

【渡会克明委員】
 経営指導員は大切であり、小規模事業者の振興のためにも補助してほしいのだが、平成19年度に、行っていない巡回指導を行ったとした不正問題があった。昨年度の補助金の見直し検討の報告書を読ませてもらったが、現状追認の内容である。金は出すが口は出さない、商工会議所に任せるというスタンスか。

【中小企業金融課長】
 すべて商工会議所の自主性に任せるという訳ではない。制度見直しの基本的な考え方としては、「適切な目標を掲げる」こと、「事業に地域事情を考慮する」こと、「事業の効果測定を行う」こと、「事業実施の透明性を確保する」こととしている。この原則を守った上で、地域事情を考慮することとしている。

【渡会克明委員】
 準ずる事業が本来の事業よりも大きくなったので、巡回ができなくなったのだろう。中小企業庁は、マル経融資制度を改正し、経営指導員の指導期間を短縮した。県は、準ずる事業でまつりや地域活性化事業ばかりやらせている。経営指導員は、経営改善普及事業をやらなくてよいのか。

【中小企業金融課長】
 例えば、小規模事業者の相当数は零細な小売店であるので、個店としてどんなに頑張っても、商店街に人通りがなく閑散としているような状態では、経営が成り立たない。このような場合、商店街振興・街づくりの対策を打つことが個店である小規模事業者の経営改善に必要となる。こうしたことから、個別対策である経営改善普及事業とともに、街づくりなどの事業についても、経営改善普及事業に準じて経営指導員の業務として認めてきた。ただし、小規模事業者を指導する経営改善普及事業は、依然として重要なものと考えているので、最低限実施しなければならない必要ラインを定めている。その最低ラインを遵守した上で、経営改善普及事業とガイドライン事業との比重をどうするか、ガイドライン事業としてどのような事業を実施するかということを、地域ごとに小規模事業者の置かれている状況がそれぞれ異なるので、商工会・商工会議所が地域の実情に応じて選択できるようにしたところである。

【渡会克明委員】
 小規模事業者は商店街だけにいるのではない。ガイドライン事業が必要だから補助対象にするというのは、本末転倒ではないか。補助金交付要綱は県で改正できるのか。

【中小企業金融課主幹(団体指導)】
 県の単独補助金なので、県で改正できる。

【渡会克明委員】
 減税するほど余裕がある名古屋市について、110人も補助しているのはおかしくないか。

【渡会克明委員】
 小規模事業経営支援事業費補助金の後退がないようにお願いする。





平成21年10月2日

【渡会克明委員】 現在の愛知県の農商工連携の事業計画の認定数はいくつあるのか。更には、中小企業者や農林業者に対して、農商工連携事業内容の広報をどのように周知徹底をしているのか。

【地域産業課長】
農商工連携は国の事業で、昨年7月から国において施行されており、愛知県は現在11件の認定を受けている。また、国が20年度から実施している地域力連携拠点に、愛知県は8か所指定されている。あいち産業振興機構、愛知県商工会連合会、愛知県中小企業団体中央会、名古屋、一宮、岡崎、豊橋の商工会議所などで、応援コーディネータを設置するなど、窓口事業を実施しており、PRしている。

【渡会克明委員】
中小企業者や農林漁業者の出会いの場というか、交流、情報の交換、情報の共有の取組はどういった形で行われているのか。また、中小企業者や農林漁業者と行政側との意見交換等がスムーズにできているのか。ネットワーク体制が構築されているのか。

【地域産業課長】
地域力連携拠点の事業は中小企業者の農商工連携、更には経営相談のサポートをするということで、制度の普及並びに実際の説明会を開催し、発掘、ブラッシュアップするような事業も手がけている。

【渡会克明委員】
国の中小企業基盤整備機構が、2月には東京で食品事業者向けにスーパーマーケットのトレードショーを、3月には大阪でインターナショナルギフトショーなどのさまざまなイベント等を開催している。そういった農商工連携や地域資源活用の展示や商談会などへの愛知県の企業の出展の状況はどうなのか。また、こういった展示会等が開催される場合の対応はどうするのか。

【地域産業課長】
愛知県では9月26日に、農商工連携から生まれた商品を、皆様方に紹介する場として中日ビルの地下1階に「ピピッと!あいち」というアンテナショップを開店した。開発された商品を展示して、消費者の動向を探り、アンケートをとり、その情報を生産者にフィードバックすることを繰り返して商品のレベルを上げていきたい。これは、中日アド企画に委託し、ふるさと雇用の助成金を使って実施している。そのアンテナショップだけではなく、東京の展示会等にもそういう商品を出していろいろ情報を聞いていきたい。

【渡会克明委員】
新連携や農商工連携など新事業を創出するためには、バックアップ体制が非常に大事であると思うが、きちんと整理されているのか。様々なこの認定を受けるために、どこが窓口で、どういう形で申請され、認定を受けるのか。

【地域産業課長】
地域力連携拠点では、コーディネータが農業者または中小企業者からの相談を受け、コーディネート、ブラッシュアップしながら事業計画の作り方をフォローして、国に申請し、認定を受けると補助や融資など税制の優遇を受けられるという仕組みになっている。それぞれの地域力連携拠点にコーディネータを配置している。コーディネータ同士の連携会議も県が開催している。定期的に会議を開催することで、それぞれの情報をつかみながら事業者を育てていきたい。

【渡会克明委員】
新商品、新サービスの開発事業化からその販路の開拓まで支援するために全国で10か所に中小企業基盤整備機構の地域活性化支援事務局が設置をされており、全国的なマーケットを視野に入れ、商品開発や、販路開拓などをサポートするために海外展開の支援もするということになっている。中小企業基盤整備機構の地域活性化支援事務局やジェトロとの連携のあり方、県内産品の海外流通に向けてはどのように取り組んでいるのか。

【産業労働部長】
事業者の連携は実際に商売を拡大していくときには重要なことだが、それを支援していく行政サイドの連携も重要になっている。連携のためには、本庁の行政が意識を持つだけではなく、現場の方々がきちっと意識を持たなければいけない。地域力連携拠点で様々なコーディネータに、例えば海外販路であればジェトロの海外拠点が非常に使えるものであり、国内であれば中小企業基盤整備機構が国内各地に支店をもっているので使えるという意識をもってもらいたい。そういったところをどう使っていくかという意識をぜひ皆さんに持ってもらうための意識啓発を一生懸命やっていきたい。すべての機関がすべてのことを指導できるだけの高い能力を持っているわけではないので、横につながることによって自分にないところ特に海外販路については、ジェトロとうまくつながることで海外販路開拓支援が行っていけるという状況であるので、産業労働部としても努力したい。

