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2004.3.11 : 平成16年2月定例会(第8号)

◯五十一番(渡会克明君)
 私は、通告に従いまして、歳出第九款建設費第九項住宅費、第十款警察費第一項警察管理費についてお伺いいたします。
 初めに、歳出第九款建設費第九項住宅費、いきいき住宅リフォーム支援事業費についてお伺いいたします。
 高齢社会の到来の中、高齢者の方々が安心して地域で元気に暮らし続けるためには、住まいの見直しが重要となってまいります。その住まいの多くは建築当時のデザインや間取りなどで、高齢期を迎えた現在の高齢者の皆さんの暮らしには合わなくなってきていると思います。使い勝手が悪く、不便を感じている方が大勢いらっしゃるのではないかと思います。
 そこで、快適な住まいにするために改善する仕組みが必要になってまいります。県は新規事業として、このいきいき住宅リフォーム支援事業を提案されました。それは、保健、医療、福祉、設計、施工の専門家向けの講習を行い、アドバイザーとして登録をし、高齢者の方の住宅のリフォームに対し、専門家チームとしてさまざまな角度からアドバイス活動をしてもらう。また、施工のプロのほか、シルバー世代や日曜ボランティア向けに高齢者の地域居住のための住宅改善技能講習を行い、これも登録をしていただき、知識と技能を持った施工技能者として活動してもらう。さらには、活動を継続的に進めるために協議会をつくるということで伺っております。
 このように専門家がチームでアドバイスをしたり、施工技能者が活躍するといっても、その方たちのところへ高齢者からの要望が届かないといけません。そのためには、高齢者の身近なところにそうした専門家チームや施工チームの方たちのネットワーク組織があることが必要になってまいります。できれば市町村単位ぐらいに地域組織がつくられて、そこから来ていただくという仕組みができればベストではないかと考えます。
 そこで、市町村に対してこの事業を紹介し理解していただき、ぜひ多くの市町村で取り組みを始めてくださることを希望しますけれども、県としてはどういう形で地域ごとの仕組みづくりを進めようとされているのか、まずお伺いをいたします。
 また、高齢者に配慮した住宅改善は、その加齢による身体機能の低下に対応するということがもともとの理由でありますが、それは、使いやすさ、暮らしやすさと同時に、住宅での事故を防ぎたいということでもあります。住宅内での事故が原因で亡くなられる高齢者は、交通事故よりも多いということであります。住宅内での安全の確保ということが大変重要なことになります。手すりをつけたり段差をなくしたりというバリアフリー化は、この安全へもつながるわけであります。
 ところで、安全といえば、本議会へ地震防災推進条例が提案されておりますが、地震に対する備えも忘れてはなりません。阪神・淡路大震災では、死者の七割の方が住宅の倒壊や家具などの転倒により、その下敷きとなり圧死するという悲劇がありました。木造住宅の耐震改修ということで、県、市町村の補助事業が進められておりますが、平成十六年度は、県としても昨年の十倍の耐震改修費補助を予算化しており、大変うれしく思います。
 さて、そうした大がかりな改修も大切ですが、同時に、ちょっとした工夫で身を守ることができることもあります。せっかく住宅リフォームということで高齢者の住宅をリフォームするのですから、簡単にできる安全化ということで、家具を固定し、転倒を防止する、これをあわせて進めたらどうかと考えます。
 そこで伺います。このいきいき住宅リフォーム支援事業の中に家具の固定について組み込むことはできますか、お伺いいたします。
 続けてお伺いいたします。今までは高齢者の方の話をしてまいりました。身障者を初めとした弱者の方たちもいらっしゃいます。中には、高齢者の方より大変な御家庭もあります。ぜひこういう方たちも包含する形で支援の活動を進めていただきたいのですが、どのようにお考えか、御所見を伺います。
 続きまして、歳出第十款警察費第一項警察管理費について伺います。性犯罪被害女性の相談体制についてお伺いいたします。
 治安の悪化が叫ばれている昨今、マスコミを初め、本定例議会におきましても、殺人、強盗等の凶悪犯や自動車盗、車上ねらい等の街頭犯罪の増加が幾度となく取り上げられております。
 しかし、性犯罪被害についてはどうでしょうか。昨年、つまり平成十五年中でありますけれども、強姦の被害認知件数は百六十六件、強姦までには至らない強制わいせつの被害認知件数にあっては三百七十八件もあります。平成六年には強姦が三十八件、強制わいせつが九十四件でした。このわずか十年の間で強姦が約四・三倍、強制わいせつが約四倍にも増加しているわけであります。ちなみに、これは全国の統計ではありません。安全・安心を目指している我が愛知県内の実情であります。さらに驚くべきことは、この統計は警察が性犯罪被害を認知した件数、つまり、被害者が届け出て、警察が事件を把握した件数であります。
 車を盗まれた、泥棒に入られた、殴られたなどという被害は、だれもがすぐに警察へ届け出るために、現実の被害数と統計上の数字には余り隔たりはないでしょう。しかし、性犯罪被害はといいますと、被害者のほとんどが女性であるという性質上、恥ずかしくてだれにも言えない、どうしてよいかわからないなどという理由で、だれにも話ができずに、泣き寝入りをするケースが相当あるのではないかと思います。
 性犯罪の犯人は、捕まるまで何度でも同じことを繰り返すと、このようにも伺ったことがあります。実際に性犯罪の犯人が逮捕されたという報道を見ると、ほかにも余罪が何件もある、こういう言葉で必ず締めくくられております。
 女性は恥ずかしくて警察に届けないだろうと考え、幾度も犯行に及んでいた犯人がいるとも聞きます。恥ずかしいから警察に届け出ない、届け出ないから警察が事件を把握できない、警察が事件を把握できないから相変わらず被害がふえる、このような悪循環の図式ができ上がっているわけであります。
 今回、ある女性団体の方たちからこの御相談がありました。その一人の女性は、性犯罪の被害を受けられ、恥ずかしかったけれども、これ以上自分と同じような被害者がふえてはいけない、このように思い、勇気を振り絞って警察へ相談に行かれたそうであります。相談に乗ってくださった警察官はとても親切に応対をしていただいたそうでありますけれども、いろいろと被害に遭った際の状況を細かく聞かれるうちに、警察官が男性だったために、やはり恥ずかしくなってしまいまして、途中で帰ることこそしなかったものの、今度被害に遭ったとしても、二度と警察に相談には行きたくない、このように思われたそうであります。
 女性にとっては、たとえ相談相手が警察官であっても、男性には話しづらいということであります。つまり、男性の警察官にあれこれ聞かれることが恥ずかしいから性犯罪被害に遭っても警察に届け出ができないという女性がかなりいるのではないかと思われます。
 では、今後、憎むべき性犯罪被害を撲滅していくためにはどうすればいいのか。それには、警察が被害の実態を正確に把握し、的確に対応していくことこそが重要であると考えます。そのためには、被害女性がためらうことなく相談ができる窓口の整備が必要であると考えます。
 医療の分野でも、最近、女性医師による女性のための女性専門外来の設置を求める声が大きくなり、私も本会議で取り上げたことがあります。警察の分野でも、女性による女性のための相談窓口の整備が必要であると考えますが、いかがでしょうか。
 そこで、警察本部長にお尋ねします。強姦、強制わいせつ、痴漢など性犯罪だけでなく、ストーカー、DVなどのすべての女性被害者がためらうことなく、安心して相談することができる女性による女性のための相談窓口、その重要性についてどのように認識され、現在どのように整備されているのでしょうか。また、今後はどのように整備をしていかれるつもりなのか、お伺いいたします。
 以上で質問を終わります。



