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産業労働委員会(平成25年5月〜)

平成25年6月24日

【渡会克明委員】
 インフラ整備や特区制度は、産業振興において大事なことである。そこで、特区についてその仕組みを伺う。

【産業労働政策課主幹(広報・企画調整)】
 国の特区制度は、構造改革特区、国際戦略特区、国家戦略特区の三つある。  一番古い制度は構造改革特区であり、県では地域振興部地域政策課が所管し、産業労働部では個別の提案がある都度、地域振興部と連携・情報共有を図り対応している。産業労働部の全体取りまとめは、産業労働政策課である。  国際戦略特区については、最近、アジアNo.1航空宇宙産業クラスター形成特区が認定されたところであるが、知事政策局企画課が所管している。ただし、中小企業や企業の事業等を産業労働部が所管するため、両部で連携・情報共有して取り組んでいる。産業労働部内においては、部の取りまとめを産業労働政策課、航空宇宙産業振興の分野については産業振興課次世代産業室がそれぞれ所管している。  日本再興戦略に位置づけられた国家戦略特区については、知事政策局企画課と地域振興部地域政策課、産業労働政策課の共管となっている。この特区は、現在、国において制度設計が行われており、県の取組は情報収集の段階であるが、県の主張ができるだけ国に取り上げられるよう、情報交換を行い取り組んでいく。

【渡会克明委員】
 特区においても企業誘致が大事であるが、企業誘致はあらゆる施策から取り組まないといけない。今の補助金の成果がまだ検証されない中で早計かもしれないが、補助金の制度だけでなく、企業立地支援策として、県営の賃貸工場も考えられる。加えてそこでは、何年以上操業することや、雇用者を何人以上とすることといった、条件を付けることも考えられる。そこで、今後の支援策について県の考えを伺う。

【産業立地通商課主幹(産業立地)】
 不動産取得税の減免措置については、アジアNo.1航空宇宙産業クラスター形成特区等に立地する場合に、課税を免除する制度を設けたばかりである。県では、産業労働部、企業庁及び東京事務所で、年間延べ1,500件を超える企業訪問を行っており、この中での情報、また、委員からの意見も参考に、新たな誘致や支援策について今後更に考えていきたい。

【渡会克明委員】
 やはり、先手を打って、企業側が立地しやすい環境を追求することが重要である。それが、県内各地で活性化を押し上げることになるのではないかと思うので、要望する。



平成25年6月25日

【渡会克明委員】
 名豊道路は浜松とつながり、蒲郡バイパス、豊橋バイパス、豊橋東バイパスと、地元産業界も大いに期待しているところである。新東名も平成26年度、遅くとも平成27年早々につながると思われ、企業としても岡崎、額田、新城等内陸部について、進出先として現実味を帯びてくると思われる。このような状況を踏まえた、企業の投資、立地意欲の現状について伺う。

【企業誘致課企業誘致担当課長(経営計画・企業誘致)】
 新東名の愛知県区間が開通することによる広域交通アクセス向上の効果を受ける地区として、新城南部地区と岡崎東部地区がある。昨年度、岡崎東部地区については3件、新城南部地区としては、1件立地しており、引き続き物流も含めて幅広に誘致に努めたい。

【渡会克明委員】
 インフラの整備が進めば地元市町の開発要望もあると思う。産業労働部とも協力して対応していると思うが、企業の反応や市町の要望などの状況について伺う。

【工務調整課長】
 新規開発に関する市町の要望については、インフラ整備の影響もあり、幾つかの市町で声が高まっていることは事実であり相談も受けている。県としてもアクセスの観点が企業にとって一番の要素になると考えている。開発に当たっては採算性や地域の理解などの要件を踏まえ、条件が整った所から対応をしていきたい。

【渡会克明委員】
 企業からの反応はどうか。

【企業誘致課長】
 企業の関心もある。交通アクセスの向上から多数の引き合いがある。実を結ぶようにしていきたい。

【渡会克明委員】
 こうしたインフラ整備や特区など優遇制度を設けるような状況になれば、企業や市町の意識も変わってくると思う。県としても今後とも努力を続けてほしい。  次に中部臨空都市について伺う。当初はなかなか立地企業がなかったので心配をしていたが、近年立地が進みほっとしている。これも、特区の指定、県の優遇制度や企業庁の企業誘致活動の努力のたまものだと思っているが、改めて現在の状況について伺う。

【企業誘致課企業誘致担当課長(臨空都市推進)】
 中部臨空都市は、空港島が分譲計画面積70ヘクタールのうち契約面積25.1ヘクタール、対岸部が分譲計画面積87ヘクタールのうち契約面積50.8ヘクタール、合わせて分譲計画面積157ヘクタールのうち契約面積75.9ヘクタールとなっており、契約率にして48.3パーセントとなっている。現在のところ、空港島が22社、対岸部が10社、計32社の立地となっている。引き合い状況については、空港島が1社、対岸部が3社となっている。

【渡会克明委員】
 対岸部については、コストコホールセールジャパン株式会社や株式会社かねふく等の話を聞いているが、空港島の引き合いが1社というのは寂しいことである。特区の優遇制度等もあるのだから早く空港島についても誘致が進んでほしい。企業はアンテナを張っている。いろいろな優遇制度など、県の情報発信が大切だと考える。空港島の航空宇宙産業の誘致について、産業労働部との連携や働きかけなどがあれば伺いたい。

【企業誘致課企業誘致担当課長(臨空都市推進)】
 国際総合戦略特区「アジアNo.1航空宇宙産業クラスター形成特区」は、平成23年12月に内閣総理大臣による指定を受け、中部臨空都市空港島の一部である臨空生産ゾーンも、区域指定を受けている。特区の指定を受けると、税制優遇や利子補給、工場立地に係る緑地規制の緩和など、企業を誘致するに当たり多くのメリットがある。また、特区のメリットに加え、産業労働部が窓口となる当県独自の21世紀高度先端産業立地補助金や、今年度から新たに実施する航空宇宙関連産業の製造業に限った不動産取得税の免除など、大変手厚い優遇制度がある。このような手厚い優遇制度も活用し産業労働部とも連携を図りながら、企業訪問を行っていきたいと考えている。

【渡会克明委員】
 企業訪問を行った際の企業の反応はどうか。

【企業誘致課企業誘致担当課長(臨空都市推進)】
 平成23年12月に特区の指定を受けて以来、この点もセールスポイントにして訪問を行っている。残念ながらすぐに立地するという意向を示す企業はないが、企業誘致は長い期間で取り組んでいくものであり、粘り強く続けていきたい。

