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2011.3.2 : 平成23年2月定例会 速報
〜代表質問の質問及び答弁要旨〜
先週の2月22日、ニュージーランドで発生した強い地震により、被災をされた方々に対しまして、心からお見舞いを申しあげます。また、1月27日に豊橋市内で、2月14日には新城市内で発生しました高病原性鳥インフルエンザにより、甚大な被害を受けられました発生農家を始め関係の皆様方に、心からお見舞いを申し上げますとともに、昼夜を徹して対応していただいた県職員・豊橋市・新城市の職員など、多くの関係の皆様方にお礼を申し上げます。
さて、新しい知事のもと、今まさに「新しい愛知」が始まろうとしています。私たち公明党愛知県議員団は、県民の皆様に「希望と安心」を感じていただくために、本県にとって重要な政策を11にまとめました。「あいち・アクティブ11 2011」と申しておりますが、この考えをベースに、順次お尋ねをしてまいります。
1 「新しいあいち」の創造について
1−(1)県政運営に対する基本姿勢や抱負について
このたびの選挙で、知事は、「中京都」「平成の楽市楽座」など大胆な発想のもとマニフェストを掲げられ、「世界と闘える愛知・名古屋」を目指すことを強く訴えかけられました。そうした知事の熱いメッセージは、この閉塞した社会の現状を打破したい、もう一度、元気な愛知を取り戻したい、そんな県民の皆様の心を惹きつけ、結果、150万を超える票を集められ、まさに圧倒的な支持を獲得されたわけであります。県民の皆様は、大村知事の柔軟な発想やリーダーシップに期待し、県政運営を託されたのだと思います。選挙戦を通じて応援をしてまいりました、私たち公明党愛知県議員団といたしましては、知事が、今後、公約の考え方に沿って県政に取り組んでいかれることを、大いに期待するとともに、全力で支えてまいりたいと考えております。
1−(1)−ア 知事が目指す愛知の将来像
知事が目指す愛知の将来像とはどのようなものなのか、お伺いいたします。
(知事答弁)
このたびの選挙戦で、私は、「今こそ、世界と闘える愛知・名古屋を」と訴えました。今日、世界的に大都市が成長の軸になっていることはいうまでもありませんが、なかでも、自ら戦略を立て、実行できる権限をもった都市国家や、国家から特例的な扱いを受けている都市が、大きな発展を遂げております。たとえば、中国では、税制の優遇措置などによって、上海、深せんなどの経済特区等に海外からの投資を集中し、その手法を主要都市へと広げていく形で、現在の発展の足がかりをつくりました。また、都市イコール国家であるシンガポールは、多国籍企業のアジア太平洋地域における拠点を呼び込み、世界有数の金融センターの地位を勝ち取っております。人口減少社会を迎え、日本全体が一律に発展することが難しくなっている現在、また、企業が自由にその立地場所を求めうるグローバル経済下においては、愛知・名古屋といった大都市こそが、国から権限の移譲を受け、自由な経済環境を創るとともに、集中的な社会インフラ整備を行うことによって、世界との競争に打ち勝っていかねばならないと考えるわけでございます。そして、こうして培った豊かな経済力によって、教育、医療、福祉といった住民サービスを充実する好循環システムを構築することが重要であると考えております。私としては、このような考え方に基づき、世界と闘える元気な産業経済を備えるとともに、県民の皆様方のくらしがしっかりと守られ、また、豊かな人材が数多く輩出をし、活躍できる愛知、そして、身近でやさしい民主主義に支えられた愛知を目指してまいりたいと考えております。
1−(1)−イ マニフェストで掲げた政策の推進
マニフェストで掲げた様々な政策をどのように推進していかれるのか、その基本姿勢について、お伺いをいたします。
(知事答弁)
県民の皆様と約束したマニフェストの236項目は、今年の秋までに個々の政策の方向性を明らかにし、工程表として取りまとめ、1期4年間で実現してまいる決意であります。このため、各部局に対し、こうした方針を指示し、全庁をあげて取組を始めております。すでに、東三河担当の副知事を設置するための条例案を今議会に提案しており、中京独立戦略本部の新年度からの立ち上げに向けた準備も進めております。その他の項目につきましても、政策推進に向け、鋭意作業を進めているところであります。私といたしましては、強いリーダーシップを発揮し、マニフェストに掲げた様々な施策について、できることから順次具体化を図るなど、スピード感を持って取り組んでまいる所存であります。
1−(2)本県における危機管理体制について
