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2005.09.30 : 平成17年9月定例会(第2号)

◯五十番(渡会克明君)
 議長のお許しをいただきましたので、私は、公明党愛知県議員団を代表して、県政の諸問題について順次お尋ねをいたします。
 質問の第一は、県税収入の見通しと今後の財政運営についてであります。
 県税収入は景気の動向に大きく左右され、過去の税収の動向を見ても、ほぼ景気循環に連動して増減収が生じております。バブル経済崩壊後の景気回復局面では、平成七年度から九年度にかけて三年連続で増収となったのが最長記録となっており、本年度の当初予算計上額が確保できれば、この記録と並ぶことになります。
 本年度の県税収入は、法人二税で十六年度決算見込み額に比べて二百二十億円の増収が見込まれており、それだけに法人二税の税収の動向が気にかかるところであります。
 次に、今後の財政運営についてであります。
 平成十六年度の一般会計決算は約二十六億円の黒字となったものの、減債基金からの繰り入れ運用を百四十九億円、初めて実行せざるを得なかったところであります。さらに、十七年度当初予算では減債基金への積み立て停止や基金からの繰り入れ運用などの臨時的な財源対策を五百六十一億円行って何とか編成できたところであります。その結果、財源対策は合わせて七百十億円の巨額に上り、限界と言わざるを得ない状況と思われます。
 このため、十七年度予算での果実運用型基金などからの繰り入れ運用百二億円を除いた六百八億円、すなわち減債基金を使ったやりくり分については、少なくとも早期の解消を望むものであります。財政運営が極めて厳しい状況にあることは理解しておりますが、将来の償還のことを考えますと、できる限り解消していかねばならないと考えております。
 そこで、知事は、景気回復が着実に進む中で、本年度の県税収入についてどのような見通しを持っておられるのか、また、今後の財政運営の中で、十六年度に行った減債基金からの繰り入れ実行及び十七年度予算における減債基金の繰り入れ等の年度内の解消をどのように見込んでおられるのか、お伺いをいたします。
 質問の第二は、環境万博として開催された愛知万博の総括及び理念の継承についてであります。
 愛知万博は、去る九月二十五日に百八十五日の会期を無事終了することができました。その間、目標とする一千五百万人を大きく上回り、二千二百万人を超える大勢の方々に御来場いただき、来場者に大きな感動を与えてくれました。
 知事は年頭、「開花結実」と書き初めをされたと伺っております。開花させるため、関係者には表には見えない本当に長い準備期間があり、御苦労があったことと思いますが、見事に大輪を咲かせ、立派な実を結ばせることができました。今後は、この成果を愛知県民に大いに役立つように、引き続き頑張っていただくようお願いしたいと思います。
 ところで、愛知万博は二十一世紀最初の万博として、「自然の叡智」のテーマのもと、環境問題に真正面から取り組んだ万博であります。二十一世紀の人類が直面する地球温暖化等地球的規模の環境問題を解決していくための方向性について、自然の英知に学び、提案し、発信するというテーマを大胆に打ち出した万博であったと思います。たくさんのお客さんに来ていただいたという点では大成功を疑う余地はありませんが、環境万博として見た場合どうであったのか、重要な評価の一つではないかと思います。
 会場を見せていただいたところ、各国パビリオン、国内パビリオンが「自然の叡智」というテーマを多彩な観点から展開しているとの印象を持ちました。また、自然に配慮した会場づくりを象徴するグローバル・ループ、九種類ものごみ分別、EXPOエコマネー等さまざまな環境の取り組みが行われており、来場者の方々の関心も非常に高かったように思います。私は、環境先進県を目指す本県にとっても非常に収穫の大きかった万博ではなかったかと思います。
 そこでお尋ねいたします。この博覧会について、知事は環境万博としてどのような成果があったとお考えですか、また、どのような感想をお持ちか、お伺いをいたします。
 次に、愛知県は長久手会場と瀬戸会場にそれぞれ二つのパビリオンを出展いたしました。ここで両愛知県館の全体的な評価についてお尋ねいたします。
 長久手愛知県館では、地球タイヘン大講演会において、地球温暖化問題をわかりやすく取り上げるとともに、山車、からくりなど愛知の伝統技術の展示により本県の物づくりパワーをアピールしておりました。あいち・おまつり広場では、百八十五日間のすべてにわたって、県内市町村や県民参加により多彩な催事を展開し、愛知の魅力を内外に発信しておりました。瀬戸愛知県館では、海上の森の映像と音響による紹介やライデン博物館の剥製の展示により、人と自然とのかかわりを考え直す機会を提供するとともに、県民や子供たちによる展示、催事が展開されておりました。
