平成22年6月29日
【渡会克明委員】
選択と集中について、二つ質問する。 一つは維持管理について、地域や事業の緊急性、継続、新規等の基準についてである。 高度経済成長時代に整備したものが高齢化し足腰が傷んでいる。そのため平成21年11月定例議会において専決第59号で承認されたような大変残念な事故が起こってしまう。道路行政として、県民の方が道路かしによって、けがをしたり、死に至ることはあってはならないことだ。 私の地域でも道路に穴ぼこがあり、埋めてもらったりしているが、今回の敗訴を受けて、今後の維持管理をどうするのか、予算も新規、公共、単県等いろいろあるが、道路行政の予算を決める際にどう考えていくのか。何を、どう選択するのかが非常に難しい。だから、このような方針を作って発表したのだと思う。 悲しい事故が起こらないように、委託による道路パトロールの体制ができているし、穴ぼこの修理の体制等様々あろうかと思うが、維持・管理・補修をどういう基準で行っているのか。 県の少ない予算であっても、人の命を守るコンクリートの整備は必要である。 では、どういう判断をするのか。パトロールをして穴ぼこを埋めることは県下すべてでやっている。でも埋めただけではまた穴があくから、きちっとした手を下さなければならない。あらゆる所で穴ができた場合、選択と集中というが、どこの県道を処置するのかについて、判断をどうしているのか教えてほしい。
【道路維持課主幹(維持防災)】
まず、事故の概要についてであるが、平成18年5月8日、県道豊田知立線を走行中の原動機付自転車が転倒し、運転者が死亡した事故で、当該道路の穴ぼこ及び浮き砂利といった路面異常が原動機付自転車の転倒原因であるとし、道路が通常有すべき安全性を欠いていたとして、道路管理者である愛知県が訴えられたものである。 判決として、道路舗装の修繕方法に関して、道路管理者の管理義務が尽くされたとは評価しがたいと判断された。 事故後の対応については、当時は、道路パトロールは平日のみ行われており、今回の事故が道路パトロールが行われないゴールデンウイーク明けに生じたことから、平成20年度より土曜・日曜・祝日の道路パトロールを実施している。 また同じく平成20年度より、道路パトロールが埋めた穴ぼこを、加熱合材で埋める舗装修繕機動班を新設した。これは常温合材をより耐久性のある加熱合材で置き換えるものである。 判決を受けての対応についてであるが、休日の道路パトロール班数は各建設事務所1班で、平日の二・三班と比べ少ないことや、これまで道路パトロールは原則として全路線につき週1回以上行ってきたが、このままでよいのかという問題点を検討するため、部内において維持管理研究会を立ち上げ、道路パトロールの望ましい巡回方法等について検討し、より良い道路パトロールができるよう努力していきたい。 また、舗装修繕機動班についても、維持管理研究会において、平成20年度からの活動実績を分析し、より良い舗装修繕機動班のあり方について検討し、一層充実した体制で実施していきたい。 修繕については、舗装修繕の基準を設けており、ひび割れ、わだち掘れ等の路面状況を評価するための維持管理指数(MCI)で判断している。早急に修繕が必要とされるMCI3以下の箇所を中心に計画的な修繕を実施している。 そのほか、道路パトロールからの情報や道路利用者及び地元住民からの通報や要望に対しては、路面状況や交通状況等を確認し、緊急かつ小規模な修繕が必要な場合は補修すべき範囲・工法を検討した後対応している。
【渡会克明委員】
今回の裁判の敗訴を受けて、仕事の見直しにつなげパトロールを含めてもう一度きちっとやってくれると期待している。建設事務所は、雨や台風の翌朝は電話等の様々な対応をしている。パトロール隊を増強するという話が出たが、現場で不満の声が出ないようにしてほしい。まずは危険を排除することからスタートだと思うので、これを要望したい。 次に、地域の基幹道路について伺う。県当局も重点道路としている道路に東三河環状線がある。これは、いわゆる環状になって初めて意味のある道路であり、国道23号及び国道1号、また東名、新東名にリンクをするような物流の大事な軸でもあり、地域を見ると本当に生活道路でもあるような道路である。私は地元なのでよく話が聞こえてくる。例えばこの道路沿いに、昔の国立病院で、脳こうそく、心筋こうそく等の血管系の治療にたけた医療センターがある。緊急自動車が何分以内に病院に到着できるかが勝負となる中で、環状線は非常に大きな役割を果たすことになる。特にここがつながれば、このような問題も解決でき、私だけでなく地元の方々も非常に楽しみにしている。県としても本路線はどんどん工区を組み進めてきており、県内でも基幹道路で都市部においてトンネルを掘るのはここだけではないかと思っている。