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総務県民委員会(平成27年5月〜)

平成27年6月30日

【渡会克明委員】
 防災会議にも看護協会の女性がメンバーになっているとのことだが、私は、女性の意見や女性目線が大変大事であると以前から思っていた。今回、避難所運営マニュアルの改訂に当たり、女性ならではの視点からの意見が様々あったと思うが、どのようにマニュアルに反映されているのか伺う。

【災害対策課主幹(調整・支援)】
 今回の改訂では、愛知県避難所運営マニュアルの改正に係る検討会議を組織して、外部委員の意見を聞きながら検討を行った。会議では、名古屋大学発達心理精神科学教育研究センター長の松本真理子氏に座長をお願いするとともに、東日本大震災で実際に被災地域の支援を行ったNPOからも2人の女性に委員をお願いし、それぞれの専門的な見地からの意見だけでなく、女性ならではの意見をもらい、マニュアルに反映した。また、改訂作業に当たっては、災害対策課の女性職員が中心的な役割を果たしてマニュアルを作成した。

【渡会克明委員】
 マニュアルの改訂事項で、実際に女性の視点を取り入れた点は何か。

【災害対策課主幹(調整・支援)】
 検討会議では、子育て・生活再建など、女性同士が様々な悩みや思いを話すことができる場が必要であるという意見があった。今回のマニュアル改訂では、そういった意見を踏まえて、女性専用スペースの設置を提案している。  また、女性用トイレ、更衣室、授乳室など、女性が使用する場は、異性の目が気にならない場所に設置するなど工夫をしている。

【渡会克明委員】
 女性の視点が大事だということは、災害対策基本法でも規定され、様々な会議やメディアでも取り上げられている。  私が一番大事だと思うことは、災害が起こったときに、現場が右往左往しない、つらい思いをしないということである。災害時に避難所で女性の視点を取り入れた運営が行われるということだが、防災局として、今後更にどういう取組を行うのか、決意も含めて伺う。

【災害対策課主幹(調整・支援)】
 実際に災害が発生し、避難所を開設する必要が生じた場合には、それぞれの避難所の運営に女性の意見が取り入れられて、避難所の生活環境が良好なものとなることが望まれている。  通常、避難所の開設期間が長期化した場合、避難所の利用者の中で、避難所運営委員会を速やかに組織し、避難所運営に必要な規則を作成することとしており、今回のマニュアルでは、この運営委員会の構成に少なくとも3割以上の女性を充てることとしている。
 また、本年2月に公益財団法人あいち男女共同参画財団の主催による地域の課題解決研究セミナーが開催された際に、避難所に関する課題をテーマとし、防災局職員が講師としてセミナー参加者に対し、その時点におけるマニュアル改訂の動きを紹介するとともに、避難所運営における女性の参画の必要性を説明した。  こうした避難所運営に携わる県民に対してマニュアルの内容を直接説明する機会は、大変有意義であると考えている。昨年も県民参加の避難所運営ゲームを25件実施しており、今年度も既に3件実施した。こうした機会を活用して、職員が直接県民に説明を行いたい。

【渡会克明委員】
 避難所運営マニュアルをどのように周知しているのか。

【災害対策課主幹(調整・支援)】
 愛知県避難所運営マニュアルの改訂は、本年3月に記者発表を行い、防災局のホームページでも掲出し、県内市町村に通知した。防災局のホームページから、避難所運営マニュアルのデータをダウンロードできるようにしており、県内の市町村が県のマニュアルに沿った形で見直す際に、修正等が容易にできるよう、PDF形式だけでなく、ワードやエクセル形式のデータもダウンロードを可能にしている。
 その他、5月に開催した市町村対象の災害救助法事務担当者会議や市町村防災担当課長会議において、改訂のポイントを説明し、各避難所に県のマニュアルに沿った内容となるよう見直しをお願いしている。
 さらに、尾張県民事務所管内では、管内市町村の防災担当者会議が開催され、防災局職員が避難所運営マニュアル改訂のポイント等を説明した。また8月には、防災局職員を講師として派遣し、実際に避難所運営に関わる市町村職員を対象とした講演を行う予定である。

【渡会克明委員】
 市町村がマニュアルや手引を作成する際には、防災局職員も出向いてしっかり話をするという点は有り難いと思うし、しっかりやってもらいたい。そうすることで、県と市町村との信頼関係がもっと高まっていくと思う。  改訂したマニュアルでは、障害者等の要配慮者に対してどのような対応を行うように記載されているのか。

【災害対策課主幹(調整・支援)】
 災害時には、避難所に様々な事情を持った人が避難してくることから、このマニュアルでは、これらの方々を受け付ける際に、障害やアレルギーの有無、かかりつけの病院・医師等の情報の聞き取りを行うこと、要配慮者に応じた具体的な配慮事項を示すこと、さらに、要配慮者支援班を避難所に置くこととしている。  また、要配慮者の方々に対しては、医療対応が可能な避難所、近隣の病院等医療機関の開業状況などの情報を提供することとしている。  さらに、医療機関関係者・保健師・関係支援団体等と連携して、必要に応じて医療機関への移送を行うこととしている。

【渡会克明委員】
 愛知県でも透析患者は増えている。改訂したマニュアルでは、透析患者や障害がある方は必要に応じて医療機関に移送するということであるが、透析患者は多く、果たしてどれだけの患者を移送することができるのか疑問である。移送というのは非常に大きな問題であるが、現段階で防災局はどのように考えているのか。

【災害対策課主幹(調整・支援)】
 現時点では県・市町村の公用車と、緊急時には救急車での移送を予定している。  現在、愛知県バス協会と、災害時におけるバスによる緊急輸送に係る協定を締結している。しかし、この協定では、輸送対象者が災害応急対策に必要な要員に限られているため、昨年、バス協会に対し、現協定を要員の輸送だけでなく、被災住民の輸送まで拡大できないか提案を行っている。  また、救急車を呼ぶほどの緊急性がない場合に、介助が必要な高齢者、身体障害者、傷病者等の移送能力のある患者等搬送認定事業者を各消防本部で認定しているので、これらの業者にどのように協力してもらえるのかを研究していきたい。他県では、災害時の傷病者の搬送に関し、タクシー協会と協定を締結している事例もある。  大規模災害時の要配慮者の移送については、民間事業者にどのような形で協力を仰ぐことができるのか、検討していきたい。

【渡会克明委員】
 可能なことを他部局ともよく連携し、整理をして、本当に困らないような形にしてもらいたい。災害時に要配慮者の不安を軽減して良好な環境を確保するためには、学校、病院、関係部局等との密接な連携が必要であるが、いまだに連携が進んでいない。こうした取組は、防災局が旗振り役となるべきだと思うが、今後、そういう取組を行っていく考えはあるのか伺う。

【災害対策課主幹(調整・支援)】
 避難所の良好な生活環境の確保に向けた取組と合わせて、自力で避難が難しい、いわゆる避難行動要支援者の避難対策も重要な課題である。  避難行動の支援を始めとして、災害時における要配慮者対策については、防災局と健康福祉部が共同して取り組んでいるところであるが、今回のマニュアルが市町村レベルで一層理解が促進し、県のマニュアルに沿ったマニュアルが早期に整備されるよう、健康福祉部と連携し、周知徹底を行う。  また、市町村がマニュアル改訂を検討する際には、県民事務所を参画させて、県のマニュアルの内容を反映するよう働きかけるとともに、市町村で先進的な成功例があれば、他の市町村にも広めていきたい。健康福祉部だけでなく、教育委員会や保健医療局など、関係部局とも最大限の連携・協力を行っていく。