 両館とも万博のテーマに真摯に取り組むとともに、県内市町村や各界各層の県民参加により活気あふれる空間となっていたと思いますが、知事は全体としてどのように評価しておられるのか、お伺いをいたします。
 次に、こども環境サミットについて伺います。
 愛知万博も佳境に入った七月二十六日から二十九日までの四日間、本県に世界の子供たちが集まり、身近な環境問題から地球規模の環境問題までをみんなで議論し、体験し、学ぶという、「こども環境サミット二〇〇五」が国連環境計画(UNEP)との共催で開催されました。サミットには、秋篠宮殿下に名誉総裁として妃殿下とともに御臨席を賜り、お二人の内親王殿下にも御参加をいただき、大いに注目を浴びたところであります。
 このサミットは、「持続可能な社会に向けて行動を起こそう」を全体テーマに、子供たちの手で企画、運営されました。具体的には、各国の子供たちがそれぞれの地元で取り組んでいる環境活動の発表、自然観察やリサイクルなどに関する体験型のワークショップ、フィールドトリップ、愛知万博への参加、そして地元小中学校との交流など多彩なプログラムが展開されました。そして最終日には、世界のすべての地域で環境保全活動を推進するため、子供たちがみずから守るべき四つの約束と世界のリーダーへの四つの要望から成る「こども環境サミット愛知宣言」が取りまとめられたところであります。私も最終日に参加をさせていただきましたが、会場の子供たちが心を一つにして環境問題について活発に議論するなど、次代を担う子供たちが大変頼もしく感じられました。
 特に、今回のサミットは参加者の半数以上が海外からの参加者であったこと、子供たちだけでエネルギーや森林と生物多様性といった地球規模の環境問題を英語で議論したことなど、本県ではこれまでに例のない国際色豊かな会議であり、大交流のイベントでありました。このことは、本県のみならず、日本の子供たちに大きなインパクトを与えたのではないかと思います。また、本県が現在進めている各種の環境保全施策の推進や新たな企画の立案などにおいて大いに役立つものと確信いたしております。
 そこでお伺いいたします。今回のこども環境サミットでは、国際的な交流が与える影響の大きさを改めて実感したところでありますが、サミットで得られた成果を今後の環境先進県づくりにどのようにつなげていくお考えなのか、お伺いをいたします。
 質問の第三は、県営名古屋空港についてであります。
 県営名古屋空港は、本年二月十七日に中部国際空港と同時に開港した我が国初の本格的なコミューター航空やビジネス機などの小型機の拠点空港であり、この地域の多種多様な航空ニーズに対応する新しいタイプの空港であります。
 新聞、テレビ等の報道によりますと、コミューター航空の利用は伸びており、航空機の乗りおりの移動距離が短いことや駐車場が無料といった使い勝手のよさが、ビジネスマンが多いと言われる利用者に大変好評であると聞いております。
 また、航空路線も現在の六路線に加えて、十月から熊本路線、来年三月から北九州路線が新たに開設されるなど、県営名古屋空港ならではの小規模の需要にもきめ細かく対応できる路線網が拡充されつつあります。
 さらに、ターミナルビルの改修により、本年中には一階部分に搭乗、到着に必要な施設が集約され、エプロン上に屋根つきの通路も設置されるとのことで、さらなる利便性の向上も期待されるところであります。
 私たちは、この県営名古屋空港を、空港の特徴を生かしながらしっかりと活用し、地域の発展に役立てていかねばなりません。
 そこで、好調が伝えられる県営名古屋空港でありますが、既に開港から七カ月が経過しておりますので、ビジネス機の状況なども含め、これまでの利用状況をお尋ねいたします。また、空港の個性に合わせてその特徴を効率よくアピールしていくことが必要と考えますが、今後の利用促進をどのように図っていかれるのか、お伺いをいたします。
 質問の第四は、子供を優先するチャイルドファースト社会の実現に向けてであります。
 チャイルドファースト社会という言葉は、私ども公明党が、子育て支援についてより具体的にあらゆる角度からアプローチが図られるために、わかりやすくイメージできるように造語をしたものであり、子供を未来の財産として第一に考える社会の実現を目指すものであります。
 まず、本年度策定された県の「あいち子育て・子育ち応援プラン」について伺います。
 皆様御案内のとおり、次世代を担う子供を育成する家庭を国、県、市町村、企業等社会全体で支援するための総合的な取り組みを行うために、平成十五年に次世代育成支援対策推進法が制定されたところであります。この法律に基づいて、子育て支援の現場であります県内全市町村において行動計画が策定され、それに沿った事業が展開されております。
 また、従業員三百一人以上の大企業においても、主として従業員の職場環境の整備のための行動計画ではありますが、約八割の企業において策定されていると聞いております。
 一方、愛知県におきましては、このプランの中で、今後五年間の具体的な取り組みについて掲げられており、チャイルドファースト社会の実現を図るものとして大いに期待をしているところであります。
