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2002.03.06 : 平成14年2月定例会(第6号)

◯二十八番(渡会克明君)
 私は、歳出第四款県民生活費第四項防災費について伺いたいと思います。
 御存じのように、けさのニュースにもありましたように、島根県を震源といたしました、鳥取におきましては震度四が計測をされるという地震がありました。そして、フィリピンにおきましてはマグニチュード七・六と、こういう大地震が起こったようにも伺ったところでございます。大変不安なことであります。
 地震防災対策につきましては、既に本二月議会の中でさまざまな観点から取り上げられました。熱心に質疑が行われておるわけでありますけれども、私は、本県が東海地震や東南海地震というマグニチュード八クラスの巨大地震に襲われたとき、とうとい人命や貴重な財産を守るためには一体どのような対策を講じればよいか、県民を守る立場としてぜひ実効ある施策をお願いしたいと思います。
 さて、地震対策にはさまざまな方法が考えられると思いますが、最も基本的な対策であり、同時にその成果がなかなか見えない難しい対策として、県民の方々の防災意識の高揚があると思います。これが一番大切ではないかと考えております。
 こうした防災意識というのは、実際にどこかで震災が起こったとき、また、盛んにマスコミ等で取り上げられているときはある程度関心が高いわけでありますけれども、残念なことに、私も含めまして、月日がたち、しばらくすると話題に上ることが少なくなり、瞬く間にその思いは鎮静化してしまうわけであります。悲しいことであります。
 そこで、私は、この機会に県民の方々の防災意識を確実に高めていただき、県民一人一人や御家庭において具体的な地震への備えを万全にしていただき、地震に対する防災意識も継続できるよう対策を講じる必要があると思います。
 こういう観点から、次の二点についてお伺いをしたいと思います。
 初めに、興味深い報道がありましたので御紹介をさせていただきます。実は、神奈川大学の都市防災学のグループが、地震に対する弱さについて、東京都を一〇〇にして全都道府県を数値であらわす方法を開発したそうであります。
 一九七三年の根室半島沖地震から一九九五年の阪神・淡路大震災まで国内で起きた十六の大地震について、地震が起きる確率は考慮しないで、被害者数への影響が大きい軟弱地盤の比率や一人当たりの都市公園の面積、高齢者の人口比率、消防職員数、病院数、また、修理を要する住宅の割合、山地などを除いた可住地の人口密度など、こういう要因八項目を指標といたしまして、各指標が被害の大きさに与えた影響を数値に置きかえ、弱さを評価する数式をつくり、この式に、総務省が毎年都道府県別のデータとしてまとめております社会生活統計指標、これで調べた最新のデータを当てはめまして、地域特性が被害者数を大きくする可能性を弱さとして数値で評価をしたわけであります。
 この結果を見ますと、東京都が最も地震に弱く、これを一〇〇としますと、次に弱かった大阪が九一・三、神奈川が七八・二、埼玉が四七・〇、千葉が四〇・二、京都が三九・〇、そして、可住地人口密度が高い、そして病院数、消防職員数とも少ない本県が七位の三八・六でありました。その後に、我が県の後に福岡県、そして兵庫県と続き、何と阪神大震災の起きた兵庫県よりも弱いという結果が出たわけであります。すなわち、地震が起きる確率を考慮しないこの方法で兵庫県より被害が大きいという結果が出たわけであります。
 しかし、今本県が置かれている状況は、御存じのように東海地震、東南海地震が起こる可能性があると報じられているわけでありまして、その緊急なる対応に迫られている状況にあるわけであります。このことを考えますと、数値を使ったこのグループの試みというのは特殊な方法かもしれません。しかし、私は背筋の寒くなる思いがいたします。このように身近なデータによる地域ごとの危険度評価は、県民の方にも理解されやすく、また定着しやすいものではないかと私は考えるものであります。
 本県は、十四年度予算において東海地震等の被害予測調査に着手される予定であります。こうした予算を最大限に活用するためには、思い切った工夫をされる必要があるかと思います。今回の被害予測調査は具体的にどのような内容であり、その結果については、県内市町村でどう活用され、県民の方々にはいつごろ、どのような形で情報提供されるのか、まずお伺いしたいと思います。
 二つ目には、平成十三、十四、十五と三カ年計画で、濃尾平野と同様に、三河地域の堆積平野の地下構造調査を実施するとのことであります。この調査では具体的にどの地域でどのような調査が行われ、また、その成果は今後どのように県民の方々に周知を図っていくお考えなのか、お伺いいたします。



◯県民生活部長(佐宗政昭君)
 被害予測調査の内容について、まずお答えいたします。
 まず、地形、地盤、地下構造などの自然条件の調査を行いまして、次いで地震動、地震分布、液状化、津波などの自然現象の予測を行います。さらに、ライフライン施設、交通施設の被害、建築物被害及び人的被害等の予測を行いまして、各地域の潜在的な危険性の評価を行うことといたしております。
 また、結果の活用方法でございますが、これらの諸データを数値表示するなどいたしまして、市町村単位で分析、整理するなどにより提供してまいりたいと思っております。また、こうしたことによりまして、地域の実情に応じたきめ細かな防災対策に役立てていけるものというふうに考えております。
 なお、県民の方々への周知につきましては、調査終了後速やかにわかりやすく解説したパンフレットを作成したり、インターネットのホームページに概要を掲載するなどの工夫を凝らした周知に努め、県民の皆様の防災意識の高揚を図ってまいりたいというふうに存じております。
 次に、地下構造調査についてのお尋ねでございますが、三河地域堆積平野の地下構造調査につきましては、現在、岡崎平野と豊橋平野十二地点におきまして、風、波、気圧などの自然現象から常に生じてくるごく小さな振動を多くの地震計で同時観測しまして、地下構造を推定する微動アレー探査という調査を実施いたしております。これによりまして、堆積層の厚さや堆積層内を伝わる地震波速度を推定することができることになっております。
 平成十四年度以降は、人工地震を起こしまして地盤の境目で反射する地震波を観測する反射法地震探査の実施を計画しておりまして、より詳細な地下構造の解明がされることになっております。
 また、この調査から得られるデータは、平成十四年度以降実施する東海地震・東南海地震等被害予測調査にできる限り反映させますとともに、建築物の耐震設計、耐震性調査に役立ててまいります。また、本調査結果は概要版を作成いたしまして、市町村、図書館、県民生活プラザなどに配布するとともに、ホームページに掲載するなど、県民の皆様に周知を図ってまいりたいというふうに考えております。
 以上でございます。



◯二十八番(渡会克明君)
 御答弁をいただきました。一点ですね、御要望をしたいと思うんです。
 今回実施されるその被害予測調査では、地震動などの自然現象を初め、ライフライン施設や交通施設などの被害予測など、大変広範にわたる調査結果がデータとしてまとまることがわかりました。私も事前にお話を伺いました。
 先ほども申し上げましたように、問題は、そうした成果やさまざまなデータをいかにうまく活用して県民一人一人の防災意識を呼び起こし、家庭や地域における具体的な対策につなげていくことができるかどうか、ここにかかっている、このように思うわけであります。
 そこで、ぜひとも、先ほど例に挙げましたけれども、神奈川大学の研究グループの評価方法のように、できるだけ県民にわかりやすい客観データ等の利用を検討するとともに、そうした調査結果を用いて、県内の各市町村が地震マップであるとかハザードマップであるとか、このようなものを作成しやすいように、十分に市町村との調整をしていただきたい、このように思います。
 そして、新設の県補助金の有効活用を図るなど、最大限の努力をされるように強く要望して、終わりたいと思います。

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