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3月8日(議案質疑)速報
3月8日(議案質疑)議事
3月8日(議案質疑)中継


2006.3.8 : 平成18年2月定例会 速報
〜議案質疑の、質問ならびに答弁〜


新型インフルエンザ対策について

<<質問>>
 鳥インフルエンザウイルスは、通常ヒトに感染することはありませんけれども、近年、ヒトにおける高病原性鳥インフルエンザ発症事例が報告されております。通常、インフルエンザウイルスは、例えばヒトからヒトへといった同種の間で感染するものであります。しかし、インフルエンザウイルスの性質が変わる−変異する−ことによって、これまでに、ヒトに感染しなかったインフルエンザウイルスが、ヒトへ感染するようになり、そしてさらにはヒトからヒトへ感染するようになります。

 現在、新型インフルエンザの世界的流行の可能性が示唆されております。新型インフルエンザがもし発生した場合、基本的に全ての人々は、そのウイルスに対して抵抗力(免疫)を持たないため、新型インフルエンザはヒトの間で広範かつ急速に拡がると考えられます。さらに、人口の増加や都市への人口集中、飛行機などの高速大量交通機関の発達などから、短期間に地球全体にまん延すると考えられます。この世界的流行をパンデミックといいます。

 わが国では、新型インフルエンザが全国的に流行した場合、米国の疾病管理センターの計算式に日本を当てはめると、新型インフルエンザが全国的に流行した場合、1/4が感染すると予想され、また、医療機関を受診する患者数は最大で2,500万人と推定されております。
ただし、新型インフルエンザウイルスがどのくらい強い感染力を持つかについては、現段階ではわかりません。


 そこで、新型インフルエンザ発生及びまん延防止のために、厚生労働省は昨年10月28日に厚生労働大臣を本部長とする「新型インフルエンザ対策推進本部」を設置し、その対策のために11月14日に「新型インフルエンザ対策行動計画」を策定しました。
行動計画では、流行の状況を六つのフェーズ(段階、局面)に分類し、それぞれに応じた対策を
1.計画と連携
2.サーベイランス(監視体制)
3.予防と封じ込め
4.医療
5.情報の提供・共有
この5分野に分けて記載しております。
現在は、フェーズ3ということで、「ヒトへの新しい亜型のインフルエンザ感染が確認されているが、ヒトからヒトへの感染は基本的にない。国内非発生」の段階と認識されております。フェーズ3における対策の中では、国は都道府県に対して対策本部の設置や指定医療機関の確保などが要請されております。

また、行動計画では、新型インフルエンザパンデミックが発生した場合の対策として、都道府県に対して、抗インフルエンザウイルス薬を1,050万人分、国と半分ずつでありますけれども、備蓄を要請しております。御存じのリン酸オセルタミビル、商品名をタミフルといいます。

 新型インフルエンザのヒトからヒトへの感染が起きた場合、予防手段として直ちに使用できるワクチンは現時点ではありませんが、新型インフルエンザのウイルスに対して効果を発揮するワクチンの早期実用化に向けた開発努力が、日本を含め世界の各国で展開されております。

以下4点についてお伺いしたいと思います。
(1)県は国の対策推進本部の設置や対策行動計画の策定を受け、どのように対応しているのか。
(2)通常のインフルエンザに使用されるタミフルの流通状況と、新型インフルエンザ対策のタミフルの備蓄計画は。
(3)新型インフルエンザが出現することの県民の不安を払拭するために、予防対策を周知することを目的とした愛知県独自の「新型インフルエンザ対応指針」(手引き)を策定し、普及啓発する必要性への所見は。
(4)国との連携は、対策実施に関係する庁内部局の役割の分担、関係機関や県民への情報の提供・共有、対応等の体制を明確にすること、各機関相互の連携の強化についてどのような方法を考えているのか。


<<答弁:健康福祉部理事>>

(1)国の新型インフルエンザ対策推進本部の設置や行動計画の策定を受けての県の対応
 国は、昨年11月30日に全国感染症課長会議を開催し、都道府県に対しまして、11月14日に公表した国の行動計画に沿った都道府県版の行動計画の策定、対策本部の設置、そして、抗インフルエンザウイルス薬、タミフルの備蓄、以上3項目の要請を行いました。
このことを受けまして、本県は、12月19日に知事を本部長とする「新型インフルエンザ対策本部」を設置するとともに、第1回会議を開催し、対策の基本を定めました「愛知県新型インフルエンザ対策行動計画」を策定いたしました。
 この行動計画の中で、現在、国内では、鳥インフルエンザが発生した段階にとどまっておりますが、今後、人から人への感染が発生した場合におきましても、小集団感染から大流行に至るまで、流行の各段階に応じて本県のとるべき対応を定めております。
 現時点におきましては、対策本部の設置と行動計画を策定いたしましたことから、抗インフルエンザウイルス薬タミフルの備蓄とともに、患者の治療にあたる医療機関の確保に力を入れているところでございます。


(2)タミフルの通常における流通状況について
 現在流通しておりますインフルエンザの治療薬に使用されますタミフルは、平成13年2月から輸入し、販売が始められております。
年間の確保量は、1,200万人分としておりまして、国内における過去10年間の患者発生数を勘案し、最大規模のインフルエンザの流行にも十分対応できる数量となっております。
また、タミフルの流通状況としましては、昨シーズンは全国で984万人分が、今シーズンも、2月末現在で約720万人分が供給されておりまして、通常のインフルエンザに十分対応できております。

新型インフルエンザ対策のタミフルの備蓄計画について
 国は、スペインかぜ等過去の大流行を参考に国内最大で、議員お示しのように2,500万人の新型インフルエンザの患者が医療機関を受診すると推計しております。タミフルの備蓄量につきましては、通常の流通在庫から、400万人分を確保し、残りの2,100万人分を今後2年間で、国と都道府県で折半し、それぞれ1,050万人分確保する方針に基づきまして、愛知県は2年間で確保すべき備蓄目標量、これが58万8千人分の、その半分を18年度当初予算案に計上させていただいております。


(3)新型インフルエンザ流行時の対応
 備蓄薬の放出方法、流通経路など詳細に関しまして、現在、国に具体的な内容を明確にするように要望をいたしております。

 県民の皆様の不安を払拭するための啓発について
新型インフルエンザは現在のところ存在しておらず、未知の部分が多い病気であることから、県民の皆様の不安を払拭するための一般的な予防方法や鳥インフルエンザ流行地域への海外渡航の留意事項など様々な情報を提供することが重要であると考えております。
今後とも、情報不足により県民の皆様に無用な不安を生じさせることのないよう、県の保健所におきましてお問い合わせにお答えする他、県のホームページや広報媒体等による迅速かつ適切な情報提供を行ってまいりたい。


(4)体制整備と連携強化について
 現在のような新型インフルエンザが発生していない段階では、庁内の連絡会議の開催などにより情報の収集と共有化に努めるとともに、国とは患者発生を想定したシミュレーションなどを行うことにより連携の強化を図っております。
 いったん新型インフルエンザが発生した場合には、速やかに対策本部会議、専門家会議を開催し、行動計画に沿った役割分担のもとで、関係部局が一体となった対策を進めてまいります。



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