私たちの日常は、目に見えない多くの危機にさらされています。そして、ひとたび緊急に対応すべき危機事案が発生した場合に、県民の皆様に対して情報を迅速、正確かつ継続して伝達するとともに、被害・損害を最小限に食い止め、地域を守るためには、知事が、あらかじめ、あらゆる場面を想定した万全な危機管理体制を構築しておくことが必要であると考えます。冒頭に申し上げました、高病原性鳥インフルエンザへの対応、東海・東南海地震などの自然災害、環境汚染、サーズなどの感染症、情報セキュリティーへの侵害への対応など、あらゆる危機事案に対して、「何を、いつまでに、どのように行うのか。」という、非常にシンプルなことが明確に定まっており、かつ、それがスピーディーに機能する、ということが最も重要であります。これからも、様々な危機管理を求められる局面が発生することが考えられます。確かに、本県では、平成18年に危機管理推進要綱を制定し、危機事案に対する一定の対処方法を定めてはおりますが、私は、危機管理体制をさらに徹底させるため、ひとたび危機事案が発生した場合に、あらゆる対応を一元管理し、知事の指揮・監督を常時サポートすることのできる機能を持った組織が必要ではないか、と考えております。
知事は、危機の発生時における知事の指揮・監督のあり方、各部局が持っている危機管理に関するノウハウの県全体における共有のされ方など、現在の危機管理体制について、どのような認識をお持ちなのか、また、今後の危機管理について、どのようなお考えをお持ちなのか、お伺いをいたします。
(知事答弁)
本県が遭遇すると想定される危機に関して、まず豪雨や地震などの自然災害については災害対策基本法に基づく地域防災計画などが、また他国からの攻撃などの武力攻撃事態に関しては国民保護法に基づく国民保護計画が定められております。さらに、感染症の流行や事故など様々な危機に対して、迅速かつ的確に対応ができるよう、事案ごとに危機管理マニュアルを策定しております。そして国内等で発生した危機事案を参考に想定される危機の掘起しや見直しを行っているところです。新型インフルエンザなど具体的な危機事案があった場合には、対処後にしっかりと検証を行うことで、教訓やノウハウについて、全庁的に共有化を図っているところです。さらに、今後とも、そこから得た知見に基づき、危機管理体制のあり方も含めて、必要な改善を図ってまいりたいと考えております。なお、県として全庁的な対処を必要とする大規模な自然災害や鳥インフルエンザなど、県民生活への影響や被害が大きい危機につきましては、知事である私自身が対策本部のトップとして陣頭指揮に当たり、全庁を挙げて迅速に対策に取り組んでまいりたいと考えております。
1−(3)「中京都構想」と「三遠南信地域」について
1−(3)−ア 「中京都」創設への取り組み
この政策は、「中京都」を核にして、この地域の広域的な地域づくり、ひいては将来の東海州、あるいは中部州を牽引していくエンジンにしていこうとするものであります。私は、東海地域、あるいは中部圏が、再び元気を取り戻し、低迷する日本経済をしっかりとリードしていくべきであると思っており、まずは、その中核となる愛知・名古屋が力強く発展し、地域経済を牽引していくことが不可欠であると考えております。国内の他の地域に目を転じてみますと、関西圏では、関西広域連合が設立され、大阪では、橋下知事が提唱する“大阪都構想”で、関西の復興を目指そうとしています。九州地域におきましても、九州地域全体で国の出先機関を丸ごと受け入れる、「九州広域行政機構」といった新しい制度の創設を国に働きかけています。いずれも、地域が活力を取り戻し、発展につなげようとする積極的な取り組みであり、注目しているところであります。一方、この地域では、東海地域、あるいは中部圏が、一致団結して広域行政に取り組むには、様々な課題、意見があります。しかし、私は、低迷する地域経済に活力を取り戻すためには、愛知・名古屋がリーダーシップを存分に発揮して、東海、中部の発展戦略を描くべきだと思っており、知事が提唱された「中京都構想」は、誠に時宜に叶った政策であると、大いに期待を寄せるものであります。近隣県との連携は、もちろん必要ですが、「中京都構想」を推進するためには、まずはその戦略をしっかり練るため、県議会での議論をはじめ、名古屋市や県内市町村などとの丁寧な議論を始めていくことが、必要であると考えます。
知事がマニフェストで打ち出されている『「中京都」の創設』は、世界的な競争に打ち勝つ地域づくりを進めていくため、大都市圏の核としての力強い愛知をつくろうとするものと理解していますが、これについてどのように取り組んでいかれるのか、ご所見をお伺いいたします。
(知事答弁)
この地域において広域行政を強力に進めていくためには、その中核である愛知県が日本の顔として世界と闘える基盤を築くことが何よりも重要となります。そのためには、本県の中心である名古屋市との一体的な施策展開のもとに、東西に対抗できる「中京都」として本県全体のさらなるパワーアップを図っていくことが不可欠であります。そこで、まずは、本県と名古屋市が共同で設置する「中京独立戦略本部」の下に、この「中京都」の目指す姿の明確化などについて検討・立案を進めるとともに、「中京都」の実現も見据えつつ、本県と名古屋市がベクトルを合わせて、意思決定と実行のスピードを引き上げ、産業経済の活性化など優先度の高い施策に取組んでまいりたいと考えております。その取組にあたりましては、当然のことながら、県議会においてご議論をいただき、そのご理解を得ながら進めていきたいと考えております。また、名古屋市以外の県内市町村の方々とも、しっかり意思疎通を図りながら、進めてまいりたいと考えております。
1−(3)−イ 今後、三遠南信地域における地域連携
