平成26年6月30日
【渡会克明委員】
あいち男女共同参画プラン2011-2015について伺う。同プランの進捗状況については、毎年9月議会に年次報告書が提出されており、昨年の報告書によれば、数値目標36項目のうち、6項目が目標を達成している。男女共同参画社会の実現に向けては、政策・方針決定過程への女性の参画割合を高めることが重要であり、同プランでは、県の審議会等委員に占める女性委員の割合を平成27年度末までに37.5パーセントにするという数値目標を掲げている。先日、公表された平成26年4月1日現在の県の審議会等における女性委員の割合は、36.75パーセントで、前回より上昇しているが、今後、数値目標の達成に向け、どのように取り組んでいくのか。
【男女共同参画推進課長】
審議会等委員に占める女性委員の割合は、平成26年4月1日現在で36.75パーセントとなっており、昨年4月1日現在と比べると0.08ポイント上昇し、毎年着実に上昇しているが、目標達成に向けては、0.75ポイント上げる必要があるので、引き続き、登用拡大に向けた取組が必要であると考えている。これまでも、委員の選任・改選がある場合は、男女共同参画推進課と所管課室とで事前協議を実施し、登用が進んでいない審議会については、その理由や今後の具体的な対応を確認し、登用率の向上をお願いしてきている。登用が進まない審議会の中には、審議会委員を構成する団体や専門家に女性の適切な人材がいないといった理由もあるなど、なかなか困難なケースもあるが、人口の半分を占める女性の意見を県の政策・方針決定に反映していくことは大変重要であることから、構成する団体に女性の人材の発掘をお願いするなど、関係部局と連携して、37.5パーセントの数値目標の達成に向け、引き続き努力していきたい。
【渡会克明委員】
知事が女性の力が不可欠と言っているように、男女がそれぞれに力を発揮できることが大事であるので、県民生活部で庁内の連携をとって、引き続きしっかりと進めてほしい。女性の活躍促進に向けた課題に取り組むため、昨年9月に吉本副知事をリーダーとするあいち女性の活躍促進プロジェクトチームを立ち上げ、今年度は、16の新規事業を含む32のプロジェクト事業を全庁を挙げて実施していくと承知している。県民生活部においては、1,500万円ぐらいの予算で7の新規事業を実施するとのことであるが、進捗状況を伺う。
【男女共同参画推進課長】
まず、あいち女性の活躍促進会議についてお答えする。女性の活躍を促進するためには、まずは、気運の醸成が必要であると考えて、経済団体、労働団体、企業等の代表で構成するあいち女性の活躍促進会議を今年2月に前倒しして開催し、愛知の女性の活躍促進に向けて、多岐にわたる率直な意見をいただいた。今年度は、会議の開催を通じて、女性の活躍は企業の経営戦略であるという考え方が浸透するよう企業トップの意識改革を図っていきたいと考えている。二つ目として、県内企業における女性の活躍状況や活躍によるメリットの見える化を図るための実態調査と先進事例調査である。この調査は、県内に本社を置く企業等1万1,000社を対象としたアンケート調査等であり、現在回答を回収中であるが、本年12月頃には結果を取りまとめて公表できる予定である。三つ目としては、本県の主要産業である製造業等に従事する女性の技術者や研究者を拡大することを目的とした、女子中高生の理系!きっかけシンポジウムというもので、8月19日に開催する予定で、現在参加者を募集しているところである。その他、秋から冬にかけて、女性管理職養成セミナーや男性管理職向けワークショップなどの開催を予定しており、今後とも、準備が整ったものから速やかに実施をしたいと考えている。
【渡会克明委員】
テレビ番組で、女性が結婚をしてから、出産をして、育児をして、復職をするところまで支援を行うという企業の取組が紹介されていた。スーパーバイザーという立場の先輩の女性社員が、女性社員の上司も同席の上で女性社員のヒアリングを行い、事細かに要望を聞いて、適切なアドバイスをする。そういう取組によって、女性社員の上司にとっても女性社員の仕事への意欲を再認識するという効果があるとともに、女性社員にとってもスーパーバイザーのように後輩の応援をしたいという意欲を高めるという効果もあるということであった。県内企業を対象とした調査では、30社の先進事例の聞き取り調査を行うとのことであるが、いろいろな業種を対象にするとともに、先進的な取組を行っている民間企業が全体をリードしていくようにすることが大切であろうと思う。調査結果の活用については、どのように考えているのか。
【男女共同参画推進課長】
県内企業を対象にした調査であるが、1万1,000社を対象にした実態調査と30社程度を対象にした聞き取りによる先進事例調査を行うものである。まず、実態調査については、従業員や管理職に占める女性の割合、女性社員の就労継続状況などの就業実績、企業の業況、育児に関する支援制度の状況といった実態のほか、女性の活躍促進のための取組状況、課題、メリット、県に対する期待等についてアンケート調査を行うことにより、県内企業の女性の活躍の現状や活躍に向けた今後の課題、効果的な取組について、業種や規模別などに捉えることができるととともに、女性の活躍状況と業況・経営状況との関係なども把握できるのではないかと考えている。
一方、先進事例調査については、様々な業種・規模における具体的で身近な先進的取組事例をまとめるものであり、企業トップ、活躍している女性本人、その上司へのインタビューなども行う。これらの実態調査と先進事例調査の結果は、ホームページ等で広く公表していきたいと考えている。また、調査結果の活用については、実態を明らかにすることにより経営者の意識を変えていくことや、具体的な先進事例を紹介することにより企業の自主的な取組が促進されるものと考えている。また、県としても、調査結果により、課題や必要な取組、行政に対する期待などが明らかになることから、今後の施策を考える上で大変参考となるものと考えている。いずれにしても、結果については、あらゆる機会を捉え、企業等に紹介し、女性の活躍に向けた取組が加速されるよう積極的に働きかけをしていきたい。
【渡会克明委員】
調査の結果をどのように具体的な取組につなげていけるのかが非常に大事であると思う。そのために報告書も分かりやすくなるように検討してもらいたい。本県は、性別による固定的な役割分担の意識が他県と比べて若干高いと思うが、これからは、女性の活躍を促進し、先進県になってほしい。今後、どのように取組を進めていくのか。
【女性の活躍促進監】
女性の活躍を進めていくことは、少子高齢社会の進展により生産年齢人口が減少していく中で、地域社会や地域経済を維持し、発展していくには不可欠である。また、女性の視点や考え方を企業経営や地域づくりに反映していくことは、新たな創造や商品開発にも役立つと考えており、審議会等における女性委員の登用促進や幾つかの新たなプロジェクト事業にも力を入れている。女性の活躍促進には、いわゆる性による固定的役割分担意識の解消、経営者や管理職の意識改革、女性自身のキャリア形成、子供の頃からのキャリア教育、ワークライフバランスの推進、子育て環境の整備など、様々な課題を解決していく必要がある。したがって、県民生活部だけでなく、県庁全体で、こうした問題に取り組んでいく必要がある。吉本副知事をリーダーとする女性の活躍促進プロジェクトチームにおいては、私もサブリーダーになっており、関係部局としっかり連携・調整しながら、今年度実施事業の効果の検証とともに、チーム全員で知恵を出して、今後とも取り組んでいきたい。国においても女性の活躍促進が成長戦略の中核とされている。本県としても、市町村や経済団体、企業、学校等との十分な連携・協力を図りながら、積極的に女性の活躍促進に取り組みたいと思うので、委員の協力をよろしくお願いする。
【渡会克明委員】
県内企業を対象にした調査の結果のほか、県の取組について、随時いろいろな形で発信して県民の理解を深めることが大事である。継続的な取組をお願いしたい。女性も頑張り、男性も頑張るということだと思うが、部長としてサポートしていくという決意を伺う。
【県民生活部長】
意識の部分を変えていくことが大事と考えている。県から発信できるもの、国から発信するもの、企業側から発信するもの、いろいろあると思うが、できるだけ速やかな形で、意識の改革に沿うものを発信していきたい。県内企業を対象にした調査については、大企業については自ら動き出している中で、県内全体に意識の醸成、改革を浸透させていくためには、中小企業をいかにしっかりと巻き込んでいくかが非常に大事である。知事、吉本副知事が、この問題に熱心であるし、優秀な職員も配置しているので、知事、副知事、職員をサポートして進めていきたい。
【渡会克明委員】
次に、防災局の関係で伺う。黒煙が発生するトラブルを今年に入って3回も起こしている企業があるなど、県民の不安が高まっている。本県には臨海部・臨海工業地帯に工場、倉庫、タンク、塔など様々なものがある。先般、東京ガス、大阪ガス、東邦ガスの3社が、ガスタンクは地震時にもおいても安全であるとの報告を国にしているが、都市ガス会社は国の所管であって、県への報告義務はない。しかし、周辺住民などは、都市ガス会社のタンクの中に何が入っているのか分からないなど、不安に思っている。地域住民への周知や安全の担保といったことについてはどのようになっているのか。
