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2007.9.25 : 平成19年9月定例会 速報
〜代表質問の、質問ならびに答弁要旨〜
<1 県税収入の見通しと今後の財政運営について>
(一)県税収入の見通しについて
本年度の県税の当初予算額は、国から地方への税源移譲もあり、当初予算額ベースでは過去最高の一兆三,一一六億円を計上しているが、法人二税は企業の業績に大きく左右されるものであり、経済のグローバル化の進展に伴い、企業業績も海外の経済情勢の影響を受けやすく、税収の不安定要因も大変大きくなってきている。そこで、日本経済に影響を及ぼす米国経済の先行き不透明感が漂う中で、本年度の県税収入についてどのような見通しをしているのか伺う。また税源移譲額は見込み額を確保できたのか伺う。
<答弁>
県税収入は、現時点では順調に推移しております。
しかしながら、先般の新聞報道では、上場企業の連結営業利益に占める海外比率がこの3月期で初めて3割を超えたと報じられており、企業の海外での収益拡大基調が続いている中で先般の住宅融資問題に端を発したアメリカの景気不安など、先行き懸念すべき点もあります。したがいまして、税収につきましては、今後の申告状況などを十分分析し、本年度の税収を慎重に見極めてまいりたいと考えております。また、個人県民税への税源移譲額につきましては、当初予算で1,240億円を見込んでおりましたが、市町村の賦課状況から見まして若干上回る額を確保できる見込みでございます。
(二)今後の財政運営について
本年六月に「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」が成立し、平成一九年度決算から段階的に適用される。具体的には、実質赤字比率、連結実質赤字比率、実質公債費比率、将来負担比率の四つの「健全化判断比率」が定められ、平成一九年度決算からその公表が義務付けられた。これらの健全化判断比率の中でも、地方債残高等を基礎とする「将来負担比率」は、地方財政の健全性を示す指標としては初めてのストック指標であり、地方債残高の増加が将来負担比率を押し上げる、すなわち悪化させる要素となることは明らかである。そこで、新しい地方財政健全化法制の趣旨に沿って財政健全化を進めるため、今後の県債発行や公債費の増加の抑制について、どのように考えているか伺う。また、当面の財政運営の課題として、一九年度当初予算で臨時の財源対策として行っている減債基金などからの四百億円の繰入運用の解消について、本年度の県税収入の見通しを踏まえ、どのように取り組むのか伺う。
<答弁>
地方公共団体の財政状況を判断する上で、地方債残高などの将来の負担に関する指標が重視されてまいりました。本県の県債残高と公債費の状況は、本年2月に公表した財政中期試算で、県債残高は平成20年度以降も緩やかに増加を続け、平成22年度末には、3兆9,000億円と見込まれる一方で、公債費は2,800億円前後で推移すると見込んでおります。こうしたことから、県債を財源として活用する場合には、その償還額、すなわち公債費が、財政構造のさらなる硬直化を招かないよう十分留意する必要があると考えており、これまでも、県債の新規発行につきましては、平成19年度まで4年連続で前年度を下回るよう抑制してきたところであります。今後も、引き続き県税収入や公債費の動向を見極め、極力、新規発行を抑制することで、財政の健全化につなげてまいりたいと存じます。また、当面の課題である本年度の繰入運用400億円の解消につきましては、年度の中間でもあり、現時点でその見通しを申し上げることはなかなか困難であります。当面は、経費の効率的な執行により財源の確保に努めるとともに、今後の県税収入の動向により、さらなる財源の確保が可能となった場合には、臨時の財源対策400億円の解消を最優先で取り組んでまいります。
<2 地方機関の見直しについて>