【渡会克明委員】
 今年、新潟では越後妻有、来年は瀬戸内でも国際芸術祭が開催される。この二つは非常に人気がある芸術祭で、全国の美術館を視察し、学芸員から話を聞くと、必ずこれらの芸術祭の話が出る。越後妻有や瀬戸内は、地の利を生かすことにより成功しているのだと思う。  あいちトリエンナーレでは、長者町等において開催された、まちなか展開は評価されているが、今後も持続させるためには、もう一ひねり考えなければと思っている。愛知県は、山・海・島がある本当に素晴らしいところであり、地の利に恵まれている。例えば、路線バスで犬山城に行くと、そこには現代美術作品がある。豊田に路線バスで向かって、足助の緑の香嵐渓を見る。また、小原和紙のところに現代美術作品を置くというように、路線バスとツーリズムが絡むようにしてはどうか。佐久島には既に現代美術作品が置いてあり、船の旅で巡る現代美術と島という提案もできる。  奥三河、天竜浜名湖地域の飯田線では、鉄道の旅とツーリズムを合わせようとしている。前回、東栄町が会場の一つであったが、そうしたところにも新たに客を呼んで滞在観光を増やすと、今までとは違うトリエンナーレが見せられるのではないかと思う。
 トリエンナーレ2016の進捗状況はどうなっており、現時点で、どういう準備をしているのか伺う。

【国際芸術祭推進室主幹(調整)】
 今年度末を目途に事業全体の枠組み、展示、公演のプログラムを確定することとしている。現在、それに向けての準備を進めているところである。例えば、会場関係では、長者町地区や豊橋・岡崎市内のどこで展示できるかを検討し、詰めている段階である。主な展示会場については、できるだけ早く決めたいと考えている。  また、来年の会期中に愛知芸術文化センター等において、公募により選考した地元の文化芸術団体と共催で舞台芸術公募プログラムを開催する。これには、40の団体・個人から応募があり、現在、公演団体決定に向け、選考手続を進めている。その他、参加アーティストの選定や普及教育プログラムの検討などの準備を進めている。  開催気運を盛り上げるため、開幕1年前となる今年の夏に、プレ事業として、児童総合センターや陶磁美術館、愛知県美術館と連携して、トリエンナーレ出品作家による作品展示やワークショップなどを実施する。  また、現代アートを楽しみながら学んでもらうため、トリエンナーレの公式デザイナーや出品作家などによるトリエンナーレスクールを定期的に開催する。トリエンナーレスクールでは、講演会のほかにワークショップなど、参加者が主役になるものも含め、合計10回の開催を予定しており、開幕に向けてトリエンナーレへの期待を高めていきたいと考えている。  さらに、愛知県庁大津橋分室と長者町地区において、地元芸術大学との連携による作品展示などを実施する準備を進めている。  そのほか、ホームページや各種印刷物、東京でのトークショーの開催など、あいちトリエンナーレ2016の広報・PRの準備を現在進めているところである。

【渡会克明委員】
 今聞いたことは、相当費用をかけないとできないことであり、観光と絡めるなど、新たな見せ方ができるのではないかということを提案したい。  例えば、愛知県の路線バスは全て赤字であるが、香嵐渓に現代美術作品を置いて、路線バスで巡るといった発想や、佐久島が現代美術の島であり、船に乗って行けて楽しいということを全国に発信することで、非常に知名度が上がるのではないかと思う。  また、今は鉄道ブームであり、在来線に乗る鉄道ファンも多い。作家にもそういったところに一度行ってもらい、現地の空気を吸って、構想を考えてもらうなどといったことができるのか伺う。

【国際芸術祭推進室長】
 会場については、監督のイメージに合うか、展示に適した空間があるか、交通の便がよいか、そうした点を総合的に判断して監督を中心に決定している。  今回は、豊橋、岡崎といった比較的多くの方に参加してもらえる都市を選定した。会場の選定では、地域の持つ魅力を考慮することはもちろんのこと、加えて会場への交通手段をどうするかという点を総合的に考えた結果である。  また、2013の開催時には、参加アーティストの作品を会期中の週末にかけて、県内数箇所の文化施設で展示するモバイル・トリエンナーレを実施し、東栄町の旧東部小学校で作品展示を行い、山間部ではふだん目にする機会の少ない現代アートに触れてもらった。参加した方は、現代アートの持つ力や地域の持つ魅力を実感し、山間部にアートを置くという新たな魅力に触れることができたと思う。  2016についても、モバイル・トリエンナーレを実施する予定であるが、市町村の意向も踏まえて、開催地を決定していきたい。  観光面では、2013の開催時に県内の様々な観光資源とトリエンナーレを結び付けたバスツアーを旅行社に企画してもらっており、多くの方に参加してもらっている。今回も旅行社やホテルに働きかけ、そのようなツアーを作ってもらい、トリエンナーレの魅力に触れてもらうとともに、県内各地の魅力にも触れてもらえる展開をしていきたい。

【渡会克明委員】
 モバイル・トリエンナーレはいいと思うが、外国の方は、スマートフォンなどを使って情報を得て現地に行くため、Wi-Fi環境が必要である。  また、豊橋には、プラットという舞台ができる施設があり、東三河広域連合では、飯田線を活性化のツールにしようと思っている。プラットや鉄道の活用など、市町の様々な情報を収集して、しっかり連携をとることが大事である。  市町も今までいろいろとやってきているが、県の手助けが必要であるため、しっかりと市町との連携をとってもらいたい。



平成27年7月1日

【渡会克明委員】
 地方創生について伺う。まず、愛知県版の人口ビジョンと総合戦略の策定に向けた今の取組状況はどうなっているか。

【企画課長】
 今年2月に、庁内の検討体制として愛知県まち・ひと・しごと創生総合戦略推進本部を設置し、4月には、外部の方々の助言を得るため、学識者や産業界・労働団体など19名で構成する愛知県まち・ひと・しごと創生総合戦略推進会議を立ち上げ、意見を伺ったところである。  また、5月には、県内市町村を6ブロックに分けて意見交換会を開催した。  さらに、インターネットを活用したアンケート調査として、愛知県への定住や移住に関する意識調査を進めているところである。

【渡会克明委員】
 人口ビジョンと総合戦略は年内に策定していくということであるが、今後どのように集約していくのか。

【企画課長】
 7月末までに、人口ビジョンの案と総合戦略の骨子をまとめていきたい。その際には、外部の有識者や市町村から意見をもらうとともに、意見公募も実施していきたい。策定時期については、当初は年内と考えていたが、市町村の総合戦略は県の総合戦略を勘案して策定することになっているので、なるべく早く策定したいと考えており、本会議では、知事から秋頃と答弁したところである。

【渡会克明委員】
 県内には、大きな中核市もあれば小さな町もあり、同じように総合戦略を策定するのは難しいと感じている。市町から県に意見は上がってきているのか。

【企画課長】
 5月に実施した市町村との意見交換会では、県の総合戦略と人口ビジョンについて、早く情報提供してほしいという声が多かったので、7月末を目途に骨子をまとめ、秋頃には策定したいと考えている。  地域ごとの意見では、東三河地域では、山間地域の移住促進、農林業の担い手の育成や6次産業化などによる高付加価値化、広域連合の取組の推進といった意見があった。  また、西三河では、工場用地の確保の必要性や、住宅用地がないため、住宅を購入する年代になると転出してしまうといった悩みが聞かれた。  県の総合戦略の中にもそういった視点をうまく取り込んで、県と市町村が連携しながら、バランスよく発展できる形にしていきたいと考えている。

【渡会克明委員】
 内閣府は、地方が特色ある取組を提案すれば、交付金を積極的に採択したい考えであると聞いている。採択されやすい交付金の申請事例などを市町村に示すのが県の役割であると考えているので、よろしくお願いする。



平成27年10月6日

【渡会克明委員】
 公立高校の入試制度については、平成24年度から見直しを検討しており、平成29年度から大きく変更される。昨年から、平成29年度に試験を受ける今の中学2年生に説明されており、順次、保護者や中学校校長にも説明し、来年度にはリーフレットを作成して配布するなど普及啓発、周知が進んでいくと思う。公立高校の入試制度の大きな改革ということで、何らかの形で私立高校にも影響が及ぶと考えるが、生徒や保護者のことを考えると事前に議論をしておくべきである。今回の公立高校の入試制度の変更は、私立高校にどのような影響を与えると認識しているか。

