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健康福祉委員会(平成30年5月〜)

平成30年6月26日

【渡会克明委員】
 高齢化が進む中で、認知症は大きな課題となっている。国の推計では、2025年には高齢者の5人に1人、約700万人が認知症又は認知症の予備群である軽度認知障害になると見込まれているが、本県の認知症高齢者の状況はどのようになっているか。

【地域包括ケア・認知症対策室主幹(地域包括ケア・認知症対策)】
 国の推計値に基づいて算出すると、本県では、平成27年に29万人であった認知症高齢者の数は、2025年には約40万人に達すると見込まれている。

【渡会克明委員】
 認知症とはどのような病気で、どのような原因で発症するのか。

【地域包括ケア・認知症対策室主幹(地域包括ケア・認知症対策)】
 介護保険法では、認知症は、脳血管疾患、アルツハイマー病その他の要因に基づく脳の器質的な日常生活に支障が出る程度までの記憶障害その他の認知機能が低下した状態と定めている。症状はいろいろあるが、日常生活で支障を来すことが少ない加齢に伴う物忘れや体験の一部を忘れるということは認知症ではないといわれている。  発症の原因は、異常なたん白が蓄積した脳の変性のほか、脳血管障害、腫瘍などによる中枢神経系の認知機能に関わる部位の神経ネットワークの消失や機能低下とされており、平成23年、平成24年に行われた厚生労働科学研究調査によれば、最も多いのがアルツハイマー型認知症で、次いで血管性認知症、レビー小体型認知症などとなっている。  そのうちアルツハイマー病は、アミロイドベータやタウといったたん白の異常な蓄積が認められている。これらのたん白の蓄積がどのような仕組みで神経細胞の変質や消失に結びついているかは明らかになっておらず、生前認知症のなかった高齢者にも見られるが、アルツハイマー病の場合は特に多数認められ、その進行に伴い、これらのたん白の蓄積が他の部位に広がっているとのことである。

【渡会克明委員】
 認知症に対しては、改善薬が開発されていると聞く。認知症の予備群である軽度認知障害の更に予備群であるプレクリニカル期というものがあると聞くが、プレクリニカル期の段階で改善薬を投与することができれば、認知症を少しは抑えることができるのではないかと考えるが、県の所見を伺う。

【地域包括ケア・認知症対策室主幹(地域包括ケア・認知症対策)】
 具体的な改善薬は、確立されたものはないと聞いている。

【渡会克明委員】
 研究の途中であり、時間は掛かるだろうと思う。  認知症に対して、県民が日常生活の中で心掛けたり、取り組んだりできることはあるか。

【地域包括ケア・認知症対策室主幹(地域包括ケア・認知症対策)】
 アルツハイマー型認知症では、発症の20年ほど前から原因物質が増え始めるようであり、蓄積しても発症のない段階をプレクリニカル期と称している。この時期に、発症を遅らせ予防していくことが非常に重要であり、これまでの研究により、運動を始めとする生活習慣の改善によって発症のリスクを減らすことできるこということが示されている。

【渡会克明委員】
 一日30分程度の有酸素運動、中年期からの高血圧や高血糖、脂質異常症を上手にコントロールすること、バランスのとれた適切な食事、家族や友人との社会的接触や活動の維持、ゲームや音楽、コンピュータ操作等の知的活動という、認知症予防の新5か条というものがあると聞くが、この5か条のようなことを行えばよいか。

【地域包括ケア・認知症対策室主幹(地域包括ケア・認知症対策)】
 運動等に取り組むことは重要である。  本県にある国立研究開発法人国立長寿医療研究センターで、運動と計算等の認知課題を組み合わせた認知症予防運動プログラムであるコグニサイズというものが開発されている。本県では、地域でコグニサイズを普及させていくことを目的として、自宅や公民館で手軽にできるプログラムの作成や、実践者の育成を国立研究開発法人国立長寿医療研究センターに委託して実施することにより、認知症予防に取り組んでいる。