昨年度の予算が5億4,100万円であったが、決算では5億5,800万円ということで非常に頑張ったと思っている。今年度は概算要求が6億8,500万円で、その結果、当初予算としてはその半分の3億4,800万円ということになり、平成21年度の決算と比べ約4割近くダウンしている。尾張部、西三河部などどの地域にも早期整備しなければならない道路があるかと思うが、4割カットされたというのは、どのような判断をされているのか。選択と集中の中で、あちらは予算がついているが、こちらはダメ、はないのではないか。やれるときにやれる工事をしなければならない。私の記憶では十数年前からこの工事のうわさはあったが、止まったままになっていた。地域の方々を説得する中で、生活道路をダンプカーが1号線から東名に抜けており、非常に危険なため早く整備してトンネルを通してほしいという機運になりつつある。ところが、ダムもそうであったように、皆さんの何とかしなくては、協力するぞというときに、金がないからといって工期を引き延ばすのがいいのか。どのような状況であっても道路の整備は必要である。予算が4割削減となっていることについて、私が納得できる建設部としての理由を答弁してほしい。 4割削減により様々な影響が出てくる。私も現場をすべて見てきているのでよく事情が分かるが、昨年度の今ごろに建設部が東三河の首長を集め説明を行った際、本路線の石巻・牛川工区は、平成22年度にできれば着工して、25年度には大体40億円くらいかけて完成したいと、こんなに具体的な年数がでたのは初めてであったと思われるので期待した。これはいよいよやるんだと、地元の住民も喜ぶと思ったので、お待たせした、県も一生懸命力を入れてくれている、と宣伝したら、皆さん非常に喜んでいた。しかし、政権が変わったせいなのか、県の方針なのかは定かではないが、急きょ前年度に比べ4割カットとなった。やれることは決まってくるので、現在、用地買収を県の職員が一生懸命やってくれている。この4割削減によりトンネル入口の着工が22年度にはできなくなってしまった。私がうそを言ったわけでも、県が悪いわけでもないが、住民に対してはどのように動揺を与えずに説明するのか。7月1日に豊橋市において地域懇談会が開催され、本件が重要議題として挙がっているため、東三河建設事務所の所長から説明を受けた市長が説明をする予定であり、私も出席する。だれの肩を持つわけでもないが、ただ大事なことは、住民に対し金がないから事業が進まない、県はあてにならないとの印象を与え悲観させ、不信感を与えるようなことは避けたいということである。だから、県から具体的な説明をすることが、非常に大切である。国道23号と併せ事業を進めると言っていたのがこんな状況になっている。インフラの整備は必要最低限のものであり、住民が期待して待っている事業である。予算も含め現況と考え方を伺う。
【道路建設課長】
まず、道路予算の確保の状況となぜ4割カットなのかについてお答えする。今年度の道路建設に係る公共予算は、国からの内示が昨年度に比べ3割減となっており、大変厳しい状況である。その中で、債務や協定に基づく義務的事業、プロジェクト関連事業、また事業効果の早期発現の観点から今年度の完成予定が見込める箇所に優先的に配分した結果、以前から計画的に進めている事業であっても充分な予算配分ができなかった。この東三河環状線については、豊川から豊橋にかけての6工区で事業を進めているが、豊川の白鳥工区と三上工区が今年度事業完了予定となっているため必要な事業費をつけ、他の箇所については若干少ない額となっている。本路線全体では昨年度と比べ7割弱ほどの予算の箇所付け状況となっている。また、牛川工区の今後の進め方であるが、この地域を代表する重要な路線であるため、少しでも事業進ちょくを図るため、限られた予算でできるだけ事業効果を上げられる箇所を厳選していきたいと考えている。また、牛川工区は、公共としては石巻工区と併せて工区を設定しており、牛川工区のトンネルを掘る際は、その掘削土を石巻工区で使用するということも考えており、両工区の用地買収率は9割まで上がっている。 牛川工区では今年度トンネル工事が予定されているが、着工に向けて、もう一度設計の見直しを行い、また必要な用地が若干残っているので、その取得に努めたいと考えている。 また、本工区についている予算については、今年度はトンネルを掘削する際の発生土を石巻工区本体の盛土に使用する受入体制を整えるための工事を優先していきたい。牛川トンネルは、本年度作成する社会資本総合整備計画にも位置付け、今後着実に事業促進を図っていく。
【渡会克明委員】
