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2007.12.6 : 平成19年12月定例会

◯六十五番(渡会克明君)
 議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして順次お尋ねをいたします。
 まず初めに、地域振興対策について、ここでは特に過疎集落対策に関してお伺いをいたします。我が党では、高齢化で共同体機能の維持が困難な地域、いわゆる過疎集落の活性化対策を地域格差是正の重要課題の一つとしてとらえ、現在、全国的な調査を進めているところであります。過疎集落については、最近では、限界集落という言葉をよく耳にしますが、これは長野大学の大野教授が提唱されているもので、六十五歳以上の高齢者が半数を超え、地域社会での共同生活が困難な集落ということであります。この限界集落という表現に端的にあらわれているように、今がもう限界という危機的状況が過疎集落で起こっているわけであります。
 本県におきましても、県土の保全、水源涵養、自然環境の保全など、広域的に重要な機能を果たしております三河山間地域において、この過疎集落の問題を抱えております。三河山間地域は、人口流出や高齢化の進行により、また、主要産業である林業の長期停滞から非常に厳しい状況にあります。とりわけ、大都市地域から遠く離れ、奥三河と言われる新城設楽地域は、三河山間地域の中でも特に過疎問題が深刻であり、極めて厳しい現実に直面しております。奥三河では、最近、七百年以上前から伝わる国の重要無形民俗文化財である花祭りが集落の著しい高齢化による後継者不足などで、昨年一地区、ことしもまた一地区と消え去りつつあるとのショッキングなニュースが伝えられております。まさに、各地の集落に受け継がれてきた伝統文化や伝統芸能が消失しかかっているという現実があります。こうしたことに象徴されるように、奥三河の小規模な集落では、高齢化の著しい進行により、集落の行事や清掃、道路・用水管理といった基本的な活動の維持が困難になってきております。農地や山林が人の手が入らなくなって荒廃すれば、保水力が失われ、下流域では渇水や増水などの被害も考えられます。そうした中にあって、知事は、本年九月県議会の我が党の代表質問における設楽ダムに関する質問に対し、東三河地域の長年の悲願である設楽ダムの建設は、県政にとって最重要課題の一つであること、水源地域である設楽町の振興は重要な課題であることを答弁の中で示されました。これは、上流水源地域の振興は、下流都市地域を含めた流域全体、さらには県全体にとって極めて重要な課題であるとの認識を示されたものであり、大いに賛同するものであります。東三河地域は、豊川用水や整備促進が求められている東三河縦貫道などの社会的基盤を共通媒体とした南北軸による地域の一体性を見ることができます。言いかえれば、山村、農村、都市の相互のつながり、地域間の交流が大変重要であり、こうした南北を軸とした視点からとらえれば、過疎集落対策は単に一部の山村や対象地域だけの問題ではないと思うのであります。
 また、県では、このたび、地方機関の再編で、本庁に山村振興推進本部、山村振興室を設置し、また、奥三河山間地域振興の現地総合窓口として、新城設楽山村振興事務所を設置され、三河山間地域の振興に積極的に取り組んでいく姿勢を示しておられます。過疎集落の問題に見られるように、奥三河の過疎問題が依然として厳しい状況にある中で、このたびの地方機関の見直しで、山村地域の振興強化を柱の一つとして打ち出されたことは、まことに時宜を得たものと評価するものであります。
 そこでお尋ねをいたします。県では、今回の地方機関の再編の中で、新城設楽山村振興事務所を設置されますが、この事務所はいかなる組織でいかなる機能を担うのか、お伺いをいたします。さらに、三河山間地域の集落について、どのように認識し対応していかれるのか、お伺いをいたします。

 次に、本県行政事務のIT化への取り組みについて、セキュリティー対策を中心に三点伺います。
