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2009.3.10 : 平成21年2月定例会 速報
〜議案質疑の質問及び答弁要旨〜



(質問)
小学校ではこれから卒業式を迎えるわけでありますが、小学校から中学校へ進学する子どもたちは、まさに思春期にあり、心身の成長や変化が著しく、精神的にも不安定になっています。加えて、中学校での新しい人間関係、教科担任制や生活規則の違い、教師の対応の違いなど、中学校入学後の環境の変化の中で、学習や生活に対応できず、不登校や問題行動につながるケースが多くなっていると聞いております。子どもたちが中学校の環境に適応できない、いわゆる「中1ギャップ」の問題は、本県でも重要な課題となっており、県内の中学校では、先生方がその解決に向けて懸命に取り組んでおられます。しかし、今の中学校現場の状況を見ると、様々な教育課題への対応が、待ったなしで求められております。ただでさえ難しい年頃の中学生を、熱意を持って育てている先生方が、もっとゆとりを持って子どもたちと真正面から向き合い、触れ合えるようにする方法はないものかと、私は常々考えております。
この度、県教育委員会は中1ギャップ解消のため、平成21年度から35人学級を中学校第1学年で行う方針を示されました。35人学級は、平成16年度から県内の小学校第1学年で導入され、小学校入学時における「小1プロブレム」の問題に対して、子どもたちの不安や戸惑いを和らげるなど、学校生活になじませるのに大変効果を上げたと承知をしております。こうした結果を踏まえて、中学校第1学年へ35人学級を導入されることは、中1ギャップの解消に向けた大変良い施策であり、大いに期待をしているところであります。しかしながら、中1ギャップの背景には、様々な要因が関わっていることから、35人学級の実施だけで解決できるものではなく、子どもたちを中学校の学習や生活に適応させるためには、更なる施策を講じる必要があると考えております。
先日、横浜市が平成24年度から市内の小学校346校と中学校145校の計491の全市立校において、小中一貫教育に取り組むことが報じられました。全小中学校での一貫教育は、東京都品川区が平成18年度に全国の自治体に先駆け、現在計54校で実施、そして、広島県呉市でも既に導入しており、東京都八王子市、宇都宮市、京都市などでも導入に向け、準備を進めているとのことであります。その取り組みとは、中学校の先生が小学校に行って授業をしたり、小中学生が部活動や学校の行事を合同で行ったりするなど、小学校と中学校が日常的に連携し、義務教育の9年間を見通した一貫性のある教育を実施するということでありました。こうした取り組みは、中学校の側で小学生の状況を把握し、受け入れ態勢を充実させるとともに、小学生に対しては早い段階から中学校の雰囲気に慣れさせることによって、小学校と中学校の接続を円滑にして、子どもたちがスムーズに中学校生活をスタートできる、大変有効なシステムではないかと思います。
中1ギャップを解消するためには、35人学級の導入とあわせて、小中学校が連携した教育を工夫したり、専門家による相談体制を充実したりするなど、様々な施策を実施しながら、児童生徒の指導に当たっていくことが必要であると考えますが、教育長のお考えをお伺いいたします。


(教育長答弁要旨)
議員ご指摘のように、「中1ギャップ」は、愛知県でも大きな課題としてとらえておりまして、教育委員会といたしましても、教科担任制への移行など学習環境の変化による生徒の学習上のつまずきや、新しい友達との関係など生活の不安を軽減するため、まずは、来年度から中学校第1学年への35人学級の導入を行い、その解決に向けて取り組んでいるところであります。小中学校が連携した教育につきましては、平成16、17年度の2ヵ年に渡りまして、学識経験者等で構成する義務教育問題研究協議会で、小中連携教育の在り方を探り、その後行いました、委嘱校による小中学生の交流活動や教師相互の交流授業など具体的な実践事例を、県内の各小中学校に示しながら、小中連携教育の推進に努めております。また、小中学校の人事交流を図ったり、初任者研修や10年経験者研修で、小中学校両方の授業参観を行ったりして、互いの学校の子どもたちの状況をとらえ、適切な指導が進められるように努めているところでございます。専門家による相談体制につきましては、子どもたちの抱える問題に対応するため、平成19年度より県内すべての中学校にスクールカウンセラーを配置して、教職員が一体となって教育相談活動に取り組めるよう支援をしております。県教育委員会といたしましては、今後も35人学級をはじめとして様々な取組を行いながら、中1ギャップの解消に努め、すべての子どもたちに充実した学校生活を送らせてまいりたいと考えております。