知事は、マニフェストの「中京都の創設」の中に、三遠南信地域の連携を支援することを明確にされており、地元選出議員として、大変、心強く思っております。愛知県の東三河地域、静岡県の遠州地域、長野県の南信州地域と三県を跨ぐこの三遠南信地域は、古くから天竜川や豊川などの流域に沿って、海と山との交流を育み、文化や人・もの・情報などのネットワークを形成してきました。今日では、この地域全体で人口230万人、工業出荷額が13兆円を越えるなど、圏域に広がる豊かな経済資源や多様な自然環境などは都道府県に匹敵するような規模を有しております。こうした昔からの結びつきを基に、三遠南信地域では毎年三遠南信サミットが開催され、行政や経済団体の代表者などが集まり、この地域における交流、連携のあり方について意見交換が行われているところであります。また、県境を越えた連携による、圏域を一体とした自立性の高い地域づくりを目指して、平成19年度には、浜松市、豊橋市、飯田市などが中心となって三遠南信地域連携ビジョンを策定し、さらに平成20年度には、このビジョンを推進するための組織として、行政や経済団体などで構成する三遠南信地域連携ビジョン推進会議が設立されております。このような地域連携の取組は、国土交通省が国土形成計画の一翼を担う計画として、平成21年8月に策定した中部圏広域地方計画の中で、14のリーディングプロジェクトの一つとして「三遠南信流域都市圏活力向上プロジェクト」を位置づけるなど、先駆的な県境を越えた地域連携の取組として注目されております。県境を越えた広域連携については、経済のグローバル化や産業構造の変化などによる、行政の広域的な課題への対処などの観点から、県境を跨ぐ三遠南信地域における地域連携についても今後一層推進していくことが必要であると考えます。三遠南信地域における地域連携の取組については、現在、愛知県では豊橋市を中心とした東三河地域において、浜松市や飯田市と共に主体的に取り組んでいるところでありますが、県境問題を含む広域的な取組として、愛知県としてもしっかり取り組んでいくことが必要であると考えます。
今後、三遠南信地域における地域連携について、どのように取り組んでいくお考えなのか、知事のご所見をお伺いいたします。
(知事答弁)
三遠南信地域は、県境を越えた広域連携のモデルとなりうる優れた地域であります。本県としましては、広域連携を支える道路ネットワークの中核を担う、三遠南信自動車道や新東名高速道路などの整備促進に積極的に取り組んできておりまして、これから数年の間に、この地域での一部供用が図られる予定であり、この地域の交流条件は飛躍的に高まり、地域整備に大きなインパクトが期待されるところであります。また、この地域では、地元の市町村と経済団体等が中心となり、ビジョンを作り、様々な取組の推進を図っており、一体的な都市圏の形成に向けた地元機運も盛り上がってきております。県としては、東三河地域は、このように広域インフラなどが整いつつある、三遠南信地域の発展の核となりうる大きなポテンシャルを持つ地域であると認識しております。このため、今後、新たに設置する東三河県庁が中心となって地元と連携を密にして、東三河地域のみならず、三遠南信地域全体の発展をリードしていくよう努めてまいりたいと考えております。
2 減税について
最近の経済・雇用情勢は依然として厳しい状況にあります。この地域も、持ち直しの兆しが見られるものの、円高などの影響により、この地域の主要産業である自動車関連企業など企業収益の先行きは、まだまだ不透明な状況にあると思います。このような状況では、大幅に落ち込んだ税収の回復は望めず、本県の23年度の県税収入は、8,828億円となっております。一方、公債費などの義務的経費の増加は避けられず、本県の財政状況は引き続き厳しいものと考えざるを得ません。知事は、こうした厳しい財政状況の中、「減税」を掲げて選挙を勝ち抜かれました。減税はマニフェストの大きな柱であり、知事は、行政改革によって必要な財源を捻出するとしておられますが、今後、丁寧に、様々な議論を重ねながら、進められるものと、私は考えております。
知事は、減税について、今後、具体的に、どのように進めていこうとされているのか、お伺いをいたします。
(知事答弁)
私は、県民の皆様方に対し、減税や大胆な規制緩和によって、「平成の楽市楽座」をこの地域に実現し、活力を取り戻すことが是非とも必要であると訴えてまいりました。 したがいまして、減税につきましては、できる限りスピーディーに準備を進め、12月議会までに条例の改正を行い、平成24年度から実施してまいりたいと考えております。減税の財源につきましては、県債を増発するのではなく、更なる行財政改革で生み出してまいります。このほか、具体的な制度設計を始めとする諸課題について、まずは、関係課による庁内のプロジェクトチームを立ち上げ、そこで、整理をしてまいりたいと考えております。いずれにせよ、減税については、幅広く県民の皆様方のご理解を得て進めていくことが大切であると考えておりまして、今後、検討状況などを広くお伝えしながら、議論を重ねてまいりたいと考えております。
3 「元気なあいち」の創造
3−(1)若者の雇用対策の強化
