発言録へもどる

文教委員会(平成23年5月〜)

平成23年7月8日

【渡会克明委員】
 始めに、県立高校の入試制度の見直しについて伺う。複合選抜制度を採っているのは全国でも愛知県だけであり、23年間続いている。自信を持っている入試制度だと思うが、他の都道府県の現状を伺う。

【高等学校教育課長】
 複合選抜制度は他県に類を見ず、この形で実施しているところは本県だけである。各県色々な制度があり一口では言い難い。例えば推薦入学を実施している中でも、全部の学校で実施している県もあれば、一部の学校でしか実施していない県もある。それを前提に言うと、文部科学省に報告されているところでは、推薦入学を実施していない県は18となっている。また、一般の学力検査を中心とした選抜は当然全都道府県で実施されているが、愛知県の全日制課程の場合は推薦入学がまずあり、その後、各学校が一般の入学試験を実施する。その上で定員に満たなければ二次募集を行うという形で行っているが、そうではなくて、例えば全日制課程の定員の一部の選抜を推薦入学ではなく前期選抜という名称で実施しているところもある。前期後期選抜は14県で実施されていると文部科学省に報告されている。そのように、各県さまざまな形で行われているという状況である。

【渡会克明委員】
 各県がそれぞれ工夫をしており、一番良い方法を模索していると思う。皆さんも自信を持ってやっていると思うが、そういう中で、他の都道府県の制度で参考になり得ると思うものがあれば教えてほしい。なければ、東京都の例を教えてほしい。

【高等学校教育課長】
 愛知県の入学者選抜制度については、推薦入学が全校全学科であり、その後、一般入学で2校に出願ができる。更に全日制で定員に満たない学校、学科では二次募集を実施している。こういう形で行っているところは他県にはなく、かなり良い制度ではないかと自負している。学校の入学者選抜制度は完ぺきという形にはなかなかならず、常に改善を必要とするものであるので、毎年度改善を加えながら行っている。東京都では、推薦入学については、ほぼ全ての学校で行っており、前期選抜、後期選抜と二次選抜という形で行っており、実施回数は愛知県とよく似たものとなっている。

【渡会克明委員】
入学者選抜制度については、そういう見直しを少しずつしている。回数については、愛知県は4回受験でき、選択肢が広い。それを聞くだけだと東京と似ているという気がするが、多分全然違うのであろう。そこで、現在実施している複合選抜の一番のメリットと課題を伺う。

【高等学校教育課長】
 推薦入学を全校全学科で実施しているということは、学力選抜だけに偏らない選抜につながる。人物について、学力だけではなく、他の観点からも見ることができる。これは一つの大きな特徴である。それから、一般入学において2校に出願ができる。1校だけにしか出願できないとなると、安全も考えながら出願せざるを得ないということがあり、2校に出願ができることにより、生徒が本当に入りたい学校を受験できるようになる。これも特徴であると思っている。その一方で、課題としては、選抜をたくさん行うと、入試の期間がある程度必要になる。他府県の入学者選抜の期間に比べてそれほど長いわけではないが、中学生にとっては入学者選抜そのものが精神的な負担になるので、そのことは課題の一つであると考えている。ただ、実際には改善が難しい点ではある。

【渡会克明委員】
 平成元年度に複合選抜制度を導入した当時とは環境が変わった。例えば、少子化の問題もあるし、交通網も当時とは随分変わったと思う。また、時の政府の施策による授業料の無償化や生徒・保護者の価値観の多様化等さまざまな変化があった。複合選抜制度は学校間格差の解消を目的に導入したと思うが、現段階でそういうことを指摘する県民の声は収まっているのか。

【高等学校教育課長】
 複合選抜制度が始まったのは平成元年度であるが、その後、委員指摘のような社会事情の変化がある中で、いくつかの課題が生じてきている。それを指摘する声が平成10年あたりから教育委員会によく聞こえてくるようになった。制度の根幹の部分は、学校を群・グループに分けているところにあり、そのことについて協議する、「愛知県公立高等学校入学者選抜における群及びグループのあり方に関する懇談会」を平成16年から平成17年にかけて開催して、その協議のまとめを踏まえて、平成19年度入学者選抜から群・グループ分け等の改善を行った。改善の内容については、群・グループ分けを一部変更したほか、1・2群共通校を設置した。更に、尾張学区と三河学区の境界にある調整区域についても少し変更をした。そういう改善を行った結果と考えているが、この複合選抜制度の特徴である2校志願率について、かつては80パーセント台だったものが改善前には70パーセント台にまで下がっていたが、平成19年度からは80パーセント台を回復して、この5年間は80パーセント台を維持している。そういった改善の成果もあり、更なる改善を求める大きな声は聞こえていないが、平成19年度の改善から5年が経過したので、今年度、改めて当該改善に係る成果と課題について、中学校や高等学校等から意見を聞いて、検証を進めているところである。

【渡会克明委員】
環境や状況が変わってきて、子どもや親も本当に自由な選択を求めてくるようになった。そのことを踏まえて、検討していただきたい。小中学校はともかく、高等学校はどこに入学してもよいのではないか。豊橋市の生徒だからといって豊橋市の高校でなくてもよいが、岡崎市までは行けても名古屋市までは行けない。進学率も含めて、全て丸く収めたいがためにこのような制度にしているのならば、議論していただきたい。総合技術高等学校は素晴らしい学校だが、どういう位置付けで、入試はどうなるのか。

【高等学校教育課長】
 総合技術高等学校は設置前の段階であり、もう少し設置時期に近づいた時点で入試について検討していくことになる。

【渡会克明委員】
 豊橋からも受験ができるとよいが。

【高等学校教育課長】
 普通科には尾張・三河の学区があるが、普通科を除く専門学科、総合学科については全県1学区である。総合技術高等学校は普通科ではないので、全県1学区になるということはまず間違いない。

【渡会克明委員】
専門学科はどこからでも受験できるが普通科は違うということが理解できない。教育委員長に聞くが、個人の所感でよいが、私の言っていることは的外れで見直しに値しないことか。

【教育委員長】
 個人的な考えだが、私はどんな制度でも随時見直しが必要だと思っている。その制度が作られたときには、検討の結果、最善だとして結論を出したと思うが、改善が必要ならば、さまざまな意見を聞いて改善に向けて検討する。そういう姿勢だけは持ち続けていきたいと思っている。

【渡会克明委員】
 今の答弁にあるような姿勢がこの独特の複合選抜を維持している愛知県の原動力になればよいと思っている。子ども本位に考えてほしい。そのためにどうすればいいかということをしっかりと考え、改善を検討してほしい。そのときは、できればいろいろな層の人を入れて検討してほしい。それを要望する。
次に、公立学校施設の防災機能の向上について、文部科学省の専門家の会議が学校を地域の防災拠点と位置付けて、国が支援すべきだという緊急提言を出した。県立学校の現在の耐震化の進捗状況を伺う。

【財務施設課主幹(計画・整備)】
 県立学校の耐震化について、大地震により倒壊または崩壊の危険性が高いCランクの建物については平成18年度までに完了している。現在は次のレベルで危険性のあるBランクの建物の耐震化を進めているところであり、平成23年4月1日現在での県立高校の耐震化進捗率は68.8パーセント、特別支援学校が97.7パーセント、全体では73.4パーセントとなっている。

【渡会克明委員】
 災害が起きた場合、小中学校が避難所に指定され、地域の拠点になると思う。県立学校も当然そういう場所になると思う。そこで伺うが、避難所として指定されている学校はどれぐらいあるか。