【私学振興室主幹(認可・助成)】
 平成29年度から実施される公立高校入試の改革は大きく2点ある。まず、1点目は推薦入試を一般入試の日程に取り込み、入試日程を短縮すること、2点目は三河学区において1群、2群を一つにまとめ、尾張学区では群を越える共通校を増やし、受験生の選択肢を広げることである。  私立高校への影響については、まず、公立の推薦入試が一般入試と同じ3月に実施されると、私立高校の推薦入試は1月末から2月初めに行われるため、早期に進路を決定したい受験生が私学を選択することも考えられる。次に、公立高校受験の選択肢が広がると、それぞれの学区における高校の人気、志望動向が変化することが考えられるが、具体的にどのような影響があるのか予測が困難である。

【渡会克明委員】
 今回の入試制度の変更により、高校の順位付けができて、私立学校もいろいろと考えることが出てくると思うが、いかがか。

【私学振興室主幹(認可・助成)】
 様々な影響があると考えていると思うが、現段階では、具体的な不満などの話は聞いていない。漠然と、やってみないと分からないといったような声を聞いている。

【渡会克明委員】
 中学の生徒やその保護者に今回の制度変更をしっかり理解してもらって、公立高校か私立高校を迷うことなく選択できるように周知啓発に努めることを要望する。  また、今回の制度変更は新聞発表も行われているが、まだまだ浸透していない。生徒や保護者、私学の関係者などから意見や不満、問合せはないのか。

【私学振興室主幹(認可・助成)】
 教育委員会でも、今後、全中学生、保護者に一層の周知に努めるとのことであり、現時点では、私学振興室へは保護者や生徒から不安や不満といった具体的な相談は受けていない。また、私立高校からも学校に対してそのような相談があったとは聞いていない。

【渡会克明委員】
 公立高校の入学制度の変更に当たり、私学への具体的な影響があった場合にどのように臨んでいくのか伺う。

【私学振興室主幹(認可・助成)】
 公立高校の入試制度が変更となっても、全日制高校への進学を希望する中学生を、公立と私立2対1で受け入れるという枠組みは現行と変わらない。これまでも私立高校に対しては、建学の精神に基づく個性的な校風や魅力をPRすることにより、生徒や保護者から選択される学校となって、進学希望者の3分の1を受け入れるようお願いしてきた。また、入学納付金補助や授業料軽減補助により、私学を選択する父母の負担軽減を図ってきた。公立高校の入試制度改革による具体的な影響は現時点では不明であるが、今後とも、高校進学を希望する中学生の多様な選択肢が確保されるよう努めていく。

【渡会克明委員】
 新制度になった場合、私学を受験しようという生徒と公立高校を受験しようという生徒が明確に分かれると思う。私学は建学の精神が大事であり、その精神にのっとり独自性を持つよう指導することを要望する。



平成27年10月7日

【渡会克明委員】
 国は6月30日にまち・ひと・しごと創生基本方針2015を閣議決定した。今後国は、各自治体の地方版総合戦略の策定を推進するとともに、地域発の取組を支援するため、地方財政措置による、まち・ひと・しごと創生事業費や平成28年度に創設される新型交付金などにより、今後5年間にわたり、継続的な支援とその財源の確保を行うと聞いているが、国における地方創生関連の予算措置について伺う。

【企画課長】
 地方創生関連の予算は、一つ目は、地方財政措置としてのまち・ひと・しごと創生事業費であり、地方財政計画に1兆円が措置されている。二つ目は、各府省が持っている事業費のうち、地方創生関連の補助事業として具体的な事業実施のために取りまとめたものである。三つ目は、地方自治体の自主的・主体的な取組を支援するための交付金であり、縦割りではできない事業を実施するための予算である。

【渡会克明委員】
 今年度は、先行的に全額国費で、1,700億円の交付金が措置されている。国は、基本方針の中で、地方創生関連の予算確保をしっかり行うとしているが、8月4日に国が取りまとめた来年度の新型交付金の方針では、予算額が1,000億円、地方負担は2分の1となっている。この方針に対する率直な意見等を伺う。

【企画課長】
 今年度の先行型交付金は、平成26年度の補正予算で措置され、予算額は1,700億円、全額国費で負担することとなっている。都道府県や市町村は、総合戦略の策定前に地方創生に関する事業を展開するため、この予算を使っている。  来年度予算措置される新型交付金に関しては、全国知事会を始め地方6団体で、地方創生先行型の予算規模と同水準、あるいはそれ以上を措置するよう要請してきたが、国費ベースでは大きく下回り、また地方負担もあるため、期待外れと感じている。

【渡会克明委員】
 国の新型交付金創設に関する文書では、従来の縦割り事業だけでは対応できない課題に取り組む地方を支援する観点から措置する交付金となっている。具体的な支援対象は、一つ目に官民協働や地域間連携の促進、地方創生の事業推進主体の形成、中核的人材の確保・育成等といった先駆性のある取組、二つ目は、既存事業のあい路を発見し打開する取組、三つ目は、先駆的・優良事例の横展開である。先行型交付金は、国が全額を負担していたが、新型交付金では2分の1の地方負担が生じる。国は基本方針の中で地方創生関連の予算はしっかり措置すると言っているため、そのとおり措置すべきと考えるが、県の認識と国への働きかけの状況を伺う。

【企画課長】
 新型交付金で2分の1の地方負担が生じることについては、何らかの地方財政措置が必要であるとの認識であり、国に対して要請すべきと考えている。県では、年2回、国に要請活動を行っており、秋の要請では、必要な財源を継続的に確保すること、制度運用を柔軟なものとすることなどを盛り込んでいく予定である。また、全国知事会でも国へ要請を行うべきと考えている。

【渡会克明委員】
 県は、市町村の総合戦略策定に向けて支援をすべきと考えるが、どのように行うのか伺う。

【企画課長】
 10月5日に県の総合戦略案をまとめたが、再度、外部の意見を聴きながら今月中に内容を固めたいと考えている。その内容は市町村に周知し、県の考え方を理解してもらえるようしっかりと働きかけていく予定である。

【渡会克明委員】
 平成27年6月に公職選挙法が改正されたが、そのポイントと選挙権が18歳以上に引き下げられた意義について伺う。

【選挙管理委員会事務局長】
 公職選挙法改正のポイントの一つ目は、選挙権が20歳以上から18歳以上に引き下げられたことである。二つ目は、平成28年6月19日から施行されるため、来年執行予定の参議院議員通常選挙から適用される見込みであることである。三つ目は、民法の成年年齢や少年法の適用年齢等の引下げについて、必要な法制上の措置を別途講ずるとされていることである。  選挙権年齢の引下げによる意義は、若年層の意見がより政治に反映されるようになり、政治参加を促す効果が生じることである。また、日本以外の先進7か国では、選挙権が18歳以上であり、今回の公職選挙法改正で国際的な基準に合うこととなる。

【渡会克明委員】
 選挙権年齢の引下げに伴い、愛知県で新たに選挙権を得るのは何人いるのか、また、来年の参議院議員通常選挙では、いつ生まれた人から選挙権を行使できるのか伺う。

【選挙管理委員会事務局長】
 来年の参議院議員通常選挙で新たに選挙権を得る本県の18歳と19歳は、約15万人である。この数は、県内有権者の2.5パーセントを占める。選挙権を行使できる者は、選挙期日の翌日までに18歳の誕生日を迎える者である。

【渡会克明委員】
 現在の若年層の投票率はどれぐらいか伺う。

【選挙管理委員会事務局長】
 他の年代と比べて非常に低い傾向である。昨年の衆議院議員総選挙では、県全体の投票率が約54パーセントであるのに対し、20代前半は37.8パーセントで約16ポイント低い状況である。  また、20代のうち、20歳の投票率は若干高いが、22歳になると10ポイント以上減少する。これは、相対的に政治に無関心という背景があり、初めての選挙には行くが、その後投票率は減少し、また年齢が上がるにつれて投票率が上昇するという状況である。

【渡会克明委員】
 若者の政治・選挙に対する関心を高めるために、どのような取組を行っているのか伺う。

【選挙管理委員会事務局長】
 若年層の低投票率には危機感をもっており、18歳と19歳をターゲットにした啓発に取り組んでいる。具体的には、高校の授業で選挙の話や模擬投票を行う選挙出前トークの実施、選挙管理委員会職員による講義や大学生による選挙に関する研究報告会の開催など、大学と連携した啓発を実施している。
 また、県内在住・在学の若者を明るい選挙推進サポーターとして委嘱し、一緒に啓発活動を実施している。その他、若者向けのフェイスブックやツイッターといったSNSの活用による啓発にも力を入れており、愛知県のフェイスブック閲覧者数は、全国トップクラスである。

