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2009.2.27 : 平成21年2月定例会 速報
〜代表質問の質問及び答弁要旨〜



1 今後の財政運営等について
1−(1)不適正な経理処理の問題について
報告された一連の全庁調査結果や最終報告書によれば、この不適正な経理処理は長年の習慣や前例踏襲により、組織として長い間改められることのなかったという、全庁的、構造的な問題であったと言わざるを得ない。一日も早く県民の信頼を回復することが必要だが、県民にとって、県政への不信感は非常に高いものとなっている。この不信感を払拭するために、今回の調査により明らかになった事実を重く受け止め、しっかりと再発防止に取り組んでいく必要がある。県政に対する県民の信頼回復に向け、知事の再発防止に対する決意をあらためて聞く。特に、今回の問題解決には、職場風土や職員の意識改革が必要だと思うが、どのように考えているのか伺う。

今回の問題は、職員のコンプライアンス意識の欠如や長年の慣行が大きな要因であり、早急に職員の意識改革を図り、前例踏襲型の職場風土を改め、活性化を図らなければならないと考えております。このため、新年度から、新規採用職員から管理職員までに実施する階層別のコンプライアンス研修や全所属の出納員を対象とした公金取扱いに関する研修を職員の研修体系の中に明確に位置づけ、計画的かつ効果的に実施することとしています。さらに、新年度の人事異動においては、同一所属での長期勤務者の異動の促進を図るとともに、本庁と地方機関、部局間においても、人事交流を積極的に行い、職場の活性化を図ってまいります。こうしたことで、職員一人ひとりが、今回と同様の問題を二度と起こさないとの断固たる決意のもと、全庁一丸となって県政の推進に取り組んでいくことで、県民の皆様方の信頼回復に努めてまいります。


1−(2)今後の財政運営について
今回の約4,300億円の歳入の確保では、その多くを県債で賄っており、20年度、21年度の両年度にわたり、3,300億円もの県債を活用することとされている。景気の回復の見通しが立っていない現状では、厳しい財政状況は当面続くと予想され、今後も県債の発行に頼らざるを得ない財政運営を余儀なくされるものと考えられる。今回の財源対策で多額の県債を活用した結果、県債残高は4兆円を超える見込みとなっているが、これについて、どのように考えているか伺う。

平成21年度は、県税収入の激減に見舞われ、4,900億円もの収支不足を抱えた状態での予算編成ということにあいなりました。こうした危機的な財政状況の中にあっても、県民生活の不安感の解消や将来の地域の発展に向けた施策はゆるがせにはできませんので、こうした施策を守り、進めるため、その財源として、20年度2月補正予算、そして21年度当初予算と多額の県債を活用させていただいたところであります。本県は、平成16年度以降、5年連続で県債の新規発行額を減らし、できる限り県債残高が累増しないよう努めてまいりましたが、今回の増発により、結果として、県債残高は平成20年度末には4兆円を超え、更に平成21年度末には4兆2,000億円を超える水準になると見込んでおります。とはいえ、残高の増加分は、臨時財政対策債や減収補てん債など、地方財政制度により償還財源が保障された県債であり、通常の県債の残という面では、平成16年度の3兆1,900億円をピークに減少に転じております。

今後の県債残高の推移、更には、財政健全化法に基づく実質公債費比率、将来負担比率への影響について、どのように見込まれているのか伺う。

先日お示しをした財政中期試算におきましては、平成24年度まで赤字に陥らない財政運営を行うためには、臨時の財源対策を最大限活用せざるを得ない大変厳しい見通しとなっております。県税収入の早期の回復が見込まれない中、今後も県債を活用した財源対策に大きく頼らざるを得ないものと考えており、一定の前提による試算ではありますが、平成24年度には4兆4,000億円を超えるものと見込まれます。見かけ上の県債残高は増えますが、地方財政制度により償還財源が保障される県債をできる限り活用することによりまして、実質公債費比率や将来負担比率への影響を小さくしてまいりたいと考えております。こうした指標は、地方税、地方交付税を合わせた一般財源総額に対する公債費などの割合を基本としておりますことから、税収減に伴い悪化いたします。しかし、自主的な財政健全化計画の策定を求められる早期健全化基準を下回る、健全な水準で推移するものと見込まれます。いずれにしましても、県債の増発は、県債残高の増加を招き、将来の財政負担をもたらすものでありますので、今後の公債費の動向には十分に注意をしながら進めてまいりたいと考えております。