かつて「就職氷河期」に、困難な就職活動を強いられた新卒者の中には、卒業後一度も正規雇用の職に就いたことがなく、パートやアルバイト、派遣などの不安定就労を繰り返す中で、体系的な技能・技術を習得する機会を逸してしまったとの例も少なくないと聞いております。このような職業人として未成熟な若者たちは、一旦景気が悪化すれば、雇用の調整弁となり、仕事のみならず住む場所まで失いかねないとの厳しい現実を、厚生労働副大臣として、非正規労働者の就労・生活支援の先頭に立って御尽力された知事はよくご存じのことと思います。少子高齢化の中で、日本の将来を考えると、10年後20年後の我が国を背負っていくこととなる若者が、その希望に反し正規雇用の職に就けず、社会生活のスタート時点でつまずくことがあってはならないと考えております。「あいち・アクティブ11 2011」においても、「若者の就職支援の推進」を「元気なあいち」を実現するための最重要課題として位置付けているところであります。本県においては、既に、喫緊の課題である新卒者支援策を、地域一丸となって着実に進めるために、求人の掘り起こしやきめ細かなマッチング機会を倍増するなど、施策を積極的に実施されており、今春卒業の高校生については、昨春に比べ求人倍率がさらに低くなっている中で、就職内定率は昨年並みを維持するなど、その成果がでていることは承知をいたしております。さらに、国においても、昨年9月、ヤング・ジョブ・あいちの中に、愛知新卒応援ハローワークを設置し、大卒ジョブサポーターを大幅増員したほか、各種奨励金の創設等さまざまな施策を行っていることもお聞きをしております。
「日本一元気な愛知」を目指すために、新卒者を始めとする若者の雇用対策を強化すべと考えますが、知事のご所見をお伺いいたします。
(知事答弁)
若者は、将来の愛知を担う大切な宝であります。県としては、若者が希望と意欲を持って社会人としてスタートできるよう支援していくことが、本人だけでなく、本県産業の活力を維持していく上で、とても重要であると考えております。今春の新卒者に対しては、地域を挙げて、求人企業を掘り起こし、きめ細かく面接会を開催した結果、大企業を志向しがちな生徒・学生の眼を地元中小企業に向けさせるなど、一定の成果につながったと考えております。残念ながら就職が決まらなかった方に対しては、ビジネスマナー研修や職場実習を交えた人材育成事業を今年度の200人から500人に規模を拡大して実施してまいります。来春の新卒者についても、引き続き厳しい就職環境が予想されますので、学生と企業の出会いの場を大幅に拡充するなど、就職支援策を強化し、地域を挙げて取り組んでまいります。また、本県の若者の完全失業率は、平成22年、15〜24歳で7.2%と、未だ高止まりの状態にあることから、若者の就労支援について、今後も、名古屋・栄のヤング・ジョブ・あいちや県内市町と連携した就職相談窓口を拡充するなど、しっかりと対応してまいります。
3−(2)中小企業対策
本県には、自動車産業をはじめ輸出型産業が多く、長期にわたる景気の低迷で、中小企業の体力が著しく減退している中、円高の進展により、親企業の海外生産や海外発注が進み、受注の減少や単価の引き下げに苦しんでおり、今後倒産や廃業に追い込まれる企業が増加することが懸念されております。こうした中、本県では、円高対応緊急枠の融資制度を設けるなど、中小企業の資金繰りを支援するとともに、緊急窓口相談に対応するなど、中小企業対策にきめ細かく対応してこられたと理解をしております。しかし、中小企業を取り巻く経営環境は依然厳しい状況にあることから、引き続きこうした資金繰り支援を継続するとともに、海外も含めた販路開拓や新分野進出を支援するなど、中小企業が元気になるための対策を実施することが必要であると思います。景気の先行きが不透明な中では、足下の対策が何よりも重要であります。
知事は、今後、どのように中小企業対策に取り組むおつもりなのか、お伺いをいたします。
(知事答弁)
本県経済は、リーマンショック前と比較すれば回復は道半ばであり、昨年夏以降の円高もあって、先行き不透明な状況が続いています。こうした閉塞状態を打開するためには、「平成の楽市楽座」を実現し、経済の活性化を図るとともに、産業と雇用の基盤を支える中小企業の支援に万全を期すことにより、世界と闘える力強い愛知・名古屋を作っていくことが必要であると考えます。私自身、選挙期間中、多くの県民の皆様からご意見を伺いましたが、今後とも、現場に赴き、中小企業の皆様から生の声をしっかりとお聞きしてまいります。平成23年度当初予算では、中小企業の資金繰りを支えるため、県融資制度に十分な額を確保するほか、円高対応緊急枠を継続することとしましたが、引き続き、中小企業の業況に細心の注意を払いながら、状況に応じ、機動的かつ柔軟に対応してまいります。また、中小企業の経営基盤の強化や競争力の向上を図るため、販路開拓や技術開発、人材育成を総合的に支援していきます。具体的には、ワンストップの支援体制を構築した上で、企業支援の専門家を活用しながら、マーケティングや技術面での指導・支援などの取組を推進してまいります。
3−(3)成長戦略としての次世代産業の育成