【渡会克明委員】
 公職選挙法改正に伴う、若年層の投票率向上に向けた新たな施策について伺う。

【選挙管理委員会事務局長】
 まずは、来年の参議院議員通常選挙を見据えた対応が必要である。選挙時における啓発は今後、内容を詰めていくが、若者にターゲットを絞り、多様な広報媒体やイベント等をしっかりと検討していきたいと考えている。
 一方、平常時の啓発では、既存施策の拡充を行っており、高等学校への選挙出前トークは、昨年度の2校から18校に増やし、その企画・運営に大学生が携わり、大学生が自らの言葉で未来の有権者に訴えかける取組を行っている。また、こうした取組をマスコミにしっかりと伝え、報道してもらうことにより、政治・選挙の話を身近に感じてもらえることも期待している。大学連携事業では、18歳選挙権をテーマにしたゼミでの討論、あるいは学生による調査研究報告会を3回予定しており、18歳選挙権の実施に向け、どのような取組が効果的であるのか、学生のアイデアを取り入れ、活用していきたいと考えている。
 今年度の新たな取組では、県立高校に選挙・政治を専門とする大学の先生を招き、教職員を対象とした主権者教育実践のための研修会の開催や、広報番組で選挙啓発に取り組む学生やサポーターの活動紹介、若者による同世代への訴えなど、来年夏の参議院議員通常選挙に向けた啓発を検討している。

【渡会克明委員】
 愛知県では、平成17年から明るい選挙推進サポーター制度が始まり、既に10年間若者とともに啓発活動を行っているが、近年若者に関心の高い動画の活用など、もっと若者の知恵や意見を取り入れるべきではないか。
 また、投票の利便性を高めるため、他県では大学・駅・商業施設等に期日前投票所を設置する動きがあるが、本県における検討状況を伺う。

【選挙管理委員会事務局長】
 明るい選挙推進サポーター制度には、若者のネットワークを活用して一緒に啓発を行うという視点がある。特に本県のサポーターは、大学ごとの枠組みを外し、選挙管理委員会とともに啓発活動を実施している。サポーターの重要性は認識しており、今後もサポーターがより積極的に活動できる環境整備や他県の事例等も研究し、しっかりとしたサポーター制度にしていきたい。
 県内で大学やショッピングセンターなどに期日前投票所を設置しているところはない。二重投票の防止、突然選挙になった場合の対応、大学等の所在地の有権者しか投票ができないなど課題も多い。しかし、少数ではあるが、全国的に大学等に期日前投票所を設置している自治体もあるため、制度的には可能である。平成15年に期日前投票制度ができて以降、投票率は順調に伸びており、総務省においても研究会を設置して期日前投票等の利便性を更に高める方策について検討している。可能な限り投票機会を創出するため、期日前投票所の設置主体である市町村選挙管理委員会とも連携を図り対応していきたい。

【渡会克明委員】
 投票率の向上に向けて、若者の力や知恵を借り、市町村とも連携を図りながら施策を展開することを期待する。



平成27年12月11日

【渡会克明委員】
 来年開催されるあいちトリエンナーレは、平成27年3月に開催概要が発表され、9月には参加アーティストの追加発表があった。開幕まで8か月を切ったあいちトリエンナーレの進捗状況について伺う。

【国際芸術祭推進室主幹(調整)】
 会場関係では、主な展示会場のうち、まちなか会場としては、名古屋市内の長者町、豊橋市内の豊橋駅前大通、岡崎市内の康生地域を予定しており、現在、地域内の会場所有者と調整を行っているところである。参加アーティストの選定関係では、国内外から75組程度が出品する現代美術の国際展では、現在、20組を選定済みであり、引き続き港千尋芸術監督を中心に選定を進め、年度末までには全アーティストを公表したいと考えている。現在、この20組以外にも、何人かの参加候補アーティストが国内外から訪れ、会場予定地を調査し、制作作品を検討しているところである。普及教育関係では、児童・生徒に授業や校外学習など、様々な学校行事を活用して現代アートに触れてもらうため、11月末から県内の小中高等学校などに対し、学校向け団体鑑賞プログラムの申込みの案内を行っているところである。運営面では、一緒にトリエンナーレの運営を支えるボランティアを、12月28日まで募集しており、来月1月から開幕までの間、一定の研修を行い、トリエンナーレ本番では、来場者の案内や誘導、展示作品の看視や解説をお願いする予定である。チケットについては、来年4月からの販売に向けて、現在、券種や料金の検討を行っているところである。  来年8月11日の開幕に向け、年度末を目途に、展示会場、参加アーティストなど、開催内容の主要な部分を確定し、4月以降は会場整備、作品制作、チケット販売など、開催に向けた準備に全力で取り組んでいく。

【渡会克明委員】
 これまで、国内の様々な芸術祭や美術館などを見て、その取組内容を聞いてきたが、各地のトリエンナーレやビエンナーレでは、開催回数を重ねる中で、多くの課題が浮き彫りになってきた。その中には、できるだけ少ない予算で新しい基軸を打ち出そうと工夫している芸術祭もある。本県の芸術祭は、予算も規模も国内最大級であり、今後、日本の文化芸術をけん引する立場であると思う。地方創生が叫ばれる中、芸術祭を離島や山間部で開催することは、首都圏から若者や芸術家を引っ張ってくる効果もあり、本県が力を入れている観光にもつながる。  そうした中、あいちトリエンナーレの特色や目指している方向性は何か伺う。

【国際芸術祭推進室長】
 あいちトリエンナーレは、2016年の開催で3回目となるが、開催当初から三つの目的がある。
 一つ目は、新たな芸術の創造・発信により、世界の文化芸術の発展に貢献すること、二つ目は、現代芸術の普及・教育により、文化芸術の日常生活への浸透を図ること、三つ目は、文化芸術活動の活発化により、地域の魅力の向上を図ることである。  これらの目的に向け、あいちトリエンナーレでは特色ある事業を展開している。一つ目は、現代美術のみならず、音楽・舞踊・オペラなど最先端の舞台芸術を複合的に展開していることである。ほかの芸術祭でもパフォーミングアーツを実施している例はあるが、あいちトリエンナーレほど本格的なプログラムを組んで実施している例はないと考えている。また、次回開催する芸術祭のオペラでは、より複合的な演出を行う事業展開を考えており、最先端の現代芸術を継続して紹介していくとともに、世界初演となる公演などを通じて海外に発信することで、世界の文化芸術の発展に貢献したいと考えている。
 二つ目は、多くの方々に現代芸術に触れてもらい、アートを体感してもらうための様々な普及・教育プログラムの展開に力を入れていることである。普及教育事業を実施するに当たっては、専門スタッフ数人からなるチームを組織してプログラムを考えている。様々な年齢層の来館者に出品作品を深く理解してもらうため、多彩な鑑賞プログラムを用意するとともに、来館者自らがものづくりを行う創作プログラムや、参加アーティストが学校に出向き、児童・生徒と一緒に作品を制作するなどのプログラムを実施している。こうした体系的かつ多彩に教育・普及プログラムを実施している芸術祭はほかにはないと考えている。これまでの子供向けの普及・教育事業は、子供の自発性に任せて自由に創作するプログラムが主体であったが、次回芸術祭では、より創造性を伸ばすために、普及・教育専門スタッフの指導による少人数制のプログラムに変更することを検討している。子供の頃から多様なアートに触れることは、創造性を育む上で非常に有効であるため、こうした普及・教育事業を展開することで、体験しながら自然と文化芸術が日常に浸透していくものと考えている。
 三つ目は、県内各地の町中を会場としていることである。あいちトリエンナーレ2016では、名古屋市内、岡崎市内に加え、新たに豊橋市内も会場となり、県内でより幅広く展開していくこととしている。これまでのトリエンナーレで会場となった長者町や、岡崎市の松本町では、会場となった建物に新たな店舗がオープンし、地域ににぎわいが生まれている。しかしながら、前回の岡崎会場では県が主体となって事業を実施したため、トリエンナーレ開催後の岡崎市における現代芸術の更なる展開にはつながらなかったと考えるため、次回の開催では、会場となる岡崎市、豊橋市の両市に一定の役割を担ってもらい、県と協働しながら、主体的に運営に当たってもらう方式に改めている。また、地元のNPOや地域住民などからなる推進組織を立ち上げてもらい、トリエンナーレ終了後も継続して文化芸術事業を実施してもらえるよう県も支援していきたいと考えている。
 県内各地で継続して開催することで、新たなにぎわいが創出され、それぞれの地域がもともと持っている魅力を再発見し、更に魅力的な地域になるものと考えている。いずれにしても、これまでのトリエンナーレ開催により築かれた特色を継承するとともに、必要に応じて事業を見直しながら、文化芸術あいち100年の軸として継続実施し、トリエンナーレの三つの目的を達成していきたいと考えている。