【渡会克明委員】
 認知症の人には、例えば世間の目が冷たいとか、様々な悩みがあると思うが、どのような悩みがあるか県は把握しているか。

【地域包括ケア・認知症対策室主幹(地域包括ケア・認知症対策)】
 認知症の人による活動団体である一般社団法人日本認知症本人ワーキンググループが作成した認知症の本人からの提案では、医療や支援を受けたとしても、仲間に出会え気兼ねなく話し合える場、支えあいながら自由に活動できる場がないために、一人で悩み、孤独に陥っている人がたくさんいるということ、認知症だと外出は危険だという一律的な考え方や、過剰な監視や制止は自分たちの生きる意欲を著しくむしばんでいる、などといった本人の思いが記されており、認知症の人に関わっていくに当たり、大事な視点であると考えている。

【渡会克明委員】
 認知症の人や家族の意見をしっかり聴くことが重要である。  本定例議会で、知事から、認知症に関する条例を作るという答弁があった。条例は、基本理念が肝要である。何に重点を置いて条例制定を進めるのか。

【地域包括ケア・認知症対策室長】
 認知症施策を進めていくに当たっては、あいちオレンジタウン構想でも示しているが、既存の社会資源の機能強化や大学や企業など新たな資源の巻き込み、認知症カフェを中心とした社会資源の有機的な連携といった地域づくりと研究開発の二つの観点から進めていくことが必要だと考えている。

【渡会克明委員】
 認知症に関する条例を制定した神戸市や大府市の例を見ると、作成委員会等を作って条例案を作成していくものと思う。どのような検討体制やスケジュールで条例制定を進めるのか。

【地域包括ケア・認知症対策室長】
 条例の検討体制及びスケジュールは、現在検討中であり、早急に、条例の制定を含めて、方向性を示したい。

【渡会克明委員】
 早急にスケジュールを決めて、聞き取り内容や検討委員会の構成をしっかりと決めて進めてほしい。  認知症に関しては、行政側から支援を提供するという施しの姿勢ではなく、本人の意見を聴いて何が必要かを考えなければいけない。介護ではなく、本人を支える環境の整備が大切だと思う。認知症になると、問題のある人という偏見を持たれやすく、日常生活の中で、自主性が損なわれてしまう。認知症の人がより良く暮らし続けていく、本人の主体性の尊重や地域での共生を推進するような条例にしてほしい。



平成30年10月4日

【渡会克明委員】
 本年8月22日に、熊本県がAIを活用した子育て支援システムを発表した。このシステムは、スマートフォンの無料通話アプリケーションのLINEを使って24時間365日、問合せのやり取りができるものであり、東京都渋谷区を始め幾つかの市でも実証実験が行われている。LINEは使い勝手がよく、20歳から30歳代までの母親に使われている。質問への回答を重ねて学習する機能があり、ランニングコストも非常に安いと聞いた。  本県でも、県職員と県内全市町村の職員、ワーク・ライフ・バランスの推進に積極的に取り組む企業の社員がモニターとなり、熊本県と同じようなことができないかと考えているが、県はこの画期的な取組を承知しているか。

【子育て支援課主幹(子育て支援)】
 熊本県のシステムは、熊本県内全45市町村、子育て支援に賛同する企業(よかボス企業)144社が協力し、これらの団体で働く子育て世代を対象に実証実験が開始され、来年4月の本格的な実用化に向け、現在、想定問答を積み上げている状況にあると聞いている。このシステムについて概要を調査したところ、利用者がスマートフォンの無料通信アプリケーションのLINEから質問を入力することにより、AIが最適な情報を回答するものである。主な特徴としては、LINEを活用することで、利用者への教育コストが掛からないことや、LINEはスマートフォンへ容易にダウンロードできることから、通信機器が進化しても対応可能なことなどがある。  AIを活用した子育て相談システムは、24時間365日対応可能であるため、県民サービスの大幅な向上につながるとともに、AIの自動学習機能により、回答の精度が向上するといったAI独自のメリットもあり、行政の効率化を進める上でも、大変意義のある取組であると認識している。

【渡会克明委員】
 本県でも導入すべきと考えるがどうか。

【子育て支援課主幹(子育て支援)】
 子育てに係る相談業務は、市町村の子育て支援センターで様々な取組が行われており、また、県としては、子育て支援に係るポータルサイトのあいちはぐみんネットにより情報提供を行っている。しかしながら、行政サービスの質を落とさず、業務の効率化、合理化を進めるためには、AI等の最新技術の導入は、大変重要なものであると考えている。こうしたAIの利活用は、まだその緒についたばかりであり、導入に当たっては、技術的な課題や持続可能性の有無などを見極めていく必要があるので、まずは、熊本県や東京都渋谷区などでの先進的な取組事例を参考に調査研究を進めていきたい。