 一点目の質問は、IT化の進捗状況についてであります。情報通信技術、いわゆるITの進歩は目覚ましく、企業や国、地方自治体における業務の効率化への利用はもちろんのこと、携帯電話やインターネットの普及など、家庭の隅々にまでITが利用され、社会へ大きな影響を与えるようになりました。 国においては、平成十三年一月に高度情報通信ネットワーク社会形成基本法(IT基本法でありますけれども)を施行するとともに、高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT戦略本部であります)を設置いたしました。その後、平成十三年三月にe Japan戦略、平成十八年一月にIT新改革戦略を設定し、IT社会の実現に向けた施策を進めてまいりました。この結果、インターネットについては、日本が世界で最も安くスピードの速いサービスを提供できるまでになり、我が国のIT環境は世界の最先端に位置づけられるようになりました。このような流れの中で、本県の行政事務のIT化への取り組みにおいても、平成十一年一月に行政事務のより一層の効率化、高度化及び県民サービスの向上を目標に、本庁と地方機関の間を高速の通信回線網で結ぶ愛知県行政情報通信ネットワークの運用が開始されました。この行政情報通信ネットワークは、本庁及び地方機関を網羅する全庁的な情報基盤であり、運用開始当初からインターネットへも接続されていましたが、平成十三年十月には、さらに国、都道府県や市町村との情報交換が可能となる総合行政ネットワークとの接続が完了をいたしました。また、平成十七年一月からは、職員がネットワークを利用するときの入り口である職員ポータルサイトの運用が開始されております。このポータルサイトには、総合文書管理システムや財務システム、総務事務システムといったさまざまな情報システムが接続されております。今や、職員が行政事務を遂行する上で、パソコンを利用したネットワークはなくてはならない存在となっております。一方、本県の情報化施策の推進に目を向けますと、平成十四年三月にあいちITアクションプランを、平成十九年三月にあいちITプラン二〇一〇を策定し、県と県民とがITを一層高度に利用していけるよう、各部局の情報化施策を総合的、計画的に推進しようとしていることは評価できるところであります。
 そこでお尋ねをいたします。行政情報通信ネットワークの運用開始が平成十一年一月ということから、かなりの数のパソコンが職員に配備されてきていると思いますが、県庁内のパソコン配備状況についてお伺いをいたします。また、県立学校教員へのパソコン配備状況についてもあわせてお伺いをいたします。

 次に、二点目の質問は、情報の管理についてであります。
 電子政府・電子自治体の構築が進み、便利になるにつれて、個人情報などの重要な情報が流出する危険性が高まってまいります。実際、ここ数年、企業の社員や官公庁の職員が情報を外部に持ち出し、自分のパソコンで業務を行って、情報漏えいにつながる事件がたびたび発生し、社会問題化したため、昨年の三月には首相みずからが情報を流出させるウイルスの標的となっているファイル交換ソフトの使用自粛を国民に呼びかけたところであります。しかしながら、その後も情報流出はやむことなく、現在でも毎日のように流出事故が報道されております。本県においても、ことし六月に、県立高校において、生徒の成績などの情報を無断で記録媒体に入れて持ち出し、自宅のパソコンに保存したところ、そのパソコンがウイルスに感染し、ファイル交換ソフトを通じて個人情報がインターネット上に流出する事故や、八月には、建設事務所において、用地買収中の土地所有者の名前が入ったフラッシュメモリが盗難に遭うという事件が発生をいたしました。最近は、情報を記録するメモリが安くなり、しかも、大量の情報を記録できますので、ちょっとした人的ミスで個人情報などの重要な情報が大量に流出する危険性があります。また、私もよく利用しておりますが、パソコンからの電子メールについても、迅速で手軽であるため、業務上でも頻繁に使用されていると思います。業務の効率性などを考えれば、全く外部とメールのやりとりをできなくすることや制限をかけることは難しいとは思いますが、やはり重要なデータが流出する危険性は常に存在しているという認識が必要だと考えます。
