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2008.9.25 : 平成20年9月定例会

◯六十四番(渡会克明君)
 議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして、順次お尋ねをいたします。
 まず初めに、住宅施策についてお伺いいたします。議場の皆さんは、住宅問題の研究者が言う住宅すごろくという言葉を聞かれたことがあるでしょうか。懐かしいすごろくという言葉も今では余り耳にしません。例えば、振り出しの独身時代や新婚時代は小さなアパートに住んで、子供が生まれたら少し広目の賃貸マンションに移り、やがて分譲マンションを手に入れ、子供が少し大きくなると分譲マンションを売り払って住宅ローンを組み、返済の負担に苦しみながら郊外の庭つき一戸建てを手に入れたところで上がりというものであります。これが今まで一般に典型的と信じられてきた住宅すごろくと呼ばれる住宅の住みかえパターンであります。
 その後、人々の住まいに対する考え方も大きく変化し、それを踏まえ、平成十八年六月に制定された住生活基本法では、住宅政策を従来の戸数の確保を目標とする体系から、住生活をどう向上させていくかという政策、いわゆる量から質へと転換をいたしました。例えば、すごろくの上がりだったと思っていた庭つき一戸建ての住宅から、子供がひとり立ちし、子育てが終われば、夫婦二人の生活に大きな家は必要ありません。高齢者の方たちが長く郊外の一戸建てに住むのは余り合理的でないということで、もう一度、今度はもう少し便利で介護施設が近くにある都市部のマンションや賃貸住宅に住みかえたいという人もいます。また、必ずしもローンを組んで住宅を所有することよりも、生活の豊かさを求め、便利な町なかの賃貸住宅に住むことを望む人がいるなど、住まいのニーズが非常に多様化していると思います。特に、いわゆる団塊の世代が高齢者となってくるに従い、戦後の社会環境の中で培われたさまざまな価値観を持った高齢者がふえてくることで、個々人のライフスタイルもそれぞれ変わってきており、高齢者施策としての住宅ニーズも非常に多様化してきていると思います。平成十五年の住宅・土地統計調査によれば、本県で人の住んでいる住宅は約二百五十四万戸で、その約四割、百万戸を賃貸住宅が占めており、さらに、この七割の七十二万戸を民間賃貸住宅が占めております。しかし、賃貸住宅も含め住宅の戸数は、世帯数を一割以上上回る状況になっておりますので、空き家となっている多くの戸数があるものと思われます。
 さて、一方で、社会全体を見回しますと、少子・高齢化、国際化、ノーマライゼーションの進展、あるいは価値観の多様化に伴い、安心して住むことのできる住宅がなかなか確保できない方々が増加しているという状況も見られます。さらに、将来の高齢者世帯の状況を考えた場合、国立社会保障・人口問題研究所の推計によりますと、平成二十七年の本県の独居あるいは高齢者夫婦のみの世帯数の割合は、総世帯数の二二%余りと五世帯に一つは独居老人あるいは高齢者夫婦のみという、そういう社会が予想されております。
 こうした背景がある中で、財団法人日本賃貸住宅管理協会が平成十八年度に行ったアンケート調査によれば、約一六%の家主の方が高齢者、障害者、外国人、子育て世帯への入居を制限しているとされています。これは、家主さんが一番心配されているのは、入居後のトラブルを懸念されているようであります。例えば、高齢者の方に関しては、緊急時の対応や、不幸にして入居者がお亡くなりになった場合の家賃や家財道具の処理に対する不安、障害者の方に関しては、住宅改修の問題や、近隣住宅とのトラブルが発生するのではないかという不安、外国人の方に関しては、コミュニケーションや生活ルールの違いからくるトラブルの問題が挙げられています。このような状況を踏まえ、高齢者や障害者、外国人、子育て世帯などが安心して賃貸住宅を借りられるようにすることを目的とした住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律、いわゆる住宅セーフティーネット法が平成十九年年七月に公布、施行されました。