【渡会克明委員】
 調査研究を具体的にどのように進めていくのか。

【子育て支援課主幹(子育て支援)】
 熊本県や東京都渋谷区等へのヒアリングを行い、AI導入に向けた実証実験に要する経費、具体的な作業工程、業務委託先のAI開発企業の選定方法、開発初期段階での入力情報等について調査したい。また、ほかの自治体でも、AIを活用した子育て相談業務の実証実験に取り組んでいる事例があることから、そうした自治体の現状、実用化のめど等についても調査し、本県における導入に向けて検討していきたい。

【渡会克明委員】
 是非、良いものを準備してほしい。  次に、平成26年度から始まったアール・ブリュット展の公募作品の点数や入場者数について伺う。

【障害福祉課主幹(地域生活支援)】
 公募作品は、平成26年度は835点、平成27年度は415点、平成28年度は551点、昨年度は670点、本年度は670点となっている。次に入場者数は、平成26年度は1,297人、平成27年度は1,528人、平成28年度は1,766人、昨年度は2,662人、本年度は2,010人となっている。

【渡会克明委員】
 作品数、入場者数ともにほぼ増加傾向にあり、事業成果というのは年々上がってきていると思うが、障害者施策としての事業効果を改めてどのように把握しているのか。

【障害福祉課主幹(地域生活支援)】
 あいちアール・ブリュット展は、障害のある人にとって作品制作を通した自己実現の場になっているとともに、個性豊かな作品の数々を、より多くの人に見てもらい、障害や障害のある人を特別ではなく、様々な才能を持った個性豊かな存在であるとの認識を広めていると考えている。また、あいちアール・ブリュット展では、障害のある人の芸術的な才能の発掘に協力してもらっている一般社団法人アティックアートと連携して、展示作品の中から原画を選定し、企業がPR資材として製作するボックスティッシュやクリアファイルなどのノベルティグッズのデザインに活用してもらい、作品展示にとどまらない、障害者芸術の普及・啓発や、障害のある人の社会参加を促進する取組を行っている。さらに、あいちアール・ブリュット展への出展などをきっかけとして、絵を描くことを仕事として一般企業に就職した人が、現在12人おり、障害のある人の自立を後押しする取組にもつながっている。

【渡会克明委員】
 障害者の芸術活動は、絵画等の美術作品の制作だけではなく、音楽等の舞台芸術などもあり、障害者の社会参加への意識を強くするものと考えるが、県としてはどのように考えているのか。

【障害福祉課主幹(地域生活支援)】
 昨年度、芸術系大学の教員等が障害者支援施設などを訪問して、施設利用者と創作活動を行う出前講座により、ダンス作品の制作及び発表を行った。また、本年度も、障害のある人の芸術文化活動の相談支援、人材育成、ネットワーク作り、発表の機会の創出、情報収集・発信といった機能を持つ、県が設置している障害者芸術文化活動支援センターで、バンド演奏や合唱など、障害のある人もない人もそれぞれが得意なことを披露する音楽の舞台公演を予定している。こうした舞台芸術への取組は、障害のある人々が一つの目標に向かい力を合わせて成し遂げる達成感を持ってもらい、社会参加への意識を強くすることに大いに役立つと考えている。そして、作品を鑑賞した人々の意識を変え、社会の中で障害のある人が自信を持って活躍できる環境を整えることに大変有効であると考えている。

【渡会克明委員】
 芸術活動の推進を通した障害者施策について、今後は何を目指してどのように取り組んでいくのか。

【障害福祉課主幹(地域生活支援)】
 芸術は、障害の有無にかかわらず楽しむことができ、その価値を分かり合え、感動できるものであり、心の豊かさや相互理解をもたらすものと認識している。この認識の下、芸術を通して、障害の有無を越えた人々の交流を進めていくことにより、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向けて取り組んでいきたい。

【渡会克明委員】
 現在のあいちアール・ブリュット展は名古屋市内で開催しているが、障害者芸術を美術分野にとどまらずジャンルを増やし、将来的に大勢の人が参加できる芸術の祭典ができないか伺う。