【新海正春委員】
 来年、岡崎市は市制施行100周年を迎え、様々な関連行事を検討していると思うが、そうした事業とトリエンナーレとの関係はどのようになるのか伺う。

【国際芸術祭推進室長】
 トリエンナーレは、芸術監督が中心となって企画し、岡崎市と芸術祭実行委員会が協働して実施する。岡崎市の100周年事業は、市が独自に事業を実施すると聞いているが、例えば、広報などはお互い連携して、それぞれ盛り上げていきたい。

【渡会克明委員】
 国は、平成26年12月にまち・ひと・しごと創生長期ビジョンと総合戦略を閣議決定し、東京の一極集中の是正と人口減少に歯止めをかけるために、国を挙げた取組を進めることとした。これを受けて、本県でも、本年10月に人口ビジョンと総合戦略を策定し、知事は、本県が先頭に立って、東京一極集中のストップと日本の活力を取り戻す核としての役割を果たしたいと言っている。  こうした中、地域ニーズに対応した人材の育成、地方の課題解決への貢献、地元企業への就職率の向上、地元への若者の定着など、これまで以上に地方大学の重要性が増してきている。平成16年に国立大学が法人化され、運営費交付金が年々減少し、国立大学法人の中には、大学の運営が困難になってきているところもあるようである。県立大学については、地方独立行政法人法に基づき、平成19年から法人化したが、本県の公立大学法人への運営費交付金の状況及び経営状況はどのようになっているのか伺う。

【学事振興課長】
 平成27年度の愛知県公立大学法人の事業費総額は、84億5,514万円であり、そのうち県費である運営費交付金が48億2,567万円で、法人事業費の57パーセントを占めている。また、その他の収入としては、授業料及び入学検定料収入、受託研究等収入及び寄附金収入等がある。  第二期中期目標期間における県からの運営費交付金については、知事が示した中期目標に沿って、大学法人が経営基盤を強化し、確実に大学運営を実施していくために必要な経費を交付するものであり、標準運営費交付金と特定運営費交付金の2種類から成り立っている。標準運営費交付金については、法人の経営改善努力を前提にして、国立大学法人に準じて毎年度1パーセントの効率化係数を乗じて積算することを基本としている。一方、特定運営費交付金については、教職員の退職金等の臨時的経費に充てる経費であり、毎年度精査することとなっている。
 次に、公立大学法人の経営状況であるが、平成26年度の法人決算は、経常収益等合計で78億8,200万余円、経常費用等合計76億2,600万余円となっており、経費の節減等により、差引き2億余円の利益剰余金が出ている。法人化後は、経費の抑制や外部研究資金の獲得など自主財源の確保に努め、自主・自律的な業務運営を進めて、改善・効率化に積極的に取り組んでおり、経営状況としては、黒字基調で推移している。

【渡会克明委員】
 少子化の進行で若者が減少し、学生の取り合いが起きる。授業料収益は、大学の重要な財源であると思うが、財源を左右する県立大学の志願者数の推移について伺う。

【学事振興課長】
 全国的に志願者が減少傾向にある中、厳しい経済状況を反映しているためか、授業料の安い国公立大学の人気は依然として高く、平成27年度の看護学部の5.8倍を始めとして、全体としては、法人化の平成19年度以降、約4倍前後で推移しており、優秀な学生の獲得が図られていると考えている。県立大学においては、優れた資質を持つ入学者を確保するため、入学者選抜方法の評価及び改善を継続して行っている。  また、入学志願者数の増加を図るため、オープンキャンパス、高校での説明会・出張講義など、受験生に対する広報活動の充実に取り組んでいる。

【渡会克明委員】
 私立大学などでは、大学院の無償化や留学生制度などを売りにしているところもあるが、そうした中、県立大学は着実に入学者獲得を進めている。教育の質の低下につながらないよう、県が助言をしてもらいたい。  県立大学は、第二期中期目標において、愛知県を始めとする自治体、産業界、ほかの大学などとの連携活動を強化し、教育研究を通じて大学と地域相互の発展に貢献するとうたっている。どのような地域連携事業を実施しているのか伺う。

【学事振興課長】
 愛知県立大学は、平成19年4月の公立大学法人化とともに、その存在意義を一層高めるため、地域の課題解決や地域経済の発展に向けた貢献を行うための地域連携センターを設置した。地域連携センターは、行政機関、産業界、研究機関及び県民各層、諸団体と連携して、教育研究の成果を社会に還元するとともに、県民の多様なニーズに対応した事業を実施するため、地域連携の窓口機能及び地域連携事業のコーディネイト機能を果たしている。  この地域連携センターを中心として、地域の活性化や地域づくりのための人材育成として、多様な公開講座や地域ニーズに応じた学術講演会、セミナーの実施、自治体等との共同事業、産業界や研究機関との共同研究等を実施し、地域振興と地元企業等の活性化に貢献している。  具体的には、大学の専門性を生かして、一般県民向けの学術講演会や公開講座を年10企画程度実施している。また、看護師を対象としたスキルアップセミナーや、看護実践センターに認定看護師教育課程を開設し認定看護師を養成するなど、看護の質の向上への取組や医療系現場におけるコミュニケーション支援能力養成のための医療分野ポルトガル語・スペイン語講座を開催するなど、地域ニーズに応じた講座を開催している。  県との連携事業では、振興部と連携し地域の人材育成事業として、あいち地域づくり連携大学などを実施するほか、教育委員会とは、高校生に幅広い学びの機会を提供することを目的に、知の探究講座を実施している。また、産業界や研究機関との共同事業として、企業等を対象とした各種セミナーや講習会の実施、大学が有する最先端の知識や技術を生かして、県内企業や研究機関と共同研究を実施している。  具体的には、平成26年度に、道路標識関連事業を手がける株式会社キクテックと共同で、横断歩道上の事故の抑制を目的とした横断歩行者感知システムと道路標示劣化監視システムの実証実験を実施したほか、科学技術交流財団、株式会社デンソー、アイシン精機株式会社などと16件の共同研究を実施している。

【渡会克明委員】
 地域の課題解決に向けた連携は重要であり、県がしっかりと支援することを要望する。  県立大学が人材育成を進めていくに当たり、教育の充実に関して重点的に取り組んでいることを伺う。

【学事振興課長】
 公立大学法人の第二期中期計画では、重点的取組として、地域社会に貢献できるグローバル人材の育成、高度道路交通システムであるITSとロボット技術を身に付けた次世代産業の担い手の育成、高度な専門知識と実践力を有する優れた看護師の養成が盛り込まれている。  グローバル人材の育成については、ネイティブ教員の増員や外国語のみ使用可能な交流スペースの設置・活用などにより、全学部学生の英語力の強化が明記されており、平成24年度に文部科学省のグローバル人材育成推進事業に選定され、平成25年4月から外国語学部において、グローバル人材プログラムをスタートさせたほか、多言語学習センターiCoToBa(あいことば)をオープンするなど積極的な展開を図っている。  次世代産業の担い手の育成では、情報化社会をリードできる情報技術者の養成を目的として、高度なITSとロボティクス研究を融合した研究拠点の構築及び企業のイノベーションに向けて産業界に貢献できる工学的人材の養成を行うこととされており、平成26年度から情報科学部を情報システムコース、メディア・ロボティクスコース、シミュレーション科学コースの3コースに改編し、ものづくりと情報技術を結合させた時代を開く新しい情報システムの中核技術者の養成を目指している。  高度な専門的知識と実践力を有する優れた看護師の育成では、教育体制の充実のほか、専門看護師の実践力向上のための実習教育スペースの拡充として、守山キャンパスの大学院教育研究施設の増築を行い、平成26年11月から使用を開始している。