 そこでお尋ねをいたします。IT化の進展とともに、情報セキュリティーに対する県民の関心が高まっておりますが、職員がパソコンを利用する際のセキュリティー対策として、どのような措置を講じているのか、お伺いをいたします。

 三点目の質問は、昨年十月にオープンした総務事務センターの情報セキュリティーについてであります。
 このセンターは、行政改革の一環として、職員の給与、旅費を初めとした内部管理業務について、ITの活用、集中化、コスト削減等を推進するため、平成十四年十一月に策定された内部管理業務プロセス改革プランに基づき設置されたものであります。本庁及び各地方機関すべての職員約一万四千人の旅費、給与等の支払い事務や各種手当の認定事務を一括処理しており、順調なスタートが切れたと伺っております。さらに、来年一月からは、県立学校の教員一万一千人を処理対象に加えるとのことでありますので、内部管理業務の効率化、合理化がさらに推進されるものと期待をいたしております。また、このセンターの特徴の一つは、各種申請等に係る審査補助や職員からの問い合わせへの対応など、定型的業務の事務処理を積極的に民間委託、いわゆるアウトソーシングし、コスト削減を図ったことであります。このことは、行政改革の観点から特に評価をしたいと思います。しかしながら、違った側面から見ると、これは県職員のみではなく委託業者の社員が二万五千人分もの個人情報を取り扱うということになります。私自身も、平成十六年九月議会で個人情報保護の重要性を訴え、質問させていただきました。個人情報を扱う部署においては、さまざまなセキュリティー対策を講じることにより、個人情報漏えい事故の防止等、情報セキュリティーの確保に努めることは当然のことであります。ことしの十月にも、千葉県の職員の部署名、氏名、メールアドレスなど個人情報の電子データが業務委託先の社員のパソコンから流出したことが報道されましたが、このような個人情報の流出事件が毎月のように発生をしております。もし、県職員の個人情報を集中処理する総務事務センターで情報漏えい問題が発生すれば、県全体の個人情報の保護、管理を問われることになります。
 そこでお尋ねをいたします。総務事務センターにおける個人情報保護、セキュリティーの確保について、どのような対策がなされているのか、お伺いをいたします。

 最後に、教育問題についてであります。現場の教員が教育に集中して取り組めるため、教員の教える環境の整備が急務であるとの視点から二点質問をいたします。
 昨今の学校教育は、複雑・多様化しておりますが、そうした中、本県では、さまざまな教育課題を解決するために、中期的視点に立ち、あいちの教育に関するアクションプランが策定され、教育委員会だけでなく知事部局、警察とも一体となって、具体的な施策の推進、評価、改善を図ろうとしていると聞いております。その成果が早期にあらわれることを期待しているところであります。小学校においては、一年生で実施されている三十五人学級を二年生へも拡大するなど、よりきめの細やかな教育の実現に向けての環境整備が進みつつあります。学校現場においては、授業や部活動などの通常の教育活動はもちろんでありますが、いじめや不登校あるいは非行等の問題行動など、子供たちを取り巻くさまざまな課題に対しても全力で対応していかねばなりません。また、学校の教育活動が家庭や地域からの理解を得るために、学校新聞やホームページなどによる情報発信を初め、地域へ出かけての学習活動、地域行事への子供たちの参加、そして、企画や運営のスタッフとして活躍したりするなど、地域との交流活動も大切にし、保護者や地域社会との連携にも積極的に取り組んでいる学校がふえてきたそうであります。しかし、他方では、あいさつや返事、机で座っての勉強をするというような当たり前のことが当たり前にできない子供たちや、学ぶ意欲の低下が懸念される子供たちがふえており、その指導が非常に難しくなってきているとも聞いております。加えて、最近では、俗にモンスターペアレントなどと呼ばれる理不尽な訴えを執拗に繰り返す保護者や、何にでもかみつくクレーマーの存在も問題になっております。本県においては、我が子しか眼に入らない利己的な保護者や、過度な要求をする地域住民は決して少なくないのではないでしょうか。