【渡会克明委員】
全国各地域の農商工連携に関する自主的な取組が活発化しており、国は、こういった取組を支援するために2007年12月に500億円の農商工連携型のファンドの創設をした。2008年6月に岐阜、徳島、高知の3県で第1号のこの基金が立ち上がったという。その後、三重を初めとして7県創設をしたということだが、農商工連携の応援ファンドというものが全国で何件あるのか。我が県には農商工連携のファンドというのがあるのか。ないのであれば、これを創設する予定があるのか。

【地域産業課長】
農商工連携型ファンドの実施県は22件である。愛知県は実施していない。愛知県は地域資源型中小企業応援ファンドを昨年9月に創設し、100億円を使って非常に大きな規模のファンドをつくった。このファンドの中で農商工連携型についても十分対応できるものであり、実績もある。農商工連携もこのファンドの中で運用していきたい。

【渡会克明委員】
国にファンドの制度があるのだから、国が20億円出すので、県が5億円出してやればいいのではないか。事業者に少しでも選択肢を増やして手を出しやすいようにすることが行政だと思うがどう考えるのか。

【産業労働部長】
100億円で地域応援ファンドを造成したが、中小企業基盤整備機構からの資金だけではなく、地元で資金を用意しなければならないということで、60億円を用意している。県からは3億円を、残りを地域の中小企業を応援する金融機関に造成をお願いしたところである。100億円と非常に大きな金額であり地域の方々にも努力してもらったが、これ以上はなかなか厳しいというのが正直なところである。県で積めばいいという発想もあるが、4,900億円の歳入欠損をどう埋めるかということでかなり苦労して今年度予算を組んだところであり、なかなか新たなファンドを作る余裕はないという状況である。三重県、岐阜県の地域資源応援ファンドと農商工応援ファンドを足しても、まだ愛知県のファンドの方が大きい状況であり、固定金利で運営しているので、かなり大きな助成金額を出せるような状況であり、いろいろな支援を行っている。この中で農商工連携にも利用できるということも打ち出している。

【渡会克明委員】
事業者はどういった名前のファンドから出ていても、支援をしてもらえばいいわけである。さまざまな取組を国や事業者に対してもっとアクティブに行ったほうがいい。三重県はファンドの規模は25億円のうち中小企業基盤整備機構が20億円、山形県は25億のうち中小企業基盤整備機構が20億円とある。ということは、25億円のうち20億円は中小企業基盤整備機構が出すということなのか。

【産業労働部長】
他県の状況の詳細は不明だが、地域応援ファンドの一般論では、財政力指数に応じて中小企業基盤整備機構の出す比率をかえるというのが国の一般スタンスで、財政力指数の観点に立つと、愛知県は現在2番目にいる。やはり国からなかなか多額の金が来ない。確かに周辺県は7、8割を国の負担でファンドを造成しているようだが、愛知県に関して言うとそこまで負担してもらえない。より地域負担が重くなるというのが現実であり、更に追加してファンドを造成するのは難しい。

【渡会克明委員】
もっとみえる形で発信することが、事業者には力になるし、それが行政の役割と思うが要望に留めておく。農商工連携の推進ということで、垣根を越えた連携協力をどういう形で行っているか。

【産業労働部長】
産業労働部が中心になっている。基本的には食品を加工した製品をどう売っていくかなど、加工食品に関しては、産業労働部が中心になっている。原材料は農業者や生産業者から供給されるもので、品質のいいものを確保することが必要であり、農林水産部が中心となっている。いい原料がなければいいものはできないので、農林水産部と連携していきたい。国でも、経済産業省と農林水産省がそれぞれ中小企業者、農業者に資金面だけでなく様々な支援する仕組みをつくっているので、そういうものも活用して、一緒にやっていきたい。

【渡会克明委員】
国でも、自分達の一番の得意とするところで連携をしようと努力をしているので、しっかり取り組んでほしい。





平成21年10月5日 企業庁関係

【渡会克明委員】
 サモア、インドネシアのスマトラと地震が続いた。本県でも、こういった大地震がいつ発生してもおかしくない。駿河湾で8月11日早朝に地震があった。新聞報道によると、静岡県の水道施設で7万3,000戸が断水する被害があった。水道施設の地震対策の重要性を再確認した。企業庁が運営する県営水道は、県内の市町村に用水を供給している。市町村水道にとって貴重な水源であり、被災した場合の県民への影響は計り知れない。県営水道の管路延長は長大であるため、愛知県内で大規模地震が発生した場合、被害はまぬがれないものと思われるが、県営水道では、どのような地震を想定し、どの程度の被害が発生すると予測しているか。

【水道事業課主幹(地震対策・水道建設)】
 企業庁では、「愛知県営水道地震防災対策実施計画」を策定し、平成15年度からこの計画に基づく地震対策を実施している。この計画で想定している地震は、一つ目に東海地震、二つ目に東海地震・東南海地震の連動、三つ目として内陸直下型地震、養老−桑名−四日市断層帯の3ケースで、愛知県内で最大震度7の発生を想定している。次に、被害想定だが、浄水場の構造物などについては、過去の地震の被害事例から、ある程度の損傷は被るものの、倒壊といった重大な被害はなく、給水への影響は少ないものと想定している。一方、管路については、県営水道の管路は、丈夫な大口径の鋼管等を使用しているものの、管路延長は約760キロメートルと非常に長く、ほとんどが地中に埋設されていることから、被災はまぬがれないと考えており、漏水などの被害件数は、過去の被災状況や地質条件などからの想定で、東海地震で10件前後、東海地震・東南海地震の連動で70件前後、養老−桑名−四日市断層帯で20件前後発生するものと見込んでいる。

【渡会克明委員】
 ある程度の被害が出るのはやむを得ないと思うが、県営水道は県内水道の中核を担う重要なライフラインであり、被災した場合は、出来る限り早期に復旧し、県民生活への影響を最小限にとどめる必要がある。地震被災時の復旧目標をどのように考えているか。また、その目標を達成するために、どのような対策を考えているか。

【水道事業課主幹(地震対策・水道建設)】
 平成7年に発生した阪神淡路大震災では、すべての家庭で断水が解消されるまでに最大3ヶ月、約90日を要した。これらの過去の被災事例を踏まえて、県営水道地震防災対策実施計画では、市町村水道が全住民に対して4週間で平常給水ができることを目指している。県営水道については、地震発生後2週間以内で市町村水道事業者に対して平常給水ができることを復旧の目標としている。この目標を達成するため、被災した場合、復旧に長期間を要する施設である水管橋については、地盤状況などにより被災する恐れが高い94橋について、平成15年度から平成20年度までに耐震化を行ってきた。また、被災した管路の復旧を速やかに進めるため、管弁類等の応急復旧資材の備蓄を進めている。

