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2005.12.02 : 平成17年11月定例会(第3号)

◯五十番(渡会克明君)
 通告に従いまして順次質問をしてまいります。
 質問の第一は、事業仕分けについてお尋ねをいたします。
 国、地方ともに危機的な財政状況の中、行財政改革は喫緊の課題であります。本県においても本年二月、「あいち行革大綱二〇〇五」を策定され、本年度においては、本庁の組織、機構の見直しや指定管理者制度の導入に向けた取り組みを初め、さまざまに推進されているところであります。
 このような中、我が党におきましては、国のすべての事業について、一つ、廃止するもの、二つ、統合するもの、三つ、民間に委託するもの、四つ、地方に移管するものに仕分けをする徹底的な事業仕分け作戦を展開することを八月十一日の政府・与党連絡会議で提唱し、また、さきの衆議院選挙における「公明党マニフェスト二〇〇五」にも盛り込んだところでございます。これにより大胆な歳出削減を行い、そこで捻出した財源を、子育て支援、がん対策、研究開発などの分野に重点的に振り向けることが可能となります。
 ところで、この事業仕分けとは、国におきましては、省庁の部局、課の仕事ごとに民間の専門家、自治体の該当部局の担当者、省庁の担当者による徹底した論議を重ね、不要ないしは民間でできる仕事、他の行政機関の仕事などを明確に仕分けし、該当部局、課の関係者も納得の上で歳出の削減に踏み切るという手法であります。
 地方におきましても、国に先駆け、ことし九月に導入した千葉県を初め、既に九県五市、合計十四の自治体において民間シンクタンク等の協力を得てこの事業仕分けを実施し、県、市レベルともに、不要、民間委託が合わせて平均一割に上り、予算の約一割に相当する大幅な削減が見込まれるという結果が出たものと聞いております。歳出の削減につきましては、従来型の一律カットでは既に限界に来ており、めり張りをつけて事業を削減するこの手法には大いに意義があるものと思います。
 さきに申し上げたとおり、本県においては新たな行革大綱により既に数々の行財政改革の取り組みに着手されていることは十分承知をいたしております。しかし、時代の趨勢に合わせ、外部からの意見や評価を取り入れ、不断に事務事業の見直しを図っていくことも、これからの行政には一層重要であると考えます。
 そこで、本県においても、新たな行財政改革の手法として、我が党の推進する事業仕分けの手法の導入を検討されてはいかがと思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。
 質問の第二は、増加する虐待問題についてであります。
 初めに、児童虐待についてお伺いいたします。
 さきに厚生労働省が、平成十六年度に全国の児童相談所が対応した児童虐待相談件数の確定値を発表いたしました。これによりますと、平成十六年度は、過去最高であった前年度の二万六千五百六十九件を七千件近く上回る三万三千四百八件となり、初めて三万件を突破いたしました。
 この原因について厚生労働省では、児童虐待防止法が改正され、学校や住民からの通告、相談がふえたためと分析していますが、先日も名古屋市内で生後三カ月の乳児を虐待した十八歳の母親が逮捕されるなど、新聞等で報道される深刻な児童虐待の事件は後を絶ちません。
 私は、これまで児童虐待問題について長い間取り組んでまいりました。児童虐待への対応は、児童にかかわるさまざまな関係機関がそれぞれの専門性を生かしながら有機的に、かつ臨機応変に対応していくネットワークづくりが最も重要な課題であると考えております。
 県では、九カ所の児童相談センターにおいて、管内の関係機関と連携を図るための関係機関連絡調整会議を設置し、事例に応じて危機児童・家庭サポートチームを編成して、児童虐待の早期発見、早期対応に取り組んでみえることは十分承知をいたしております。しかしながら、私は住民に身近な市町村が主体となって設置した児童虐待に対応するネットワーク体制がより重要になってくると考えるものであります。このことは児童の死という最悪の結果を招いた事例などからも明らかであり、国においても同様の考え方が示されております。
 つまり、平成十六年の児童福祉法の改正で、児童相談に関する第一義的な相談窓口として市町村が位置づけられたことと、新たに規定された要保護児童対策地域協議会の設置であります。児童福祉法二十五条の二により規定されたこの協議会は、関係機関が情報交換を行うとともに、要保護児童に対する適切な支援方法を協議するなどの役割を持つものであり、まさに地域における児童虐待対策のかなめになるものであります。
