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2009.9.28 : 平成21年9月定例会 速報
〜一般質問の質問及び答弁要旨〜
<1.農地制度改革>
1−1.優良農地の確保
先の国会で、農地制度の改革について審議され、与野党合意の下に農地法等の一部を改正する法律が成立し、6月24日に公布され、年内にも施行される予定であります。この改正の趣旨は、食料の安定供給を図るための重要な生産基盤である農地について、農用地区域からの除外に係る規制や、農地転用に係る規制を強化すること等により、農地の確保を図るとともに、農地の貸借に係る規制の緩和や、農地の利用集積を図る事業の創設等により、農地の有効利用を促進しようとするものであります。即ち、農地制度の力点を「所有」から「利用」に移し、「貸しやすく借りやすい農地制度」を目指す観点から法改正され、農地の流動化促進に期待がかかるところであります。
穀物価格の高騰、諸外国における輸出規制など、世界の食料事情が大きく変化し、食料需給のひっ迫の度合いが強まっている中、食料の多くを海外に依存している我が国においては、国内の食料供給力を強化し、40パーセント台に低迷する食料自給率の向上を目指していくこと、つまりは、食料安全保障の確立が重要な課題とされております。
このため、農業生産の重要な基盤である農地について、優良な状態で確保し、これを最大限に利用されるようにしていくことが求められております。
しかしながら我が国の農業の現状を見ますと、農業従事者の減少や高齢化が進む中で、担い手の減少や、農地の減少もとどまることを知らず、農地はこの40年間で2割以上が減ってしまいました。その一方で、耕作放棄地など有効に利用されていない農地は約39万ヘクタールと埼玉県の面積に匹敵するまでに膨らんでいます。農業をとりまく環境は、大変厳しい状況になっております。
このため、本県におきましても農地法等の改正の趣旨に沿い、優良農地を確保するとともに、確保した優良農地を意欲のある者に集積するなどして農地の適正かつ効率的な利用に資する施策を展開していくことが大変重要であります。
(質問)
本県の農振農用地の面積は現在どれだけあるのか。
今後、県は確保すべき農用地等の面積の目標をどのような考え方で定めるのか。
県は実際に優良農地の確保に向けて、どのように取り組んでいくのか
(答弁)
本県の優良農地である農業振興地域内の農用地等は、毎年減少を続け平成20年12月現在、約7万1,000ヘクタールとなっております。特にここ数年は年間300から400ヘクタール程度減少しており、大変懸念しているところであります。
農地法等の改正により、都道府県は、確保すべき農用地等の面積の目標を設定することとされましたので、本県としましては、国の基本指針に基づいて、都市的土地利用とのバランス、農用地区域を定める市町村の意向などを総合的に勘案して、面積の目標を定めてまいりたいと考えております。
また、優良農地を確保する取組ですが、農用地区域からの除外に関して、今回の改正で、担い手に対する農地の利用集積に支障を及ぼすおそれがある場合は、除外を認めないという新たな規制が設けられましたので、この趣旨を本県としても十分尊重するとともに、市町村に対しましても、この旨徹底してまいります。
さらに、農地の無断転用等の違法行為に対しましても、罰則等が強化されましたので、市町村農業委員会等と連携した農地巡回パトロールの強化などにより、その早期発見、早期是正に努めてまいります。
1−2.担い手への農地利用集積
愛知県の農産物の供給力の強化を図るためには、生産基盤としての優良農地を確保していくとともに、確保された農地の有効利用を図っていくことが重要であります。全国の農業従事者はこの40年間で7割以上も減少し、335万人にまで縮小しました。しかも、その6割近くが65歳以上の高齢者であります。担い手不足は既に危機的水準を超えております。本県におきましても農業従事者は、その約55パーセントが65歳以上であり、将来的にも減少していくことが予想される中で、農地の有効利用を図るためには、効率的かつ安定的な農業経営を行う担い手に農地を集め、生産性の高い農業経営を展開していくことが必要であります。
しかしながら、現状では、農地を他人に貸すことに対する所有者の不安感や、農地を貸すと相続税の納税猶予の適用を受けることができないなどの要因もあって、担い手への農地の利用集積が十分に進んでおらず、農地が十分に有効利用されていないと聞いております。
農地法等の改正により、「農地利用集積円滑化事業」が創設されました。これは農地所有者から利用権設定等の委任を受けた団体が、担い手への利用集積を進めるものであります。
(質問)
本県における担い手への利用集積はどの程度進んでいるのか。