【障害福祉課主幹(地域生活支援)】
 県では、平成28年に第16回全国障害者芸術・文化祭あいち大会を開催し、美術・文芸作品、舞台・ステージ発表など、様々なジャンルの芸術活動を広く紹介した。現在のあいちアール・ブリュット展は、このあいち大会の成果を継承し、芸術関係者や福祉団体に加え、企業や大学、ボランティアなど、大会開催を通じてつながり広がったネットワークを活用し、障害者芸術に関わる人の一層の拡大を図ることとしている。また、県内の障害者芸術文化事業をパートナーシップ事業として位置づけ、様々なジャンルの芸術活動に、ロゴマークの活用、広報など、相互の盛り上がりを図るため、あいちアール・ブリュットPortal Siteで、音楽公演やダンス公演など、ジャンルを越えた文化事業を紹介している。なお、昨年度は61件を掲載した。  今後ともこうした取組を始めとして、県内全域でジャンルの枠に捉われない障害者芸術の盛り上げに努めていきたい。

【渡会克明委員】
 障害者が自ら関心を持つことへ参加する機会を設けること、そのために必要な支援を行うことこそが、今日求められている障害者福祉の形だと思うので、この姿勢で行政として障害福祉に取り組んでほしい。



平成30年12月11日

【渡会克明委員】
 人工知能(AI)を活用した子育て支援について、本年9月定例議会の当委員会で先進的な事例を紹介し、県は調査研究していくとの回答であった。スピード感を持った対応を有り難く思う。その後、熊本県を調査したと聞いたが、調査結果を報告してほしい。

【子育て支援課主幹(子育て支援)】
 本年10月19日に、熊本県健康福祉部子ども・障がい福祉局子ども未来課へ行き、AIを活用した子育て支援事業の概要や、実用化に向けた課題やめどなどについて聴取した。  熊本県の事例では、育児についての相談や問合せに、スマートフォンの無料通信アプリケーションのLINEを活用して、AIが24時間365日リアルタイムで回答するシステムを構築する。スマートフォン端末を介し、利用者と質問・回答のやりとりを数回行い、最終的に市町村のホームページの具体的な情報に誘導するもので、一般的な検索サイトとの違いは、利用者がピンポイントで情報を得られる点にあるとのことであった。  熊本県では、このシステムを構築するため、県内全市町村、子育て支援NPO団体、従業員の子育て支援に積極的に取り組む企業として熊本県に登録された企業であるよかボス企業と協働して事業を進めており、市町村には、子育てに関するデータの提供を、民間企業やNPO団体には、実証実験への参加を依頼しているとのことであった。  また、システムを構築するためには、事前に、質問事項について想定問答を作成し、AIに学習させる必要があり、実証実験でAIがうまく答えられなかった事項は回答を作り直して再び学習させる作業を繰り返し行う必要があるため、今もこの作業を続けているなど、膨大なデータの処理に大変苦労しているとのことであった。想定問答は県内の全市町村に作成してもらう必要があることから、市町村説明会を何回も行うとともに、遠方の市町村へは職員が直接足を運ぶなど、1か月ほどかけて丁寧に事業説明と協力依頼を行ったといった率直な話も聴くことができた。  さらに、実用化に向けた課題としては、初期段階の市町村データの取りまとめと入力作業で、県と市町村との協働によるマンパワーを必要とする事業であったとのことであった。また、AIは育てなければならないもので、県民に広く利用してもらうのは現段階ではまだ早いため、来年の3月までしっかりと実証実験を続けていく予定であるとのことであった。

【渡会克明委員】
 ふだん子育てに余り参加していない父や祖父が子育てに貢献し、地域全体で子育てに関わっていくことが一番重要であると思う。  市町村や民間企業の協力、人員や予算の確保が必要であり、実現までには課題もあると思うが、行政分野でのAIの活用は今後ますます進んでいく。県では、AIを活用した子育て支援をどのような形で進めていくのか。

【子育て支援課主幹(子育て支援)】
 熊本県で導入した株式会社アルベルトのAIシステム以外にも、株式会社三菱総合研究所など複数の企業がAIを活用した様々な事業を全国各地で展開しており、こうした動向も注視した上で、事業化に向けた検討を進めていく必要があると考えている。このため、引き続き東京都渋谷区や神奈川県川崎市などの先行事例を調査するほか、熊本県が来年3月末に実証実験を終え、4月から実用化する予定であるので、改めて回答の精度や利用者からの評価など、AIを活用した子育て支援の成果について検証も行いたい。  AIを活用した子育て支援情報の提供事業は、情報を提供する県と市町村が一体となって進めていく必要があるので、こうした検討・検証結果を踏まえ、市町村に対して、本事業への積極的な参加・協力を働きかけていきたい。