今回の見直しにおいて、行政合理化に関する部分はよく工夫がなされているが、どちらかというと、これらは行政側の目線であり、県民の生活により密接している地方機関を見直すに際しては、やはり県民の目線に立って、しっかりと考え、また、説明していくことが重要である。これらの見直しによって、県民にとってのメリットを高める、そしてそれをしっかり説明する、このことが重要である。こうした県民サービスという点で、最も大きいのは県民相談への対応である。相談に応じるのは県の機関だけではなく、様々な機関が存在し、役割も異なる。すべて県の機関で受け止めるということでなく、相談先が分からない場合の窓口となる役割、あるいは相談先が多岐に渡るような場合のコーディネーターの役割、これが県に求められる大きな役割ではないかと思う。県の相談機関には、今回の見直しに関するものだけでも、県民生活プラザのほかに、保健所、児童相談センター、福祉事務所、教育事務所など様々な機関がある。そこで、知事は、今回の地方機関の見直しにおいて、県民の目線に立ち、県民相談の機能をどう充実させていこうと考えているのか伺う。
<答弁>
県民の皆様からの相談につきましては、県民生活プラザで、県政相談や消費生活相談などを行うとともに、保健所をはじめ各分野の地方機関で専門相談を実施しているところであります。今回の見直しに当たりましては、県民の方が求める相談内容に最も適した機関を探すことができるよう、新たにホームページに、市町村や国の機関を含めた相談窓口一覧を掲載するなど、情報提供を充実いたします。また、相談先の総合案内を県民生活プラザが行っていることをしっかりPRするとともに、相談員の資質の向上に努めるなど、相談のコーディネート機能の強化を図ってまいります。さらに、保健・福祉分野におきましては、心の問題や児童虐待の増加に対応し、児童相談センターの増設、保健所等の体制の強化、市町村や民間を含めた相談関係機関のネットワークの有効活用など、専門相談の機能の強化を図ってまいります。県民の皆様からの相談に対しましては、まずは窓口が分かりやすいこと、そのうえで、対応が、親切で迅速であること、そして、何よりも実際に相談が解決すること、この3点が大変重要であります。それぞれの点について、常に向上が図られるよう努めてまいります。
<3 設楽ダムについて>
いよいよダム着工に向け、ダムの規模や建設費、工期などが定められる「基本計画」の作成や、水没者等に対する補償基準の提示といった動きが本格化する。水没される方々のご意向を十分に踏まえた、新たな生活の出発点となる移転地の確保に、国や設楽町と十分に連携をして、県として万全を尽くすべきである。また、下流の市町もできる限りの温かい手を差し伸べるべきである。ダム建設によって受ける影響を緩和し、水源地域の活性化を図るために道路を始めとする各種の振興事業に対して、精一杯支援をすることが必要であり、ダム湖周辺の環境整備によって観光客を集めることや、民間団体やNPO活動による森づくり、環境教育といった上下流の交流事業の一層の推進が必要である。そこで、ダムの建設により多数の水没家屋が生じることから、県が進めようとする生活再建対策のうち、とりわけ重要な移転地の確保については、どこまで進んでいるのか、伺う。また、設楽町の振興対策について、県を始め下流市町の果たす役割は非常に大きなものがあると考えるが、その検討状況はどうなっているのか、伺う。
<答弁>
東三河地域の長年の悲願である設楽(したら)ダムの建設は、国が直轄事業として取り組んでいるものであり、県政にとりましても最重要課題の一つでございます。その設楽(したら)ダムの着工が間近に迫ってまいりましたが、まだまだ多くの課題がございます。とりわけ移転を余儀なくされます水没者などの方々に対する移転地の確保は、最優先の課題であり、事業者である国に対し、地域の理解が得られるよう対応を求めるとともに、県としても適切に対策を講じていく必要があると考えております。そこで、県におきましても、水没者などの方々の意向把握に努めるとともに、地域の活力を保ち続けるために一人でも多くの方に設楽(したら)町内に留まって欲しい、とする地元の意向にもできる限り配慮をし、町内の移転地の確保や提示に向けて、努力をしているところでございます。また、振興対策につきましては、現在、設楽(したら)町において要望をまとめる検討がなされております。これらの事業につきまして、県及び受益者である下流市町が応分の負担をすることを前提として、その範囲や規模などを整理のうえ、水源地域対策特別措置法に基づく「水源地域整備計画」や、豊川(とよがわ)水源基金による「振興計画」として、とりまとめてまいりたいと考えております。これとは別に、下流市町が設楽町内に「上下流(じょうかりゅう)交流の拠点施設」を設置することについて、その具体化に向けた検討が進められておりますので、県としても協力しているところであります。いずれにいたしましても、水源地域である設楽(したら)町の振興は、重要な課題でありますので、下流市町にも引き続き働きかけながら、移転地確保と合わせ、県としても努力してまいりたいと考えております。