【渡会克明委員】
 水道は、電気、ガスなどとともに生活に欠かすことのできない重要なライフラインである。 特に水は、飲料水や炊事等に用いるため、最低限の確保が必要である。市町村水道が、住民に対して4週間で平常給水を行えるよう、県営水道は2週間以内で市町村水道事業者への平常給水を行うことが目標ということだが、それまでの間、県民への給水対応はどのように行うのか。

【水道事業課主幹(地震対策・水道建設)】
 県営水道には、飲料水の貯留施設として、浄水場の浄水池や広域調整池等がある。地震発生時には、これらの施設を最低限に必要となる生活用水を確保する応急給水拠点として利用する計画であり、市町村水道は、ここから給水車により運搬給水を行う。また、被災しなかった管路や優先的に復旧した管路を用いて、県営水道管と市町村水道の基幹配水管を接続した支援連絡管や、県営水道管に仮設給水栓を設置できる応急給水支援設備を利用し、避難所や地域住民へ県営水道から直接給水も行う計画である。これらの対応により、できるだけ早く、住民の皆様が生活に必要となる水道水を確保することができるよう市町村水道と協力して対策を進めている。

【渡会克明委員】
 大規模な地震が発生した場合、被災した管路などの復旧活動や応急給水には、多くの人手が必要となる。合理化等で職員数が減少している中、企業庁の職員のみでは対応しきれないと思うが、そのような場合に備えて、他府県や市町との相互応援体制は整備しているのか。

【水道事業課主幹(水道維持)】
 企業庁では、県内や近隣の水道事業者等と相互応援に関する協定や覚書を締結していて、復旧に長時間を要する大きな被害を被った場合は、それらに基づいて、他の水道事業者等に応援を要請することにしている。また、大規模地震により県内の広範囲が被災した場合は、健康福祉部が尾張東部浄水場に設置する「愛知県水道震災復旧支援センター」を介して、県外の水道事業者等に応援を要請することにしている。その他、企業庁で水道業務を経験した退職者、通称「愛水ボランティア」と呼んでいる人たちが今年度約70名登録していて、こうした人たちに、応急復旧活動等の補助業務を行ってもらう体制を整えている。

【渡会克明委員】
 相互協定はもちろんであるが、こういったOBの人たちの活用をさらに進めてもらいたい。先月9月の防災週間の頃には、さまざまな防災訓練が行われた。企業庁でも、いつ起こるか分からない大規模な地震に備えて訓練を行っていると思うが、どのような内容で、いつ訓練を行っているか。

【水道事業課主幹(水道維持)】
 企業庁では、毎年9月に受水団体及び健康福祉部と合同で、水道関係地震防災訓練を実施している。万一の場合に備えて、情報伝達訓練や愛知県水道震災支援センターの運用訓練を行うほか、地域住民の方々に参加してもらい、応急給水訓練を行っている。今年は、9月3日(木)に訓練を実施し、地元水道事業者と連携した応急給水訓練には、常滑市の住民約20名に参加してもらった。

【渡会委員】
 水は、ひねればいつでも出るという感覚である。これだけ努力しているから、こんなことがあっても大丈夫だというような、企業庁としてのPRは何かしているか。

【水道事業課長】
 企業庁としては、住民、地元の水道事業者と一体となり防災訓練に努めている。さらにそういった場を利用して、地震時の給水の対応や水の大切さを住民にPRをしている。それ以外にも、今も委員の手元に配付してある「愛知の水」の缶を毎年約17万本作成し、市町の水道事業者と一体となり、防災訓練で配布したり、通常の飲料用として利用してもらったりしている。最近、名古屋市では防災用品として販売されているが、企業庁の場合は、PR用で配布している。また、水の大切さということでは、知多浄水場の近くの佐布里池の近くに「水の生活館」を造り、県内の水道事業の仕組み等を、来場される子ども、父兄等にPRしている。地元の市町村の水道事業者と一体となり、広域調整池、浄水場間を結ぶ連絡管の工事など、いろいろな機会を通じて水の大切さを理解してもらっている。

【渡会克明委員】
 豊橋でも「アクアフェスタ」を開催している。タイアップするなり、もっと県企業庁と市町との協力体制で水の安心を確保していることをアピールした方がいい。企業庁として、県民にこんな協力ができないかということがあれば、この際、お願いしてもらいたい。PRも含めて、企業庁が水の安心・安全を確保しているという決意を伺いたい。

【企業庁長】
 県営水道は、県下54市町村、約500万人の県民に安心して飲んでもらったり、使用してもらったりしている。蛇口をひねれば出るという、安定供給が使命であり、そういう意味で、県民のライフラインを担っていると認識している。まずは地震の話であるが、断水とか給水停止となれば、県民の生活への被害が非常に大きく、大規模地震への取組については、担当課から答弁したとおりであり、水が流れないことには、生活ができない、暮らしていけないこととなる。日々の食べるものにもことかくという、重要なライフラインであるため、常日頃から備えをしていくことが大切であり、そういうことを心掛けて取り組んでいくことにより、いったん施設に被害が及んだ時にも、その復旧であるとか、日々の生活にことかかぬように水を供給できるよう、全体的な被害を最小限にすることが、非常に大きな使命だと思っている。東海地震や東南海地震はいつ起こってもおかしくないと言われているので、施設等の更新は着実に行っていく。
 県民へのお願いだが、地震対策は水だけではなく、防災全般の話になると思う。静岡の地震の場合も、規模に比べて被害が小さかったという報道もあった。東海地震の震源地に近く、かなり大きな被害が想定されるであろうと以前から言われていたため、県の機関、行政機関だけでなく、一般県民も日頃の心構えをしていたことが被害を少なくした理由だと報道等で紹介されていた。防災一般の対策、一定程度の水を確保するということを県民にお願いしたい。
 大規模地震はいつ起こってもおかしくないので、ハード、ソフトの両面に渡りしっかりと取り組んでいきたい。県営水道は、市町村水道を通じて県民の家庭に流れていく。県営水道だけの力ではできないので、市町村水道とも日ごろから緊密に連絡を取っていかなければならない。万が一地震等の被害があった時も、安心・安全な水道水を極力早く、かつ安定的に供給できるよう日々心掛けていきたい。