様々な地権者がいるが、協力を得ながら用地買収を一生懸命やってきた。取得してない用地については、今後予算がついてこれば済む話である。先ほども話したが、トンネル入口の信号機設置については、地域の環境や安全など様々な問題があり、地域の自治会からの要望であり、事務所の担当に何回も協議をしてもらい規制については了解を得ているが、管制はこれからの課題となっており、今の段階では厳しい状況である。おぜん立ては、かなり整ってきたと思う。白鳥工区、三蔵子工区をやってから始めるので、しばらく待ってほしいということであれば、そう言ってもらった方がわかりやすい話である。「あちらをこのような事情でやり、その後に石巻の低い所に土を入れてから牛川工区をやるのでもう少し待ってほしい。」そのような説明で、市長も住民も納得するのである。確かに予算については、言い出したらきりがない。政権が変わったらどうなるのかということは、地域にとっては関係ない。安全確保をしていることを見せることが行政として大切であり、分かりやすいことを言うのが一番である。上部工を作っている以上、白鳥工区だって嫌でも作らざるを得ない。ここの目的はこうだというような話をできるだけ分かりやすくしてほしい。
平成22年10月6日
【渡会克明委員】
建設部方針に沿って3点伺う。1点目は川嶋委員の質問に関連するが、社会資本の高齢化は、下水道施設や排水機場や水門など、道路橋に限らず、それ以外にもいっぱいあると思う。衣服などとは違い、なかなか管理しづらいと思うし、道路によっても違うし、道路橋、水門などでも違い、建設年度によっても、その材質によっても様々であろうと思う。当然、どういう工事をして新設されたかは分かっており、お金がない中で、長寿命化していくことが必要である。その計画の中で、アイテムごとのストックについての棚卸し、いわゆる社会資産の現状把握ができているのかどうか、まず伺いたい。
【道路維持課長】
先ほどの橋りょうで申し上げれば、2,700橋の点検が終わっている。その点検のやり方としては、橋りょうは基礎やけたなどいろいろな部材から成り立っている。そうした部材ごとに点検して、その部材ごとに耐用年数がどの程度かを判断するとともに、その部材で構成される橋りょうが全体としてどうかといった具合に、漠とした試算ではなく、構成する部材ごとに、分解をして現状把握を行い、その劣化の予測をして、今後の計画を立てるという考え方で進めている。
【渡会克明委員】
国の追加経済対策が9,200億円で、愛知県が50億円、道路・河川が36億円という話があったが、非常に厳しいと思う。耐震や補修修繕にも回っていくと思われるが、前に事故があって裁判で県が負けたが、もっと点検やパトロールを増やすとか、専門の部署を作るとか、それぞれのその部材ごとのストック管理をしっかりして、計画を組んで、パトロールを強化し、机上でも数字をはっきりさせるという対策を行わざるを得ないと思うがどうか。
【道路維持課長】
パトロールについては、裁判の判決等を踏まえ、現在、その充実を検討している。具体的には、穴ぼこを埋める作業をする班があるが、その班とパトロールをうまく組み合わせることができるか、研究をしているところである。また、舗装以外の施設についても、例えば道路では、標識や照明灯、横断歩道橋など、多種多様な施設があるが、施設ごとにどこにどれだけいつ作ったものがあって、いつ更新をしたのかを、一つひとつ把握できるような体制を整えつつある。委員指摘のように、個々の施設について、きめ細かく管理し、現状把握を行い、修繕をしていくよう準備を進めている。
【渡会克明委員】
総点検をして、台帳にきちんと明記することは、非常に大事だと思われるので、しっかり取り組んでほしい。そしてまた、パトロールの話があったが、そういう点検をすることは今後大事になってくると思うし、責任も重大になってくると思われるので、くれぐれもよろしくお願いしたい。 2点目は、建設部の方針の中にある官民協働の推進についてである。道路の清掃美化活動である愛・道路パートナーシップ事業や河川の草刈りを行う愛知コミュニティーリバー推進事業などが書かれているが、こうした事業がなされているところ、又は団体がどのくらいあるか伺いたい。
【道路維持課長】
愛・道路パートナーシップ事業は平成15年度から実施しているが、16団体、参加者547名でスタートした。21年度末においては、97団体3,629名によって、道路の清掃美化活動が実施されている。
【渡会克明委員】
いろいろな記念日や地域行事に合わせて各種団体や学校など様々な方にお出ましいただき、清掃などが随分行われている。地域の人々や団体が本当のボランティアでお助けいただければありがたいと思うが、よくよく見ると、地元の建設事務所が予算を使っておぜん立てをして、清掃の準備に当たったり植樹の準備をするなど、相当のお金が要る。市民の方に手伝ってもらおうとするが、その安全対策や様々な形で、逆にだいぶ予算を使っている。私も経験があるが、例えばごみを拾うと一人につき缶コーヒー1本くらいのお金がもらえるとか、そういうこともあった。この事業には97団体3,629人と非常に多く参加しているけれども、イベント的な意味合いで参加しているのか、そうではなくて、本当に各地域で各道路、各河川を自分たちが住んでいる所という意味で清掃活動をしているのか、そのあたりの現状はどうか。
