県議会発言録へもどる

速報をみる
中継をみる


2004.09.24 : 平成16年9月定例会(第5号)

◯五十一番(渡会克明君)
 皆さんおはようございます。通告に従い順次質問をさせていただきます。
 まず初めに、個人情報の保護についてであります。
 個人情報については、IT化の進展の中で極めて多種多様な利用が進みつつあることを実感いたしております。私ごとで考えてみましても、子供あてに頻繁に来る受験関連のさまざまな案内、家庭教師の執拗な売り込み電話、自動車学校への入校案内等々があります。私たちが知らないところで個人情報が使われていることに、改めてびっくりさせられるわけであります。
 この個人情報が電子化された形で漏えいされ、本人が知らないところで利用されることになりますと、現代社会においては想像を絶するような影響が、本人はもちろん、随所に及ぶものと懸念されるところであります。しかし、現実は、マスコミ等で毎日のように個人情報の漏えいに関する報道がなされております。
 こうした状況の中、個人情報の保護の必要性が強く認識され、国会での二年にわたる審議、紆余曲折の末、昨年五月に個人情報保護法を初めとする関連五法が成立したところであります。
 これを受け、県は、IT化の進展に伴う社会情勢への対応や個人情報保護法等の成立を踏まえて、愛知県個人情報保護条例の改正を個人情報保護審議会に諮り、条例改正に向け取り組みを進めてきたところであります。同審議会で審議検討され、今年三月にその答申が出されたと承知をいたしております。
 そこでお尋ねいたします。来年四月の法施行に合わせて、個人情報保護条例もより時代の要請にこたえ得るものへと改正される必要があると考えますが、この条例改正に向けた取り組み状況についてお伺いをいたします。
 とりわけこの県条例については、平成四年の施行以来、法に先行して運用されてまいりました。改正に当たって、その長年培われた実績をどのように生かしていくお考えなのか、あわせてお伺いをいたします。
 こうした条例改正によって制度をより充実させていく必要があるわけですが、一方で、具体的な実務面における個人情報の保護の取り組みについてもお伺いをいたします。
 現在、県においては、行政改革、行政の合理化を推進するという観点から、県の業務のアウトソーシング、外部委託が有効な手法として取り組まれております。今後はさらにほとんどの分野に及ぶことが予想されます。こうした取り組みは評価するところではありますが、反面、取り組みが進む中で、個人情報の保護という側面では、特に十分な配慮が必要であると考えております。
 例えば、平成十八年度に設置予定と聞いております総務事務センター、これは県職員に係る給与、福利厚生等の内部管理事務を集中的に処理するセンターでありますが、このセキュリティー、個人情報保護についてお聞きをしたいと思います。
 ここでは、県職員の個人データを集中的に扱う中、アウトソーシングも活用し、事務の効率化を図るものと聞いております。つまり、職員のみでなく、委託社員が県職員の個人情報を扱うといった形態となることになります。個人情報の保護の観点から見れば、セキュリティーの面から信頼に足る取り組みを目指すことは当然であります。民間において個人情報の漏えいが頻発する中で、公的機関として、安全で安心の取り組みをし、このことを県民の皆さんに十分理解していただく必要があります。
 反対に、このような業務の中でもし情報漏えい問題が発生すれば、県の信用を失墜させるおそれがあり、結果として行政改革への取り組みに大きな痛手を受けることにもなりかねません。
 そこで、具体的な事例の一つとして、総務事務センターにおける個人情報保護対策、セキュリティー対策についてどのように考え、取り組んでいかれるのか、お伺いをいたします。
 いずれにせよ、私自身、個人情報保護は非常に重要な問題であると考えております。当然のこと、一たん漏えいという問題が起これば、個人にとっては回復しがたいほどの被害を受けることは間違いありません。県行政においては大量の個人情報を保有し、利用するわけでありますから、個人情報の適切な取り扱い、その保護については細心の注意を払わなければなりません。県としても、そうした取り組みの姿勢を強く打ち出し、県民にアピールしていくことが大切であると思います。