【渡会克明委員】
 事業化に向けては、市町村を巻き込んだ大掛かりな取組が必要である。県民がどこにいても利益を享受できるような画期的で意義のある取組であるので、自信を持って事業に取り組んでほしい。県全体で事業展開するのは、県にしかできないことである。国の軸足が基礎自治体に移る中で、県がこうした取組を素早く提供し、リードしていくことが大事である。スピード感を持って進めてほしい。  次に、精神科の救急医療について伺う。  精神障害がある子供を持つ保護者から聞いた話であるが、パニック障害を持つ男子高校生の子供がある時大変なパニックになったため救急車を呼んだが、精神科の病院は非常に少なく、幾つかの病院をたらい回しになった。救急隊が一生懸命探してくれた結果、その日の当番は三河ブロックでは西三河の幸田町にある病院とのことであり、三・四時間経過してその病院へたどり着いたとのことであった。精神障害者は自傷することも多いため、救急搬送を受ける医療機関の選定に時間が掛かるケースが少なくなく、消防庁によると搬送までに3時間から4時間掛かるということである。  精神科医療の救急体制は、国が本年3月29日に精神科救急医療体制整備事業実施要綱を一部改正し、本年4月1日から適用されている。主な改正内容は、診療所の医師たちも含めて輪番体制を構築してはどうかということである。拘束力はないが、国がこれまでより踏み込んで要綱改正までしたのだから、県でも実施してはどうかと思う。  精神疾患患者が症状の悪化により夜間・休日に受診を希望する場合があるが、県の精神科の救急体制はどのようになっているのか。

【こころの健康推進室長】
 本県の精神疾患患者やその家族が、夜間・休日に緊急的に精神医療相談ができるよう、県では名古屋市と共同で一般社団法人愛知県精神科病院協会へ委託して、愛知県精神科救急情報センターを設置している。愛知県精神科救急情報センターでは、24時間365日体制で相談員が電話で相談を受け付けており、必要に応じて医療機関の紹介などを行っている。  また、精神科救急患者を迅速に医療機関につなげるため、県内全域を三つのブロックに分け、各ブロックで精神科病床を有する病院が輪番制で当番病院となり、夜間や休日の診療に当たっている。なお、急を要する患者の診療が重なることも想定されることから、各ブロックに1か所ずつ当番病院の後方支援を行う後方支援基幹病院を設けており、それでも対応できない場合に備え、愛知県精神医療センターにも5床を確保し、体制を整備している。

【渡会克明委員】
 診療報酬では、精神科の救急搬送患者の地域連携紹介加算と受入加算というインセンティブがあるが、精神科の病院がない地域があり、これは今後の大きな課題だと思う。  愛知県精神科救急情報センターでは、相談を受けた場合、治療の必要性などをどのような基準で判断しているのか。

【こころの健康推進室長】
 愛知県精神科救急情報センターでは、資格を持った相談員が話を聴き、相談内容により対応方法を検討・判断し、助言や病院等の案内を行っている。  具体的には、緊急性の低い相談の場合は、夜間・休日ではなく、平日の日中に保健所などの相談機関に相談するように案内している。また、相談の内容によっては、幻覚や妄想、問題行動や意識障害等がある場合、各ブロックの当番病院を案内しているが、精神疾患のある人が他人を傷つけるおそれがある場合には、警察に速やかに通報するよう助言を行っている。  なお、相談員は精神保健福祉士等であるが、相談内容や症例が複雑で、相談員で判断することが困難な場合は、待機している精神科医師に電話で相談し、判断を仰ぎながら、助言や対応を行っている。

【渡会克明委員】
 本県の精神科救急医療体制には、精神科の病院だけではなく、診療所も役割を果たす必要があると考えるが、現在、診療所は本県の精神科救急の中でどう位置づけられているのか。

【こころの健康推進室長】
 精神科救急患者に対応するための各ブロックの輪番体制は、緊急に入院が必要となる場合が想定されるため、精神科病床を有する病院によって構成されており、精神科の診療所は輪番には組み込まれてはいない。なお、診療所も含め、かかりつけの医療機関がある場合は、休日夜間にかかわらず、まずは患者の状態を一番良く理解しているかかりつけの医療機関に相談するように案内している。