【道路維持課長】
愛・道路パートナーシップ事業は、15年度に始めたころから、アダプトプログラムという考えのもとに、事業が成り立っている。このアダプトプログラムとは、日本語訳すると里親制度となるそうだが、ボランティア団体がその役割を自覚し、自発的に誇りや責任感を持って、それをモチベーションとして活動するという趣旨を話して事業に参加していただいている。イベントとかではなく、自分の地区あるいは地域をボランティアとしてきれいにしていきたいという、純粋なボランティア精神のもとに、活動いただいている。アンケート調査等も行い、意見を伺っているが、そういう意識が非常に強く、心強く思っているところである。
【渡会克明委員】
答弁のとおりであれば、それはありがたいことである。本来のアダプトプログラムはアメリカから始まったと聞いている。自分の家の前や道路のごみや草を取ってくれれば、こんないいことはない。それが本来の姿だと思う。ところが、例えばNPO法人が川や道路でかかわるところがあり、本当にポリシーを持ってきちんとやってもらえれば良いが、そうではないようなことがもしあったとしたら、疑問に思う。本来の趣旨で、97団体みんながボランティアでごみを拾っているのかを聞きたかった。河川についてはどうか。
【河川課長】
愛知コミュニティーリバー推進事業の内容についてお答えする。この事業は、平成17年度から県と地元市町が住民と一体となって地域に密着したきめ細かな草刈りを実施することで、河川利用の促進を図ることを目的としており、県が管理する河川の草刈り作業の一部を地域住民などの団体へ委託している。住民団体の方にとっては、地元が希望する時期に草刈りができるという利点がある。また、市町には、申請の受付窓口などで協力をいただいている。平成22年度においては、22の河川で28団体が実施している。参加団体は、新たな団体が加わり、年々増加している。
【渡会克明委員】
22河川28団体ということは、私の知らない団体が草を刈ってくれたり、清掃したりしているのだろうと思う。そうした情報を住民に入れていただき、更に、県民の方々の力で助けていただければと思う。穴ぼこ1つにしてもそうだが、今後はもう少し県民の皆さんの力をいただいて、制度の見直しを図り、助けていただければと思うので、要望しておく。 三つ目の質問は、私の地元の例を一つ挙げて伺う。皆さん方から何度も説明がある「選択と集中による事業の重点化」について、特に、優先順位の考え方を何度か伺っているところであるが、具体的にわかりやすいように説明願いたい。東三河環状線の事業が進められているところであるが、まず、この東三河環状線のとらえ方について伺いたい。建設部の方針によれば、選択と集中で重点化を図っていきたいとして、これまでの事業、地域という枠にとらわれずに、真に地域が必要としている事業の中から事業箇所を絞り込んでいくとしており、これは東三河だけではなく、それぞれの地域で行われていると思う。そういう中で、事業の絞り込みに当たっては、1つには、他の事業者と協力して行っている進行中の事業、あるいは継続して事業を進めており完了が間近な事業、あるいは県の施策として重視しているプロジェクトに関連する事業、また、地元の合意形成が進んでおり事業の熟度が高い事業等々の基準に基づいて事業箇所を選定し、例えば東三河環状線の中でも、工区ごとに今の選び方でやっていると思う。東三河環状線を例として、この優先順位の考え方を教えてもらいたい。まず、東三河環状線がなぜ選ばれ、今どういう位置付けなのか。また、五つの工事区間があるが、その区間のそれぞれの考え方、どういう優先順位をつけており、それはなぜかを伺いたい。
【道路建設課主幹(国道・地方道)】
東三河環状線の選択と集中の考え方について説明する。まず、東三河環状線は、東三河地域の中核都市である豊橋市や豊川市の骨格となる環状道路であり、市街地の渋滞緩和や三河港から東名高速道路へのアクセス道路であり、本県として、重点的に路線全体の整備を進めている道路である。現在、豊橋市内で石巻・牛川工区、豊川市内で白鳥工区・大崎工区、三蔵子工区、三上工区の計5工区6カ所で事業を実施している。今年度については、本県の道路建設に係る公共予算の内示額が昨年度と比較して3割減と大変厳しくなっていることもあり、建設部の方針にのっとって、選択と集中による事業の重点化を一層進める必要が生じた。 具体的には、建設部の方針に基づいて、今年度に完了する路線や、プロジェクト関連事業、債務や継続協定などに基づく義務額、他機関他事業などと共同で行う事業に優先的に配分を行い、その他は今後2、3年で完了できるなど、早期に事業効果の発現を図ることができる箇所などにできる範囲で配分を行った。そうした中で、東三河環状線の中で今年度に完了を予定している白鳥工区や三上工区については、今年度完了に必要な額を配分した。その他の3工区については、それぞれの工区に義務額や他事業関連予算が張りついているため、その必要額を配分し、結果として他の3工区については、昨年度の5割から6割程度の配分にとどめざるを得なかったというのが実情である。