【財務施設課主幹(計画・整備)】
 県立学校で市町村の避難所として指定されている学校数は、建物が指定されている高校が96校、特別支援学校が9校で合わせて105校である。グラウンドのみが指定されている高校12校を加えると、全体で117校である。そのほか、備蓄倉庫が53校、防災無線局が49校で、うち避難所指定が42校ある。また、防火水槽や防災トイレ等の防災関連機器が配置されている学校が26校で、うち避難所指定が21校である。なお、県立学校数は高等学校が149校、特別支援学校が25校である。

【渡会克明委員】
 小中学校に比べれば少ない数ではあるが、避難所にも指定されているということで感謝したい。災害があれば避難所に指定されていない学校にも県民が逃げてくると思う。例えば、豊橋西高校は避難所に指定されていないが、小坂井高校は指定されている。豊橋の標高図によると、小坂井高校も豊橋西高校も標高2メートル以下である。御津や蒲郡は地盤がしっかりしているから液状化しないが、この豊橋海岸は実は危ない。建設部に話を聞くと、液状化すると5メートルは地盤が沈むという。現在、堤防が5.9メートルであり、5メートル沈むと90センチメートルしかなく、間違いなく水が来る。そうすると避難所に指定されていない豊橋西高校にも避難者が一気に押し寄せることになると思うが、このことについてどのように認識しているか。

【総務課主幹(総務・広報)】
 実際に災害が起きれば、学校近くの住民は近くの公的施設あるいは学校へ避難すると承知をしている。

【渡会克明委員】
避難所指定は市町村が行うわけだが、例えば、マニュアル作成などの防災対策は全部市町村が実施するのか。どこが作成したマニュアルに従ってどのように行動するのか。それを教えてほしい。

【総務課主幹(総務・広報)】
 委員指摘のように、どこの学校も災害時には避難所となる可能性がある。そうした緊急時に備えて、県教育委員会では、各県立学校の地震対策マニュアルの作成指針として、「地震・防災の手引き」を作成しており、学校の避難所としての対策計画についても各学校に周知をしている。この手引の中で、避難所として指定されている、あるいは指定されていないにもかかわらず地域の被災者が避難することにより避難所となる場合に備えた学校施設の利用計画、また、被災者の自治活動を支援する避難所運営マニュアルをあらかじめ備えておくように指導している。したがって、この手引に沿って、各学校では避難所としてのマニュアルを実情に応じた形で作成しているという状況である。

【渡会克明委員】
 今の答弁は県教育委員会の指示のもとで、各学校が独自にマニュアルを作成しているということでよいか。

【総務課主幹(総務・広報)】
 先ほどの答弁は、学校は学校としての責任によりマニュアルを作成しているということである。災害が発生した場合、各市町村の地域防災計画というものがあるので、学校と市町村が連携して適切な対応をしていくことが重要であると考えている。

【渡会克明委員】
 ちょっと歯切れが悪い。県教育委員会の主導性と校長の采配でしっかりと県民の命を守るということを徹底してもらいたい。避難所に指定されると、市職員など一般行政職員が来て、教職員が手伝うという形になると思うが、避難所でない場合は教職員が被災者の世話をすることになる。そうなると、学校での業務とは違う仕事を地方公務員として当然に強いられる。特別支援学校でも避難所に指定されているところがあったが、ここは特別支援学校だから避難してもらっては困るなどとは言えない。子どもを抱えながら県民の命を守らなければならない。実際に動いてくれた人の処遇をどのように考えているか。

【教職員課主幹(給与)】
 そのような業務に従事した職員には、特殊勤務手当として1日6,400円を支給するという規定がある。

【渡会克明委員】
 国も含めて考えなければならないことだろうと思うが、金銭的なこと以外についても考えていただきたい。 現在、国土交通省からの補助金を使って校舎の耐震化を進めているが、学校施設の防災対策には、文部科学省、国土交通省、消防庁等いろいろな省庁からの補助金を利用できると思うが、どのような補助金を活用しているか。

【財務施設課主幹(計画・整備)】
 学校は文部科学省の所管であり、他省庁の補助金を財源として活用することは制度上ない。ただし、平成21年度は地域活性化交付金の経済危機対策臨時交付金、平成22年度は地域活性化交付金のきめ細かな交付金が内閣府で補正予算措置されたことから、地方での裁量度が高いこの交付金の一部を財源として県立学校の耐震化を進めてきたところである。

【渡会克明委員】
 他省庁の補助金は余り使われていないようだ。これは愛知県だけではなく、私が調べたら他の県も余り使っていない。しかし、例えば、トイレの改修は文部科学省から、トイレ・シャワーの設置は防災対策事業費として消防庁から補助金が出る。それから、NHKでも取り上げられた、マンホールをトイレにするというものがあるが、そういうものを学校の避難所に設置しようとすると国土交通省からの補助金がある。このように避難所に指定されているところもそうでないところも、県と市町で連携して、どういう補助金でどうやって学校が改善できるかということを考えてほしい。なぜ文部科学省の補助金だけをあてにしているのか。避難所の整備などにおいては文部科学省以外からの補助金がたくさんあるので、それをリストアップしてもらいたい。市町村などと連携をとって、絶対やるべきだと思う。そのことで何か答弁があるか。

【財務施設課長】
 昨日、国が今回の震災を受けた緊急提言を出している。まず、施設の耐震化を図るということが挙げられ、また、学校を避難所として機能させて使う場合の色々な事例を示し、被災後経過した期間に応じて学校がどういった設備や機能を持つべきかということをリストアップして紹介している。そういったことを踏まえつつ今後の学校施設の整備を進めていく必要があると思うが、その提言の中にも、防災担当部局と連携して、役割分担やあるべき姿を明確にした上、それぞれが役割を果たしていくべきだということが挙げられているので、今後、市町村がハザードマップを作成する際などに、そういったことや緊急提言で紹介された内容と照らし合わせた上で、防災対策を図っていく必要があると思っている。

【渡会克明委員】
 私が言いたいことは、既にそのような制度を使って事業をしている例があるので、その勉強をしてほしいということである。利用できるのは文部科学省からの補助金だけではない。金がないのだから、そういう工夫をしなくてはならない。
最後に聞くが、災害時に学校を頼りに避難して来る人が大勢いる。その命を守るために、今後どのような取組をしていくのか。

【総務課長】
 今回の東日本大震災に際して、市町村との連携が県立学校に欠けており、それが最も大きな反省点であることが分かった。早速、市町村の防災部局との協議の場を設けるように各県立学校に指示をして、実際に動き始めている。これを第一歩として、より実践的な避難対策がとれるように検討していきたい。

【渡会克明委員】
 小中学校は災害があった時に要になる。そのためにしっかりと市町村と連携をとり、どのような役割を担えるかということをはっきりさせ、また、県立学校が率先して災害に対して取り組んでいるということを県民に見せていただきたい。



平成23年10月5日

【渡会克明委員】
 県教育委員会は「地震・防災の手引き」を作成しており、それに基づいて県立高校はマニュアルを作成している。この地域にマグニチュード9.0の三連動の地震が発生した場合、大変大きな津波が襲ってくると新聞報道があった。これまでの想定であったマグニチュード8.7で、今まで大丈夫とされていた避難所は9.0では浸水することになってしまう。市町村では急ピッチで様々見直しをしていると聞いている。県立高校も今後避難所指定されることもあると思うが、教育委員会として子どもを守るということからマニュアルをしっかりと作成しておく必要がある。現マニュアルの見直しの状況といつまでに見直しを行うのか伺う。

