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2000.07.03 : 平成12年6月定例会(第3号)

◯二十九番(渡会克明君)
 通告に従いまして、順次質問をしてまいりたいと思います。
 質問の第一は、深刻化する児童虐待問題についてであります。
 全国的に、児童虐待相談は近年急激に増加をいたしております。また、悲しい子供の虐待死が後を絶ちません。厚生省によれば、平成十一年度の全国百七十四ヵ所の児童相談所の虐待相談件数は一万二千件を超す数に上っております。また、名古屋市を除く愛知県内八カ所の児童相談所においても、十一年度受け付けた児童虐待件数が、過去最高の二百四十三件となり、増加の一途をたどっております。
 児童虐待が深刻であるのは、件数の増加だけではありません。子供自身にも、また、社会にとっても長期にわたって大きな影響を与えるからであります。虐待による身体的な傷はいえても、精神的な傷が子供たちに一生にわたって影響を与え、青少年の犯罪、非行、いじめ等につながっていることが、近年明らかになってきております。
 また、虐待に遭っていた子供たちが親になって加害者に転じていくという、暴力や虐待の連鎖がさらに本人を苦しめ、新たな被虐待児童を生み出すことにつながっていると考えられております。このような連鎖は断ち切る必要があります。未来に向けて限りなく豊かな可能性を秘めたかけがえのない生命が、これ以上無残にも奪い取られるようなことがあってはならない、こう思うわけでございます。
 児童虐待は、虐待を受ける児童にも、そして虐待する親にも心に深い傷を残すものであり、私たち大人一人一人が、社会全体の問題としてこの児童虐待問題に取り組む必要があると考えております。
 しかしながら、児童虐待は家庭という密室で行われることが多く、子育てはプライベートなものであり、なかなか顕在化しにくく、第三者が立ち入りにくい問題があります。また、保護者が虐待の事実を否認することから、その援助を行うことが難しいこと、さらには、傷ついた親子のケアを行い、その関係を修復するためには多大な時間と労力を要することなど、対応の難しさが指摘されております。
 このような状況の中で、発見者には通告しやすく、児童相談所にとっては救済に乗り出しやすい内容を盛り込んだ児童虐待の防止等に関する法律が五月十七日に議員立法として成立をいたしました。この新法は、虐待の定義を示すことでしつけとの区別を明確にし、発見の努力義務規定と免責規定を設けることで、発見しやすい立場にある教師や医師等に協力や通告をしやすくしております。また、立入調査の権限拡大や、虐待した保護者に指導を受けることを義務づけるなど、児童相談所の権限、機能を強化することを法の柱としております。さらに、国及び地方公共団体には、児童虐待の早期発見及び迅速、適切な保護を行うための連携強化や、児童虐待防止に必要な啓発活動、体制整備をその責務として求めております。
 この新法を実効ある形で法の趣旨に沿って実施していくには何が必要なのでしょうか。私は、児童相談所と関係機関の連携強化と、児童相談所の相談体制の充実強化が必要であると考えております。
 私は、過日、豊橋児童相談所を訪ねてまいりました。そこでさまざまな現場での御苦労と要望を聞いてまいりました。
 そこでお伺いいたします。
 昨年の六月県議会で、我が党の土屋和弘議員が代表質問でこの問題を取り上げました。その折、知事はその答弁の中で、児童虐待問題に対応していくには、児童相談所が、NPOその他さまざまなボランティアグループとの連携も含め、各関係機関との連携をより密にすることが欠かせない、このように明言をされているわけであります。県では、昨年度以降、児童相談所が虐待問題に対処するため、連携の強化を初め、どのような対応を図ってこられたのか、お伺いいたします。
 また、新たな権限、機能が強化されたことで、児童相談所に対する社会的要請が一段と高まることは必至であります。対応が手いっぱいの現状の中で、こうしたさらなる要請にこたえられる体制の整備が急務と考えられます。そこで、新法成立が児童相談所業務に及ぼす影響をどのようにとらえ、その相談体制の今後のあり方について県としてどのように考えているか、お伺いいたします。
 質問の二番目は、教育問題についてであります。
 本年四月一日から地方分権一括法が施行されました。平成十二年度は、まさに教育行政における地方分権が新たな段階に入ったと言えます。二十一世紀まで残すところあと半年、私は、訪れる新世紀にふさわしい主体的かつ積極的な地方教育行政を強く期待するものであります。