【渡会克明委員】
東三河環状線は、豊橋、豊川の市街地の外周部に計画された道路で、昭和46年に都市計画決定がなされ、昭和47年に主要地方道として認定をされた道路である。これは、国道23号名豊道路、国道23号、国道1号、東名高速とアクセスをする、東三河にとっては非常に大事な道路である。供用済みのところも随分あるが、一番最初にできたところが昭和53年にでき、その後その隣接部分である豊橋大知波線を抜けて、牛川工区のトンネルを作ろうという部分までが昭和57年にできている。地域の方にとっては、昭和50年代から、トンネルか掘割かはわからないが、東三河環状線となって道が抜けるらしいという話があった。それで、いつの話になるのかということで今日まできている。この牛川工区について伺うが、地上権や所有権の問題はあると思うが用地買収の現況はどうか、お答えいただきたい。
【用地課主幹(指導・事業認定)】
トンネル部分である牛川工区については、取得予定地の面積は約5万平方メートルあり、そのうち4万5000平方メートルについて、所有権又は地上権を取得している。進ちょく率としては、所有権で取得する箇所については約99パーセント、地上権で取得する箇所が約89パーセントとなっている。
【渡会克明委員】
ここは地権者が一人二人ではない。びっくりするくらい地権者がいる。山を寸断したように所有権が分かれている。それを一生懸命、建設事務所の担当者がやってくれている。交渉が難しい人もいたが、だいぶクリアされている。もうあと本当に名前が挙がるくらいの少数の方だけになっており、予算がつけば進められる状況にある。現場に聞いてもらえれば分かると思う。そういうところは優先順位からするとどうなのか。合意形成ができている箇所に入るのではないか。牛川工区のトンネルを掘った土を石巻工区の道路に埋めて使うため、セットでやる必要があるという理由もあり、それも承知して伺っているが、どうなのか。
【道路建設課主幹(国道・地方道)】
道路はネットワークができて初めてその効果が発現されるものであるため、この牛川工区についても、優先順位は高いと考えているが、先ほど申し上げたように、今年度の内示額が非常に厳しかったため、どうしても義務額や他事業関連など県として事前に約束したものに優先的に配分を行った結果、このトンネル区間についても石巻・牛川工区として1つの工区と考えているため、昨年度の事業費の5割程度の配分にとどめざるを得なかった。促進しなければいけない事業であることは十分認識をしているところである。
【渡会克明委員】
そういうところは県内にいくらでもある。東三河環状道というのはどういう位置付けなのか。昭和53年に隣接部がいち早く供用され、住民にもあそこが開通して環状ができると周知され、環境問題や地権者の問題があったけれどもクリアしてきている。地元の豊橋市や豊川市からも要望が出ている。私は近いところに住んでいるので、住民の方に現況を何回報告したかわからない。 建設部方針の18ページにはこう書いてある。「事業の進行管理の徹底と完了目標年度の明確化」。時間的コスト縮減の概念を取り入れ、目標とする完了予定年度を明確にして進行管理を行っていくということだけれども、トンネルの完成はいつを予定しているのか。
【道路建設課主幹(国道・地方道)】
牛川工区のトンネルの完了目標年度の前に、現在の石巻・牛川工区の現状を説明させていただく。今年度については、牛川トンネルの着工に向けた設計業務を行うとともに、委員から指摘があったトンネル着工に必要な未買収用地の取得を、今、一生懸命進めているところである。一方、工区としては一つであるが、工事としては、トンネル発生土を石巻工区の本体盛土に利用する計画であることから、まず、石巻工区を発生土を受け入れ可能な状態にまで本年度中に整備していきたいと考えている。次に、トンネルに関する予定については、未買収用地がトンネル予定地の上にあるため、その未買収用地の取得が前提となるが、来年度には1年ほどかかるトンネル掘削に影響される井戸水の調査、トンネルを掘ることによって近接の建物に影響が出る可能性があるため、建物の事業損失の調査をやらなければいけないということで、今年度と来年度については、トンネル本体着工の準備が必要と考えている。したがって、牛川工区の完了目標については、今後国の公共事業予算の動向が非常に不透明であるものの、現時点では、その準備期間2年間を経て、平成24年度にはトンネル本体工事に着工できるとすると、掘削におよそ3年かかるため、現在、社会資本総合交付金の中で作成している平成23年度から27年度までの新たな整備計画の期間内での完了を何とか目指していきたいと考えている。ただし、トンネル着工を目指すには、用地が取得できないと次のステップに進めないため、地元の協力を得ながら、未買収用地の取得に最大限の努力をしていきたいと考えている。