【総務課主幹(総務・広報)】
 県教育委員会では、大規模地震の発生に備え、各県立学校の地震対策マニュアルの作成指針として、「地震・防災の手引き」を作成し、学校の防災体制、地震発生時の対応、防災教育、避難所運営などについて、各学校へ周知している。しかしながら、今回の震災において津波による甚大な被害があったが、現手引きでは津波対策が不十分であるため、現在、手引きの改訂にむけて作業を進めているところである。また、これまでの県立学校の地震防災対策については、市町村との連携や協力体制が不十分であったので、各学校においては市町村の防災担当部局と協議の場を設け、それぞれの学校におかれた防災対策の課題や問題点について、対策の協議・検討を進めている。これらの課題や問題点を整理し、年度内を目途に手引きの改訂を行い、各学校に対策の周知を図ってまいりたい。なお、県の防災局では愛知県地域防災計画について、東日本大震災の課題を踏まえて、まずは早急に対応できる項目の修正を本年度内に行い、震災での検証を受けた修正を24年6月までに、また新たな被害予測を受けた抜本的な見直しを25年6月に行う予定であることから、教育委員会としても計画の修正にあわせて随時手引き等の改訂を行っていきたい。

【渡会克明委員】
 あいちの教育に関するアクションプランUから、安全教育推進について防災教育の考え方、取組の状況について伺う。

【健康学習課主幹(振興・安全)】
 児童生徒が自らの命を守るため、状況に応じて危険を予測したり、回避する能力を高めるような防災教育が重要であると考えている。各学校においては、特別活動の時間などの中で、不測の事態に対応できるよう年間複数回の防災訓練を実施している。中には自ら考え判断力を養うために避難訓練を予告せずに行っている学校もある。自らの力で災害に対応できる力を身につけ、学校や地域の防災リーダーとなる人材を育成するために、昨年度から、県教育委員会と名古屋大学と連携して県内の高校生を対象に「高校生防災セミナー」を実施している。また、小中学校の防災担当教員を対象として、防災教育の専門家を招いた研修会を11月に開催し、より実践的な防災教育の在り方について指導するとともに、被災地支援で活動するNPO法人から支援の在り方について講演をしていただくよう予定している。さらに、今回の大震災を踏まえたリーフレットを作成し、小学校1年生から高校3年生までの全児童生徒に配布し、家庭を含めて防災意識をより一層高めるよう働きかけていきたい。

【渡会克明委員】
 教員については、「現場を踏む」ということが重要であると思うが、被災地への教員の派遣に係る自治体間での協定は可能なのか伺う。

【教職員課長】
 県レベルではそれぞれ協定を持っているところもあると聞いているが、詳細については不明である。しかしながら教育委員会レベルでの協定は現段階ではない。教員が現地でいろいろな経験をしてくることは重要であると考えているが、県から派遣するとなると相手側の受入態勢もあるので、国や他県の動向などを見ながら検討していきたい。

【渡会克明委員】
 教職員の確保と資質の向上について、教育委員会が考える「優秀な教員」とは何か。

【教職員課長】
 県教育委員会では、優秀教員の表彰を行っている。その表彰基準で言えば、
 ・創意工夫ある教育活動で顕著な成績をあげた者
 ・教員としての使命感をもって教育活動の改善に取り組み、信頼が厚い者
 ・地道な教育活動を継続して行い、他の模範となる者
 などを優秀教員として表彰している。

【渡会克明委員】
 教員として採用された後の指導・育成体制はどのようになっているのか伺う。

【教職員課長】
 学校には若い活力ある教員と、経験豊な教員がバランスよく配置されていることが大切であり、ベテラン教員が若く経験の浅い教員に対して適切な指導を行うことが重要であると考えている。近年の大量退職により、ベテラン教員の知識・技能の伝承等が十分になされていないとの意見も聞くが、新任教員に対する教育や研修については、採用後1年間を通じて行われる「初任者研修」のなかで総合教育センター等で行われる校外での研修とは別に、校内においてもベテランの指導教員が学級経営、教科指導、生徒指導、進路指導等について指導を行っている。  なお、新規採用者が増加する中で、指導するベテラン教員の負担が増加している。このため、再任用制度を活用し、新規採用者の指導員とするなどして退職した教員の豊富な能力・知識・経験を活用している。こうした初任者研修を始め、5年経験者研修、10年経験者研修などの折にも教科指導だけでなく、教員として子どもたちや保護者から信頼されるためにはどうあるべきかなど、教職員のライフステージにあった段階的な研修を実施し、教育の専門職として資質能力の向上に努めている。

【渡会克明委員】
 優秀な教員の確保について、これまでどのように取り組み、今度どう捉えていくのか伺う。

【教職員課長】
 従来から各種特別選考等を導入しており、まずはたくさんの方に受験していただきたいということですすめてきた。今後ともより多くの方に受験していただくように受験説明会や大学説明会を充実していき、その中から本県、子どもたち、学校現場が望む教員を選考していきたい。「公立学校教員採用選考試験選考会議」において、教育現場が求める教員が採用できるよう選考方法の工夫・改善に引き続き努めてまいりたい。

【渡会克明委員】
 開かれた学校づくりについて、学校評価制度とはどのような制度か。

【高等学校教育課長】
 学校の教育活動やその他の学校運営の状況について、各学校がその実情に応じて具体的な努力目標や基準を明らかにした上で、計画的に点検・評価を行うことで、学校の教育計画や教育活動の改善・充実・発展を絶えず図っていくことを目指したものである。各学校は、評価の結果を公表し、教育活動の成果や課題について、保護者や地域の人々に対して積極的に情報提供することで、説明責任を果たすことにもなっている。各学校が自ら行う「自己評価」、学校関係者を交えて行う「学校関係者評価」、専門家を交えて行う「第三者評価」がある。

【渡会克明委員】
 学校関係者とは具体的にはどういった者か。

【高等学校教育課長】
 保護者、PTA、地域の方など学校にかかわりのある者が中心であり、自治会の方、地域の中学校、教育施設の方などが多い。

【渡会克明委員】
 学校評価での意見でどういったものがあり参考になったか。

【高等学校教育課長】
毎年目標を定め現状を示すことで学校の努力に対し評価してもらうこともあるが、そういった評価できる部分をもっと広く知らしめる手立てを高じてくださいなど、また、高校と大学との関係がさらに密になるよう具体的事例を提案していただいたりしている。具体的な指摘を受け次の年に改善している。

【渡会克明委員】
 学校や生徒のためには良かれということが本来の学校評価制度と考えるが、第三者評価について、仕組みと今後について伺う。

【高等学校教育課長】
 文部科学省は平成22年度に「学校評価ガイドライン」を改訂する形で、第三者評価の実施体制の一つとして「学校関係者評価の評価者の中に学校運営に関する外部の専門家を加えるなどして、学校関係者評価と第三者評価の両方の性格を併せ持つ評価を行う」と例示している。愛知県では特別支援学校を含む全ての県立学校で、平成22年度から学校関係者評価を実施しており、学校関係者評価委員会のメンバーを選ぶ際には、保護者の代表の他に、「地域との連携の観点」と「専門的な助言や進路とのつながりの観点」の両面から委員を選ぶという考えを示しており、具体的には、前者では地域の町内会等の代表者や卒業生、中学校の教職員などが考えられ、後者では、大学などの研究者、企業や社会福祉施設等の関係者など、学校運営について専門的、客観的な視点から評価が可能な立場の者を選ぶことが考えを示しており、各学校では地域や学校の実情に応じて委員を選んでいる。今後も学校関係者評価委員の中に第三者評価を組み込むことも例示の一つとして、学校運営や教育活動を客観的に評価、助言ができる者を積極的に加えることで、学校関係者評価の充実を努めてまいりたい。