【産業保安室長】
都市ガス大手3社については、国が直轄で許認可等を行っており、本県においては報告等は受けていない。しかし、経済産業省の産業構造審議会の保安分科会ガス安全小委員会において、3社の設備が南海トラフ巨大地震の最も過酷なケースにおいてもガスの製造設備等に重大な被害は発生しないと考えられるという報告がなされたことは承知している。高圧ガス保安法に基づく事業所への安全対策についてであるが、国の審議会であったように、高圧ガスタンクの中には高い圧力のガスが入っており、設備そのものが圧力容器として十分な肉厚・強度を有しており、相当程度の地震動に耐えることができる構造となっている。過去の大きな地震においてもタンクが倒壊するといった大きな事故災害が発生することは無かったわけであるが、さきの東日本大震災では千葉県内の製油所で、LPGタンクが倒壊し、爆発火災が発生して、その後数日間にわたり燃え続くという大きな災害となり、我々を含め高圧ガス関係者を大いに驚かせた。この事故については国が詳細な原因調査を行い、原因が明らかになってきたので、本県としても、これらの結果を踏まえ、このような事故災害が起きないよう関係事業所を指導しているところである。
【消防保安課主幹(消防・予防)】
石油コンビナート地区には、消防法などの個別規制に加え、石油コンビナート等災害防止法があり、事業者や行政関係者は総合的な防災対策を推進することと位置付けられている。事故の発生時の対応としては、まず、事業者に迅速な通報義務が課されていること、また大型消防車などを備えた自衛防災組織の設置などが義務付けられているほか、消火栓などのハード設備の設置も義務付けられている。そして県では、自衛隊、警察機関、関係市町村、事業者などを構成員とする石油コンビナート等防災本部を設置しており、総合的に防災対策を推進することとして防災計画を立てている。近隣の住民への周知については、こういった石油コンビナート区域は、通常一般の人が立ち入ることのできない施設ということで、何があるのかよく分からないということが確かにあろうかと思う。最近になって、県で毎年実施している石油コンビナート等防災訓練において、自治会の代表者や自主防災会の関係者などに訓練の参観をしてもらうなど、理解を深めてもらうようにしている。
【渡会克明委員】
地域の住民に分かってもらっていることが大事であるので、啓発・訓練を含めて引き続きよろしくお願いする。 南海トラフ地震について、以前は、東海、東南海、南海地震という言い方をしていたが、どういうタイミングでそういう言い方になったのか。
【防災危機管理課長】
地震の名前であるが、当初、県の被害予測調査を始めた時は、東海地震、東南海地震、南海地震の三つの名前を挙げていた。これは、東日本大震災が起きた直後は、東海地震あるいは東南海地震が単独で起きる、あるいは、東海・東南海地震が連動して起きるという考え方が主流であった。したがって、愛知県も東海、東南海に南海を加えた3連動をベースにして調査を行うという形で進めた。ところが、国においても、東日本大震災の検証の中で、従来単独で動いたものが、連続して、広がって動くというような議論になって、その過程で、東海地震、東南海地震、南海地震のいわゆる3連動地震の外側に、例えば、宮崎県の日向灘まで一緒に動く4連動、静岡の富士川の河口断層が一緒に動く5連動など、数が段々増えていき、よく分からなくなってしまった。結局、国としては、これら一連の地震は全て南海トラフという所のどこかで起きるということで、ちょうど東日本大震災から1年から1年半くらいで、立て続けに国がいろいろな報告書を出す中で南海トラフ地震という表現をしていくこととなった。県としても、今後はそういう名称を使っていくことになるのではないかと思っている。県の被害予測調査については、3連動地震の名前で始めたので、今回はそういった形で整理したものである。
【渡会克明委員】
防災に関する意識調査の結果によると、地震発生時に不安や危険に思うことの上位に食料・飲料水の確保などの問題がある。我が家も水の備蓄に取り組んでいるが、どの程度の備蓄が必要か。
【防災危機管理課長】
備蓄の日数であるが、従前、国は3日分程度と言っており、愛知県もそういうことで進めていた。この3日という数字は、過去に起きた大きな地震で、例えば阪神淡路大震災の時に、最初の3日間くらいはなかなか救援物資が届かなかった。したがって、それは各自の備蓄の物で賄う。4日目ぐらいからは、他地域から水・食料が届き始めるので、最低3日ということで日数が示されていた。東日本大震災後は、超広域災害になった場合、本当に3日で足りるのかという議論もあって、国も最近は3日というよりも、1週間、できれば10日と、少しずつ、個人や家庭での備蓄を増加してほしいと言っている。学者によっては1か月という声もあるが、なかなかそういう訳にもいかないので、3日分は最低限備蓄し、更に余裕があれば、1週間、10日と増やしてほしいというように、今後は周知をしていきたい。
【渡会克明委員】
広域に被災した際における水、食料、衣料等の物資の被災者への円滑な提供について、マニュアル化、運送事業者等との連携など、県及び県内市町村において、どのような状況になっているのか、把握していれば教えてほしい。
【災害対策課長】
食料品メーカー、運送事業者などと協定を結んでおり、可能な限り速やかに物資を手配して搬送する仕組みとしているが、実際に物資がうまく搬送されるのかという問題はある。東日本大震災では、テレビでも報道されたように、例えば、道路が被害を受けているなどの理由があったと思うが、物が届いたけれども1か所に留まって本当に必要なところに届かないといったこともあった。実際の災害時において物資の搬送が確実に行われるよう、一つ一つ確認していくことが必要である。
【渡会克明委員】
防災道路、輸送道路の対策は建設部を含めて一生懸命取り組むわけであるが、防災を所管している防災局としては、様々な状況の中で住民の命を守るためにマニュアル等がしっかりできているか、市町村の取組状況を把握すべきである。市町村の取組の具体的な状況について伺う。
【災害対策課主幹(調整・支援)】
把握している限り99の協定を市町村や事業所と結んでいる。その内容については、物資の輸送を始めいろいろとあり、所管課もいろいろとあるが、協定を結んで対応できるようにしている。
【渡会克明委員】
県としてしっかり把握しなければならないことである。市町村は、地域の事情に応じて様々な取組を行っているので、県としてそうしたことをしっかり把握しないといけない。そして、必要であれば情報提供をする。そのために、県としてマニュアルをしっかり作り、それを基にして指導するというのは不可能なことではないと思うが、どうか。
【災害対策課長】
委員の指摘の点については今後しっかり取り組んでいきたい。
【渡会克明委員】
私が住んでいるところでは自治会という枠組みで、地域住民が企業・事務所と連携して避難訓練を行った。地域を守っていこうということを考えたときには、地域の事業者にも参加してもらい、みんなで防災計画や避難の方法を考えるというような共助が大事になってくる。このような点について、県の取組や方針はどうなっているのか。
【防災危機管理課主幹(政策・啓発)】
本県では県民運動については、あいち防災協働社会推進協議会を設立し、愛知県を始め行政・消防機関、事業者団体、自主防災組織、地域の団体、ボランティア団体などの40の団体を構成員として、防災知識の普及啓発や安全への備えの促進、連携による地域防災力の向上といったことを柱にして、取組を進めているところである。具体的には、毎年、防災協働社会を推進するための大会として、あいち防災フェスタを開催しており、平成24年度からは、防災の人材を育成していくために、この団体を主催者とし、関係団体が一致協力して防災・減災カレッジを開催するという形の県民運動的な取組を進めているところである。
【防災危機管理課長】
今、全県で地域の連携に取り組んでいるが、委員指摘のとおり、地域において企業の果たす役割は非常に大きい。これまで自主防災組織は町内会を中心に組織され、組織率は非常に高いが、実際、昼間に地域に行くと、例えばお年寄りの人や女性などが多く、働き盛りで力のある人は、会社勤めで地域にいない場合が多い。よって、昼間に大きな災害が起きた場合は、その地域に立地する企業に、きちんと地域住民のフォローも含めて取り組んでもらうことが、非常に地域の防災力を向上する上で有効であると思う。委員指摘のような企業と地域の自主防災会が一緒に訓練をする試みは、まだまだこれからかもしれないが、今回の災害対策基本法の改正の中で、地区防災計画という新しい考え方が生まれ、県や市町村が作る防災計画の下の、例えば町内会レベルの地区の防災計画についても、地区防災計画として法律で位置付けられ、愛知県防災会議においても、地区防災計画を充実させていくことを盛り込んだところである。したがって、今後、地区防災計画の策定も含め、地域における共助の充実を図っていきたい。
【渡会克明委員】
防災に関する意識調査結果の話をしたが、例えば、9月1日の防災の日の夜に家族全員によるファミリー防災会議を開催することを広めるなど、意識調査の結果を県民の様々な具体的な取組につなげてほしい。そういったことを考えるのも県の防災局の仕事だと思うが、局長の考えを伺う。