【渡会克明委員】
 企業を集積することが大切だと思う。企業庁も正確なデータを集め、何をどうすれば企業の触手が伸びるのか、企画部門や産業労働部とも連携し、先手を打つ必要があると思う。庁長の考えはどうか。

【企業庁長】
 委員の考えのとおりと思う。ただ、臨空生産ゾーンは空港島にあるが、現時点では臨空生産の核となるような企業、製造業の立地がない状況である。今後とも、中長期的に企画部門や産業労働部と連携をしつつ、企業からの情報も収集して、特区として発展していくよう取り組んでいきたい。

【渡会克明委員】
 先人の取組が花開くようにしなければならない。各部門と連携しつつ、今後とも尽力してほしい。




平成25年10月2日

【渡会克明委員】
 モノづくり愛知の中核となる自動車産業について質問する。  我が国の自動車市場は、1990年をピークに縮小傾向に入っている。少子高齢化や若者の車離れ、また車の耐久性向上による買換え期間の長期化などが理由である。  世界における我が国の自動車生産の割合は、2001年から2011年の期間ではおおむね30パーセント前後で推移している。国内生産を見ると、2001年は978万台(17パーセント)、2011年は840万台(10パーセント)に減少、海外生産については、2001年は668万台(12パーセント)、2011年は1,338万台(17パーセント)となっており、10年間で国内生産と海外生産の割合が逆転している。  次世代自動車といわれるハイブリッド車、電気自動車、プラグインハイブリット車、燃料電池車、クリーンディーゼル車などは、2020年には世界の市場の40パーセントを超えるともいわれている。  愛知県では知の拠点を整備し、新技術の研究・開発を行う場ができた。トヨタ自動車株式会社はテストコースを整備し、研究開発に力を入れている。堤工場ではハイブリッド専用車であるプリウスが生産されているが、愛知で生産される車の量は今後増えるとは思えない。量ではなく質に変わってくると思うが、愛知県は造るものを変える、新たなものを造る企業を誘致しなくてはいけないのでないかと考えてしまう。  トヨタ自動車株式会社を例にとっても東北や九州で生産が進んでいる。今後、プリウスが世界市場に出ていくと、生産は東北、九州でもいいのではないかとなってくる。  愛知県ではインテリジェントカーやITSへの取組が様々になされているが、県としての認識を伺う。

【次世代産業室長】
 自動車産業に関しては、トヨタ自動車株式会社も国内生産が減ってきていることを受け、昨年3月、愛知県では「あいち自動車産業イノベーションプラン」を策定した。キャッチフレーズは、脱自動車でなく自動車プラスアルファである。主として2点、一つは既存技術を生かして次世代自動車に対応すること、もう一つは航空宇宙や環境、新エネルギーなどの新分野への展開である。新しい事業展開へのきっかけを提供することを目的にこのプランを策定し、昨年度から中小企業、中堅企業を対象としたセミナーなどを開催している。

【渡会克明委員】
 九州では、日産自動車株式会社、日産車体株式会社、トヨタ自動車株式会社、ダイハツ工業株式会社がいろいろな会議のメンバーとなって、良い形で九州の自動車産業を発展させようとしている。福岡県知事が音頭をとって、オール九州で自動車産業の一大集積地を作り、量産化、インテリジェントカーの生産拠点を増やそうとしている。  愛知県は安定していて、守りに必死で貪欲さが少ないように感じる。もし今後、自動車メーカーが、量産は九州で行い研究開発は愛知で行うと考えたら、どのような影響があるのか。

【次世代産業室長】
 この地域でも東海3県で取組を行い、他地域に打って出ようと昨年度から取り組んでいる。昨年は日産自動車株式会社の本社がある神奈川県で新技術・新工法を紹介する商談会を開催した。今年度はマツダ株式会社がある広島県で同様の商談会を開催し、東海3県合わせて60社が出展する。この地域の企業が、トヨタ自動車株式会社、三菱自動車工業株式会社だけでなく、他の地域の企業とも連携しようと昨年来取り組んでいる。

【渡会克明委員】
 トヨタや三菱という系列だけでなく、系列によるサプライチェーンを超えることができるかどうかがこれからの発展に大きく関係してくる。中小企業の技術を生かして、他業種を目指すことが簡単にできるのかどうかである。自動車産業イノベーションセミナーを2回行ったというが、その感触はどうか。

【次世代産業室長】
 今年度の2回目のセミナーで、新たに企業の先進事例紹介の後、グループに分かれてコーディネーターと企業との意見交換を行った。新しい分野である航空宇宙や新エネルギーなどのグループで、活発な意見交換もあり、好評であった。

【渡会克明委員】
 こうした新しいことを目指すためのセミナーへ中小企業に参加してもらうには、相当の努力がいると思うが、どのように広報したのか。積極的に行ったのか。

【次世代産業室長】
 商工会や商工会議所、市町村を通じて広報を行った。また、昨年度このセミナーに参加した人の中でも、100社程度は他の分野のセミナーにも参加しており、セミナーでの紹介の成果も出ていると思っている。

【渡会克明委員】
 車の生産台数は減少し、買う人も少なくなっており、自動車産業は転換点に来ている。行政としても様々な見方をして、県民の納得する方向性を見いだすことが必要である。愛知県としては、どう考えているのか。

【産業労働部長】
 少し古い情報かもしれないが、九州はアッセンブリーを頑張っているが、部品生産については、地場の産業が育っていない。部品製造など、主要な部分は愛知県から持ち込んでいると思う。トヨタ自動車株式会社は、300万台を国内で生産するとしているが、愛知県だけでの生産ではないので、確かにアッセンブリーは九州や東北に行く部分があり、雇用面では分散すると思われる。  こうした中でも、自動車産業は、引き続き愛知県の基幹産業であるので、全国的な取組として知事が取り組んでいる車体課税見直し要請をしっかりやっていく。今までは中小企業への金銭的な支援をしてきたが、最近の取組は自動車安全技術や燃料電池車インフラなど、県と企業とが協力して、インフラや企業が必要とする行政情報や環境を提供していくことを先進的に行っている。  関東では、日産自動車株式会社がアジア地域全体で部品調達を進めていくこととして、異業種転換は進んでいるかと思われるが、この地域の自動車産業では、国内市場で頑張っている企業が多いので、まず国内で生産、需要を作り出していく。部品メーカーもコンパクトな設備ラインで、需要変動に対応し、アジアに負けないよう競争力をもって頑張っていく必要がある。  自動車だけではやっていけないところは、航空宇宙や医療分野など、新しい産業で中小企業らしさを出していけるよう、新しい分野でバックアップしていく必要がある。プランはその時にはベストとして策定しているが、状況の変動に柔軟に対応していきたいと考えている。