2 生活者として県民が安心感を持って暮らせる施策について
2−(1)治安・防犯対策について
「100年に一度」と言われる厳しい時だからこそ、犯罪のない社会の実現に向けて着実に一歩一歩進んでいるという実感が欲しい。県警察においては、「安全なまちづくりアクションプラン2009」を策定し、刑法犯認知件数を昨年の6パーセント減少、侵入盗や自動車関連窃盗など県民の身近で発生する犯罪を3,500人、17,000件以上検挙するという本年の具体的な数値目標を掲げて取り組むこととしている。しかし、豊橋市と名古屋市とは情勢が異なり、増えている犯罪も異なる。アクションプランの実効性をより高めるため、県内一律的な施策を行うのではなく、地域ごとの実態に応じたパトロールや情報提供といった、地域住民に密着した活動を進め、地域の声に耳を澄まし、県警全体の施策に反映させてもらいたい。豊橋市に住んでいる者が、愛知県全体の情報や名古屋市の情報を得ても危機感はなかなか高まらない。住んでいる地区の具体的な情報が必要である。警察本部長に、安心して暮らせる安全な愛知を確立するために、アクションプラン2009を推進するにあたり、いかにそれぞれの地域の情勢に応じた形で取り組むつもりなのか伺う。

愛知県警察が、現在取り組んでいる「安全なまちづくりアクションプラン2009」は、「あいち地域安全新3か年戦略」とも連動して、犯罪の検挙、取締りはもとより、犯罪の種類に応じた具体的な抑止施策も強化しています。自動車関連窃盗などは、プロの犯罪組織や不良外国人らにより愛知県内に止まらず、広域的に行われるものも多いことから、関係県の警察とも連携を強化して、徹底して検挙してまいります。犯罪の抑止の面では、県民の皆様の高い防犯意識と具体的な行動が必要であり、そのため警察は、例えば、名古屋市の区政協力委員連絡協議会や豊橋市の地区総会など、各地域の会合に警察官を参加させて、各地区毎に地域安全情報を提供しております。また、小中学校等とも協力して子どもの安全に関する情報を始め犯罪に関する最新情報を提供しておりますが、今後もこうした活動を強化していく所存です。さらに、各地域の情勢に応じた治安対策を推進するために、各警察署長に管内の犯罪発生状況等を分析させ、それに基づき行動計画を策定しております。制服警察官による地域に密着した街頭活動を強化し、犯罪の抑止と検挙の両面から先制的な活動を行っているところです。今後、犯罪の発生状況に応じ、警察本部からの積極的な支援も行ってまいります。


2−(2)医師確保対策について
本県では、約2割の病院で診療制限が行われており、早急な対策が求められている。国は、医師数が全体として不足していることを認め、医師養成数を増加させることを明らかにした。本県でも、4つある大学医学部の定員は、来年度は35人増えて415人になる。しかし、社会の高齢化が進むにつれ医療を必要とする人は増える一方、医療の質は日に日に高度化し、それにつれ医師の専門分野も細分化されている。医師数を増やすだけでは、医師不足の問題は解決しないとの声もある。地域医療へ貢献するという志を持った多くの医師を育てていくためには、大学の定員を増やすだけではなく、地域医療への理解を深めるための教育が重要である。今後、医師になるための教育を行い、また地域の病院へ医師を派遣している大学と緊密な協力関係を築いていくことが、ますます必要ではないかと思うが、県は、地域医療を守るため、大学とどのように連携を図っていくのか伺う。

医師の育成や病院への医師派遣など、大学が地域の医療提供体制の中で果たしている役割は大きく、特に医師不足の今、県が大学との連携を深め、積極的に調整役を担うことが、地域の医療を確保する観点から、非常に重要であると認識いたしております。そのような観点から、本県では、医学部を持つ県内4大学の病院長等からなる有識者会議を設置し、4大学と連携を図りながら病院間の機能連携を進めてまいりました。名古屋第一赤十字病院から公立尾陽病院への医師派遣のような新しい病院間の連携は、こうした中で動き出したものであります。さらに、地域の救急医療の確保に必要と位置付けられた病院に対し、優先的に医師を派遣するため、来年度、新たに4大学との協議会を設置してまいります。また、地域医療に貢献する医師を育てていくことも重要であります。地域の救急医療を担う病院におきましては、初期診療などで幅広く総合的に診療できる医師が求められていることから、その養成を目的とした講座を設置する大学に対し支援する「総合医養成推進事業費」を来年度当初予算でお願いしているところでございます。今後とも、大学とこれまで以上に緊密な連携を図り、地域医療がしっかりと確保されるよう努めてまいります。