【防災局長】
県民運動的に盛り上げていくことは非常に大事なことである。そのため、あいち防災協働社会推進協議会を立ち上げて取り組んでいるところであるが、今後、このような場を更に活用して、きめ細かい啓発の取組を、第3次地震対策アクションプランの検討の中に盛り込んでいきたい。
【渡会克明委員】
県民の具体的な取組につながるよう丁寧に啓発していくことが大事であるので、しっかりとアクションプランに盛り込んでいくことを要望する。
平成26年7月1日
【渡会克明委員】
女性の活躍促進について、6月25日に加藤内閣官房副長官から各省庁の人事担当者に、2015年度の採用者の3割を女性とする目標を必ず達成してほしいというような発言をしているが、まずこれを認識しているか。
【人事課長】
新聞報道等で承知している。
【渡会克明委員】
景気の良いときには民間に流れ、そうでないときは公務員が人気になるが、景気も徐々に回復傾向にあるということで、今年4月に採用された方にそういった傾向が出ているのか伺う。
【人事委員会事務局次長兼職員課長】
大卒程度の試験である第1回試験の最終合格者数について、昨年度の女性の割合は32.2パーセント、平成24年度は38.5パーセントである。女性の比率は、平成11年度までは20パーセント台で推移していた。平成12年度に30パーセントになり、その後30から40パーセント台で推移しており、上下動はあるが徐々に女性の比率は上がってきた。今は30パーセント台で落ち着いている。景気の影響については、端的な例で言うと、平成20年のリーマンショック後は受験者が増えた。平成20年の第1回試験は9月のリーマンショック前だったが、申込者数が1,953人、平成21年は2,263人、22年は3,210人であった。景気の動向により民間の採用が絞られてくることがあり、公務員志向が高まったと思う。その後、ゆっくり景気も回復してきたので、22年をピークに徐々に申込者数は減っている。
【渡会克明委員】
女性の受験者数というのも同じような傾向であるということでよいか。
【人事委員会事務局次長兼職員課長】
第1回試験でいうと、リーマンショックの前である平成20年は受験者の女性の割合は35.5パーセントだが、その後も30パーセント台の前半で特に急激に増えてはいない。平成22年は33.1パーセント、女性の受験者の割合はほぼ30パーセント台前半で推移している。
【渡会克明委員】
採用の段階では女性はどのくらいになるか。
【人事委員会事務局次長兼職員課長】
採用の段階だと、受験の段階より少し割合が高くなり、30パーセント台後半になる。 大卒程度の第1回試験の受験者では、女性はおおむね30パーセント台前半であるが、筆記試験の1次合格の段階だと比率は1から2パーセント下がる。面接等の人物試験が中心の2次試験を経た最終合格者数の女性の割合は、受験者の割合より若干高くなる。これについて詳細な分析はないが、人物試験で女性の割合が高くなるということは、女性の方が男性に比べて公務に対する意欲とか、自分の長所をアピールする能力に長けているのではないかと理解している。
【渡会克明委員】
一般行政職員の配属について、配属先からの要望はあるのか。配属は人事課で決めてしまうのか。
【人事課長】
現在、事務職員の場合、採用された後、ジョブローテーションで本庁と地方機関であるとか部局間の交流を採用7年間くらいでやっており、女性を特にどこに配置するということではなく、多様な経験を積ませている。
【渡会克明委員】
非常に良い形だと思う。あえて男性と女性ということではなくて、一生懸命頑張った人を引き上げるという意味合いだろう。 今、愛知県は、知事が女性の活躍を促進したいと考え、また、国の施策としても女性の力を借りようという動きがある。本県としては、女性の採用も含めてどういう施策や考えがあるのか伺う。
【人事局長】
採用は試験なので、受かるか受からないかは分からないが、とにかくたくさんの女性に受けてもらえば女性の合格者は増える。女性が働きやすい職場だと一般的に県庁は見られているので、そのイメージを更にアピールすることが必要だと思う。その点で、パンフレットやホームページに、女性が非常に活躍しているということを、よりビジュアルで分かるような形で作成している。それから、新規採用者にいろいろな仕事をさせることである。分野問わずに配置して活躍しているということが、予備校などいろいろなところを経由して口コミで伝わると採用試験を受けてもらえる。情報発信と、地道に女性が働きやすい職場という点で、いろいろなことを積み重ねていくことで、女性の採用の拡大につながっていくと考えている。
【渡会克明委員】
国も県もこういう時であるので、しっかり力が発揮できるような登用もそうだが、採用についても、女性を特別扱いしない開かれた愛知県庁であるということをしっかりアピールできるような取組をしてほしい。次に、オープンデータについては、政府のIT戦略本部で、政府自ら積極的に公開すること、機械判読可能な形式で公開すること、営利目的、非営利目的を問わず活用を促進すること、取組可能な公共データから速やかに公開等の具体的な取組に着手することの四つの原則で推進することが決定されている。本県の取組の進捗と、今後どのように進めていくのかを伺う。
【総務課主幹(行政改革)】
オープンデータについては、昨年度末、地域振興部情報企画課で、県が持っている地図情報を二次加工できる形式に変換して、県のホームページで掲載を始めた。これは試行という位置付けだが、徐々に範囲を広げる検討を進めていると聞いている。
【渡会克明委員】
国はいち早く取り組み、どんどん情報提供を進めている。このような施策について、総務部から部局に取組を促すことが重要だと考えるがいかがか。
【総務課長】
オープンデータの有効性は理解している。今年度、次期行革大綱を策定する予定であり、各部局と協議し、取組事項の検討に入っている。地域振興部との相談になるが、オープンデータの更なる推進についても、行政の透明性の確保の観点から十分価値があると考えており、次期大綱に位置付けることについて前向きに検討したい。
【渡会克明委員】
県のホームページを見ると、掲載されている情報は、ホームページで見なくても分かるものばかりである。重要なことは、使えるデータを隠さず、どんどん出すことである。総務部が各部局にそれを促すことは難しいのか。
【総務課長】
地域振興部に確認したが、各部局への働きかけは、これからの段階と聞いている。どのデータを出すか、データ変換にどれだけ手間がかかるのかといった検討課題はあるが、既に公表されたデータを変換して一覧にして提供するという方針に沿って、各部局に働きかけていくものと承知している。
【渡会克明委員】
一部局が他の部局にお願いしても、なかなか進まないのが現実である。情報通信白書にもオープンデータは取り上げられている。総務部は、部局任せではなく、こうした情報に敏感になって、部局に取組を促すべきだと思うがいかがか。
【総務部長】
各部局が個別に取り組んでいては進まないという側面もある。現在、全庁的に行革の議論もしているので、その議論の場も活用しながら進めていきたい。
【渡会克明委員】
次に、クラウドファンディングを取り入れている自治体はまだ少ないが、大阪のように産業労働分野で実施しているところや、市町村では観光振興で実施しているところがある。財政が引き続き厳しい中で、税金に頼らない施策として注目を集めているのがクラウドファンディングである。こうした施策にしっかりアンテナを張って、どんどん取り組んでいくべきと考えるがいかがか。
【総務課長】
財源が限られる中、政策目的を達成するための、費用対効果の高い一つの手法として検討したい。これまでも情報収集はしてきたが、現段階で事業立案には至っていない。更に研究を進め、有効性が確認できれば、各部局に対して、クラウドファンディングを活用した事業立案について働きかけをしていきたい。
【渡会克明委員】
このような新たな手法をどんどん取り込んで、県庁のやる気が見える形で、施策展開されるよう要望する。
平成26年10月3日
【渡会克明委員】
9月3日に新日鐵住金名古屋製鐵所で火災があった。新聞では県警が業務上過失傷害の容疑で同社の家宅捜索と現場検証を始めたとのことであった。作業手順のマニュアル等も押収し、作業手順に問題がなかったか等を調べている最中で、県警に伺ったところ、時間がかかるとのことであった。
なぜ、この話をしたかというと、決してこういうことがあってはならない、忘れてほしくないと行政に訴えたかったからである。9月3日で5度目の事故であって、今回は火災ということで消防も入り、県も市も労基署も県警も入った。そうでもなければ民間の企業に入れないという現実もあるが、報道を見る限りでは、名古屋製鐵所は建って54年ぐらい、コークス炉は50年と老朽化もしていた。普通、大手の製鉄メーカーではスプリンクラー等も含めて消火設備を設けるということであるが、新日鐵住金名古屋製鐵所のコークス炉にはなかった。5度目のトラブルで、15人が重軽傷を負う事故であり、東海市だけでなく隣の市にも影響があった。救急車が来たり、DMATが出たということも聞いたし、ドクターヘリも飛んだ。他の地域で何か同時にあったとしたらとんでもないことになったと感じた。