自己中心的な要求を通すために、情報公開や訴訟などの社会制度を乱用したり、報道機関や他の行政機関への通報をおどし的にちらつかせるなどの卑劣な申し立てにも、学校は、他の意見や要望同様に誠実に対応しなければなりません。子供と向き合い、教育課題の解決に専念すべき教員がそうした保護者や地域住民からの苦情への対応に追われ、疲れ切ってしまっている状況があるのではないかと心配をしております。昨年度、文部科学省が行った教員の勤務実態についての調査でも、教員の多忙な実態が明らかになりました。あれもこれもと学校現場はまさにオーバーワークぎみに頑張っております。教育は、教師と子供たちとの人間的な触れ合いを通して営まれるものであります。人間教師としての力量を十分に発揮できる環境づくりが必要であります。教師が教育の本質以外の事柄に忙殺され、本務である子供たちとの触れ合いが十分できないようでは大きなマイナスであります。こうした困難な状況のある学校に、豊富な経験とすぐれた力量を持つ退職教員を学校のお助けマンとして派遣し、直接地域や保護者への対応に当たらせることも一つの方策ではないでしょうか。苦情や抗議などに対しては、当事者以外の者が窓口となるだけで学校の負担は随分軽減されると思います。また、指導に難しさを感じている若い教員に対して、具体的な経験をさりげなく語るベテラン教師の一言は大きな支えになります。退職教員を活用した現場教員が利用しやすい相談体制を考えてみるのも一つの方法であります。
 そこで、現場教員の教える環境を整備するという視点から一点目の質問であります。大量退職、大量採用の時代を迎え、ベテランの先生方が培ってきた知識や経験をいかに継承するかという観点から、退職教員の有効活用は重要な課題だと考えますが、県教育委員会のお考えをお伺いいたします。
 二点目は、教員のメンタルヘルスに関してであります。多忙な毎日、多くの課題を抱えたストレス、さまざまな苦情対応などに明け暮れる中、精神を病んでしまう教員も多いようであります。このことは、教員ばかりでなく社会一般の現象であり、二〇〇七年版障害者白書によれば、精神障害のある人の数が平成十七年には平成十四年より約四十五万人ふえ、初めて三百万人を超えたとの報告があります。当然、ストレスの多い学校現場において、そのストレスへの対応をどうするか、そのノウハウをしっかりと持っていることは教員にとって欠かせない能力であると思います。そのように、精神的なタフさ、スキルアップを体得する研修の導入も求められているのではないでしょうか。当然、働きやすくストレスの少ない職場環境づくりや、教員の心身の健康増進も大切なことであり、心に重荷を感じたとき、早期に相談することで療養休暇や休職に至るような重症化を防ぐことができると考えます。
 そこでお尋ねをいたします。精神疾患にかかわる本県教員の現状と取り組みについてお伺いをいたします。

 以上、私の壇上からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)


◯地域振興部長(的井宏樹君)
 県庁内のパソコンの配備状況についてお答えをいたします。平成十一年一月の行政情報通信ネットワークの運用開始後、行政事務の効率化などの観点から、行政事務を行う全職員にパソコンが行き渡るよう配備を進めてまいりました。その結果、本庁におきましては平成十四年十月に、また、地方機関におきましては平成十六年二月に一人一台パソコンの配備を完了し、この十二月一日現在で行政情報通信ネットワークには一万二千二百五十六台のパソコンが接続、配備されております。このほか、行政情報通信ネットワーク以外の防災用のネットワークなど他のネットワーク用のパソコンでございますとか、単独利用のパソコンが三千三百四十二台ございまして、これらを合わせますと、本県には県立学校の教員及び警察分を除きまして、一万五千五百九十八台のパソコンが配備がされております。
 続きまして、パソコンを利用する際のセキュリティー対策についてでございます。本年三月に、情報セキュリティーに関しての全庁的な基本方針や行動指針を示します情報セキュリティポリシーを改正をいたしまして、情報漏えいに関しまして一層の対応を図ることといたしました。この内容といたしましては、パソコンや記録媒体などの情報資産を重要度により分類いたしまして、管理をすること、あるいは記録媒体を許可なく持ち出すことや、重要情報を許可なくメール送信することの全面禁止など、情報漏えいを防止するための規定を強化あるいは明確化をいたしまして、情報管理に万全を期することといたしたところでございます。