この法律は、既存の公的賃貸住宅の有効利用を図りつつ、公営住宅など公的な賃貸住宅の供給と民間賃貸住宅への入居の円滑化を柱に、国や地方公共団体に対し、高齢者などの居住の安定確保に関する施策を具体的に進めることを求めています。いわば、重層的な住まいのセーフティーネットの構築をねらいとしているものであります。県営住宅においては、既に高齢者、障害者、子育て世帯などの特に住宅にお困りの方に対し、優先的に入居できる制度を設けておりますが、一方で、昨年度の応募倍率は十倍を超えており、希望する住宅にすぐに入居することは難しいという現状もあります。そこで、今後、民間賃貸住宅市場も活用して、どのように高齢者などの住宅困窮者の方々が安心して居住できる環境を整備していくのか、この課題に対する具体的な施策について質問をいたします。
 県では、この九月に、あんしん賃貸支援事業をスタートさせました。この事業は、高齢者、障害者、外国人及び子育て世帯の入居を受け入れる民間賃貸住宅の情報を提供するほか、NPOや社会福祉法人などの居住支援団体により、契約時の立ち会いや入居後の相談など、安心して居住するためのさまざまな支援サービスを提供することによって、入居者と家主双方の不安を解消する制度とお聞きしております。この事業が県民の安全と安心を確保するために大きな役割を果たすことを大いに期待をしているところであります。そこで、この事業を効果的に推進するため、今後どのように取り組まれるのか、お伺いをいたします。また、あんしん賃貸支援事業が新たな住宅セーフティーネットの役割を果たしていくためには、入居者をサポートする居住に関するさまざまな支援サービスの提供が重要になると思われますけれども、今後、その仕組みをどのようにつくっていかれるのか、お伺いいたします。高齢者についての支援や、外国人についての支援については、部局を超えた取り組みにより、多くの居住支援団体の参画が重要であると考えます。高齢者、障害者、子育て世帯などの福祉を推進する健康福祉部においてはどのように取り組まれるのか、お伺いをいたします。また、外国人県民の増加と定住化が進む中、彼らを取り巻く居住環境は現実には大変厳しいものとなっており、日本での生活において、悩みや困難を抱える外国人も少なくありません。そこで、このような外国人県民の居住支援にどのように取り組まれるのか、あわせてお伺いをいたします。

 次に、林業の振興についてお伺いいたします。本県の森林面積は約二十二万ヘクタールで、県土面積の約四割を占めており、そのうちの約七割が三河山間部の森林となっております。私は、先日、東三河山間部の林業の実情を伺うため現地に行ってまいりましたが、そこでは、机の上ではなかなか見えてこないさまざまな現場の声を聞くことができました。そこで感じたことを中心に、今後の林業の振興について、順次質問をしてまいりたいと思います。言うまでもなく、森林は重要な公益的な機能を有しており、土砂の流出防止による県土の保全、水源の涵養、二酸化炭素の吸収や生物多様性の保全など、まさに我々県民が安全・安心で快適な生活をしていく上で重要な役割を果たしております。特に、人類にとって非常に大きな課題となっております地球温暖化の防止について、森林の持つ二酸化炭素の吸収という重要な機能への期待が高まっております。後ほど詳しく触れさせていただきますが、京都議定書に基づく温室効果ガスの六%削減の約束を達成していくためには、森林が持つ本来の機能を十分発揮できるよう、間伐等の森林整備・保全を一層加速化させていくことが必要であります。この森林整備をだれが担っているのか。それが林業であり、木材産業なのであります。先ほども述べましたが、県土の四割を占める面積を対象とするまことに重要な産業ということができます。