【渡会克明委員】
 小・中学校についても同じか。

【義務教育課長】
 小・中学校についてもほぼ同様の形で行っている。小・中学校については、学校と設置者である市町村教育委員会が主体的に学校評価を進めていくことが基本であるが、県教育委員会としては「学校評価ガイドライン」の内容を紹介し、先進的な取組の工夫や成果、課題などを伝えるとともに、学校関係者評価に専門的な方を入れ、客観的な評価を入れる工夫をしていただくよう助言してまいりたい。

【渡会克明委員】
 特別支援学校はいかがか。

【特別支援教育課長】
 同様である。

【渡会克明委員】
 家庭・地域との協働でなければ子どもは育てられないということであるので、是非ともしっかりとした情報発信をお願いしたい。



平成23年12月9日

【渡会克明委員】
 近年では、うつ病などの精神疾患により休職する教員が少なくない。平成22年12月の文部科学省の調査結果を見ると、精神疾患が原因で休職した公立学校の教員数は平成21年度に過去最高の5,458名を記録し、17年連続で増加している。また、病気休職者全体に占める精神疾患による休職者数の割合も年々高くなっており、平成12年度に46パーセントであったものが、10年後の平成21年度では63.3パーセントになるなど、非常に深刻の度を増している。国もやっと腰を上げて、平成24年度の概算要求で、メンタルヘルスの調査のための費用を計上した。そこで、メンタルヘルスの対策が本県においてどのようになされているのかを伺っていきたい。始めに、本県において、精神疾患で休職している教員の状況を教えてほしい。

【教職員課長】
 本県の教員の休職者のうち精神疾患によるものの占める割合は、平成14年度で53.2パーセントであった。それが平成21年度には60.5パーセントとなっており、本県についても、全国の傾向と同様に少しずつ上昇しているという状況である。

【渡会克明委員】
 保護者や地域住民からの要望の多様化、複雑化する生徒指導への対応などによる公務の多忙化による負担の増加、更には、現場の人間関係の希薄化といった問題は、教員個人が努力をしてもなかなか解決できないため、校長を始めとした学校の管理職や教育委員会がしっかりと助ける必要がある。そのような中、昨年1月にメンタルヘルスの保持について文部科学省から通知があったが、そこに「学校の管理職は、学校における会議や行事の見直し等による校務の効率化を図るとともに、一部の教育職員に過重な負担がかからないよう適正な校務分掌を整えること。」とあり、また「教育委員会においても、学校における教育職員の事務について適宜見直しを図り、その効率化と軽減に努めること。」ともあった。このことについて、本県の取組を伺う。

【教育企画室長】
 県教育委員会としては、教員の負担が非常に増えているということを受けて、平成19年度末に県立学校における負担軽減の検討チームを設けて、2年かけて検討を行い、改善できるものから順次改善してきた。最終的に、平成22年3月に県教育委員会と学校それぞれが学校現場の負担軽減に向けて取り組んでいくことを取りまとめて、県立学校へ通知したところである。具体的な取組としては、県教育委員会が行う会議、調査、報告等の事務の精選、研修日数の見直し、研修におけるeラーニングの導入などがある。そして、こうした取組は県立学校だけではなく小中学校においても効果があることから、県教育委員会から市町村教育委員会に周知を図るとともに、連携して取り組んできたところであり、今後も進めていきたいと考えている。

【渡会克明委員】
 今後も取組を継続することをお願いしたい。学校現場においてどのような人が大変な思いをしているのか、ということを踏まえて、丁寧に取り組んでほしい。文部科学省からも職場内での人間関係が希薄化しているという指摘があったが、教員が日頃から気軽に周りの人に相談したり、情報交換したりできるような職場環境であればいいと思う。また、人事異動等などで職場環境が変わると、非常にストレスになるので、そういうことへのケアも必要だが、愛知県における取組を伺う。

【教職員課長】
 教員へのケアについては、文部科学省の通知に基づき、またはその趣旨を受けて、管理職は心の健康の重要性を十分認識し、自ら親身になって教職員の相談を受けるほか、配慮が必要な教職員を把握した場合には、中心となって相談を受ける職員を指名するなどの具体的な対応を行うこととし、また、管理職は精神性疾患が疑われる教職員に気付いた場合は、必要に応じて教育委員会と連携しながら、早めの医療機関への受診を促すなど適切な対応をすることという趣旨のことを各学校に文書で通知した。また、文書だけではなかなか伝わらないこともあるので、学校訪問や各種の研修会を通じて、趣旨が徹底されるように指導してきたところである。

【渡会克明委員】
 教員に対して何かしてあげられることがないかという視点で学校訪問を積極的に実施してほしい。現場をしっかりと見て、どういうところで難儀しているかということを把握し、施策に反映してほしいと思う。学校の管理職は、そういった不健康な状態に陥った教員を早く発見して治療を受けさせ、教壇に復帰させることが大切だと思う。優秀な人たちが志を持って教員になったわけであり、その入り口から一貫して面倒を見ていくという体制が必要だと思う。そのため、精神疾患が疑われる教員に気が付いた場合には、医療機関への受診を勧める等しっかりした対応をお願いしたい。また、病気休職者が学校に復帰する場合、管理職はそれなりの配慮をすると思う。当該教員への理解と協力が得られるような環境を整備すること、また、復帰してしばらくはその経過を観察することなど病気休職者が円滑に職場復帰できるような支援体制が必要だと思うが、愛知県ではどのようになっているか。

【健康学習課長】
 県教育委員会としては、平成16年6月より休職中の教職員が円滑に職場復帰を図ることができるように試験勤務の制度を導入した。平成19年4月からはそれを改正した復職支援プログラムを実施して現在に至っている。この復職支援プログラムは、主に精神疾患により休職中の者で病状が安定している者を対象として、希望者に対して実施する任意の制度である。実施場所は所属の学校であり、プログラムの実施期間は3か月以内としているが、今年度からは、より円滑な復職支援のために復職予定日の前日まで実施期間が延長できるようにしている。プログラムの実施状況については、平成20年度においては、復職審査願出67件中63件で実施し、実施率は94.0パーセントであった。平成21年度は60件中57件で95パーセント、平成22年度は61件中59件で96.7パーセントと、徐々にではあるが、復職支援プログラムの実施を希望する者も増えてきていると認識している。この制度を活用した教員からは、復職への自信をつける機会となったという話があり、管理職からは、復帰の時期や復職後の職場での支援方法を検討する資料となったという意見が出されている。

【渡会克明委員】
 引き続き、工夫をして取り組んでほしい。精神疾患の早期発見のため、定期健診などでチェックシートを用いたストレス検査を実施しているか。

【健康学習課長】
 ストレスチェックについては、職員ポータルサイトからチェックシートを取得できる。それを利用して自分で確認するという体制にしている。

【渡会克明委員】
 教員は多忙であり、その中で、自分から医療機関を受診するのは困難であるし、ましてや自分が精神疾患であるとは思いたくないし、思わないのではないか。それを考えると、半ば強制的に、例えば年に1回の健康診断時に、ストレスチェックを併せて行うなどの工夫はできないか。

