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2009.2.27 : 平成21年2月定例会

◯六十四番(渡会克明君)
 議長のお許しをいただきましたので、私は、公明党愛知県議員団を代表して、生活者の視点に立った我が党の基本姿勢に沿って、県政の諸問題について、順次お尋ねをしてまいります。
 言うまでもなく、本県を取り巻く状況はかつて経験をしたことがない厳しい社会経済情勢となっており、主要企業の業績や経済成長などに関する数字が公表されるたびに、多くの県民の皆様が非常に不安になっております。このような状況下において、今まさに県政に求められていることは、県民の皆様が安心感を持って生活ができる環境を提供することであり、この現状を乗り越えるために、希望を見出す方向性を県として明確に指し示すことだと考えております。言いかえるならば、いかにすればこの閉塞感を打ち破っていくことができるのか、知事、議会が一丸となって県民の皆さんに喜んでいただけるような、そして、期待を持っていただけるような施策を実行すべきであると考えます。

 このような問題意識に基づき、一点目は、未曾有の経済危機の中における厳しい財政運営に対する認識について。二点目として、こうした危機的状況の中だからこそ、今求められている生活者として県民が安心感を持って暮らせるための諸施策について。そして、日本経済は全治三年とも言われておりますけれども、どんなに厳しい寒さであっても、冬は必ず春となるとの言葉どおり、春の開花に向けたエネルギーをいかにして蓄えるべきかという観点から、三点目として、今後の愛知を支え、県民に希望を与える施策について、順次質問してまいります。特に、この三点目の今後の希望を与える施策に関しては、環境をキーワードとしての施策展開についてお伺いをいたします。

 国政においては、我が党の代表が先月二十三日に麻生首相に、「グリーン産業革命」への提言と地球温暖化対策の国際交渉等に関する提言を手渡し、緑の社会への構造改革─グリーン産業革命のダイナミックな展開を訴えました。私自身も知事への要望で、愛知版グリーン・ニューディール構想を御提言申し上げ、その取り組みの重要性を主張してまいりました。知事は、今議会の提案説明において、これまで環境先進県として、環境と経済との好循環を目指す、いわば愛知版グリーン・ニューディールとも言える政策を展開してきておりますと述べられました。知事の口から決意して述べられたことは、我が意を得た思いで大変心強く感じております。しかし、私は、本来のニューディールという言葉の重要な部分を占める経済の活性化や雇用の創出につながる戦略的な施策展開としては、まだまだ現状では不十分ではないかと思います。環境をキーワードとした経済活性化に向けての取り組みには、スピードとタイミングが非常に重要であります。蓄積された物づくり愛知の実力を生かすチャンスとして、単にこれまでの環境施策の延長ではなく、大胆な発想から経済の活性化、雇用の創出につながっていく愛知版グリーン・ニューディールを今まさに積極的に打ち出していく必要があると考えております。



 以下、この三つの大きな視点からそれぞれ順次質問をしてまいります。

 まず、最初の質問は、厳しい財政状況とともに県政運営にとって非常に大きな問題である不適正な経理処理についてであります。この問題については、各会派からも既に取り上げられており、重複する部分もありますが、公明党の立場から改めてお尋ねをいたします。
 知事は、昨年十一月、幹部職員を集め、コンプライアンスの重要性を職員一人一人が認識すること、そのことがまさに原点であり、原点に戻って再スタートを切ること、また、県民の信頼のもとで県民のために一生懸命汗を流す県政にしようではないかと訓示をされたと聞いております。こうした知事の決意のもとで調査が進められ、報告された一連の全庁調査結果や最終報告書によれば、この不適正な経理処理は長年の習慣や前例踏襲により組織として長い間改められることのなかったという全庁的、構造的な問題であったと言わざるを得ません。一日も早く県民の信頼を回復することが必要であります。今回明らかになったさまざまな不適正な事実は、県民にとって改めて県政への不信感を高める結果となりました。この不信感を払拭するためには、今回の調査により明らかとなった事実を重く受けとめ、しっかりと再発防止に取り組んでいく必要があります。最終報告書の中で、再発防止策として、物品調達体制の拠点化や予算システムの見直しなどさまざまな見直しがされているところでありますが、大切なことは、信頼回復のために県庁の組織、職員が一体となって、新たな出発に向けての確かな一歩を踏み出していただきたいということであります。
 そこでお尋ねをいたします。県政に対する県民の信頼回復に向け、知事の再発防止に対する決意を改めてお聞かせください。特に今回の問題解決には職場風土や職員の意識改革が必要だと思いますが、どのように考えてみえるのか、お伺いいたします。

 次に、今後の財政運営についてお尋ねをいたします。
 平成二十一年度の当初予算編成は、かつてない規模の大幅な県税収入の減収と義務的な経費の増加により、実に四千九百億円もの巨額の収支不足を抱えた状態で年明けを迎えました。そして、この収支不足について、基金の最大限の活用、地方交付税など国の財政措置、さらには臨時特例的な異例の措置である当初予算からの減収補てん債の計上など、約四千三百億円の歳入確保と人件費の抑制を初めとする約六百億円の歳出抑制で乗り切り、予算を編成されたところであります。今回の約四千三百億円の歳入の確保では、その多くを県債で賄っており、二十年度、二十一年度の両年度にわたり、三千三百億円もの県債を活用することとされております。景気の回復の見通しが立っていない現状で厳しい財政状況は当面続くと予想され、今後も県債の発行に頼らざるを得ない財政運営を余儀なくされるものと思われます。先日公表された財政中期試算においても、来年度以降、財源不足は二千五百億円程度の水準で推移し、今後も特例的な県債の発行など臨時の財源対策により収支不足を補っていく必要があるものと試算されております。
 そこでお尋ねをいたします。今回の財源対策で多額の県債を活用した結果、県債残高は四兆円を超える見込みとなっておりますが、これについてどのようにお考えか、お伺いいたします。また、今後の県債残高の推移、さらには財政健全化法に基づく実質公債費比率、将来負担比率への影響についてどのように見込まれているのか、お伺いをいたします。