【渡会克明委員】
選択と集中で優先順位をつけるということで、こういう優先順位の付けかたでやっていることを関係者に周知することになっているが、地元の行政機関なり住民に対して、いつ、どのように周知したのか。
【道路建設課主幹(国道・地方道)】
先ほど説明した内容については、今までのところ地元や自治体に周知している状況ではない。
【渡会克明委員】
いつ周知するのか。11月の県内調査の時なのか。井戸水の調査などは当たり前の話であって、22年度に着工という話で、そういう発表を公にしていた。政権が変わってこうなったのはやむを得ないが、きちんと地域の方に言ってあげなければならない。なぜなら、用地の取得等が整ったときにやるというのが鉄則であり、時を逃すと非常に厳しくなる。優先順位をつけているようには見えないから、このように質問している。平成22年度に着工ということを公に言ったのだから、井戸水の調査などは当然その前にやるべきであり、平成22年度着工というつもりがなかったということか。それとも今まで忘れていて、一方で40億円かけて3年でできますという話をしていたということなのか。
【道路建設課主幹(国道・地方道)】
22年度に着工という話が地元でされていたことは、承知をしている。しかし、あくまで用地の目途が立った時点でそのような調査を行うという考えであったと思っている。用地の目途が立たないと、トンネル着工にいけない。トンネルを着工する際の影響についての調査は、掘削する直前にやらないと掘削前後の影響を把握することが難しいため、用地の取得が延びるにしたがって着工が遅れてきたと考えている。
【渡会克明委員】
地権者がうんと言わないから先に進めない、と私からも地域の皆さんに言うがそれで良いか。11月の県内調査で首長が集まったときに、用地取得がネックでできないという話をするという理解でよいか。
【道路建設課主幹(国道・地方道)】
委員指摘のとおり、やはり未買収用地の取得が、今後のトンネル着工に向けての第一ステップであると認識している。その点については地元にその趣旨を伝えることについて逆に協力をお願いしたい。
平成22年12月9日
【渡会克明委員】
事実確認として、入札に関する一般論として伺う。地元建設業者が仕事をできるように体制を整えていくことが必要である。そこで、まず一点目として、県に入札参加資格の申請をした業者を、どのように評価して点数付けを行っているのか。
【建設総務課主幹(契約)】
業者の評価についてであるが、建設業法で規定されている業者の経営状況及び経営規模等から算定された経営事項評価点数と成績評価点数とを合わせたものを、業者の総合点数としている。成績評価点数は、過去5か年の工事成績から算定した工事成績評定点数、ISO認証の取得状況(1認証につき10点)、障害者の雇用状況(障害者の雇用義務を達成している場合10点)、優良工事の表彰(表彰1件につき10点)、地域貢献度(防災協定等の締結で15点)をそれぞれ加算するほか、過去の指名停止状況による減点(指名停止1月につき5点減点)をすることで、総合点数を算出している。 なお、平成20年度から「地域貢献度」を新たな評価項目として追加し、地域に対する貢献度の高い地元建設業者を高く評価するよう見直しを図っている。
【渡会克明委員】
次に、建設工事発注にあたり、工事の規模等において基準があると思うが、どのような基準となっているのか。
【建設総務課主幹(契約)】
建設工事にあたっての発注基準については、工事規模に見合った適切な建設業者の選定や、大手建設業者のみに片寄ることなく、中小建設業者の保護・育成に留意するため、建設業者の総合点数に応じてAからDまでに区分して発注している。 一般競争入札においては、その工事の入札参加資格として、必要な総合点数を公告で示している。例えば、一般土木工事の場合、予定価格5,000万円以上の工事は、総合点数1,080点以上、これはいわゆる「Aランク工事」と言われているものである。1,500万円以上1億5,000万円未満の工事は、総合点数870点以上1,080点未満で「Bランク工事」、5,000万円未満の工事は、総合点数690点以上870点未満で「Cランク工事」、1,500万円未満の工事は、総合点数690点未満で「Dランク工事」というように定めている。
