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2005.9.30 : 平成17年9月定例会 速報
〜代表質問の、質問ならびに答弁要旨〜



1 県税収入の見通しと今後の財政運営
景気回復が着実に進む中で、本年度の県税収入の見通しは。今後の財政運営の中で16年度に行った減債基金からの繰入実行及び17年度当初予算における減債基金の繰入等の年度内の解消見込みは。
(知事答弁)
県税収入見通し
 景気は踊り場を脱し、企業収益の改善も続いているといわれており、主要税目の法人二税の税収は順調に推移している。当初予算計上額は確保できる見込み。依然として高値圏で推移中の原油や原材料価格の高騰による企業収益の影響などには十分注意が必要。

今後の財政運営
 地方交付税は当初予算計上額を上回った。しかし減債基金への積立停止、繰入運用など多額の財源対策の解消には至っていない。経費の効率的な執行や財源の確保に努め、減債基金への積立停止の解除をし、併せて繰入運用もできる限りの解消を目指したい。



2 環境万博として開催された愛知万博の総括及び理念の継承
(1) 愛知万博の総括
ア 愛知万博が、環境万博としてどのような成果があり、どのような感想をお持ちか。
(知事答弁)
グローバルループに象徴される会場づくり、大規模なパークアンドライドでのアクセス、今回の万博会場はこれまでになく環境に多方面から配慮されていた。パビリオンでもハード・ソフトともに環境への斬新な取り組みが強く印象に残るものになったと考える。
 会場では新エネルギーシステム、燃料電池ハイブリッドバスなど環境に配慮した最先端技術が導入され、エコマネーや森や里の自然学校も予想を上回る関心を集めたところ。
 来場者を調査した結果、多くの方々が「万博を見学した後は地球環境について今まで以上に考えるようになった」と答えており、今回の愛知万博が、地球規模の環境問題について考え、日常生活で新たな環境配慮の取り組みを始めていただく、きっかけとなったのではないかと考えている。
 今後、こうした点を十分検討して、環境先進県作りにその内容を活かしていきたい。

イ 長久手・瀬戸両会場の愛知県館は、ともに万博のテーマに真摯に取り組むと共に、県内市町村や各界各層の県民参加により活気あふれる空間となっていたと思うが、全体としてどのように評価しているか。
(知事答弁)
 本県は、ホスト県であり、開催県でるので、万博のテーマである「自然の叡智」に2つの館とも真正面から取組み、この難しいテーマを、生身の人間のパフォーマンス、あるいは映像を組み合せるなどして、知恵を絞ってわかりやすく表現することに苦労した。外国の方々も含めて御来館をいただいた方には大変好評で、8月の末に行いました来館者のアンケートでは、両館ともに「良かった」と答えた方が85%を超えるなど、高い評価をいただいた。最終的には長久手愛知県館が375万人、瀬戸愛知県館が93万人、合わせて468万人もの多くの方が御来館され、万博の成功に大きく貢献できたのではないかと思っている。
 県民参加の万博をめざして、長久手愛知県館の「おまつり広場」では、県内市町村と県民が伝統芸能などのパフォーマンスが連日繰り広げられた。瀬戸愛知県館の「コラボレーション空間」では、「エココミュニティ活動」に取り組む県民の皆様方が、親しみやすい展示や催事を展開していただいた。両館合わせて、7万人もの県民が、万博というビッグイベントに直接参加し情報発信するという貴重な体験をされたので、今後の環境活動などにも活きてくるのではないかと思う。

(2) 愛知万博の理念の継承
 「こども環境サミット」で得られた成果を、今後の環境先進県づくりにどのようにつなげていくのか。
(知事答弁)
子どもたちによる国際イベントは、極めて大きな成果があがったと誇らしく思っている。
 自然的条件や文化的背景などが異なる世界の子どもたちが一堂に集まり、持続可能な社会に向けてこれから取るべき行動などについて活発に議論する本当に貴重な体験の場となった。
 このサミットにおいて、子どもたちの様々な意見を聞いていると、どの子どももそれぞれ純真な心で未来を考える力を持っており、子どもの頃から環境学習が極めて重要であることを改めて痛感した。グローバルな視点で物事を見るということの大切さを再認識した。
 今後は、このサミットで得られた参加者やボランティアなどの人的なネットワーク、また世界各国の環境の実情や取組に関する情報などを、環境学習、あるいは人材育成のために積極的に活用していきたい。



3 県営名古屋空港
開港から7ヶ月が経過したが、これまでの利用状況は、ビジネス機の状況なども含てどうか。空港の個性に合わせて特長を効率よくアピールしていくことが必要と考えるが、利用促進をどのように図っていくのか。
(知事答弁)
利用状況
 世間の目はセントレアの方に向きがちだが、同時に開港、出発した県営空港も地道に今頑張っている。
 ジェイ・エアによるコミューター旅客は、開港から8月までで約16万3千人。これは同じ路線で前年と比べて搭乗率で約10ポイント伸びている。国際ビジネス機は、これまで58機受け入れており、使い勝手の良い空港であるとの認識が関係者の間で広がりつつあるものと考える。