【渡会克明委員】
 国が精神科救急医療体制整備事業実施要綱を改正してまで、診療所の医師たちも含めて輪番体制を構築してほしいと、都道府県と政令市に対して本年3月に発信しているが、県の場合は、まだそこまで体制が整っていないと理解した。  繰り返しになるが、夜間・休日の精神科救急医療体制の充実には、身近な地域にある精神科の診療所も組み込んだ体制が重要であると考える。大変なことは分かるが、精神疾患患者を医療機関に受け入れるまでには通常に比べ長時間を要すると言われている。今後どのように取り組んでいくのか教えてほしい。

【こころの健康推進室長】
 救急の場合、速やかに入院して治療が必要な患者が多いことから、どうしても治療や入院が必要になる場合があるため、今の段階では、入院設備が整っていない診療所を精神科の救急医療体制に組み込むことは難しい。  しかしながら、夜間・休日の精神科救急の医療体制を更に充実させていくためには、精神科病院だけではなくて、身近な地域にある精神科の診療所の役割も重要と考える。そこで、まずは県内の精神科の診療所で組織している愛知精神神経科診療所協会に対して、精神科の救急医療体制への参加を直接働きかけたい。そうした中で、参加できない場合はどのような課題や問題点があるのか、あるいはどのような方法だったら診療所も救急体制に取り組むことが可能なのかなどの話合いを続けていきたい。話合いがまとまったら、愛知県精神科病院協会や精神神経科診療所協会、保健所、防災局の消防保安課、学識経験者などで構成する、愛知県精神科救急医療システム協議会で具体化に向けた協議を行っていきたい。

【渡会克明委員】
 精神科救急医療体制整備事業実施要綱の改正箇所として、厚生労働省の文書には「夜間・休日の対応を行っている精神科を標榜する診療所を十分把握し」と書いてあるので、県で精神科の診療所を十分把握してほしいということである。その後に「都道府県等精神科救急医療体制連絡調整委員会で把握した外来受診可能な医療機関又は入院可能な医療機関を紹介する」とある。そして「外来対応施設においては、既存の地域資源を活用しつつ輪番等の体制を構築するものとする」とあるように、診療所を新たに輪番制に参入可能にしようという改正である。ほかの業務も大変だと思うが、精神科救急体制を少しでも改善するため、愛知精神神経科診療所協会と一度話し合い、一歩でも前進してほしい。





文化・スポーツ・観光振興対策特別委員会(平成30年5月〜)

平成30年7月20日

【渡会克明委員】
 現代美術をいろいろ見ていると、わくわく感のようなものが人を導いていると思う。一方、今までのあいちトリエンナーレを見たときに、マスコミも含めて、こうしたことをしっかりと伝えることができていたかと思う。  地の利を生かしたような芸術祭はもちろんあるが、一方で、下手すると地の利しかないというものも感じる。  また、横浜トリエンナーレでは、トリエンナーレと抱き合わせで文化祭のようななことをやっており、どちらかというと、トリエンナーレはなかなかやりづらいと聞いた。  さらに、福岡アジア美術館では、初めに頭を抱えたのは、予算が減っている中で何を目指していくかということであり、いろいろな美術館に行く度に、愛知県はお金があっていいと感じる。  今回は4回目で、横浜トリエンナーレや福岡アジア美術館のように、ある程度の期間やってきたところでも、今、悩んでいるようなところもある。一方で、札幌国際芸術祭とかさいたまトリエンナーレのように、新たに芸術祭を始めているところもあるが、どう思うか。