 二つ目の視点、生活者として県民が安心感を持って暮らせる施策について、四項目お尋ねをいたします。

 まず、一つ目は、治安・防犯対策についてであります。平成十六年以降、順調に減少してきた犯罪は、昨年、侵入盗のように減少したものもありますが、総数として〇・五%、数にして七百五十九件の増加となってしまいました。百年に一度と言われる厳しいときだからこそ、犯罪のない社会の実現に向けて、着実に一歩一歩進んでいるという実感が欲しいわけであります。犯罪のない社会、安全なまちづくりのために、町内会、学校、PTAなど地域住民がお互い助け合い、私たちの手で全国に安全と安心を誇ることができる治安先進県愛知にしようではありませんか。明るい未来の基盤を築き、将来ある子供たちに託そうではありませんか。幸い、愛知県では、県、警察、教育委員会などが連携し、一丸となって、あいち地域安全新三か年戦略に取り組むことになっております。その成果を大いに期待するものであります。特に県警察においては、安全なまちづくりアクションプラン二〇〇九を策定し、刑法犯認知件数を昨年の六%減少、侵入盗や自動車関連窃盗など県民の身近で発生する犯罪を三千五百人、一万七千件以上検挙するという本年の具体的な数値目標を掲げて取り組むこととしております。昨年は、窃盗犯、中でも、自動車盗、自転車盗、カーナビなどを車から盗む部品ねらいが増加をしています。県警察は、こうしたことを考慮し、十の重点を定めたアクションプランを策定したと聞いております。しかし、豊橋市と名古屋市では情勢が異なるでしょうし、ふえている犯罪も異なります。また、豊橋市、一宮市、豊田市など県境を持つ地域とそうでない地域、外国人が多い地域と少ない地域でも情勢は異なるのではないでしょうか。私は、アクションプランの実効性をより高めるため、県内一律的な施策を行うのではなく、地域ごとの実態に応じたパトロールや情報提供といった地域住民に密着した活動を進め、地域の声に耳を澄まし、県警全体の施策に反映させていってほしいと思います。ふえている自動車盗は、五台に一台強がかぎをつけたままの被害、自転車盗にあっては、実に半数近くがかぎをかけていない状態で盗まれております。このような被害は、私たち一人一人が防犯意識を持つことにより自分たちの手で多くの犯罪を減らすことができるのであります。しかし、こうした情報等が地域住民の耳に入ってこなければ防犯意識は向上しませんし、豊橋市に住んでいる者が愛知県全体の情報や名古屋市の情報を得ても危機感はなかなか高まりません。住んでいる地区の具体的な情報が欲しいわけであります。情報提供の方法は、決して警察だけから求めているわけではありません。県、警察、教育委員会が緊密な連携を図り、いろんなルートで地域に密着した情報の提供をする必要があります。こうしたきめ細かな情報をもとに、地域住民は力を合わせて犯罪に強いまちづくりを推進し、そして、警察は、県民の目に見える形で活動を推進し、警戒活動や犯罪捜査など、警察にしかできない活動を今まで以上に充実させて、強力に取り組んでほしいと思います。
 そこで、警察本部長にお尋ねをいたします。安心して暮らせる安全な愛知を確立するために、アクションプラン二〇〇九を推進するに当たり、いかにそれぞれの地域の情勢に応じた形で取り組むおつもりなのか、お伺いをいたします。

 二つ目は、医師確保対策についてお伺いいたします。
 急速に進展する少子・高齢化社会においては、負担感のない子育てができる環境や、高齢者世帯が安心して暮らせる地域づくりが求められております。安心した生活をおくるためには地域医療の充足が必要不可欠であります。昨年九月、千葉県で年間三十二万人もの患者が利用する地域の中核病院であった某公立病院が医師不足により休止となりました。病院がこのような状態になって最も困るのは患者であり、地域住民であります。幸いにして本県はそこまでには至ってはおりませんが、それでも約二割の病院で診療制限が行われており、やはり早急な対策が求められているところであります。国は、医師数が全体として不足していることを認め、医師養成数を増加させることを明らかにしました。本県でも、四つある大学医学部の定員は現在三百八十人ですが、来年度は三十五人ふえて四百十五人になるとのことであります。しかし、社会の高齢化が進むにつれ、医療を必要とする人はふえる一方、医療の質は日に日に高度化し、それにつれ、医師の専門分野も細分化されています。また、医師の養成には時間がかかりますので、当面の医師不足対策も必要であり、若手の三人に一人を占める女性医師の復職支援も積極的に取り組んでいかなければなりません。さらに、医師をふやしても、都会の大病院や特定の診療科に吸収されてしまうおそれがあり、医師数をふやすだけでは医師不足の問題は解決しないとの声もあります。地域医療へ貢献するという志を持った多くの医師を育てていくためには、大学の定員をふやすだけではなく、地域医療への理解を深めるための教育が重要であります。
 そこでお尋ねをいたします。今後、医師になるための教育を行い、また、地域の病院へ医師を派遣している大学と緊密な協力関係を築いていくことがますます必要ではないかと思いますが、県は、地域医療を守るために大学とどのように連携を図っていかれるのか、お伺いいたします。