 しかし、昨今、少年による殺人や恐喝などの凶悪事件が連続して発生し、私ばかりでなく、世の中の大人が大変心を痛めているところであります。こうした中で、学校における指導体制のあり方が改めて問われているとともに、家庭や地域の教育力の低下ということが真剣に見直さなければならない問題となっております。
 児童生徒のさまざまな問題行動に対しては、学校における指導はもとより、家庭、地域も一体となって取り組まなければなりません。とりわけ、基本的な生活習慣、善悪の判断、社会的なマナー、思いやりや倫理観を培うことなどは、まず家庭でしなければならない、そういうことだと思います。ところが、少子化、核家族化などにより、家庭における状況は我々の時代とは大きく変わりました。家族に対する愛情や、集団の中でのルールを守ること、人に対する思いやりの心などが育ちにくい環境になったように思います。そして、今日では、子供が同じ家に集まっても、それぞれがテレビゲームや漫画、パソコンなどのひとり遊びに興じているような状況でありまして、子供同士のつながりも希薄になっております。また、そういう状況がいかに重大な意味を持つかということを親自身が認識できないというのが現実であります。
 人間関係が希薄で、辛抱することや、人の気持ちを思いやるといった経験も少ないままに成長した子供は、他人を尊重すること、ひいては自分自身を大切にすることができず、人と協調し、言葉を通して問題を解決していく力も身につかないのではないかと思います。一方、親の側に立ってみますと、育児への不安や子育てについての自信の喪失の問題があると思われます。
 各家庭の営みが多様化するとともに、そこで生活をする家族全員の生活意識もさまざまに変化しております。親自身も、何が本当に大事なことなのか、どこまでの行いを許し、どこからはいけないと諭したらいいのか、これがわからなくなっていると思います。そのような中で、親がだれにも相談できなくて不安になっていたり、時にはいらいらの感情を子供に向けてしまい、重大な心の傷を負わせてしまうような行動をとったりすることも増加していると聞きます。
 そうした状況を考えるとき、私は、親の子育てについての学習機会の提供や相談体制の整備をすることが家庭教育の支援につながると思います。このことについて、教育委員会の取り組みの状況をまずお伺いしたいと思います。
 次に、地域で子供を育てる活動への支援についてお伺いいたします。
 都市化が進行し、隣近所のつき合いも浅くなり、親自身が地域に溶け込めない場合も多く、孤立しがちな家庭が目立つようになってまいりました。家庭が閉ざされると、地域のおじさんやおばさんから受ける教育の機会も失ってしまうことになります。これからは、地域の人々が子供を社会全体の宝として積極的に見守り、育てていく努力をしなければならないと考えます。
 こうした状況を踏まえ、地域活動への支援を行うために、教育委員会としてどのような方策をとられているのか、お伺いをいたします。
 次に、教育問題の二点目でありますけれども、教員のメンタルヘルスについてお伺いいたします。
 子供たちを豊かな人間性と望ましい社会性を持った若者に育てるためには、家庭や地域社会ばかりでなく、学校での責務が重要であります。申し上げるまでもなく、教える側の先生の人間性や力量が子供たちの成長に大きく影響を与えます。多くの先生方は、子供たちに愛情を持ち、情熱を持って、日々接していることは十分承知をいたしております。しかしながら、先生方の一部には、人間関係や直面するさまざまな問題の対応に苦慮し、ストレスをため込み、精神的に病んでいる者もいると聞いております。また、燃え尽き症候群が一番多いのが教師であり、教師をやめていくケースがふえているという、こういう報道も最近ございました。
 たとえ一部にしましても、教える側の先生が病んでいては、児童生徒を正しく指導することはできません。私は、指導する先生方は心身ともに健全であるとともに、メンタルヘルスについても充実させることが、子供たちにとっても大変重要だと考えております。
 そこでお伺いいたします。教職員の健康管理の現状はどのようになっているのか。また、精神性疾患による休職者の状況はどのようになっているのか。さらには、そのような休職者に対し教育委員会としてどのような対応をしているのか、お伺いをいたします。
 次に、住宅対策についてお伺いいたします。
 本県では、住まい、街づくりを総合的に推進するために、平成八年に愛知県住宅マスタープランが策定されております。このマスタープランは平成八年度から十七年度までの十年計画とのことでございます。しかし、計画策定時から既に五年が経過をいたしております。この間、住宅を取り巻く経済や社会情勢は、当初に比べ大きく変化しております。私は昨年九月の一般質問でも、変化に対応した住宅対策の速やかな検討が必要である、このように訴えたところであります。事の重要性にかんがみまして、再度今回取り上げたものでございます。
