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2003.03.20 : 平成15年2月定例会(第9号)

◯二十九番(渡会克明君)
 私は、公明党愛知県議員団を代表いたしまして、ただいま議題となっております第一号議案平成十五年度愛知県一般会計予算案について、賛成の立場から討論を行います。
 我が国の経済は、バブル崩壊後の長引く停滞からいまだ抜け出せず、企業倒産件数や失業率は高い水準で推移しているなど、引き続き厳しい状況にあります。また、本県の経済は、自動車を中心とする輸出の増加なども見られますが、世界経済の先行き懸念や内外の株価下落、さらに消費者心理の悪化などから不透明感が増しております。
 そして、本県でも、景気の低迷によって、平成十五年度は県税収入で五百億円を超える減収が見込まれる一方で、県債の累増に伴う公債費の増大や、地震・防災対策などに伴う経費の増加が見込まれております。このため、歳入歳出構造はますます硬直化してきております。財政構造の思い切った見直しがなければ、収支ギャップを埋めることはますます困難となることが予想されます。このような厳しい財政状況にあって、平成十五年度は、「あいち地震対策アクションプラン」の推進や、「愛・地球博」と中部国際空港の開幕、開港が迫る中でのアクセス整備の推進など、引き続き本県行政にとって極めて重要な時期となっております。
 このような状況を踏まえて、我が党は、去る一月二十三日、平成十五年度の当初予算編成に当たり、生活者優先の視点に立った諸施策の実施を要望したところであります。すなわち、本県将来のさらなる発展の基礎となる事業を積極的に推進するとともに、福祉社会の構築、安全・安心の街づくり、中小企業の支援、新産業の育成はもとより、芸術文化の振興を通じてゆとりと潤いのある安全・安心の愛知を実現するため、元気、快適、安心を柱に据えて事業を実施されるよう要望いたしたところであります。
 これら我が党の要望を踏まえ、知事から提案された一般会計の予算案は、依然として厳しい財政状況にある中で、前年度に対する伸び率が〇・三%増の総額二兆三千六百七十七億余円となっております。これは、他府県の予算案のほとんどがマイナスの伸び率である中で、安心・元気をキーワードとして予算編成を進められた神田知事の県政運営に対する意気込みが伝わる積極予算であります。
 以下、本予算案について、主要分野ごとに賛成理由を述べてまいります。
 最初は、行財政運営についてであります。
 健全な行財政運営を推進するためには、財政健全化に向けてあらゆる対策を講じる必要があります。このため、我が党は、財源の積極的な確保に努める一方、過去の発想、慣例からの転換を図り、制度、施策そのものの廃止、休止を含めた、一層徹底した見直し、合理化を図り、真に必要なものに重点的に対応することを求めてまいりました。あわせて、財政構造の抜本的改善に取り組み、中・長期的な財政の健全化に努めるよう求めてまいりました。
 また、各種申請、届け出手続のオンライン化、ワンストップサービス化、情報公開等を推進し、行政サービスの向上に向けた電子地方政府の早期実現に積極的に取り組むよう求めたところであります。
 これにこたえて、本予算案では、引き続き改訂愛知県第三次行革大綱に基づき全庁挙げて行財政改革に積極的に取り組み、簡素で効率的な行財政システムの再構築を進めることとされております。特に、電子申請・届け出システムの開発、内部管理業務プロセス改革の推進など、電子地方政府の実現に向け積極的に諸施策を推進されようとしております。
 我が党といたしましても、今後とも、行財政改革が着実に実施されるよう期待するものであります。
 次に、福祉社会の構築と教育対策についてであります。
 我が党は、二十一世紀における本県の福祉の進むべき方向を明らかにした「二十一世紀あいち福祉ビジョン」をもとに、急激に進行する少子・高齢社会や、着実に進展している男女共同参画社会を展望した福祉社会の構築に向け取り組むことを求めてまいりました。あわせて、多くの課題が山積し、学校、家庭、地域など社会全体の教育力の衰退の問題を抱えている教育対策を初め、児童虐待やドメスティックバイオレンスなどに対する取り組みの強化、障害者対策の推進などに全力を挙げて取り組むよう求めてまいりました。
 本予算案では、急増する児童虐待に対応するため児童福祉司を増員することとされ、少子化対策でも、子育て支援に積極的に取り組もうとされております。あわせて、教育対策でも、制度や中身の問題を初め、幅広く教育のあり方、仕組みを再検討する取り組みや、スクールカウンセラーの増員、半田市内に新しく養護学校を建設するための予算が盛り込まれております。
