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2006.6.22 : 平成18年6月定例会 速報
〜一般質問の、質問ならびに答弁要旨〜



<1 がん対策について>
(1−1)
「がん対策基本法」が成立し、各都道府県は、国が策定する「がん対策推進基本計画」を基本として、「都道府県がん対策推進計画」を策定することになりますが、県は、今後どのような形で計画を策定し、推進していくのか

(健康福祉部健康担当局長答弁)
計画の策定に当たっては、「愛知県がん対策推進計画委員会」、仮称でございますが設置をし、幅広い意見を伺うため、がん医療の専門家やがん患者の方及びその家族又は遺族の代表者に委員をお願いしたいと考えております。
この委員会の中では、本県におけるがん対策の具体的な目標や達成時期について検討をいただき、県民の皆様からのパブリックコメントや関係機関のご意見を踏まえて、計画を策定し、がん対策の一層の推進を図ってまいりたいと考えております。

(1−2)
基本法では、基本理念として、がんに関する専門的、学際的又は総合的な研究を推進することを掲げております。とりわけ放射線医療の場合、がん医療の専門家のみならず、理系及び工学系の専門研究者の協力が不可欠であると思われます。幸い、愛知県では優秀な研究者を擁する大学があり、がんセンター、医師会など関係機関が研究協力体制を構築していくことが可能であり、また必要であると思われます。この点について、これまでの状況と今後の取り組みについてお伺いいたします。

(健康福祉部健康担当局長答弁)
他分野との連携につきましては、これまでも愛知県がんセンターが、健康長寿分野において大学や企業との連携を図るために設立されました「あいち健康長寿産業クラスター推進協議会」への参画や、理学・工学との連携による「がん細胞だけを攻撃する薬の開発」など、臨床医学への応用を視野に入れた研究を進めているところであります。
今後、先端医療技術の開発には、他分野との連携がますます重要と考えられ、県としましては産学行政が一体となり、がん克服に努めてまいります。

(1−3)
がん医療の均てん化については、平成13年に「メディカルフロンティア戦略」によって、全国どこでも質の高い医療を受けることができるよう、地域がん診療拠点病院の整備の推進が図られることになりました。 また、国は、平成16年度から開始された「第3次対がん10か年総合戦略」でも、がん医療の「均てん化」を図ることを、戦略目標として掲げております。がん医療の「均てん化」を図るためには、医師をはじめとする医療従事者の育成、医療機関の整備などが必要と考えられますが、県はどのように「均てん化」を進めるのか、お伺いいたします。

(健康福祉部健康担当局長答弁)
国は、がん医療水準の均てん化の実現に向け、今年2月に新たに「がん診療連携拠点病院の整備に関する指針」を定めました。この指針では、放射線診断・治療に関する専門的知識を有する医師の配置、又は他の医療機関から協力を得られる体制の確保、緩和医療の提供体制の整備などが、がん診療連携拠点病院としての必須の指定要件となりました。従いまして、がん診療連携拠点病院として指定を受けることが放射線治療や緩和ケアの整備につながり、均てん化に寄与するものと考えております。
また、均てん化を図るうえでは、がん医療の従事者の質の向上を図る必要があり、がん診療連携拠点病院に地域での研修の実施が義務付けられましたので、今後は地域における専門医などの育成がさらに図られるものと考えております。
なお、本県では、現在までに地域がん診療連携拠点病院として、6医療機関が指定を受けておりますが、今後はさらに均てん化の推進のため、指定医療機関のない2次医療圏におきましても順次、指定を国に働きかけてまいります。

(1−4)
同法では、がん患者のがんの罹患などの状況を把握し、分析するための取り組みを支援するために、必要な施策を講ずることを、国及び地方公共団体に求めています。愛知県では、昭和37年からがん患者の実態把握のために、がん登録事業を県の施策として実施していますが、その現状と今後の推進方法について、お伺いいたします。