このような事態にもかかわらず、記者会見で所長が安全確認は前提だが、供給責任を果たすことが我々の責務であると言っていた。同社が自動車部品を提供できなければ、自動車メーカーも仕事ができず、ひいては経済に影響を及ぼすということは分かる。しかし、安全が大前提である。供給責任があるからという理屈で、安全も確保できていないのに2日後に操業が再開された。大手と言われる企業では安全はモラルである。行政において一番大事なのは、県民の安全をきちんと守るということであると考えるが、どうか。
【消防保安課主幹(消防・予防)】
同社については、1月から半年の間に、4回の黒煙発生事故を起こしており、その再発防止の最中である9月3日には、火災事故を発生させ、15人もの負傷者を出したという状況である。県としては、大変、遺憾で異常な状態という認識をしており、徹底した原因究明、施設上の総点検、業務上の運営の課題も含め、一刻も早い対策の実施が必要であると考えている。また、操業再開に当たっては、私ども県としても安全が大前提ということで、再三にわたり同社に申入れを行うとともに、その際には住民にも丁寧に説明した上で操業を再開するよう申入れをしているところである。
【渡会克明委員】
やれることはやっていると理解をしている。企業が老朽化した施設を抱えながら操業していて、何かあれば困るというのは、当たり前の話であり、当然、作業マニュアルもあり、安全には万全を期しているとは思うが、5度の事故を起こした。報道によると、同社は労基署が操業再開を了解したと言っているようだが、労基署はそんなことを言った覚えはないと言っている。見切り発車のようなことが行われている。今後、外部委員会等を設けて検証していくので、詳細についてはまだ後になるかとは思うが、愛知県として、相手からのアクションを待つだけなのか。ペナルティこそ与えられないのかもしれないが、打つ手はあるのか伺う。
【消防保安課主幹(消防・予防)】
同社では8月8日に、黒煙発生問題に関して、知事からの要請文書に答える形で、東京大学と民間会社から外部有識者を迎え、二つの委員会を設置した。こうした最中に火災が発生したことを受け、本社社長直轄の管理本部の下に、コークス事故対策委員会が設置され、検討を進めている状況である。まずは、同社においてしっかりと安全を確保する対策をとってもらわなければならない。
県としては、こうした委員会の進捗状況、情報収集に努めながら、現在、県警が入っており、立入検査も難しい状況ではあるが、必要に応じて関係機関と連携しながら立入りを行い、必要な対応を進めていきたいと考えている。
同社には、これまでも、操業に当たっては、安全が大前提であること、きめ細やかな住民への説明などを求めてきたが、記者会見やホームページでの広報、住民説明会の対応などについて、今後も機会を捉えて、新日鐵住金に対して、積極的な対応をしてもらえるよう働きかけていく。
【渡会克明委員】
消費者白書によると、2013年度における全国の消費生活センターの相談受付件数は、92万5,000件で9年ぶりに増加した。特に65歳以上の高齢者の相談が、26万7,000件余りで大幅に増加している。
一方、オンラインゲームについて、2013年度における相談件数は、全体で5,827件、このうち未成年者に関する相談件数は4割を占めており、低年齢化も進んでいる。また、全体の平均購入金額が約21万3,000円であったのに対し、未成年者の場合は約23万3,000円であり、未成年者の購入金額が高額化している。具体的な事例としては、中学生の子供が親のクレジットカードを無断で利用し、ゲームのアイテムを高額購入した、子供に頼まれオンラインゲーム上でカード番号と暗証番号を入れたが、高額な請求をされた等、カード決済に関する相談が多い。 カードやカード番号について、子供に分からないようにしている保護者は52.8パーセントとのことであり、クレジットカードの管理が厳密にされていない。オンラインゲームに関する教育について保護者は、課金に関する注意事項、セキュリティに関する注意事項、他のプレイヤーとのコミュニケーションに対する注意事項、トラブル発生時の対処法などが必要だとしている。
白書は、課金に関するルールを定めること、課金に必要なパスワードやクレジットカードの管理を厳重に行うこと、ゲーム会社が提供する未成年者保護のための機能を活用することが必要だとしている。こういった白書から見えてくる消費者問題の現状から、消費者教育の充実と強化という観点で、愛知県ではどういう取組をしているのか。
【県民生活課主幹(企画・調整)】
あいち暮らしっくの若者向け特集号の中で、インターネットの正しい利用方法について取り上げている。ネット依存は、メッセージのやり取りや、ゲームに夢中になり、他のことが手につかなくなるなど心身ともに悪影響が出るので、健全なインターネット活用をするよう啓発している。また、サイトの登録やアプリのダウンロードに際しては、悪質なものがあるので気を付ける、人が不快に思うことはしないなど、SNSやブログなどを利用する際の注意喚起、インターネットの掲示板やブログなどのサービスを利用する際の個人情報の取扱い方についての注意喚起を掲載している。
【渡会克明委員】
平成24年に消費者教育推進法ができ、都道府県は消費者教育推進計画の策定と消費者教育推進地域協議会の設置を求められている。消費者庁のホームページを見ると、愛知県はどちらもまだないようだが、どうなっているのか。
【県民生活課主幹(企画・調整)】
平成24年12月に施行された消費者教育推進法の中で、国が消費者教育推進に関する基本方針を定めること、都道府県・市町村はその基本方針を踏まえ、消費者教育推進計画を策定することとされている。既に、平成25年度に計画を策定している都府県があることは承知している。
消費者教育の推進については、現行の消費者行政推進計画の中で、三つの目標のうちの一つに主体性のある消費者の育成を掲げている。例えば、消費者教育の取組の中で、校長会・教育委員会・関係行政機関を構成員とする若年消費者研究会を設置して、消費者教育を効果的に実施するための方策を検討している。また、消費者教育研究校として高等学校を指定しており、そこで取り組んだ授業の結果を、教員向けの研修会などで発表している。消費者教育においては、教育委員会との連携が課題だが、愛知県はこれまでも他県に先駆けて取組を進めている。
【渡会克明委員】
慎重を期してやっており、教育委員会とも連携しているから時間がかかっているが、すごいものができるということか。
【県民生活課長】
平成25年6月に国の基本方針が出され、それを踏まえて計画を策定することになっており、今年度は計画の実効性を高める準備期間としている。多様な主体との連携が求められていることから、取組についての情報収集を行っている。また、消費者教育の担い手の育成にも取り組んでいる。さらに、消費者教育の拠点としても期待される消費生活センターの設置を市町村に働きかけている。このような状況を踏まえて、市町村の消費者教育の指針として活用できる、実効性のある計画づくりをしている。
【渡会克明委員】
消費者行政活性化基金が平成20年度からあるが、その使い道はどうなっているのか。
【県民生活課主幹(企画・調整)】
消費者行政活性化基金については、消費生活相談機能整備・強化事業、すなわち、消費生活センターの設置等ハード面に係るものと、消費生活相談員養成事業、消費生活相談員等レベルアップ事業などソフト面に係るものがある。また、消費生活相談員を窓口・センターで雇用する消費生活相談体制整備事業、消費者教育・啓発を行う、地域における消費者問題解決力の強化に関する事業がある。なお、基金については、県が行う事業と県が市町村に補助金を交付して行う事業がある。
【渡会克明委員】
基金の中に先駆的プログラムがあるが、愛知県は実施しているのか。
【県民生活課主幹(企画・調整)】
実施していない。しかし、消費者教育連携促進事業として、消費者市民社会の概念の普及のため、多様な主体が行っている消費者教育に関する情報の整理を基金を使って行っている。また、出前講座の講師の派遣にも基金を活用している。
【渡会克明委員】
今年度の基金の予算及び国からの交付金額は幾らか。
【県民生活課主幹(企画・調整)】
今年度の予算は、総額が2億1,101万9,000円で、このうち県事業費が5,455万5,000円、市町村事業補助金が残りの1億5,646万4,000円になる。また、国からの交付金は9,349万8,000円で、これまでの基金の積立てと併せて執行する。
【渡会克明委員】
段取りや市町村との連携に時間を要することは理解するが、少し待ちの姿勢なのではないか。被害に遭うのは若者など弱い立場の人であり、県行政の役目として弱い立場の人を守ることを要望する。
平成26年10月6日
【渡会克明委員】
次期行革大綱の人と組織という分野について何点か伺う。主要取組事項として10本の柱がある。1番目に人材の育成・活用とワークライフバランスの推進ということがうたわれている。以前にも説明があったが、職員定数を減らして組織が非常にスリムになったので、ある意味、量から質へシフトしたのだと思う。業績だけでなく頑張り度を含めて評価する人事評価制度の活用、やりたい仕事挑戦制度の推進、職員の意識向上や職場の活性に資する職員提案の促進など、職員が高いモチベーションを持って仕事に取り組むことができる環境づくりに更に取り組んでいくと書いてある。人事評価制度とやりたい仕事挑戦制度と職員提案について説明してほしい。