 次に、行政情報通信ネットワークのセキュリティー対策でございますが、従来よりファイアウオールなどによる不正侵入の防止でございますとか、ウイルス対策ソフトによりますウイルス被害の防止、あるいはパソコン管理ソフトによりますパソコンの不正利用防止など、必要な対策を実施をしてきているところでございます。さらに、一人一人の職員の意識を高めまして、セキュリティー対策を徹底するために、この七月には、情報の持ち出しに関する緊急一斉点検を全庁的に実施いたしますとともに、あわせまして、情報管理の留意点を記載をいたしました情報漏えい防止対策十カ条といったものを全職員に配付をいたしました。また、情報化リーダーや新規採用職員への研修でございますとか、各部局の職場研修などを行いまして、さまざまな方法で周知徹底を行っているところでございます。なお、先日、教育委員会の委託業者のシステムに対する設定ミスによりまして、メールアドレスを流出する事案が発生をいたしましたが、このようなことがないよう、改めまして全部局に対して、委託業者も含めたセキュリティー対策の徹底を求めたところでございます。今後とも細心の注意を払い、情報セキュリティー確保はもとよりその対策の徹底強化を図ってまいります。以上でございます。



◯教育長(伊藤敏雄君)
 県立学校のパソコンの配備状況についての御質問と他の教育に関する御質問にお答えをいたします。県立学校の教員へのパソコンにつきましては、行政事務を行う職員への配備を先行的に進めてまいりましたが、授業や校務などの教育利用とともに、来年一月に開始する総務事務入力に利用するため、今年度新たに約五千台、おおむね二人に一台の配備を行ったところでございます。また、こうした情報環境の整備にあわせまして、県立学校版の情報セキュリティポリシーを策定するなど、情報機器や電子的情報の管理の徹底を促してまいりました。御質問にもありました県立学校の教員による大量の個人情報流出事故を受け、このセキュリティポリシーを改正をし、個人情報を含めた業務情報の持ち出し要件の一層の厳格化など、知事部局と同様の諸対策を講じ、情報の厳重な管理についての周知徹底を図ってきたところでございます。また、全教員を対象に個人情報の保有状況の点検、報告と不要な情報の確実な削除等についても指示をいたしたところでございます。今後とも、県立学校における情報の管理、セキュリティー対策の徹底強化を図ってまいります。なお、地域振興部長の答弁にありましたように、本県の生涯学習情報システム学びネットあいちにおきまして、一部個人情報の流出がありました。関係の方々に御心配と御迷惑をおかけしたことをおわび申し上げます。今回のことは、システム保守を委託しております業者の設定ミスによるものでありますが、業者に対しての再発防止の指導も含め、個人情報の管理につきまして万全を期してまいりたいと考えております。
 次に、退職教員の活用についての御質問にお答えをいたします。退職教員のすぐれた知識、技能と豊かな経験を若い世代の教員の育成や教育相談活動などに活用していくことは、大量退職期におけるこれからの学校教育を推進していく上で大変有効なことと考えております。現在、教育委員会では、指導実績のある退職教員を新規採用者の指導教員として配置したり、授業名人として活用し、見本授業や指導技術を高めるための研修を行うなど、若い世代の教員の支援に努めております。また、各教育事務所に退職教員を家庭教育相談員として配置をいたしまして、不登校などで悩みを持つ家庭を訪問し、相談や指導を通じて学校への支援を行っているところでございます。お示しのように、保護者や地域住民からの意見、要望の中には、利己的で過度な要求もございますが、こうした課題に対して全職員で組織的に対応することはもとより、学校運営の中で再任用を活用した退職教員のアドバイスを受けることも有効であると考えております。今後も、学校や多忙な教員を支援する観点から、意欲があり豊富な知識と経験を備えた退職教員の多様な活用を積極的に検討してまいりたいと考えております。