 本県の森林の特徴は、木材生産を目的に造成された杉、ヒノキの人工林の割合が多いことが挙げられます。これは、県内に木材の大消費地でもある名古屋市などを抱えていること、そして、そこに木材資源を供給するために木材産業が集積されてきたという背景があります。また、この人工林のうち一般的に木材として利用が可能である樹齢四十六年以上の木が占める面積は、全国平均二一%を大きく上回る六〇%と非常に高い割合となっており、森林資源の充実が顕著であります。こうした豊かな森林資源を活用することは、本県の山村地域の活性化を図る上でも大変重要なことであります。また、森林整備を進めていくためには、木材を生産する山元ばかりではなく、これを流通させ、加工し、そして利用するという川上から川下までの一体的な整備が重要となります。本県では、低コスト造林の技術開発や三種類の高性能林業機械をワンセットとして、効率的な木材生産を行う低コスト木材生産システムの普及や、さらに低コスト木材輸送システムなど、低コスト林業へのさまざまな取り組みを進めておりますけれども、林業を取り巻く情勢は引き続く木材価格の低迷の中、依然として厳しい状況にありますこれまで以上に、森林の整備や林業の振興に向けて、各種施策を総合的に展開していくことが求められております。
 また、来年度からは、いよいよあいち森と緑づくりの事業が始まります。この事業は、奥地や公道沿いの森林整備に約半分の予算が充当されると聞いております。これが効果的に実施されれば、必ずや新たな展望が開けるものと林業関係者は大いに期待をしているところであります。しかしながら、これに水を差すように生じてきたのが最近の原油高騰問題であります。農業、水産業に対する深刻な影響は新聞報道のとおりでありますが、林業についてもその陰を落としていると思われます。私が調査したところでは、ある外材を主に取り扱っている製材工場の社長から、月々の乾燥機の重油代が従来の三倍と大きな出費となって困っているとの声を聞きました。この九月議会において、農業と水産業は原油高騰対策の補正予算を計上しておりますが、林業については計上されておりません。そこでお尋ねいたします。原油高騰に関して、林業、木材産業の状況をどのように認識しているのか、また、県は、この原油高騰に対してどのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。
 さて、木材価格の低迷やその担い手不足など、林業を取り巻く問題が山積みになっているのは、今や周知の事実であります。しかし、その一方で、先ほども触れましたが、本県の森林資源は充実期を迎え、消費者は環境問題への関心の高まりから、自然素材、循環利用できる素材に大いなる興味を抱くなど、林業にとってプラスの一面もあります。このようなプラスの要素をぜひ追い風にして、今こそ時宜にかなった林業の振興を図っていく必要があると考えます。ところが、せっかく充実してきた森林資源をいよいよ利用する段になって、森林整備がなかなか思うように進まないのは、小規模な森林の所有者が本県には特に多く、また、その多くは自分の山林の境界が不明なことが原因の一つだと言われております。これでは、間伐などの森林整備をしようとしても手続が滞り、なかなか進んでいかないのも当然のことであります。聞くところによれば、地籍調査とは別に、国土交通省の事業において、山林の境界を調査する事業が始まり、現に取り組もうとしている市町村もあるとのことであります。林務行政において森林整備をスムーズに進めるため、境界の明確化が必要であると考えております。そこで、山林の境界の明確化について、県としてどのように取り組んでいかれるのか、お伺いいたします。
 また、林業を振興していくためには、伐採された木材をどのように利用していくかも課題であります。昨今では、地産地消ということがよく言われておりますが、木材についても、まず県内で利用されることが大切であると考えます。わざわざ二酸化炭素をたくさん排出して外国から木材を持ってこなくとも、せっかく充実した森林資源が本県にはあるのですから、これを利用しないという手はありません。例えば、学校や公共施設等に県産材を積極的に利用するなどの施策が必要と考えますが、県としては、この県産材の利用促進についてどのように取り組んでいかれるのか、お伺いいたします。