【渡会克明委員】
 少雨の問題とか地震で水不足の報道があるたびに、県民は、水というものを意識し、水について考えると思う。これだけやっているから大丈夫という、PR、発信をすべきだと思う。市町村水道との連携は非常に大事なことである。まずは幹部の人たちが連携をとり、企業庁職員が仕事のしやすい環境にしてもらいたい。



平成21年11月13日

【渡会克明委員】
 おもてなしと言うことがいろいろなところで考えられているが、中国の、温泉を求める人たちによる北海道の知床や、台湾からの鹿児島への旅行者が増えていると聞く。二つポイントがあると思う。一つは、外に対する体制、愛知県内の県民が本当に喜んで、お客さんを外から迎えるということを一生懸命やろうと思うことと、自分たちもまず楽しんでみようということにならないと厳しい。他人事ではいけない。全県挙げた推進組織を立ち上げ、「おもてなしの心」の機運醸成ということだが、県民に対して、どういったことを行おうとしているのか。
 また、もうひとつはインターネットである。愛知県のホームページに何らかの動画のチャンネルはあるのか。

【観光コンベンション課長】
 観光客に十分楽しんでもらう、満足感を持ってもらうことは大変必要である。ただ、その前提として、迎える側の地元として、素晴らしく、歴史があり、資源があって、私たちはこんな立派なところに住んでいると胸を張っていえる状況をつくることが第一だと考えている。観光客をお迎えする際の対応に出てくるのではないかと考えており、計画の中で「おもてなし愛知」を実現し、ぜひおもてなしの心を持って、観光客を迎えようという機運の醸成をぜひ図っていきたい。なお、動画のチャンネルはまだない。

【渡会克明委員】
 おもてなしの心といっても、そのホスピタリティーはなかなか分からない。具体的に観光客よりも、例えば、県民に対してもメリットがあると実感させることが大事で、このことは、必ず行わなければならない。
 動画は作ったほうがいい。先日、長崎を訪れた際、長崎の県民、行政、施設の関係者といろいろな話をした。坂本竜馬のロケが入る、観光客が来ることを長崎県民が非常に期待している。県民が一体になっておもてなしをしようとしている。産業観光、武将観光では、はっきりしない。豊臣秀吉や織田信長というが、NHKの大河ドラマでも少し違う。動画で、例えば城を流す。そういうものを見て、台湾や中国から観光客が来る。理屈は簡単である。県内の機運を高めて、インターネットを使って情報発信をする。NHKにいろんな情報を提供する。また、観光大使も絡めていろんなイベントを行い、PR効果をねらうといった話はどうか。

【観光コンベンション課長】
 来年度の重点として情報発信を行っていきたい。その中で、ぜひ動画も駆使してやっていきたい。映画、テレビを使ったPRということでは、愛知県観光協会と一緒に観光の推進を行っているが、10月に、上海の東方テレビが本県にロケに訪れた。ドラマを作るのでロケをしたいと申し出があり、愛知県観光協会と一緒に積極的にロケ地での活動に対して便宜供与を行った。これが上海で流されるということで、その効果にも大いに期待をしている。

【渡会克明委員】
 中国は人口の多い国なので、期待したい。一度は訪ねてみたいと思わせる事は重要なことだと痛感した。各県のホームページを見ていると思うが、様々なところでいろいろな工夫をしている。そのあたりは、もう一度洗い出しをしたほうがいいかと思う。



平成21年12月7日

【渡会克明委員】
 零細企業にはこの年末を越せない、更には次のハードルの年度末も越せないといったことは十分考えられる。一刻も早く経済対策を行うべきだと思うが、国の2次補正予算の閣議決定後のスケジュールはどのようになっているのか。

【産業労働政策課主幹(広報・企画調整)】
 明日閣議決定と聞いているが、年明けに通常国会に提出され、開会後、早い時期に議決され、直ちに執行されると理解している。

【渡会克明委員】
 9月に新政権が発足し、前政権の平成21年度補正予算の3兆円が不要不急ということで凍結されたが、その中に、産業労働部が所管する事業はどのようなものがあったのか。

【産業労働政策課主幹(広報・企画調整)】
 独立行政法人科学技術振興機構の産学官共同の拠点整備の補助金がカットされ、知の拠点建設への影響が懸念されたが、20億円程度が認められ、影響は最小限に食い止められたと理解している。

【渡会克明委員】
 前政権が行った経済対策も年度末には終了する。2次補正の経済対策で現場が潤うまでにどれだけの期間が開くのかと思うと不安でならない。これについてはどのように考えているのか。

【産業労働政策課主幹】
 国の基金を始め、公共事業等の執行停止等はマクロ経済的に見ると内需拡大の動きが弱まることもあり、大変大きな影響があると懸念されるため、2次補正予算の動きを注視していきたい。

【渡会克明委員】
 国では1次補正の3兆円を凍結し、これを2次補正に使うという話であるが、凍結した事業の内、101の事業が平成22年度予算の概算要求の中に盛り込まれている。単純に経済政策の先延ばしとしか思えないがどのように考えるのか。

【産業労働政策課主幹(広報・企画調整)】
 執行が一部先延ばしされたと考えられる。

【渡会克明委員】
 若者支援で「ヤング・ジョブ・あいち」が設置され、利用も伸びていると聞く。また、名古屋駅の住友生命名古屋ビルには「あいちマザーズハローワーク」、今年、豊橋のハローワークの中にマザーズコーナーを設けて、青年や子育て支援という意味からの女性の雇用に対する応援を行っているようだが、こうした施設の利用の実績、推移を教えてほしい。

【就業促進課主幹(若年者・地域雇用対策)】
 マザーズハローワークについては、愛知県内には名古屋駅前の住友生命名古屋ビルにある「あいちマザーズハローワーク」と春日井、豊橋、名古屋東のハローワークの中に、マザーズコーナーが設置され、子育て中の再就職希望者に保育サービス関連情報の提供や仕事と子育てが両立しやすい求人情報の提供を行っている。あいちマザーズハローワークの10月の新規求職者数は399人、対前年比で46.2パーセントの増加、就職者数は134人、就職率は33.6パーセントと県内の一般求職者の就職率23.6パーセントをかなり上回っている。また、6月に開設された豊橋マザーズコーナーの10月の新規求職者数は82人、就職者数は25人、就職率は30パーセントと高い数値で2か月連続して80人を超える利用者となっている。
 また、中日ビル12階にある「ヤング・ジョブ・あいち」は、愛知県と国が連携して、若者の支援をワンストップで行っている施設であるが、利用者数は、平成19年度は5万人、平成20年度は5万5,000人、平成21年10月末現在で既に5万3,000人を超えている。これまでのPRや施設の支援の情報が周知されてきたのではないかと考える。今後も、多くの若者に利用してもらえるよう支援を進めていきたい。