【渡会克明委員】
 愛知の中小企業は誇りを持ってやってきた。さすが愛知と言われるよう、高付加価値を付ける、また、ものづくりの底辺を支える人材育成、交流が愛知でなければできないということが必要である。そのための行政の支援を引き続きお願いする。



平成25年10月3日

【渡会克明委員】
 企業誘致について伺う。臨空都市対岸部については、8月30日にコストコが開業し、新聞上でもテレビ上でも大きく取り上げられているところだが、昨年12月に開業しためんたいパークで有名な株式会社東京かねふくについても、大盛況であると聞いている。さらに、ユミコア日本触媒株式会社常滑テストセンターも今月に操業、イオンモールについても今年の秋には着工、来年開業予定と聞いており、空港対岸部は相当なにぎわいを見せ始め、今までのりんくうのイメージが大きく変わってきている。また、常滑市や中部国際空港株式会社においても、コストコやイオンモール等の出店の動きについて大きな期待を持っているわけであり、地域の活性化について、企業庁や産業労働部にいろいろな話があるのではないかと思う。例えば、私の地元の豊橋市にもイオンモールがあるが、このような施設があると、他の様々な施設や企業に対しても大きな影響を与え、さらには、インフラの整備促進にもつながるであろう。こうした動きの中で、今後、企業庁は臨空都市での取組についてどのように考えているか。また、商業施設のゾーンや研究開発のゾーンなどがあるが、空港島も含め、その区画の用途の変更があり得るのか。加えて、今年4月にオープンしたNTPマリーナりんくうの状況についても伺う。

【企業立地部長】
 コストコはオープンしてから非常に盛況であり、東海地区1号店ということも加わって、東海地区はもちろん、それ以外の地域からも多くの人が来店されている。渋滞については非常に心配したが、県が暫定的に駐車場を用意したこともあり、回避することができた。土日以外でも暫定駐車場がかなり埋まるほどのにぎわいである。また、隣の東京かねふくについても非常に盛況であり、年間の集客目標を200万人としていたが、先日、10か月たった時点で、既に200万人を突破したと聞いている。コストコや東京かねふくの集客力は期待以上のものであった。
 次に、中部臨空都市の計画であるが、平成14年9月に策定した中部臨空都市推進計画において、商業系、製造系及び物流系ゾーンと区分し、ほぼ計画どおり進んでいると考えている。一方、話がなかなか進展しなかったイオンモールについても、先日、出店概要書の提出があり、9月27日には地元説明会も開催され、やっと目に見える形で動き出したと思っている。イオンモールは1,000万人以上の集客を見込む、まちづくりの中核的・先導的な施設と認識しており、今後とも、空港対岸部については、こうした施設の集客力を生かしたまちづくりを進めていきたい。
 マリーナについてであるが、駅の南側では、以前伊勢湾フェリーが営業していた。しかし、平成19年3月に撤退し、その後未利用となっていたが、同地は景観が良いため、県や市としてはぜひともマリーナを誘致したいと考えていた。そこに、ようやく今年4月に、名古屋トヨペット株式会社を事業実施者としてマリーナが営業を開始した。まだ船自体はそれほど入っていないが、停泊の契約は順調に進んでいると聞いている。施設も非常に高級なものであり、景観形成に寄与しているものと考えている。一方、マリーナの北側に分譲区画があるが、既に複数の企業から引き合いもあり、成約できるように頑張っていきたい。また、西側には、結婚式場も幾つかあり、その辺りは落ち着いた街並みにしたいと考えている。

【渡会克明委員】
 戦略的な誘致のために、空港島と空港対岸部の相互の連携を図る上でも、企業庁も入った組織体ができると良いのではないか。  さらに、要望になるが、産業労働部の所管であるが、観光を意識した集客を進めていくべきであり、企業庁も可能な限り関与してほしい。  また、これは空港島の誘致につながる話だが、新東名高速道路の開通や、直接の関係はないかもしれないがリニアの開業に関する動きが報道され、この地域が非常に脚光を浴びている。当然企業はそうした動きを見ているが、特に愛知県の施策で特色のある航空宇宙産業や健康長寿産業の関連について、企業の引き合いの状況はどうか。

【企業誘致課長】
 空港島への誘致の計画については、空港に隣接していることから、空港を支援する機能を位置づけており、総合物流ゾーンとホテルを始めとした港湾交流ゾーン、製造業を視野に入れた臨空生産ゾーンの三つに区分している。  これまで、総合物流ゾーンについては、平成17年の空港開業時に立地が相当進んだが、その後の空港貨物量の減少により、誘致も苦戦している。また、平成23年には、スマートフォンの部品を製造している株式会社山寿セラミックスが立地した。この企業は、空港島で初めて立地した製造業者であり、非常に小さな電子部品や付加価値の高い部品を製造し、海外にも輸出している。今後とも、山寿セラミックスのような空輸型の企業や、特区も活用しながら航空宇宙産業分野の企業を始めとした企業誘致を進めたい。

【渡会克明委員】
 企業の立地については、何がきっかけで進展するか分からないところがある。現にそのきっかけになりそうなこととしては、中部国際空港における2本目の滑走路設置の話がある。そこで伺うが、どのようにすれば企業が立地に手を挙げてくれると考えているのか。

【企業庁長】
 その点については、やはり難しい問題である。現状としては、空港島についてはあまり企業からの立地の引き合いはない。しかし、これまで水抜きを行っていた臨空生産ゾーンについて造成が完了し始め、加えて、対岸部は世間から注目を相当浴び、風向きは良い状況であるため、今後は、対岸部と空港島の全体を見据えた中で、どうしたら企業に立地してもらえるか、アピールできるかについて、戦略を練っていかなければならないと考えている。企業庁だけでなく、中部国際空港株式会社や常滑市と今まで以上に情報交換、連携を密にして進めたい。
 また、企業庁は独立採算方式であるが、イオンモールやコストコの立地契約は、リースであるため、今後は土地を売却していくことも企業庁の財務状況の改善のために重要である。そういったことも併せて検討したい。

【渡会克明委員】
 やはり戦略的な取組が必要であり、まず産業労働部、中部国際空港株式会社、常滑市などが一体となれるような組織体が必要である。  最後に、内陸部の企業誘致の状況と、対岸部の引き合い状況についても話ができる範囲で教えてほしい。