【人事課主幹(人事)】
まず人事評価制度についてであるが、人事評価については、職員が職務を遂行するに当たり発揮した能力を見る能力評価と、役割を明確化した上で成し遂げた業績を見る業績評価の両面で評価をしている。また、頑張り度合いについて、業務の成果だけではなくプロセスも重視する評価制度であるので、引き続きこの制度をしっかり運用し、職員のモチベーションの向上につなげていきたい。次に、やりたい仕事挑戦制度についてであるが、職場から業務を指定して、それに職員が手を挙げて応募するという一般公募型や事業提案型といった制度のほか、職員のチャレンジ意欲を更に向上させるということから、本人が自ら培ってきた能力やスキルを希望する所属に直接アピールして、選考に合格すれば異動できるといった自己申請型も導入しており、本人の希望を重視した人事異動を実施する取組として引き続き推進していきたい。
【総務課主幹(行政改革)】
職員提案については、グッドジョブ運動として平成22年度から取組を実施している。日々の業務の中で成果を上げたり、組織の中でチームワークを高めた取組を、職員自身が登録して、県庁内で共有するとともに、特に優れたものは表彰する取組である。この取組は、次期行革大綱においても、更に見える化を図るなど改善した上で実施していきたい。褒めることはモチベーション向上の有効な手法であるので、この取組をうまく活用していきたいと考えている。
【渡会克明委員】
主要取組事項の10本の柱の中に女性の活躍の促進についても書かれている。国も率先して取り組んでいるところであり、従業員300人以上の企業に、女性管理職の割合の公表や女性の活躍促進に向けた行動計画の策定などを求める女性の活躍推進法の制定の動きもある。次期行革大綱の中間取りまとめでは、本県の役職者に占める女性の割合等についてグラフで示してあるが、本県として、次期行革大綱に数値目標まで載せる方向であるのか。
【人事課長】
本年2月に女性職員活躍促進の関係の取組指針を作成した。その中で、これまでは主査級以上の役職者に数値目標を設定して取り組んできたが、新たに管理職についても平成32年度までの間に知事部局等における管理職に占める女性の割合を10パーセントにするといった目標を設定して取り組んでいるところである。今後、次期行革大綱の中で数値目標をどういう形で取り込んでいくかは、最終の取りまとめに向けて検討していきたい。
【渡会克明委員】
本気で女性の活躍を推進していくということを行革大綱に数字で表すということは、非常に意味があると思うので是非とも盛り込んでほしい。そういう中で、女性も含めてワークライフバランスというものにきちんと取り組んでいこうということで、様々なことを検討していると思うが、最終的にはどういう形で次期行革大綱に取り入れていこうと考えているか。
【監察室長】
ワークライフバランスの推進については、女性職員の活躍促進に向けた取組指針でも大きな柱として捉えており、職場環境等の整備、管理職や同僚職員の意識の向上、人事制度による組織風土の醸成といった取組の方向を示している。ワークライフバランス実現に向けて最も重要なことは、それぞれの職員が実際に勤務する時間の縮減を図ることであると考えている。この総勤務時間の縮減を阻んでいる一番の原因は、職場全体の雰囲気や職員自身にも長時間勤務を良しとする気風があることだと考えている。このため、新たな行革大綱では長時間勤務を良しとする気風を改め、時間外勤務の縮減や年次休暇の取得促進に向けて、職員の意識向上、業務の更なる効率化についての方策を検討しているところである。
【渡会克明委員】
こういう取組・指針が行革につながっているということを全職員に意識してもらうには、次期行革大綱に盛り込み、何が大事か訴えてほしい。 次期行革大綱の中間取りまとめの主要取組事項の10本の柱の中の組織の活性化では、「重要な政策課題について、複数の部局にわたる総合的、一体的な検討・立案が必要な場合には、プロジェクトチーム方式を積極的に活用する」とある。プロジェクトチームについて、チーム森岡には森岡副知事がいるということは分かるが、ほかの構成員はよく分からない。プロジェクトチームの取組が、チェックする立場の我々や県民には見えないが、どのようになっているのか。
【総務課長】
次期行革大綱策定に関するプロジェクトチームの例でいうと、森岡副知事の下、総務部長、人事局長、総務課長、財政課長、人事課長と総務課・財政課・人事課の関係主幹で構成しており、要綱で定めて5月から発足させている。もう一つの例では、女性の活躍促進プロジェクトチームであるが、吉本副知事をリーダーに複数部局にまたがって設置している。ほかにも個別の重要課題に取り組むプロジェクトチームがある。大村知事が就任してから、こうしたプロジェクトチームを活用してきたところだが、次期行革大綱に改めて位置づけて更に活用していきたいと考えている。外から見えにくいとの指摘であるが、あえて非公開にしているわけではないので、例えば、プロジェクトチームの要綱や活動状況等をホームページで公表していくことも検討していきたいと考えている。
【渡会克明委員】
県行政に対する県民ニーズは変わってきており、縦割りだけでは対応できなくなっている。そういう中で、我々議会が誰と議論するべきか、もっと分かりやすくしてほしい。
次に、少子高齢化が進行する中で共助の社会が大事であるが、最近よく思うのは、県はどのような役割を担うべきかということである。県民生活プラザなど、県内に分散しているものを県民に近い市町村に任せ、県はより専門性を高めていくこととしている。このように、市町村にお願いすることやNPO・民間企業にコラボしてもらうことがある。しかし、県の役割を単に縮小させるなら、まだ職員を減らせるのではないかという乱暴な意見にもなりかねない。市町村やNPO、企業との連携について、どのような方向で考えているのか。
【総務課主幹(行政改革)】
地域との連携については、次期行革大綱策定懇談会の委員から、件数や事業費の面で成果が見えるが、質の面では躍り場にあり、レベルを上げていく必要があると指摘されている。県民生活部とも調整しながら、県とNPOなどの地域団体とが意見交換する仕組みや、県がコーディネートする能力を高めることなどに力点を置いて取り組んでいきたいと考えている。
【渡会克明委員】
県がNPOなどの地域の団体と連携したり、地域の団体間の連携を支援していくことはすばらしいと思うが、部局がバラバラで取り組んでいる。新しい組織をつくれとは言わないが、連携に専門的に取り組む仕組みが必要ではないか。
【総務課長】
連携に専門的に取り組む組織の設置については、次期行革大綱策定懇談会の委員からも意見が出ているところである。例えば、民間企業では平常業務の効率化により生み出した人員を縦割りの組織・業務から外して、いろいろな課題に臨機応変に振り向ける仕組みがあるとのことである。自治体の組織ではそういう形をとるに至っていないのが現状であり、具体案を提示できるか約束はできないが、重要な検討課題と認識している。
【渡会克明委員】
福岡県が麻生知事の時に、より県民目線で仕事を進めていくため、新社会推進部をつくった。例えば、自立支援だと、本県では産業労働部と健康福祉部にまたがる課題であり、対応が難しいので、指令塔的なものができないかという考え方でつくったのではないか。愛知県でもこうした考えを加味して、議論を深めてほしい。 次に、6月議会でオープンデータやクラウドファンディングの取組を紹介し、オープンデータは次期行革大綱の中間取りまとめに盛り込まれたが、いずれも企業等が求めている取組であり、今後、どのように取り組んでいくのか教えてほしい。
【総務課主幹(行政改革)】
まず、オープンデータについては、委員から行政の透明性の向上や新しい形のビジネスにつながる有効な取組との指摘を受けたが、私ども行革の立場からも、企業、大学、NPOなど、地域の様々な主体と連携を進めていく上で、県の持つ情報を利用しやすい形で開放することは重要と考え、次期行革大綱の中間取りまとめに位置づけたところである。現在、所管する地域振興部と調整しているが、今年度、国が示す自治体向けの指針を踏まえ、県ホームページに掲載しているオープンデータカタログにおいて公開する範囲を拡大することを検討していく。次に、クラウドファンディング、いわゆる中小企業やベンチャー企業などの事業者と投資家をインターネット上で結び付け、多数の投資家から少額ずつ資金を集める仕組みに関しても、税金に頼らない施策の一つであるといった委員の指摘を踏まえて、早速、先行して実施している自治体から情報収集をして研究を行ったところである。事業の仕組み・県の役割としては、専門的なノウハウを持つ委託業者等を活用して、投資をしてもらう企業や地域団体の事業をクラウドファンディングサイトに掲載するための仕組みの中で、掲載に当たっての支援を行っているのが先行自治体の取組である。例えば、大阪府では、ベンチャー・中小企業支援を目的に昨年度から事業が行われており、中小企業等の商品開発や新規事業展開などを行う際の小規模な資金調達に活用されている。厳しい財政状況が続く中、事業実施に当たり、税金をなるべく使わずに、外部資金をうまく活用し、施策目的を実現するための有効な手段の一つであると考えている。今後、関係部局に対して調査結果を伝達するとともに、対象となりそうな事業の類型や具体例を示すことにより、事業化に向けた検討を働きかけていきたい。