 昨年県で実施された「あいち二十一世紀住まい・まちづくりフォーラム」の資料を読ませていただきました。高齢化や少子化が一層進展し、家族や地域社会の構造が変化してきていること、そして、ライフスタイルも多様化し、住宅に対するニーズも、都心や郊外などどこに住むかといった住宅地の選択から、居住環境、住宅の性能など非常に多様化してきていること、また、中心市街地での人口が減少し活力がなくなってきていることから、都市再生を急ぐ必要があることなど、さまざまな議論がなされておるわけであります。さらに、長引く経済不況と地価の下落傾向、インターネットの普及などに代表される高度情報化の進展など、時代の変化とともに、当初の計画策定時には想定しなかったさまざまな事柄が新たな課題として顕著になってきているのではないでしょうか。こうした経済社会情勢の変化に伴って、県民の住宅に対する意識も随分変わってきているのではないでしょうか。
 こうした状況の中で、私がとりわけ関心を持っておりますのが、急速に進む高齢化の問題であります。高齢化の進展が、住宅にしても、市街地の整備にしても、さまざまな分野にわたり大きな影響をもたらすものと考えております。
 国立社会保障・人口問題研究所がこの平成十二年三月に行った日本の世帯数の将来推計結果が都道府県別に発表をされております。この推計によれば、本県における一般世帯の総数は、一九九五年の二百三十四万八千世帯から、二〇一〇年には二百六十六万九千世帯へと増加が見込まれておるわけでございます。しかし、このうちに六十五歳以上の高齢世帯の数について見ますと、倍近い数に増加すると予測されているわけでございます。中でも、この高齢世帯のうち、単独世帯、お年寄り一人でございますけれども、二・二倍、また、夫婦のみの世帯は二・一倍、倍以上の数になるという予測がされております。また、高齢者世帯の数を世帯総数に対する割合で見ますと、一九九五年には全体の一六・二%でありました。二〇一〇年には二七・六%の世帯が高齢世帯になると、このように予測をされているわけでございます。
 こうした高齢化の進展に伴い、例えば私の地元の豊橋の県営住宅の状況を見ましても、入居者の高齢化が顕著になってきております。一例ですが、敬老会の集まりで団地の集会室に集まってもらおうとしましても、人数が多くて、とても今の規模の集会室では対応できなくなっている、このように伺っているところでございます。また、若い世代の入居者が少なくなって、自治会活動が以前のようにうまくいかなくなってきている、このようなことも伺っております。
 こうした地域の活力をいかに維持していくか、これからの地域社会をどう形づくっていくか、これは非常に難しい問題であるとは思います。しかし、住宅対策という角度からも、今後早急に取り組まなければならない大きな課題ではないでしょうか。
 また、本県では、比較的大都市圏の中では住宅事情にも恵まれ、高齢者の子供との同居率は高いということが言われております。しかしながら、年々同居率は低下してきております。昭和五十年には七六%あった本県の同居率は、平成七年には五七%と大幅に下がっております。これから先、こうした家族の形態がどのように変化していくのか、どのような住まい方を志向するのか、想像もつかないところであります。しかし、高齢者の居住問題を考えますと、同居、隣居、近居など、親世帯と子供世帯ができる限り近い距離で、また、できる限り長く元気で暮らせるような環境づくりが重要であると考えております。
 今後、高齢者がさらにふえていくことが予測されるわけですが、高齢者の住宅に対する需要の動向を把握し、これからどのような施策を実施すべきか、従来の制度とか基準とかにとらわれることではなくして、新たな発想で柔軟に対応していくことが必要ではないでしょうか。
 そこでお伺いいたします。高齢化、少子化の問題を初め、さまざまな経済や社会情勢の変化に対し、住宅対策としても従来の施策を見直すとともに、従来の枠組みにとらわれない新たな対応が必要な時期に来ていると考えますが、県当局はどのように考えておられるのか。
 また、特に急速に高齢化が進む中で、高齢者に対する住宅対策は重要な課題であり、今後高齢者の住まいの安心を実現するため、県としてはどのような施策を進めていくのか、その考えをお伺いいたします。
 最後に、二〇〇五年の愛知万博につきまして、その開催の是非を問う県民投票条例案に関してお伺いいたします。
 知事はこの条例案に付した意見の中で、条例を制定する必要はないとする理由の一つとして、民意を踏まえた形での開催計画策定等、事業の推進を図っていることを挙げられておりますが、このことについて、私は大きく次の二点から県のこれまでの取り組みを評価し、知事意見に賛成するものであります。