 そこで、この「あいち子育て・子育ち応援プラン」を今後どのように進めていかれるのか、知事の所見をまずお伺いいたします。
 次に、地域、社会全体で子育てを行っていく機運の醸成について伺います。
 内閣府が先日公表しました「子育て世代の意識と生活」と題した二〇〇五年版国民生活白書によりますと、子育てに消極的な最大の理由は経済的負担の重さと分析しております。所得面では明らかに子供を養う余裕がないパート、アルバイト同士の夫婦が増加しており、所得に余裕のある正社員の共働き夫婦でも、長時間労働の常態化による時間貧乏を理由に、子育てが困難な状態が進んでいる可能性があるとしております。
 また、一昨年に厚生労働省が実施しました子育て支援策等に関する調査研究によりますと、母親に対する、地域に子育ての悩みを相談できる人がいるかどうかとの質問に、約四人に一人、二六・二%が「いない」と回答しております。また、子育ての相談相手としての条件は何かとの質問に対しては、「子育ての経験があること」五〇%、「親の気持ちを理解してくれること」五四・九%、「子供の発達や健康などについての専門知識があること」四二・四%などの回答が多く、専門家による支援とともに、子育ての経験者が母親の気持ちを理解して相談に応ずることへのニーズの高さがうかがわれ、子育ての経験者による相談体制の構築が急務であります。
 これは、地域住民が身近な子育て家庭を手助けすることが当たり前の風土にする、すなわち地域における子育て力をいかに向上させていくのかという問題であり、まさに子供を優先するチャイルドファースト社会を地域からどう構築していくか、これにつながっていくものであります。そのためには、地域で、そして社会全体で子育てを行っていくのだという機運の醸成が不可欠であると思います。
 県においても、地域で、そして社会全体で子育てを行っていくという機運の醸成のため何らかの対応が必要だと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、中小企業における子育て支援について県の取り組みを伺います。
 少子化問題を解決するためには、国や自治体だけでなく、企業が果たすべき役割も重要であり、育児休業制度の整備など、従業員の子育てを支援する取り組みが強く求められております。
 次世代育成支援対策推進法は、国や地方公共団体の責務を規定する一方、仕事と家庭の両立を支援するための雇用環境の整備等について事業主の責務を規定しており、先ほど述べました大企業における一般事業主行動計画の策定義務に加え、三百人以下の中小企業事業主にも、努力義務として次世代育成支援の行動計画の策定を求めております。この計画の届け出状況は、八月末現在、大企業では八割を超えておりますが、中小企業にあっては、努力義務ということもあって、いまだわずかであると聞いております。
 また、平成十五年の「愛知の女性労働事情改善調査」によりますと、この行動計画の中心的な項目である育児休業制度については、大企業ではおおむね整備されておりますが、中小企業では五割そこそこといった状況であります。私は、圧倒的多数の人が働く中小企業においてこそ、仕事と生活のバランスがとれ、安心して産み育てることができる雇用環境を整備することが出生率を高めるために大変効果があるものと考えております。
 そこでお伺いいたします。こうした中小企業における子育て支援の促進について県はどのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
 質問の第五は、県民の安全・安心対策についてであります。
 まず、民間木造住宅の地震対策について伺います。
 愛知県の防災会議の被害予測でも、東海地震と東南海地震が連動した場合、建物の被害は、全壊が約九万八千棟、半壊が約二十三万棟、死者数においては約二千四百人にも及ぶとされております。こうした中、国の中央防災会議は本年三月に、地震による死者数、経済被害を半減させるために、今後十年間で住宅の耐震化率を九割にするという目標を定めるなど、地震対策の新たな動きも生まれております。
 しかし、この国の動きをまつまでもなく、本県ではいち早く住宅の耐震化を課題として、古い木造住宅対策に着手してきたところであります。
 私は、平成十四年二月議会で住宅の耐震診断事業の必要性や意義を訴えて以来、耐震改修費補助事業の創設についても訴えてまいりました。この事業の推進により、県民の生命や財産を守ることに寄与できたことを喜ばしく思っております。
 しかしながら、六月に発表された地震対策アクションプランの中間発表にもあるとおり、耐震診断は、平成十四年度から十七年度までの四年間で十二万棟の計画に対し、三年の進捗率で三五・四%、耐震改修費補助は、平成十五年度から十八年度の四年間で六千棟の計画に対し、二年の進捗率で二七・五%と、計画の上では達成が苦しい状況となっております。