 また、森林を育成していく上で間伐が不可欠ということは、かなり県民の皆さんに浸透してきたと思います。そして、最近クローズアップされているのが、最初に触れました地球温暖化防止における森林の役割であります。我が国では、京都議定書の着実な達成に向け、平成十七年に京都議定書目標達成計画が閣議決定され、この計画に基づき削減の約束を確実に達成するためにさまざまな対策が進められております。この計画では、二酸化炭素の六%の削減を達成するため、このうちの三・八%を森林による吸収量で確保するとされております。これを確保するためには、人の手により造成、維持されてきた人工林を適切に手入れすることにより、森林経営の対象となり得る森林にしていくことが重要であります。このように、本年度の森林・林業白書でも報告されております。このため、国は、平成十九年度から六年間で三百三十万ヘクタールの目標を掲げ、効率的かつ計画的な間伐を進めようとしております。間伐を推進していくことはもちろん重要ですが、間伐された木材をただ森林内に放置したままではもったいないと感じるのは私だけではないと思います。木材は、再生産が可能な資源であり、循環型社会形成のためにも、その利用促進に取り組むべきではないでしょうか。そこで、県としては間伐材をどのように活用していくのか、お伺いをいたします。
 次に、林業を振興させていくには、その担い手となる方々をどのように確保していくかが重要な課題となります。本年度の森林・林業白書によれば、林業就業者数は長期的に減少傾向で推移しており、また、これは、木材価格の低迷等により林業経営の厳しい状況が続く中、造林の事業量が減少してきた状況と重なり合っているとのことであります。加えて、その高齢化も大きな問題であります。一方、先ほども触れましたが、木材としての利用可能な樹齢を迎えた木が多くなり、森林資源は充実期に入っております。その森林を整備する仕事は、将来にわたって永続的に続けていかねばならない仕事であります。現在、必要となる人手を確保することはもちろんのこと、そのほかにも技術、技能の伝承という観点もあるでしょう。そこで、県として、担い手対策についてどのような施策を実施していくのか、お伺いいたします。
 以上、申し上げてきたとおり、林業を取り巻く課題は多岐にわたっており、私が聞いてきた現場の声もまさにさまざまな問題でありました。そこで、最後の質問になりますが、今後の林務行政に役立てるためにも、より一層現場の生の声を十分に聞き取っていく必要があると考えます。現場にこそ知恵があり、現場からの発想で組み立てをお願いしたいと思います。今後、県として現場の意見をどのように把握していかれるのか、最後にお伺いして、私の壇上からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)



◯建設部建築担当局長(勢力常史君)
 住宅施策についてのお尋ねのうち、まず、あんしん賃貸支援事業の取り組みについてでございます。事業を進めていくためには、高齢者などを受け入れていただく住宅や協力していただける不動産の仲介店、さらには、居住支援団体にできるだけ多く登録していただく必要があります。このため、事業の立ち上げに際して、四月以降、不動産関係団体や市町村の住宅や福祉の担当者、そういった方々に対しまして、制度の仕組みの説明などを行い、登録促進の支援を要請してきております。さらに、この九月十二日には、不動産関係団体と登録促進のための実施協定を締結し、登録の受け付けを開始するとともに、不動産関係団体や県社会福祉協議会、県国際交流協会、行政機関で構成する全国初の居住支援協議会を設立いたしました。今後の取り組みについては、不動産関係団体と連携して、八月に引き続きこの十月にも賃貸関係者向けの研修会を行う予定でございます。さらに、地域別に家主や不動産関係事業者、居住支援団体、市町村に対して、きめ細かく説明会を実施するなど、登録促進に向けて精力的に取り組んでまいります。
 次に、入居者をサポートする居住支援の取り組みについてでございます。この事業を実効性のあるものとするためには、入居者と家主をサポートする居住支援の充実を図ることが重要でありますので、福祉部局などと十分連携をとり、市町村の協力をいただきながら、多くのNPO法人や社会福祉法人などの参画を進めていくことが必要であると考えております。そのため、それらの団体などの活動実態の調査を行い、課題の把握や実情に沿った支援モデルの作成などを進めているところであります。今後、その調査結果も踏まえて、NPO法人や社会福祉法人などへの説明会を実施しつつ、啓発に努め、着実な登録の増加を図ってまいりたいと考えております。