【工務調整課長】
 内陸部の状況についてであるが、稲沢三宅地区と大府木の山地区は完売し、豊川大木地区についても、現在造成中にもかかわらず5件が契約済みである。内陸部の土地の在庫が少なくなっている状況において、以前から複数の市町から要請を受けて検討していたが、昨年度からは県からも市町に出向き、候補地も含めて情報交換を行ってきた。開発の要件が整ったところから進めていきたい。

【企業誘致課企業誘致担当課長(臨空都市推進)】
 空港対岸部の具体的な引き合いであるが、東京かねふく、コストコ等、話題性の高い企業の進出が相次ぎ、それに関連して、不動産業、飲食業、小売業といった企業からの問合せが増えてきており、中には、立地に向けた具体的な話も複数ある。

【渡会克明委員】
 引き続き努力を続けてほしい。



平成25年12月10日

【渡会克明委員】
 愛知県は、平成27年に観光ボランティアガイド数を3,000人にすることを目指している。現在、東京都の観光ボランティアガイド数が1,366人である一方、愛知県は2,595人であり、これは誇らしいことである。今後は、MICE(ビジネスイベントの総称)の開催が多くなるため、MICE専門のボランティアの育成が必要であると思うが、その考えを伺う。

【観光コンベンション課主幹(企画・イベント)】
 MICEは重要であり、交流人口の増大、知名度のアップなど地域の活性化につながる。本県では、これまでCOP10、ESDユネスコ世界会議、技能五輪全国大会などを誘致している。観光ボランティアガイド数は、愛知万博を開催した時に一気に増えたため、人数は多いが、MICE専門のボランティアについては、育っていないのが実情である。ただし、多くの会議を経験しているので、知識やノウハウは蓄積されている。

【渡会克明委員】
 おもてなしという言葉が世間では流行しているが、この言葉は愛知万博の時から認識されている。おもてなしをキーワードとして取り組むべきである。人材の育成・活用は重要であり、行政が積極的に専門的なボランティアを育成していくことが大事であるが、どのように考えているか。

【観光コンベンション課主幹(観光振興)】
 人材育成事業として、観光まちづくりゼミを実施しており、観光の分野で活動・活躍しているNPO、旅館の主人、観光協会の職員などを対象にしている。活動内容は、グループに分かれ、地域の魅力を感じるツアーを企画してもらう。そして、各グループでプレゼンテーションを行い、ゼミ生相互で投票し、その中から二つのツアーを実施する。ゼミ生は参加者の目線で勉強ができ、実施側はおもてなしを経験できる。今年は55人の応募があったが、参加者の熱意は高い。

【渡会克明委員】
 標識等の案内サインを多言語化することは非常に重要である。東京では、外国語表記の案内サインが進んでいるし、博多ではハングル表記が当然とされている一方、名古屋は遅れている印象である。  また、ウェブサイトやSNSでの情報発信も重要である。インターネットは世界との垣根がなく、東アジア各国はSNSなどのネット環境が進んでいる。個人旅行客を呼び込むには、こうしたインターネット等の社会基盤整備が重要であるが、このことについての本県の考え方を伺う。

【観光コンベンション課主幹(観光振興)】
 外国人にとって、渡航先での母国語や英語による案内板は頼りになる。本県では、市町村が観光地に外国語の案内板を設置する際に、観光施設費等補助金制度で助成している。  また、SNSなどのインターネットは瞬時に情報提供ができ、双方向性もあり、非常に有効だと考えている。インターネット環境の整備について、県内の多くのホテルでは、ロビーや客室でインターネットにアクセスできるような環境が整っている。また、大須商店街も無線LANが使える環境にある。

【渡会克明委員】
 東京都は観光に関する計画で、観光を産業として捉えている。本県の観光振興基本計画は平成27年度で終了するため、新たに策定すると思うが、そのスケジュールや手順はどうか。

【観光コンベンション課長】
 次期基本計画は、平成27年度末までに策定することを考えている。来年度は、有識者や観光関係事業者、観光関係団体などに対し、幅広くヒアリングを行い、意見を集約する。加えて、東京都を含め他県等のプランも参考にして、方向性を探りたい。その翌年度には、早々に検討委員会を立ち上げ、秋までに骨格を固め、その中で目玉となる事業について予算要求を行いたい。そして、28年度の新計画の実施に合わせ、新たな事業も開始できるようなスケジュールを考えている。

【渡会克明委員】
 計画の見直しに当たり、タイムリーな動向を調べることが必要である。予算を立てて、動向を把握した上で計画づくりを行うべきであると思うが、どう考えるか。

【観光コンベンション課長】
 計画をつくるに当たり、アイデアやヒントをどのような形で把握していくのか、マーケティング手法を含め、新たな視点を盛り込んで検討したい。

【渡会克明委員】
 観光を県の産業施策として位置づけ、きちんと予算を確保することが重要である。観光は経済効果が幅広く波及するため、県民にとってもプラスになると思うが、部長の考えを伺う。

【産業労働部長】
 知事は、「人、モノ、金をうまく引き付けていくのが、部の使命である。」と言っている。新規事業の予算獲得は、財政状況が厳しく、工夫しないと難しい。何かきっかけを捉えていくことが大切であり、計画の策定は一つのきっかけになる。来年度すぐにというわけにはならないが、先を見据え準備していきたい。



平成25年12月11日

【渡会克明委員】
 まず、中部臨空都市の現況について伺う。

【企業誘致課企業誘致担当課長(臨空都市推進)】
 空港対岸部では、昨年12月に開業した株式会社東京かねふくのめんたいパークとこなめで、11月末時点の来場者が約250万人あり、年間目標数200万人を大きく上回ったと聞いている。また、8月30日に開業したコストコ中部空港倉庫店は、現在も非常ににぎわっている。企業庁が自動車ナンバーを調査したところ、名古屋ナンバーが約5割、名古屋ナンバー以外の県内ナンバーが約3割、県外ナンバーが約2割あり、広域から来客があることが実証された。話題性のある施設の立地が新聞やテレビで大きく取り上げられたこともあり、企業からの問合せも増えている。現在、飲食業、小売業、サービス業など9社から契約に向けた具体的な引き合いがあるので、できる限り早期に契約締結できるよう努力する。

【渡会克明委員】
 大須の商店街のような、企業の共同体を作ると効果が出ると思うが、そのような動きはあるのか。

【企業誘致課企業誘致担当課長(臨空都市推進)】
 中部臨空都市では、当初の推進計画の段階で、まちづくり協議会を設置することになっている。中部臨空都市の立地企業数が32社となったので、今年度、企業と常滑市役所も交え、来年4月のまちづくり協議会設立に向けた準備を行っている。