【渡会克明委員】
 周知も進んできたと思うが、若者や女性に対する更なる支援策はどのように考えているのか。

【就業促進課主幹(若年者・地域雇用対策)】
 今までも女性に対してセミナーを開催してきた。若者に対しても、就職に対する理解を深めてもらうようなセミナーを交えて周知を図り、就職に対する意識の高揚を図ることができる施設にしていきたい。

【渡会克明委員】
 一般質問において、産業労働センターの17階に労働総合支援フロアを設けワンストップサービスを行うと聞いた。愛知労働局と協力して行うことになると思うが、労働総合支援フロアに行けばすべてができるのか。

【労働福祉課主幹(施設・調整)】
 平成22年4月に産業労働センターの17階に労働に関するワンストップサービス機能を担う「労働総合支援フロア」を開設するため、現在準備を進めている。このフロアには労働関係情報の提供、労働相談、求職者総合支援、職業適性相談の4つのコーナーを設けて労働者、求職者や中小企業に対して、労働、就業に関して幅広い最新情報を提供し、様々な相談に応じていきたい。また、国の機関も入居することから連携していきたい。特に、若者や女性を始めとする求職者への支援ということでは、「求職者総合支援コーナー」で、生活福祉資金の貸付、住宅、公共職業訓練など能力開発に関する情報提供や相談を行うとともに、求人検索機を置いて、職業相談や職業紹介を行う。「労働関係情報コーナー」では、会社合同説明会、就職面接会、就職支援セミナー、職業訓練に関する情報を提供していく。「職業適性検索コーナー」では、どのような職に向いているかということで、職業適性検査を活用した職業相談を実施していく予定である。それぞれのコーナーが連携して、多くの方々に利用してもらえるようにしていきたい。

【渡会克明委員】
 国からワンストップサービスを行おうという働きかけがあると思うが、県側の課題、住み分けの問題点はあるのか。

【労政担当局長】
 鶴舞の県勤労会館内の労働図書資料室では労働関係の情報を提供しており、職業サービスセンターでは職業適性相談を実施している。労働相談は県内の県民事務所や西庁舎1階の労働福祉課分室で行っている。求職者総合支援センターは名鉄東岡崎駅前にある。労働でも情報提供と相談は別の場所で、就業関係はまた別の場所と、労働と就業あるいは労働関係でもそれなりに拠点はあるが、ここへ行けば労働でも就業でも情報、相談を受けられる場所がなかった。労働者総合支援フロアで労働就業関係の情報提供、相談を一元的にできるようにしたい。労働就業関係の様々な情報を提供し、相談を受け、更に具体的な手続の紹介ができるワンストップサービスを目指していきたい。来年4月に向けて具体的に詰めている中で、あるいはオープン後、新たな課題が出てくると思うので、いろいろな意見を聞きながら、ワンストップの機能が高まるようにしていきたい。国が11月30日に行ったワンストップサービスは1日限りのもので、年内にもう1回、それ以降は月に1回ぐらいワンストップサービスの実施を考えているようだが、労働総合支援フロアは常設で情報提供、相談、労働就業関係全般について行うものである。

【渡会克明委員】
 年末年始の待ったなしの状況の中で周知徹底も含めて、いち早い取組を要望する。



平成21年12月8日

《一般質問》
【渡会克明委員】
 先般、豊橋市長と懇談した時に、10月8日に上陸した台風18号が話題となった。経路の東側になった東三河でかなり被害があり、三河港のコンテナが流出したという報道もあった。三河港は高潮被害を経験したことがなかった。神野西ふ頭は建設部が管理しているが、東三河地域は田原、御津、神野等、企業庁が造成して分譲している土地が多くある。売主として、分譲地の被害状況をどのように把握しているのか。また、その内容はどうであったのか。

【企業誘致課企業誘致担当課長(企業誘致)】
 10月8日当日、風雨が弱くなった時点で、三河港工事事務所の職員が現地に行き、台風の被害状況を確認した。また、地元の企業誘致担当者にも電話をして、当日の午後には被害状況を確認した。翌日10月9日には、被害が確認できた企業のうち、建物内へ浸水した企業を中心に6社を見舞い、被害の詳細確認を行い、その後も引き続き電話等で情報収集を行った。浸水被害を受けた企業の中には、一時的に操業を停止した企業もあった。道路の冠水や緑地の倒木等の被害も発生している。主な被害状況は、建物内の浸水が5件、強風によるガラスの破損が2件、フェンスの転倒が5件、その他に植栽木の倒木もあった。

【渡会克明委員】
 企業もこういった高潮の被害は想定していなかったと思う。造成地の高さは、どのような基準に基づき造成するのか。高潮の状況と併せて説明してほしい。

【工務課主幹(臨海・臨空)】
 造成の地盤高は、大潮の干潮時の海面とほぼ同じ工事基準面をゼロとし、そこからプラス4メートルの高さとしている。これは平均満潮位に、異常気象時の海面上昇を加えた高さであり、社団法人日本港湾協会発行の「港湾の施設の技術上の基準・同解説」の基準に沿って決めている。今回の台風18号では、三つの悪条件が重なった。一つ目は、台風の接近と満潮時がほぼ重なったこと。二つ目は、956.4ヘクトパスカルという伊良湖観測所観測史上最低の気圧により、57センチメートルの海面上昇が見込まれたこと。三つ目は、神野西ふ頭の三河港船舶情報センターで観測された最大瞬間風速毎秒48メートルという強い風により吹き寄せ現象が起きたことである。これらにより、神野東ふ頭の県の検潮所では、プラス4.57メートルの潮位が観測された。三河港における過去の最高潮位は、昭和34年の伊勢湾台風時で、プラス4.72メートルである。伊勢湾台風以降50年が経過したが、企業庁の造成地が高潮により浸水したことは、今回が初めてである。

【渡会克明委員】
 市内でも瓦や看板が飛ぶ被害があった。伊勢湾台風時で最高潮位が4.72メートルということだが、4メートル高という造成高を高くすれば、その分の費用が掛かる。今回は、たまたま三つの要因が重なったため、潮位が上がったということだが、今後そういったことがないとも言えない。造成高について、今後どのように考えるのか。