◯健康福祉部長(小島通君)
 住宅施策についてのお尋ねのうち、健康福祉部の取り組みについてお答えいたします。あんしん賃貸支援事業は、高齢者、障害者などの居住の安定確保と安心できる賃貸借関係の構築を図ることを目的としており、大変重要な事業であると認識いたしております。とりわけ、障害者自立支援法が目指します障害者の地域生活移行を推進するために、賃貸住宅などへの入居を支援する居住サポート事業、これを市町村が地域生活支援事業の一つとして実施しておりますが、その推進に当たっては、居住の場の確保が課題となっておるところでございます。障害者等の入居を受け入れる賃貸住宅や入居をサポートする不動産店などが登録されるあんしん賃貸支援事業とこの障害者自立支援法上の居住サポート事業とが連携することにより、地域生活移行が一層推進されるものと期待いたしております。こうしたことから、健康福祉部といたしましても、多くの居住支援団体が参画し、あんしん賃貸支援事業が効果的に実施されますよう、市町村社会福祉協議会や障害者の相談支援事業者を初め、関係団体、事業者に対しまして、積極的な働きかけをしてまいりたいと考えております。以上でございます。



◯地域振興部長(的井宏樹君)
 外国の方の居住支援につきましてお答えをいたします。外国の方の居住支援につきましては、愛知県国際交流協会に設置をいたしました多文化共生センターにおきまして、住宅確保などを含めた暮らし全般への相談を行いますとともに、退去を迫られるなど個別支援を要する案件につきましては、より専門的なスキルを持つ多文化ソーシャルワーカーが出向きまして、相談や解決に向けた支援の体制を整えているところでございます。日本にふなれな外国の方にとりまして、住居問題は切実であると考えております。今後、あんしん賃貸支援事業の取り組みも始まったことによりまして、外国の方の住宅確保に向けて幅広い支援に道が開かれたましたことから、居住支援協議会の構成団体を初め、庁内関係課室や市町村などと緊密な連携を図るなど、外国人県民の方々の居住支援を一層進めてまいります。以上でございます。



◯農林水産部農林基盤担当局長(松下栄夫君)
 まず、原油高騰に関する林業や木材産業の状況についてお答えいたします。林業においては、間伐作業や木材生産活動にチェーンソーや木材搬出の機械でガソリンや軽油等の燃料を使用しております。この燃料費が林業経営費に占める割合を試算いたしますと、高騰前の平成十六年度の約二%から平成二十年度では約四%となり、二ポイント上昇し、一森林組合当たりにしますと、年間約九十万円の増と推定しております。また、県内には二百十の製材工場がございます。そのうち、重油等を燃料とする乾燥機が稼働している工場が二十二あります。例えば、比較的大規模な年間一千立方メートル規模の乾燥を行っている工場では、製材経費に占めるこの燃料費の割合を試算しますと、平成十六年度の約八%から平成二十年度では約一五%と二倍ぐらいになり、金額では年間約三百八十万円の増と推定しております。林業全体で見ますと、特に乾燥機が稼働している製材業者に影響が出ていると認識しております。
 次に、林業における原油高騰対策の取り組みにつきましては、県は、これまでも、森林組合や県産材、国産材を取り扱う民間事業者に対しまして、低利な運転資金として林業振興基金などの制度資金を設けているところであり、また、中小企業対策として、原油・原材料高対応資金などを用意しております。なお、原油・原材料高対応資金につきましては、今回、緊急対策として融資限度額等を拡充したところでございます。いずれにしましても、今後とも木材生産現場において、高性能林業機械を活用した低コスト生産技術の普及に努めるとともに、森林組合や製材業者に対し、制度資金の周知を図ってまいります。