【渡会克明委員】
 県立大学が人材育成を進める上での最大の地域貢献は、学生が県内企業に就職することだと考えるが、平成26年度の卒業生の就職状況を伺う。

【学事振興課長】
 県立大学の学部生のうち就職希望者の就職率は、97.6パーセントであり、全国の大学の就職率96.7パーセントと比べると、若干、上回っている。県内企業への就職率は、63.9パーセントとなっている。主な就職先としては、トヨタ自動車株式会社、アイシン・エイ・ダブリュ株式会社などの地元企業や、愛知県、名古屋市などの地元自治体、また、看護師として、愛知県がんセンター、名古屋市立大学病院などへ就職している。  就職は、学生にとって将来を左右する重要な出来事であるため、大学では、情報収集に努め、就職や卒業後の自立に向けて、在学中のキャリア形成支援体制を充実・強化し、全力で学生を支援していく方針である。

【渡会克明委員】
 若者の地元への定着は重要な課題であるが、県立大学は、企業ニーズに応じた人材育成についてどのような取組を行っているのか伺う。

【学事振興課長】
 県立大学では、グローバル社会が進展する中で、国際社会や地域社会に貢献する多様なグローバル人材を育成することを目指しており、留学生制度や多言語学習センターiCoToBa(あいことば)を活用して、英語教育などの充実に積極的に取り組んでいる。国際文化研究科においては、語学力の高度な運用能力を通じて地域に貢献する人材を養成するため、平成27年度に翻訳・通訳を目指す博士前期課程高度専門職業人コースを導入した。看護学部においては、看護師国家試験の取得に向けて、授業内容の充実を図り、平成26年度新卒者は、合格率100パーセントを達成した。また、専門看護師コースにおいて、平成26年度から新しいカリキュラムを開始し、より専門性の高い人材の育成を図っている。さらに、学生のキャリア形成支援を強化するため、キャリア・スキル科目を充実させた新カリキュラムの実施や、インターンシップの充実を図っている。  今後も、企業ニーズの把握に努め、社会人としての教養や高度で専門的な知識・技能を身に付け、地域で活躍できる人材の育成に取り組むこととしている。

【渡会克明委員】
 今年10月に策定された県のまち・ひと・しごと創生総合戦略では、県立大学、芸術大学における人材育成、教育研究の成果の社会への還元、県民ニーズに対応した事業を実施し、地域貢献に取り組むことが明文化されている。今後、県は、どのように県立大学の取組を支援するのか伺う。

【学事振興課長】
 県公立大学法人は、地方独立行政法人法に基づき、県が平成25年度から平成30年度までの第二期中期目標を示し、これに基づいて法人が第二期中期計画を策定して、自主・自律的な運営を行っている。第二期中期目標の基本的な理念は、県民に支援された県立の大学であることを認識し、公立大学としての個性・特色を明確にすることにより、存在感と信頼感のある誰もが誇りに思う大学を目指すことである。その理念に基づき、グローバル人材の育成、ITS・ロボット技術を身に付けた次世代産業の担い手の育成、高度な専門知識と実践力を有する看護師の養成など、地域・世界に貢献できる人材を育成する教育の充実に重点的に取り組み、それを支える研究力と地域連携の強化を進めている。  県は、毎年度法人から提出される業務実績を県公立大学法人評価委員会に諮り、その評価を通じて進捗管理を行い、業務の改善とその充実に役立てている。また、第三期中期目標の策定に向けて、設置者である県と運営に当たる大学法人との意思疎通を緊密にするため、本年度から連絡調整会議を定期的に開催し、業務の実施状況や課題について意見交換を行うとともに、県の他部局や関係団体との連絡調整を行っている。  今後も、大学法人が着実に業務を遂行できるよう、意見交換、情報提供などを行い、県としてしっかり対応していきたいと考えている。

【渡会克明委員】
 県立大学の機能強化という視点からも、県立大学が地方創生に貢献する取組に対して継続的に支援してもらいたい。



平成27年12月14日

【渡会克明委員】
 12月24日と25日に職員ガイダンスが行われるが、申込状況はどのようになっているのか。

【人事委員会事務局次長兼職員課長】
 現在、申込期間中であるが、昨年と同様の申込状況である。

【渡会克明委員】
 昔は、景気が良くなると民間に流れて、不景気になると公務員へという流れであったが、最近の志願者数の推移はどのようになっているのか。

【人事委員会事務局次長兼職員課長】
 民間企業への就職状況はかなりいい状況であり、少し前と比べると公務員は人材確保が難しい状況であるが、本年の状況は、他県が苦労している中で、昨年度より申込者が増え、受験者数も増加している。職員ガイダンスなどいろいろな取組をやっている成果が出ていると理解している。

【渡会克明委員】
 平成28年度の職員定数はどのような状況か。

【人事課主幹(人事)】
 各部局からの要望を踏まえて、最適な人員配置となるよう調整しているところである。

【渡会克明委員】
 平成26年度と平成27年度は知事部局では定数が変わっていないようだが、年代別の構成はどのようになっているのか。

【人事課主幹(人事)】
 30代が少なく、万博や空港など大きな公共事業があった平成2年度から平成6年度の採用者である、現在45歳から47歳辺りの年齢層は多くなっている。

【渡会克明委員】
 あいちビジョン2020を見ると、今後大きな事業を抱えており、これから多くの人材が必要となってくる。職員の年齢層にばらつきはあるものの、健全な構成になってきたように思うがどうか。また、来年度もビッグプロジェクトがあるが、平成28年度の定数はどのようになるのか。

【人事課主幹(人事)】
 年齢構成については年齢制限のない社会人採用枠を設けて、経験がある人を採用し、薄い年齢層を埋めるような取組を行っている。  定数管理の取組では、しなやか県庁創造プランにおいて数値目標を定めてはいないが、これまでスリム化してきた体制を維持し、その成果を後戻りさせないようにと明記している。これは、引き続き事務事業の見直し等をしっかり行うとともに、今後の行政課題に対応するため、事務事業の見直し等により削減した人員を増員に振り分けるなど、適切な人員配置に努めていきたいということである。

【渡会克明委員】
 今まで人員を削減してきて、内部での再編やローテーションで本当にやっていけるのか。

【人事課主幹(人事)】
 部局や所属間の業務量にばらつきはあるが、現状をしっかり見極め、県庁全体として業務量に応じた適切な人員配置をしていきたいと考えている。

【渡会克明委員】
 平成24年3月に改正した人材育成ビジョンにある、職務選択型人事制度及び職場診断制度とは、どのようなものか。

【人事課主幹(人事)】
 職務選択型人事制度は、来年度の異動に向けて準備を進めているところであるが、ジョブローテーションを終了した職員が班長になるまでの間、特に業務の専門性が高く一定の経験年数を要する、例えば税務などの分野に職員が自ら選択し、その分野に軸足を置いて職務を経験することで、専門性の高い人材を育成する取組である。  職場診断制度は、グループ診断制度として既に実施しており、五つの項目について職員がアンケートに回答し、人事課で集計した結果を各グループへ返して今後のグループ運営に活用してもらっている。制度開始から3年が経過し、結果について分析を進めているところである。
【渡会克明委員】
 人材育成制度は、特に若い職員のやる気が出る形にしてもらいたい。
 次に、地方創生先行型の上乗せ交付分について、10月27日に内閣府から発表があった。愛知県では、県が2件、市町村が10件ということであるが、上乗せ分の300億円の採択基準や考え方が、平成28年度の新型交付金にほぼ踏襲されると聞いている。上乗せ交付分について、愛知県の採択件数は、県も市町村も、他県に比べると少ない気がするがどうか。