【渡会克明委員】
 若い人からお年寄りまで、時間を掛けて遊んだり買物ができたりするとよいと思う。今後のビジョンについて伺う。

【企業誘致課企業誘致担当課長(臨空都市推進)】
 中部臨空都市については、NTPマリーナりんくうやりんくうビーチなど、若い人が集まる場所がある。来年秋の開業に向けて準備を進めているイオンモールは、施設の詳細は発表されていないが、通常のショッピングセンターではなく、時間消費型の楽しめるショッピングセンターを造ると聞いているので、空港島への効果も期待している。

【渡会克明委員】
 浜松市には、イオンモール浜松志都呂がある。大型複合施設ができるとファーストフード店などがたくさんできる。近くには公園があり、子供や孫を連れた家族が大勢来ている。まちづくりの観点で考えているかもしれない。企業庁の所管ではないかもしれないが、多くの人が集まり、可能であれば宿泊できるようなまちづくりをしてほしい。愛知県は、国際戦略特区の話を進めている。現在三つの特区を提案しているが、新たに、あいち医療イノベーション推進特区と雇用制度改革リーディング特区を国に追加提案している。特区は、様々な企業に波及すると思う。立地を進める中で特区の話が出てきたときは、企業庁の職員も対応してほしい。
 内陸用地について、在庫や売行きの状況を伺う。

【企業誘致課企業誘致担当課長(経営計画・企業誘致)】
 既存の内陸、臨海工業用地は、リーマンショック後の景気の長期低迷、さらには、その後の東日本大震災の影響などにより、需要が低迷した時期があった。その後、景気の回復もあり、昨年前半から事業拡張や老朽化施設の移転需要が数多く聞かれ、企業立地が進んだ。特に、最近開発した稲沢三宅地区や大府木の山地区については、立地条件に優れているため、造成工事完了と同時に完売した。また、岡崎東部地区については、残り1区画となるなど、企業誘致は好調に推移している。過去には、内陸用地の在庫状況が150ヘクタールという時期もあったが、現在分譲中の面積は38.5ヘクタールと少なくなっている。

【渡会克明委員】
 在庫は38.5ヘクタールとのことであるが、利便性が良くない所は、なかなか買手が付かないのかもしれない。しかし、都市部に近い所は、これから必要になると思う。地権者の問題が解決すれば新たな開発が一気に進むとの話も聞いた。地元自治体からの相談に対する県の対応状況について伺う。

【工務調整課主幹(工務調整)】
 昨年度、企業庁では、内陸用地の減少を受けて地元自治体に出向き、開発候補地に関してヒアリングと洗い出しを行った。その後、相当数の相談があり、地区の絞り込みと事業化の検討を進めてきた。現在は、複数の開発候補地について地元自治体と具体的に協議を進めており、開発決定に向けて準備を進めている。

【渡会克明委員】
 企業庁として、中長期的にはどのように考えているのか。

【企業誘致課企業誘致担当課長(経営計画・企業誘致)】
 企業庁の立場では、造成の話が主となる。特区構想が実現すると、様々な支援措置がある。規制緩和、緑地の緩和や建築基準法の緩和、金融面、税制面、さらには、税額の控除などが認められると、外資系企業の進出や次世代産業といった関連産業の誘致が期待できるので、我々としても産業労働部や地元自治体とも連携しながら、情報収集に努めたいと考えている。

【渡会克明委員】
 特区に認定されれば、結果として企業立地が進むと思う。商売はいろいろなことを考えて先手を打たなければならない。造成して土地を用意しておくことは難しいかもしれないが、常に企業が食指を動かすことができる環境にしておくことが大切である。そのためには、勉強し、アンテナを張り、地元自治体や産業労働部と連携を図れば、決して不可能ではない。愛知県が潤うように、企業庁も力を尽くしてもらいたい。

【企業庁長】
 地元自治体との意見交換は、密に行っている。熱意のある自治体が多い。用地の取得見込みや地権者が同意することが物事を進める基本であるので、地元自治体にも頑張ってほしいことを伝えている。我々としても、企業立地の見通しや、地権者からの要望を他部局に伝えながら、できることは対応したいと考えている。  また、特区や新規の成長産業についても、産業労働部と連携し、また、我々もヒアリングや専門機関を使った将来調査なども行い、常にスタッフ全員で共通認識を持って取り組んでいる。地元自治体に不安がある場合には、できる限り勉強して支援していきたいと考えている。

【渡会克明委員】
 是非アンテナを張り、勉強して、企業誘致を進めてほしい。以前は塩漬け用地などといわれていたが、努力してここまできた。企業庁長が言ったように、しっかりと営業すれば、地元自治体も安心感や自信を持ち、企業誘致は進んで行くので、これまで以上に頑張ってほしい。



平成26年3月13日

【渡会克明委員】
 観光振興基本計画推進事業費の内訳を教えてほしい。  また、観光関係団体事業費補助金について、補助対象となった団体とその額を教えてほしい。

【観光コンベンション課主幹(企画・イベント)】
 観光振興基本計画推進事業費の内訳は、県民会議開催費が54万5,000円、観光産業推進事業費が196万1,000円、武将観光推進事業費が2,496万2,000円、地域観光ブランド推進事業費が12万1,000円であり、そのほか、なごやめしブランド事業費などで若干事務費を計上している。  観光関係団体事業費補助金の内訳は、日本観光振興協会への負担金が460万5,000円で、会費が58万6,000円、愛知県観光協会への補助金が33万9,000円である。

【渡会克明委員】
 補助金は、有効に使われるようチェックしてほしい。  武将観光推進事業費は、毎年、観光振興基本計画推進事業費で予算計上しているのか。

【観光コンベンション課主幹(観光振興)】
 毎年、観光振興基本計画推進事業費に含めて予算計上している。

【永井雅彦委員】
 短期的な目の前の情報だけでなく、中長期的に、周辺国の市場動向などのいろいろな情勢について、点ではなく面で、特にASEAN全体を捉えられるような情報を収集して、企業に展開することを要望する。

【渡会克明委員】
 観光事業ももっと大きな産業と捉えるべきである。愛知は、自然や食などいろいろな観光資源に恵まれているのに、従来型の情報発信しかしていない。体制も予算も戦略的な施策も薄いのではと考える。そこで、まず、東京での生活が長い産業労働部長に、なごやめしの印象を伺う。