【渡会克明委員】
いろいろな基準があることは分かったが、地元建設業者は、災害時の緊急対応等、地域の安心・安全の確保に大きな役割を果たしていることは言うまでもない。建設部においては、地元建設業者の受注機会の確保のために、具体的にどのような取組をしているのか。
【建設総務課主幹(契約)】
公共工事の発注に際しては、従来から、地元建設業者で円滑かつ効率的な施工が期待できる工事については可能な限り分離分割発注を、一般競争入札では地元建設業者を中心とした県内業者のみが参加できる地域要件の設定を、また、総合評価落札方式では地域における活動拠点の有無や災害協定等に基づく活動実績の有無など、価格だけでなく地域における社会貢献活動なども加味して評価することにより、地元建設業者の受注機会の確保に努めてきた。 更に地域要件の設定について、今年度からの新たな取組として、品質の確保に留意しつつ、一定数以上の地元建設業者が施工可能と見込まれる工事については、地元建設業者のみが参加することのできる地域要件を積極的に設定している。具体的には、入札参加見込者数を、従来の「20者以上」から「おおむね20者以上」とすることで、地元建設業者だけが入札参加できる地域要件を設定している。
【渡会克明委員】
建設部が地元建設業者に対して、考えている以上にさまざまな取組をしていることはよくわかった。これらの取組の効果として、県内業者の受注状況はどのようになっているのか。
【建設総務課長】
県内業者の受注状況については、平成22年10月末現在の受注実績を見ると、発注件数1,247件のうち県内企業の受注件数は1,169件であり、全体の93.7パーセントである。契約金額で見ると、約380億円のうち県内企業の受注金額は約340億円と全体の89.4パーセントとなっている。昨年同期と比較すると、件数ベースでプラス0.9ポイント、金額ベースでプラス2.9ポイントとなっており、一連の取組は効果が出ているものと考えている。 いずれにしても、地元建設業者育成のために、しっかりと引き続き取り組んでいくので、委員の皆様方のご支援をたまわりたい。
【渡会克明委員】
地域に貢献している地元建設業者の受注機会の更なる確保に努めていただくよう要望する。 11月11日の県内調査では、私が住んでいる所の近くにある東三河環状線の現場を見た。そこから5分ほど行くと静岡県であり、本当に東の外れである。そのような中で実は12月7日ごろに、朝7時から夜7時まで本当に寒い中、業者が交差点の交通量調査を行っていたが、この調査の工事との関連について伺う。
【道路建設課主幹(国道・地方道)】
今回の牛川トンネルの工事にあたっては、その住宅地に隣接して大規模なトンネル工事を行うことになるために、その工事による周辺環境への影響をより軽減するとともに、安全な施工を行うための施工検討業務というものを実施している。 指摘のあった交通量調査は、豊橋大知波線や現道の東三河環状線などで実施しており、今後トンネル工事から発生する土砂の運搬経路等を検討していくための事前調査であり、用地取得の目途がつき次第工事に着手できるように、準備を進めているという状況である。
【渡会克明委員】
今、答弁があったとおり、現場が住宅地に非常に隣接しており、いわゆる市電(路面電車)の終点で5差路、6差路という特殊な交差点があり、今回の県内調査でも議会バスの通行を避けたくらいであるが、民間のダンプカーがその鋭角の交差点を曲がって行く。住民の方は道路の建設については待ち望んでいるが、このような場所であるので、この先工事が始まるようになると、土砂を積んだダンプが石巻工区方面を目指して行くことになり、危険や騒音等に対する苦情の声が出ると、ブレーキになるので、よく調査、配慮していただきたいということが1点目である。 交通量調査は牛川トンネルの工事のためだけにやっているわけではないと言うのであれば、もうひとつ西側に牟呂用水をまたぐように国道1号から豊川へ抜ける県道に大きな特殊な旭橋交差点があるが、ここでは交通量調査を行っていない。国道23号がつながれば、国道23号だけではなく、いろいろな所へ入り込むことになるので、豊川方面に行く経路がどうなっていくのかを、もう一度合わせて洗い直して、図面上でも検討することを要望する。 東三河環状線の牛川工区について、11月11日に東三河建設事務所で説明を受けてから約1か月たつが、現況はどうなっているか。
【用地課主幹(指導・事業認定)】
牛川工区のトンネル部分の用地取得状況については、11月11日に9件の未契約案件があると報告したが、現時点では、12月中に4件調印の見通しが立っており、残り5件についても、年度内の契約を目指して交渉を進めている。
【渡会克明委員】
