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2012.3.7 : 平成24年2月定例会 速報
〜議案質疑の質問及び答弁要旨〜

<1>児童虐待対策 里親支援・ファミリーホームの支援
 全国の児童相談所における児童虐待相談対応件数は、年々増加の一途をたどっており、最近でも虐待による痛ましい事件が新聞等で頻繁に取り上げられています。本県におきましても、平成22年度の相談対応件数は過去最多となり、この傾向は今年度も続いていると聞いております。児童虐待の予防や早期発見・早期対応につきましては、県の児童相談センターが中心となって、市町村や関係機関と連携し、地域をあげての取り組みが進められているところであります。私は、不幸にも虐待を受け、親から離れて暮らさなければならなくなった子どもたちや、病気や経済的理由などで親が育てられない子どもたちの保護・育成については、公的な責任において、より適切な養育環境のもとにされることが重要であると思います。こうした子どもたちの養育は、従来から乳児院や児童養護施設が中心となってまいりましたが、国は、昨年度末に策定した里親委託ガイドラインの中で、里親委託優先の原則を示し、できる限り家庭的な養育環境の中で子どもを育てられるよう、家庭的養護を優先するという方針を打ち出し、里親への委託や、小規模住居型児童養育事業、いわゆるファミリーホームの設置を推進していくこととしました。
 里親制度につきましては、養育者である里親の自宅で共に生活し、家族と同様の養育を受けることができ、子どもにとっては、安定した人間関係を築くことができるという意味で、大変望ましいものであります。また、ファミリーホームは、5〜6人の子どもが養育者と一緒に暮らし、他世代の子どもとの交わりの中で、いたわりやゆずりあう心を自然に学ぶことができ、子どもたちの養育の場として意義のあるものだと思います。こうしたことから、私は、里親やファミリーホームへの委託は大いに進められるべきだと思います。
 しかしながら、昨年8月、東京都杉並区において、里親が3歳の里子を殺害したとして逮捕されるという、まことに痛ましい事件が起きました。有識者からは、里親を取り巻く課題や問題点が指摘され、また、里親からは、里子の赤ちゃん返りや反抗的に振る舞う試し行動といった養育の難しさや、里親の孤立といった声も聞かれました。実の親から虐待を受けた子どもたちは、大人への不信感や深い心の傷を抱えており、経験の豊富な里親であっても、そうした子どもたちと信頼関係を築いていくことは決して容易なことではないと、私も十分に理解しております。こうした状況を踏まえ、国におきましては来年度から、里親支援の体制整備として、里親への定期的訪問を含めた支援を行う里親支援専門相談員を、児童養護施設及び乳児院に配置し、地域における里親支援の拠点機能を持たせると聞いております。さらに、里親支援のより一層の充実を図るため、里親及びファミリーホーム養育指針を策定しているところであり、社会的養護を担う里親等の養育の理念や方法・手順などを定め、質の確保と向上を図ることとされております。里親の孤立化を防ぎ、また、虐待を受け心に深い傷を持つ子どもを養育するためには、社会的養護という観点から、行政が責任を持って、里親の専門性の向上や様々な支援を行っていくことが必要だと思います。
里親支援やファミリーホームへの支援に、どのように取り組んでいくのか。

(健康福祉部長答弁要旨)
 本県では、少子化対策の基本計画であります「あいち はぐみんプラン」におきまして、養護を必要とする児童全体のうち、里親等への委託割合を、平成26年度までの5年間で10.8%から13%に引き上げるという目標を掲げ、里親による養育の推進を図っているところであります。平成24年2月1日現在、里親のもとで142名、ファミリーホーム4か所において18名の児童を委託しており、委託割合は12.4%と、順調に推移しております。
 ファミリーホームを含めた里親への支援の取組についてでございますが、里親を孤立させないよう、児童相談センターの児童福祉司による定期的な家庭訪問や里親サロン等を活用し、相談等に積極的に応じていくとともに、里親の休息が必要な場合には、子どもの一時預かりや、ヘルパー派遣事業を行い、支援の強化に努めてまいります。
 また、国が新たに設置する里親支援専門相談員につきましては、各児童相談所管内の乳児院・児童養護施設に1か所以上配置することとされており、定期的な里親への家庭訪問や、地域における里親支援の役割を担うこととされております。本県におきましても、施設の意向や地域バランス等を勘案しながら、施設に配置を働きかけ、支援体制の整備を図ってまいります。
本県といたしましては、今後、国が策定する「里親及びファミリーホーム養育指針」に基づき、専門性の向上や質の確保を図るための研修を実施し、一層きめ細やかな支援を行うなど、里親やファミリーホームの支援体制の充実に努めてまいります。