【産業労働部長】
 東京では、なごやめしの手羽先は浸透しつつあるという印象を持つ。その他はまだ浸透していないという印象だが、潜在力はあり、伸び代はあると思う。

【渡会克明委員】
 なごやめしは、味を追求した工夫の食文化だと思う。今後、情報発信において大事なことは、海外の旅行者目線で発信することである。本県はものづくりの県であり、景気に左右されているが、観光は安定財源になるので、力を入れるべきである。  ところで、韓国の済州島には、年間700万人が訪れるそうだが、その25パーセントが体験する済州オルレという取組がある。オルレとは、家へ帰る小さな道という意味だそうで、言わば一種のウォーキングである。これがブームであり、日本においても、九州で行われている。全く何もない島をただ歩いたりしているだけであり、お金もかからない。本県でも、佐久島や日間賀島、篠島でできるので検討してほしい。  中部地方で、観光に関する協議会はいろいろあると思うが、どういう団体があるのか。また、海外の旅行者目線での取組はあるのか。

【観光コンベンション課主幹(観光振興)】
 中部北陸9県3市を中心に構成する中部広域観光推進協議会の昇龍道という事業に取り組んでおり、中部を広域で周遊する旅行をPRしている。また、東海4県3市では、東海地区外国人観光客誘致促進協議会があり、東海地域への誘客に努めている。  外国人目線の取組については、海外誘客事業の海外プロモーションで、現地の旅行社と面談をした際などに、愛知の観光への印象、効果的な情報発信などについて伺っている。また、ファムトリップという、海外の旅行社やマスメディアを招いて、実際に愛知を見てもらって、アドバイスをしてもらう事業を行っている。この事業では、情報発信力の強いメディアに愛知の観光をテレビ番組や記事にしてもらうことを狙いとしている。

【渡会克明委員】
 外国人旅行者にとっては、東京、富士山、京都、大阪が観光地の主流であり、ゴールデンルートとなっている。新聞報道によると、中部国際空港では入国者数より出国者数が少ないそうである。中部域内で周遊や宿泊をさせる対策はあるか。

【観光コンベンション課主幹(観光振興)】
 海外からの観光客、特に、初めて日本を訪れる方は、いわゆるゴールデンルートを旅行するケースが多いが、2回目、3回目のリピーターになると、それ以外の地域へ行きたくなる方が多いと聞いている。リピーターが増加しつつある現在は、中部地域にとってチャンスだと思っている。  また、見るだけの観光だけでなく、体験する観光という視点も重要だと考えている。我々もハワイなどに行くと、最初はオアフ島を見て回るだけであるが、2度目になると、スキューバダイビングをやってみたり、違う島に行ってみたくなったりする。  最近、当課の職員が海外へ行って得た情報であるが、アジアの方にとって、昔は北海道の人気が高かったが、最近は飽きられてきたとのことである。理由は、日本文化が感じられないからということである。その点、本県の犬山市では、着物の着付け体験があり、着飾ったまま城下町で田楽を食べたり、天守閣に登ったりと日本文化や情緒を楽しむことができる。こういった歴史、体験を活用した取組を進めて、中部地域での滞在や周遊をしてもらえるようなPRをしていきたい。

【渡会克明委員】
 アジアの若者は、スマホやインターネットをよく使っているそうだが、これに対する取組はあるか。

【観光コンベンション課主幹(観光振興)】
 本県では、観光コンベンション課のホームページに、英語や中国語、韓国語での案内を掲載し、観光協会のホームページは、イベント情報を始め、多くが多言語化されている。こうした、言わば待ちの情報提供だけではなく、もっと積極的に、フェイスブックなどのSNSを使って働きかける手法も大きな影響力があるため、本県も参画する中部国際空港利用促進協議会では、留学生など県内在住の外国人の力を借り、SNSを使った情報発信を実施している。留学生など県内に住んでいる外国人は、日本人では気が付かないような本県の魅力を見つけ、本県に愛着や親しみを持ってもらっていると思われるため、こうした方を県内観光地に案内し、その感想や写真をフェイスブックや自身のブログに掲載してもらう事業を平成24年度から実施している。県内在住外国人が母国語で発信する情報は、本国での反響も大きく、来年度も引き続き実施していく。こうした情報技術は日進月歩であるため、我々も勉強しながら実施していきたい。

【渡会克明委員】
 中部国際空港内にイスラム教徒のための礼拝所をつくるとの報道があったが、どのようなものか。

【観光コンベンション課主幹(観光振興)】
 東南アジアからの誘客には、ムスリム対策も重要である。セントレアでは、ターミナルビルの2階部分を拡充して対応すると聞いている。また、レストランでは、ムスリムに対応した食事も提供可能になるようである。まずは、こうした取組を情報提供したい。

【渡会克明委員】
 立地観光監に、観光事業の予算や体制について、どのように感じているのか伺う。

【立地観光監】
 観光を推進する担当部局としては、できるだけ予算を確保したいし、また、体制を整えたいと努力している。厳しい予算の中、また組織の効率化が進められる中で一生懸命努力しているが、なかなか進まず、担当部局としてジレンマや焦りを感じつつ仕事をしている。しかし、予算が全てではないため、予算を要望しながらも、一方で、創意工夫をしていきたいと考えている。先ほど、オルレの話もあったが、センスや、やり方も大事であると思っている。周遊や体験型の仕組みづくりも工夫したい。  観光の仕事は、商談会や展示会など事業者に喜んでもらえることが多く、職員のやる気も上がり、高いモチベーションが維持されている。  今後とも、予算の確保に努力し、体制についても、関係部局や中部各県との連携など、工夫して進めていきたい。

【渡会克明委員】
 知事が代表質問の答弁で、「東京オリンピックやリニア中央新幹線などの影響も踏まえて、戦略や施策を打ち出していきたい。」、「部局横断的に全庁挙げて取り組む。」、「市町村や観光関係団体とスクラムを組む。」、「観光施策に係る予算については、引き続き、その充実に努める。」との答弁があった。私はこの言葉を信じているが、部長はどのような決意をもって観光の予算や体制づくりに臨むのか。

【産業労働部長】
 観光は切り口が多彩である。外国人誘客や地域の観光資源のブラッシュアップ、武将観光、産業観光、広域観光、MICE、ゆるキャラ観光など多面的であり、どれも大事である。そのため、観光の組織は現在20名程度であるが、体制を強化していきたい。予算については、来年度は33.7パーセント増であり、産業労働部の中でこれほど伸びた予算はない。  次期観光振興基本計画の議論もあったが、現行の観光振興基本計画は、平成27年度末までの計画である。次期計画の策定作業には早めに取りかかり、今年中にはいろいろな方から話を聞きたい。戦略等を含めて意見を聞き、計画ができた翌年度には事業に反映したい。