 私は、事業の普及において耐震化事業が進んでいない一番大きな問題は耐震改修の費用であると思います。県が七月に発表した両事業の実施結果でも、平均的な耐震改修工事費は約百七十万円で、補助制度を活用しても自己負担が百万円を超えることになります。私は、耐震改修の工事費をできるだけ安くする取り組みをあわせて進めることがぜひとも必要不可欠であると考えます。
 耐震診断及び耐震改修に係る補助事業は四年計画となっておりますが、このような状況の中、当然継続させるべきであると考えますが、耐震改修工事費を低コストにする工夫を進め、県民が耐震化に取り組みやすくする条件を整備しながら引き続き両事業を推進することについて、知事の御所見をお伺いしたいと思います。
 次に、アスベスト対策について伺います。
 マスコミ報道で御案内のとおり、アスベスト製品製造工場の従業員やその家族、工場周辺の住民の方々に中皮腫や肺がんなどが発生し、アスベスト被害による問題が大きな社会問題となっております。原因と考えられておりますアスベストは、天然にできた鉱物繊維で、耐熱性、絶縁性等にすぐれているため、二十世紀の初頭から断熱材や防火材として広く用いられてきました。
 アスベスト繊維は極めて細く、これが肺の中に入ると、三十年から四十年の潜伏期間を経て、中皮腫や肺がんなどの疾病を引き起こすと言われております。こうした長い潜伏期間であるがゆえに、今日になって改めて問題化したものであります。
 厚生労働省の発表によれば、全国でアスベストに係る労災認定による死亡者数は五百名を超えており、県内においても過去十三名が認定されているなど、改めて県民の健康への不安が高まっております。
 特に、吹きつけアスベストは昭和三十年ごろから使われ始め、昭和四十年代の高度成長期には、ビルの高層化や鉄骨構造化に伴い、鉄骨に対する軽量で耐火性にすぐれた被覆材として多く使用されました。建築物に使用された吹きつけアスベストは、年代を経ることによる劣化や損傷などによりアスベストが飛散するおそれがあり、その対策は喫緊の課題であると考えます。
 こうした中、県においては、約千九百施設に及ぶすべての県有施設について、吹きつけ材の使用実態調査を緊急に実施されたと承知をしております。この調査結果によれば、吹きつけ材のうち、アスベストの含有が明らかで劣化が認められるものや、劣化が認められるがアスベストの含有が不明であるものが数多くあったと伺っております。
 また、民間施設につきましても、駅の改札口の天井などや民間の集合住宅、大規模店舗、事務所等の機械室、駐車場の天井、壁面など多くの場所で吹きつけアスベストが使用されているものと推察されます。
 そこでお伺いいたします。
 まず、県有施設について、吹きつけ材のうち、アスベストの含有が明らかで劣化が認められる施設への対応と、対応が終了するまでの間どのような対策を講じるのか、お伺いいたします。
 また、劣化が認められるが、アスベストの含有が不明の施設についてはどのように対応するのか、お伺いをいたします。
 次に、民間住宅等に対するアスベストの使用実態をどのように把握し、県民の不安を解消するためにどのような対策を講じるのか、お伺いいたします。
 質問の第六は、科学技術の推進についてであります。
 まず、科学技術交流センター施設について伺います。
 本県が活力を維持し、さらに発展していくためには、物づくり活動の源泉である科学技術を常に創造し、産業活動や社会経済に活用していくことが不可欠であります。また、今後、団塊の世代の研究者、技能者が定年を迎え、多くの方々は第一線から退かれます。一方、少子化により若年勤労世代は減少し、超高齢社会への移行とも相まって生産年齢人口の割合が大幅に減少をします。
 この中で、国際競争力の高い科学技術、産業力を維持、発展させていくためには、人材の質を高めるとともに、科学技術の成果を効率的かつ迅速に産業へ結びつけていくことが必要であります。
 今こそ、次代を担う子供たちを科学技術分野に引きつけるとともに、その能力を最大限に発揮させる環境の整備が重要であります。また、中小企業や若手の研究者、技術者を、大学等の共同研究など、その機会の提供、充実を通じ、強力に育成していくことも重要であります。
 こうした中、愛知万博では、環境、ロボット、IT等々の先端技術を紹介し、子供たちに科学技術の大切さ、おもしろさを伝え、科学技術に親しむ地域風土形成の格好の場となりました。
 一方、グローバルな競争の中では、最先端の研究成果を迅速に具体的な産業や製品へ結びつける必要があります。それには試作や評価、さらに改良など、中小企業の研究開発から製品化までを一貫して支援し、事業化の効率性、迅速性を高めることが必要であります。
 こうした中、検討が中断している科学技術交流センター施設については、県の産業創造計画において、循環型・持続可能社会形成に向けた世界的な「知」の拠点づくりの一つとして検討するとされております。また、六月議会においては、具体的な機能も含めて引き続き検討していくとの答弁がありました。
 そこでお尋ねいたします。