(質問)
先生方が児童生徒と向き合う時間をしっかり確保できるように教員定数を増やしたとしても、昨今の学校を取り巻く環境の急激な変化を考えますと、さらに別の角度の施策も必要ではないでしょうか。学校に持ち込まれる様々な問題、その内容や要求はますます複雑となり、多様化し、エスカレートしております。従来の指導方法や対応では通用しなくなり、さらには多忙化することで、職場内でのコミュニケーションもどんどん希薄になっております。その結果、先生方の中には、心身に支障をきたす方や、本来の指導力を発揮できない方も出ているようであります。教員の指導力はもとより、その健康状態によって、大切な児童生徒の人間形成や学習に影響を及ぼすことがあってはなりません。35人学級を中1に導入することなど、量的な側面から教育環境を改善することはもちろん重要でありますが、この施策を一層効果的なものにするためには、質的な側面での施策が是非必要であると考えます。こうした観点から、教員の指導力向上とメンタルヘルスの保持について、どのように取り組んでおられるのかあわせてお伺いいたします。


(教育長答弁要旨)
教員の指導力向上とメンタルヘルスの保持につきましては、学校が一層地域の期待に応えていくためにも重要な課題と認識しております。このため、教育委員会では、様々な研修に加え、優れた指導実績のある退職教員を新規採用者の指導教員として配置したり、授業名人として活用し、若手教員に対し見本授業や指導技術を高めるための研修を行うほか、地域で活躍する人材をその道の達人として学校に派遣するなど、教員の指導力の向上に努めているところでございます。また、教員が精神的にも健康な状態であるためには、学校が抱える様々な課題に対して担当する教員を孤立させないことが何よりも重要であると考えております。そのため、職場内でのコミュニケーションを深めたり、教員が気軽に相談できるような職場環境を形成するなど、管理職をはじめ職場全体が一丸となって取り組むよう学校に対し指導しているところでございます。こうした取組のほかにも、本年度から機動的な学校運営を目指して小中学校に主幹教諭を配置したところであり、保護者や地域住民からの様々な要求への対応や若手教員への指導や相談の充実を図るとともに、多忙化解消にも効果を発揮しているところでございます。今後も、教員が心身ともに健康で十分に力量を発揮していただけるよう、できる限りの取組を進めてまいります。


(質問)
中1の学級数を増やす、教員定数を増員するわけでありますが、その一方で次のような数字があります。それは、名古屋市を除く小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校における教員の病気休職者の状況であります。そのうち、特に精神性疾患による休職者の実態であります。
ご紹介しますと、20年度はまだ数値がまとまっていませんが、過去5年間の数値を見てみますと、
平成15年
 病気休職者   242人
 うち精神性疾患 130人 (病気休職者の53.7%)
平成16年
 病気休職者   282人 前年比40人増
 うち精神性疾患 161人 (病気休職者の57.1%)
平成17年
 病気休職者   319人 前年比37人増
 うち精神性疾患 192人 (病気休職者の60.2%)
平成18年
 病気休職者   316人
 うち精神性疾患 195人 (病気休職者の61.7%)
平成19年
 病気休職者   320人
 うち精神性疾患 185人 (病気休職者の57.8%)
という数字であります。
ここから言えますことは、病気の休職者も増えておりますけれど、精神性疾患の方、非常に苦労されている方が増えているということであります。現在、休職中の皆さん方には一刻も早くお元気になっていただき、待っている子どもたちのもとへ帰っていただきたいと思います。また、休職者の皆さん方を支え、頑張ってみえる先生方には敬意を表したいと思います。今後とも、校長中心に子どもの成長のために、心を一つに合わせてご尽力いただきたいと思います。教員を増員しても休職者が増えるようでは大変残念なことであります。教育長はこの休職者の推移についてどのような感想を持たれますか、そして今後どのような対応が必要であるとお考えでしょうか。


(教育長答弁要旨)
精神性疾患により休職に至った直接の原因を特定するのは、なかなか難しいわけでありますけれども、学校をとりまく状況の変化でありますとか、またよく言われます業務の多忙化をはじめといたしまして、また、個人個人では家庭の事情とか健康とか、いろいろな要因が複雑に絡み合っているものと推測しているところでございます。教育委員会といたしましては、これまでにも、管理職を対象としてメンタルヘルスの研修会でありますとか、自己診断方式のストレスチェックそういうものを実施してまいりました。また、他にも学校には現場内の相談体制の充実などもお願いしてまいりました。また、要因の一つと思われます業務の多忙化解消の関係でございますが、今、その取り組みを進めております。休職者の円滑な復職を図るためには、これまで以上に休職者の個々の状況把握に努めたり、新学年を迎えるこの時期に、各学校におきましても教職員のメンタルヘルスの保持等につきまして、改めて文書を出して周知徹底を図ってまいりたいと考えております。いずれにいたしましても、教職員の心の健康の重要性を十分に認識しまして、今後も出来る限りの対策を講じてまいりたいと考えております




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