 そこでお尋ねいたします。条例改正により制度の充実が図られるわけでありますが、これを実効あるものとすべく、職員の個人情報保護に対する認識をより高めていくためにどのような方策をとられるのか、また、県がその事務を外部に業務委託することがふえていくわけでありますが、そうした場合に、個人情報保護の徹底をどのように図っていくのか、お伺いしたいと思います。
 次に、質問の第二は、県立病院事業についてお伺いをいたします。
 本年四月、本県はがんセンターを初め五つの県立病院について地方公営企業法の全部を適用されました。知事部局から独立し、新たに病院事業庁として運営されているわけであります。さきの六月県議会で外山庁長は、民間手法を視野に入れた病院事業改革を力強く宣言されました。私も、今後の成果に大いに期待をいたすところであります。
 初めに、県立病院における研修への取り組みについてお伺いをいたします。
 言うまでもなく、医療の現場は、医師、看護師を初め、さまざまな職種の人材群が集まって仕事をするところであります。ますます高度化、専門化する医療に対応できるように、個人の能力を高め、それぞれの分野でのスキルアップを求めながら、それらを組織の力として結集させることが大変重要であり、病院におけるその人材の層の厚さが医療水準を維持する上で最も必要であると考えます。
 近ごろは、多くの病院がホームページなどで、患者の尊厳と権利を守る医療の推進とか、医療機関としての役割、使命とか、安定した経営基盤の確立などと、基本理念あるいは経営理念を公表している時代であります。本県の県立病院においても、ホームページ等におきまして基本理念などを公開しております。例えば愛知県がんセンターにおいては、「私たちは病む人の立場に立って、最新の研究成果に基づく最良の心あるがん医療を提供します」を基本理念に掲げ、さらに七つの基本方針と六つの患者様の権利が定められております。病院の基本理念を明らかにすることは大変重要なことであり、私も大いに賛同するところであります。
 ところで、これらの理念については、医師、看護師などの職員の方々は本当に十分認識をされ、意識をして仕事をされているのでしょうか。院長が掲げる病院の理念と医療職の専門集団の意識の方向性、ベクトルが一致してこそ、よりよい医療の提供と健全な病院経営が初めて実現できると思うのであります。
 病院内で患者と接する機会や時間が多いのは、何といっても看護職員であり、病院では総職員数の約六割を看護職員が占めております。看護職員の対応が患者の病院に対する満足度を大きく左右するわけであります。職員の態度、言動などで不満を感じた患者は病院外でその不満を話し、結果、病院の評価に大きなダメージを与えることにもなりかねないのであります。
 こうした意味から、看護職員に対して病院の基本理念やその使命を浸透させること、また、患者に対する接遇マナーの向上などを積極的に研修、教育することは大変重要であると考えます。
 そこで、まず、県立病院では基本理念等を浸透させることや職員のスキルアップ、そして接遇や患者サービスの向上に向けて、看護職員に対してどのような取り組みをされているのか、お伺いをいたします。
 次に、二十一世紀の医療は患者中心の医療であると言われております。医療機関はこういう基本認識に立って、患者の視点から良質な医療の提供に努めることが求められております。今後の医療は、患者の自己決定権や知る権利などへの対応のあり方がますます重要なポイントとなってきております。
 こうした流れから、患者と医師の治療方針に対する意思の合致、いわゆるインフォームド・コンセントの充実が求められておりますし、治療内容についても、標準的な治療の手順としてクリニカルパスが推進されております。また、かかりつけの主治医以外に、現在受けている治療法について尋ねるセカンドオピニオンも、最近は多くの病院で取り組みが始まっているところであります。このような先進的な医療の動きに呼応して、医療に対する県民ニーズもますます多様化してきているものと考えます。
 ついては、県立病院におけるインフォームド・コンセントやクリニカルパス及びセカンドオピニオンへの取り組みの現状についてお伺いをいたします。