今後成長が期待される多様な次世代産業を育成するためには、研究開発、人材育成、資金の供給など、様々な面で、県の支援が必要となりますが、私としては、本県の企業や大学が今日まで培ってきた技術力を今一度結集し、そこから新たな産業の芽を産み出していくための仕掛けとして、産学行政の共同研究開発を推進していくことが何よりも重要であると思います。本県は、現在、そうした共同研究の場となる「知の拠点」づくりを進めておりますが、このプロジェクトには、新技術や新製品の開発に不可欠なものとして、この地域の産業界が期待するシンクロトロン光利用施設も含まれており、まずは、こうした舞台の整備を、計画通りに完了していただく必要があります。一方、舞台が整えば、それだけで産学の共同研究が上手く回転していくわけではありません。とりわけ、プロジェクトの立ち上がり期には、行政が共同研究に積極的に参画し、大学の高度な研究シーズを企業の技術開発、製品の実用化につなげる「触媒」になるといった、ソフト面での取組も極めて重要であります。経済の先行きが不透明な中にあっては、県がこうしたソフト面でも大いに汗をかいてこそ、共同研究の成果が挙がり、本県の次世代産業が花開くことになるものと考えます。
経済の先行きが不透明な中で、成長戦略としての次世代産業の育成をにらみ、「知の拠点」における産学行政の共同研究開発をどのように進めていかれるのか、知事のご所見をお伺いいたします。
(知事答弁)
世界と闘える力強い愛知・名古屋を作り上げていくためには、本県の強みであるモノづくりの高付加価値化を図ることと併せ、将来の本県経済、あるいは日本経済をリードする次世代産業を育成することが必要です。このため、その礎となる「知の拠点」は、県のリーダーシップの下、当初の予定通り着実に整備を進めてまいります。ご指摘のあった「知の拠点」における産学行政の共同研究開発は、ナノテク・環境、健康長寿、食の安全といった、県民の期待が大きい3つの分野において、大学等の技術シーズの実用化と新産業の創出を目指すプロジェクトでございます。既に、中小企業を含む53の企業と21の大学等の参加を得て研究開発に着手しておりますが、「知の拠点」の供用開始後には、そこに関係者に集結いただいた上で、研究開発を加速してまいります。県としては、科学技術交流財団との連携の下、研究開発全体の進捗管理に万全を期すほか、産業技術研究所が中心となって、中小企業を対象とした新技術の普及・指導、実用化の支援を行うなど、プロジェクトの成果が最大限に活用されるよう、全力で取り組んでまいります。
4 「新しい福祉」の推進について
4−(1)「新しい福祉」の取組について
日本社会は今、地域や職域、さらには家庭における人間的な「つながり」が薄れ、暴力、虐待、いじめなどが日常茶飯に起こり、結果として自殺、ひきこもり、不登校、心身症そしてうつ病などが多発しております。その背景には「支え合う心」の希薄化、「忍耐する能力」の弱体化などが指摘されております。こうした現象はこれまで、家庭や個人の問題としてなおざりにされてまいりましたが、社会全体の問題として早急に取り組んでいく必要があります。私たち公明党は、年金、医療、介護などの従来積み上げてきた社会保障制度の新しいあり方と、只今申し上げました病理的側面を持った現代的な課題への対応を加えて「新しい福祉」と名付け、総合的に検討をしていくべきである、と主張しているところであります。「あいち・アクティブ11 2011」におきましても、この「新しい福祉」を推進することにより「孤立」から「支え合い」の社会へと移行し、高齢者、女性、子どもの生活を守る「生き生きあいち」の実現を提言しているところであります。うつ病、ドメスティック・バイオレンス、児童虐待、独り暮らしの高齢者、自殺者の増加など新たなリスクに対しては、これまでの社会保障の考え方の延長線では十分に対処ができません。新たな枠組み・新たな施策を実施していくことが必要であります。このため、私どもは「高齢者や障がい者を支える地域のネットワークの強化」、「かかりつけ医の対応力の向上によるうつ病の早期発見・治療」、「DV被害者の保護体制の整備」などの具体策も提案をしております。知事は、マニフェストで「くらし・医療・健康・福祉を守る」ことを柱の一つとして掲げられ、「県民のいのち、健康を守る医療環境の整備」、「子育て支援」、「高齢者や障害者福祉施策の充実」、「自殺予防とメンタルヘルスの向上」など、健康福祉分野の施策を積極的に進めていくとされています。
我が党が提案している「新しい福祉」について、知事は、どのように認識し、どう取り組んでいかれるおつもりか、ご所見をお尋ねいたします。
(知事答弁)
医療・健康・福祉行政は、県民の皆様方の命とくらしを支える極めて重要な分野であり、私自身のライフワークの一つでもありますので、しっかりと前進させてまいります。「新しい福祉」として総合的な対応が必要、とご指摘のありましたうつ病や自殺を始め、児童虐待、高齢者の孤独死などの問題は、ご本人やご家族など関係者にとりまして大変つらいことであると同時に、その増加は社会の不安にもつながってまいります。このため、行政を始め地域全体でその対策を充実させていく必要があると認識しているところでございます。私のマニフェストにおきましても、うつ病対策や自殺予防を始め、児童虐待根絶に向けた児童相談センターの大幅強化や、高齢者世帯を地域全体でサポートする体制の構築など、関連する項目を数多く掲げさせていただいております。今後、公明党の皆様のご提言も受け止めながら、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