残りについて、さまざまな理由があるかと思うが、全くだめだという方はいるのか。
【用地課主幹(指導・事業認定)】
地域の皆様の貴重な財産を譲っていただくため、確実とは言えないが、現段階では残り5件についてもご協力いただける感触はつかんでいる。
【渡会克明委員】
冒頭で補正予算、当初予算の話もあった。もちろん、これからのことであるのでさまざまな議論が必要になると思う。私は素人であるが、井戸枯れや水道などの水文調査をする場合、春夏秋冬1年かかるとのことである。以前、道路建設課長が、用地の交渉が終わって買収できればすぐに調査をやるとのうれしい約束をしてくれた。費用がどのくらいかかるのか分らないが一刻も早くお願いしたいという要望と、補正、当初含めて言える限りでの今後の進め方を伺う。
【道路建設課主幹(国道・地方道)】
石巻・牛川工区での県の今後の事業の展開についてであるが、先ほど牛川トンネルがらみの用地の取得については、用地課が一生懸命努めているとお答えした。工事サイドとしても、その用地取得の目途がついたら、今後ご審議いただく補正予算を活用して水文調査(井戸調査)を1年間実施していきたいと考えている。 また、予算の状況にもよるが、来年度には坑口までの切土工事など平成24年度の本体着工に向けた準備工に着手してまいりたいと考えている。
【渡会克明委員】
非常に心強いことで、いわゆる住民の方に見える工事が始まるわけである。タイミングが非常に大切であり、皆さんが待っているときにお金がない中でこのように努力していると訴えていきたい。
平成23年3月11日(要旨)
<質問>
@東三河環状線牛川トンネルの用地取得の進捗状況はどうなっているか。
A石巻・牛川工区についての補正予算の内容と執行状況を伺いたい。
B石巻・牛川工区について、来年度の骨格予算で何を想定しているのか。また、牛川トンネル本体工事についての今後の見通しを伺いたい。
<回答>
@牛川トンネル(Ι期区間)の用地取得につきましては、11月時点で9件の未契約者がおりましたが、5件については、12月に契約を締結済である。 残る4件については、12月中に亡くなられた方など相続の整理が必要な方や成年後見人の選任が必要となった方などがおられ、手続に時間を要していますが、事業には理解を示していただいておりますので、手続を進め早期に契約を締結したいと考えている。
A11月議会でご承認いただいた補正予算により、石巻工区におきましては、県道石巻山線(いしまきさんせん)より南側区間について、当初予算に引き続き道路築造工事を続けてまいります。既に入札は済んでおり、近日中に契約する予定(3/11と3/14契約予定)でございまして、まずは、本区間の早期供用に努めてまいります。 また、牛川工区におきましては、トンネル本体着工に向けた準備のため、トンネル周辺の井戸の水位観測など水文調査やトンネル坑口付近の切土のり面の地質調査など、トンネル本体工事に必要となる調査について着手しているところでございます。
B来年度骨格予算では、石巻・牛川工区の残りの用地補償、石巻工区でトンネル掘削土を搬入する箇所の埋蔵文化財調査及び牛川トンネル本体工事着工に向けた坑口までの切土工事などを予定しており、平成24年度の本体着工に向けた準備を進めてまいりたいと考えております。
平成22年9月17日
【渡会克明委員】
道州制について、私たちが参考にしようとしている北海道がこの4月に総合振興局という体制に変わったが、大きな改革というか、道州制等を意識したような組織の体制を変えたというふうには見えない。北海道が道州制についてどういう方向性をもっているか。その辺をお教えいただきたい。
【宮脇参考人】
率直に報告させていただければ、北海道を道州制の先行的な地域として見るのは不適切だと思う。今回の改革は、結果としては単なる行政内の組織の組替え以上のものにはなっていない。道州制をにらんで自立性を高めていくといったような構造にはなっていない。 北海道という地域は、他の地域に比べ、中央集権が激しいところで、北海道特例というように、財源措置が厚く、社会インフラ整備等々においても中央の直轄部隊が存在する。自治の割合というのは非常に少ない構造を持っており、むしろ中央集権が強い地域である。 もともと東京都というのも、中央集権をするために戦時中に戦時統制をするためにつくった制度で、北海道という道という単位も、地域開発を国中心でやるための中央集権の仕組みとして発想された。そもそも、地方自治や自立性といったようなものを意図して制度設計されてこなかったので、道州制特区とかいう議論もあるが、北海道として持っている中央集権的な体制というところの限界を克服できていない。そういう実態にあろうかと思う。
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