 ところで、先般私は大阪府立急性期・総合医療センターへお伺いし、病院の実情についてお話を聞く機会に恵まれました。
 大阪府も財政危機の中で改革に取り組んでおられますが、府立病院についても全面的な見直しが行われました。その結果、大阪府立病院は、災害医療への対応を含め、救命救急医療、循環器医療などの高度な急性期医療のセンター機能を果たすべきであり、その名称を「府立急性期・総合医療センター」に改称し、府立羽曳野病院は難治性の呼吸器疾患医療及びアレルギー疾患医療並びに結核医療のセンター機能を果たすべきで、名称を「府立呼吸器・アレルギー医療センター」に、また、府立中宮病院は精神医療のセンター機能を果たすべきとされ、名称を「府立精神医療センター」に変更し、それぞれの機能に合ったものとしております。
 本県の県立病院においても、大阪の取り組みと同様に、実態にふさわしい名称に変更すべきであると考えます。言葉を変えて申し上げるならば、この病気ならこの県立病院というように、得意な分野で評価がいただけるような専門化、特化された病院として、地域の総合病院などとは差別化された病院を目指していただきたいと思います。
 愛知県がんセンターはその名のとおりで、本県のみならず、広く我が国のがん治療の最前線で治療と研究の両面にわたってその機能は認知されております。あいち小児保健医療総合センターについても、本県の唯一の小児専門病院として、今後一層の役割を果たしていくものであります。
 城山病院、愛知病院、尾張病院については、地元の方は別といたしましても、その名前を聞いただけでは、県民には果たしてどのような病院なのかわかりにくいのも事実であります。
 城山病院は精神科医療を提供する基幹的精神病院であり、尾張病院は尾張西部地域で循環器系に力を入れておられますし、愛知病院は従来の結核病院の流れから、肺を中心とする呼吸器疾患などに特徴があるものと思います。しかし、今の名称では、病院の機能や特徴が県民には見えてまいりません。
 独立行政法人化した国立病院でも機能特化を進めておりますし、このたびの大阪府の例しかり、今はどの医療機関も、これからの将来を見据えた医療提供体制の見直しを進めているのではないかと思います。
 ついては、本県の県立病院における病院機能の見直し、合理化について、病院名称の変更も含めてどのように考えておられるのか、お伺いをいたします。
 質問の第三は、特定不妊治療費助成制度についてであります。
 我が国において、女性一人が一生涯に子供を出産する数、いわゆる合計特殊出生率は、平成十五年、全国で一・二九、本県では全国を上回る一・三二となり、年々減少傾向が続き、ますます少子化が進行している状況にあります。
 しかし一方で、子供を欲しいと望んでいるにもかかわらず、不妊に悩み、実際に不妊治療を受けている御夫婦もふえております。悩む若い御夫婦の不妊治療を支援し、少子化傾向の緩和につなげるとともに、不妊治療に対する周囲の温かい理解を深めることも考慮しますと、行政の支援がぜひとも必要であると感じます。そこで、現在不妊治療を受けている御夫婦に医療費の一部を助成し、経済的負担の軽減を図ることが必要であると思います。
 特に、体外受精や顕微授精の特定不妊治療については、体外受精で一回二十万から五十万、顕微授精では四十万から六十五万円程度の多額の費用がかかると言われております。成功率も低いなどの理由から保険適用がならず、医療費は全額患者負担となっております。このため、経済的理由から治療を断念せざるを得ない御夫婦も多く、経済面や精神面での十分な公的支援が必要となっております。
 そこで県は、不妊専門相談窓口として、昨年七月より名古屋大学附属病院に委託をいたしまして、専門の医師やカウンセラーによる相談窓口を設置いたしました。治療内容、実施医療機関、費用等の情報を知りたいと思っている方や、知識はあっても実際の治療を受けることに悩んでいる方々へ、メンタル的な面も含めて専門的な相談に応じていると聞いております。正しい不妊治療への理解と精神的な負担の軽減に貢献しているものと承知をいたしております。