 次に、精神性疾患に関する教員の現状と取り組みについて御質問いただきました。前の御質問とも関連いたしますが、教員が精神的にも健康な状態であるためには、学校を取り巻くさまざまな課題に対して担当教員を孤立させないよう、管理職を初め学校が一丸となった体制を確立することが重要と思っております。お尋ねの精神性疾患の現状でございますが、学校における病気休職者のうち精神性疾患による休職者の割合は、平成十六年度が五七・一%、十七年度が六〇・二%、十八年度が六一・七%を占めておりまして、精神性疾患による病気休職者は年々増加傾向にございます。こうした状況に対しまして、専門医による精神健康相談窓口を県総合教育センターに設け、教員のメンタルヘルスの保持等に関する相談に応じておりますほか、毎年管理職を対象にメンタルヘルスに関する研修会を実施をいたしましたり、一般教員には自己診断方式のストレスチェックを行うなど、職場全体で未然防止や早期発見に努めているところでございます。また、本年三月には、教員のメンタルヘルスに関し、教員が気軽に相談できるような職場環境の改善などについて、各学校に通知をしたところでございます。さらに、来年度からは、一般教員を対象に県総合教育センターのeラーニングを活用した新たなメンタルヘルス研修を実施したいと考えております。ストレス社会と言われる今日、学校現場でもさまざまなストレス要因がありますが、地域や保護者の皆様方にも学校や教員の抱える課題について理解を求め、その解決に向け、協働して努力していくことも必要であると考えているところでございます。



◯総務部次長(原田泰君)
 IT化の取り組みの質問のうち、総務事務センターにおける情報セキュリティー対策についてお答えを申し上げます。総務事務センターでは、業務の一部を民間の業者に委託をしておりますので、情報セキュリティーにつきましては、契約書の中で、秘密の保持、個人情報の適正な管理など必要な措置を盛り込みまして、各種の対策を講じているところでございます。具体的には、あらかじめICカードが発行された者のみ執務室に出入りできるシステムの導入を初めとして、フロッピーディスクなど記録媒体への書き込みができないパソコンを使用していること、さらには、インターネットにつきまして、旅費の経路の検索など業務に必要最小限の情報以外は利用できないことといたしております。また、委託先の社員に対しましては、執務室への携帯電話の持ち込みを禁止していることや、定期的に研修を実施するなど、きめ細かな対策を行っているところでございます。一方、県の職員に対しましては、個人情報の持ち出しを禁止するなど、県が統一的に定めた基準を遵守させることといたしております。本県の情報セキュリティー対策は、他府県に比べまして先進的な取り組みを行っておりますけれども、二万五千人を超える多量の個人情報を取り扱っておりますので、今後とも一層の対策の充実に努めまして、個人情報の保護に万全を期してまいります。以上であります。



◯副知事(西村眞君)
 私からは、地域振興対策についてお答えをさせていただきます。まず、山村振興事務所の組織及び機能についてであります。山村振興事務所は、他の地域では県民事務所が担う県民サービスと安心・安全の中核機関としての役割に加えまして、現地における山村振興の総合窓口の機能をあわせ持つ事務所といたします。その組織といたしましては、仮称ではありますが、県民安全防災課、山村振興課、環境保全課の三課を設置したいと考えております。こうした体制のもとで、山村地域特有の課題を解決するための地域のコーディネーターとしての機能を充実強化をしてまいります。また、従来、県事務所で実施をしてまいりました市町村行財政支援の事務なども引き続き実施してまいります。一方、本庁に設置をいたします山村振興推進本部、これは私が本部長となりますが、ここでは、現地での解決が困難な大規模な課題につきまして、施策の立案や事業の企画などを行うこととしておりますが、日ごろから山村振興事務所との連携を密にし、事務所が把握した地域の実情やニーズなどの情報を十分活用してまいります。