 なお、児童福祉法上は地方公共団体が設定できるという、できる規定であるものの、参議院厚生労働委員会において、全市町村における速やかな設置を目指すという附帯決議がなされたと聞いております。
 ところが、さきの新聞報道によると、本年六月一日現在のこの協議会の設置率は、全国でわずかに百十一団体、四・六%、この協議会の要件を満たさないものの、児童虐待に対応するネットワークを有する自治体が千八十一団体、四五・一%で、両方を合わせても四九・七%の整備状況にとどまっているとのことであります。
 また、先日の新聞報道では、名古屋市とそれ以外の県内三十二市の協議会の設置状況等が掲載されておりました。それによりますと、名古屋市を除いて協議会設置済みが十市、本年度中の設置予定が九市、合わせて十九市が今年度中に協議会を設置することになっておりますが、人口規模の小さな町村においてはなかなか整備が進まないことも予想されます。
 私は、増加する一方の児童虐待への対応として、この協議会の設置を推進していくことが当面の大きな課題であると考えます。このままの進捗状況では、とても今後効果的な児童虐待対策を講じていくことは期待できないのではないかと危惧するものであります。
 そこで、まず県が率先して市町村における虐待防止のネットワーク構築を進めていく姿勢を示し、その推進を図る必要があるのではないかと考えております。また、ネットワークの構築だけではなく、児童福祉法の改正により児童相談の第一義的な窓口として位置づけられた市町村における児童相談体制の充実強化も児童虐待対策として重要な課題であることは間違いなく、児童相談センターが持つ専門性を生かしながら、市町村を積極的に支援していく必要があると考えております。
 そこでお尋ねいたします。県内における市町村の要保護児童対策地域協議会の設置状況と、協議会には至らないものの、児童虐待対応のネットワークを有する市町村の状況はどのようになっているのか。そうした中、県としてネットワークの整備推進にどのように取り組んでいかれるのか。また、市町村の児童相談体制の整備状況はどのようになっているのか。さらに、県としてその充実強化をどのように支援していかれるのか、お伺いをいたします。
 次に、高齢者虐待についてお伺いいたします。
 高齢者虐待につきましては、ちょうど二年前の平成十五年十一月県議会の代表質問で、私が人権擁護の見地から取り上げさせていただきました。その後、本県や国などの実態調査により、高齢者に対する身体的・心理的虐待、介護放棄など、その深刻な状況が明らかとなり、社会的な問題として注目されることが多くなってまいりました。
 高齢者虐待の防止は、高齢者の尊厳を保持するためにも極めて重要であり、虐待に係る国や地方公共団体の責務を初め、虐待が発生した場合の具体的な措置等について、その法制化が関係者の間で待たれていたところであります。
 我が党は二〇〇四年に、党内に高齢者虐待防止対策ワーキングチームを設置し、他党に先駆けて法案の要綱を作成するなど、法制化に向け積極的に取り組んできたところであります。そして、さきの特別国会において、我が党を初めとした議員立法により高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律、いわゆる高齢者虐待防止法として成立したところであります。
 この法律では、これまで不明確であった虐待の定義を初め、課題とされてきた虐待を発見した住民などからの通報により、高齢者の生命や身体に重大な危険が生じている場合に市町村長の立入調査権などが規定をされております。
 その中で特に注目されるのは、介護保険施設や居宅サービス事業所における虐待についても通報義務などの必要な対応が規定をされている点であります。これまで高齢者虐待は、ともすれば外部の目が届きにくい家庭内虐待を中心に取り上げられてまいりました。しかし、施設内においても専門的な知識と技術を持つ介護スタッフであっても、高齢者と一対一になる場面で虐待に至るケースもあると聞き及んでいます。
 そこでお尋ねいたします。介護保険施設などにおける虐待の防止を図るためには、介護スタッフなど関係職員の資質向上が非常に重要と考えますが、県としては今後どのように取り組んでいかれるのか、お伺いいたします。また、介護保険施設などにおいて実際に虐待が発生し、通報を受けた市町村から県が報告を受けた場合、どのような対応をとられるのか、お伺いをいたします。