 さて、こうした中、私も署名活動を推進してまいりました、一定の所得制限を設けた上で、一年度十万円を限度に二カ年度まで治療費を助成する特定不妊治療費助成事業が次世代育成支援の一環として、本年度、国の新規補助事業として創設され、四月より事業開始となっております。事業主体は都道府県、政令市、中核市であり、費用は国と自治体で二分の一ずつ負担をします。これを受けて、愛知県では本年度から特定不妊治療費助成事業をスタートしたと聞いておりますが、初めに、この制度の概要をお伺いいたします。
 そして、現時点における助成金の申請状況と、それが当初予算に対して多いのか少ないのか、制度の広報はしっかりできているのか、お伺いをいたします。
 さらに、事業主体が都道府県、政令市、中核市とのことでありますが、名古屋市、豊橋市、岡崎市、豊田市においては制度の創設はどのようになっているのか、県内において平等性は保たれているのか、あわせてお伺いをいたします。
 質問の最後は、小児救急電話相談事業についてであります。
 本県では、全国的にも誇れる小児保健医療総合センターが設置され、県内の母子保健の中核的支援拠点として、また、県内唯一の小児専門病院として、既存の医療機関では対応が十分できなかった医療分野に積極的に対応する先進的施設として大いに活躍をしているところであります。
 しかし一方では、子供を持つ親たちにとって、日ごろから子供が急病になったときに、近所でいつでもすぐに診てもらえる医療があってほしいというのも切実な願いであります。とりわけ近年、少子化、核家族化が進み、共働きもふえ、身近に相談できる相手も少なくなっていることから、子供の急な発熱やけがにどう対処したらよいのか判断に迷い、不安を抱く親たちが増加しているのも事実であります。また、医学知識に関する情報の過多が、逆に親たちの不安を増大させています。そのために、小児科専門医志向や大病院志向を顕著にする傾向があるとも言えます。
 一方、医療を提供する側の状況と問題点としては、小児科医は労働時間が長く、内科などの医師と比較して過酷な労働を強いられているため、小児科を希望する医師が少ないことや、経営効率の観点から小児科診療を中止する病院もふえてきていると聞いており、何らかの対策を講じることが必要であると考えます。
 このために、母親に対する小児医療に係る教育と患者の夜間集中を緩和することを主な目的として、小児救急の現場の混乱を軽減し、地域の小児救急システムが円滑に運営できるための補助手段が必要になってまいります。
 こういう現状の中で、親たちの不安を解消するために、小児科の医師が電話を通じて夜間や休日にも相談に応じる小児救急電話相談事業が平成十六年度から国の新規補助事業として全国的に進められております。
 電話相談は、全国一律の短縮番号、シャープ八〇〇〇番に各家庭から電話すると、都道府県の転送器を経由して地域の小児科医が持つ携帯電話につながる仕組みであります。医師は、子供の症状を聞いた上で、親がどう対応すべきかをアドバイスします。幼い子供たちを抱える若い親御さんたちにとって大きな朗報となっております。
 既に先行的に実施されている広島県に調査にお邪魔し、お話を伺ってまいりました。
 少し御紹介させていただきますと、広島県の実施方法は、広島県医師会事務局から協力相談医に当番日までに携帯電話、聞き取り表、県下の医療機関情報を印刷したものなどを宅配します。医療機関が休診日となる土曜、日曜、祝日及び年末年始、年間で百二十日程度になりますけれども、協力小児科医五十名程度が順番で電話相談窓口──時間は午後の六時から午後十一時までであります──を設置し、県民からの相談を受け付けます。電話は広島県内で一つの固定番号を広報しておき、受信した電話は携帯電話を持った相談医に転送されます。
 その業務の実施状況ですが、業務を開始した平成十四年九月八日から平成十六年三月三十一日までの相談実績の累計は三千四百二十九件で、一日平均十七件となっております。相談者の八割は母親で、その相談内容については、引きつけや外傷などの明らかに急を要する病気の相談が一三%で、一般の病気の相談が七四%、薬に関する相談が六%であり、医療機関に関する問い合わせは一%、意外にも少なかったという結果になっております。
 また、相談医の指導内容については、病院へ行きなさいが二三%で、一一九番してすぐ病院へ行くように指示したのはわずか〇・三%でありました。一方、心配ないので、昼間かかりつけ医へ行くように勧めたのが三三%、心配ないが、何かあれば病院へ行きなさいが二七%であり、相談を受けた小児科医から見て、相談した事例の六〇%は、今晩自宅で様子を見てよいとの判断をしております。