平成26年3月14日

【渡会克明委員】
 中部臨空都市空港対岸部において、新たに株式会社クレールコーポレーションの立地と株式会社まるはのまるは食堂りんくう常滑店の拡張が発表された。進出企業は、課題として集客を挙げている。観光面を考えても、空港や空港対岸部に人が集まるとよい。まちづくりが非常に大切であり、常滑市のまちづくりに、企業庁の事業が合致していくことが望ましいと思う。常滑市との協議をどのように行っているか。また、イオンモールの出店の動向や他の企業からの引き合いについて、現状を伺う。

【企業誘致課企業誘致担当課長(臨空都市推進)】
 まちづくりについては、常滑市と連携と取りながら企業誘致を進めている。また、中部臨空都市においては、2月14日に、立地企業35社に加え、オブザーバーとして、常滑市役所、常滑商工会議所、中部国際空港株式会社及び企業庁で構成する、まちづくり協議会が設立された。常滑市と企業庁だけではなく、地域全体が連携してまちづくりを進めていきたい。  また、イオンモールについて、事業者であるイオンモール株式会社からは、出店概要書に記載されている平成26年秋の開業予定について、現在のところ変更の発表はされていない。現在は、県警本部や地元警察署との交通協議に加え、2月からは、現地でのボーリング調査が実施されており、着工にむけた準備が進められている。イオンモール株式会社からは、できる限り早期の着工に向けて準備していると説明を受けているので、企業庁としても、一層の努力を申し入れているところである。  今後の誘致の見通しについて、現在、サービス業などからの引き合いがあるので、できるだけ早く契約できるよう努力していく。

【渡会克明委員】
 引き続き努力を続けてほしい。  まちづくり協議会の会議の場では、どのような意見がだされたのか。

【企業誘致課企業誘致担当課長(臨空都市推進)】
 まちづくり協議会の会長企業には、株式会社まるはが就任した。当日、株式会社まるはの社長からは、「中部臨空都市をブランド化していきたい。」と発言があった。

【渡会克明委員】
 引き続き地元との連携を進めてほしい。  ラグーナ蒲郡について、株式会社エイチ・アイ・エスを新しい運営事業者の候補として具体的な協議を開始するとの発表があった。地元の蒲郡市にも、まちづくりの計画があると思う。蒲郡市との情報交換は行っているのか。

【工務調整課長】
 ラグーナ蒲郡での開発については、中部臨空都市でのまちづくりの経験等を生かしていきたいと考えているが、今後は、建設部、蒲郡海洋開発株式会社や蒲郡市と調整しながら進めていきたい。需要を的確に見極め、まちづくりの観点を含めて、開発の可能性を探っていく。

【渡会克明委員】
 企業庁も、開発や企業誘致に当たっては、観光やまちづくりを意識してほしい。企業庁長の考えを伺う。

【企業庁長】
 企業庁の事業は、まちづくりと一体となって行っているが、経営収支が厳しい状況が続いているので、企業の動向を把握して、用地開発を進めていきたい。  ラグーナ蒲郡についても、用地需要や蒲郡市の意向をしっかり把握し、前向きに取り組んでいきたい。

【渡会克明委員】
 継続的に県が潤うように、観光を意識し、企業が喜ぶようなことまで考えて努力してほしい。





行財政改革・道州制調査特別委員会(平成25年5月〜)


平成25年9月6日

【渡会克明委員】
 道州制については、国での議論がなかなか進まない中、県としては、全国知事会を通じて、若しくは単独で、国に対し、どのように働きかけを行っていくか伺う。

【分権・広域連携監】
 愛知県は道州制を推進する立場にあり、基本法制定に向けた動きは歓迎するものである。知事会ではなかなか議論がまとまらない中、道州制推進知事・指定都市市長連合の動きが最も愛知県の目的にかなったものと考えている。首長連合では政府や与野党に対する要請活動などをしているので、こういうものに加わりやっていきたい。単独ではなかなか難しいので、同じ志を持つ8知事、15指定都市市長と連携して進めていきたいと考えている。

【渡会克明委員】
 党において、全国の議員と道州制について話をしたが、地域のことを考えると将来的には地方分権や道州制は必要とのことであったが、現実に進めるとなると心配も出てくる。しかし、国が変わらないと同じ問題が毎年続く。道州制に後ろ向きな県を巻き込んで、それぞれの県の立場も考えて、道州制を推進すべきと考えるが、いかがか。

【分権・広域連携監】
 道州制に後ろ向きな県もあるが、一番反対しているのは町村である。道州制になると、今、都道府県が行っている事務のかなりの部分を市町村で行うことになり、合併等の話に結び付くのではないかと危惧しているため、他県や議員も慎重になっているところがある。しかし、そういったところに丁寧に説明しながら、前に進んでいく必要があると考えており、道州制推進知事・指定都市市長連合に加わってやっていくということと、全国知事会においても、意見を述べなければ、意見が反映されずに進んでしまうという状況なので、県としても、意見をしっかりと述べていきたい。

【渡会克明委員】
 ぜひともしっかりとした後押しをお願いしたい。



平成25年11月11日

【渡会克明委員】
 県内の公営住宅は、活用を今後検討に値するような場所にある。例えば、商業施設や介護施設を併設する、又は、高齢者のための宅食サービスや買物サービスを行う施設を併設するなど、公営住宅に低所得者を入居させるといった発想を超えたようなことが、今後考えられると思う。  また、公共施設の上部空間を民間の力で活用できれば、入居者だけでなく、その地域のサービスの向上にもつながってくると思うが、意見があれば伺う。

【太田参考人】
 公共施設の上部空間の活用については、国としても推奨していきたいという狙いはあると思うが、活用できるところを発信していかないと、どういうところが活用できるかは正直分からないので、埋もれている状況だと思う。  平成23年のPFI法改正では、民間事業者による提案制度が創設されたが、PFIに限らず、民間のアイディアで、公共の用地や空間を活用して、こういうことができるということが提案できるような仕組みは、発想として非常に面白いと思う。その民間からの提案に対して、行政側は何らかを答えなければいけないことが、改正されたPFI法で定められたので、行政側からすると面倒な手続になってしまっているが、そういうことを募ることは、一つ方法である。  また、公共用地の有効活用というのは、今後恐らく大きな焦点になってくると思うし、改修、統合ということも、今後は考えなければいけないことだと思う。