<4 県立病院の運営とがん対策について>
(一)県立病院の運営について
県民は、県立病院に「安心、安全で高度な医療の提供」を求めている。しかし、循環器呼吸器病センターは、近年、大きな議論を呼んでいる「医師不足」が、消化器内科及び呼吸器内科において生じ、昨年度と比較し、今年度は大幅に入院患者が減少しており、これまでの経営改善の努力が水泡に帰するのではないかとの危惧さえ感じるまでになっている。循環器呼吸器病センターにおける「医師不足」は、経営の観点からの心配だけではなく、より重要なことは、県民の期待する医療の提供という県立病院の存在意義が果たせないことである。また、病院の機能が十分に果たせなくなる原因として、「医師不足」だけでなく、近年「看護師不足」も議論となっている。そこで、安心安全を求める県民の期待にこたえ、経営改善を進めながら、県立の5病院が、高度で専門的な医療を提供していくために、どの様に取り組もうと考えているのか、病院事業庁長に伺う。
<答弁>
循環器呼吸器病センターに於ける医師不足の本質は、全国の中規模地方自治体病院で広がっている極端な医師不足のそれと同一であると深刻に考えております。また「看護師不足」についても、特にがんセンター中央病院では、「がん医療の強化・患者増」により看護業務の厳しさが増し、看護師確保に難渋する事態となりました。病院事業庁としては、この事態に対応して、医師を含めて医療職員を5病院の枠をこえて一括管理し、それを弾力運用することにより病院間の相互扶助により、医師不足等の影響の軽減と人材の効率運用を図る自助努力を行っております。医師、看護師のこうした勤務実態に目を向け、「これまでの経営改善の成果が一歩後退してもやむなし」との思いで、「医師を中心とする医療現場の職員が生き生きと働ける魅力ある職場」創りに一層重点を置いてまいりたいと考えています。県立病院の経営改善は、医師、看護師の確保があってこそのことでありますので、こうした視点で医師や看護師の体制について、検討を進めてまいりたいと考えております。
(二)がん対策について
本県は、がん医療の均てん化の面でも、県がんセンター中央病院を始めとするがん診療連携拠点病院の整備に積極的に取り組むことにより、どこに住んでいても誰もが均しく高度ながん医療とがんに関する相談支援を受けられる体制が着実に構築されつつある。本県におけるがん対策はすでに全国でも先進的であると自負するところではあるが、がん撲滅先進県を目指すには、現在の地位に満足することなく、県がんセンターを有効に活用することにより、さらにそのレベルを向上させることが重要である。そこで、がん撲滅先進県を目指す愛知県として、今後策定する「愛知県がん対策推進計画」をどのようにして愛知らしい計画としていくのか、また、県がんセンターの機能をどのように活用して今後のがん対策を進めていくのか伺う。
<答弁>
「愛知県がん対策推進計画」につきましては、第1回の「がん対策推進計画委員会」を今月10日に開催いたしました。委員からは、「患者や家族の視点に立ったがん対策の実施」のほか、中部地区初となる重粒子線治療施設を誘致することや小児がんの方への治療後の生活を支援することなどについて、貴重なご意見をいただきましたことから、国の計画よりも踏み込んだ目標を盛り込み、実効性のある計画を策定してまいります。次に、県がんセンターの機能の活用でありますが、豊富な人材を有する中央病院は、県内唯一の都道府県がん診療連携拠点病院として、化学療法や放射線療法、さらには緩和ケアなどに関する研修を実施することにより、高度ながん医療の専門家を多数育成したいと考えております。また、他の医療機関から、診断や治療が困難な症例に関する相談や難治性がんの治療を引き受けるなどの診療支援も行い、県内医療機関のがん診療能力を確実にレベルアップさせるとともに、病院間の診療連携を強化いたします。さらに、併設の研究所における先進的ながんの疫学や予防研究の成果を活用し、科学的根拠に基づいたがん予防対策を推進することといたします。県といたしましては、誰もが安心で納得できる全国トップレベルのがん医療を受けられるよう、しっかりと取り組んでまいります。