 また、相談を受けた患者に対して、相談者がどのような受療行動等をとったか、満足度はどうだったかのアンケート調査を実施しており、それによりますと、実際に電話相談を利用した親たちの八割以上の相談者が、医師の対応に「満足」「ほぼ満足」とこたえるとともに、「今後も利用したい」「大いに利用したい」が九割に上るなど、大好評とのことであります。
 この電話相談の実施は、親たちの不安の解消ばかりでなく、小児科医が不足し、過酷な労働環境に置かれている小児救急医療機関への受診の緩和にもつながることになるものと考えております。
 二月議会の我が党代表質問で、小児救急電話相談事業の実施につきまして、神田知事からは、「これは子供の急な発熱などのときに、相談先のない親御さんの不安を解消する上で極めて有効な方策であると考えております。小児科医の不足により、電話相談を担当していただく医師の確保が大変難しい状況にありますことから、県といたしましては、この事業の実施に向け、引き続き県の医師会、小児科医会など関係機関とこれからも精力的に協議をしていきたい」との答弁をいただいたところであります。
 そこで、本県においては小児救急電話相談事業の実施主体としてその後どのように努力をし、今後どのように取り組んでいかれるのか、お伺いをいたします。
 以上四問、私の壇上からの質問とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)



◯県民生活部長(林良三君)
 個人情報保護条例の改正に向けた取り組みの状況でございますが、個人情報保護審議会におきまして十回の御審議を経て、本年三月に答申をいただいたところでございます。答申におきましては、個人情報を目的外に利用提供するなどの行為があった場合にその停止を請求できる利用停止請求権や、県職員が個人情報を漏えいした場合の罰則規定を新設することのほか、実施機関に公安委員会及び警察本部長を加えることが望ましいことなどの提言がされております。
 また、本県の条例は法律よりも先行して平成四年に施行され、個人情報の適正な取り扱いについての実績を今日まで積み重ねてきております。現行条例では、個人情報を本人以外から収集することの制限や、思想、信条及び信教等の個人情報を収集することの制限など、国の行政機関個人情報保護法にはない規定を設けております。こうした規定は、個人情報保護の観点からも存続させるべきとの提言をいただいております。現在、この答申を踏まえまして、できるだけ早い時期に条例改正案を提案できるよう、準備を進めているところであります。
 次に、個人情報保護の重要性について職員の認識をより高めていくためにどのような方策をとるのかとのお尋ねでありますが、まず、職員がその重要性を認識するとともに、制度の内容を熟知して個人情報の適正な取り扱いに努めていくことが非常に大切であると認識いたしております。
 これまでも毎年研修の機会を設けまして、個人情報保護の重要性について研修を行ってきているところであります。今後、条例改正を行っていくことになりますが、その際には、管理職職員はもとより、各課の個人情報保護主任者を初め、直接事務を担当する職員に対する会議、研修など、さまざまな機会を通して条例の改正内容について周知徹底を図ってまいりたいと考えております。
 また、県の業務委託に係る個人情報の保護につきましては、業務委託契約の中に個人情報保護に関する必要な措置を盛り込むことを義務づけることや、業務委託従事者に県の職員と同様の守秘義務を課すことなどを条例で規定することを検討してまいりたいと考えております。
 個人情報保護は大変重要でありますので、業務委託をする場合においても、個人情報保護の徹底が図られるよう努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。



◯総務部長(西村眞君)
 総務事務センターにおける個人情報保護対策、セキュリティー対策であります。