 三つ目は、雇用対策についてであります。
 景気の急速な悪化により製造業の生産調整が急速に進み、派遣労働者や期間従業員などの非正規労働者が大量に離職をしております。厚生労働省の調査によりますと、本県では、昨年十月から本年三月末までの間に二万人を超える非正規労働者が離職すると見込まれております。本県としては、年末に愛知県産業雇用対策推進本部を開催し、これまで六千六百の全派遣元事業主に対する雇用維持と社員寮の利用延長要請、経済団体への雇用維持・確保の要請など、次々と緊急雇用対策を打ってきたことは評価をいたしております。一方、国では、いわゆる三段ロケットと言われる一次補正、二次補正と二十一年度当初予算で合計七十五兆円に及ぶ景気対策を取りまとめております。県においては、県や国のさまざまな支援策を県民の皆様に多様な手段を使って周知し、こうした支援制度の活用を促すことにより大きな安心感が得られるようにしていくとともに、早期再就職に向けての就職面接会や職業訓練などの取り組みもしっかりと実施してもらいたいと思います。
 さて、国の第二次補正予算では、緊急雇用創出事業とふるさと雇用再生特別交付金を創設し、全国で合わせて四千億円を交付することを決めております。県は、これを受けて、新年度から三年間、県と市町村がこの基金を原資として雇用創出事業を行うため、着々と準備を進めていることと思います。
 そこでお尋ねをいたします。新規の雇用創出は、離職者対策として最も効果的な支援事業であります。そのため、特に大規模な取り組みとして実施される緊急雇用創出事業基金とふるさと雇用再生特別基金は重要な施策であると考えますが、知事はどのような所見をお持ちで、どのような事業をお考えなのか、お伺いをいたします。

 生活者として県民が安心感を持って暮らせる施策についての四番目の質問は、定額給付金についてであります。
 今さら申し上げるまでもなく、この定額給付金については、現下の厳しい経済状況の中で、生活者の不安にきめ細かく対処する家計への緊急支援策として、また、消費をふやし、景気を下支えする経済効果を持つ事業として給付金つき定額減税として実施されるものであります。先月二十七日に国の第二次補正予算が成立し、三月四日には関連法案も成立するやの報道もありますことから、定額給付金事業はいよいよ実施段階に入ってまいりました。食料品など物価の高どまりが家計を圧迫し、景気が急速に冷えこみ、雇用情勢も悪化する中、実際に定額給付金が給付されれば、日々の暮らしに不安を抱いている多くの県民の皆様方の生活にゆとりと安心をもたらすものと考えております。また、景気の面から、政府の見込みでは、定額給付金の全額二兆円が追加的消費に回れば、GDPで約〇・四%もの押し上げ効果があり、仮に約四割の消費であったとしても〇・二%引き上げられるとされており、確実に経済効果が期待される政策でもあります。さらに、全国各地で給付金事業の本体とは別に、商工関係団体がみずから、あるいは市町村とタイアップして、上乗せ商品券の発行や消費拡大セールの実施など独自の取り組みが企画されております。県内でも、例えば、豊田市初め八市町では、商工関係団体の方々が定額給付金の給付時期にあわせ、地元商店街などで使える一〇%お得な商品券を発行し、少しでも地元で消費していただこう、地域経済の活性化につなげていこうと取り組んでみえます。ほかにも、現在検討中の市町村も複数あると聞いております。このように地域の皆さん方が知恵を絞り、工夫を凝らして、地域振興に汗を流しておられることはまことに頼もしい限りであり、こうした取り組みと給付金事業との相乗効果によって地元の需要が喚起され、地域に元気がもたらされることを大いに期待するところであります。県民の皆様は一刻も早い給付を待ち望んでいることと思います。また、景気対策のためにも速やかに市中にお金を流して、消費の下支えにつなげることが急務であります。ぜひとも年度内の給付開始が望まれるところであります。しかし、給付対象者が愛知県内で約七百四十万人、申請・受給者となる世帯主が約三百万人もおり、短期的に膨大な事務が発生することから、その効果の大きさに比例して市町村にとっては事務の負担も大変大きなものとなります。
 そこでお尋ねをいたします。まさに県民の生活を守る定額給付金事業でありますが、実際に事業を担う各市町村が迅速かつ確実に事務を進められるよう、県としてどのように市町村を支援しているのか、お伺いをいたします。



 次に、三つ目の視点として、県民に希望を与える今後の施策の展開について、環境をキーワードとした三項目、そして、地域づくりに関する施策について三項目お尋ねをいたします。
 まず、経済活性化につながる環境政策の推進という観点から、地球温暖化対策、環境産業の育成、そして、資源循環型農業の推進についてお尋ねをいたします。