<5 少子化対策の推進及び福祉・介護人材の育成について>
(一) 少子化対策の推進について
「子育て」を社会の中心軸に位置付け、社会全体で「子育て」を支援する「チャイルドファースト」社会、言い換えると「子ども優先社会」を構築することが、是非とも必要である。本年四月から「愛知県少子化対策推進条例」が施行され、この条例の前文には「だれもが安心して子どもを生み育てることができ、その喜びを実感し、次代の社会を担う子どもが健やかに成長することは私たちの願いである。」ということが盛り込まれており、これは「チャイルドファースト社会」と同じ趣旨であるものと理解している。今後はこの条例の内容に沿って少子化対策を積極的に推進し、その結果として、少子化の流れを是非とも変えていただきたい。そこで、今後、どのように少子化対策を進めていくのか、知事の意気込みを伺う。
<答弁>
少子化問題は、20年後、30年後の我が国の運命を決める極めて重要な問題であり、本県におきましても、県民の皆様の安心にとって「最優先の課題」と位置づけて取り組むべきものであると認識しております。しかしながら、ある施策を実施すれば必ず成果があがるというような特効薬はありません。様々な施策をきめ細やかに行っていくしかない、と考えております。そこで、本県の少子化対策の屋台骨となる「愛知県少子化対策推進条例」をこの4月から施行いたしました。具体的な事業といたしましては、「結婚を希望する若者への支援」や「一般不妊治療費への助成」などをお認めいただき、さらにこの議会には「第三子以降児の保育料の無料化」についての補正予算を提案させていただいております。先週開催されました「官民連携子育て支援推進フォーラム」で、経済界と労働界の代表と「働き方の見直し」をテーマに意見交換をさせていただきました。仕事と家庭生活を両立できる雇用環境づくりは企業の経営戦略にとっても、働く者にとっても重要であり、ひいては、少子化の流れが変えられるということで、意見の一致をみたところでありますさらに11月には、条例に基づきます「愛知県少子化対策推進会議」を開催いたしまして「子育て応援宣言」を採択し、経営者団体、労働団体、子育て支援団体等が一体となって強力に少子化対策に取り組んでまいりたいと考えております。
(二) 福祉・介護人材の育成について
介護施設の労働環境は大変厳しい状況にあり、養成施設などで介護を学び意欲に燃え職に就いた若者などが、数年のうちに介護の現場を去っていくということである。使命感を持った人たちを「やはり介護の仕事をやってよかった」と生きがいを持って続けてもらい定着を図ることが必要である。そこで、県では、福祉・介護人材の確保や資質の向上を図るため、どのような方策をとっているのか伺う。また、今後どのように取り組んでいくのか伺う。
<答弁>
福祉・介護の現場において、介護をされる方のご労苦は大変なもので、職員の使命感に負うばかりでは介護の現場を支えるのは困難な状況にきているのではないかと認識しております。本県では、愛知県社会福祉協議会に設置しております「福祉人材センター」において、求職相談やインターネットで求人情報を発信するとともに、人材の発掘の機会を拡大するため「福祉の就職総合フェア」を今年度は名古屋に加え、豊橋でも開催しております。また、現場職員に対し職務や専門性に応じて研修を実施するなど、人材の確保や資質の向上に努めているところでございます。しかしながら、福祉・介護現場では依然として離職率が高く、事業者の方々は人材の確保に苦労されておられるのが現状であります。こういった状況をとらえ、国は8月末に福祉・介護人材確保のための指針を告示したところであります。県としましては、まずは、経営者等にもこの指針を周知し、従事者を雇用する立場から適正な給与水準の確保を始めとした労働環境の改善に向けて働きかけてまいります。また、県が実施する研修内容のさらなる工夫を行うなど、質の高い人材の確保や定着対策にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
<6 地震対策について>