4−(2)うつ病対策について
うつ病は、患者数が全国で250万人を超えるとも言われており、今や、がんと並ぶ国民病とまで言われております。長引く景気の停滞を背景に、雇用不安が深刻化する中で、私の周りでも就職活動をしても希望する職業に就けず、思い悩んだ末にうつ病など精神的な不調を訴える若者が数多くいます。これはほんの一例ではありますが、うつ病患者の急増は極めて重要な健康問題であり、対策として、何より重要なことは、うつ病の早期発見と早期治療それも適切な専門的医療を受けることであります。公明党愛知県議員団は、昨年12月、うつ病の治療方法として近年注目を集めております「認知行動療法」について、名古屋市立大学付属病院を訪ね、診療内容や治療法などについて、意見交換をしてまいりました。国においても、我が党の働きかけにより、平成22年4月から健康保険などの保険診療の適用となり、この「認知行動療法」が今後普及していくことを期待しております。しかし、国内では「認知行動療法」を行える医師がまだまだ少ないため、身近なところで治療が受けられるよう、医師などの専門スタッフの養成が求められています。また、どこの病院で「認知行動療法」を受けられるのかといった情報を公開し、周知することも必要であります。さらに、有効な治療を早期に受けていただくうえで最も重要なことは、一刻も早いうつ病の発見であります。うつ病の患者は不眠、食欲不振などの身体的な不調を訴えることが多いことから、まず地域における内科医等のかかりつけ医を受診した段階で、体調不良の背景にあるうつ病に気づくことができるよう、かかりつけ医の対応力を向上する必要があります。また、発見したうつ病患者をスムーズに精神科へ紹介できるシステムを整備するなど、地域におけるかかりつけ医と精神科医との連携を図ることも重要であります。
知事は、うつ病に関する医療対策にどう取り組んでいかれるのか、ご所見をお尋ねいたします。
(知事答弁)
渡会議員ご指摘のとおり、うつ病対策においてまず何より重要なことは、うつ病患者を早期に発見し適切な専門医療につなげていくことであります。このため、従来から地域のかかりつけ医や薬剤師等にうつ病への気づきのための基礎的な研修を実施し、いわゆるゲートキーパーを広く養成してまいりました。今後は、かかりつけ医に対しまして、研修内容を充実し、うつ病の初期の治療を担っていただくほか、必要であると判断した場合に、スムーズに精神科の専門医療につなぐ全県的なシステムを構築してまいりたいと考えております。一方、うつ病の治療法の一つである認知行動療法につきましては、医療機関の情報を的確に把握し公表するとともに、県内の精神科医療スタッフが国の研修会へ積極的に参加するよう促すことにより、一層の普及を図ってまいります。
4−(3)子宮頸がん等ワクチンの接種に対する本県の公費助成制度の創設
子宮頸がんは、一般にHPVと呼ばれるヒトパピローマウイルスの子宮頸部への持続感染によって発症し、その感染のほとんどが性交渉によるものと考えられております。日本では、年間約8,500人がこのがんを発症し、約2,500人が死亡しており、女性特有のがんの中では乳がんに次いで第2位となっております。また、近年、子育て世代でもある20代〜30代の若い女性で急増しているのが特徴であります。また、五歳未満の子どもにとって重篤な感染症の一つであり、時に死に至ったり、後遺症を残すこともある細菌性髄膜炎は、一般的にヒブと呼ばれるインフルエンザ菌b型と肺炎球菌が主な原因菌であります。これらの疾病には、現在、非常に有効な予防ワクチンがあり、WHOは世界中の国に対して、定期予防接種プログラムに加えるべきと推奨をしております。国は、このような疾病の重篤性や国際動向に鑑みて、子宮頸がん等ワクチンについて、昨年11月に総事業費1,085億円の補正予算を成立させ、23年度までではございますが、市町村が行う接種事業の2分の1を助成する子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進臨時特例基金事業を創設したところであります。本県でも、市町村に事業の早期実施を促すため、先の11月議会において補正予算対応したところであり、あわせて基金造成のための条例を制定しております。しかしながら、来年度は全市町村がこの助成事業を実施するものの、接種対象年齢や被接種者の自己負担額の有無についてなど、市町村による差が生じております。国民の命を守るワクチン接種費用は、国だけでなく、県としても、市町村に助成を行うことにより、市町村の負担を減らし、県内全域で等しく事業が実施されるよう、市町村を支援することが大変重要だと考えております。
知事は、今後、子宮頸がん等のワクチン接種の公費助成をどのように進めていかれるのか、お伺いをいたします。
(知事答弁)