 私は、将来を見据えた科学技術の人材育成拠点として、また、中小企業の積極的な開発、事業化を総合的に支援する場として整備すべきと考えますが、知事は、科学技術交流センター施設をどのような機能を持つ拠点にしようとお考えなのか、今後の方針についてお伺いいたします。
 次に、科学技術の推進に関し、私の地元で活発に活動展開をしている第三セクター株式会社サイエンス・クリエイトについて伺います。
 株式会社サイエンス・クリエイトは、今から十五年前の平成二年十月、本県初の民活法活用施設、豊橋サイエンスコアの運営主体として、愛知県、豊橋市、民間企業等の出資により設立されました。
 このサイエンス・クリエイトと豊橋サイエンスコアの取り組みは、規模こそ大きくないものの、産学交流を促進し、新産業の創出を目指すという点で、科学技術振興施策のお手本の一つと言えるのではないかと思います。東三河地域や豊橋技術科学大学に焦点を当てて、地域の特性や資源を十二分に踏まえて事業活動を展開しており、全国の類似施設の中でも成功している施設として高い評価を受けているところであります。
 中でも、平成十四年度から、文部科学省の都市エリア産学官連携促進事業に、スマートセンシングシステムをテーマとする豊橋エリアが採択されました。この中核機関、つまりコーディネーター役としてサイエンス・クリエイトが重要な役割を果たしております。また、この都市エリア事業は、十七年度からはよりレベルの高い発展型に格上げされ、さらなる産学連携の進展とその成果が期待されるところであります。
 このように、地域の産学連携の核となり、科学技術の振興や地域の活性化にも貢献しているサイエンス・クリエイトは、これからの東三河地域の発展に欠かせないものであり、今後とも地域を挙げて盛り上げていかねばらないと考えております。
 そこで、県も出資している株式会社サイエンス・クリエイトの今後の事業展開はどのようにあるべきか、お考えをお伺いいたします。
 最後は、教育問題についてであります。
 現在学校においては、いじめや不登校、学力問題を初めとしたさまざまな教育課題の解決や、保護者、地域住民の信頼を得ながらそれぞれの実情に応じた特色ある教育活動の展開が求められるなど、課題が山積しております。こうした諸課題の解決には、子供や保護者等と直接触れ合う教員一人一人の資質、力量に負うところが極めて大きく、より一層の教員の資質、能力の向上が求められているところであります。
 しかしながら、昨今、授業や生徒指導が適切に行えない、同僚や保護者などと良好な関係が築けない、教員としての意欲に欠けるなどの指導力不足教員の存在が大きな問題となっております。
 こうした教員への対策については、現在、教育委員会においていろいろな角度からの方策をとっていただいており、その成果を期待するものであります。しかし、今後は団塊の世代の教員が退職期を迎えることから、教員採用のあり方についても大きな課題ではないかと考えるものであります。
 教員採用に当たっては、より優秀な教員の確保に努められており、この夏に実施された教員採用選考試験においても、常勤講師等の教職経験者の一次試験免除を導入されるなど、毎年採用選考試験の改善に努力されていることはよく承知をしております。
 今後、当分の間は継続して大量の採用を行っていく必要があり、なおかつ保護者や地域社会の期待に十分こたえられる優秀な教員を確保するためには、より多くの志願者を確保する手だてを講ずることも必要ではないかと考えます。
 また、採用された教員が持てる力を遺憾なく発揮し、その指導力を高めていくには、何といっても学校現場におけるベテラン教員の適切な指導が重要ではないかと思います。経験の深い教員が一気に大量に退職することに伴い、教育力の低下が懸念されますが、こうしたときこそ、退職されたOB教員の方々にお力を発揮していただけるような方策の検討も必要であると考えます。
 今後、質の高い、力量ある教員を数多く確保、育成していくために、教育委員会はどのような対策を考えておられるのか、お伺いいたします。
 以上、県政各般にわたる諸問題についてのお尋ねをしてまいりました。知事初め理事者各位の積極的かつ熱意あふれる答弁を期待いたしまして、私の壇上での質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)



◯知事(神田真秋君)
 お答えを申し上げます。
 最初に、県税収入の見通しと今後の財政運営についてお尋ねがございました。
 まず、県税収入の見通しという点でございます。
 景気は踊り場を脱し、企業収益の改善も続いていると言われておりまして、主要税目であります法人二税の税収も、今のところ、おかげさまで順調に推移をいたしておりますので、当初予算計上額は何とか確保できるのではないかと見込んでいるところでございます。
 しかし、依然として高値圏で推移をいたしております原油や原材料価格の高騰による企業収益の影響などには十分注意が必要であると思っております。