【福利課長】
 ストレスチェックについては、健康診断時には実施していないが、チェックシートをホームページからダウンロードできるようになっているほか、教職員全員に配付している「安全衛生だより」という広報誌でも周知している。また、各種研修会等において、受診ができる相談機関の一覧等を配付している。教員自身が気付いていなくても、管理職など周りの人が気付いてあげて受診を勧奨する、そういう環境にしていきたいと考えている。

【渡会克明委員】
 東京都では、平成22年度、23年度の2年連続でメンタルヘルスに関する啓発冊子を作成し、24年度は校内研修用のDVDを配付すると聞くが、愛知県は、啓発についてどのようなことをしているか。また、土曜日、日曜日の相談体制はどうなっているか。

【福利課長】
 本県ではDVDは作成していないが、手引のようなものを作成し、研修会等で配布しているほか、チェックシートなどで気付きを促している。相談窓口については、総合教育センターにおける専門医によるメンタルヘルス相談の他に、公立学校共済組合愛知支部の事業として県内7か所の医療機関による相談、共済本部事業として24時間電話健康相談を実施しており、24時間電話健康相談については、土曜日、日曜日も対応している。

【渡会克明委員】
 気軽に相談できるということが重要である。校長始め主幹教諭等の学校幹部がメンタルヘルスについて理解をしていないといけないが、研修の実施状況はどうなっているか。また、研修の際には、産業医から話を聞くことも大切だと思うが、実態はどうか。

【福利課長】
 管理職に対する研修については、従来の研修に加えて、本年度は県立学校の全校長を対象に管理職メンタルヘルス研修会、管理職メンタルヘルス教室を実施して、基礎的な知識に加えて実践的な技術の修得に努めたところである。また、毎年開催している学校の保健主事等の衛生管理者を対象にした研修会で、産業医に依頼して、学校の実情に応じた内容で講演・講義を実施している。

【渡会克明委員】
 教員のメンタルヘルス対策については、多くの課の所管にわたっているが、教員からすると所管は関係ないため、一つに束ねて、大切な教員を育成していただきたい。国は、平成21年11月に内閣府に地域主権戦略会議を設置し、平成22年6月に地域主権戦略大綱を閣議決定した。その後、第1次地域主権改革一括法が本年4月28日に成立し、5月2日に公布された。また、第2次一括法が8月30日に公布されたところであり、更には、第3次の見直しが11月29日に閣議決定され、平成24年の通常国会に提出されるとのことである。国から都道府県に、または都道府県から市町村にさまざまな権限を移譲することになるが、私が問題だと思うのは、地方自治体が権限移譲に係る条例を制定しようにも、それに必要な国の省庁による政省令が制定されていないということである。多くは平成24年4月1日又は平成25年4月1日までに条例を整備しなければいけないが、このままでは時間がなくなり、地域主権に関する議論ができなくなる可能性がある。そのような中で、文部科学省に関係する部分について伺いたい。地域主権戦略大綱の中で、都道府県から基礎自治体である市町村への権限移譲について、「市町村立学校職員の給与等の負担、教職員定数の決定、県費負担教職員の任命権、学級編制基準の決定」に関する検討を行い、小規模市町村を含めた関係者の理解を得て、平成23年度以降、結論が得られたものから順次実施するとされている。また、2月に当選した大村知事のマニフェストには、「地域に根ざした地域固有の特色ある教育環境を充実するため、県教育委員会から市町村教育委員会へ大胆に権限を移譲する」と掲げられている。この戦略大綱と知事マニフェストの内容を踏まえて、愛知県の現状と今後について伺う。

【教育企画室長】
 地域主権戦略大綱の趣旨は、住民に身近な基礎自治体である市町村が行政の中心的役割を担うべきだということである。義務教育についても、直接の実施主体である市町村が、地域の実情やニーズに応じて主体的な教育行政を展開していくことが大切であるが、一方で、義務教育においては、どの地域においても均質な教育水準が確保される必要がある。県としては、今後、そうしたことに対する役割を果たしていきたいと考えており、まずは実施主体である市町村の意見、意向等を把握すべく、8月に、名古屋市を除く県内の全ての市町村長及び教育長を対象として権限移譲に関するアンケートを行った。また、県教育委員会の関係者だけでなく、市町村教育委員会の代表者にも加わってもらい、「教育に係る権限移譲プロジェクトチーム」を設置して、市町村のアンケート結果も踏まえながら、検討を進めているところである。
 アンケートの結果であるが、まず、人事権全般については、市町村では難しい、教育格差につながる、教員確保に支障が生ずることを理由として、大多数の市町村が現状でよいと回答した。ただ、人事権の中でも教員への研修権については、既に中核市まで法律上移譲されていることもあり、教員の負担軽減につながることから、現在東郷町にある県総合教育センターで実施している研修の一部を地域で開催してほしいという意見が多くあった。それを踏まえて、人事権全般については現時点では移譲しないが、その中の研修については、今後、研修の一部の地域開催を検討していきたいと思っている。そのモデルとして、平成24年度に一部の研修を東三河で開催し、その結果を踏まえて、引き続き25年度以降の研修の地域開催の拡大等を検討していきたい。次に、教職員定数については、市町村の裁量を拡大してほしいという意見が4割弱を占めた。学校ごとの教職員定数はこれまで基本的に県が決定していたが、地方教育行政の組織及び運営に関する法律等の改正により市町村の意見を十分尊重しなければならないとされたこともあり、平成24年度から市町村の裁量で学校ごとの配置人員を決められる範囲を拡大していきたいと考えている。また、学級編制については、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律等の改正により、県の関与が見直されて、これまで市町村教育委員会から県教育委員会への事前協議が必要だったものが、来年度からは事後届出でよくなったため、法律に沿った対応をしていきたい。なお、給与の負担については、現在、法律上、県から市町村に移譲することはできないので、今までどおり県費負担としたい。

【渡会克明委員】
 市町村への権限移譲は非常に大切であり、これからも継続して考えていかなければならないことだと思う。ただ、あくまでも教育の均等化ということが大前提であり、平等であるべきである。どうすれば素晴らしい子どもを輩出していけるかということが一番のポイントであり、そのシステムづくりをぜひともしていただきたい。県教育委員会がやらなければならない部分はあり、なんでも市町村に任せるというわけにはいかない。だから、アンケートを実施して、市町村の声を吸い上げて、それを生かした愛知モデルを作ってほしい。



平成24年3月15日

【渡会克明委員】
 東日本大震災から1年を迎えたが、被災地の風景は発災直後とほとんど変わっていない。震災がれき、社会的インフラの復旧、産業の再生、雇用の回復、原発事故の終息、賠償問題、食品の検査、健康への影響、農林水産物の風評被害など、問題は数えればきりがない。こうした中、子どもの命を守る教育の使命を再認識するためにも、改めて防災教育に関する質問をする。初めに、平成21年4月に学校保健法等の一部を改正する法律が施行され、従前の学校保健法が学校保健安全法に改められた。その改正の中で各学校における危険等発生時対処要領の策定による的確な対応の確保を実施するよう明記されている。また、文部科学省では、今回の震災で明らかになった教訓を踏まえ、地震・津波が発生した場合の具体的な対応について、参考となるような共通的な留意事項を取りまとめた「学校防災マニュアル(地震・津波災害)作成の手引き」を配布すると聞いている。各学校ではこれまでにそれぞれ危険等発生時対処要領が作成され、避難訓練の内容や防災教育の内容が見直されていると思うが、実際にどれくらいの学校が見直しを行っているのか、また、それは本当に地域に即したものになっているのか伺う。