法改正を踏まえて、県は今後、担い手への農地の利用集積にどのように取り組んでいくのか
(答弁)
本県におきましては、平成19年度末現在で、耕地面積の33%に相当いたします約2万7千ヘクタールの農地が利用権設定等により担い手に利用集積されております。残念ながら全国平均の51%とは相当の差がありますので、今後、さらに担い手への利用集積を進める必要があると考えております。
今回の法改正により創設されました「農地利用集積円滑化事業」を実施するためには、まず、市町村が策定する「基本構想」に、農地の所有者と担い手を仲介する団体を定める必要があります。このため、県といたしましては、市町村に「基本構想」の早期策定について指導するとともに、仲介を行う団体に対しまして、事業の円滑な実施に向けた支援を行うことにより、担い手に対する農地の利用集積の促進に努めてまいります。
なお、今回併せて相続税の納税猶予制度が改められ、農地の貸付けを行った場合にも、継続して適用されることになりましたので、担い手への農地の利用集積が、より円滑に進むものと期待しているところであります。
1−3.都市近郊地域の耕作放棄地の解消
本県は、三大都市圏の一角を占めますが、220万人の人口を擁する名古屋市及びその周辺地域に代表されるように、都市と農村が近接しているという特徴があります。山間地域など条件不利地における耕作放棄地についてはよく話題になるところでありますが、都市近郊においても耕作放棄地は残念ながら存在いたします。このような都市近郊の耕作放棄地については、地産地消の推進や都市住民が農業とふれあう場を確保するとの観点から、農業的に有効利用していくことが重要であると考えております。
一方、都市近郊では、一般に農地は、住宅地等との混在により区画が狭小で分散しており、また、農作業に当たっても地域住民の生活への配慮が求められるなど、担い手農家による大規模な農業経営に適さない農地が多くあります。
このような地域において、都市住民等からなるNPO法人が、耕作放棄地を活用して農業に取り組んでいる事例があります。さらに、そこで採れた野菜などを直売施設で販売し、地産地消にも一役買っております。これまでは、法の規制によりNPO法人は市町村が定める特定の区域においてでしか農地を借りて農業に取り組むことができませんでしたが、今回の法改正では農地の貸し借りに係る規制が緩和されると聞いております。
(質問)
県は、この法改正を踏まえて、都市近郊における耕作放棄地の解消をどのように進めていくのか
(答弁)
農業従事者が減少する中で、都市近郊の耕作放棄地を解消していくためには、近隣の都市住民の力を活用していくことが一つの有力な方策と考えております。中でも、都市住民等を構成員とするNPO法人は、利益を目的としないことから、大規模な経営が困難な都市近郊農地の利用者として大いに期待しているところであります。本年6月1日現在で、すでに3つのNPO法人が、市町村が定める特定の区域内の耕作放棄地を利用して農業経営に取り組んでいるところでありますが、今回の法改正により、NPO法人等についても農地を借りる際の区域制限がなくなりますので、このような取組の一層の拡大を期待しているところであります。このため、県といたしましては、今後、農業に関心のあるNPO法人や市町村に法改正の内容を周知することにより、都市住民の方々の農業への参加を促進し、都市近郊における耕作放棄地の解消が少しでも進むよう努力してまいります。
(要望)
農地法の改正だけで農業を取り巻く問題が解消されるわけではありません。むしろ、今回の大改正を第一歩として、より大胆に「農の将来」を考えていくことが求められています。今後の愛知の農業をどう位置付け、発展させていくかという骨太の青写真が必要であると思います。少なくとも、「都市=商工業、地方=農業」といった従来型の二分化思考では、現下の農業危機を乗り越えることはできないと考えます。都市農業の振興(活性化)の観点からも、「都市に農業は不要」と信じられてきた「神話」と決別し、環境保全や食育など総合的見地に立ち、農業を新たな成長産業と捉え直し、新時代のアグレッシブな農業構築へ、是非努力をお願いしたいと思います。
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<2.消防と医療の連携>
近年の救急需要の伸びは著しく、先日、総務省から発表された速報値では、救急車の適正利用のPR効果もあると思いますが、救急出場の件数は前年に比べて約3.7%減少したものの10年前に比べて約1.4倍となっており、救急業務の重要性はますます増加しているものと考えます。