2−(3)雇用対策について
景気の急速な悪化により、製造業の生産調整が急速に進み、派遣労働者や期間従業員などの非正規労働者が大量に離職している。厚生労働省の調査によると、本県では、昨年10月から本年3月末までの間に、約2万人の非正規労働者が離職すると見込まれている。国の第2次補正予算では、「緊急雇用創出事業」と「ふるさと雇用再生特別交付金」を創設し、全国で合わせて4千億円を交付することを決めている。県はこれを受けて、新年度から3年間、県と市町村がこの基金を原資として雇用創出事業を行うため、着々と準備を進めていることと思う。新規の雇用創出は離職者対策として最も効果的な支援事業である。そのため、特に大規模な取組として実施される「緊急雇用創出事業基金」と「ふるさと雇用再生特別基金」は重要な施策であると考えるが、知事はどのような所見を持ち、どのような事業を考えているのか伺う。

今回の世界的な景気後退に伴う急激な生産調整により、これまで愛知の元気を支えてこられた多くの方々が離職を余儀なくされております。そうした離職者の方々に新たな雇用の場を確保する上で、議員ご指摘の2つの事業は、総額141億円の基金を活用し、今後3年間で約1万1千人の雇用創出を目指す、大変大きな柱であり、有意義な事業であると認識しております。「緊急雇用創出事業」では、6か月未満の短期の雇用創出を図るため、道路・河川の清掃や、各種のアンケート調査などの実施を検討しているところでございます。また、「ふるさと雇用再生特別基金事業」では、1年以上の安定的な雇用創出を図るため、地域資源を活用した販売促進事業や観光振興に向けた人材育成事業などを検討しております。こうした事業の推進に当たって、提供できる仕事の内容や条件等について求職者の希望に十分に沿うことは容易ではありませんが、実際の就職に結びつくよう、企業や市町村のご意見を聞きながら、よくよく工夫してまいります。


2−(4)定額給付金について
定額給付金については、現下の厳しい経済状況の中で、生活者の不安にきめ細かく対処する家計への緊急支援策として、また、消費を増やし景気を下支えする経済効果を持つ事業として実施されるものである。全国各地で、給付金事業の本体とは別に、商工関係団体が自ら、あるいは市町村とタイアップして、上乗せ商品券の発行や消費拡大セールの実施など、独自の取組が企画されている。県内でも、例えば豊田市はじめ6市では、商工関係団体の方々が、定額給付金の給付時期に合わせ、地元商店街などで使える10%お得な商品券を発行し、少しでも地元で消費していただこう、地域経済の活性化につなげていこうと取り組んでおり、他に現在検討中の市町村もあると聞いている。こうした取組と給付金事業との相乗効果によって、地元の需要が喚起され、地域に元気がもたらされることを大いに期待する。まさに「県民の生活を守る」定額給付金事業であるが、実際に事業を担う各市町村が迅速かつ確実に事務を進められるよう、県としてどのように市町村を支援しているのか伺う。

定額給付金事業は、私が市長時代に経験した地域振興券と比べ、約4倍以上もの多くの方々を対象に現金を給付することとなります。しかも、転出・転入が多い年度末から申請が始まりますので、市町村において、円滑、かつ間違いなく給付事業が進められることを第一に考えなければなりません。そこで、市町村課内に定額給付金プロジェクトチームを設置し、国から事業の概要が示された際や第2次補正予算の成立といった節目を捉え、市町村と直接意見交換を行うとともに、速やかな情報提供や情報の共有に努めているところであります。準備を進めるにあたり、短期間に大量の事務をこなさなければならない市町村からは、多くの照会や要望が寄せられております。そこで、制度設計を行う国に対して積極的に働きかけることはもとより、郵便や警察などの関係機関との調整や連携を進め、解決策が得られたものから、逐次、市町村へお伝えをしております。また、定額給付金事務全体の道筋を体系的に整理した手引きも作成、配布しているところであります。今後、給付の開始に向け、市町村の事務がいよいよ本格的に動き出してまいりますので、一層きめ細やかな対応に努め、スムーズな事業実施をしっかりサポートしてまいります。