 質問の第三は、名古屋競馬についてお伺いいたします。
 名古屋競馬につきましては、本年二月議会の代表質問で、我が党の岩田議員が、今後の経営再建、とりわけ売り上げ振興策の進め方について質問させていただきました。これに対して神田知事からは、競馬をもっと魅力的にするための積極的なPRや施設の改修、また、馬券を買いやすくするための三連勝式馬券の発売や場外発売所の設置などに積極的に取り組むとともに、県としても人的支援を含めて積極的に応援していく旨の御答弁をいただいたところであります。特にこの三年間は、今までの守りの姿勢から攻めの姿勢への転換による積極的な取り組みが非常に重要であると考えます。
 そこで、名古屋競馬のこれまでのさまざまな取り組みについて、私なりに感じたところを御紹介したいと思います。
 まず、冠レースの実施、女性のための競馬教室の開催、新馬の名づけ親募集、トワイライトレースの実施など、名古屋競馬の文字を目にすることも多くなり、さまざまな工夫や積極的なPRにより新規ファンの獲得に努力されていることを強く感じるものであります。また、県の競馬対策室の職員の皆さんが、県庁舎の入り口や中京競馬場駅前などでティッシュやチラシの配布などのキャンペーンを実施されるなど、大変頑張ってみえるとの話も聞いております。
 このほかに、名古屋競馬が全国的にも注目される大きな話題もありました。名古屋競馬所属の宮下瞳騎手が、去る七月十八日に女性騎手としての日本最多勝記録となる三百五十一勝を達成されました。記録の達成前から宮下騎手の協力を得まして、日本新記録達成予想クイズやカウントダウン広報、さらには宮下騎手の特集番組など、テレビ、新聞、雑誌等のマスコミにもその活躍が大きく取り上げられました。
 一方、施設面においても、今までは建物のさびも目立ち、トイレのにおいも気になるという状態でしたけれども、競馬ファンの評判も余り芳しいものではありませんでした。そこで、外壁塗装、スタンドの分煙化、トイレの改修、場内舗装などが行われるとともに、新たに入場門のアーチや総合案内所が設置されるなどのリニューアルにより、競馬ファンからは見違えるようにきれいになったという声も多く聞いております。
 また、再建計画にある三連勝馬券の販売も九月下旬には開始され、インターネットバンクによる馬券発売も十月初めから稼働したと聞いております。十一月三日には地方競馬の最大の祭典であるJBC競走が西日本で初めて開催されました。当日は若者などの競馬ファンが約二万人詰めかけ、メーンレースのJBCスプリントとJBCクラシックのころには、スタンド前の広場は足の踏み場もない黒山の人だかりとなり、最近では見られないほど大変なにぎわいを見せたと伺っております。
 私も大変うれしく思うとともに、今後これを起爆剤として、さらに経営再建に向けて御努力いただきたいと思います。
 そこでお伺いいたします。さきに開催されました本年度最大のレースであるJBC競走の成果はどうであったのか、お尋ねをいたします。また、名古屋競馬の売り上げ振興の取り組みについて、県として、これまでの結果をどのようにとらえ、今後どう取り組んでいかれるのか、お伺いをいたします。
 質問の最後は、防災対策についてお伺いいたします。
 近年、風水害や地震により日本各地で大きな被害が発生しておりますし、海外でも、スマトラ島沖やパキスタンの大地震、アメリカでは大型ハリケーンが上陸するなど、地球規模で大災害の多発時代が来たのではないかと憂慮しております。
 幸い愛知県では東海豪雨以降大きな災害はありませんが、東海地震や東南海地震を初め、風水害などの自然災害に対して万全な体制を整備しておかなければなりません。特に、いつ起きてもおかしくないと言われている東海地震など大規模地震の発生時においては、その被災地が広範囲にわたることから、行政による救助、救援には限界があると思います。
 神戸市によると、阪神・淡路大震災では家屋の倒壊や火災から救出された人のうち、約八割が近隣の住民に助け出されたということであります。この教訓として、災害が広範囲になればなるほど、住民一人一人の防災意識を高め、近隣住民が協力し合い、地域ぐるみで減災に対処できるようにしておくことが極めて重要な課題となっております。