【健康学習課主幹(振興・安全)】
 公立小中学校及び県立学校を対象として、9月に学校安全管理の取組状況に関する調査を行った。ほとんどの学校で見直しが行われており、避難訓練の内容や防災教育の内容について修正した学校は約45パーセントとなっている。なお、学校の所在する地域の実情が反映されているかについては、県立学校は小中学校と比較すると地域との関わりがやや薄いため、県教育委員会から県立学校長会や市町村の防災担当課長会に出向き、強く連携強化を依頼しており、それぞれの市町村で実のある協議の場が設けられている。

【渡会克明委員】
 東日本大震災の巨大津波によって壊滅的な被害を受けた太平洋沿岸地域の話を引用して質問する。岩手県の釜石市では死者・行方不明者が約1,300人に上った。しかし、釜石市立の14の小中学校では独自の防災教育が功を奏し、病欠の5人の子どもが被害に遭ったほかは、学校管理下にあった約3,000人の小中学生は無事であった。釜石市では災害社会工学を研究する群馬大学大学院の片田敏孝教授が携わり、津波防災教育に取り組んできた。片田教授は釜石市で2004年から学校防災教育を始め、2008年度に文部科学省の防災教育支援モデル地域事業にも採択された。当初は沿岸部の学校を対象に防災教育を進めてきたが、2010年の3月に「津波防災教育のための手引き」を完成させ、同年4月から釜石市内の14の小中学校で防災教育を行ってきた。この手引の特徴は普段の授業に津波に関する内容を取り入れたことである。例えば、社会の授業で「釜石と津波」を題材にしたり、算数や数学でも津波の速さを計算する問題を出したりするなど、全小中学校の各学年において津波防災教育を行うこととしている。片田教授は防災教育で3つのことを子どもたちに教えてきたそうである。1つ目は「想定を信じるな」ということである。これは、危険区域の外側でも安全とは限らない、自然の振る舞いを固定的に考えてしまうことは危険であり、払拭しなければならないということである。実際に、鵜住居小学校は津波による浸水が想定される区域の外側にあったが、今回の津波では校舎の屋上まで浸水し、3階部分には自動車が突き刺さった。想定を信じる怖さを逆に教えられたわけである。2つ目は「最善を尽くせ」ということである。どんな津波が来るかは誰にもわからない。とにかく、その状況下において最善の避難行動をとるということである。3つ目は「率先避難者たれ」ということである。人間は同じことを意味する2つの情報がないと逃げられない。例えば、非常ベルが鳴っただけで逃げ出す人は余りいない。しかし、そこに誰かが「火事だ」と叫ぶような2つ目の情報があると行動に移す。子どもたちには、自分の命を全力で守り必死で逃げる姿が周囲に対する最大限の警告になることを教えてきたそうである。3月11日は大きな揺れが5分続いた。その時に釜石東中学校では、副校長が避難指示を出そうとしたときには既に生徒が大声をあげて全速力で走り始めていた。そして、近くにある鵜住居小学校では全校児童を校舎の3階に避難させていたが、釜石東中学校の生徒が走るのを見て、小学生も合流した。そして、あらかじめ避難所として決めてあった介護施設に逃げた。更に中学生たちが避難所の裏山の崖が崩れかけていることや津波の水しぶきを目にしたため、両校の生徒児童は更に高台を目指して走り始めたそうである。子どもたちが第二の目的地に到着した直後に最初の避難場所である介護施設は津波にのまれた。両校の児童生徒約600人が避難する姿を見て、地域の住民も避難を始め、ある中学生は小学生の手を引いたり、また、避難の途中で合流した保育園の園児の避難を手伝ったり、幼児が乗るベビーカーを押して走ったりしたそうだ。このように、子どもたちの行動で多くの命が救われた釜石の奇跡は、さまざまな機会に報道されたところである。そこで伺うが、釜石の子どもたちの避難状況を踏まえ、学校で行っている避難訓練についても、地域を巻き込んだ避難訓練や避難場所を複数決めた避難訓練など、今までとは違った見直しが行われていると思う。人間は実際に経験したことでないと、いざという時に実行できないと言われているが、避難訓練を見直し、実施した中で、特徴的な避難訓練はあるか。また、来年度における取組の予定についても併せて伺う。

【健康学習課主幹(振興・安全)】
 沿岸部にある県立学校の中には、津波被害を想定して、避難場所を従来の場所から近くにある小高い古墳に変更して避難訓練を実施した学校がある。また、近隣の小学校とも連携し、避難の際には高校生が小学校へ寄り、小学生の手を引きながら避難するという訓練に発展させている。他にも、避難訓練とは異なるが、学校が所在する市町村の防災担当部局と連携し、学校の体育館で生徒が保護者や地元住民と一晩避難所生活を体験した学校もある。学校だけでなく、市町村の防災担当部局においても、避難所用具の確認ができるなど、双方にとって非常に有意義な取組になったと聞いている。
 来年度の予定については、個々の学校の立地条件により対策が異なることや実際に被災した際には避難場所を開設する必要が生じることから、あらかじめ地域の行政機関と連携しておくことが大切であり、こうしたことから、各学校の防災担当者と市町村の防災担当者が顔を合わせ、情報を共有する場所を持つことが必要だと考えている。また、学校種を越えた小中高等学校の近隣校同士の情報交換も大変意義があると考えている。そこで、来年度は県内を5地区に分け、5会場で防災教育の指導者研修会を開催する予定である。研修会では、同地区にある公立の小学校、中学校、高等学校、特別支援学校が一堂に会するほか、市町村の防災担当者や市町村教育委員会の指導主事も参加する分科会の中で情報交換、協議を行うことを考えている。東日本大震災の検証によれば、震災以前から学校と地域が密接に連携していた地区では被害が少なく、避難所運営も円滑に展開されたと報告されている。来年度の研修をきっかけに継続して連携を深めることができればと考えている。

【渡会克明委員】
 文部科学省でも、教職員や児童生徒等の防災に対する意識の向上を図り安全を確保するため、震災の教訓を踏まえた防災に関する指導方法等の開発・普及等のための支援事業を実施するとともに、地域の防災関係機関との連携体制を構築・強化するために実践的防災教育総合支援事業として、指導方法等の開発・普及、ボランティア活動の推進・支援、学校防災アドバイザーの活用などの事業を予定しているとのことだが、詳細は未定のようである。そこで、県では来年度どのような防災教育を考えているのか伺う。

【健康学習課主幹(振興・安全)】
 来年度の研修ではないが、釜石市の防災教育の実践者であった群馬大学大学院の片田教授を昨年の11月に講師として招き、防災教育指導者研修会を開催した。片田教授から「自ら命を守る防災教育のあり方」が紹介され、参加した教員に新鮮かつ強いインパクトを与えていた。研修後の参加者へのアンケートでは、自ら状況判断し行動できる能力を持った児童生徒を育てるために大変参考になったという感想が多く寄せられた。教員の意識が変わったのを受けて、先ほども紹介したが、県内5地区で学校、地域の関係者が集まり、意見交換、情報共有をして、個々の学校でより実情に対応した防災計画や避難訓練ができるような仕掛けができればと考えている。