 物づくりの拠点である本県としては、環境面での取り組みをこれまで以上に積極的に展開することにより、新たな需要の創出につなげていくことが重要であると考えます。また、二〇一〇年には、環境に関する世界でも最大の国際会議であるCOP10が約三週間にわたり開催され、海外も含め数千人規模の人々が本県を訪れると言われております。このようなCOP10の開催を目前に控えた今こそ、まさに環境をキーワードとした経済の活性化と雇用の創出につながる愛知版グリーン・ニューディールと言える施策を展開し、世界に向けてこの地域をアピールしていく絶好の機会ではないでしょうか。こうした点を踏まえ、まず、本県における環境行政の重要課題である地球温暖化対策についてお伺いいたします。温室効果ガスの削減については、現在、国際社会において難しい交渉が進められていますが、おおむね温室効果ガスの排出量を二〇五〇年までに世界で半減、先進国で六から八割の削減というレベルが目標となるものと聞いております。国が昨年策定した低炭素社会づくり行動計画では、燃料電池や太陽光発電の画期的な低価格化や、二酸化炭素貯留技術の実用化などの革新的技術開発、また、再生可能エネルギーの導入量の大幅拡大、電気自動車やプラグインハイブリッド自動車などの飛躍的な普及など今後目指すべき社会像が示されております。こうした環境技術の普及を前倒しし、低炭素社会づくりを促進していくことは、新たな市場創出と経済の活性化につながるものであり、この経済危機からの一日も早い回復に向けて、ぜひとも力を入れていくべきものと考えます。また、本県では、来年度から森と緑づくり税を活用した事業が開始されるわけでありますが、これも森林整備や都市緑化を進めることにより新たな需要と雇用の創出につながる可能性があるわけで、大いに期待をするところであります。
 そこでお尋ねをいたします。県においては、本格的な地球温暖化対策の方向性をいち早く打ち出し、森と緑づくり税なども活用して経済活性化を促しつつ、積極的に温暖化防止対策を進める必要があると考えますが、知事の見解をお伺いいたします。

 次に、温暖化対策と密接な関係があります環境分野の産業振興についてであります。
 本県経済の回復のためには、県内事業所のうち九九%を占める中小企業の健全な発展が不可欠であり、このまま中小企業の経営状況の悪化が続けば、既に深刻な影響を受けている本県の経済活動の回復はさらに遠のくことになります。世界経済の混迷は数年は続くという見方が大勢ですが、新興国や資源国においては、物づくりの競争力を蓄えつつ、経済成長を遂げていくものと推測されており、本県の国際競争力を維持発展させていく上では、現在の経済環境にとらわれることなく、着実に新しい産業の芽を育てていくことが求められております。御承知のとおり、アメリカでは、オバマ新大統領の強いリーダーシップのもと、また、ドイツや中国、韓国等においても、環境投資で産業育成と雇用の創出を進め、景気の浮揚につなげていこうとするグリーン・ニューディールの潮流が世界に広がりつつあります。世界各国において、国を挙げて低炭素社会の実現に向けて、環境・エネルギー分野の技術開発に力を注ぐことを産業振興の柱の一つに掲げる動きが広がっており、まさに環境・エネルギー分野の国際的な競争が展開されているところであります。今後、加速度的に環境技術や新エネルギーの開発が進展されることが推測されます。物づくりが集積する本県においても、環境・エネルギー分野に対応した技術開発であるとか、効率的な資源利用などにおいて、中小企業を生かすことができるしっかりとした対応が求められております。
 そこでお尋ねをいたします。世界的な環境対応の流れの中で、環境に関する県の産業振興策をどのようにお考えであり、また、現在、低炭素社会づくりに向けて、どのように技術開発等の支援策を講じておられるのか、お伺いをいたします。

 続いて、資源循環型農業の推進についてであります。
 私は、経済再生のかぎを握る一つのものとして、環境に一番近いところにある農業の発展が必要であると思います。具体的には、地球温暖化防止、循環型社会形成という観点からのバイオマスの農業利用の推進が重要だと思います。バイオマスとは、家畜排せつ物や食品残渣、木くずなどの動植物から生まれた再生可能な有機性資源のことをいいますが、県内には、農林水産業や食品産業、県民生活などから毎年四百万トンのバイオマスが発生をしています。しかし、この資源は必ずしも有効利用がされていません。一般にバイオマスは広く薄く分布しているため、収集にエネルギーやコストがかかり、有効に利用されにくいという面があります。比較的量が多く収集が容易な食品産業から発生する食品残渣や、畜産業から発生する家畜排せつ物などは活用が期待できます。食品残渣は、県内で年間百万トン発生しております。既に一部のスーパー、一般廃棄物業者、JAが連携して、スーパーから出てくる食品残渣を堆肥化し、この堆肥を利用して農家が生産した野菜をまたスーパーで販売するという食品リサイクルの輪が県の支援もあって平成十九年に完成しております。これは、食品残渣が生み出した新しいビジネスモデルの一つとも言えるもので、今後は各地域への拡大が期待をされております。また、家畜排せつ物は、県内で年間二百六十万トン発生しております。ほとんどが堆肥として利用されておりますが、地域によっては堆肥が過剰気味でありますので、家畜排せつ物からメタンガスを発生させ、それを温室の暖房に利用できれば、温室からのCO2の排出削減にもつながります。幸いなことに、県内では、畜産と施設園芸が比較的近くに立地をしており、エネルギーのロスが小さなシステムが期待できます。
 そこでお尋ねをいたします。環境面だけでなく戦略的産業育成という観点からも、バイオマスを活用した資源循環型農業の推進が重要だと思いますが、知事の所見をお伺いいたします。