 まず第一点目は、新住事業の中止等の見直しであります。
 本年四月四日に、国、県、博覧会協会の間におきまして、海上の森の南地区の中にテーマを具現化するシンボルゾーンとしての会場整備を目指すことや、新住事業は行わず、名古屋瀬戸道路及び若宮八草線の都市計画の認可申請を取り下げることなどが合意されました。これらはBIEの助言に沿う形で行われ、国内の自然保護団体との意見交換の内容や、世論の動向を踏まえた大きな方針転換でありました。
 そして第二点目には、愛知万博検討会議の設置であります。
 四月四日の合意には、海上の森の会場計画と地域整備について、幅広く意見を聞きながら検討を進めるという基本方向も含まれております。これに基づき、国、県、博覧会協会が協力して、自然保護団体との意見交換などを重ね、五月の下旬に地元関係者、自然保護団体や有識者などといったさまざまな立場の方々が参画する愛知万博検討会議を博覧会協会に設置するに至ったものと承知をいたしております。そして、この会議は毎週一回のペースで開催され、海上の森の活用の方向などについて活発な議論が展開されているとのことであります。昨日、さまざまな議論を踏まえて、海上地区の活用について、シンボルゾーンとして活用し、特に南地区につきましては、自然環境を保全するため、必要最小限の施設整備に限定する、このようにおっしゃっておりました。
 こうした取り組みは、市民参加型の計画策定プロセスとして画期的なものでありますし、県民を初め、国内また国際的な評価も得られているものと信ずるものであります。これらの一連の取り組みを見ますと、まさしく民意を踏まえた形で計画づくりが進められているものと認識をいたしております。
 こうした状況の中で、このたび、愛知万博開催の是非を問う県民投票条例の制定請求がなされたことについてどのように受けとめられておられるのか、お伺いをいたします。
 以上で私の質問を終わります。(拍手)



◯健康福祉部長(大見賢治君)
 児童虐待問題についてのお尋ねのうち、まず、昨年度以降の児童相談所における児童虐待への取り組みでありますが、児童虐待は、児童相談所だけですべての問題の解決を図ることは難しい状況にありますので、医療、教育、警察といった公的関係機関との連携はもちろん、特に、児童虐待の防止活動を行っている民間団体との連携は欠くことのできないものと考えております。
 そうしたことから、NPO法人であります「子ども虐待防止ネットワーク・あいち」、通称CAPNAでございますが、このNPO法人とは適時適切な情報の交換を初め、児童相談所が開催する会議のネットワークメンバーとして新たに御参画いただくなど、これまで以上に連携を深めております。
 また、今年度中に作成を計画しております医療機関向け虐待防止マニュアルにつきましても、愛知県医師会、名古屋弁護士会、CAPNAを初め、関係の方々に幅広く御参画をいただきまして、お互いの連携のもとに作業を進めているところであります。
 このほか、今年度から、児童虐待対応弁護士と児童虐待対応協力員を児童相談所に配置して、児童相談所の相談体制を強化し、法的権限の積極的行使など、迅速で的確な対応に努めているところであります。
 次に、児童虐待の防止等に関する法律ができたことによる児童相談所業務への影響と、その対応も含めた今後の相談体制のあり方についてでありますが、まず、業務への影響といたしましては、法的な保障のもとに発見者が通告しやすくなったことで、通告件数の大幅な増加が予想されます。また、立入調査権が拡大されたことで、踏み込んだ対応をすることができることになりますので、保護者との対立場面の増大も予想されます。そしてさらに、保護者に指導を受ける義務が課せられたことで、指導の困難な保護者に対しても対応が求められることになると考えております。
 このように対応すべき内容が法律に明文化されたことで、児童相談所に対する社会的要請は一段と高まってまいりますので、これに十分こたえるには、今後、職員体制の整備も検討する必要があると考えておりますが、当面は現有機能の最大限の活用を図り、さらに国の動向も見据え、第三次行政改革大綱による地方機関の組織、機構の再編を検討する中で、その整備についても考えてまいります。
 また、保護者を指導、ケアする体制づくりについては、親との対立が避けられない立場にある児童相談所には限界もありますので、児童相談所内の体制整備だけでなく、本県が持っております全国的にも数少ない情緒障害児短期治療施設における家族治療機能や、保健所における精神保健福祉相談員と保健婦による相談機能の活用、そして、新設を予定しております小児保健医療総合センターでの支援を含めて検討してまいりたいと考えております。