【渡会克明委員】
 限られた財産の有効活用というと、統合や売却しか浮かばないが、新たな価値を生み出すことが、これから非常に大事だと思う。民間の力、アイディアを大いに活用すべきだと思うし、民間事業者からの提案制度も積極的に取り入れ、検討されるよう望みたい。  公共施設等運営権は、これから増えてくると期待するが、運営権を譲渡する際に、議会の議決は必要となるのか。

【太田参考人】
 公共施設等運営権については、法律上、議会の議決が必要であると規定されていないので、その部分での議会の関与は約束されていない。ただ、契約の締結そのものが議会の議決をもってということになっているので、譲渡とは違うが、契約の変更に当たるような行為、例えば、業務内容の大きな変更や契約金額の大きな変更に当たると、議会の議決を再度取り直す必要があると思う。

【渡会克明委員】
 実際に公共施設等運営権の譲渡ということに直面するのは、まだ先だと思うが、直面した場合、重大な問題となる。このことについては、条例の改正などをして、簡単に公共施設等運営権の譲渡ができないようにしなくてはいけないと思うが、意見を伺う。

【太田参考人】
 それは非常に難しいと思う。公共施設等運営権には抵当権を設定できるようになっており、これを前提に金融機関が融資をしている。金融機関に対して、公共施設等運営権への抵当権設定を可能にしたことが、今回のPFI法改正の大きなポイントであって、公共施設等運営権の譲渡には議会の議決が必要となると、金融機関が非常に抵抗して抵当権の設定ができなくなり、お金を貸してくれなくなってしまう。そうなると、公共施設等運営権を生かした事業の枠組みは、できなくなってしまうと個人的には思う。

【渡会克明委員】
 この制度を生かすためには、法を更に改正したり、ガイドラインで決めていかないと、金融機関も安心できないし、行政も民間の力を入れることができないと思う。こういったことは今後の課題だと思うが、いかがか。

【太田参考人】
 そのとおりだと思う。公共施設等運営権の導入事例は1件もないので、参考にするものもないのが実態であるし、ガイドラインは公表されたばかりなので、手探りの状態がしばらく続くと思う。しかし、できるだけオープンにして各事業は進められると思うので、いろいろな方と議論を重ねることも必要になってくると思う。また、国では、ガイドラインを作るだけではなく、会計上の取扱いなど、具体的なところについても、順次議論されているので、そういったことも引き続き見ていく必要があると思う。



平成25年11月26日

【渡会克明委員】
 法令の見直しは行われてきているが、特に厚生労働省を中心とした府省令において、「従うべき基準」はどれくらい存在するのか。「参酌すべき基準」と「従うべき基準」の比率はどのくらいか。

【森参考人】
 厚生労働省においては、9割程度が「参酌すべき基準」になったと言っていた記憶がある。「従うべき基準」になっているものは、職員の配置や入所者の人権・処遇に関わる基準等、ごく一部に限られていると厚生労働省は主張している。ただ、こういったことは裁量を効かせるには一番効果的なエリアであることは間違いない。これについては、施行の状況を考慮し、必要な措置を講ずることが法律の附則に盛り込まれており、この見直しについては課題であると認識している。

【渡会克明委員】
 是非とも地方の声を聞いて、肝心な部分だから「従うべき基準」ということではなく、よく議論をして進めてほしい。  権限移譲を進めていくと、財源の移譲や人的な問題があると思うが、国の人員は減ってきているのか。

【森参考人】
 国家公務員の数については、国の独立行政法人改革を通じて、相当程度減少していると認識している。また、地方についても行革推進大綱の着実な実施により減ってきていると思う。
【渡会克明委員】
 国、地方の目的は住民サービスであるが、税源移譲を進めると、自治体間で住民サービスの格差が生じることを危惧している。住民サービスに大きな差が出ることは、地方分権に沿うことなのか疑問に思うが、このことについてどのようにお考えか。

【森参考人】
 ナショナルミニマムは担保されなければならないので、その部分については全国一律で最低のものが担保されなければならない。分権改革を進めることによって、能力のあるところと無いところで差が出てきたり、基準の設定等で差が出てくるということは、よくないのではないかという議論はある。ただ、努力をしている団体は、他の団体に足を引っ張られて努力できない状態にしないでほしい、裁量を残してほしいとの議論もある。この二つのバランスをそれぞれの分野ごとに調整を図り、議論をしながら進めていかなければいけない問題だと思う。

【渡会克明委員】
 地方分権を進めると、権限を市町村で受け入れられるかの問題が出てきて、住民サービスにも影響が出てくると思う。そうなれば、今後、自治体の合併や道州制の議論を考えざるを得なくなる。地方分権を進めている立場から、道州制も視野に入れざるを得ないという点についてどのようにお考えか。

【森参考人】
 地方分権改革有識者会議の中では、分権を進めるに当たり、地方からの提案募集方式により移譲する方法のほかに、一律ではなく、希望する団体に限って移譲する選択的移譲方式も十分検討に値するのではないかとの議論がある。これまでは、都道府県、政令市、特例市、市、町村と一律に移譲してきたが、希望する団体に対して移譲していくことも有効ではないかという議論があった。今後は、選択的移譲を活用し、規模、能力が追い付かない場合は、都道府県による垂直的な補完や、周辺団体との水平的補完、連携といったことも活用しながら対応していくことが、制度的な対応としてあり得ると思っている。道州制については、政治情勢を述べると、全国町村会等は強制的合併を伴う道州制には強く反対していることもあり、そのような状況も考慮しながら政治レベルでどのようにかじ取りが行われるかという問題であると思う。

【渡会克明委員】
 今までは、国と地方がいろいろなやり取りを行ってきたが、今後は愛知県と市町村のやり取り、調整、また、他県とのやり取り、調整を行う必要性が出てくると思う。また、同じ土俵に乗っていないと感じることもあるが、健全な競争はあってしかるべきであり、努力した人が報われるのが地方分権であると思うが、どうか。

【森参考人】
 今後、分権が進めば、都道府県間の調整や、県と市町村の調整といった、対等な主体同士での調整が発生してくると思う。今回、様々な権限移譲の調整を各省庁と進めているが、対等な当事者間での調整は、大変骨が折れる仕事であることは間違いないと思う。ただ、そこを一つ一つ真剣に討議しながら物事を進めていくことが、分権社会の中では求められていることではないかと思う。また、健全な競争を求めるのか、結果として平等を求めるのかについては、様々な議論があり得るが、一定程度の切磋琢磨がなければ健全な社会は生まれていかないのではないかと個人的には感じている。

【渡会克明委員】
 是非とも健全な競争ができるように、そして住民サービスの格差が全くないのはありえないとしても、その格差を感じさせないために、ご尽力いただくよう要望する。




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