◯建設部理事(河合修君)
 いきいき住宅リフォーム支援事業についてのお尋ねのうち、まず、地域ごとの仕組みづくりについてでございます。
 この支援事業の中で、育成、登録された住宅リフォームに助言する専門家が高齢者の方々からの要請に的確にこたえていくために、地域ごとの仕組みづくりは重要であると認識しております。
 このため、専門知識を習得する講習会を開催いたしまして、専門家として登録していただき、事業を推進するための協議会を設立することしております。さらに、モデル的に幾つかの市町村に協力していただきまして、それぞれの地域で活動するボランティアグループやNPO法人等と連携し、地域ごとの体制を構築いたします。それらを先導役として、いきいき住宅リフォーム支援事業を全県に広めてまいりたいと考えております。
 次に、家具の固定についてでございます。
 地震に備えて家具を固定することは、転倒による事故防止対策として大変重要なことであります。このため、いきいき住宅リフォーム支援事業を推進していく上で、地域で活動する専門家の方々にこのような身近な地震対策にも柔軟に対応していただくよう要請してまいります。
 最後に、身体障害者等の方々への対応についてでございます。
 この事業は、高齢者の身体機能の低下に応じた住宅改修への支援を中心に考えております。しかしながら、現実にはリフォームを助言する専門家が地域で活動していく中で、身体障害者等の方々もバリアフリー改修を要請されることが考えられます。このため、このような要請に対しましても十分配慮した活動が進むよう支援してまいりたいと考えております。
 以上でございます。