その一方で、救急隊の活動時間は依然として延びる傾向にあり、救急隊が119番通報を受けてから現場に到着するまでの平均時間は平成10年の6.0分に対して平成20年は7.2分、救急隊が現場に到着してから傷病者を病院に収容するまでの平均時間は平成10年の20.7分に対して平成20年は27.3分となっており、年々伸びているとのことであります。
このまま、救急隊の活動時間が増加すれば、地域によっては、救急要請現場にいちばん近い救急隊が出場中のため、離れた署の救急隊が出場し、現場到着までに更に時間を要する事案も発生するなど、真に緊急を要する患者の方への対応が遅れ、救命や社会復帰率の向上に影響が出る恐れがあります。
さらに、近年では、医療の進歩とともに、脳卒中などの疾病で発生初期に実施すると効果的な医療技術が発達しているところであり、救急搬送における消防機関と医療機関との連携が一層重要となってきております。
また、昨年10月におきました東京都における妊婦死亡事案や一昨年8月に奈良県で発生した妊婦搬送事案など、救急患者を受け入れる医療機関が速やかに決定しない、いわゆる搬送困難事例が社会問題化しております。
受け入れ医療機関の選定が困難となり、救急搬送が長時間化する事案の要因として、救急医療に携わる医師が十分ではなく、その確保が困難であるといった構造的な問題があると考えますが、医師の確保など根本的な解決については、一朝一夕では実現できない、中長期的な課題であると思います。
当面の課題として、現在ある医療体制の中で、受け入れ医療機関の選定困難事例の発生をなくしていくことが喫緊の課題ではないかと考えます。
さて、愛知県内はどうかと言いますと、総務省消防庁が行った救急搬送における医療機関の受入れ状況の実態調査によると、重症以上の患者さんについて救急隊が行う病院照会の回数が多い事案や、受け入れ病院がなかなか決まらず、現場に救急隊が滞在する時間が30分以上となる割合は首都圏や近畿圏で特に高くなっており、これに比べれば、愛知県での救急車の病院搬送は比較的円滑に行われていると伺っております。
また、救急医療体制が手薄になっている三河山間地域におきましても、医師の同乗する愛知県のドクターヘリが数多く出動しており、時には、静岡県のドクターヘリも出動し、山間地域から豊橋市民病院などへの搬送が、行われていると伺っております。
さらに、消火、救急、救助と多目的な活動を行っている愛知県の防災ヘリも最近では、救急事案が年々増加していると伺っており、特に、防災ヘリは夜間にも運航が可能なため、夜間の重症患者の救急搬送には、なくてはならないものと考えております。色々と方策は取られておられますが、愛知県内におきましてもまだ課題は多いと思います。
このように、全国的に救急搬送が課題となっている中で、国においては、救急患者の搬送や受入れを迅速かつ適切に対応するためのルール作りが必要との観点から、本年5月1日に消防法の一部を改正し、10月末までには施行される予定と伺っております。
(質問)
県内の救急搬送の現状はどのようになっているのか
(答弁)
本県の救急車による患者搬送人員は増加傾向にあり、平成10年には約18万人であった搬送者が、平成19年には約26万人強と約1.5倍に増加しております。
また、本県で119番の連絡を受け、救急隊が患者さんの元へ駆けつける現場到着時間は、年々遅くなっており、平成19年は6.8分と平成10年の6分に比べて1分近く遅くなっております。
一方で、本年3月に総務省消防庁が公表した救急搬送の実態調査によりますと、救急隊が医療機関に受け入れてもらうため、4回以
上電話で依頼した割合は、重症以上の患者さんについてみてみると、全国平均の3.6%に比べ愛知県では0.5%となっております。
また、現場での滞在時間についても30分以上の事案の割合は、全国平均の4.1%に比べ愛知県では1.3%となっておりまして、首都圏や近畿圏と比べれば、比較的円滑な状況にあります。
しかしながら、本県では、本来ですと重症の患者さんを受け入れるべき救命救急センターなどの三次医療機関に搬送する件数が多いことや、病院の一部診療科の休診などにより、今まで以上に遠くの病院に搬送せざるを得ないケースも増えてきているなど課題も多いものと考えております。
(質問)
今回の消防法の一部改正による搬送・受入れの実施基準の内容はどのようなものか
今後、県としてどのように基準を策定するつもりか
(答弁)
今回の改正により、都道府県は救急車による患者さんの搬送と病院での受入れが、迅速かつ適切に行われるよう基準を定めることとなりました。
具体的には、患者さんの状況に応じて適切な医療が行われる病院のリスト化や、救急隊がこのリストの中からどの病院に搬送したら良いかを選定するための基準などを策定し、公表することが義務付けられました。
この基準に従って患者さんを救急搬送することにより、速やかに適切な病院を決めることや、病院に到着するまでの時間を短縮することができるものと期待しております。