【企画調整課主幹(企画調整)】
 企業庁が分譲した土地で、企業に安心して操業してもらうということは、大変重要なことである。伊勢湾台風以降、最大規模の高潮とはいえ、被害が発生したことは大変重く受け止めていて、企業庁としても、今後何らかの対策が必要であると認識している。その一方で、臨海部の工業用地の特性として、高潮による浸水の可能性を無くすことは大変難しいことも事実である。こうした中、11月17日には、国、港湾管理者である県、関係市による「三河港埋立地高潮災害検討会」が設置された。企業庁もこの検討会に参加し、高潮被害の状況とその確認や、各地区のふ頭用地や工業用地などの土地利用状況の情報を共有したところである。今後、検討会では、「埋立地における高潮対策」が検討されることになっている。具体的な対策については、現在実施している「台風18号に際しての事業所アンケート調査」の結果を踏まえ、今年度中に開催が予定されている次回検討会で、ハード面とソフト面の対応がまとめられることになっている。企業庁としては、その結果を踏まえ、可能な範囲で対策を実施し、安心して操業できる安全な工業用地とするよう努力していく。
 なお、今年度末に引渡し予定の御津1区の西側外周では、現在、緑地を整備中であるが、この緑地の地盤高は工業用地の宅盤より高くなっており、高潮被害に対する有効な形状となっている。しかしながら、部分的に緑地を横断する形で管理用道路があり、その部分が低くなっていたため、今回の被害を踏まえて設計変更を行い、当該部分も緑地としてかさ上げし、安全性を高めることとした。

【渡会克明委員】
 そういった努力をお願いしたい。検討会の話があったが、建設部、国、市と協議することによって、より具体的な話になっていくと思う。本会議でも取り上げられたが、企業が撤退したという話があった。市長が言うには、県と同じで、情報不足だったということであった。合理化のために移転することを、企業が公にすることはないが、何らかの形で事前に分かっていれば、状況が変わっていたかもしれないと思った。三河港に限ったことではないが、企業に安心して進出してもらうために、どのような説明をしているのか。

【企業誘致課企業誘致担当課長(企業誘致)】
 東三河臨海部は埋立地なので、購入者には、潮位図や風向図等で用地の地盤高について説明している。具体的には、土地の地盤高については、工事基準面プラス4メートルであるが、伊勢湾台風規模の台風が来た場合は浸水する恐れがあることを説明している。これを受けて、立地企業の中には、工場建設等の際に、地盤を0.7メートルから1メートル程度かさ上げしている企業もある。

【渡会克明委員】
 伊勢湾台風、台風18号を経験したわけだが、地盤高4メートルに対して、何か法的なしばりがあるのか。企業庁として、もう少しかさ上げすることができるのか。

【工務課長】
 造成高は、国交省が監修し、社団法人日本港湾協会が作成している「港湾の施設の技術上の基準・同解説」に沿って決めている。各港それぞれ異なっているが、台風期の平均満潮位に異常気象時の偏差、潮の上がる高さを加えたものである。

【渡会克明委員】
 県としては、社団法人日本港湾協会を通じて、4メートルを再検討するよう国に対して声を上げていくのか、従来から4メートルなので、それ以上の対策は企業に任せていくのか。

【企業立地部長】
 検討会で国、港湾管理者、地元市町とハード面についても検討していく。安全のために、もっとかさ上げすれば良いという話もあるが、採算性も考慮しなければならない。

【渡会克明委員】
 4メートルという基準は、全国一律か。

【工務課長】
 潮の高さや偏差は港によって異なるので、基準もそれぞれ違ってくる。名古屋港は少し高い。通常の潮位が高く、偏差も高いので、4.5メートルから4.6メートルまでの高さで造られている。

【渡会克明委員】
 検討会できちんと議論してもらいたい。企業庁だけでどうこうということにはならないと思うが、安全を確保してもらいたい。企業に誘致説明をする時に、三河港が安全で使いやすい場所だということをアピールしたい。被害があったことを理由に、立地を敬遠する企業が出たとしたら大きなマイナスである。企業に安心して立地してもらうためにどういう対策が考えられるのか。

【企業誘致課企業誘致担当課長(企業誘致)】
 検討会の検討結果が明らかになった時点で、企業訪問等、企業と接する機会をとらえて各企業へ説明していきたい。また、立地企業が安心して事業活動が行えるよう、例えば、非常時の連絡網の整備、災害対策マニュアルの作成など、危機管理に対する方策について、地元市とも協議していきたいと考えている。

【渡会克明委員】
 企業庁は、企業の声を直接聞いている。企業庁として、ここはきちんとしていきたい、守るべきで譲れないというスタンスはあるのか。

【企業立地部長】
 私どもは、事前準備と事後処理に分けて考えている。事後処理については、今回は、道路が冠水してゴミや土がたまり、その処理に時間が掛かったため、結果的に企業に迷惑を掛けた。今後は迅速に行い、操業に支障がないようにする。事前準備については、特にソフトの面で、台風が来るとどういう状況になるかという情報を企業に伝達する連絡網を整備し、被害を最小限に食い止められるようにしていきたい。

【渡会克明委員】
 造成された分譲地だけではなく、後背地も重要である。アクセス道路等が寸断されていれば、企業庁は売るだけだという話ですまなくなる。建設部や国にしっかりと訴えるべきではないか。

【企業庁長】
 企業庁は、三河港地域で200件以上分譲している。その中で、数は多くないが、浸水被害があったことは重大なことと受け止めている。こういうことが起きないように、現在検討会を行っている。被害のあった企業に足を運んで、直接声も聞いている。こういったことは市町や港湾課も行っているが、我々の立場で受け止めたことを、間違いなく伝えて、しっかりと議論していきたい。それぞれの役割分担の中で、必要な対応をし、関係方面にも働きかけていきたい。



平成22年3月15日

【渡会克明委員】
 新規高卒者の本県の現在の就職内定状況はどうなっているのか。また、県内で私学も含めた高校数はいくつか。そして、最終的に、就職できない高校生がどれぐらい出るのか。分かる範囲で教えてほしい。

【就業促進課主幹(若年者・地域雇用対策)】
 今春卒業予定者の就職の内定率は1月末現在で、91.2パーセントと昨年同期比4.7ポイント低下しており、850人が就職未内定となっている。

【渡会克明委員】
 就職もできない、進学もできない人がいる。高校数が200校程度とすれば、1校については2人か3人だが、これは大きな社会問題だと思う。基本的には、卒業後は学校とは縁がなくなり、学校と企業の連携の外に追いやられてしまい、就職情報や対策情報が入ってこなくなる。これに対して、どのような対策を実施するのか。