昨年11月末から開始された子宮頸がん等ワクチンの接種事業は、市町村の事務であり、接種料金を地域の医療機関との契約で決め、対象年齢や自己負担の金額が定められる仕組みとなっております。このため、市町村にばらつきが生じているものであり、また、接種料金の大半を占めるワクチン価格が高いことも自己負担を求める要因の一つになっております。予防接種の推進は、県民の皆様の命、健康を守るため、今後も引き続き、国、県、市町村が一体となって取り組むべき重要な課題であります。県としましては、できる限り、多くの人に接種をうけていただくため、ワクチンが安価に確保できる体制整備を国に要望してまいりますほか、予防接種の円滑な推進に向けた市町村への支援の方策につきまして検討してまいります。
5 「安心あいちの住環境」の整備
民間賃貸住宅の家主さんが入居後のトラブルを懸念して、高齢者・障がい者・子育て世帯などの入居を敬遠する傾向が続いており、こういった方々の住宅の確保についての問題が浮き彫りになってきております。一方、本県内で、新築から時が経ち、建物や設備が古くなるに連れて借り手がいなくなり、空き家となってしまうことを、よく耳にします。住宅は、県民生活の最も重要な基盤であります。空き家が有効に活用されず住宅を確保できない人々がいることは憂慮すべき事態であり、こうした、住宅に困窮する方々が安心して住み続けられるような住宅や住環境の整備がますます重要であると、私は考えています。これらの現状を踏まえ、公明党愛知県議員団では、子育て支援施設や高齢者・障がい者向けの福祉施設などが併設された公的賃貸住宅の整備や、民間住宅などの空き家をリフォームして、住宅に困窮する方々に低家賃で提供する「セーフティネット住宅」の整備によって生活基盤の充実強化を図り、「安心の住環境」の整備を進めることを「あいち・アクティブ11 2011」の主要施策として訴えているところであります。「安心の住環境」の整備とは、言い換えれば、住宅セーフティネットを確保していくことでもあると考えますが、そのためには、公的賃貸住宅はもちろんのこと、本県内にある賃貸住宅全体の約7割を占めている民間賃貸住宅を活用することが有効であり、そこに住宅施策と福祉施策が連携したハード・ソフト両面の取組が加わることで、住宅セーフティネットはより一層充実したものになるのではないかと考えております。
住宅に困窮する高齢者や子育て世帯などの方々が、安心して暮らすことができるような住宅セーフティネットの確保について、知事はどのようにお考えなのか、お伺いをいたします。
(知事答弁)
私は、高齢者の住まいの確保や生活支援サービス、ケア付き賃貸住宅の整備などをマニフェストに掲げており、住宅に困窮する高齢者、障害者、子育て世帯などの方々に対する住宅セーフティネットの確保は重要な課題であると認識しております。県では平成18年度に策定した「愛知県住生活基本計画」に基づき、県営住宅や民間の賃貸住宅を活用した住宅セーフティネットの確保に努めてきております。県営住宅では、生活支援サービス付きの住宅であるシルバーハウジングの供給や、建替えにあわせた社会福祉施設等の誘致などに取り組んでおります。また民間賃貸住宅では、平成20年度に全国で初めて、県、市町村、不動産関係団体、県社会福祉協議会等で構成する「居住支援協議会」を設立し、住宅に困窮する高齢者、障害者、外国人、子育て世帯などの方々の円滑な入居の促進を図るための情報提供や入居支援などに取り組んでおります。今後も、こうした取組みの一層の充実を図ってまいりたいと考えております。さらに、高齢者の住まいについては、住宅と福祉の担当部局が共同して「高齢者居住安定確保計画」を来年度策定し、この中でケア付き賃貸住宅等の供給目標を定め、その促進を図ってまいります。
6 「教育安心社会・あいち」の実現のための人づくり
教育は、人格の完成をめざし、幸福な生涯を実現する上で不可欠なものであります。また、経済のグローバル化や少子高齢化の進展など、我が国が直面するさまざまな課題に立ち向かい、乗り越えていくことのできる人材の育成も教育の重要な使命であります。そうしたことから、我が党では、「安心の教育支援」「活力ある教育環境の整備」などに取り組むことで、子どもから高齢者まで切れ目のない教育・学習環境を整備し、安心と活力のある「教育立国」の構築を目指しているところであります。こうした視点から、「未来への先行投資」ともいうべき人づくりに対しては、すべての子どもたちが、充実した人生を送ることができるよう、教育の「負担の安心」と「質の安心」に取り組むことにより、「教育安心社会」を築いていくべきであると考えるものであります。そうした中、学校教育においては、子どもたちに基礎的基本的な学力を身に付けさせることはもとより、多くの社会体験などを通して、勤労観・職業観や社会性を身に付けさせ、社会の状況が激しく変化する中で、自らの人生をたくましく切り拓いていける力を育てていくことが求められております。併せて、地域全体で学校教育を支える意味からも、「地域の子どもは地域で見守り育てる」という機運を高め、多くの人との関わりの中で、子どもたちの社会性や他人への思いやりの心を養うとともに、地域の人々が学校の運営や教育活動に積極的に協力・参画するなど、社会総がかりで教育に取り組んでいくことが、教育の質を一層高めるものと考えております。教育は「国家百年の計」といわれるように、将来をしっかりと見据え、継続して着実に取り組んでいくことが特に必要であります。
「教育安心社会・あいち」を目指した人づくりについて、知事のご所見をお伺いいたします。
(知事答弁)