 それから、次に、三河山間地域の集落についての認識、対応であります。三河山間地域は、その九割が森林に覆われ、その中に大小の集落が点在をいたしております。この地域は全体として、人口の流出や著しい高齢化の進行、地域の主産業であります農林業の停滞など、厳しい環境にあり、中でも奥地に点在をします小さな集落は、過疎問題がより深刻であります。こうした状況のもとでは、県土保全や水源涵養などの機能低下を招き、流域全体にも大きな影響を及ぼすと考えられます。県では、これまで市町村道の県による代行整備や簡易水道の計画的な普及、それから過疎バス路線への支援、それから情報格差の是正対策などを通じまして、小集落を含め山間地域の集落におけます生活条件の確保に努めてきたところでありますが、しかし、小規模で高齢化が著しい集落につきましては、その実情がいまだつかみ切れていない面もございますので、本年度、市町村の協力を得まして、個々の集落の実態把握を行うこととしております。その結果を踏まえまして、必要な対策を検討してまいりたいと考えております。今後、県といたしましては、来年度から予定をいたしております組織再編のもとで、山村振興を強力に推進をしていくこととしておりますが、その中で、集落の機能維持や活性化を流域の上下流、それから南北軸、さらには県土全体という広域的視点からの重要課題の一つととらえて、しっかり対応していきたいと、こういうふうに考えております。以上でございます。



◯六十五番(渡会克明君)
 それぞれに御答弁をいただいたところであります。私は、一点要望、確認をさせていただきたいと思います。過疎集落対策についてということで、今、副知事より御丁寧なお話がありました。私は、先ほど冒頭にお話を申し上げましたように、我が党におきましても、この地域格差という一つのテーマのもとに、全国で、簡単なものでありますけれども、アンケート調査を行っております。これは、そういう限界集落、過疎集落を抱える自治体と、そして、そこに住んでいらっしゃる住民の方、こういった方にアンケートをしておりまして、その御紹介をもって要望にかえさせていただきたいと思うんですけれども、きょう、私が申したいのは、これは申していいと言っていましたけど、東栄町のある集落にお住まいの区の役員の方からのアンケートでありまして、東栄町は世帯数が千八百くらいだということであります。人口が四千二百九十五人だとおっしゃっていました。これは御自分で丸を打つようになっているわけでありますけれども、六十五歳以上の高齢者の比率が五割以上であるというふうにここに丸を打たれております。アンケートは、過疎化が進んだ原因は何ですか、十項目ぐらい列記をしてありますけれども、そのとおりに読みますけれども、この方は、工場、炭鉱等の閉鎖というところに丸が打ってあります。それと農林水産業の衰退、もう一つは公共交通機関がないというこの三点を、三つ選択ということでありますので、ありました。もう一つは、今、一番問題となっていることは何ですか。二十問、選択肢をつくりました。その中で五つ丸を打っていただくようにしたんですけれども、一つは耕作放棄地が増えている。それから、働く場所や仕事がない。三つ目には観光資源が少ない。私、花祭りの話をしたんですけれど、観光資源がない。四つ目には道路の交通網に不便を感じる。そして、五番目にこの方が丸を打ったのは、シカやイノシシなどの被害で困っているという、こういう現実でありました。私は今、副知事の答弁で非常に期待をして、今年度にはとおっしゃいました。やはりまずは、この事務所の方が現場に赴いていただいて、実際、その現地で皆様方がどう思ってみえるか、そして自治体は、現実はどういうところで苦慮してみえるか、こんなことをまずは確認をしていただきたい。やはりよく言われるように、現場に知恵がありまして、そこから皆さんの声を聞くことによって、すばらしい施策に反映ができると思うんですね。そういう意味では、今、副知事が答弁していただいたことをきちっと胸におさめてお伝え申し上げたいと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。




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