【就業促進課長】
 昨年の8月以降、これまではハローワークと各学校の間で行っていた就職支援を、産業労働部と県立高校を所管する教育委員会、私学を所管する私学振興室、愛知労働局が連携して、互いの情報を共有し対策を講じてきた。求人の掘り起こし、企業への求人確保の要請を行い、広域ではなく小規模の就職面接会を各地で実施するなどしてきた。それでも1,000人を下る生徒が未内定の状況になっており、高校の就職指導担当者を対象に11月と今年の2月に研修会を開催し、未就職の生徒に対する支援策を情報提供した。厳しい状況であるが、きっちり結果を出せるよう、今議会で教育長が答弁しているように、卒業後の生徒に対してもしっかりフォローするということで、教育委員会を通じて4月から5月にも情報を整理して届けることを考えている。また、3月末に経済4団体へ、教育委員会、愛知労働局とともに、重ねての雇用確保要請を予定している。

【渡会克明委員】
 訪問して、しっかりお願いしてほしい。
 未就職卒業者向けに、民間の専門学校等を活用した350人分の訓練コースを設定し、今日15日から募集を開始しており、関心を持ち、期待もしているが、非常に不安な部分もある。受講生の確保の見込みはどうなっているのか。

【産業人材育成室主幹(公共訓練)】
 4月開校の企業実習を組み込んだ6か月の訓練として設定し、準備を進めてきた。訓練の情報は、まず高校の就職指導担当者に伝えることが大事で、2月3日に開催された県教育委員会主催の研修会で、訓練の実施を周知するとともに、2月下旬には訓練コース準備状況にかかわる情報を教育委員会やハローワークを通じて提供し、本日からハローワークの窓口で募集を開始している。資料情報は既に各高校へ送っており、先週には、愛知労働局、教育委員会との連絡会議で、改めて教育委員会にお願いをし、個別に働きかけるという返事をもらっている。いずれにしても、就職を希望する高校生にとっては、正社員としての就職先が決まることが最も好ましいが、今回用意した職業訓練が新たな選択肢として利用されるよう、引き続き高校の先生やハローワークを通じた働きかけを行っていきたい。

【渡会克明委員】
 進路指導の先生は、本当に一生懸命やってくれている、なかなか大変だと思うが丁寧にやってほしい。この訓練は、半年間で資格を取得し、いわゆるスキルアップを行うもので、普通の卒業生よりも非常に就職に有利なことになる。大学や専門学校へ行くわけではないと、保護者や生徒が委縮したりすることがないようにしてほしい。訓練を受けたことで技能を持っているということをアピールできるよう要望する。また、大学生の就職状況はどうなっているのか。

【就業促進課長】
 愛知県の就職内定率は1月末で71.2パーセントである。11月末では、全国では73.1パーセント、中部地区は69.7パーセント、愛知県は12月末で64.6パーセントであった。全国では、12月対前年比7.4ポイント減、1月には6.3ポイント減で、1.1ポイントの改善、中部地区では12月対前年比15.4ポイント減、1月には10.7ポイント減で、4.7ポイントの改善、愛知県は、12月末対前年比13.0ポイント減で、今回11.2ポイント減で、1.8ポイントの改善をした。わずかな数字であるが、全国よりも中部地区、愛知県ともに改善されている。

【渡会克明委員】
 昨年12月、全国24か所のジョブ・カフェの総点検を行った。愛知県のジョブ・カフェは平成16年に名古屋市中区の中日ビルにヤング・ジョブ・あいちが若者の自立・挑戦プランに基づく、就職に関するワンストップサービス機関として設置されており、年々、利用者も増えており、期待もしている。大学を卒業すると大学のキャリアセンターへは行きづらく、情報の入手が困難になる。大学内にジョブ・カフェのブランチや出張所を設置し、在学中から就職情報の提供ができたらよいと思うが、大学との連携について聞く。

【就業促進課長】
 大学内へのジョブ・カフェのブランチや出張所の設置については、まず、できることからやろうということで、これまでの企業説明会は、企業に集まってもらった場所に学生が参加する方法で実施したが、逆に中小企業の方に大学に行ってもらい、学内での企業説明会などを計画している。大学生の就職支援は、キャリアセンター、就職課などの組織があるので、大学自身が行うことが基本と考えるが、厳しい就職状況であることから、これまで、県と大学関係者とはあまりつきあいがなかったので、こうした大学等巡回企業説明会を大学関係者と相談して実施し、そうした中で大学の意見を聞きながら考えてみたい。

【渡会克明委員】
 県としてできる支援をきちんとして、県内には大きな大学もあり実施したいと手を挙げるところもあるかと思うので、ぜひともお願いをしたい。また、キャリア教育の講義に積極的に参加する等、学校の段階でジョブ・カフェと学生が接触し、就業意識を身につけさせることが非常に大事だと思うがどう考えているのか。

【就業促進課長】
 就職する段階になって、本人の希望や企業側の考えに、いわゆるミスマッチ等が出てくることもあるので、早い段階から職業観だとか職業についての知識を得るためセミナー等を実施する必要がある。雇用対策で、産業労働計画等の策定の段階で、中小企業の雇用確保といった視点にも目を向けたいと思っている。

【渡会克明委員】
 高等技術専門校が行っている職業訓練は、専門校の施設内での訓練、雇用セーフティネット対策として民間委託した訓練、あるいは障害者を対象とした訓練など様々な形態で実施されている。施設も古く、様々な不便の中で訓練をしていると思うが、こうした訓練の専門施設というのは他には例がないと思う。非常に貴重なもので、企業に研修に行くことはあっても、こうした指導はなかなかできないのではないか。指導員の方も大変頑張っており、本県の誇れるものだと思う。一方で、行革の観点で、ハード面、ソフト面からの見直しは必要だと思う。そうなるとすぐに統廃合となるが、よく考えてほしい。モノづくりの技能の訓練、委託訓練、障害者訓練どれも大切で、実施は大変だと思う。一緒に並列的に議論するのはどうかと思う。現場の声を聞いて、いいものは採り入れ、どのような改善が必要か見極めなければいけない。
 民間との役割分担も含めて、今後の公共職業訓練の役割と方向性についてどのように整理しているのか。