【渡会克明委員】
しっかりと取組を進めてほしい。プロジェクトチームや市町村・民間企業・NPOとの連携・協働についても、丁寧に議論し、県民にも分かりやすいような取組を進めてほしい。
平成26年12月15日
【渡会克明委員】
消防団員の確保対策について伺う。昨年12月に消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律が成立し、消防団員の処遇等が議会でも取り上げられた。消防団は、消防本部や消防署と同様に、消防組織法に基づいた市町村の消防機関の一つである。消防団は、地域における消防防災のリーダーとして、平常時も非常時も、地域に密着して安心と安全を守っており、年々その業務が増えてきている。本年4月1日現在の総務省の速報値では、全国の消防団員数は86万4,633人で、前年に比べ4,239人減少しているが、本県の数値について教えてほしい。
【消防保安課主幹(消防・予防)】
本県の本年4月1日現在の消防団員数は、2万3,430人で、前年に比べ、74人減少している。
【渡会克明委員】
74名の減少というと約0.31パーセント減で、これが多いか少ないかは判断が難しい。消防団員が減っている理由について、どのように分析しているのか。
【消防保安課主幹(消防・予防)】
消防団員の減少の理由として、サラリーマン層の増加、就業形態の変化など社会構造の変化に伴うもの、また、少子高齢化、地域社会の結び付き意識の希薄化などが考えられると分析している。
【渡会克明委員】
そのとおりで、本県は日本の縮図のようなところであるが、山間地の過疎化、都市部の少子化、高齢化などといった悪い材料ばかりの中で、消防団はボランティアとして頑張っている。消防団員の確保は大変な地域の問題であり、公務員、大学生、会社員、女性など様々な人々に消防団員の確保ということで助けてもらっている。平成17年から機能別消防団員という制度ができているが、愛媛県松山市の機能別消防団員制度について、どういうものか説明してほしい。
【消防保安課主幹(消防・予防)】
機能別消防団員は、平成17年1月に創設された制度で、地域住民であるサラリーマン、主婦、学生などが、それぞれの立場で参加しやすいかたちを作っていくものである。例えば、火災時や地震等大規模災害の支援活動のみに内容を限定したり、あるいは平日の昼間のみに時間を限定したりするなど、フルに活動する正規の消防団員に対して、限定した活動を行うものである。
【渡会克明委員】
先ほど例に出した松山市では、機能別消防団が4団あり、そのうちの一つが郵便局員で構成された郵便消防団とのことである。配達などで地域の実情に詳しいので、被災情報の情報収集や避難の広報に活躍が期待されている。ほかに大学生の消防団、事業所の消防団、島しょ部の女性消防団がある。平成17年から平成26年10月までの間で、消防団員数が2,147人から2,437人に約300人も増えており、工夫をしていると思った。それから、千葉県君津市では女性消防分団があり、女性ならではのきめ細やかなところを生かして、地域に溶け込んで被災者のケアなどに当たる組織として期待されている。愛知県内の各市町村で、機能別消防団がどのようになっているのか、内容や実情を把握していたら教えてほしい。
【消防保安課主幹(消防・予防)】
本年4月における状況として、機能別消防団は、20の市町村にあり、人数は1,032人である。市町村によって活動の内容は様々で、消防本部のOBで構成されているもの、災害時のみ、あるいは平日の昼間の火災のみに活動が限定されているもの、消防団の後方支援、情報収集、予防・啓発活動に特化したものなどといった状況である。また、機能別分団は県内に三つあり、碧南市、みよし市及び武豊町で、みよし市は、委員指摘の学生による消防分団を置いている。
【渡会克明委員】
各地域でいろいろと工夫されているようだが、先ほど野田委員から女性の活躍についての質問があったが、女性の消防団員の確保についてどのように考えているのか。
【消防保安課主幹(消防・予防)】
女性消防団員の確保については、女性の視点を生かした様々な活動が期待されており、一昨年、県で作成した大規模災害時における消防団の活動指針に沿って、高齢者への防火訪問や大規模災害時に開設される避難所支援など、消防団の活動内容が増えることに伴い女性の役割が重要になってくる。こうした状況を踏まえて、通常の団員確保のPR活動の中で女性の活躍ぶりを取り上げている。また、毎年、女性消防団のための研修会を開催して、女性消防団員が活動しやすい環境整備や団員の育成など、女性団員が十分に力を発揮できるよう取組の充実を図っている。
【渡会克明委員】
今の答弁にあったように、内容の周知を徹底することが大事である。一人でも消防団員を増やすように、市町村に働きかけること。それから、私が調べたところ、佐賀市では佐賀市消防団中部方面隊第一師団中央分団県庁部が設置されており、愛知県ならば名古屋市消防団愛知県庁部ということだと思う。そういうものを設けた場合は、名古屋市の消防団に所属し、名古屋市の公館であっても、国税局であっても助けに行くことになる。消防団の仕事は、火消しをすることだけではなくて、例えば、交通整理など、やることは様々ある。公務員の地域貢献という意味でどのように思うか。
【消防保安課主幹(消防・予防)】
佐賀県の県庁消防団は、佐賀市の消防団に所属し、設置されたものと承知している。本県も同様に考えるならば、名古屋市の消防団に所属し、具体的に活動するということになるが、今のところ、そういった話は出ていない。私の立場で答える内容でないかもしれないが、当然近所で災害があれば県庁としては助けに行くことは当然のことではないかと考える。
【渡会克明委員】
県庁本庁舎、市役所本庁舎ともに重要文化財になったが、どちらかで火が出たら何とかしなければならない。要するに、我々の立場としては、地域に何ができるのかということであり、それを消防防災の面で考えたときに、そういうことが大事であるということである。佐賀県庁では25名が消防団に入っているが、本県でも県庁職員に消防団員やOBがいるだろう。連携や協働と言うだけでなく、実際に範を見せなければ駄目である。そういうことから、是非とも、本県においても、県庁消防団をお願いしたい。
【防災局長】
愛知県職員で市町村の消防団に加入している者は、約50名いる。提案の件は研究課題として検討することとしたい。
【渡会克明委員】
安全・安心が大事である。それをきちんとしないと我々は存在意義を問われることになる。長野県が消防団員の確保等のために法人事業税を減免しているが、どのような内容か知っているか。
【消防保安課主幹(消防・予防)】
長野県と静岡県で事例がある。団員採用又は消防団活動に配慮しているなど、一定の条件を定めて消防団に協力している事業所に対して、法人事業税を一部減免している。
【渡会克明委員】
瀬戸市のガンバレ消防団応援事業所とはどういう内容か。
【消防保安課主幹(消防・予防)】
消防団員に対して一定の優遇をするという、地域で消防団を応援していく制度である。具体的には、飲食店や物品購入の割引などのサービスをするものである。
【渡会克明委員】
県では消防団員の確保にどのような取組をしているのか。一番大事な市町村との連携等は、どうなっているのか。
【消防保安課主幹(消防・予防)】
本県としては、広く消防団そのものを知ってもらう啓発活動がまずは必要と考えており、昨年、毎年1月20日をあいち消防団の日と定め、この日に県と市町村が連携し、一斉に啓発活動を行うこととし、本年1月に初めて実施したが、今年度も引き続き実施する予定である。このほかに、若い人が減ってきたり、消防団の高齢化もあり、若い人材の確保が重要と考えている。市町村と連携して、学園祭などでの大学生への啓発活動や、大学への個別訪問による学生分団の結成促進や学生の加入促進を行っている。今年の10月には、学生分団のあるみよし市の東海学園大学の先生を講師として、市町村と大学の担当者を対象に研修会を行うとともに、近隣の大学と市町村との意見交換も行った。その後もアンケートを行い、意欲の高い大学と市町村をうまくマッチングさせるよう取組を行っている。
【渡会克明委員】
様々な形で取り組んでいることは分かった。ポイントを外さないようにしてほしい。県としてどことどこをマッチングさせれば一番よいか、どのようなコーディネートをすればよいのかを考え、きちんと手を打ってほしい。
平成26年12月16日
【渡会克明委員】
第六次行革大綱の題名にしなやか県庁とあるが、どういう意味で用いているのか。
【総務課長】
第六次行革大綱の策定に当たっては、ネーミングを工夫することによって、対外的なPRはもとより、県庁内に浸透を図ることを考えた。このため、チーム森岡で議論したほか、外部委員のアドバイスも踏まえ、検討した。その上で、時代の変化に的確に対応する柔軟性と、決して折れることのない力強さを合わせ持ち、大綱の目標であるあいちビジョン2020に位置づけた政策を着実に実行していくことを目指すという思いを込めて、しなやか県庁創造プランと名付けたものである。県庁というと抽象的であるが、職員一人一人が今申した姿にかなう行動を取っていきたいとの思いも込めたものである。