 災害時に被災者を救助し、救援を行い、初期消火に当たるなど、公的な支援がなされるまでの間をみずからや地域において災害に対応していくための自助、共助を支える人づくり、組織づくり、地域連携づくりが必要であります。
 平成十七年版の防災白書においても、真の減災社会の実現のためには、行政による公助のみならず、個人の自覚に根差した自助、さらには地域コミュニティー等における共助の取り組みが不可欠と指摘されております。
 しかし、住民一人一人の価値観や生活スタイルの多様化に伴い、特に集合住宅が所在する地域では地域コミュニティーの形成が希薄になってきており、住民の主体的な参画によって生まれる自分たちの地域は自分たちで守るという活動が難しくなってきている現実があります。
 こうした中で、地域には自主防災組織や消防団、ボランティアグループ、地域貢献をしたいと思っている企業など、さまざまな防災組織があり、個々に活動して成果を上げております。そこで、これらの組織を育成強化し、有効に活用するとともに、さらに進めて相互に有機的に連携させ、地域全体の防災力を向上させるための組織づくりに早急に取り組まなければならないと思います。
 そこでお尋ねをいたしますが、地域の防災力を向上させるためには、地域の実情を把握し、防災に関する十分な知識などを有した防災リーダーなどの育成や消防団の活性化が重要であると考えますが、県はどのように取り組んでおられるのか、お伺いをいたします。また、地域の防災関係組織が相互に連携し、災害時の共助活動をより一層推進するため、地域防災ネットワークづくりをモデル的に実施する必要があると思いますが、どのように考えておられるのか、お伺いをいたします。
 以上、私の壇上からの質問といたします。ありがとうございました。(拍手)



◯総務部長(西村眞君)
 事業仕分けについて御質問をいただきました。
 行政改革、とりわけ財政の健全化のためには、県と市町村、民間等との役割分担を整理し、県の仕事のスリム化、効率化を図っていくことが不可欠であります。
 こうした視点に立ち、「あいち行革大綱二〇〇五」では、市町村への事務権限の移譲、それから民間委託の推進等民間活力の活用、さらには愛知県独自のきめ細やかな行政評価の実施、そしてその活用による不要不急事業の見直しなど、さまざまな取り組みを行うこととしており、着実に行政効果を積み上げてまいりたいと考えております。
 御質問の事業仕分けにつきましても、基本的にはこうした取り組みと軌を一にするものでありまして、その効果や課題などにつきましては調査研究してまいりたいと考えておりますが、まずは新しい行革大綱によるこうした取り組みをしっかりと推し進めることが重要ではないかと考えております。
 以上でございます。



◯健康福祉部長(今井秀明君)
 虐待問題についてお尋ねのうち、まず、市町村における児童虐待に対応するネットワークの整備状況と、その整備推進に向けた県の取り組みについてお答えいたします。
 本年十一月一日現在で調査いたしましたところ、名古屋市を除く六十七市町村のうち、要保護児童対策地域協議会が既に設置されているところが十二市町村、協議会設置までに至っていないものの、虐待対応のネットワークを持つ市町村が三十五でございまして、合わせて四十七市町村、約七割が何らかのネットワークを有しております。
 その際、今後の整備予定も調査いたしましたが、今後の整備予定を含めますと、平成十七年度末、今年度末には協議会が二十九市町村、ネットワークが二十四市町村となり、合わせまして八割を超える五十三市町村が何らかのネットワークを有する予定となっております。
 児童虐待への対応は、何よりも地域における関係機関のネットワークが整備され、それが有効に機能することが大変重要でございますので、県といたしましては、今後、ネットワークがまだ整備されていない市町村に対しまして、さまざまな機会をとらえまして協議会の設置を働きかけてまいります。またあわせて、ネットワーク体制を強化推進するために、県全体を包括する協議会の設置も検討してまいりたいと考えております。
 次に、市町村の児童相談体制の整備状況と、県としての充実強化をどのように支援していくかというお尋ねでございます。
 県といたしましては、市町村における児童相談体制について、その責任担当部署を明確にするとともに、民生児童委員や学校など身近な機関も相談窓口となり、必要な情報が漏れなくその責任担当部署に集約されることが必要であると考えております。