【産業人材育成室主幹(公共訓練)】
 高等技術専門校の今後のあり方については、昨年、職業能力開発審議会の答申を得たところである。施設内の訓練について愛知のモノづくりを支える人材育成の観点から、今後、民間では実施困難なモノづくり関連分野の訓練に特化することとしている。具体的には、現在の分野別の訓練から、基本技能を学んだ後に、進みたい分野を選択する方式のモノづくり総合科として再編し、新たな訓練システムの構築を考えている。また、中小企業のニーズに応じたオーダーメイド型の在職者訓練を充実し、人材育成を支援する機能を充実したい。大きくこの2点を中心に組み立てていきたい。本年度は、モノづくり総合科の枠組みづくりを行っており、来年度には具体的な実施体制づくりとして、実施カリキュラムの編成、指導員や設備器具の再配置、あるいは必要となる予算措置を行い、平成23年度にまず1校、岡崎校を想定しているが、先行実施し、平成24年度以降に順次拡大していきたいと考えている。モノづくり総合科を中心とした訓練体系への移行に向けて、来年度からOAビジネス科の廃止や訓練科目の統廃合、既存訓練科目の改廃を行っていくこととしている。また、施設外では、公共職業訓練として雇用情勢の変化に応じた迅速な対応や求職者への多様な訓練機会の提供といった役割も担っているので、民間の教育訓練資源を有効に活用し、現在の雇用のセーフティネット対策訓練として、民間の専門学校等への委託訓練事業を大幅に拡大して実施している。障害者に対する職業訓練については、福祉から雇用への移行を促進し、障害者の希望に応じた就職を実現するため、国立県営の愛知障害者職業能力開発校を拠点として、施設内での訓練を行うとともに、障害の態様に応じた訓練機会を提供するため、社会福祉法人やNPO法人などに委託して訓練を実施している。

【渡会克明委員】
 この見直しに関しては、透明性を高めて、きちんと報告をしてほしい。学校や利用者の方が納得でき、また、いろいろな意見があると思うが、それに耐えられるような整理をお願いしたい。




平成22年3月16日

【渡会克明委員】
 三河港で起こったコンテナ流出について、企業庁長が議案質疑で、緩衝緑地から波が入ってきたことが原因で、その進入路をふさいだという答弁をした。2月16日の検討会議ではどのような検討がされたのか。

【企画調整課主幹(企画調整)】
 三河港埋立地高潮災害検討会の第2回目の検討会で、埋立地の高潮対策が公表されている。高潮被害を最小限に抑えるために、国、県、関係市が協力して高潮対策に取り組むということで、ハード面、ソフト面にわたって、今すぐ行動に移すものと中長期的に行うものに分類している。企業庁の役割としては、緩衝緑地から浸水があったということで、その部分のかさ上げをまず行うことであり、御津1区では既に一部工事を完了している。緑地整備があるところは、緑地を1メートルほどかさ上げし、防潮機能を持たせることとしている。港湾管理者のふ頭の部分もあるので、それぞれの立場でできるところから行っていくこととされた。

【渡会克明委員】
 伊勢湾台風を参考にして、埋立の基準を4メートルにしたということだが、東三河は伊勢湾台風以上の被害があり、初めての高潮被害であった。4メートルという基準は変わらないのか。津波警報もあったが、伊勢湾、三河湾も大きな被害はありうるということである。県民や企業にこれならば大丈夫であると思ってもらうために、企業庁はどういう対策を考えているのか。

【企画調整課主幹(企画調整)】
 ハード面では緑地部分のかさ上げを行っている。ソフト面では、ハザードマップを関係者で作成していく。また、企業への事前周知を徹底していく。全面的にかさ上げすることは難しいので、できるところから行っていく。

【渡会克明委員】
 伊勢湾台風を基準とした4メートルでも浸水する。今回は、たまたま三河湾は高潮でつかったが、緩衝緑地を塞いだから大丈夫だと企業に説明して販売していくのか。

【企画調整課長】
 想定外の高潮であったということで、検討会で対策が考えられたが、基本的な高さの4メートルという基準は維持し、防潮機能を持たせるため、緩衝緑地をかさ上げしていくこととなった。今できることからやっていくということである。

【渡会克明委員】
 会議内容が分かる資料を提供してもらいたい。今後どうしていくのかを考えるのが検討会ではないのか。今やれることをやるのは当たり前である。すでに売ったものについては、企業努力でお願いするとか、今後売るものについてはどうするとか、そういうことが大事である。港湾課と連携してやろうとしていることが見えてこない。見えてこないということは安全が担保されない。  絶対高潮は来ないと言えるのか。今回の津波についても、気象庁が発表した3メートルの波は来なかったが、来るかもしれなかった。手を打っていても、被害が発生するかもしれないが、可能性があれば対策を講じるべきではないか。

【企業立地部長】
 埋立護岸の際の緑地帯の間から高潮が入り、奥の土地に浸水したので、すぐにそこをかさ上げすることにした。将来的には多少のかさ上げは必要だと思うので、長期的に考えていきたい。 ソフト面については、ハザードマップを作成し、立地企業に配布する。また、今回のような津波情報が出たときは、すぐに立地企業に危険を周知する。販売に際しては、企業に今回の台風の状況を説明し、工場を建設する時は、前もってかさ上げしてもらうようお願いしている。かさ上げできない場合は、工場の周辺に簡単な堤を設けてもらい、浸水対策をとってもらうようにお願いしている。

【渡会克明委員】
 どうやって安心・安全を皆さんに訴えるのか。港湾課も含めた対策をきちんとやるべきではないか。

【企業庁長】
 高潮被害対策については、昨年、国、県、関係市で検討会を立ち上げ、当面やるべきこと、長期的にやるべきこと、ハード対策、ソフト対策を総合的に整理し、対応しようという観点で議論し、まとめたものが2月16日に公表された。企業庁としては、緑地部分のすき間をふさぎ、外周護岸についても、管理用のすき間から水が入ってこないようにすることとした。工事中で対応可能なものは、既に実施し、これから計画するところもそういう形で緑地を造っていく。しかし、ハード面での完全な対策というものはないので、避難した方が良い場合もあると思う。コンテナについても、念のために移動するということもあるが、移動する場所の確保も必要であるし、移動する場所は浸水しないような構造にしなければならない。そういったことも議論して、まとめたものである。企業庁がどうやって企業に告知していくかということだが、これまでも地盤高の説明は十分にしていて、承知の上で契約してもらっている。既に立地している企業には、自社で盛土をしている企業もかなりある。今後は、今回の高潮被害を踏まえて、検討会で取りまとめた対応策をハード、ソフトの両面にわたって説明し、これまで以上に丁寧に説明していきたい。長期的な対応については、これから検討すべきことも出てくると思うし、企業庁だけでなく、建設部、地元の市町と一体となってやらなければならないので、これまで以上に連携を密にして対応していきたい。

【渡会克明委員】
 地盤を高くしても、絶対に浸水しないということはない。営業活動に当たっては、従来以上に丁寧に説明してもらうよう要望する。







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