【渡会克明委員】
 東海・東南海・南海地震が必ず来ると言われるこの地域では、防災教育が非常に重要だと考えている。従来のようにシナリオが決まっている防災教育を行うのではなく、自分で状況判断し、行動できる防災教育、また、将来の地域の防災人材の育成という観点から防災教育をする必要があると思う。そこで、最後に教育長に改めて伺うが、県は今後どのような防災教育をしていくのか。

【教育長】
 この地域では東海・東南海・南海の三連動地震がいつ起きてもおかしくないと言われており、その備えとして、地域、行政機関が一体となった取組が非常に大切である。釜石市の例を示されたとおり、指示がなくとも自ら状況を判断して自分の命は自分で守る子どもたちを育てることが大切であり、防災教育を通じて、東日本大震災の教訓をしっかりと子どもたちに教えることが将来の地域の防災人材の育成になる。そして、子どもたちが家庭に戻れば、親たちに話をし、それが地域全体に広まっていくことが、地域全体の防災力の向上につながっていく。東日本大震災の教訓を風化させることなく、実効的な防災教育を継続していくことが災害への最大の備えになるため、学校教育の中でしっかりと自分の命は自分で守るという精神を植えつける防災教育を行っていきたい。

【渡会克明委員】
 行政に頼るばかりでなく自分の命は自分で守るということを教えることができるのは、教育しかない。しっかりと取り組んでいただくことをお願いする。








安心・安全対策特別委員会(平成23年5月〜)


平成23年8月30日

【渡会克明委員】
 私立高等学校等施設高機能化整備費はどういう内容の事業なのか。今年度、私学でこれを適用する学校はあるのか。

【私学振興室主幹(助成)】
 現在申請している段階で、まだ内定前だが、現時点では該当校が数校ある。高等学校が2校と幼稚園が複数園ある。事業内容は、耐震補強と耐震改修である。

【渡会克明委員】
 高機能化整備という事業名でも、普通の耐震改修ということか。

【私学振興室主幹(助成)】
 国庫補助の申請内容には変更はないので、従前からの項目である。学校の事業計画に基づき耐震改修等について計画が出ている状況である。

【渡会克明委員】
 県立高校には文部科学省におけるこのような補助制度はないのか。文部科学省でなければ、他の省庁で同制度はあるか。

【財務施設課長】
 県立高校にはこのような助成制度はない。ただし、かつて国が緊急対策的に補正予算措置をした時に、県立学校が対象になったことはある。

【渡会克明委員】
 文部科学省は私学に手厚い制度を設けていると考えていいのか。

【私学振興室主幹(助成)】
 文部科学省は、一条校について耐震化に対する補助制度を設けている。その制度に乗っかる形で、施設設備整備費の貸付けという形で上乗せ補助ないしは補助率2分の1以内になるように補助をしてきた。

【渡会克明委員】
 一条校というのは、県立高校も一条校なのか。

【財務施設課長】
 県立高校も一条校である。

【渡会克明委員】
 同じ制度があって、私学は使っているのに、県立高校は使わないのか。

【財務施設課長】
 私学振興室が説明した制度は、公立学校は対象ではなく、私立学校固有の制度で、県立学校は使うことはできない。

【渡会克明委員】
 県立学校の耐震改修において、例えば体育館を改修するとした場合、どのように直すのか。

【財務施設課長】
 まずは発災した際に崩れ落ちないように、筋交いを入れるなどの本体構造部分の補強工事を行う。

【渡会克明委員】
 古いバスケットゴール、観覧席の手すり、窓ガラスなどは改修の対象ではないのか。

【財務施設課長】
 窓ガラス、バスケットゴール等のいわゆる非構造部分にも耐震対策をとるべきだと思っているが、まずは本体構造部分が崩れ落ちることがないように、優先して実施していく必要があると考えている。今回の東日本大震災の被害状況により、非構造部分についても目を向けていく必要があるという教訓を得た。今後は非構造部分にも目を向けていきたいと思っている。

【渡会克明委員】
 崩れ落ちないように改修することは分かるが、授業をすることを考えれば、それだけの措置で十分なのか。

【財務施設課長】
 今回の地震を受けて、国でも今後の施設整備の方針等をまとめている。その中でも非構造部分に目を向けて欲しいということが初めて提案されている。今後は非構造部分の補強に取り組んでいくため来年度予算を考えていきたい。

【渡会克明委員】
 国にも、他部局にも働きかけをお願いしたい。



平成24年1月25日

【渡会克明委員】
 交差点の事故防止対策について伺う。交通死亡事故の53パーセント以上が交差点で発生しており、発生件数において愛知県がワースト1位であることは非常に不名誉なことである。交差点では運転者も歩行者も、お互い気をつけなくてはいけないと分かっているはずなのに、そこで圧倒的な割合で死亡事故が起こっている原因を挙げてほしい。

【交通総務課長】
 原因についてはいろいろな要素があろうかと思うが、本県の交通死亡事故の特徴から多発要因を推察しているので説明する。
 1点目は、交通事故のリスクが非常に高い県であるということである。すなわち、本県は自動車保有台数が全国で最も多く、また、自動車依存率も東京や大阪と比べて非常に高いため、交通事故のリスクが高い環境にあるということが考えられる。
 2点目は、運転者の交通弱者に対する保護意識が低いことではないかと考えられる。交差点における原付以上の車両と歩行者・自転車との事故の約7割が、車両による信号無視や歩行者妨害などを原因として発生している状況である。
 3点目は、歩行者等の交通ルールに対する遵法精神が低いことではないかと考えている。交差点事故や若者による交通事故の実態を見ると、運転者側の法令違反が多く見受けられる一方で、歩行者や自転車の法令違反も散見される。

【渡会克明委員】
 非常に恥ずかしい話である。車の保有台数が多いというのは決して悪いことではなく、それを事故が多い原因につなげてはいけない。やはりモラルの問題であると思う。事故の多発している交差点では信号無視も多いようであるが、具体的に信号無視とはどのような状況をいうのか説明してほしい。

【交通指導課長】
 対面する信号機が黄色ないし赤色の際に、停止せずにそのまま交差点に進入してしまった場合には、信号無視として問われることになる。

【渡会克明委員】
 交差点においてブレーキをかけて止まれる状況と止まれない状況があると思うが、今の説明によると交差点で対面する信号が黄色になったら停止しなくてはいけないということでよいか。

【交通指導課長】
 停止位置において安全に停止できる状態であれば、交差点には入らず停止しなければいけない。

【渡会克明委員】
 恥ずかしい話であるが、私の住んでいる地域では黄色でもどんどん交差点を通過していく。交差点における信号無視の取締りは具体的にどうやっているのか。

【交通指導課長】
 現認といって、現場において警察官が交差点に進入する車両の側の信号機が黄色ないし赤色で通過したということを確認し、違反としている。

【渡会克明委員】
 交差点の形状によっては、見通しがよくないために事故が多発している場合も多い。そういった箇所では交差点改良をすることが有効であると思う。今日の委員会では関係各部局から説明を受けたが、道路管理者、警察・公安委員会、教育委員会及び県民生活部はどのように連携をとっているのか。具体的に何か案件が生じたら集まって相談をするのか。あるいは、定期的に会議等を行っているのか。例えばある交差点において信号無視が多く、事故も起きているとすると、その交差点における対策をどんな形で進めているのか。地元の警察署の対応に任せているのか。