 そこで、これらの点についても十一月一日現在で調査いたしましたところ、すべての市町村で児童相談に関する責任担当部署が指定されており、また、そのうち八割の市町村で各機関と連携がとれておりましたが、情報の集約につきましては、まだ内容的に十分でない面もございました。
 これらの結果から、市町村におけます児童相談体制の整備は、初年度としてはおおむね着実に進んでいるものと考えております。今後は、相談体制が有効に機能し、効果を発揮するために、情報が集約される体制の充実と相談に応じます市町村職員の資質の向上が求められますので、県といたしましては、市町村の現場で活用できる相談ガイドラインを年内にも作成し、児童相談センターにおいて市町村職員の研修を行うなど、引き続き市町村を支援してまいります。
 次に、高齢者虐待についてのお尋ねのうち、まず、介護スタッフなど関係職員の資質向上に関する今後の取り組みについてお答えいたします。
 高齢者虐待防止法の目的にもございますように、高齢者虐待を防止し、高齢者の方々の尊厳を保持していくためには、福祉施設関係職員の資質向上は極めて重要なことでございます。このため、県といたしましては、従来から施設で介護に携わっている職員を対象とした各種の研修や介護事業者を対象とした講習会におきまして、高齢者の方々に接するときの心構え、人権を尊重した介護のあり方などの習得に力を入れているところでございます。
 今後は、これらの研修や講習会の中に高齢者虐待防止法の理念や内容に関するカリキュラム、これも盛り込みまして、施設職員等のより一層の資質向上を図ってまいりたいと考えております。
 続きまして、県が市町村から介護保険施設などにおける虐待の報告を受けた場合の対応でございますが、県におきましては、県が所管いたします特別養護老人ホームを初め、介護保険施設などにおいて市町村からの報告を受けた場合には、迅速に立入調査を実施し、実態把握に努めるとともに、必要な指導や処分を行いまして、処分結果は公表することといたしております。
 いずれにいたしましても、常日ごろから市町村を初め関係機関との連携を密にし、高齢者虐待が発生しないよう、介護保険施設などへの助言や指導を適切に行ってまいりたいと思っております。



◯農林水産部理事(小出義光君)
 名古屋競馬についてのお尋ねのうち、まず、JBC競走の成果についてでございます。
 JBC競走は名古屋競馬のPRと新規ファン獲得の絶好の機会でありましたことから、積極的に広報活動を行いますとともに、競馬場のリニューアルなども開催に間に合うよう取り組んでまいりました。また、馬券の発売につきましても、全国の地方競馬主催者に働きかけ、これまでで最も多い七十六カ所で発売することができました。
 当日の馬券発売額でございますが、名古屋競馬始まって以来最高の十八億七千万円となりましたが、目標としておりました二十億円には届きませんでした。
 また、賞金、諸手当が高額であったことや、全国ネットによるテレビ放映など積極的に広報活動を行ったことから、収支につきましては、競馬組合からは若干の利益にとどまる見込みと聞いております。
 一方、開催当日は名古屋競馬場に開場時間前から多くの競馬ファンが並び、入場者数は当初見込んでおりました一万二千人を大きく上回る、約二万人の方に御入場いただきました。
 JBC競走を通じまして名古屋競馬を全国にPRできたことや、日ごろ名古屋競馬場に来られない若いファンにも多数お越しいただくことができ、今後の新規ファンの獲得や全国発売の拡大につながる成果が得られたものと考えております。
 次に、これまでの売り上げ振興の結果と今後の取り組みについてでございます。
 競馬組合におきましては、経営再建計画の初年度である本年度の取り組みが重要であると考えまして、積極的に売り上げ振興策に取り組んでまいりました。こうした取り組みの結果でございますが、十一月末時点での一日当たりの馬券発売額は、JBC競走開催分を除きまして、対前年同期比で九〇・三%と依然として大変厳しい売り上げ状況となっております。
 しかしながら、九月下旬の三連勝式馬券の発売やインターネットバンクによる馬券発売開始後の約二カ月間では、発売額は対前年同期比で一〇七・二%と前年を上回っている状況にありますことから、これまでの売り上げ振興策の効果が生じてきているものと考えております。
 また、入場者数も、ここ二カ月間は対前年同期比一二三・八%と増加をいたしておりますことから、県といたしましては、今後、中央競馬の優秀馬や騎手も参戦する名古屋グランプリ、名古屋大賞典といった重賞レースや、多数の来場者が見込まれます正月開催もございますので、今の流れを持続できるよう、競馬組合が行うPRや売り上げ振興のための取り組みを積極的に支援してまいりたいと考えております。