 知事部局等の職員及び県立学校教職員の約二万五千人分の給与、福利厚生などの内部事務を集中的に処理することを予定いたしております総務事務センターにおきましては、ITとアウトソーシングを積極的に活用することとしておりまして、そのため、秘密の保持、個人情報の適正な管理、損害賠償などの必要な措置について業務委託の契約の中に盛り込むことはもちろん、物理的側面及び技術的側面からの対策を講じることを計画しております。
 具体的には、ICカードによる入退管理システムの導入、監視カメラの導入、それから外部委託業者へのパソコンへの情報漏えい防止のソフトウエアの導入などが考えられます。
 いずれにいたしましても、これだけの規模の県職員情報を外部委託業者が取り扱う事例は本県にとって初めてでありますので、民間の先進事例における具体的な対策方法についても十分調査、研究を行い、必要な個人情報保護対策及びセキュリティー対策を講じてまいります。
 以上でございます。



◯病院事業庁長(外山淳治君)
 県立病院事業につきまして三点御質問をちょうだいしました。
 まず、看護職員の研修教育についてでございます。
 看護職員の教育の基本となる病院の理念等の徹底につきましては、新規採用者の研修の場で各病院長、看護部長が直接説明し、加えてその理念の内容を診察室、病棟、ナースステーション等に掲示し、あるいは職員のネームカードの裏面に印刷するなど、その周知徹底を図っております。
 看護職員のスキルアップにつきましては、「看護職員育成指針」を策定いたしまして、看護師のレベル、職責に応じた年間研修計画をつくりまして、育成、教育を行っております。
 また、接遇や患者サービスの向上への対応といたしましては、新規採用者はもちろんのこと、全職員に対して毎年一回以上、患者様との接し方、電話の対応の実際等につきまして外部講師を招いて研修を行い、看護職員の資質の向上に努めております。
 次に、インフォームド・コンセントを初めとした取り組みでございます。
 インフォームド・コンセントについては、すべての入院患者様に診療計画書をお示しし、その内容を詳細に説明しまして、御理解、御同意を得た上で、安心、安全、良質な医療の提供を行っております。
 また、診療計画書を定型化いたしまして、これによりクリニカルパスをつくりまして、均一かつ良質な医療の提供に努めております。循環器疾患につきましては、入院患者様の七割前後をクリニカルパスに載せまして治療をいたしておりますが、がん、小児疾患等では、疾患の性格上、クリニカルパスがなじまない事例が多いのも事実でございます。
 次に、セカンドオピニオンの取り組みといたしましては、がんセンターでは白血病、乳がんを対象に、尾張病院では本年四月より心臓病を対象に、外来で行っております。さらに、がんセンターでは大腸がん、愛知病院では肺がんを対象といたしまして、今、セカンドオピニオン外来を実施する予定でございます。
 また、一般の外来診療の場でセカンドオピニオンを求められる事例が多くなっております。それにも十分対応するように努めてまいります。
 次に、県立病院の機能の見直し、病院名称の変更についてでございます。
 日進月歩する医療技術と世界に類を見ない少子・高齢化に対応した医療制度の見直しが進む中で、現在県立病院が担っております政策的医療、高度専門医療をさらに充実特化する方向で見直しを検討しております。
 病院の名称についても、平成二十年度までに、経営指針として現在策定中の経営改善行動計画の中で、各病院の役割、機能を明確化いたしまして、その機能にふさわしい名称も視野に入れ、検討しているところでございます。
 以上です。



◯健康福祉部理事(藤岡正信君)
 特定不妊治療費助成についてのお尋ねのうち、まず、制度の概要と申請状況についてでございます。
 この制度は、不妊治療を受けられた夫婦の経済的負担の軽減を目的としたものでございまして、指定医療機関で体外受精または顕微授精の治療を受けられた法律上の夫婦に対して、一年度十万円を限度に、二カ年度まで助成するものでございます。夫婦合算の所得が六百五十万円未満の方が対象になりまして、申請窓口は保健所となっております。