3 県民に希望を与える今後の施策展開について
3−(1)経済活性化につながる環境政策の推進について
3−(1)@ 地球温暖化対策について
環境技術の普及を前倒しし、「低炭素社会づくり」を促進していくことは、新たな市場創出と経済の活性化につながるものであり、この経済危機からの一日も早い回復に向けて、是非とも力を入れていくべきものと考える。また、本県では来年度から「森と緑づくり税」を活用した事業が開始されるが、これも森林整備や都市緑化を進めることにより、新たな需要と雇用の創出につながる可能性があり、大いに期待している。県においては、本格的な地球温暖化対策の方向性をいち早く打ち出し、「森と緑づくり税」なども活用して、経済活性化を促しつつ、積極的に温暖化対策を進める必要があると考えるが、知事の見解を伺う。

地球温暖化防止に不可欠な、再生可能エネルギーの大幅導入や、省エネルギーの徹底等に積極的に取り組むことは、新たな市場創出と経済の活性化につながるものと考えております。モノづくり県である本県では、最新の環境技術を普及させる観点から、これまでも太陽光発電やエコカーの導入促進に力を入れており、ともに我が国のトップランナーとなっております。新年度は、太陽光発電について市町村との協調補助を継続し、国の補助と相まって一層の普及を図るとともに、プラグインハイブリッド自動車等の市場投入に合わせ、その率先導入と充電インフラの整備を行うモデル事業を企業や市町村と連携し展開してまいります。また、森林・緑地の保全・整備を進めることは、地球温暖化の防止はもとより、雇用機会の創出にもつながるものであり、森と緑づくり税の活用等により、しっかりと推進してまいります。さらに、新年度、策定に着手する新たな地球温暖化防止戦略では、環境と経済発展の両立という観点から、再生可能エネルギーを始めとする最新の環境技術の大幅導入などの中長期の施策を盛り込み、低炭素社会づくりに着実に取り組んでまいります。


3−(1)A 環境分野の産業振興について
本県経済の回復のためには、県内事業所のうち99%を占める中小企業の健全な発展が不可欠であり、このまま中小企業の経営状況の悪化が続けば、既に深刻な影響を受けている本県の経済活動の回復は、さらに遠のく。モノづくりが集積する本県において、環境・エネルギー分野に対応した技術開発であるとか、効率的な資源利用などにおいて、中小企業を活かすことができる、しっかりとした対応が求められる。世界的な環境対応の流れの中で、環境に関する県の産業振興策をどのように考え、また、現在、低炭素社会づくりに向けて、どのように技術開発等の支援策を講じているのか伺う。

環境・エネルギー分野は、将来の成長が期待でき、平成17年に策定した愛知県産業創造計画の中でも、重点的に取り組むべき次世代産業分野の一つに位置付けております。地球温暖化問題への取組が世界的に進みつつある今日、環境・エネルギー分野の重要性は一層高まっており、本県としても積極的に取り組むべき分野と考えております。このような考えのもと、新年度においても様々な中小企業支援策を講じることとしております。例えば、県の産業技術研究所において、燃料電池を始めとする環境分野の研究開発、技術相談・指導といった技術面の支援を引き続き行います。また、資金面での支援としては、中小企業の方々の行う新エネルギー分野の技術開発に対する助成や、リサイクル施設整備への助成を行ってまいります。そして、このような取組を通じて、雇用の創出にもつながるよう意を用いていきたいと思います。さらに、将来を見据えて、知の拠点や知的クラスター創成事業によるナノテクノロジーの研究開発等の成果を、環境分野にも応用し、県内中小企業の方々の製品開発に活用できるよう努めてまいります。