【企画課長】
 愛知県の採択件数は少ない方である。分析したところ、愛知県、東京都、神奈川県といった大都市部にはやや厳しかったという状況であり、来年度の申請に当たっては、ある程度選び抜かなければいけないと考えている。例えば、連携事業だとか、国が言っているDMO(Destination Marketing/Management Organization)などのキーワードがしっかり入っているとよかったと感じているところであり、そうしたところをしっかり補強して整理していく必要がある。

【渡会克明委員】
 地域間連携、広域連携を入れたところやDMOやCCRC(Continuing Care Retirement Community)といった取組のあるところは採択されている。例えば、瀬戸内国際芸術祭が採択されているが、本県のトリエンナーレも上手にまとめ上げれば一つの事業になる。県立大学も、地方創生の拠点として、例えば高等教育機関との連携を組むなどということを出していく必要がある。  県は総合戦略を策定して市町村に周知したが、もう少し市町村と連携し、市町村に対してアドバイスができればよかったのではないかと思う。今後の申請に向けてどのようにしていくのか。

【企画課長】
 今回の結果を分析し、関係部局との情報共有を行い、キーワードを盛り込むといったことを依頼するなど、連携していきたい。



平成28年3月17日

【渡会克明委員】
 先週の3月11日で東日本大震災から5年が経過した。大変な思いで本県に避難している方々に、県として現在も支援をしているが、本県に避難している人の推移について伺う。

【災害対策課主幹(調整・支援)】
 本県の避難者の推移については、県内に避難した被災者の情報を把握し継続して適切な支援を行うため、愛知県受入被災者登録制度を新設し、市町村と連携して被災者の状況把握に努めている。  本県の避難者数については、平成23年8月に1,287人、これをピークとして平成26年2月まではほぼ横ばいの状況で推移していたが、平成25年度末以降、緩やかな減少傾向となり、今年の2月末現在では、428世帯、1,055人となっている。依然として1,000人を超える人が受入被災者として登録されている。

【渡会克明委員】
 来年度も東日本大震災受入支援事業費として予算を措置して事業を継続するが、今後どのように続けていくのか伺う。

【災害対策課主幹(調整・支援)】
 東日本大震災直後には、生活用品も持たない状況で愛知県に来た人がたくさんいた。そうした人には、混乱の中で生活用品の提供、教育や就労のあっせんなど、生活をするための支援を実施した。5年が経過して受入被災者の避難生活が長期化する中で、被災者の孤立、心身の健康、生活面での不安など、被災者に必要な支援の内容も多様化してきているので、今後は、市町村の福祉部門や社会福祉協議会などとの連携を一層密にして、支援関係機関、団体と協力して被災者の安定した生活が本県でも送れるように自立支援に取り組んでいく。

【渡会克明委員】
 支援を中心になって行うのは、愛知県被災者支援センターであると理解すればよいのか。

【災害対策課主幹(調整・支援)】
 NPOなどの民間団体に委託して、被災者支援センターが中心となって、きめ細かな支援を行っていきたいと考えている。

【渡会克明委員】
 市町村との連携という話があったが、民生委員の力や社会福祉協議会といった多岐にわたる機関の力を借りることや連携等も必要となる。情報の周知もしなければならない。被災者支援センターはコーディネートする役割になると思うが、体制や人材などをもっと拡充しなければならないのではないか。

【災害対策課主幹(調整・支援)】
 被災者支援センターは、国費を使って運営しており、国の考え方もあるため、どこまで国の予算が続くかは分からないが、国の補助がなくなっても県として一生懸命やっていきたいと思っており、市町村と連携を密にしてやっていかなければならないという考えは変わらない。また、人材を育てることも必要であり、市町村と被災者支援センターとで一緒になって被災者への訪問を実施しているので、そういった活動を通じて人材を育成し、継続して支援を行っていきたい。

【渡会克明委員】
 次に、家具固定について、県民は防災局が建設部と連携して対策を実施していると考えていると思うが、家具固定の予算がやっと本年度に措置された。過去は、家具固定の器具を購入するための費用に補助をした程度であったが、防災局が新設され、家具固定の促進のため、大学との連携やコンペなど様々な取組を実施しており、これを何とか続けてほしいと思う。  家具固定については56パーセントの人が大部分又は一部を固定しているとの調査結果となっているが、防災に携わっている職員自身が冷蔵庫の転倒防止を実施していないのが現状である。  また、意識調査結果の公表時期について、年度末ではなく、1月の阪神・淡路大震災や3月の東日本大震災、9月1日の防災の日などに合わせて公表し、マスコミに取り上げてもらったり、予算獲得の材料にも利用しなければいけないと思うが、どのように考えているのか。

【防災危機管理課主幹(政策・啓発)】
 意識調査については、1年おきに実施しており、大体年末くらいから調査に入る。その時期は、阪神・淡路大震災の時期と重なり一番意識の高まる時期でもある。それを取りまとめるのが3月ということで今まで進めてきた。その後、東日本大震災なども起きたので、今後は、実施時期や活用方法について検討していきたい。

【渡会克明委員】
 本年度実施した家具固定に関する調査の結果は平成25年度より下がるとのことであるが、これが現実である。県民の意識を向上させていくのは難しいのかもしれないが、どのような対策をしていくのか。

【防災危機管理課主幹(政策・啓発)】
 意識調査の結果は、まだ公表前であるが、平成23年度の調査時が最も高く、その後、若干、下向きになった。そうした中、様々な機会を捉えて、防災意識の啓発を行い高揚させなければいけないということで取組を進めているところである。  そのために、今回第3次地震対策アクションプランを策定し、家具固定を重点事業として打ち出した。従前も、家具固定については啓発事業の中で重要な課題ということで実施してきたが、今後はそれを前面に打ち出して実施していく。来年度は、家具固定の実績のある防災ボランティアに家具固定の推進員として登録してもらい、年度早々からイベントや町内の集まりで家具固定について啓発していく。家具固定を前面に打ち出していくと、説明の力点が変わり、受け手の反応も変わってくると思うので、本年度以上に充実させ、事業者とも連携をしながら進めていきたい。

【渡会克明委員】
 防災局として、地域や学校、様々な企業などに働きかけが必要であるが、来年度はどういったことを行うのか伺う。

【防災危機管理課主幹(政策・啓発)】
 まずは賃貸住宅の方にも啓発するため、賃貸住宅の事業者等と連携していきたいと考えている。また、本年度の予算で、地震防災の日である9月1日をターゲットとして、小学4年生全員向けに9月スタートの防災カレンダーを作っているので、夏休み前から夏休み明けに小学校で行う訓練等で活用してもらったり、家に持ち帰って話をしてもらうなど、教育委員会と連携して取組を進めていきたい。さらに、防災学習システムについてはアプリケーション化をして、スマートフォン等でどれくらい揺れるか、どれぐらい倒れたりするのかということを、実感してもらうようなことを計画している。



平成28年3月18日

【渡会克明委員】
 昨年度策定されたしなやか県庁創造プランでは、公の施設の廃止など、167の個別取組事項が掲げられている。非常にすばらしいプランであると思うが、県民には全体像が見えず、つかみにくいとの声も聞く。各分野でどのような取組が具体化しているのか、行革の進捗状況を伺う。

【総務課長】
 しなやか県庁創造プランでは、主要取組事項として組織の活性化など10本の柱を定め、体系的に展開することとしている。この中から具体化させてきた取組例をあげると、まず、組織の活性化として、本年度に観光局の設置など本庁組織を見直し、来年度には、教育委員会の企画立案機能を充実強化させるため、教育企画室を教育企画課に格上げすることとしている。また、資産活用の面では、本年度に愛知県公共施設等総合管理計画に基づく個別施設計画を愛知県体育館と新城設楽総合庁舎の2施設で策定し、来年度には、西庁舎を始め12施設で策定を予定している。さらに、人材活用の分野では、女性職員の管理職への積極的な登用や、男性職員の育児参加を促進するイクメンサポートなどの取組を進めている。

【渡会克明委員】
 本年度は、5年という長期計画の2年目を迎える。重要なことは、職員一人一人がしなやか県庁創造プランを理解して職務に当たることである。職員に対してどのように意識付けを行っているのか伺う。