 さらに、県民に希望を与える今後の施策の展開に関して、地域づくりの観点から三項目お伺いをいたします。

 まず、あいちトリエンナーレ二〇一〇についてであります。
 文化芸術は、経済的、社会的な危機の時代に文化の力によって市民を元気づける役割、社会に明るい光を差し入れ、精神を鼓舞するという役割を果たしてきました。一例として、世界恐慌を克服するためのアメリカのニューディール政策では、文化芸術が柱の一つとして、暗く沈んだ社会の雰囲気を明るくし、人々を活気づける役割を果たしたことが知られております。現在のように経済が悪化している状況では、将来に不安を感じ、気持ちも沈みがちな県民の皆様も多いのではないでしょうか。このような時代こそ、トリエンナーレを開催することによって、県民の皆様に心の豊かさや潤い、わくわくするような高揚感を感じていただけるものと期待をいたしております。今回のトリエンナーレは、現代美術を中心に展開するとのことであります。私も、この質問をするに当たり、少しでも得るものがあればと幾つかの美術館を訪ね、お話を伺い、現代美術の展示も見てまいりました。現代美術は、楽しい作品も多く、非常にインパクトの強いものであると同時に、理解しにくい作品が多いことも事実であります。しかし、歴史上著名な芸術家の多くがその生きている時代には評価されなかったこともあります。今、私たちと同じ時代に生きる現代作家の作品を身近に見ることは意味のあることであり、心がときめくのではないかと期待をいたしておるところであります。こうした期待にこたえていくためには、多くの県民の皆様にトリエンナーレの中軸を担う現代美術に関心を持っていただき、期待感を高めるような取り組みを開催前年である平成二十一年度から展開していくことが重要ではないでしょうか。また、この地域には日ごろから文化芸術活動に携わってみえる方が多くみえます。これらの方々には積極的にトリエンナーレに御参加いただくことはもとより、ふだん、文化芸術活動とは縁遠いと考えてみえる方々にもボランティアとして参加していただくなど、自分たちがこの芸術祭を支えているんだと感じていただくことが長い目で見ればこの地域の文化を形づくっていくことに必ずやつながるものと考えております。
 そこでお尋ねをいたします。あいちトリエンナーレ二〇一〇の開催へ向けた機運を高め、県民目線に立った芸術祭として多くの県民の皆様に御参加いただくため、どのような取り組みをお考えなのか、お伺いをいたします。

 地域づくりの二つ目は、東部丘陵線リニモ対策についてであります。
 リニモの利用促進につきましては、これまで沿線の大学や企業を回り、直接利用を働きかけたり、沿線ウオーキング等のイベント開催に努めるなど、会社を初め県や沿線自治体など関係者の皆様方が精力的に利用促進に取り組んでこられたと聞いております。また、沿線の施設を初め地域の方々にも大変な御協力をいただいているとも聞いております。リニモの利用者をふやすには、そうした利用促進の取り組みに加え、中長期的に沿線開発を推進し、居住人口や通勤通学者、施設への来訪者等をふやしていくことが非常に重要であります。リニモ沿線は今後大きな発展が見込まれる地域ですが、おおむね二十年後に一日当たり二万五千人の利用者という予測に基づいて推計された長期収支見通しによると、愛知高速交通株式会社が人件費削減などのさらなる経営改善努力をしても借入金の負担が重くのしかかり、会社の存続には経営支援が不可欠であることがはっきりとしてまいりました。リニモは、今や年間六百万人もの方に利用され、通勤通学などの日常生活に不可欠な公共交通機関としてだけではなく、今後の地域の振興に欠くことのできない重要な社会基盤であるなど、その役割の公共性、重要性にかんがみ、県を中心に行政でしっかりと支えていく必要があると考えます。
 そこでお尋ねをいたします。リニモの経営支援に当たっては、その前提となる今後の経営見通しが決して甘いものであってはならないと考えます。さらに、リニモの利用者増には沿線開発が重要であり、リニモを軸とした魅力あるまちづくりにしっかり取り組む必要があると思います。そこで、今後、リニモ沿線の開発をどのように進めていくお考えか、また、利用者増をどのようにして見込んでおられるのか、知事に御所見をお伺いいたします。

 最後の質問は、設楽ダムの建設推進についてであります。
 渇水や洪水の被害に過去数多く見舞われた東三河地域の念願であります設楽ダムは、県が調査の申し入れをして以来、実に三十五年を経過し、三十六年目に入った本年、ようやく地元設楽町と国土交通省中部地方整備局、そして、愛知県の三者で着工同意の協定が結ばれました。これから十二年間にわたり、本体工事はもとより、道路や簡易水道、下水道といったさまざまな地域振興策が実施され、平成三十二年度の完成を目指すことになるわけであります。設楽ダムが完成すれば、東三河地域にとりまして、今後の継続的な発展に不可欠な水源施設が確保され、また、渇水や洪水の被害から住民を守るという安心・安全に手が届くようになることから、下流市町にとりましてまことに朗報であり、設楽町の皆様にお礼を申し上げなければなりません。今住んでいる家は、ダム湖に沈むのか、つけかえ道路にかかるのか、あるいは集落がなくなって取り残されるのかという心配をされ、長年にわたり不安定な状況に置かれてきた、こうした水没者等の皆様方の心労ははかりしれないものと考えます。皆様の御決断は本当にありがたく、下流に住む一人としまして感謝を申し上げる次第であります。県は今、財政状況が危機的な時期でありますが、それを乗り越えて、生活再建対策や水源地域対策を誠心誠意実施することにより、水源地域である設楽町の安心・安全にも努める必要があると思います。昨年の十二月に回答した設楽ダム建設同意に係る確約事項においては、集団移転地として、設楽町地内で十二カ所、新城市内で二カ所の集団移転候補地を提示され、また、県営住宅一カ所も提示をされました。その後、移転希望についてアンケートを実施し、現在、その取りまとめ中と伺っております。県がまず実施すべきことは、希望に沿った集団移転地を造成することであります。生活の拠点が明確になり、新しい場所での生活を考えることが水没者等の皆様方の元気につながると確信するからであります。また、他のダムでも例があるように、県及び下流市町としては、水没者等の皆様方の生活の安定のために幅広く生活再建対策を実施する必要があると考えております。
 そこでお尋ねをいたします。水没者等の皆様方の長年の御労苦に報いるため、希望に沿った移転地の造成を初めとした生活再建対策の実施について、知事は今後どのように進めていかれるお考えか、お伺いいたします。