 県への申請状況でございますが、本年四月からの治療を対象に、七月から受け付けを開始しておりまして、九月十五日現在百八十人の申請を受けております。当初予算では千五百人分を計上しておりますので、この申請件数は想定を若干下回っております。しかしながら、日を経るにしたがい、治療終了後速やかに申請が出てくるようになっておりますので、今後は申請件数は増加してくるものと考えております。
 また、制度の広報についてでございますが、広報あいちや県のホームページに掲載するとともに、申請窓口である保健所や指定医療機関に案内チラシ等を配布しております。今後とも該当する方々に情報が届きますよう、広報に努めてまいります。
 次に、県内の実施状況等についてでございますが、名古屋市、豊橋市、豊田市につきましては、本県と相前後いたしまして申請の受け付けを開始しております。岡崎市におきましては、年内の制度開始に向けて準備をしていると伺っているところであります。
 本県と各市の制度は、申請者に一定の居住期間を条件づけるなど、一部の違いはございますが、本県、各市の制度とも基本的には国の要綱にのっとっておりますので、平等性はおおむね保たれているものと認識をいたしております。
 以上でございます。



◯知事(神田真秋君)
 小児の電話相談でありますが、かねて御答弁申し上げておりますとおり、大変有効な方策だと認識をいたしております。
 そこで、その実施でありますけれども、小児科医が不足しているという現状の中で、県医師会及び小児科医会などの関係者と実施方法、相談を担当していただく小児科医の確保などについてこれまで精力的に協議をしてまいったところでございますが、このたび、事業が実施できる見通しになりました。
 来年度から実施をしたいと考えておりまして、それに向けて円滑に実施できるよう準備を進めているところでございます。



◯五十一番(渡会克明君)
 御答弁をいただいたところであります。一点要望だけさせていただきたいと思います。病院事業に関することで要望します。
 患者中心の医療サービスが叫ばれる中で、今まで以上に、質、量ともに看護師の研修内容をふやすべきであると思います。医師は二年間の研修医制度がありますけれども、看護師は、新卒採用され、病棟勤務が決まり、ある時点から患者さんを担当しながら三交代勤務の臨床現場で、日程や時間のやりくりをしながら研修教育を受けているわけであります。大変忙しく、毎日が追われる日々であると思います。
 研修をふやすといいましても、それは患者さんを担当する以前に、特に基本的な研修のための時間をしっかり担保することが重要であるということです。病院によって違いますが、御説明ありましたけれども、例えば、接遇は年間、新規採用で一時間から三時間ぐらい、基本理念の浸透は一時間から五時間ぐらいの研修になっております。基礎とはいえ、患者と接する専門職としては、私は少ないように感じます。
 民間企業では、新人研修として何カ月かを費やします。それは、その基本の習得がすべてに通じるからであります。
 また、出身校も出身地も異なるところから、大学、短大、専門学校、そういうさまざまな異なるところから集まり、これから一緒に仕事をしていくに当たりまして、お互いが知り合い、人間関係を深め、和をもって団結する、そういう時間も必要だろうと思います。
 私たちは、医師や看護師初め職員の余裕ある笑顔を見て安心もしますし、また、優しい言葉で声をかけられると病気は治るわけであります。薬だけで治るものではありません。そういう意味から、研修の見直しを要望したいと思います。
 もう一つ、大阪府立病院が名前を変更した当初、一年前になりますけれども、地域の住民の方に多少の動揺はあったようです。風邪を引いて診てくれるのかなという、こういう動揺であります。しかし、今は不安を解消して、府立病院の目指す医療の方向性を理解していただいている、そういう病院も努力をしている、こういうようであります。
 名前をかえ、今、庁長からは前向きの答弁があったと私は了解しておりますけれども、名前をかえ、PRすることで県民に新たな県立病院の存在を私は認識をしてもらう、これは一番効果のある方法だろうかと思います。
 知事に要望しますけれども、コロニーの病院もございます。この病院も含めた統廃合で合理化を図り、改革のときを感じていただき、ぜひともいち早く見直しをしていただきたい、このことを要望して、質問を終わります。ありがとうございました。




発言録へもどる