<2>救急医療対策 ドクターヘリ運営費
 ドクターヘリ事業については、平成22年の9月議会において、私の一般質問に対して、県から、ドクターヘリの救命救急医療確保における優れた事業効果を認めていただき、今後とも、近隣県との連携協力も含めて、積極的に推進していくとの前向きの答弁をいただいたところであります。全国的にも、事業開始の平成13年度以降、年々実施する県が増えてきており、例えば、隣りの岐阜県では昨年2月、三重県でも今年2月からドクターヘリの運航が開始されておりまして、現在では全国の27道府県で実施されております。救急車では対応が間に合わないような緊急の救急事案において、患者さんに救急医が付き添ってヘリコプターで極めて迅速に搬送することにより、大切な県民の命を救うことができるのですから、私は、ドクターヘリは今後もさらに全県に普及していくものと確信しています。
 この事業は、いわゆる国の間接補助事業であり、その公益性にかんがみ、ドクターヘリの運航に要する経費の全額について国と県とが折半して事業者を補助する仕組みであります。また、その補助の基準額は、昨今の燃料費その他の経費の高騰を勘案し、安全な運航を確保するため平成22年度に約25%増額されたばかりです。
 そうした中で、私は最近、平成23年度の補助事業に関連して、いささか聞き捨てならないと申しましょうか、納得のいかない話を、ある他県の関係者から耳にしました。それはこういうことです。実は、この補助事業は、国の補助要綱では「医療提供体制推進事業費補助金」という名称で、救急医療のほか、へき地医療や看護職員確保対策、歯科保健医療対策など何種類もの様々な事業を統合した補助金となっておりまして、ドクターヘリの運営事業は、その中の一つであります。そして、平成23年度の補助について国の予算額が対前年度比で約85%に削減されたため、各県から提出された事業計画をもとに積算した本来の補助所要額では交付できなくなり、昨年8月末に国は各県に対して全体として大幅に削減した補助予定額を内示いたしました。これを受けて各県では、予定していた財源が得られないことから、それぞれ事業の執行に大変苦慮したようであります。中でも、年間を通して365日体制で救命救急の最前線で活躍しているドクターヘリの運営費については、本来、年度途中で補助額を下げるなどあってはならないことだと思うのですが、財政上やむなく、当初の補助予定額を削減せざるを得ない県もあると聞いております。なお、本県では、少なくとも23年度は何とかやりくりして基準額どおり補助する方針であるとお聞きしましたが、今後、国の統合補助金の予算の動向により、この事業が左右されるのであれば、誠に憂慮されるところであります。もとより、ドクターヘリ以外の事業についても、それぞれ重要なものとは思いますが、ことは直接人命にかかわる問題であります。ドクターヘリは、補助金が減ったから、その分は出動しないというような運営は許されるものではありません。厳しい財政状況は承知しておりますが、必要と認められる経費は国も県もしっかり確保して、責任を持って今後も継続してドクターヘリ事業を推進していただきたいと思います。

(1)統合補助金の減額は、国の財政事情からあり得ることと懸念されるが、ドクターヘリ運営費の補助金については引続き予定どおり交付していただきたい。

(健康担当局長答弁要旨)
 国の予算縮減によって平成23年度の医療提供体制推進事業費補助金の減額がございましたが、ドクターヘリ運営費につきましては、救急医療対策上の重要な事業であり、人命尊重のために安定的運営が不可欠でありますので、本県としては、当初の予定どおり交付することにいたしました。また、24年度の国庫補助金につきましては、国に対し十分な財源確保及び事業の執行に支障のない交付を強く要請してまいります。しかしながら、国の財政状況から万が一23年度と同様に減額されました場合にありましても、ドクターヘリ事業の性格を十分に踏まえ、引続き必要な補助ができるよう県として最大限努力してまいりたいと思います。

(2)本県のドクターヘリの出動件数について平成22年の質問でも平成19年度から21年度までの3年間の実績をお聞きしましたが、その後はどのように推移しているか。そうした実績を踏まえて県としてドクターヘリの適正な活用をどのように図っていかれるのか。

(健康担当局長答弁要旨)
 ドクターヘリの出動件数は、平成22年度は453件、平成23年度は今年1月までの実績で341件でございます。この出動実績につきましては、本県も参加して、事業主体であります愛知医科大学病院及び各消防本部関係者等による症例検討会を毎月開催しております。そうした場を通じまして、本来ドクターヘリを利用すべきにもかかわらず何らかの事情で利用できなかった事例がないか、また、利用事例に改善すべき点がなかったか等について分析・検討し、その結果を適正なドクターヘリの活用・推進に活かしているところでありまして、今後も同様の取組を進めてまいりたいと考えております。

(3)ドクターヘリは、大規模な災害や事故の発生時などに近隣県で応援・協力していくことが大切。以前に当時の神田知事からご答弁いただいたドクターヘリの広域的な連携・協力体制の検討は、その後どのように進められているのか。

(健康担当局長答弁要旨)
 去る1月16日に名古屋市内で開催されました「平成23年度東海三県一市知事市長会議」において、本県知事から、今後、愛知、岐阜、三重の3県及び名古屋市で検討を進めていくことを提案し、賛同いただいたところであります。また、同会議では、3県1市のほか静岡県及び長野県にも声を掛けて検討の場を設けていくことも提案されております。今年2月1日から三重県でもドクターヘリの運航が開始されましたことから、このたびの知事市長会議の結果を受けまして、今後、関係県市と一緒になって、行政関係者のほかフライトドクター等にもご参加いただき、より実態を踏まえた具体的な連携の在り方を協議する会議の設置に向け、早急に取り組んでまいります。



<要望>
 ドクターヘリ運営費の補助事業については24年度以降もしっかり継続していってもらいたい。県の財源がない場合に、たとえば地域医療再生基金からの事業充当なども含めて、可能な限りの方策を講じていただきたい。
 統合補助金による国庫補助減額については、ドクターヘリを始め様々な事業に影響があるので、内示の時期や事業内容への配慮など、その在り方について、改めるべきは改めるようしっかり国に対して要望していくべきと考える。




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