 次に、今後の財政運営についてでございますが、地方交付税は当初予算計上額を上回ることができました。けれども、御指摘にもありましたように、減債基金への積み立て停止、繰り入れ運用など多額の財源対策の解消には至っておりません。減債基金は将来にわたる県債の償還財源を確保するという目的のものでございますので、経費の効率的な執行や財源の確保に努めることによりまして、減債基金への積み立て停止の解除をし、あわせて繰り入れ運用につきましてもできる限りの解消を目指してまいりたいと思っております。
 次に、愛知万博の総括ということでございますが、まず、環境万博の成果と感想という点についてでございます。
 グローバル・ループに象徴される会場づくり、あるいは大規模なパーク・アンド・ライドでのアクセス。今回の万博会場は、これまでになく環境に多方面から配慮したものになっておりました。また、パビリオンでも、ハード、ソフトともに環境への斬新な取り組みが強く印象に残るものになったと考えております。
 会場では、新エネルギーシステム、燃料電池ハイブリッドバスなど、環境に配慮した最先端技術が導入されまして、これをごらんいただくツアーやエコマネー、森や里の自然学校も予想を上回る関心を集めたところでございます。
 来場者の皆様方を調査した結果では、多くの方々が、万博を見学した後は地球環境について今まで以上に考えるようになったと、このようにお答えをちょうだいをいたしておりますので、今回の愛知万博が、地球規模の環境問題について考え、日常生活で新たな環境配慮の取り組みを始めていただく一つの、そして大きなきっかけになったのではないかと考えております。
 今後、こうした点を十分検討して、環境先進県づくりにその内容を生かしていきたいと思っております。
 次に、愛知県館の評価という点でございます。
 本県はホスト県であり、開催県でありますので、万博のテーマである「自然の叡智」に二つの館とも真正面から取り組み、この難しいテーマを、生身の人間のパフォーマンス、あるいは映像を組み合わせるなどして、知恵を絞ってわかりやすく表現することに苦労をいたしました。おかげさまで、外国の方々も含めて、御来館をいただいた方には大変好評でございまして、八月の末に行いました来館者のアンケートでは、両館ともに「よかった」と答えていただいた方が八五%を超えるなど、おかげさまで高い評価を得たところでございます。
 数字を申し上げますと、最終的には長久手愛知県館が三百七十五万人、瀬戸愛知県館が九十三万人、合わせて四百六十八万人もの多くの方に御来館をいただき、万博の成功に大きく貢献できたのではないかと思っているところでございます。
 また、県民参加の万博を目指しまして、長久手愛知県館のおまつり広場では、県内市町村と県民が伝統芸能などのパフォーマンスを連日にわたって繰り広げていただきました。また一方、瀬戸愛知県館のコラボレーション空間では、エココミュニティー活動に取り組む県民の皆様方が親しみやすい展示や催事を展開していただきました。
 両館合わせて、これも七万人もの県民の皆様方が万博というビッグイベントに直接参加し、情報発信するという貴重な御体験をいただきましたので、今後の環境活動などにも大いにこれは生きてくるのではないかと思っているところでございます。
 続いて、愛知万博の理念の継承についてでございます。
 まず、こども環境サミットでございますが、私は、この子供たちによる国際イベント、極めて大きな成果が上がったと大変誇らしく思っております。自然的条件や文化的背景などが異なる世界の子供たちが一堂に集まり、持続可能な社会に向けて、これからとるべき行動などについて活発に議論する、本当に貴重な体験の場になりました。
 このサミットにおいて子供たちのさまざまな意見を聞いておりますと、どの子供もそれぞれ純真な心で未来を考える力を持っておりまして、子供のころから環境学習が極めて重要であることを改めて痛感をしたところでございます。また、グローバルな視点で物事を見るということの大切さを再認識したところでもございます。
 今後は、このサミットで得られた参加者やボランティアなどの人的なネットワーク、また、世界各国の環境の実情や取り組みに関する情報などを、環境学習あるいは人材育成のために積極的に活用してまいる所存でございます。
 次に、県営名古屋空港についてお答えを申し上げます。
 とかく世間の目はセントレアの方に向きがちでありますけれども、同時に開港、出発した県営空港も地道に今頑張っております。
 まず、利用状況でございますが、ジェイエアによるコミューター旅客は、開港から八月までで約十六万三千人という数字になっており、これは同じ路線で前年と比べますと、搭乗率で約一〇ポイント伸びております。また、国際ビジネス機でございますが、これまで五十八機受け入れておりまして、使い勝手のよい空港であるとの認識が関係者の間で広がりつつあるものと考えております。