国においては、今後、速やかに実施基準の策定のためのガイドラインを示すこととしておりますので、このガイドラインを参考にしながら、消防関係者や医療関係者、学識経験者等のご意見を十分にお聞きし、本県の実情に即した基準づくりを進めてまいりたいと考えております。
(質問)
医療機関側としては、この基準等の策定づくりにおいて、どのように関わっていくのか
(答弁)
今回の消防法の一部改正により、医療関係といたしましては傷病者の受入れを行う医療機関の疾患別・重症度別の分類基準が策定され、それに基づいて医療機関のリストが作成されていくことになります。健康担当局といたしましても、愛知県地域保健医療計画との整合性を十分図り、また医師会や病院協会など医療関係団体とも協議しながら、より適切な医療機関にスムーズに搬送されますよう、策定作業には全面的に協力してまいりたいと考えております。
(要望)
「24時間、365日受け入れ可能な救急体制」の構築と、救急医療の「質の向上」を目指し、取り組みを進めていただきたいと思います。
懸念するのは、消防業務は基本的には市町村単位で実施されている一方で、医療提供体制は県が策定する医療計画に基づき市町村より広域な二次医療圏単位で整備されています。救命救急センター等の医療資源は市町村を超えて活用されていますし、ドクターヘリや防災ヘリ等の活用により広域搬送も行われています。このことを考えると、本県の地域性を考慮し、実情を踏まえた上で、臨機応変の対応が望まれるものと思います。いずれにせよ県が中心となり、今後の消防機関と医療機関の連携体制の強化を図るなど、主体的な役割を担うことが重要であると考えます。
高齢化も進み、救急搬送の役割はますます大きくなっています。協議会の運営状況など今後の動向に留意し、更なる救急医療の進化・拡充を望みたいと思います。
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<3.学校における困難な問題に対する対応>
現代社会においては、科学技術の進歩、国際化、少子高齢化、核家族化などが進み、わが国の教育を取り巻く環境は、急速に変化をしております。学校教育に対しても、矢継ぎ早にさまざまな改革が行われ、教育の現場は相当な多忙感にとらわれているのではないかと思います。
社会の価値観が多様化し、多くの問題がすべて教育に起因しているかのような風潮の中で、学校に対しては、保護者や地域住民からさまざまな意見や要望などが寄せられております。
多くの意見は、学校と手を携えて、ともに子どもたちを健やかに育てていこうとする建設的な考えに立ったものであり、学校がその意見に耳を傾け、誠実に対応し、問題を解決していくことが重要であります。
しかし、一部には、いわゆるモンスターペアレントやクレーマーなどと言われる人からの、学校や先生方に対する無理難題や利己的で過度な要求もあるようであります。
先日も他県で、娘に対する学校の身だしなみ指導を不服とした保護者が、金属バットを持って、学校へ押しかけていったことが、新聞で報道されたところであります。
こうした学校だけではなかなか解決できない事例のように、複雑多岐にわたる問題に対して、学校現場で教育活動に専念している教員だけで、十分な対応をしていくことは、精神的にも時間的にもかなり困難を伴うことであります。
この状況を打開するために、東京都教育委員会は、本年4月に「学校問題解決サポートセンター」を東京都教育相談センター内にスタートさせました。東京都では、学校の解決困難な事例として「虐待を児童相談所に通告したことで保護者が学校に暴言を繰り返す」あるいは「授業料徴収に際し、脅しまがいの言葉で逃れようとする」などのケースがあり、また、執拗にメールやFAXを送りつけるケースもあるとしております。
これらの解決の困難な問題について、サポートセンターが、問題の対応を学校から切り離して解決に当たる必要があると判断した案件については、弁護士、精神科医、臨床心理士、警察OB、行政書士、民生児童委員代表、保護者の代表等で構成する話し合いの場が設けられます。
そして、保護者と教育委員会、学校の意見を客観的に聞き、子どものことを第一に考え、公平・中立の立場で、よりよい解決策を提示していくものであります。
このように、東京都の取組は、学校だけで解決するのは難しいトラブルが増加している状況の中で、専門家の力を借りていくことにより、学校現場を支援していくことのできる一つの方策であると考えます。
一方、経験豊かな校長OBの助けを借りる態勢を整える自治体も増えています。横浜市では、校長OBで作る「課題解決支援チーム」を発足。チームが全小中学校を巡回し、各校の相談に乗っています。
静岡県では、小学校に入学する児童の保護者全員を対象に「親学講座」を開講。「親」が対象なのが特徴で、校長OBらが子供との接し方や家庭でのしつけなど、親としての心構えを説いています。