 さらに、必要な場面で、いつでも相談できるシステムとして、二十四時間の相談受け付けが可能となる方法についても検討を始めているところでございます。



◯教育長(渥美榮朗君)
 教育問題のうち、親への学習機会の提供と相談体制の整備についてであります。
 家庭は人間としての生き方の基本を学ぶ場でありまして、親の子育てに対する姿勢が基本的に重要なものであると認識をいたしております。特に、核家族化や都市化の進行した昨今におきましては、親自身が子育てについての学習の機会を持つことは大きな意味を持つというふうに考えております。
 こうしたことから、教育委員会といたしましては、家庭教育に関するテレビ番組の制作、放送や、手引書の作成、配布、企業研修への講師派遣など、家庭での教育やしつけについて考える学習機会を幅広く提供しているところであります。
 また、現実に子育てに悩んでいる親の相談に応ずるために、直接家庭を訪問する家庭教育相談員を配置したり、臨床心理の専門家を家庭教育カウンセラーとして委嘱し、必要に応じ親との相談の場をつくるなど、相談活動の充実にも努めているところであります。
 次に、地域で子供を育てる活動への支援方策についてであります。
 家庭において身につけた基本的生活習慣を子供の中に根づかせるためには、さまざまな生活体験、社会体験、自然体験を地域において積み重ねることが重要であります。そういった観点から、教育委員会といたしましても、県内各地域をふれあい活動推進地区に指定をしました。三世代草刈り活動や親子ふるさとウォッチングなど、地域の子供同士、親子、そして大人同士が交流しながら、一体となってさまざまな体験ができるよう支援をいたしております。
 また、子供が参加できる地域での行事などを紹介した情報誌を作成、提供するための子どもセンターの設置、促進を図るよう指導しているところでもあります。
 さらに、父親が子育てや地域活動に積極的に参加する機運を高めることも大切でありますので、「子どもに語ろう」をキャッチフレーズとした県民大会や地区大会を開催することとしております。
 今後とも、関係部局や市町村とも十分に連携を図りながら、子育てや地域活動に対して積極的な支援をしてまいりたいと存じます。
 次に、教職員の健康管理の現状でございます。
 教職員全員を対象とした健康診断と、年齢を指定した総合検診を毎年実施をいたしております。健康問題に関する相談窓口を、また愛知県総合教育センターに設置し、教職員からの相談に対応できるようにもいたしております。
 名古屋市立の学校を除きました、平成十一年度の小・中・高等学校の健康診断結果を見ますと、循環器系の疾患などがやや多い状況であるということであります。
 次に、精神性疾患による休職者の状況であります。
 不安神経症やうつ病などで休職した職員は、平成十一年度八十九人、全休職者のうち約四五%となっております。精神性疾患で休職、加療中の教職員に対しましては、校長やその学校の教職員が随時家庭訪問等を行い、その状況の把握に努めております。さらに、県の教育委員会といたしましても、専門医や保健婦を必要に応じて派遣し、病状観察や回復に向けての指導、助言を行っておるところであります。
 しかしながら、精神性の疾患につきましては、日ごろからストレスを過度に抱え込まないなど事前の予防策が大変重要であるということから、教員を対象にしたメンタルへルス講演会などを開催したり、全教職員に予防啓発リーフレットを配布したりして、その啓発に努めているところであります。
 いずれにいたしましても、教職員が心身ともに健康であることが子供たちにとりましても何より大切でありますので、今後とも、教職員の健康管理事業等の充実に意を用いてまいりたいと考えております。



◯建設部理事(杉山義孝君)
 住宅対策の中で、従来の枠組みにとらわれない新たな対応という御質問でございますが、経済社会が大きく変化してきている中で、ここ数年、制度的にも公営住宅法の改正、あるいは高齢者向け優良賃貸住宅制度や定期借家制度を創設するなど、時代の変化に合わせた対応がされてきております。
 県といたしましても、新たな時代に向けた住宅政策のあり方を検討するために、昨年来、あいち二十一世紀住まい・まちづくりフォーラムという公開の議論の場を設置いたしまして議論を進めてまいりましたが、今年度は幅広い専門家の方々、各種団体の代表、公募による一般県民の代表から成ります委員会を設置いたしまして、新しいマスタープランの作成を行うこととしております。スケジュールといたしましては、近く委員会を発足させ、国の住宅建設五箇年計画の作成作業状況を見ながら、来年の春には答申をいただき、七月には決定、公表してまいりたいと考えております。