県営空港の利用促進
 コミューター航空では、旅客の乗降施設をターミナルビル1階へ集約するとともに、「フィンガーコンコース」と呼ぶ、我が国初の小型機用の乗降のための通路を設け、11月24日から供用することにしている。これにより航空機を利用される方の乗降は大変便利になることから、県営空港の利用のしやすさを航空会社などと連携しながら、しっかりとPRしていきたい。
 ビジネス機はこの8月に上海でのアジア・ビジネス航空会議に出向き、海外のビジネス機の関係者に県営空港の取り組みを説明して、高い評価をいただいた。今後も我が国初のビジネス機専用ターミナルを備えた利便性の高い空港であることを、積極的に世界に向かってアピールしていきたい。



4 チャイルドファースト社会の実現に向けて
(1) 「あいち子育て・子育ち応援プラン」の進め方
「あいち子育て・子育ち応援プラン」に今後5年間の具体的な取り組みについて掲げられており、チャイルドファースト社会の実現を図るものとして大いに期待している。今後どのように進めていかれるのか。
(知事答弁)
 「あいち子育て・子育ち応援プラン」は「子育て家庭と子育ちの過程を社会全体で支える仕組みの構築」を基本目標に策定している。
このプランを市町村、企業、NPOの皆様と連携しながら進めていくことが、安心して子どもを生み育てることができる社会の実現にとって大変重要なこと。
計画の初年度である本年度は「児童福祉と教育の連携に関するガイドライン」を作成し、すぐに実践できる連携事例や一歩進んだ事例を紹介し、児童福祉部門と教育部門の連携がスムーズに図られるように子育ての環境づくりに努めたい。

(2) 地域・社会全体で子育てを行う機運の醸成
地域における子育て力の向上は、子どもを優先するチャイルドファースト社会を地域から構築していくことにつながるもの。地域、社会全体で子育てを行っていくという機運の醸成のために何らかの対応が必要と考えるがご所見を。
(知事答弁)
 市町村を通じて「子育て支援センター」の設置や親子が気楽に出かけられる「つどいの広場事業」の実施など、住民に身近な地域において育児について相談しやすい環境整備に努めている。
 また、まわりの人が子育てに、より実践的に協力できるように、NPOなどによる地域における子育て支援ネットワークづくりに対する支援も行っている。
 11月には「働き方の見直し」をテーマとした「少子化を考える国民の集い」を内閣府と共催で開催することにしている。
 この集いを通じて、父親が育児に積極的に参画することができるような職場環境について、事業主、従業員、子育て支援団体それぞれの立場からの提案を受け、社会全体が子育ての意義を高く評価し支援していこうとする気運を、愛知から全国に発信していきたい。

(3) 中小企業における子育て支援
 仕事と生活のバランスがとれ、安心して産み育てることができる雇用環境を整備することが、出生率を高めるために大変効果があるものと考えるが、中小企業における子育て支援の促進について、どのように取組むのか。
(知事答弁)
 社会全体で子育てを支援していくうえで、中小企業にも、雇用環境を整備し、その役割を果たすことが求められている。
 県においては、企業の自主的な取組みを促進するため、全国に先駆け、仕事と家庭の両立に配慮した雇用環境を整備している企業に対して、ファミリー・フレンドリー企業として認証をしているが、中小企業については、認証基準を緩和して、一層の普及促進に努めている。
 また、今年度から、既に中小企業628社を訪問し、直接事業主に対して、育児休業制度の導入や次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画の策定を、直接働きかけているところである。
 また、法の施行に伴い、子育て支援策を、人材確保や、あるいは就労意欲の向上などを図るための人事管理施策として取組んでいる企業もあり、今後は、そうした企業の事例を、中小企業に紹介するなど、普及啓発活動に力を入れていきたい。



5 県民の安心・安全対策
(1) 民間木造住宅の地震対策
耐震診断及び耐震改修にかかる補助事業はそれぞれ4年計画となっているが、継続せざるをえない状況。耐震改修工事費を低廉にする工夫を進め、県民が耐震化に取り組み易くする条件を整備し、引き続き両事業を推進することについてご所見を。
(知事答弁)
 住宅の耐震化は、県民の命を守るために大変重要である。現在行っている耐震診断事業及び耐震改修費補助事業は、中央防災会議の動向等を踏まえ、来年度以降も引き続き延長するという方向で今検討している。
 県内の3国立大学法人等と連携して、低廉な耐震改修工事の工法の開発などにも取り組んでいる。今後その成果を活かし、県民が住宅の耐震化に取組み易いような事業を推進したい。