(健康福祉部健康担当局長答弁)
がん登録事業は、近年のがんによる死亡の増加から、がんの実態を把握するために実施しておりまして、データは、県内のがん罹患数・罹患率やがん患者の方々の生存率の把握に活用されており、これまで県内の多くの医療機関からご協力をいただいているところであります。
最近の届出件数は、毎年約2万件となっておりまして、特に県内中央部のデータは、信頼性が高く国際がん登録学会が発行いたします五大陸、これはユーラシア、南北アメリカ、アフリカ、オーストラリア大陸でございますが、五大陸のがん罹患報告書に来年から掲載される予定となっています。
次に、がん登録事業の今後の推進方法についてでございます。 がん登録の精度をより高いものにするためには医療機関からの届出件数をさらに増加する必要がございますので、医療機関に対する働きかけを、より一層強化してまいります。
また、本事業の目的を広く県民のみなさまにアピールし、事業に協力をいただくため、県のホームページを始めとする各種広報媒体を活用した広報に努めてまいりたいと考えております。

(知事答弁)
この「がん対策基本法」は、文字通り基本法でございまして、詳細な中身は定められておりません。ただ、特徴的なのは、国も地方も計画を作り、数値目標を掲げ、達成時期も定める、5年ごとに見直そうということでございますので、これは、がん対策を推進するうえで効果があるものと思っております。加えて、早期発見、これは検診の質やら、あるいは検診率の向上に大いに役立つものと思っております。加えて、専門医の育成、あるいは医療機関の整備、これも促進されるのではないかと期待しているところでございます。
私ども愛知県では、従来から、がんセンターが中心となりまして、予防、あるいは研究・診断・治療まで幅広にがん対策を進めてきたところでございますけれども、この法律によって、法的な根拠が与えられることになりますので、より実効あるがん対策を講ずることが出来るのではないかと大いに期待をし、しっかり取組んでいきたいと思っております。
なお、均てん化でございますが、これは地域の皆様方が安心して、がん治療にあたっていただくうえでは大変重要なことであります。拠点病院と地域の医療機関のネットワークを構築して均てん化あるいは医療の水準向上に努力してまいりたいと思っております。



<2 「認定こども園」について>
県は、新しい施設として創設される「認定こども園」をどのようにとらえ、また、子育て支援の面においても、どう位置づけていかれるのか

(健康福祉部長答弁)
今日のように雇用形態が多様化したり、また、保育や教育に対するニーズが多様化していることを考えますと、保育に欠ける子どもも、欠けない子どもも一緒に受け入れて、保育と教育を一体的に提供して、子どもの育ちを一貫して支える認定こども園は、誠に時宜にかなったものであると考えております。
次に、子育て支援の面でありますが、認定こども園は、地域における子育て支援機能を持つことも必要とされておりますので、すべての子育て家庭を対象に、子育て不安に対応した相談や親子のつどいの場などを提供することにより、身近な地域における子育て支援の一層の充実・強化を図ることになるものと位置づけ、期待するものであります。
いずれにいたしましても、認定こども園については、保育所と幼稚園の機能がともに生かされ、利用しやすく、安心して子どもを預けられる施設にしてまいりたいと考えております。



<3 「食育」について>
(3−1)
国の食育推進プランの充実を受けて、本県では本年度、学校における食育推進事業をどのように取り組むのか

(教育長答弁要旨)
本県独自の事業として、子どもたちの朝食について焦点を当てた「子ども食育推進事業」を実施することとしております。
近年、朝食を食べない子どもたちの増加が見られ、このことが子どもたちの体や心の健康に影響を与えていると指摘もされておりますが、本県でも学年が上がるにつれて朝食を食べない児童生徒が増えている傾向があります。
このため、この事業では、特に成長期である中学生が望ましい朝食の必要性を考え、健康的な生活習慣を身につけることができるよう、中学生自らの朝食の献立を募集し、優秀作品について実際に調理する「我が家の元気な朝ごはん」コンテストを開催するものでございます。
また、コンテストの結果の紹介を含め、中学生の適切な朝食の在り方について啓発資料を作成し、県内全ての中学生に配布するなど、健康的な食生活の意識付けを図ってまいりたいと考えております。

(3−2)栄養教諭について
(3−2−1)
平成18年度の10名の任用及び学校への配置は、どのような選択基準で決定したのか。あわせて今後の配置計画は、どのように考えているのか

(教育長答弁要旨)
今回の栄養教諭の選考におきましては、まず、食に関する学校の指導体制を整えることが必要との観点から、学校長及び市町村教育委員会から推薦を受けた学校栄養職員を対象に、論文と口述試験を行い、十分な資質を有する者を選任したところであります。
また、配置にあたりましては、単独調理場や共同調理場等の給食の方式や地域性などを勘案し、小学校に6名、中学校に4名配置をいたしました。
この配置のもとで試行を行い、その効果も検証したうえで、栄養教諭の職務の確立や学校における体制の整備を図りながら、その後の配置を検討してまいりたいと考えております。