国内外における競争の激化など社会が大きく変化していく中で、愛知の将来を担う人づくり、すなわち教育が重要であります。今、学校においては、学力の向上はもとより、規範意識の確立やいじめ・不登校の問題など、多くの課題を抱えております。こういった課題を解決しつつ、より豊かな教育を実現するためには、学校現場の教員が様々な工夫を凝らし、その力を十分発揮することで、地域の実情や子どもたちのニーズに応じた教育を展開することが、何よりも大切であります。このため、市町村教育委員会や直接子どもたちと接している学校現場の意見をしっかりと聴いて、県と市町村の連携と役割分担のもとに、地域全体で学校教育活動を支えることで、あいちの教育力を最大限引き出してまいります。そうした取組のもとに、少人数教育や体験活動を通じたキャリア教育の推進、特別支援教育の充実などをしっかり進めていく考えであり、現在策定している新しい教育振興基本計画に盛り込み、着実に推進してまいりたいと考えております。次世代の人づくりは地域づくりの根幹をなすものであり、教育立県あいち、人材創造あいちをめざし全力で取り組んでまいります。
7 東三河地域の産業振興
知事は、東三河地域を、農業、工業、商業、海の幸、山の幸など、日本の魅力が詰まった「濃縮ジュース」と例えられ、愛知発展の大きな柱と位置付けられました。特に、東三河に絞ったマニフェスト、「ええじゃないか 東三河」を掲げられ、その施策の目玉である、東三河県庁のスタートを目指し、担当副知事を置く条例改正を提案されたところであります。私も、東三河に住んでおりますが、名古屋は、近くて、遠いところであります。東三河地域のことは、東三河でスピーディに判断するという発想、私は、地域の発展のため、とても魅力的で、効果的な考えであると思っております。さて、東三河地域は、園芸・畜産を中心に全国屈指の農業地帯を形成しており、また、豊富な森林資源を有する奥三河地域や、あさりの稚貝などの水産資源の宝庫である三河湾など、本県農林水産業の要とも言える地域であります。しかし、近年の生産コストの上昇や消費の冷え込みなどにより、農林漁業者の経営は厳しさを増しています。また、就業者の減少や高齢化、優良な農地や漁場の減少も進んでおり、手入れが必要な森林も依然として多くあります。こうした状況を打破していくためには、輸出も含めた成長戦略としての産業振興の角度から、東三河県庁の担当副知事を中心に、これまで以上に担い手の育成や生産基盤の整備、新技術の開発・普及に力を入れていく必要があると考えております。さらに、例えば農業においては、付加価値を高めるための農商工が連携した取組も重要であります。豊橋では、産学官共同研究や地域産業支援のための事業を行っているサイエンスクリエイトを核に、農協や農業者、食品製造・販売企業、流通小売・外食事業者、研究機関等が連携し、新たな商品や技術の開発、それら商品の販売促進等を進める取組が行われており、豊橋特産の農産物を加工して、多くの新商品が作り出されるなどの成果がでており、こうした取組をさらに発展させる必要があります。加えて、人口減少や少子・高齢化などにより、国内市場の規模が縮小していく中で、成長著しいアジア地域へ県産農林水産物の輸出を戦略的に行う必要があります。特に、高品質な農林水産物をしっかり生産する能力を持つこの地域にとっては、またとない好機であると考えます。私もしばしば中国へ出かけますが、街の姿は急激に現代化しており、女性のファッションも驚くほど進化しています。しかも、その女性達は、日本のブランドに高い関心があり、例えば、寿司などの日本食も、かなりのスピードで受け入れられており、まさに、輸出に真剣に取り組む機は熟していると思います。今後、農林水産業を更に発展させるためには、成熟した国内市場にとどまることなく、国外市場に対して、積極的に売り込んでいく、攻めの姿勢も重要であると考えます。さらに、本県の試験研究機関の持つ高い技術開発力を生かして、輸出を念頭に置いたブランド農産物の開発などにも取り組んでいただきたいと思います。
知事は、東三河地域の農林水産業の振興について、どのような姿勢で取り組んでいかれるのか、ご所見をお伺いいたします。
(知事答弁)
東三河地域は、施設園芸や畜産を始めとする全国有数の農業地帯であります。また、豊かな森林は水源のかん養などの公益的な機能を発揮し、三河湾の藻場や干潟は、豊富な水産資源を育み、水質の浄化にも貢献するなど、極めて重要な地域であると認識しております。そのため、東三河マニフェストでお示ししたとおり、農業では、国際競争力を強化するための人材育成や海外も含めた販路開拓の促進、施設園芸における先端技術の開発・普及、新たに農業分野での起業を希望する人へのきめ細やかな支援など、これまでの施策をさらに深化させ、日本のモデルとなる農業を振興してまいります。また、林業では、産地から加工・供給までの効率的な木材流通の促進、森林境界の明確化、森林情報の整備などを進め、再生を図ってまいります。さらに、水産業では産学官の連携により、三河湾の水産資源の保護・育成を進めてまいります。こうした取組に加え、高い技術力を活かしたあいちブランド農林水産物や農商工連携による新たな加工品の開発などを、輸出も念頭において進め、東三河地域の農林水産業の振興に努めてまいります。