 以上、県政各般にわたる諸問題についてお尋ねをしてまいりました。知事初め理事者各位の積極的かつ熱意あふれる答弁を期待いたしまして、私の壇上での質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)



◯知事(神田真秋君)
 お答えを申し上げます。

 最初は、不適正な経理処理の問題についてでございますが、お答えの前に、このたびの不適正な経理処理の問題につきましては、県民の多くの方々、そして、県議会の皆様方に大変御心配をかけました。衷心からおわびを申し上げます。
 今回の問題は、職員のコンプライアンス意識の欠如や長年にわたる慣行が大きな要因になっており、早急に職員の意識改革を図り、前例踏襲型の職場風土を改め、活性化を図らなければならないと考えております。そのための方法として、新年度から新規採用職員から管理職員までに実施をいたします階層別のコンプライアンス研修や、全所属の出納員を対象とする公金取り扱いに関する研修、職員研修体系の中に明確にこうしたものを位置づけ、計画的かつ効果的に実施をすることにいたしております。さらに、新年度の人事異動におきましては、同一所属での長期勤務者の異動の促進を図るとともに、本庁と地方機関、部局間におきましても人事交流を積極的に行い、職場の活性化を図ってまいります。このようなことで、職員一人一人が今回と同様の問題を二度と起こさないという断固たる決意のもとに、全庁一丸となって県政の推進に取り組んでいくことで県民の皆様方の信頼回復に努めてまいりたいと思います。

 次に、当初予算編成における県債活用についてでございます。
 平成二十一年度は、県税収入の激減に見舞われ、四千九百億円もの収支不足を抱えた状態での予算編成ということに相なりました。こうした危機的な財政状況の中にありましても、県民生活の不安感の解消、あるいは将来の地域の発展に向けた施策はゆるがせにできませんので、このような施策を守り進めるため、その財源として、二十年度二月補正予算、そして、二十一年度当初予算と多額の県債を活用させていただいたところでございます。本県は、平成十六年度以降、五年連続で県債の新規発行額を減らしてまいりまして、できる限り県債残高が累増しないように努力をしてきたところでございますけれども、今回の増発によって、結果として、県債残高は、平成二十年度末には四兆円を超し、さらに平成二十一年度末には四兆二千億円を超える、そのような水準になるものと見込んでいるところでございます。とはいえ、残高の増加分は、臨時財政対策債やら減収補てん債など地方財政制度により償還財源が保障された県債でございまして、通常の県債の残高という面では、平成十六年度の三兆一千九百億円、これをピークに減少に転じているところでございます。
 次に、今後の県債残高の推移などについてでございます。
 先日お示しをいたしました財政中期試算におきまして、平成二十四年度まで赤字に陥らない財政運営を行うためには、臨時の財源対策を最大限活用せざるを得ない大変厳しい見通しになっております。県税収入の早期の回復が見込まれない中、今後も県債を活用した財源対策に大きく頼らざるを得ないと考えておりまして、これは一定の前提による試算ではございますけれども、平成二十四年度には四兆四千億円を超えるものと見込んでおります。見かけ上の県債残高はふえるわけでございますけれども、先ほど申し上げましたとおり、地方財政制度により償還財源が保障される県債をできる限り活用することによりまして、実質公債費比率や将来負担比率への影響を小さくしてまいりたいと考えております。こうした指標は、地方税、地方交付税をあわせた一般財源総額に対する公債費などの割合を基本としておりますことから、税収減に伴い悪化いたします。しかし、自主的な財政健全化計画の策定が求められるという早期健全化基準を今後も下回る健全な水準で推移するものと見込まれているところでございます。いずれにいたしましても、県債の増発は県債残高の増加を招き、将来の財政負担をもたらすものでございますので、今後の公債費の動向には十分注意をしながら進めてまいりたいと思っております。

 医師確保対策についてでございます。
 医師の育成や病院への医師派遣など大学が地域の医療提供体制の中で果たしている役割は大きく、特に医師不足の今、県が大学との連携を深め、積極的に調整役を担うことが地域の医療を確保する観点から非常に重要であると認識をしております。そのような観点から、本県では、医学部を持つ県内四大学の病院長などから成ります有識者会議を設置し、四大学と連携を図りながら病院間の機能連携を進めてまいったところでございます。名古屋第一赤十字病院から公立尾陽病院への医師派遣のような新しい病院間の連携はこうした中で動き出したものでございます。さらに、地域の救急医療の確保に必要と位置づけられた病院に対し、優先的に医師を派遣するため、来年度、新たに四大学との協議会を設置してまいります。また、地域医療に貢献する医師を育てていくことも重要でございます。地域の救急医療を担う病院におきましては、初期診療などで幅広く総合的に診療できる医師が求められておりますことから、その養成を目的とした講座を設置する大学に対し支援するという総合医養成推進事業費、これを来年度当初予算で今お願いをしているところでございます。今後とも、大学とこれまで以上の緊密な連携を図り、地域医療がしっかりと確保されるよう努めてまいります。

 次に、雇用対策についてでございます。
 今回の世界的な景気後退に伴う急激な生産調整によりまして、これまで愛知の元気を支えてこられた多くの方々が離職を余儀なくされております。そうした離職者の方々に新たな雇用の場を確保する上で、議員御指摘の二つの事業は、総額百四十一億円の基金を活用し、今後三年間で約一万一千人の雇用創出を目指す大変大きな柱でございまして、大変有意義な事業であると認識をしております。緊急雇用創出事業では、六カ月未満の短期の雇用の創出を図るために、道路、河川の清掃や、各種のアンケート調査などの実施を今検討しているところでございます。また、ふるさと雇用再生特別基金事業では、一年以上の安定的な雇用創出を図るために、地域資源を活用した販売促進事業や、観光振興に向けた人材育成事業などを検討しているところでございます。こうした事業の推進に当たりましては、提供できる仕事の内容や条件等について、求職者の希望に十分沿うことはなかなか容易ではございませんけれども、実際の就職に結びつくよう、企業や市町村の御意見をお聞きしながら、よくよく工夫してまいりたいと思います。