 次に、山林の境界の明確化についてお答えいたします。森林所有者にとりましても、また、森林の整備を進める上におきましても、山林の境界の明確化は重要であり、望ましいことと考えております。しかしながら、実際にこれまで間伐等の森林整備事業を実施するに当たり、森林所有者の御理解、御協力を得ながら事業を円滑に実施してまいりましたので、必ずしも地籍上の整理を先行させなければ事業ができないというわけではないと思っております。今後とも、森林所有者等に御理解と御協力をいただき、現地にくいを打つなどして事業実施区域を明確にし、事業を円滑に進めてまいりたいと考えております。
 次に、県産材の利用を促進することにつきましては、山村の主要な産業である林業、木材産業を活性化するとともに、県内の森林整備を進め、森林の持つ水源涵養など多面的機能の発揮を図る上においても重要だと考えております。このため、木材の利用促進に関する県の全庁的な取り組み計画であるあいち木づかいプランを毎年策定いたしまして、公共的施設等の木造、木質化の推進を初めとしたさまざまな取り組みを進めてきているところでございます。例えば、豊田市の巴ケ丘小学校では、愛知万博のリユース材が活用されましたし、この四月に開校しました設楽町の名倉小学校では、町内で生産された杉やヒノキがふんだんに使われております。また、愛知県産材であることを明確に表示することで、消費者の方々に信頼して選択していただけますよう、県産材の認証制度の普及を図っております。今後とも、こうした取り組みを通じて、地産地消につながる県産材の認証制度について、木材団体と連携して拡充強化を図るとともに、木のよさや使い方を多くの方々に理解してもらい、県産材が一層利用されるよう努めてまいります。
 次に、間伐材の活用についてのお尋ねでございます。森林の持つ多面的機能の発揮のためには、間伐の促進とその有効活用が大変重要なことと考えております。このため、まとまった量の間伐材を使用でき、波及効果も期待できる公共工事での利用を促進することが効果的であると考えております。具体的には、県内の森林組合等が製造しております間伐製品を愛知県リサイクル資材評価制度、いわゆるあいくるに登録するよう働きかけをしており、現在二十三件が登録されているところでございます。さらに、国と県の関係機関で構成いたします愛知県間伐材利用促進連絡協議会におきまして、活用事例の情報交換を行いながら、防護さく、工事用看板などへ間伐材活用に取り組んでいるところでございます。今後とも、幅広い分野で間伐材が活用されますよう、その利用促進を図ってまいります。
 次に、林業の担い手対策に関するお尋ねです。新規就労者は、食と緑の基本計画において、毎年三十人の確保を目標に掲げております。平成十七年から十九年までの実績は、三十一人、二十六人、三十六人と最近は増加しているところです。県におきましては、財団法人愛知県林業振興基金と連携し、担い手の育成に関する研修や就労環境の改善など、さまざまな取り組みを行っているところでございます。林業に興味のある方々にガイダンス、新規に就労した方を対象としたOJT研修、そして、就業後二、三年を経過した後の技術技能のステップアップ研修など、各段階に応じた研修を実施しております。また、来年度から実施されますあいち森と緑づくり事業を円滑に進めるため、事業対象となる奥地や公道沿いの森林の整備に必要な技術や技能を身につけた技術者を十年間で二百人養成するための新たな研修を実施する予定であります。今後とも、こうした研修の充実強化を図ってまいります。さらに、林業就業者にとって魅力的な職場となるよう、森林組合等の林業事業体を指導してまいります。
 最後に、現場の声の把握についてのお尋ねでございます。農林水産業、特に林業につきましては、現場が重要であると認識しておりますので、これまでも地元に密着した取り組みを行ってまいりましたが、さらに、来年度から始まりますあいち森と緑づくり事業を円滑に進めるための地元説明会等を行う中で、担い手の確保や木材利用等さまざまな林業に対する御意見を伺っているところでございます。今後は、川上から川下まで幅広く森林組合や製材工場などに対し、アンケート調査や意見交換会を計画的に実施することにより、現場の声の一層の把握に努め、その内容をホームページなどに公表するとともに、林業施策につなげてまいりたいと考えております。以上でございます。