3−(1)B 資源循環型農業の推進について
経済再生のカギを握る一つのものとして、環境に一番近いところにある農業の発展が必要である。具体的には、地球温暖化防止、循環型社会形成という観点からバイオマスの農業利用の推進が重要だと思う。県内には、農林水産業や食品産業、県民生活などから毎年400万トンのバイオマスが発生しているが、この資源は、必ずしも有効利用がされていない。比較的量が多く、収集が容易な、食品産業から発生する食品残さや畜産業から発生する家畜排せつ物などは活用が期待できる。環境面だけでなく、戦略的産業育成という観点からも、バイオマスを活用した資源循環型農業の推進が重要だと思うが、知事の所見を伺う。

我が国は、肥料や燃料などの多くを海外に依存しております。このため、発生量の多い食品残さと家畜排せつ物の2つのバイオマス資源を農業に有効活用する取組は、とても重要であると認識しています。まず、1つ目の食品残さでは、昨年9月に、県内2番目となる食品リサイクルの輪が完成し、これまでの4倍の年間1,200tの食品残さの利用が新たに始まっており、今後とも、このような取組が県内各地に広がるよう支援してまいります。2つ目の家畜排せつ物では、今年度、畜産が盛んな知多や東三河の4地区で、メタン発酵による発電などモデル的なエネルギー利活用システムを県として提案しております。来年度は、この4地区で、産・学・行政からなるバイオマス利活用推進協議会を立ち上げ、各地区の実情にあったシステムの構築に向け、合意形成を図ってまいります。いずれにいたしましても、バイオマス利活用はコスト面などの課題もありますが、地球温暖化や資源価格高騰等に対応するものとして期待されております。県といたしましては、大学などの関係機関と連携して、効率の高いバイオマスの変換技術の開発を進め、環境先進県にふさわしい資源循環型農業の推進に努めてまいります。


3−(2)地域づくりの施策について
3−(2)@ 「あいちトリエンナーレ2010」について
現在のように経済が悪化している状況では、将来に不安を感じ、気持ちも沈みがちな県民の皆様も多いのではないか。このような時代こそ、トリエンナーレを開催することによって、県民の皆様に心の豊かさや潤い、わくわくするような高揚感を感じていただけるものと期待している。今、私たちと同じ時代に生きる現代作家の作品を身近に観ることは、意味のあることであり、心がときめくのではないかと期待している。多くの県民の皆様にトリエンナーレの中軸を担う現代美術に関心を持っていただき、期待感を高めるような取組を、開催前年である平成21年度から展開していくことが重要である。ボランティアとして参加してもらうなど、自分たちがこの芸術祭を支えているのだと感じてもらうことが、長い目で見ればこの地域の文化を形作っていくことにつながっていくものと考える。「あいちトリエンナーレ2010」の開催へ向けた気運を高め、県民目線に立った芸術祭として、多くの県民の皆様にご参加いただくため、どのような取組を考えているのか伺う。

現代美術について、先ほど議員から理解しにくい作品が多いことも事実である、とのご指摘がございました。確かに現代美術は、少なからず難しさが伴います。しかし、私は、その難しさを噛みしめ、すぐには言葉にできないけれども、まずは見ること、経験することが大切であると考えます。やがてその中から感動や新しい発見が生まれてくるものと思います。私は、あいちトリエンナーレがそうした感動や美しさとの出会いの舞台となることを期待しておりますし、必ず、将来その芽が大きく育っていくものと信じております。さて、開催まで1年と迫った平成21年度は、トリエンナーレを成功に導く上で、とても重要な年であります。そこで21年度は、開催に向け、県民の皆様方の気運の盛り上げていかなければならず、そして、先ほど申し上げましたように、難しいといわれる現代美術への理解を深めていただかなくてはならないと考えております。この2点について、重点的に取り組んでまいりたいと考えております。具体的には、県立芸術大学出身で、国際的に活躍する作家の方々による美術展の開催や、新進作家によるまち中などでの作品展示を計画しており、現代美術の様々な形に触れていただくことで、トリエンナーレへの期待感を高めていきたいと考えております。また、出展予定作家等によるワークショップやシンポジウムの開催、さらに、作品を分かりやすく解説する資料の作成など、現代美術に興味を持っていただけるような工夫をしてまいります。なお、ご提案のあった、県民の皆様方のボランティア参加ですが、例えば、作品の制作補助や解説は芸術系大学の学生さんに、また、会場案内などは、県民の方々にボランティアとしてご協力いただきたいと考えております。そのため、21年度の秋頃には、ボランティアの募集を開始するなど、準備を進めてまいります。県民の皆様方が鑑賞者という立場だけでなく、一緒になって作り上げていくようなトリエンナーレとしてまいりたいと考えています。