 そして、あいち小児保健医療総合センターを全面オープンされるとともに、自閉症・発達障害支援センターの開設などの障害者対策にも取り組まれております。また、老人福祉についても、介護保険制度の着実な実施を図るとともに、施設サービスの基本である特別養護老人ホームを初めとする老人福祉施設の整備に助成し、高齢者保健福祉計画の着実な達成に向け、一層の整備促進を図ることとされております。
 次に、雇用の安定と中小企業対策についてであります。
 我が党は、完全失業率が依然として高水準で推移する中で、構造改革の進展に伴う雇用情勢の変化に対応する施策について、その必要性を訴えてまいりました。そして、離職者に対する再就職支援策の強化や新たな雇用就業機会の創出など、労働市場の流動化に向けた雇用セーフティーネットの整備に努めること、厳しい経営環境にある中小企業に対する公的金融支援策や、経営革新並びに新産業創出に向けた施策を強化することを求めてまいりました。
 本予算案では、既存産業の新規成長分野への展開を初め、企業誘致や創業支援などを通じた産業活動の活性化により、地域雇用を積極的に創出されようとしておられます。また、当面の雇用情勢に対応した緊急措置として、緊急地域雇用創出特別基金事業の大幅な前倒し実施を行うこととされております。あわせて、中高年齢離職者の再就職支援、その事業の拡充や、若者向けの職業相談、情報提供なども行うこととされております。
 一方、中小企業金融対策については、現下の厳しい経済状況にあって、中小企業者の資金需要にこたえるため、融資枠の確保はもとより、短期運転資金や長期経営強化資金の融資限度額の引き上げ、地震防災対策資金の新設のほか、貸し渋り・貸しはがし対策の充実も図られております。
 次に、安全・安心の街づくりについてであります。
 我が党は、自然災害の続発を踏まえて防災体制などを一層充実させるとともに、災害発生後の救助、復旧、再建の各レベルでの対策が迅速かつ円滑に実施できるよう、総合的な危機管理体制を強化することを求めてまいりました。特に、地震に強い愛知県を目指して、民間木造住宅の耐震改修補助制度の創設を初めとして、「あいち地震対策アクションプラン」の積極的な推進を図るよう求めてまいりました。
 また、急増する青少年の非行や外国人等による凶悪犯罪の撲滅に向けて犯罪取り締まり体制の強化を図るなど、その対策に万全を期するとともに、交通安全施設の整備や交通安全教育の強化などの総合的な交通安全対策の推進を求めてまいりました。
 本予算案では、地震に強い愛知を目指し、防災局を単独の部に格上げし、地震、風水害などの防災対策を初め、有事、テロなどへの対応も含めた危機管理体制の充実を図ることとしておられます。また、地震防災のハード面の対策として、県有施設や県立学校の耐震改修、道路、河川などの耐震化の推進、さらには市町村が指定する避難所の耐震改修補助や、民間木造住宅の耐震改修補助制度の新設、基幹的広域防災拠点の整備に向けた調査を行うこととされております。
 また、ソフトの面でも、帰宅困難者対策やボランティア活動拠点の確保を初め、地域の防災リーダーの養成や自主防災組織の実践的活動への支援を行うほか、新たに地震対策推進条例の制定にも取り組むとされております。加えて、BSE対策、交通安全対策及び犯罪増加への対応などにつきましても、県民の安心を確保するため、積極的な対応がなされております。
 次に、二大プロジェクトとその後の将来展望についてであります。
 「愛・地球博」と中部国際空港の開幕、開港まで二年となり、いよいよ、県民の目に見える形で事業が進んでまいりました。そして、我が党は、これらプロジェクトの着実な推進に加え、将来の交通ネットワークの形成やプロジェクト後を見据えた新たな施策の展開も求めてまいりました。
 本予算案では、神田知事が予算編成に当たってキーワードの一つとされた元気につながる予算として、これらの取り組みが盛り込まれております。すなわち、「愛・地球博」では、出展準備、市町村と一体となった機運の盛り上げやアクセス整備などが、また中部国際空港では、警察署などの施設整備やアクセス整備、関連埋め立て事業の予算が盛り込まれており、着実な事業推進が図られております。さらに、国際交流大都市圏の構想づくり、全国のモデルとなる総合交通ビジョンの策定や、構造改革特区の推進を図るための予算も盛り込まれております。
 そのほかにも、我が党が求めておりました分権改革の推進のための各種の予算や、快適愛知づくりにつながる環境保全や環境先進県づくりを目指した各種の予算も盛り込まれております。
 以上、主要分野について意見を述べてまいりましたが、提案された本予算案は、我が党の要望の大半を占める予算措置が講じられており、評価をするものであります。今後は本予算案に盛り込まれました諸施策が着実に実施されるよう強く要望をいたします。
 最後に、議員各位の御賛同をお願い申し上げまして、賛成討論といたします。ありがとうございました。(拍手)

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