【津田参考人】
 すごく本質的な指摘だと思う。  4回目のあいちトリエンナーレの開催は、人的体制にもすごく影響がある。  これまでの3回は愛知県美術館の拝戸雅彦氏が中心となって進めてきており、愛・地球博以降、文化芸術を愛知県に根づかせていくためにあいちトリエンナーレを開催し、美術に明るくない人にも慣れ親しんでもらうために、世界中の様々なアートや、愛知県のローカルを生かしたアートを提示して、まずはアートに親しんでもらうという位置づけで開催された。  これまでに3回開催したことで、ある程度、県民、あるいは愛知県を訪れる人に知ってもらうことができたのではないか。  今回、多くのスタッフが新しくなって、ほとんどのスタッフが私を始め40代以下になった。そのため、今までの3回があいちトリエンナーレの第1期だとすると、今回からは新しい文化的な価値を愛知発で創造していく段階になっていると理解している。  わくわく感を演出するには、音楽プログラムがすごく重要だと思っている。音楽プログラムの開催は9月になると思うし、まだ発表していないが、愛知芸術文化センターがあって、その隣にオアシス21がある。それを見たい外国人が来るという、愛知県や名古屋市を象徴する一つの中心的な場所で、観光スポットでもある場所で、愛知芸術文化センター、オアシス21を周遊しながら、音楽も鳴っている。美術館にはアーティストが一日中集まって、オアシス21から愛知芸術文化センター、円頓寺商店街でも何かやっているという、正にお祭り的なプログラムを考えていて、そのときは栄の街がとてもにぎやかになると思う。しかし、そこからどう美術を見てもらうのか。単に音楽に興味があった人が好きなアーティストだけを見て終わるというのはもったいないと思うので、音楽を見に来たけれども、余った時間でちょっと美術を見てみたら面白かったというようなことを意識的に設計して、複合的にやろうかとも思っているし、私のような門外漢が呼ばれたのは、そこに価値があると思っている。私は、本質的な意味での美術は分からないので、多分、現代美術の国際展だけをやると言われていたら監督を受けていないと思う。しかし、オンラインの音楽のニュースを配信するメディアの共同創業者であり、音楽にはずっと向き合ってきた。取材して、いろいろなイベントを開催して、様々なジャンルの人に来てもらって、複合的に展開することは、いろいろな知り合いがいて声を掛けやすいので、その点で多分今までの監督とは違う個性を発揮できるのではないかと思っているし、そのことで今回新しい段階に入ったことを示せれば、次回、次々回とまた、私のやり方を踏襲せず、毎回変わりながら、あそこに行けば何か新しいわくわくしたものが行われているということを3年に1回開催できて、それが本当にこの愛知県の貴重な観光資源、文化資源になっていくのではないかと考えている。

【渡会克明委員】
 前回は、豊橋市内でやったり、奥三河地域の花祭を扱ったりと、愛知県が開催するトリエンナーレだからどうしても愛知県を意識せざるを得なかったが、参考人が言ったように、例えばSNSの発信などは非常に大きな要素である。  人材は限られているため、作り手をどんどん世界から募り、育てることが、あいちトリエンナーレの事業を永続するための一つの基になると思う。そのため、各国の作家が本県に来て、勉強して、自国へ帰っていくようなお祭りがあいちトリエンナーレだとするようなことが考えられる。  特に、SNSと人材に関しては、参考人の先見の明も生かして、良い形で、うまく連携させて、新しい段階を進めていくことができると、若い人が活躍できる良い機会になると思うがどうか。

【津田参考人】
 それも非常に重要な視点だと考える。アーティストに来てもらって、単に作品を作って帰って終わりではなく、もっと深く関わることが、愛知県の文化レベルや愛知県在住のアーティストに対して様々な点で良い影響があると考える。これは、美術の世界の方法論では、アーティスト・イン・レジデンスと呼ばれており、場所を与えて、そこで滞在し、制作活動を行ってもらうものである。あいちトリエンナーレはいろいろなきっかけになっており、あいちトリエンナーレが始まったことによりアートラボあいちという恒久的な施設もできているし、民間も含めた様々な派生プロジェクトがあるので、こういったものを伸ばしていくことも大事である。あるいは、あいちトリエンナーレをきっかけとして、恒常的にアーティストを呼べるような場所を創っていくという提案も文化政策の一つとして出てくれば望ましいと思う。私自身が文化庁の議論に参加して感じていることだが、日本は文化予算が少な過ぎる。文化庁は、省ではなくて庁である。文化予算は、先進20か国の中でも下から数えた方が早いし、1人当たりに掛ける文化予算は韓国の6分の1ほどである。道路整備は年間1兆円掛けているが、文化予算はその何分の1なのかという話だ。  だから、これは先ほどの質問ともつながってくると思うが、どこも文化に予算が掛けられていない中で愛知県は良いとなるが、そのあいちトリエンナーレも少しずつ予算は減っている。私は、議員の尽力で文化予算を増やすべきだと考える。観光資源、観光立国政策として、経済効果も含め何十倍にもなって戻ってくる可能性があるといった視点で、文化予算を増やしていく議論をしてほしい。




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