 次に、この県営空港の利用促進についてでございますが、コミューター航空では旅客の乗降施設をターミナルビル一階へ集約するとともに、フィンガーコンコースと私ども呼んでおりますが、我が国初の小型機用の乗降のための通路、こうしたものを設けまして、これは十一月の二十四日から供用することにいたしております。これによって航空機を利用される方の乗降は大変便利になりますことから、県営空港の利用のしやすさを航空会社などと連携しながらしっかりとPRをしてまいりたいと思います。
 また、ビジネス機でございますが、この八月に上海でのアジア・ビジネス航空会議に出向き、海外のビジネス機の関係者に県営空港の取り組みを説明して、高い評価をいただいたところでございます。
 今後も機会をとらえ、我が国初のビジネス機専用ターミナルを備えた利便性の高い空港であることを積極的に世界に向かってアピールをしてまいりたいと思います。
 次に、チャイルドファースト社会の実現に向けてでございます。
 「あいち子育て・子育ち応援プラン」、このプランは、子育て家庭と子育ちの過程を社会全体で支える仕組みの構築を基本目標に策定したところでございます。私は、このプランを市町村、企業、NPOの皆様方と連携しながら進めていくことが、安心して子供を産み育てることができる社会の実現にとって大変重要なことであると考えております。
 このため、プランには、特に着実な子育て支援のための連携の強化、こういった項目を設けておりまして、計画の初年度であります本年度は、児童福祉と教育の連携に関するガイドラインを作成してまいります。このガイドラインの中で、すぐに実践できる連携事例や一歩進んだ事例を紹介することなどによって、子育ての現場でございます市町村において児童福祉部門と教育部門の連携がスムーズに図られるように、子育ての環境づくりといったものに努めてまいりたいと思っております。
 次に、地域、社会全体で子育てを行う機運の醸成といった点でございます。
 県といたしましては、市町村を通じて、子育て支援センターの設置や親子が気楽に出かけられるつどいの広場事業の実施など、住民に身近な地域において、育児について相談しやすい環境整備に努めているところでございます。また、周りの人が子育てにより実践的に協力できるように、NPOなどによる地域における子育て支援ネットワークづくり、これに対する支援も行っております。
 さらに加えて、十一月には、働き方の見直しをテーマとした少子化を考える国民の集いを本県において、内閣府と共催で開催することにいたしました。この集いを通じて、父親が育児に積極的に参画することができるような職場環境について、事業主、従業員、子育て支援団体それぞれの立場からの提案を受け、社会全体が子育ての意義を高く評価し、支援していこうとする機運を愛知から全国に発信してまいりたいと考えております。
 続きまして、中小企業における子育て支援についてでございます。
 社会全体で子育てを支援していく上で、中小企業にも雇用環境を整備し、その役割を果たすことが求められております。
 そこで、県におきましては、企業の自主的な取り組みを促進するため、全国に先駆け、仕事と家庭の両立に配慮した雇用環境を整備している企業に対して、ファミリー・フレンドリー企業として認証をしておりますが、中小企業につきましては認証基準を緩和して、一層の普及促進に努めているところでございます。
 また、今年度から、既に中小企業六百二十八社を訪問し、直接事業主に対して、育児休業制度の導入や、次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画の策定を、これを直接働きかけているところでございます。
 また、法の施行に伴い、子育て支援策を人材の確保やあるいは就労意欲の向上などを図るための人事管理施策として取り組んでおられる企業も出てきておりますので、今後は、そうした企業のいい事例を中小企業にそれを紹介するなど、普及啓発活動に力を入れてまいりたいと思っているところでございます。
 さて次は、県民の安心・安全対策のうち、民間木造住宅の地震対策についてお答えを申し上げます。
 住宅の耐震化は、御指摘のとおり県民の命を守るために大変重要でございますので、現在行っております耐震診断事業及び耐震改修費補助事業、これら事業につきましては、中央防災会議の動向等を踏まえ、来年度以降も引き続き延長するという方向で今検討をしているところでございます。
 また、現在、県内の三国立大学法人などと連携をいたしまして、低廉な耐震改修工事の工法の開発などにも取り組んでおります。今後、その成果を生かし、県民が住宅の耐震化により取り組みやすいような事業を推進していきたいと思っているところでございます。
 次は、アスベスト対策でございますが、まず、県有施設についてお答えを申し上げます。
 本県では、学校でのアスベスト使用が社会問題となりました昭和六十二年以降、県有施設について吹きつけアスベストの除去、封じ込めなどの飛散防止対策に取り組んでまいりました。その後二十年近くを経過いたしましたことから、ことしの八月にすべての県有施設を対象に、吹きつけ材の使用状況、劣化の状況など、実態調査を行ってまいりました。