(2) アスベスト対策
ア 県有施設について、吹付け材のうちアスベストの含有が明らかで、劣化が認められる施設への対応と、対応が終了するまでの間、どのような対策を講じるか。劣化が認められるが、アスベストの含有が不明な施設についてはどのように対応されるのか。
(知事答弁)
 本県では、学校でのアスベスト使用が社会問題となった昭和62年以降、県有施設について吹付けアスベストの除去、封じ込めなどの飛散防止対策に取り組んできた。
その後20年近くを経過したことから、今年の8月に、全ての県有施設を対象に、吹付け材の使用状況、劣化の状態など、実態調査を行った。
その結果に基づき、アスベストの含有が明らかで劣化が認められ、毎日人の出入りがある施設については、今年度中にアスベスト除去工事を行うとともに、除去工事が終了するまでの間、使用禁止、ビニールシートで覆うなどアスベストの曝露防止の措置を講ずる考えである。
また、劣化が認められるものの、アスベストの含有が不明の施設については、今年度から順次、含有量の分析を行い、必要な措置を行う。

イ 民間住宅等に対するアスベスト使用実態をどのように把握し、県民の不安を解消するためにどのような対策を講じるのか。
(知事答弁)
 民間住宅などに使用されているアスベストに関しては、国土交通省の依頼を受け、吹付けアスベストが使用されている可能性がある1,000平方メートル以上の大規模な民間建築物を対象にアスベストの使用実態調査を行っている。
 また、県民からの問い合わせなどに対応するため、飛散防止や健康問題などの専門的な知見を有する関係機関で構成する「愛知県アスベスト対策協議会」において、建材に含まれるアスベストの有無などに関する相談窓口の設置、正確な情報の提供など、きめこまやかな取組を連携・協働して行い、県民の皆様方の不安の解消に努めている。
 さらに、建築物の解体にあたりましては、大気汚染防止法や労働安全衛生法に基づく届出を徹底させるとともに、国と県が合同で立入調査を行い、適切な飛散防止対策が講じられるように指導している。



6 科学技術の推進
(1) 科学技術交流センター施設
科学技術交流センター施設は、将来を見据えた科学技術人材の育成拠点として、また中小企業の積極的な開発・事業化を総合的に支援する場として整備すべきと考えるが、どのような機能を持つ拠点にしようと考えているか、今後の方針は。
(知事答弁)
 愛知県科学技術会議において、「研究交流」の拠点から「研究開発」の拠点へと見直しの方向が示され、現在、検討しているところであるが、県としては、愛知のモノづくりを支える「研究開発」機能を中核とした科学技術の創造・発信の重要な拠点として位置づけ、その成果を産業振興に結び付けていきたい。
 科学技術人材の育成につきましては、愛知万博のもたらした成果の継承という意味でも、子どもたちが最新の科学技術に親しむことができる環境づくりが必要であると考えている。
 また、中小企業の方々への事業化支援につきましても、高度な計測・分析サービス、あるいは技術指導などの支援機能も重要な要素になる。
 ご指摘の機能について、科学技術交流センター計画を進めるうえで、大変重要な要素になると考えており、関係者と検討していきたい。

(2) 第三セクター「潟Tイエンス・クリエイト」
 サイエンス・クリエイトは、これからの東三河地域の発展に欠かせないものであり、今後とも地域をあげて盛り上げていかねばならないと考えているが、県も出資している(株)サイエンス・クリエイトの今後の事業展開は、どのようにあるべきと考えるか。
(知事答弁)
 サイエンス・クリエイトは、豊橋サイエンスコアを舞台に、IT農業をはじめ様々な研究会活動や、研究交流、人材育成などの取組をこれまで積極的に展開してきた。本県では、そうした取組みを高く評価をするとともに、サイエンス・クリエイトを本県の科学技術振興の重要な拠点の一つとして位置づけ、相談、あるいは情報コーナーの設置や国の共同研究プロジェクトの誘致など様々な支援を行ってきたところでございます。
会社設立から15年経過し、地域に根ざした活動が浸透し、文部科学省の都市エリア事業の発展型に豊橋地域が選ばれるなど、これまでの取組が着実に実を結びつつあると喜んでいる。
今後は、これまでに培われた大学や企業とのネットワークを活かし、研究成果をうまく企業のニーズにつなげ、地域企業の底上げやベンチャー企業の創出を図っていくことが大変重要と考えており、今年度から実施する地域連携促進セミナーの開催などを通し、そうした活動を支援していきたい。



7 教育問題
経験の深い教員が一気に大量に退職することに伴い、教育力の低下が懸念されますが、退職されたOB教員の方々に力を発揮していただけるような方策の検討が必要。今後、質の高い力量ある教員を数多く確保・育成していくため、教育委員会はどのような対策を考えておられるのか。
(教育長答弁)
いわゆる団塊の世代の大量退職に伴い、いかにして優れた教員を採用し、指導力のある教員に育成していくかが、重要な課題である。
 これまでも、教員採用の選考にあたっては、集団面接、集団討議、個人面接の3つの口述試験を取り入れるなど、人物重視の選考に努めてきたが、今年度の選考試験からは個人面接委員へPTA関係者等の民間人を起用するなど、より多面的な視点からの選考にも努めている。今後は、受験説明会の拡大を図っていくなど、志願者を増やすための対策も講じていきたい。
 また、新規採用者の育成に関しては、再任用制度を活用して、退職した教員の豊富な能力・知識・経験を最大限に活かすことも検討していきたい。
 今後とも、選考方法の改善等に努めつつ、より質の高い教員の確保を図っていきたい。




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