【渡会克明委員】
柔軟性や折れないということは一番求められているところだと思う。素案を読んだが、総論の部分はしなやかの意味が分かりやすいが、各論に入っていくと今までと変わらない感じがする。9月議会でも申したが、連携・協働は大事である。素案の改革の視点の2番目に民間・地域の総力を結集とあり、その中で、県が直接実施すべき事務事業以外は、民間に委ねる領域を拡大し、積極的に推進すると書いてあるが、どういうことか。
【総務課長】
公共サービスの守備範囲は今後も狭まることはないと予想されるが、県のみで対応できる財源や資源には限りがあるので、県の外にある資源と協働していくという視点を打ち出したものである。その際、県が直接行わない分野であっても一切関わりを持たないということではなく、民間企業、NPO、地域団体、大学などといった県以外の主体に情報や機会の提供、参加の仕方のアドバイスを行うなど、県はコーディネート役として、連携・協働の促進や必要な支援を行っていきたいと考えている。
【渡会克明委員】
改革の視点の三つ目のたゆまぬ見直しで持続できる財政運営では、県が果たすべき役割の明確化として、行政の中で、国・県・市町村の役割を明確にし、全体として効果的・効率的に行政サービスを提供するとあるが、必要な行政サービスとして県は何をするのか。
【総務課長】
民間と競合する分野については、県が直接行う必要性があるかどうかを根源的に問い直す。例えば、県民の安心・安全に関する分野や民間では採算が取れない、あるいは本来必要とされるサービスが期待できない分野などに県の経営資源を集中していくことを考えている。
【渡会克明委員】
主要取組事項の10本の柱の5番目の民間活力の活用の個別取組事項を見ていくと、民間委託、PFI、指定管理者が出てくるが、これらが着地点になるのか。
【総務課長】
県が直接行わなければならない分野と民間に専ら任せる分野の間に幾つかの段階があるが、その中で、県が主体となる事業を効果的・効率的に行う手法として、民間の知恵や力を借りるものが、PFIや指定管理者制度、民間委託である。また、県実施と民間実施の中間領域には、県が民間の主体と連携・協働して行うべき分野もある。
【渡会克明委員】
9月議会で言ったのは、そういうことを整理しやすいのが連携協働局といった組織ではないかということである。今言われたことを各部局がやるのは大変であり、そこを取りまとめるリーダー役となるセクションが必要である。総務省では、地方中枢拠点都市圏というのがあり、愛知県では豊田市が該当しているということであるが、説明を簡単にお願いしたい。
【市町村行政支援室長】
地方中枢拠点都市は、人口減少、少子高齢化社会の中で、地方が踏みとどまるための拠点を形成するという施策であって、26年8月に総務省が要綱を制定し、今年度は地方中枢拠点都市モデル事業が全国9か所で実施されている。地方中枢拠点都市は、政令指定都市、新中核市で、かつ昼夜間人口比率がおおむね1以上の都市を中心都市とし、近隣市町村と連携して圏域の中心的な役割を担い、圏域全体の住民の暮らしを支えていこうという施策であり、本県では豊田市が該当している。
【渡会克明委員】
国の方が先行しており、特に市町村との連携はこれからが大事である。地方中枢拠点都市には浜松市が入っており、制度上、県境をまたいでもいい。東三河は広域連合を考えているが、これとは別に、県境をまたいで三遠南信自動車道が通り、三遠南信サミットもずっとやっている。南信州、東三河、遠州の核が浜松市であり、この制度を活用できる。現に、岡山県と広島県は県境をまたいでやっている。県は、コーディネート役として、市町村に対する情報提供や提案、支援が必要と思うがどうか。
【総務課長】
市町村の広域連携への支援については、大綱の個別取組事項に盛り込んでいる。地方自治法の改正で連携協約の制度が設けられたが、県は情報提供やアドバイスを行うことなどを位置づけている。大綱における連携・協働の取組は、市町村のほか、民間企業、大学、NPOなど、分野ごとに位置づけている。委員から9月議会で提案のあった、連携・協働を専門とするセクションの設置も一つの考え方だが、今回の大綱に直接盛り込むには至っていない。来年度も継続するPTにおいて大綱の進捗管理を図る中で、様々な分野での連携・協働について、各部局の取組や情報を集約しながら、新しい形の連携・協働に役立てていくことなど、問題意識を持ってやっていきたい。
【渡会克明委員】
しなやかさを職員一人一人に徹底することは大事であるし、地方創生局でもよいが、連携・協働を専門にする部署を設け、交通整理することは重要である。県がコーディネート役になるというが、現場で市町村が頑張るなら、県職員はいらないという考え方もあり、市町村との関わり方は、今までとは変わるべきである。市町村が頑張ってもらえるように、県は組織を作って陣立てしたことを見せるべきではないか。
【総務部長】
県はあいちビジョン2020を策定し、今後展開する施策を明らかにした。その施策をしっかり進めるための体制を作るのが、今回の行革大綱であるが、経営資源は限られているので、民間、地域、市町村、NPO等と連携できる分野は連携していく。連携の専門部署を置くという考え方もあるが、それぞれの分野で専門知識がなければコーディネートしようがないという現実もある。当面は、NPOは社会活動推進課というように、分野別に取り組む現体制でしっかりやっていく。副知事をリーダーとするPTで、県の役割を根源的に問い直す作業を5年間継続的にやっていくので、各部局と連携して、外部有識者の意見も聞きながら、課題に応じた取組を具体化していく。大綱には、本庁組織の見直しを具体的に書いたが、他にも必要な組織の見直しは行うこととした。そうした点も、しなやかに対応していくのが、今回の行革大綱である。
【渡会克明委員】
策定後も、しっかり考えて絶えず見直していくことこそがしなやかだと思うのでよろしくお願いしたい。
平成27年3月13日
【渡会克明委員】
スマートフォンの急速な普及によるインターネットリテラシー、情報マナーの取扱いについて質問する。 インターネットの普及は、長時間利用による生活や心身への悪影響、いじめやネット上の犯罪の温床になるなど多くの問題を浮上させており、スマートフォンの適切な活用法、モラル・マナーの向上が大事である。 本県でも青少年保護育成条例を一部改正して、フィルタリングの普及を図るとともに、保護者向けのスマートフォン教室も続けている。一方、リテラシーの向上などスマートフォンの正しい使い方を身につけることも必要である。国においても、青少年インターネット環境整備法が平成21年4月1日に施行され、研究会や有識者会議において、青少年のインターネット環境を取り巻く情勢の変化、施策の推進状況を踏まえて検討していると伺っている。 総務省消費者行政課によると、青少年のインターネットリテラシーの指標として、青少年に必要なリスク対応能力は、一つ目はインターネット上の違法・有害コンテンツに適切に対処できる能力、二つ目はインターネット上で適切なコミュニケーションができる能力、三つ目はプライバシー保護や適切なセキュリティーができる能力であるとしている。 さらに、総務省が6月から7月にかけて全国の22の高等学校生に対し無記名式のテストを行ったところ、スマートフォンの保有率は、平成25年度が84.2パーセント、平成26年度が88.1パーセントと他の機器と比べて格段に増えており、男性よりも女性が多く所有しているという結果が出ている。平日よりも休日の方が多く利用しており、特に6時間以上の利用者は平日の約2倍の15.7パーセントとなっている。 また、フェイスブックやツイッターなど、SNS上での交流のみで、実際には一度も会ったことがない友人は何人いるかとの問いに、11人以上いると回答した人が19.3パーセントとなっており、内訳をみると、女子の方が男子より人数が多くなっている。こういった状況でネットイコール犯罪とは言えないが、その温床になってもおかしくない状況になっている。 対策として、関係事業者、団体などと連携し、青少年や保護者、教職員に対してインターネットリテラシー、情報マナーの向上の場を設けるべきである。 神奈川県の例として、女子高生が年齢の近い中学生にインターネットの正しい使い方などを教えるというものがある。中学生だけでなく教える側の高校生も情報モラルを深めることができ、中学生は同世代の言葉で教えてもらうことにより、共感を得て理解度が高まる。一番危ないと思われる世代が、次の世代に教え、伝えることは非常に大切なことである。 そこで、法が整備された後の国の検討状況と、これを受けて県として何らかのアプローチを行っているかどうか伺う。
【社会活動推進課長】