【総務課長】
 職員一人一人に行革の考え方を浸透させ、行革を自らの課題として捉えて行動することは、非常に大事であると考えている。例えば、平成22年度から職員に当事者意識を持たせるため、日頃の日常業務の改善提案を募集するグッドジョブ運動を始めた。応募件数は年々増加しており、平成22年度は498件であったが、本年度は925件と倍増している。職員に対して徐々に意識が浸透してきていると思う。  また、去る2月には、改善提案のうち知事表彰を受賞した七つの優秀な取組について、外部委員を交えた公開の場で職員がプレゼンテーションを行い、その中から大賞を選定、表彰するあいちグッドジョブ大会を初めて開催した。今後も、こうした取組を通じて職員に対する改善への意識付けを図っていきたいと考えている。

【渡会克明委員】
 グッドジョブ運動を通じて若者の意見を取り入れ、やる気を後押ししてもらいたい。しなやか県庁創造プランは、改革の目標にあるように、あいちビジョン2020による政策展開を下支えするという意味で打ち出しているが、行革大綱は県行政の運営体制に関するどちらかというと内向きの計画であると思う。しかし、行革の内容を県民に十分理解してもらい、今後4年進める必要があると思うが、行革について、県として県民へのPR等はどのように行っているのか伺う。

【総務課長】
 行革の取組内容や進捗状況を県民に分かりやすく伝え、十分理解してもらうことは大変重要であるため、しなやか県庁創造プランには、県民に分かりやすい形で取組状況等を公開することを明記している。  公開の一例として、行政改革の推進に向けた公開ヒアリングを開催しており、県の進めている行革の取組の方向性や内容について、学識経験者を始めとした審査員の方々に、公開の場で、担当部局の県職員と議論を行い、妥当、再検討が必要、判断ができないといった三つの区分で判定をしてもらっている。本年度は六つのテーマを議論し、会場での傍聴者とインターネットで動画中継を見た者を合わせると、1,000人を超えている。公開ヒアリングの来場者に、ヒアリング項目に関する理解が深まったかや、公開ヒアリングの取組は意義があると思うかといったアンケートをとったところ、それぞれ8割を超える方々が肯定的な回答であった。  また、総務課のホームページでは、公開ヒアリングの結果やしなやか県庁創造プランの進捗状況等を掲載しているが、本年度はこれまでに7,000件余りのアクセスがあり、一定のPR効果があったと認識している。

【渡会克明委員】
 総務部長は、第五次行革大綱と第六次行革大綱であるしなやか県庁創造プランの策定に関わっていると思うが、策定当時を振り返ると取り巻く環境は大きく異なっていたと思う。第五次行革大綱を策定した平成21年度は、前年秋にリーマンショックがあり、県財政も県民生活も大きな痛手を受けた。また、不適正経理が明るみになり、県民の信頼が揺らいだ大変な時期であった。それから5年が経過し、昨年度は、長年にわたって行革を続けてきた結果として、従来型の削減からしなやかへ発想の転換、工夫をした第六次行革大綱であるしなやか県庁創造プランが策定された。こうした状況の中、部長はどのような思いでしなやか県庁創造プランの策定に当たったのか伺う。

【総務部長】
 行革大綱については、県民に県の行財政運営の目指す方向性を示して、県政への理解、協力をお願いする性格がある。また一方で、県職員にとっては、自らが属する組織が、どのような目的を掲げて、何に力点を置いて進もうとしているかを理解し、日々の仕事に取り組むよりどころになるものだと思っている。しなやか県庁創造プランの策定に当たっては、森岡副知事をリーダーとしたプロジェクトチームで策定したが、どのようなメッセージを県民や職員に発していくかということを盛んに議論した記憶がある。  その中で個人的に感じたのは、前回策定した第五次行革大綱は、当時の置かれた状況の中で、若干厳しい内容にならざるを得なかったため、今回はこれまで着々と取り組んだ成果を踏まえながら、明るい行革大綱、前向きな行革大綱にできないのか検討し、職員には元気が出る行革大綱といったメッセージを発することができるよう指示した。行革大綱に先立ち、平成26年3月に策定されたあいちビジョン2020の基本目標が、「日本一の元気と豊かさに」であったため、それと連携した行革大綱にしたいということで、総務課の職員を中心に、人事課、財政課の職員が、各部局、議員、有識者の意見や協力を得ながら策定した。自画自賛ではあるが、なかなか出来栄えがいいものになったと思っている。  また、今回策定したしなやか県庁創造プランの大きな特徴は、どのように行革大綱を推進し、進行管理していくのかといった仕掛けを大綱の本文に書き込んでいることである。これは、過去の行革大綱にはない特長であり、策定して終わるのではなく、その実効性を担保する大綱を作ったと感じている。今後も引き続き、全庁を挙げて、県の様々な政策課題にしなやかに対応できる県庁づくりに取り組んでいきたいと思っている。

【渡会克明委員】
 今後の行財政運営の見通しと、今後、総務部がどのようなかじ取りをしていくべきか、考えを伺う。

【総務部長】
 今後の行財政運営の見通しは、昨年8月に財政中期試算を何年かぶりに作り、示した。それによると、今後、平成31年度まで毎年1,000億円を超える収支不足が発生するという試算内容であった。毎年の税収は、景気の動向や税制改正の影響で増減はあるが、引き続き厳しい財政状況が継続すると考えざるを得ないと思っている。また、地方消費税の増収など、見かけ上の税収が膨らむことはあるが、実際は、扶助費等が確実に増加するため、今後も適切にやりくりしながらの財政運営になるという覚悟が必要である。  本県の過去の財政状況を見ると、平成の初め頃は、義務的経費を上回った税収が入っており、交付税の不交付団体であったが、その後、地方法人課税の見直しや、外形標準課税の見直しなど、ルール変更があり、かつてのような状況になることは望みづらいと感じる。したがって、今後も行財政改革の取組は手を緩めずに、事務事業の不断の見直しなどを行い、限られた財源、人員を効果的、効率的に配分していくことが必要である。一方で、守りだけでは縮小均衡に陥るため、産業振興施策やインフラ整備などをしっかり進めて、税源かん養を図っていくことも必要であると考えている。  また、総務部の職員は全体で約1,440人であるが、そのうちの半数以上の780人は県税事務所で、日々、税の賦課徴収事務に当たっている。特に総務部職員は、税金で仕事をしているという緊張感を持って仕事に取り組む必要がある。今後とも県政の課題に常にアンテナを高くして、議員や県民の声にしっかりと耳を傾けながら、財源の配分や人員の配置などの面で各部局の政策展開を的確に下支えしていくという使命感を持って、引き続き職務に当たることを期待する。





産業振興・環境対策特別委員会(平成27年5月〜)

平成27年7月31日

【渡会克明委員】
 ガソリンスタンド事業者に聞くと電気や水素に関心はあるが、コストの問題で整備に関して苦慮しているようである。  水素ステーション整備に関しては、タンクの耐用年数や保守点検の費用の点で問題がある。これは個々というよりも業界や協会で検討するものではないのか。県の普及啓発の方針等について現状はどうなっているのか。

【産業科学技術課主幹(技術振興)】
 業界団体からは、運営費が非常にかかるということは聞いている。  例えば、ノズルのホースの交換時期の規制やタンク自体に炭素繊維を使用した高価なものを使用する必要があると聞いている。また、法定点検等の運営コストもかかる。  業界団体からは、国や県に規制緩和や需要が増えてくるまでの間の補助金による支援等の要望がある。県もFCV協議会に入っている事業者の声を聞いて、必要であれば市町村に対して支援制度の働きかけを行い、必要な規制緩和を国に要望するなどして対応している。

【渡会克明委員】
 FCV協議会で、水素ステーションのランニングコストや保守点検に係る費用などの数字を把握して発信しなければ、水素ステーションは増えていかない。  水素ステーション整備数全国一である本県の使命は、次の踏み込んだ施策を行うことである。インフラ整備を進めるため、国や業界に発信していくことが大事である。

【産業科学技術課主幹(技術振興)】
 FCV協議会の中だけに限らず、いろいろな業界にヒアリング等を行い、事業者の声を聞き、課題や対応策を一緒に検討して必要な支援や国への要望を積極的に行っていきたい。




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