 委員の方々を初め、できる限りの多くの方々から御意見をいただき、福祉政策や都市政策との住宅政策の連携、あるいは住宅市場の整備、誘導、補完といったことを視野に入れながら、多様化するライフスタイルへの対応、住まい手の安心の確保、住まいと環境との共生、あるいは街づくりとの連携など、新しい時代に向けた住宅政策を立てていきたいと考えております。
 次に、高齢者の住まいの安心の実現に関する質問でございますが、御指摘のとおり、高齢者に対します施策は今後の住宅政策の中でも非常に重要であると考えております。高齢化が急速に進む中で、高齢になっても安心して元気で暮らせるということが豊かな県民生活の実現に不可欠であり、また、このことが結果として介護に対します負担を軽減することになるというふうに考えております。
 このため、県といたしまして、これまで県営住宅での高齢者世帯に対します優先入居の確保や、あるいは一般の方々への住まいのバリアフリー化のための手引書の作成、普及など、こうしたことに取り組んできたところでございますが、去る四月に国が公表いたしました総合的な高齢者居住政策の基本的な方向を見てみますと、一つは、高齢者の自立した生活を支える住宅改造支援や、良好な民間賃貸住宅の供給促進、高齢者の多様なニーズにこたえた居住選択のための住みかえ支援や入居あっせんシステムの整備、あるいは地域社会において福祉と連携した生活環境の整備を図るための相談体制の充実、あるいは生活支援サービスの提供など、こうしたことの必要性がうたわれております。
 こうした課題につきましては、本県におきましても同様な課題でございますが、今後、新しいマスタープランづくりの中で議論されることになると思います。そうした中で、愛知県の住宅事情や地域特性を踏まえて、高齢者の住まいの安心の実現に向けて、県としても一層積極的に取り組んでまいりたいと考えております。



◯国際博推進局長(森徳夫君)
 国際博覧会の開催の是非を問う県民投票条例の制定請求についてのお尋ねでございますけれども、本条例の制定請求につきましては、国際博覧会とそれに関連いたします地域整備につきまして、そのあり方につきましてさまざまな御意見をいただきながら、幅広い視野で検討を進めておりますさなかに、署名活動が始められたものでございまして、議員御指摘のように、四月四日にはその検討の結果を、新住事業の中止等、本博覧会の開催の仕方にかかわる大きな見直しとして、明らかにさせていただいたところでございます。
 また、この見直しにつきましては、BIEでございますとか自然保護団体など、さまざまな御意見あるいは世論の動向を踏まえまして、民意を十分に反映して行ったものでございます。さらに、地元関係者を初めといたしまして、さまざまな立場の方々が参画し、インターネットなども活用いたしました情報公開の仕組みも取り入れ、民意を踏まえて事業の推進を図ることができますようにということで、前例のない形での検討の場を設けたところでございます。昨日も、この検討の場であります愛知万博検討会議におきまして、活発な議論を踏まえた上で、海上地区の活用について大筋で委員の間で合意がなされたところでございます。
 議員御指摘のこうした取り組みを初めといたしまして、知事意見で述べてありますさまざまな経緯、状況を踏まえますと、国際博覧会開催の是非を問う条例制定の必要はないというふうに存じます。
 今後とも、県民の方々の幅広い理解を得る努力を重ねますとともに、民意を踏まえた計画づくりに意を配ってまいりたいと存じております。



◯知事(神田真秋君)
 児童虐待の御質問でありますけれども、お尋ねの中でもありましたとおり、社会は病んでいる状況という最近の姿でありまして、命を軽んずる風潮、あるいは自殺者の増大など、まさに病んでいるさまざまな事件やら事象があらわれております。
 わけても、本来子供を慈しみ愛すべき立場であります親がその子供を虐待するというのは、その病理的な最たるものではないだろうかと考えているところでありまして、しかも、その事犯が大変ふえているということは、憂慮すべきであります。
 私ども愛知県といたしましても、児童相談所を中心にして、こうした虐待から子供を救うためのさまざまな対応をしてまいりましたし、先ほど部長申し上げましたとおり、今年度におきましても新しい取り組みを始めたところであります。児童虐待防止法という法律も新しく制定されたところでありますので、また、よりそうした児童相談所の活動が前向きに、積極的に対応できるんではないかと期待を申し上げているところであります。
 今後とも、子供の命を守るために、きめ細やかな対応を進めていきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

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