現在、学識者、全国PTA連合会、電気通信事業者協会、国の関係省庁等をメンバーとした内閣府所管の青少年インターネット環境整備等に関する検討会において、青少年インターネット環境整備法に基づき策定した第2次青少年インターネット環境整備基本計画のフォローアップを行いつつ、法令改正を含めた必要な対応の検討が重ねられている。最終的には報告書が取りまとめられる見込みであるが、本県も、この会議に出席し、自治体としての前向きな対応例として、携帯電話販売店の説明義務及びフィルタリング解除手続の厳格化を定めた法律の上乗せ条例改正、教育委員会を通じて入手した学校現場の声などを紹介した。 また、県としては現場を抱える地方の実情を知ってもらいたいと考え、次の要望をした。 国は、全国一律規制になじむものは法改正を行うこと。民間業者は、フィルタリングの使用が徹底されるよう技術開発等をスピード感を持って行うこと。携帯電話事業者は、販売店の末端まで法・条例の遵守の徹底を図り、更なる充実した自主的取組を行うこと。スマートフォン等の利用ガイドラインなど、小・中・高の教育現場において、自主的な啓発等が広がりつつあるので、これらを含めて実効性のある施策と行政からの後押しを行うことである。 なお、全国青少年行政主管課長会議、他県で開催されたフォーラムにおいても、同様の情報提供等を行った。
【渡会克明委員】
チャットは雑談という意味であるが、チャットという言葉をインターネットで検索すると、見知らぬ誰かとチャットを楽しめるサービス、チャットで恋人を探そうなどといったサイトがすぐに表示される。これを法や条例改正で規制するといっても非常に難しい。先ほど女子高生が中学生にインターネットの使い方を教える例を述べたが、関わる人たちが主体となって次の世代を変えようという取組、当事者を使って運動を起こしていくことが必要ではないかと思う。良い知恵を出して、生徒を使って啓発ができればいいと思うが、意見等があれば教えてほしい。
【社会活動推進課長】
他県では、中学生が校内アンケートを行い、生徒会で対応方法を検討し、PTA、町内会でも話合いの場を設け、地域をあげてモラル向上に取り組む事例がある。また、委員がさきに示した高校生が中学生を直接教えるというのは有効な取組である。生徒自らがルールづくりへ参加することで、当事者のモチベーションを上げ、自ら責任を持つ意識が高まり、効果を高めることができる適切な手法である。また、世代間交流は、インターネットの正しい利用方法にとどまることなく、自ら考える能力、直接的なコミュニケーション能力の醸成にもつながり、人との交わりが希薄化しつつある最近では大変有益である。
【渡会克明委員】
教育委員会、学校、警察等、これまでも様々な主体が連携して取り組んでいると思うが、より効果的な取組を行うために、民間を含めて相互の連携を図るべきであると思うがどうか。
【社会活動推進課長】
民間も含め、あらゆる主体が連携していくことが肝要かと考えている。 特に、デジタルネイティブ世代といわれる次代を担う青少年は、インターネットと離れて生活することができなくなっていることから、その成長段階に応じて保護者、学校、地域を始め関係するあらゆる主体を通して情報リテラシーを備えていく必要がある。 これまでも、PTAを中心とした学校や地域単位でのルール化、家庭でのルールづくり、警察の出前講座、各市町村の行う広報誌や啓発資材の配布による周知・啓発やコミュニティーセンターでのスマートフォン教室の開催など、教育委員会、警察、市町村、民間団体など、それぞれ事業を工夫して実施してきており幅広い取組を展開している。 今後は、サービスのレベルアップ、効率的な啓発を行うため、これらの関係主体でネットワークを作り、情報交換、アイデア会議の開催、それぞれが実施している研修事業等に関する情報の整理を行い、関係主体間で情報を共有する。 その上で、これらの情報をまとめて分かりやすく一般に周知し、住民等が利用しやすい環境づくりを推し進めることが必要である。 そのため、青少年インターネット環境整備等に関する検討会を所管する内閣府や総務省等に情報提供等を行い、協力を得ながら早期にネットワークが形成されるよう関係主体に働きかけていく。 さらに、各種の県民運動等において、スマートフォンの安全安心な利用、発達段階に応じた情報の取捨選択等を含めた青少年のインターネット活用能力、リテラシー向上、保護者の責務などを啓発し、気運の醸成を図っていく。
【渡会克明委員】
青少年に対して、自分自身が訴えて、弟、妹など次の世代を守るということを伝えていく必要がある。関係主体のネットワークも大事ではあるが、青少年の取組に対して顕彰するなど様々な工夫をしながら、県民運動を起こしていかないとなかなか減っていかないと思われるので、青少年との対話も含めて、今後も進めてほしい。
平成27年3月16日
【渡会克明委員】
地方創生は、県庁を挙げて取り組んでいかなければならない課題であるが、地方創生を進めていく上での庁内体制について伺う。
【企画課長】
地方創生は内容が多岐にわたり、総合的に取り組む必要のあるテーマであるので、企画課が総合調整役となって、愛知県版の人口ビジョン及び総合戦略を策定していく。また、地域振興部の地域政策課が中心となって、市町村への支援をしていく。地方創生に関する政策は、県庁を挙げて取り組んでいくことが不可欠であるので、2月17日に、知事を本部長とする愛知県まち・ひと・しごと創生総合戦略推進本部を立ち上げたところであり、この本部の下、関係部局と協力しながら、推進を図っていきたい。
【渡会克明委員】
我々議員が、本県の地方創生に関する取組の進捗を尋ねるのは、政策企画局の企画課になるということか。
【企画課長】
そのとおりである。
【渡会克明委員】
県としての人口はまだ伸びているということであるが、地域によって人口の増減の状況は全く異なっており、県民に人口問題についての共通認識を持ってもらうことが大切であると考えている。愛知県の将来人口について、どのように認識しているのか。
【企画課主幹(企画)】
本県の人口は、2015年1月1日の時点で744万6,523人となっている。2013年3月の国立社会保障・人口問題研究所の人口推計によると、本県人口のピークは2015年頃とされているが、足元では、この1年で、約4,000人の自然増、約8,000人の社会増となっており、人口増加が続いている。こうした動向を踏まえると、今後、経済環境などに大きな変化がなければ、本県の人口のピークは2020年頃になるのではないかと見込んでいる。県全体で見れば、当面、緩やかに人口増加が続く状況にはあるが、地域によって、人口問題に関する現状や将来の見通しが異なるので、それぞれの地域の実情や市町村の意向をしっかり把握しながら、県としての総合戦略を策定していくことが大切と考えている。
【渡会克明委員】
自然増、社会増によって、現在も人口が増えている背景について、どのように分析しているか。
【企画課主幹(企画)】
自然増については、西三河地域など、産業が集積している地域に若い人が集まるため、子供の数も多いことが考えられる。社会増については、仕事を求めて県外からも人が来ていることが考えられる。
【渡会克明委員】
人口減少等の問題に関する県内各市町村における住民等への周知の状況についてどのように認識しているか。
【企画課主幹(企画)】
県内全ての市町村において、総合戦略と人口ビジョンを策定することになっており、県を挙げて支援するということで、各地域で地域の活力を高める取組が進められているという状況である。
【渡会克明委員】
総合戦略を策定する人材がいない市町村もあるかと思うが、人材の確保はどのようにしていくのか。
【企画課主幹(企画)】
県全体で支援していくことになる。総合戦略策定の支援については、地域振興部が相談の窓口になる。
【渡会克明委員】
国に地方創生人材支援制度があるが、各市町村がそのような制度をいち早く活用できるよう市町村へのアドバイスをお願いする。 東京一極集中に歯止めをかける上で、リニア、MRJ、FCVといった愛知で展開されるプロジェクトを生かしていくことが大切だが、特に、リニアを生かして東京一極集中に歯止めをかける戦略をどのように考えているのか。
【企画課長】
2027年のリニアの開業は、この地域に大きなインパクトがあるので、これを最大限活用して、愛知の地域づくりに取り組んでいかなければならない。そうした認識の下に、昨年3月に策定したあいちビジョン2020では、5,000万人のリニア大交流圏の西の拠点として発展していく中京大都市圏づくりの方向性を示している。リニア開業の効果を全県で受け止めていくという視点も重要である。そのため、名古屋駅から鉄道による40分交通圏の拡大を目指していくとともに、東海道新幹線の活用や、リニア中間駅を活用した三河山間地域の活性化などを図り、リニア効果を全県に広く波及させていく取組を進めていく。
【渡会克明委員】
要である企画課において、一層知恵を絞ってほしい。今年1月には、北設楽郡3町村による独自の取組として、地域再生計画が認定されたが、地方創生を進める上では、各地域にある資源の掘り起こしが重要である。市町村の特色ある取組を後押ししながら、県として地方創生の戦略を策定することが大切だが、県としての決意を伺う。
【企画課長】
政府も、地方創生の主役は市町村といっており、市町村の自主的な取組をバックアップしていくことが県の重要な役割だと認識している。県では、地域振興部が窓口となり、市町村への情報提供や、地方創生の交付金に係る市町村事業のとりまとめ等を行っている。知事政策局としても、県としての総合戦略の策定に当たっては、市町村との意見交換会を開催し、各市町村の地域特性や地域資源を生かした地域づくりの方向性をしっかりと把握するとともに、市町村の総合戦略との連携を図りながら、県内各地域の発展につながる実効性ある本県の戦略を取りまとめていきたい。
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