これからの防災対策においては、県民が自らを災害から守る「自助」と、地域社会がお互いを守る「共助」、国や地方公共団体等行政の施策としての「公助」、この三つの力が連携することが必要である。行政のみならず、県民、企業、地域のコミュニティーや自主防災組織、NPOなど、様々な主体が防災対策に取り組むことが必要であり、特に、初期消火、救出救助など発生直後の自助、共助の果たす役割は極めて重要である。住宅の倒壊を防ぐための耐震診断・改修が進んでいるのか、地域住民の助け合いによる高齢者など安否確認ができる体制があるのか、ないのか、また、避難所での避難住民への迅速な対応ができるのか、できないのかで、地震被害の軽減や発災後の対応が大きく変わってくる。そこで、愛知県では、住宅の耐震化や災害時の要援護者対策にどのように取り組まれているのか、伺う。
<答弁>
まず、住宅の耐震化についてでございますが、地震被害の最大の要因である住宅の倒壊を防ぐための耐震化対策につきましては、「第2次地震対策アクションプラン」において、最重点事業に位置づけ、木造住宅の耐震診断、耐震改修費の補助や来年度を目途に安価な耐震改修工法の実用化に向けて取り組んでいるところでございます。また、本年度の新たな取組みとして、名古屋市始め5市において旧耐震基準の木造住宅が多い地域で耐震診断を呼びかける「ローラー作戦」を実施し、住宅の耐震化をさらに促進してまいります。
次に、災害時の要援護者支援対策については、市町村が日頃から地域と連携して要援護者の情報を共有し、災害時の安否確認や避難支援などが迅速に行うことができる体制の整備を推進してまいりました。最近の地震災害においては、要援護者への支援が大きな課題となっていることから、本年8月に市町村ごとの取組み状況や課題など聞き取り調査をしましたので、その結果を十分分析して、先進的に取り組んでいる事例を情報提供するなどし、災害時の要援護者支援対策の一層の促進を図ってまいります。
<7 道路及び橋梁の維持管理について>
社会資本の多くが高度成長期に建設され、まさにこれから本格的に社会資本の維持更新の時代を迎えようとしている。社会資本の中でも、とりわけ道路は、社会経済活動や地域の交流、日常活動の基礎となるものであり、この維持管理を適切に行っていくことが極めて重要であり、知事の掲げたマニュフェストの安心・安全を支える大きな柱となるものである。県が管理する道路は地域住民にとっては、まさに生活道路となっており、その安全確保は一日たりとも欠くことのできないものである。今後、橋梁などの道路ストックは高齢化がさらに進み、その維持更新に一層の費用が必要となることが予想される中、限られた予算の中で社会資本の維持管理を適正に行っていくために、こうした住民協働の推進やこれまでの対症療法的な維持管理からの転換を図る時期に来ているのではないかと思う。そこで、今後、高齢化する道路、橋梁などの社会資本の維持更新の時代を迎えるに当たって、県はどのように維持管理を展開していくのか、伺う。
<答弁>
道路は、県民の皆様の安心・安全な日常活動の基盤となっていることから、道路パトロールと的確な修繕、さらには住民協働の推進、により常に良好な状態に保つよう、努めております。しかし、道路施設は、その多くが高度経済成長期に建設されており、特に橋梁については、本県が管理する約4,000橋のうち、既に半数が建設後30年を超え、50年を超えるものも700橋に達するなど道路施設の高齢化が進んでおり、まさに維持管理の時代を迎えております。こうした中、本県ではアメリカのミネソタ州で発生した落橋事故を重く受け止め、今議会に補正予算をお願いし、高齢化の進んでいる橋梁を中心に緊急点検を行いたいと考えております。また一方、施設の維持管理を効率的に行うため、「予防保全」の視点も取り入れ、ライフサイクルコストの最小化や施設の長寿命化に取り組むなど、今後とも「元気な愛知」の基盤となる道路施設の的確な維持管理に努めてまいります。
<8 「知の拠点」計画について>
今回「知の拠点」へ誘導が計画されているシンクロトロン光利用施設は、「モノづくり」への活用を念頭に置いた地域共同利用施設の実現を目指しており、これまでの国内施設にはない産業界が利用しやすい支援体制や、利用サービスを充実させていくとのことであるので、是非、中堅・中小企業への普及啓発、利用促進に取り組んでもらいたい。そこで先に知事は産業界、大学等と協力しながら検討、調整を図ると答弁したが、シンクロトロン光利用施設の誘導・整備に向けた現在の状況を伺う。また、この施設の実現に対して、地域の産業界からはどのような期待があるのか、また、施設の産業利用、特に中堅・中小企業への普及啓発、利用促進に対して、今後、知事はどのように取り組まれるつもりか、伺う。