 次に、定額給付金についてでございます。
 この事業は、私も市長時代に経験をいたしました地域振興券と比べまして、約四倍以上にもなる多くの方々を対象に現金を給付するということになってまいります。しかも、転出やら転入が多い年度末から申請が始まりますので、市町村において、円滑かつ間違いなく給付事業が進められることをまず第一に考えていかなければなりません。そこで、市町村課内に定額給付金プロジェクトチームを設置し、国から事業の概要が示された際や、第二次補正予算の成立といった節目をとらえ、市町村と直接意見交換を行うとともに、速やかな情報提供や情報の共有に努めているところでございます。準備を進めるに当たりまして、短期間に大量の事務をこなさなければならない市町村からは、多くの照会あるいは御要望が寄せられております。そこで、制度設計を行う国に対し、積極的に働きかけをすることはもちろんのこと、郵便や警察などの関係機関との調整、連携を進めまして、解決策が得られたものから逐次市町村へお伝えを申し上げております。また、定額給付金の事務全体の道筋を体系的に整理した手引書も作成、配付しているところでございます。今後、給付の開始に向け、市町村の事務がいよいよ本格的に動き出してまいりますので、一層きめ細やかな対応に努め、スムーズな事業実施をしっかりサポートしてまいりたいと考えております。

 次は、経済活性化の観点から地球温暖化対策についてお尋ねをいただきました。お答え申し上げます。
 地球温暖化防止に不可欠な再生可能エネルギーの大幅導入、省エネルギーの徹底、こうしたことに積極的に取り組むことは、新たな市場創出と経済の活性化につながるものと考えております。物づくりの県である本県では、最新の環境技術を普及させる観点から、これまでも太陽光発電、エコカーの導入促進に力を入れてまいりまして、おかげさまでともに我が国のトップランナーとなっているところでございます。新年度は、太陽光発電について市町村との協調補助を継続し、国の補助と相まって一層の普及を図ってまいりますとともに、プラグインハイブリッド自動車などの市場投入にあわせ、その率先導入と充電インフラの整備を行うモデル事業を企業や市町村と連携して展開してまいる考えでございます。また、森林、緑地の保全整備を進めてまいりますことは、地球温暖化の防止はもちろんのこと、雇用創出にもつながるものでございまして、森と緑づくり税の活用などによりしっかりと推進してまいります。さらに、新年度、策定に着手をする新たな地球温暖化防止戦略では、環境と経済発展の両立という観点から、再生可能エネルギーを初めとする最新の環境技術の大幅導入などの中長期の施策を盛り込んで、低炭素社会づくりに着実に取り組んでまいる考えでございます。

 次に、環境分野の産業振興についてでございます。
 環境・エネルギー分野は、将来の成長が期待でき、平成十七年に策定した愛知県産業創造計画の中でも重点的に取り組むべき次世代産業分野の一つに位置づけてきたところでございます。地球温暖化問題への取り組みが世界的に進みつつある今日、環境・エネルギー分野の重要性は一層高まっておりまして、本県としても積極的に取り組むべき分野だと考えております。こうした考え方のもとに、新年度におきましても、さまざまな中小企業支援策を講ずることといたしました。例えば、県の産業技術研究所におきまして、燃料電池を初めとする環境分野の研究開発、技術相談・指導といった技術面の支援を引き続き行ってまいります。また、資金面の支援といたしましては、中小企業の方々の行う新エネルギー分野の技術開発に対する助成や、リサイクル施設整備への助成を行ってまいります。そして、このような取り組みを通じまして、雇用の創出にもつながるよう意を用いてまいりたいと思います。さらに、将来を見据えて、知の拠点や知的クラスター創成事業によるナノテクノロジーの研究開発等の成果を、これを環境分野にも応用し、県内中小企業の方々の製品開発に活用できるよう努めてまいる考えでございます。

 続きまして、資源循環型農業の推進についてお答えを申し上げます。
 我が国は、肥料や燃料などの多くを海外に依存しております。このため、発生量の多い食品残渣と家畜排せつ物、こうした二つのバイオマス資源を農業に有効活用するという取り組みはとても重要であると認識をしております。まず、一つ目の食品残渣では、昨年九月に県内二番目となる食品リサイクルの輪が完成し、これまでの四倍の年間千二百トンの食品残渣の利用が新たに始まっておりまして、今後ともこのような取り組みが県内各地に広がるよう支援してまいりたいと考えております。
 二つ目の家畜排せつ物では、今年度、畜産が盛んな知多や東三河の四地区で、メタン発酵による発電などモデル的なエネルギー利活用システムを県として提案をしております。来年度は、この四地区で産学行政から成るバイオマス利活用推進協議会を立ち上げ、各地域の実情に合ったシステムの構築に向け、合意形成を図ってまいります。いずれにいたしましても、バイオマス利活用というのはコスト面などの課題もございますが、地球温暖化や資源価格高騰などに対応するものとして大いに期待されております。県といたしましては、大学などの関係機関と連携をして、効率の高いバイオマスの変換技術の開発を進め、環境先進県にふさわしい資源循環型農業の推進に努めてまいります。