 以上でございます。



◯防災局長(恩田正美君)
 防災対策についてお答えをいたします。
 最初に、防災対策のうち、防災リーダーなどの育成や消防団の活性化への取り組みについてであります。
 災害による被害防止または軽減を図るためには、地域の防災力を向上させることのできる人材を養成することが重要なことであります。
 そこで、災害に対する正しい知識や防災活動の技術を習得をいたしました地域の実践的リーダーを養成するため、平成十四年度からあいち防災カレッジを開講し、これまでに七百十二名にあいち防災リーダーの称号を授与いたしました。さらに、養成をした防災リーダーの資質を向上するため、フォローアップ研修会も実施をいたしております。この防災リーダーは、市町村や地域におきまして防災講座等の講師、イベント会場での啓発活動などに多く活用されております。また、災害時のボランティア活動の調整役となる防災ボランティアコーディネーターをこれまでに千百九十三名養成をいたしました。
 消防団につきましては、市町村の消防機関の一翼を担うとともに、地域防災の中心的な役割を果たしていただいておりますので、県としても、企業に働く消防団員が活動しやすいよう企業の理解を深めるための啓発事業や、消防団を幅広く確保していくため、女性にも消防団に参加していただけるよう研修会を開催するなど、消防団の活性化に取り組んでいるところであります。
 また、防災面で企業の地域参加を支援するため、事業所防災マニュアルの作成手引書を作成いたしまして、直接企業に対して、また、市町村、商工会議所、商工会などを通じまして啓発に努めております。
 次に、地域防災ネットワークづくりについてでございますが、平成十五年度から自主防災組織や消防団、ボランティア、企業防災担当者などの防災関係者に参加いただきまして、地域防災力をどう高めていくかをテーマにいたしまして、「あいち防災セミナー」や「防災とボランティアフォーラム」を市町村と共同で開催をし、地域防災力の向上についての啓発を行ってまいりました。
 しかし、これからは啓発活動に加え、いざというときのために地域の防災関係者が日ごろから密接な関係を築いていくことが大変重要であると認識をいたしておりますので、今後その機運を醸成するため、市町村と連携をいたしまして、県内の各地域において防災に携わる方々による防災ネットワークづくりが自主的に進むように、県といたしましても先導的な取り組みを進めてまいりたいと、このように考えております。
 以上でございます。



◯知事(神田真秋君)
 名古屋競馬についてお答えを申し上げます。
 これまで名古屋競馬につきましては、三連勝式の馬券の導入あるいは競馬場のリニューアル、各種のPR、そして先般のJBC競走と、私ども県と競馬組合とが連携して再建に向けて懸命に取り組んできたところでございます。
 さまざまな再建策の中で、例えばトワイライトレースのように、これは残念ながら期待したほどの効果が得られなかったものもございますけれども、ここへ来て、これまでの取り組みの効果が徐々にではありますけれども出てきているように、今感じているところでございます。
 しかし、とはいえ、昨年に比べまして現在のところ入場者数は増加をいたしておりますものの、一人当たりの購買単価、これは下がっておりまして、まだまだ依然として大変厳しい状況にあると認識をしているところでございます。
 また、御質問にもありましたJBC競走でありますが、私も当日競馬場に出向きまして、つぶさに体験をすることができました。迫力あるレースでございまして、たくさんのファンの皆様方が競馬場に足を運んでいただきました。スタンドやパドック、あふれんばかりの人でございまして、地方競馬最大の祭典にふさわしい競馬場の雰囲気でございました。
 このようにまだまだ競馬に対する掘り起こしの可能性もあると思っておりますので、私どもはこのリニューアルされました快適で新しい施設の中で、魅力あるレースをより多くのファンの皆様方に楽しんでいただけるよう、さまざま再建策を進めることによって努力をしていきたいと、そして、競馬組合の取り組みをこれからも県の立場でしっかり応援してまいりたいと考えているところでございます。




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