◯警察本部長(和田康敬君)
 性犯罪などの女性被害者の相談窓口についてでございます。
 まず、この性犯罪につきましては、議員お示しのように、実際に警察に届け出られている数以上の、暗数と申しますか、それは相当数あると思います。これは、性犯罪で犯人を捕まえた場合に、その取り調べから多くの余罪が出てくるわけですけれども、その中のかなりの部分が届け出がされていないケースがございます。また、その犯人は、警察に捕まるまではなかなかその犯行をやめないと、ある犯人は、捕まったことによって、逆に捕まってよかったと、もし捕まらなきゃ自分はずっとやり続けていたろうと、こういう犯人までいる次第であります。
 こういった被害の状況を本当に正確な把握をし、できれば被害の届け出あるいは告訴していただくためには、やはり女性が安心して相談するような窓口というのが大変重要だろうというふうに考えております。そのために、警察本部の方に女性のための女性の職員による相談窓口というのを設けております。一つは、性犯罪としては、捜査一課にレディースホットラインというのを設けております。ここには女性警察官三名を配置して、電話なりあるいは直接面接による相談を受け付けておりますし、また、ストーカーにつきましては、生活安全課にストーカー110番というものを設けております。また、列車内における痴漢などにつきましては、鉄道警察隊にふれあいコールというものを設けております。また、こういった被害全般についての心のケアということから、住民サービス課の方にハートフルラインという、ここには臨床心理士の資格を持ちました女性職員を配置して、そういった精神的なケアを行うようにしております。
 これはいずれも警察本部に設置をいたしておりまして、警察署におきましては専用の窓口というのはないわけでありますけれども、ただ、こういった女性からの相談に応じられるように、警察署に配置しております女性警察官に研修を行っておりまして、今後ともこれらの研修を充実させて、十分な相談に対応できるようにしてまいりたいというふうに考えております。



◯五十一番(渡会克明君)
 御答弁をいただきました。
 建設部の方でありますけれども、本当に県民の安全・安心を確保することが第一義であります。財政厳しい折ですけれども、こういうときこそ、このような知恵を絞ったソフトの事業を市町村が取り組みやすい事業として、また県民に喜んでいただけるような事業として実施していただきたいと思います。そして、ぜひ支援事業が県内のあちこちで定着するよう努力をしていただきたいと思います。
 警察ですけれども、女性警察官による女性専門の相談窓口、既に今警察本部内にあることをお聞きし、大変心強く思いました。
 ただ、性犯罪被害を受けられて一人で悩んでみえる方は、この警察本部に行けるというか、名古屋市内だけではなくて、県内の尾張部にも、三河部にもたくさんお見えになると思います。また、警察挙げて治安の回復に全力で立ち向かわれているさなかであります。業務多忙なことも理解しております、また、体制上の問題もあるかと思います。しかし、女性のための相談窓口の設置も治安回復の一手段として考えていただき、県内各地域の女性が安心して相談に行けるよう、初めは七カ所ですか、各ブロックの警察署中心に、女性警察官による女性専門の相談窓口を設置していただきたいと思います。
 また、既に設置されている相談窓口については、私も知りませんでしたけれども、どれだけの女性が知っているか、疑問に思います。せっかくの相談窓口が設置してあるわけでありますから、多くの女性だれもが知り得るように、積極的なPRに努めていただきたいと思います。
 以上、県警には二点要望して、私の質問を終わります。ありがとうございました。




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