 その結果に基づき、アスベストの含有が明らかで劣化が認められ、毎日人の出入りがある施設につきましては、今年度中にアスベスト除去工事を行いますとともに、除去工事が終了するまでの間、その間におきましては使用禁止、ビニールシートで覆うなどアスベストの暴露防止の措置を講ずる考えであります。また、劣化が認められるもののアスベストの含有が不明の施設につきましては、今年度から順次含有量の分析を行いまして、その結果を踏まえ、必要な措置を行ってまいります。
 続いて、民間住宅等についてでございますが、民間住宅などに使用されておりますアスベストに関しましては、現在、国土交通省の依頼を受け、吹きつけアスベストが使用されている可能性があります一千平方メートル以上の大規模な民間建築物を対象に、アスベストの使用実態調査を行っているところでございます。
 また、県民からの問い合わせなどに対応するため、飛散防止や健康問題などの専門的な知見を有する関係機関で構成をする愛知県アスベスト対策協議会におきまして、建材に含まれるアスベストの有無などに関する相談窓口の設置、正確な情報の提供などきめ細やかな取り組みを連携、共同して行い、県民の皆様方の不安の解消に努めているところでございます。
 さらに、建築物の解体に当たりましては、大気汚染防止法や労働安全衛生法に基づく届け出を徹底させるとともに、国と県が合同で立入調査を行い、適切な飛散防止対策が講ぜられるように指導をいたしております。
 次は、科学技術交流センター施設についてのお尋ねでございます。
 これにつきましては、愛知県科学技術会議において、研究交流の拠点から研究開発の拠点へと見直しの方向が示され、現在検討しているところでございますが、県といたしましては、愛知の物づくりを支える研究開発機能を中核とした科学技術の創造、発信の重要な拠点として位置づけ、その成果を産業振興に結びつけてまいりたいと考えております。
 御質問がありました科学技術人材の育成につきましては、愛知万博のもたらした成果の継承という意味でも、子供たちが最新の科学技術に親しむことができる、そういった環境づくりが必要であると考えております。また、中小企業の方々への事業化支援につきましても、高度な計測・分析サービス、あるいは技術指導などの支援機能も重要な要素になると思っております。
 いずれにいたしましても、御指摘のありました機能につきましては、科学技術交流センター計画を進める上で大変重要な要素になるものと考えておりますので、これからしっかりと関係者と検討をしてまいりたいと思っております。
 最後に、サイエンス・クリエイトについて私からお答えを申し上げます。
 株式会社サイエンス・クリエイトは、豊橋サイエンスコアを舞台に、IT農業を初め、さまざまな研究会活動や研究交流、人材育成などの取り組みをこれまで積極的に展開してこられたところでございます。本県では、そうした取り組みを高く評価をするとともに、サイエンス・クリエイトを本県の科学技術振興の重要な拠点の一つとして位置づけまして、相談あるいは情報コーナーの設置や国の共同研究プロジェクトの誘致などさまざま支援を行ってきたところでございます。
 会社設立から十五年が経過をいたしまして、地域に根差した活動が浸透し、文部科学省の都市エリア事業の発展型に豊橋地域が選ばれるなど、これまでの取り組みが着実に実を結びつつあるものと大変喜んでいるところでございます。
 今後は、これまでに培われた大学や企業とのネットワークを生かし、研究成果をうまく企業のニーズにつなげ、地域企業の底上げやベンチャー企業の創出を図っていくことが大変重要だと考えており、今年度から実施をいたします地域連携促進セミナーの開催などを通じ、そうした活動を支援してまいりたいと考えているところでございます。
 以上、お尋ねいただいた点について答弁といたします。



◯教育長(伊藤敏雄君)
 教育問題に関しまして、すぐれた教員の確保と育成についての御質問にお答えをいたします。
 議員お示しのように、いわゆる団塊の世代の大量退職に伴いまして、いかにしてすぐれた教員を採用し、指導力のある教員に育成していくかが重要な課題と認識をいたしております。
 これまでも、教員採用の選考に当たりましては、集団面接、集団討議、個人面接の三つの口述試験を取り入れるなど、人物重視の選考に努めてきたところでありますが、今年度の選考試験からは、個人面接委員へPTA関係者等の民間人を起用するなど、より多面的な視点からの選考にも努めているところであります。今後は、受験説明会の拡大を図っていくなど、志願者をふやすための対策も講じていきたいと考えております。
 また、新規採用者の育成に関しましては、再任用制度を活用いたしまして、退職した教員の豊富な能力、知識、経験を最大限に生かすことも検討してまいりたいと考えているところであります。
 今後とも、選考方法の改善等に努めつつ、より質の高い教員の確保を図ってまいりたいと存じているところでございます。
 以上でございます。




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