【交通総務課長】
 各警察署においては事故多発交差点等を把握しており、道路管理者と改善策を話し合い、予算の範囲内でできる対策を行っている。

【健康学習課主幹(振興・安全)】
 教育委員会においては、県民生活部地域安全課と県警本部総務課にも出席してもらい、高校生交通安全教育推進会議を年2回開催し、高等学校における交通安全教育の在り方や課題について研究協議している。

【道路維持課長】
 建設部の交通安全対策の取組状況についての資料に記載のある愛知県交通安全対策推進連絡会議を年3回行っている。これは学識者、県警本部、国、県(県民生活部と建設部)を構成員として、交通安全対策のうち主に事故対策について話し合っているもので、具体的には、この会議において危険な交差点を選び、対策の方針を考えて、翌年に現場で実際に対策を実施している。

【渡会克明委員】
 どのように各部局が連携して危険な交差点の改善対策を行っていくのかについて、きちんと現場に反映されているのか。交差点の形状の変更、カラー舗装や取締りの実施について、どこがリーダーシップをとって進めているのか。また、そのことが地域の警察署においても理解されているのか。

【交通規制課長】
 例えば3年ほど前の例であるが、鶴舞交差点において死亡事故がたくさん発生していたため、交通規制課、中警察署、道路管理者が集まり対策を相談した。交差点の形状が非常に悪く、カラー舗装等を行ったが改善は困難で、矢印信号の設置やサイクル調整などの対策をとったところ改善された。

【渡会克明委員】
 そういったことを現場のそれぞれの交差点について協議会をもってやってほしい。矢印の時間を長くするとか、カラー舗装をするとか、取締りをやるとか、実際にその交差点において事故を減らすためにできることを見える形でやってほしい。運転者目線、歩行者目線それぞれあろうが、関係者が集まって現場を実際によく見ることにより問題が解決できるのではないかと素人考えに思う。

【交通総務課長】
 委員の指摘のとおり道路はいろいろな方が利用するものであり、運転者目線、歩行者目線等いろいろな観点から考えていくのが当然であると思う。





公営企業会計決算特別委員会(平成23年5月〜)


平成23年10月17日

【渡会克明委員】
 あいち小児保健医療総合センターの医療圏別の貢献について伺う。

【あいち小児保健医療総合センター長】
 診療科ごとにさまざまな特色はあるが、患者は県全体、東海地区、全国に及んでいる。二次医療としては、患者が多い知多半島医療圏について担っていくべきだと考えている。二次救急については、早急に365日対応できる体制を作り、知多半島医療圏及び西三河医療圏について担っていきたいと考えている。他県では、特に、静岡県立こども病院にしっかりとしたPICUがあるので、あいち小児保健医療総合センターも4年後にはPICUを設置し、愛知県全体の三次救急を担っていきたいと考えている。

【渡会克明委員】
 あいち小児保健医療総合センターは、平成13年11月に愛知県の予防接種センターの指定を受けて予防接種を実施しているが、平成22年度愛知県病院事業報告36ページの診療行為別収入では、入院の注射収入が外来の注射収入と比較して非常に多いという特徴があるが、他県と比べてどうか。

【あいち小児保健医療総合センター長】
 他県の小児病院の多くは悪性腫瘍を扱っており、外来でも非常に多くの注射を使用するが、あいち小児保健医療総合センターでは悪性腫瘍を扱っていないため、他県と差が生じているが、これは病院それぞれの特色の違いだと考えている。県内では、名古屋大学医学部附属病院や名古屋第一赤十字病院が小児悪性腫瘍を扱っており、あいち小児保健医療総合センターは開設時の経緯から、他の医療機関がしっかり対応していることは行わないという方針があるので、現在、あいち小児保健医療総合センターで悪性腫瘍の取扱いはしないことになっている。

【渡会克明委員】
 平成22年度愛知県病院事業報告の27ページ及び37ページに、職員の状況の年度推移と他県との比較があるが、この数値の内容と、4年後に三次救急を目指す考えとのことだが、その意気込みについて伺う。

【あいち小児保健医療総合センター長】
 現在の看護師数では、病床利用率を上げると7対1看護が確保できないため、昨年度は途中で増員し対応した。病床利用率の向上は一病棟ごとに実施しているので、近年ようやく他県の病院に近づいてきたところである。また、三次救急への対応にあたっては更なる人的資産が必要となるため、4年後に合わせて毎年度人員を増やし、対応していきたいと考えている。

【渡会克明委員】
 万全の体制で臨んでほしい。他県の同種病院との比較も大切だが、あいち小児保健医療総合センターの特色について、県民へどのようにPRしていくのか。

【あいち小児保健医療総合センター長】
 あいち小児保健医療総合センターの特長は、何より子どもの療養環境に重きを置いている点であり、また、今までは主として慢性期医療を行ってきたが、ここ数年は急性期医療の充実も図っている。県全体では、あいち小児保健医療総合センターが急性期医療を、コロニー中央病院が慢性期医療を受け持つという方向性で考えている。

【渡会克明委員】
 決算審査意見書1ページの第2、審査の方法に、「事業の経営は、常に経済性の発揮及び公共の福祉を増進するよう運営されているかなどの点に注意するとともに定期監査、例月出納検査等の結果をも考慮し、慎重に審査を行った。」と記載されているが、出納検査等の等には何が含まれているのか。

【監査第二課主幹(企業会計決算・監査)】
 包括外部監査が含まれている。

【渡会克明委員】
 過去の不適正経理発覚後、県内部の監査だけでなく包括外部監査も受けてはどうかという話があり、平成21年度に包括外部監査を受けたのではないのか。

【経営課主幹(経営)】
 貸借対照表と固定資産台帳が一致していないことについては、平成21年度に受審した包括外部監査で指摘された事項の一つである。がんセンター愛知病院を除く4病院については固定資産台帳との照合をし、既に修正を行ったが、がんセンター愛知病院は確認作業が遅れたため、平成22年度の審査意見書においても意見が附されている。

【渡会克明委員】
 このようなことがあったことは残念で仕方がない。
 システムがあり、定期監査も行っているため、職員の失念であったという説明で済ませるというのはあり得ないのではないか。医師を始め事務職員まで、固定資産は県民の財産でもあるという意識があれば、このようなことは起こらないのではないか。今後の対策をどう考えているのか。

【病院事業次長】
 本当に反省しなければならないと思っている。県民の税金を使い施設や備品の整備を行っており、購入した備品は一つ残さず管理することが責務だと考えている。がんセンター愛知病院の固定資産の処理漏れに関しては、病院だけに任せることなく、本庁職員も病院に出向き一体となって内容の解明に努めてきた。今後は再発防止が極めて重要であると考えており、具体的な再発防止策を早急に検討し、このようなことが二度と起こらないよう取り組んでいきたい。

【渡会克明委員】
 しっかりと対応して欲しい。また、監査委員事務局も引き続き漏れのないよう監査をして欲しい。

【病院事業庁長】
 貴重な意見をいただいた。私自身も不適正経理発覚後、その一部が病院事業庁でもあったため、このようなことが現場でなぜ起こるのか私なりに詳細に分析したが、職員の意識の問題が根底にあり、意識を変えるには相当な時間を要する。毎年反省し、対策を練っても同じことが起こっており、職員の意識に変化が見られないことにも気が付いている。再三、意識改革について伝えており、何十年の間に培われた意識を変えるには時間を要するが、一つ一つ潰していくしかない。当事者には厳しく注意しているが、今後も厳しい指摘をいただきたいと思う。




発言録へもどる