愛知県の状況として、学校が抱える問題の解決のために、一部の学校に主幹教諭を配置していることは承知をしています。この主幹教諭は、学校の組織の強化を図るとともに、学校での問題解決に向けて、担任や担当の教員に指導助言を行ったり、保護者や地域から寄せられる意見・要望等を受け止めたりしながら、管理職員と綿密な連携を取り、的確に対応する役割も担うなど、幅広い視点から問題への対応の具体的な方策を示し、その指導力を発揮していると伺っております。
3−1.主幹教諭
(質問)
主幹教諭の主な役割と、どこに、何人配置しているか
保護者や地域とのかかわりにおいて、どのような効果があったのか
(答弁)
主幹教諭は、様々な課題を抱える学校に配置していますが、主な職務・役割としましては、教頭の職務の一端を担い、管理職と教職員とのパイプ役になることにより組織を円滑に機能させ、機動的な学校運営ができるようにするとともに、教職員のリーダーとして、学校を取り巻く課題に適切に対応することなどでありまして、平成20年度から小中学校50校に配置したところでございます。
また、昨年6月、主幹教諭とその配置校の校長による主幹教諭設置校連絡会議を設け、成果や課題の検証などを行っております。
この会議において、主幹教諭が保護者や地域の方々と話合いの場を設けたり、要望の窓口になることにより、学校との連携が強化された、あるいは、保護者からの問合せや苦情が減ったなどの報告がされております。
主幹教諭を設置して1年半余りですが、保護者との対応や、若手教員の育成など、徐々に効果が上がっているところであり、県としましては、今後とも設置効果が一層高まるよう指導・助言してまいりたいと考えております。
3−2.困難な問題に対する学校への支援
(質問)
私は、学校現場の先生を応援したい、そして、学校の先生方が子どもたちに、しっかりと向かい合っていただきたいと願ってきたものであります。学校教育に対して、専門的な支援をしていただく外部の方に直接、学校現場に出向いてもらうなど、東京都の取組よりも、さらに踏み込んだ積極的な取組がなされていってもよいのではないかと考えています。本県でも、学校が抱えるさまざまな困難な問題に対して、市町村とともに学校を支援していくことが必要と思いますが、どのような考えをお持ちでしょうか
(答弁)
各学校では、家庭・地域と協力して、開かれた信頼される学校づくりに努めているところでございますが、議員ご指摘のとおり、教育委員会や学校には保護者や地域の皆様から学校の指導方針や教育活動などについてのさまざまな問い合わせやご意見・ご要望が寄せられています。それらの中には、学校を改善するために、真摯に受け止めるべきものも多数ありますが、時として、理不尽で解決が難しい内容のものもあります。
県教育委員会では、寄せられた意見や要望に対して、実態を十分把握し、教育事務所や市町村教育委員会と連携しながら、問題解決に向け対応しているところでございます。
また、本県では、平成16年度から独自の派遣指導主事制度を立ち上げ、力量のある現職の教員を指導主事として、各市町村教育委員会に多数派遣しております。派遣指導主事は、個々の学校だけでは解決の困難な課題に対して、直接学校に出向いて、保護者の意見や要望を聞いたうえで、学校とともによりよい解決方法を考えたり、解決に向けての道筋を示したりするなど、指導的役割を果たしております。
さらに、担任一人では指導困難となっている学級に対しては、経験豊かな非常勤講師を派遣し、担任と共同して、保護者から信頼される学級運営ができるように支援しております。
今後は、一層複雑化する苦情や要望、児童生徒の問題行動などに対して、よりきめ細やかな対応が必要になってくるかと思います。議員お示しの学校における問題解決のサポート体制の整備を含め、学校現場に対するさらなる支援策を様々な角度から検討してまいりたいと考えております。
(要望)
現在、学校現場の先生方は、大変厳しい状況の中で、将来を担う子どもたちのために本当によく頑張っておられます。私は、頑張っておられる先生方をぜひ応援したいと思っております。
そこで、まず現在実施されているさまざまな施策とは異なった視点から、学校現場の先生方を応援するために、例えば、地域を指定し、サポートチームを派遣するなど、学校を支援するモデル事業を早期に実施していただくことを強く要望したいと思います。
また、地域社会の連帯感が薄い都市部では、親が孤立し子どもだけに目がいきがちで、学校のことが余計気になる傾向にあり、モンスターペアレント登場の背景であるとも指摘されています。親の孤立を避けるためにも、教員OBを保護者の相談相手として積極的に活用し、親同士の連帯感を取り戻す試みも、是非進めていただきたい。このことも併せて要望したいと思います。