◯知事(神田真秋君)
 山村振興について、特に林業は大変重要な産業だと考えております。そこで、私自身もこの山村の現況についてできるだけつぶさに把握する必要があり、また、現場の声を聞く必要があるという観点から、例えば、最近では、知事と語るつどいという機会を利用して、いろいろと地元の声を聞いたところでございますし、また、山村振興ビジョン、今、策定中でございますけれども、地域懇談会を開催いたしまして、現地でそれぞれの職業のお立場の方々から直接お話を聞いたところでございます。また、広く山村という意味では、毎年、山村地元の市長さん、町長さん、あるいは村長さん方と意見交換の機会を持つようにいたしておりまして、ことしもこの夏にそれを実施したところでございます。直接お話を聞くことによって、山村の抱えるさまざまな課題を認識することができますので、これからそうしたさまざまな課題について、ビジョンに生かし、県の施策に生かしてまいりたいと思います。



◯六十四番(渡会克明君)
 それぞれ御答弁をいただきました。知事からも御答弁をいただいたわけであります。
 初めに、住宅の施策について、私は要望を申し上げたいと思います。壇上で申し上げましたように、ライフスタイルに合わせて住宅を選択しやすい環境を整備する、このことは、まさに住宅というのは、公営住宅、民間住宅ともにインフラ整備といいますか、インフラ整備としての住宅施策を考えるべきであると、考える時代に入ったのではないかなと、こういう意味合いから私は質問させていただきました。民間の賃貸住宅ということではありますけれども、これはもうまちづくりですとか、それから、県民の皆さんの福祉向上を考えると住宅というのは大変大きな問題になってきているな、こういうことを思いまして質問させていただきました。そういうなかで、今、それぞれ部長から御答弁があったわけでありますけれども、このたびのあんしん賃貸支援事業は、まさしくこの連携がキーワードだと思います。それぞれの部門で連携という言葉をよくおっしゃいますけれども、私はぜひとも、この行政が中心となってリーダーシップをとっていただきたいと、このように思います。庁内の関係部局との連携を強化する、各部局一体で各地域で丁寧に説明会を行う。そこには、当然、市町村の関係する担当窓口が漏れなく参加していただいて、そして、関係市町村においても県と同様に窓口間の連携をしっかりとってもらう。いわゆる県内においても地域間の格差が出ないように、そういう努力、目配りを望みたいと思います。そして、現実問題は、現場は、市町村の働きかけで市町村が掌握しているような福祉の団体であったり、NPOであったり、そういったことに理解を得て、どれだけ声かけが、大きい声を出していけるかということであろうと思いますので、ぜひとも他部局、市町村ともに連携を密にして取り組みをお願いしたいと、このようにも思います。
 林業振興について、一点、先ほど局長のほうからもお話がありました原油・原材料高対応資金、非常にありがたいことでありまして、資金使途に設備資金が追加になった、八千万が一億になった。非常にありがたいことで、中小零細企業の皆さんには、これから年末を迎えるに当たりまして大変ありがたいことだろうなと思いますし、私としてみれば、ぜひこのお金を使っていただきたいと、こう思うわけです。事業主にとって借りやすくなったこの制度融資ですけれども、どうかさまざまな角度から、例えば、会議所、商工会もそうですし、組合もそうですし、さまざまな角度から現場のこの中小企業事業主の方に周知徹底をお願いしたい。やっていると言いますけれども、もう一度やっていただきたい、こう思います。それと、産労部にもお願いをしたいと思いますけれども、要は制度融資で大変大きな税金を預けます、金融機関に。ですので、こういう素晴らしい、私は、いわゆる事業主が喜ぶような制度を設けたわけでありますから、ぜひとも、今や、よもや貸し渋りなんていうことは当然なかろうかと思いますが、そんなことが決してないようにしっかり御依頼をいただきたいと、このことを要望して終わります。




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