3−(2)A 東部丘陵線(リニモ)対策について
概ね20年後に1日当たり25,000人の利用者という予測に基づいて推計された長期収支見通しによると、愛知高速交通株式会社が人件費削減などの更なる経営改善努力をしても、借入金の負担が重くのしかかり、リニモ会社の存続には経営支援が不可欠であることがはっきりしてきた。リニモは、今後の地域の振興に欠くことのできない重要な社会基盤であるなど、その役割の公共性、重要性に鑑み、県を中心に行政でしっかりと支えていく必要がある。リニモの経営支援に当たっては、その前提となる今後の経営見通しが決して甘いものであってはならないと考える。さらに、リニモの利用者増には、沿線開発が重要であり、リニモを軸とした魅力あるまちづくりにしっかり取り組む必要がある。今後、リニモ沿線の開発をどのように進めていく考えか、また、利用者増をどのようにして見込んでいるのか、知事の所見を伺う。

リニモの経営につきましては、多くの方にご心配をおかけしております。リニモ沿線は、大学や研究機関の集積に加え、良好な環境を背景とする住宅開発の進捗など、極めて発展の可能性が高い地域であります。この地域の計画的な開発を進めるため、今年度、地域づくり構想の策定に取り組んでおり、これに基づき、長久手古戦場駅から東のリニモの各駅を中心にまちづくりを進め、住宅、商業、研究開発など多様な機能の立地を誘導することが重要であります。このため、新年度には、沿線市町や関連団体、NPO等も交えた推進体制を整え、構想の実現に向け必要な調整・検討を進めてまいりたいと考えております。また、リニモの利用増の見通しにつきましては、沿線開発の進展に伴う、沿線の定住人口や、通勤・通学、施設利用等の交流人口の増加などをもとにして、利用者数を概ね20年後に一日当たり2万5千人程度まで増加するものと見込んでいるところであります。リニモは、議員ご指摘のとおり、今や年間600万人もの県民の方々に利用されており、行政としてもしっかり支えていかねばならないと考えております。県といたしましては、引き続き、沿線市町とも十分連携を図りながら、地域づくり構想の具体化を推進するとともに、通勤・通学転換の取組など利用促進にも努め、リニモ利用者の着実な増加を図ってまいる考えであります。


3−(2)B 設楽ダムの建設推進について
東三河地域の念願である設楽ダムは、ようやく地元設楽町と国土交通省中部地方整備局、そして愛知県の3者の間で「着工同意」の協定が結ばれた。これから12年間にわたり、本体工事はもとより、道路や簡易水道、下水道といった様々な地域振興策が実施され、平成32年度の完成を目指すことになる。県は今、財政状況が危機的な時期であるが、それを乗り越えて、生活再建対策や水源地域対策を、誠心誠意実施することにより、水源地域である設楽町の安心・安全にも努める必要がある。県がまず実施すべきは、希望に沿った集団移転地を造成することであると考える。生活の拠点が明確になり、新しい場所での生活を考えることで、水没者等の方々の元気につながると確信する。また、県及び下流市町としては、水没者等の方々の生活の安定のために幅広く生活再建対策を実施する必要がある。水没者等の皆様方の長年のご労苦に報いるため、希望に沿った移転地の造成を始めとした生活再建対策の実施について、知事は、今後どのように進めていく考えか伺う。

設楽ダムが「建設同意」に至ることができましたのは、水没者等の方々を始め設楽町の皆様方の深いご理解があればこそと、心から感謝をいたしますとともに、そのお気持ちに応えなければならないという責任の重さを痛感しております。水没者等の方々の移転先につきましては、ご希望を伺っておりますが、できる限りご希望に沿えるよう、集団移転地の整備を着実に実施してまいりたいと考えております。また、移転後の生活再建を円滑に進めるために要望のありました生活再建資金の支給などについても、県と東三河の市町村で構成する財団法人豊川(とよがわ)水源基金を通じて、新年度から対応ができるよう、枠組みを整えているところでございます。今後とも、県及び下流市町を信頼していただきました水没者等の方々の期待に応え、皆様方の生活再建が進みますよう、全力を尽くしてまいりたいと考えております。




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