(3−2−2)
食に関する指導といっても多岐にわたり、大変重い責務を負うわけでありますが、具体的にはどういう仕事をするのか

(教育長答弁要旨)
栄養教諭は学校栄養職員が行っている給食指導に加え、児童生徒の食に関する広範な教育活動に係わることとなり、給食の時間の児童生徒への指導はもとより、給食委員会や学級活動の時間、また、食に関連した教科で学級担任等と連携をとりながら食の指導を行うこととしております。
その中で、栄養教諭の職務として特に推進していきたいと考えておりますのは、家庭・地域との連携であります。
食育の情報提供などを通じまして保護者との連携を深め、家庭における食への意識を高めるほか、地域農産物の給食への活用など地域と結びついた食育の推進に資してまいりたいと考えております。

(3−2−3)
栄養教諭の配置にあたって、現実の学校現場の課題には何があり、それをどのようにクリアしていくのか

(教育長答弁要旨)
栄養教諭が学校において十分成果を上げるためには、組織上どこに位置付けるのか、カリキュラムの中での指導の時間をどのように確保するか、また、共同調理場方式で給食を実施しております市町村においては、学校とどう連携していくかなどであります。

(3−2−4)
栄養教諭制度の効果的な活用のために、教育委員会としても積極的な支援を考えないと、食育の取り組みの推進という所期の目的を達成できないと思いますが、その対応と意気込みは

(教育長答弁要旨)
栄養教諭は新たな職務を担った教諭でございますので、市町村教育委員会や学校関係者への一層の周知を図るとともに、栄養教諭を配置した学校関係者の連絡会議を開催し、食に関する指導の実践の進捗状況や課題を検討したり、配置校に学校訪問し効果的な指導方法について助言するなど、必要な支援を行い、栄養教諭制度を定着させていきたいと考えております。

(3−3)
教育委員会は、食育推進課をはじめ食育に関する関係部局との連携を今後、どのように推進していくのか

(教育長答弁要旨)
子どもの食育は、自然の恵みや食に携わる人々への感謝の心を養うことも重要でありますので、地域農産物の給食への活用や子どもたちが野菜等を栽培する体験活動、さらに、生産者を招く出前講座など、地域と連携を深める活動についても、関係部局と連携を密にしてまいりたいと考えております。



<要望>
アメリカには放射線治療医は六千人いると言われています。わが国では、五百人しかおりません。専門医を増やすには、医学生を放射線治療の分野に引っ張ってこなければなりません。つまり、医師の育成には時間がかかるわけです。早急な対応策が必要であります。
ちなみに、がん患者の五六%が放射線治療を受けているイギリスでさえ、最近、放射線治療の専門家が不足して治療開始が遅れ、今やだれを優先治療するかが問題となっており、国家的政策を定めるときが来たとする報告さえあると聞きます。
日本でも、放射線治療が急増中で、一部の施設では既に治療がオーバーフローしており、だれを優先して放射線治療をするかという時代に突入しつつあると言われております。この問題に真剣に向き合わないと大変なことになります。がんの種類が変化し、手術から放射線治療へと比重が移行しつつあるという事実を軽視してはいけない、このように考えております。
一方、緩和医療の重要性が増大していることも申し上げたとおりであります。こちらも一部の例外を除いて、大学に緩和医療学の講座がないため、講義や実習はほとんど行われておりません。これに対し、イギリスでは、緩和ケアをがん医療の中心に据え、3分の2の医師が研修を終え、今では、どの病院にも緩和ケア専門の外来があると聞いております。
日本でも、緩和ケアを充実する体制を作り、緩和医療学講座の設置はもちろん、早急に医師や看護師、薬剤師などに対する緩和ケアの教育、普及を徹底しなければなりません。
そこで、こうした現状にかんがみ、県として、改めて県内の大学、関係機関及び文部科学省に対して、放射線治療及び緩和医療学に関する講座を開設し、専門医育成の緊急性を積極的に訴えていただくことを要望いたしまして終わります。





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