 次に、あいちトリエンナーレ二〇一〇についてでございます。
 現代美術につきましては、先ほど議員から理解しにくい作品が多いことも事実であると、このような指摘がございました。確かに現代美術は少なからず難しさが伴っております。しかし、私は、その難しさをかみしめ、すぐには言葉にできないけれども、まずは見ること、経験することがとても大切であると考えております。やがてその中から感動や新しい発見が生まれてくるものと思うからであります。私は、あいちトリエンナーレがそうした感動や美しさとの出会いの舞台になることを大いに期待をいたしておりますし、必ず将来その芽が大きく育っていくものと信じているところでございます。さて、開幕まで一年と迫った平成二十一年度は、トリエンナーレを成功に導く上でとても重要な年であります。そこで、二十一年度は、開催に向け、県民の皆様方の機運を盛り上げていかなければならず、そして、先ほども申し上げましたとおり、難しいと言われるこの現代美術への理解を深めていただかなければならないと思っております。この二点について重点的に取り組んでまいりたいと思っております。
 具体的に申し上げます。県立芸術大学出身で国際的に活躍する作家の方々による美術展の開催や、新進作家による町なかでの作品展示を計画しており、現代美術のさまざまな形に触れていただくことで、トリエンナーレへの期待を高めてまいりたいと考えております。また、出展予定作家などによるワークショップやシンポジウムの開催、さらに作品をわかりやすく解説する資料の作成など、現代美術に興味を持っていただけるよう工夫してまいります。
 なお、御提案のあった県民の皆様方のボランティア参加という点でございますが、例えば、作品の制作補助や解説は芸術系大学の学生さんに、また、会場案内などは県民の方々にボランティアとして御協力をいただきたい、そのように考えております。そのため、二十一年度の秋ごろには、そうしたボランティアの募集を開始するなど準備を進めてまいる考えでございます。県民の皆様方が鑑賞者という立場だけではなく、一緒になってつくり上げていくような、そうしたトリエンナーレにしてまいりたいと考えている次第でございます。

 続いて、東部丘陵線対策についてでございます。
 リニモの経営につきましては、多くの皆様方に御心配をかけているところでございます。リニモ沿線は、大学や研究機関の集積に加え、良好な環境を背景とする住宅開発の進捗など極めて発展の可能性が高い地域であります。この地域の計画的な開発を進めるため、今年度、地域づくり構想の策定に取り組んでおりまして、これに基づき、長久手古戦場駅から東のリニモの各駅を中心にまちづくりを進め、住宅、商業、研究開発など多様な機能の立地を誘導することが重要でございます。このため、新年度は、沿線市町や関係団体、NPOなども交えた推進体制を整え、構想の実現に向け、必要な調整、検討を進めてまいりたいと考えております。また、リニモの利用増の見通しにつきましては、沿線開発の進展に伴う沿線の定住人口や通勤通学、施設利用等の交流人口の増加などをもとにして、利用数おおむね二十年後に一日当たり二万五千人程度まで増加するものと見込んでいるところでございます。このリニモは、議員の御指摘にもありましたとおり、今や年間六百万人もの県民の方々に利用されておりまして、行政としてもしっかり支えていかなければならないと考えております。県といたしましては、引き続き沿線市町とも十分連携を図りながら、地域づくり構想の具体化を推進するとともに、通勤通学転換の取り組みなど利用促進にも努め、リニモ利用者の着実な増加を図ってまいる考えでございます。

 最後の答弁として、設楽ダムの建設についてお答えを申し上げます。
 設楽ダムが建設同意に至ることができましたのは、水没者の方々を初め設楽町の皆様方の深い理解があったればこそと心から感謝を申し上げますとともに、その気持ちにこたえていかなければならないという責任の重さを今痛感しているところでございます。水没者の方々の移転先という点につきましては、御希望を伺っておりますが、できる限りそうした御希望に沿えるよう、集団移転地の整備を着実に実施してまいりたいと思っております。また、移転後の生活再建を円滑に進めるために要望がありました生活再建資金の支給などにつきましても、県と東三河の市町村で構成する財団法人豊川水源基金を通じて、新年度から対応ができるよう枠組みを整えているところでございます。今後とも、県及び下流市町を信頼していただきました水没者の方々の期待にこたえ、こうした皆様方の生活再建がきちんと進んでまいりますよう全力を尽くしてまいる考えでございます。
 以上、答弁といたします。



◯警察本部長(神山憲一君)
 治安・防犯対策についてお答えいたします。
 愛知県警察が現在取り組んでおります安全なまちづくりアクションプラン二〇〇九は、あいち地域安全新三か年戦略とも連動して、犯罪の検挙、取り締まりはもとより、犯罪の種類に応じた具体的な抑止施策も強化しております。自動車関連窃盗などは、プロの犯罪組織や不良外国人らにより愛知県内にとどまらず広域的に行われるものも多いことから、関係県の警察とも連携を強化して徹底して検挙してまいります。犯罪の抑止の面では、県民の皆様の高い防犯意識と具体的な行動が必要であり、そのため、警察は、例えば、名古屋市の区政協力委員連絡協議会や豊橋市の地区総会など各地域の会合に警察官を参加させて、各地区ごとに地域安全情報を提供しております。また、小中学校等とも協力して子供の安全に関する情報を初め犯罪に関する最新情報を提供しておりますが、今後もこうした活動を強化していく所存であります。さらに、各地域の情勢に応じた治安対策を推進するために、各警察署長に管内の犯罪発生状況等を分析させ、それに基づき行動計画を策定しております。制服警察官による地域に密着した街頭活動を強化し、犯罪の抑止と検挙の両面から先制的な活動を行っているところであります。今後、犯罪の発生状況に応じ、警察本部からの積極的な支援も行ってまいります。
 以上です。




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