<答弁>
日本を牽引する本県のモノづくり産業の活力を維持発展していくその力の源泉となるのが、科学技術への取り組みによるイノベーションであります。これを絶えず生み出すために「知の拠点」づくりを本県の最重要課題として推進しているところでございます。「知の拠点」では、次世代モノづくり技術を創造・発信する拠点として、ナノテクを核に共同研究開発に取り組みたいと考えております。その際に最先端で重要な研究施設として、産・学から期待が高まっているものが、「シンクロトロン光利用施設」であります。その活用成果としては、例えば、長い寿命の自動車排ガス浄化触媒の開発につながり、コストの低減や環境の改善につなげたというすばらしい実績があります。こうしたシンクロトロン光利用施設の整備に向け、昨年12月から地域の産・学・行政の関係者からなるワーキンググループを設けて8回にわたり検討を重ねてまいりました。その結果、企業の方々が利用しやすく、モノづくりに対応できる施設の方向性が見えてきたところです。また、この施設は高度な計測分析施設であることから、使い方がわからない企業も多いため、地域の大学が協力し、「大学連合」として、利用者支援のための専門的人材を出してもらう方向での検討も進んでいるところです。一方、施設整備には多くの資金が必要となるため、産業界には資金面での支援をお願いしていかなければならないと考えております。引き続き、早期実現に向けて、産・学・行政の合意形成に努めてまいります。
次に、産業界の期待、及び普及啓発についてでありますが、これまで100社を超える企業に対して、詳細なアンケート調査やヒアリングを実施しました。その中で、地域の産業界からは、早期実現を望む声が寄せられている一方、最先端の計測手段であることから、中堅・中小企業を中心に自社の研究開発や評価分析にどのように活用できるのか分からないとの声もございます。従いまして、中堅・中小企業への利用促進については、活用事例を示しつつ、普及啓発事業を展開していくことが重要と考えております。そこで本県では、この11月に日本最大のシンクロトロン光利用施設で、兵庫県にあるSPring(スプリング)-(−)8(エイト)と共催で、産業利用者を開拓するため、産業利用事例の紹介と技術相談を行う講演会・相談会を開催するなど、今後とも普及啓発活動を行っていきたいと考えております。
<9 多文化共生社会づくりの推進について>
人口減少や産業経済活動のグローバル化により、今後も外国人労働者の増加や定住化の進展が予想される中で、外国人を一時的な滞在者ではなく、共に暮らし、地域をつくっていくパートナーとして受入れていくことが重要。県としても、日本人である地域住民の声にも耳を傾けながら、外国人が地域社会で自立して日本人と共生していくことができるよう、子供も含めた日本語の学習支援や生活面全般に亘る支援を総合的に行うべきである。また、外国人労働者を雇用あるいは受入れている企業に対しては、雇用者・使用者としての社会的責任を認識し、外国人労働者の労働環境の安定や日本語の習得などに心がけるよう、行政としても働きかけていく必要がある。そこで、外国人と愛知県民が共に学び、共に働き、共に安心して暮らせる多文化共生の社会づくりに向けて、どのように取り組んでいくのか、伺う。
<答弁>
国籍や民族などの違いに関わらず、誰にとっても暮らしやすい地域環境を作っていくことが、極めて重要でございます。このため、有識者会議から昨年度、提言をいただきました多文化共生社会づくりの方向性などを踏まえまして、今年度、地域の声などにも配慮しながら、今後5年間の行動計画の策定に取り組んでいるところでございます。とりわけ、子供の日本語学習支援や、外国人労働者の適正雇用を促進する憲章の普及、「多文化ソーシャルワーカー」の更なる養成、活用など、在住外国人の方が地域社会で自立、共生できる環境づくりを重点に、検討を鋭意進め、順次実行に移して参りたいと考えております。また、その推進にあたりましては、市町村や企業、NPOなどとの連携・協働にも十分意を用いて参りますとともに、色々な制度の関わりがありますので、国に対しましても、必要な法制度の整備など、引き続き強く要望して参る所存であります