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2012.3.8 : 平成24年2月定例会



◯七十番(渡会克明君)
 私は、歳出第十一款教育費第七項保健体育費のうち、スポーツ振興及びスポーツ観光についてお伺いいたします。なお、関連して、第七款産業労働費第三項観光費からもお聞きします。
 近年、まちおこしのコンテンツの一つとして、マラソンなど市民参加型スポーツイベントや、観戦型スポーツイベントの開催、あるいはスポーツ合宿、キャンプ誘致などを実施することで生まれる経済波及効果に地域が注目し始めています。電通と早稲田大学による共同調査、地方自治体におけるスポーツ施策のイノベーション調査によれば、多くの自治体がスポーツを通じた地域活性化に高い関心を持ち、従来の健康や教育といった効果に加え、観光・スポーツ関連産業振興といった経済的効果をスポーツ施策の目的とする自治体がふえつつあり、スポーツによる地域活性化とその経済効果を求める自治体が今後さらに増加すると予想しています。調査では、将来的にスポーツ観光振興に取り組む意向を持つ自治体は六割強であり、都道府県は八四%、政令指定都市は八六%と特に比率が高いとのことです。また、国レベルにおいては、スポーツ基本法が二〇一一年六月に制定され、観光庁がスポーツ観光推進室を設置するなど、スポーツを取り巻く新しい動きが活発化しています。これからの日本の復興にスポーツと観光の果たす役割は大きく、その両者が融合したスポーツツーリズムの一層の推進が図られることが期待されています。では、スポーツツーリズムとは、我が国には、プロ野球、Jリーグ、ラグビー、プロゴルフ、大相撲、柔道、体操、公営競技など、国際的に高い評価を受け、既に日本独自の文化となった「観る」スポーツ、観戦するスポーツが存在します。そして、豊かな自然環境や美しい四季を利用したスキー、ゴルフ、登山、サイクリング、海水浴、さらに、今日では、全国各地の魅力的な都市、地域で開催されている市民マラソンなど、多くの国民が親しむ「する」スポーツが存在します。さらに、そこには、これらの「観る」スポーツや「する」スポーツを支える地域、団体・組織やスポーツボランティアが存在します。我が国は、アジア有数のスポーツ先進国であり、スポーツを取り巻く環境は他のアジア諸国と比較して優位にあります。スポーツツーリズムとは、こうした日本の優位なスポーツ資源とツーリズムの融合であります。また、スポーツツーリズムは、スポーツを「観る」「する」ための旅行そのものや、周辺地域観光に加え、スポーツを支える人々との交流、あるいは生涯スポーツの観点から、ビジネスなどの多目的での旅行者に対し、旅行先の地域でも主体的にスポーツに親しむことのできる環境の整備、そして、MICE推進のかなめとなる国際競技大会の招致、開催、合宿の招致も包含した複合的でこれまでにない豊かな旅行スタイルの創造を目指すものであります。
 ところで、スポーツとツーリズムは、実際はかなりの部分で重なりつつも、それぞれ別の概念として認識されていました。そこで、両者をさらに意図的に融合させることで、目的地へ旅する明確な理由をつくり出し、これまでにない新しい価値、新しい感動が誕生します。それと同時に、今までにないスポーツ産業、観光産業の新しい収益構造も生み出すことができます。スポーツツーリズムによるさまざまな経済的利益を旅行関係企業だけでなく、旅行者を受け入れる地域において、スポーツ団体、そしてビジネスとしてかかわる関係者が分かち合い、相互に協力して、地域全体でスポーツツーリズムを推進する環境をつくり出すことが必要であります。
 ところで、スポーツツーリズムの推進のためには、新たなスポーツコンテンツの発掘及び開発、大会の招致、開催などの多くの事柄において、スポーツツーリズムの現場である地域の理解と協力が必要であります。魅力的で他と差別化されたスポーツコンテンツは、まちの魅力、活性化にもつながり、スポーツツーリズムから旅行者で満ちあふれる観光まちづくりが実現されると考えます。このようなスポーツを活用したまちづくりで新しい観光価値の創造を図っていくためには、企業、すなわち宿泊施設、観光施設、交通機関、旅行会社、飲食店、商店などや、観光協会などを代表とした観光団体と、スポーツ団体との連携、協働を効率よく機能させることが必要であり、これらメンバーと行政から成る連携組織も必要であります。また、企業だけでなく、スポーツツーリズムによる地域の経済的、社会的、教育的な価値を地方公共団体の首長が理解し、推進を行い、地方公共団体における観光セクションとスポーツ振興セクションの融合や、協力体制を構築していくこと、スポーツツーリズムの窓口となる担当者を置くことも必要であります。
 地域は、スポーツ施設の整備だけに限らず、大会などの魅力あるコンテンツづくり、大会、合宿の招致、プロスポーツの誘致など、スポーツツーリズムを担う連携を観光まちづくりの一環として政策に位置づけることが求められています。例えば、さいたま市は、平成二十三年十月、さいたま市スポーツコミッションの設立を決定し、人員配置と予算を具体化させています。この組織は、スポーツ大会誘致のプロモーターと、スポーツ大会の受け入れコーディネーターという二つの役割を持つものであり、企業、スポーツ団体、観光団体や行政が参画しています。また、関西経済同友会は、平成二十三年七月にスポーツコミッション関西準備委員会を設立し、スポーツを核として、ファッション、医薬、健康等の産業を結びつけ、既存産業の発展、活性化等を目指すものであります。
 このように、スポーツと地域の関係性を高める公の組織の設置といった施策イノベーションは、今後も全国に伝播していく可能性を秘めています。地域におけるスポーツツーリズム推進に向けて、思いを持って主体的に働く人材や団体などが中心となり、観光施設や商店などの企業、観光団体、スポーツ団体などと連携し、地方公共団体とも意識共有をしていけるような永続的なスポーツツーリズムの推進体制が必要であります。以上、スポーツツーリズムについてるる述べてまいりました。
 そこで質問ですが、まず、教育委員会として、スポーツツーリズムについてどのような認識をお持ちですかお伺いをいたします。
 また、教育委員会として、スポーツツーリズムの推進に資する具体的な取り組みとしてどのようなものがありますかお尋ねをいたします。
 さらに、教育委員会としては、今後のスポーツ振興において、スポーツツーリズムの推進にどのように関与していかれるのか、そのお考えをお聞かせください。
 関連して伺いますけれども、産業労働部は、スポーツツーリズムを推進するために今後どのように取り組んでいかれるのかお尋ねをいたします。
 また、スポーツツーリズムを推進するため、地域の観光団体、スポーツ団体が連携し、大きなスポーツイベントを誘致する組織が必要と考えますが、どのように考えてみえるのかお伺いをいたします。



◯教育長(今井秀明君)
 まず、スポーツツーリズムについての認識についてお答えをさせていただきます。
 議員お示しのとおり、スポーツツーリズムは、スポーツと観光を融合し、スポーツを通じて観光の振興を図るとともに、スポーツ振興や健康増進などに幅広い相乗効果を期待できるものと考えております。国において昨年六月に策定されましたスポーツツーリズム推進基本方針では、スポーツツーリズムを推進することにより、活力ある長寿社会づくりや、若年層の旅行振興、また、余暇活動の活性化や、スポーツ関連産業の振興等の効果のほか、スポーツ振興の面では、スポーツ参加者や観戦者の拡大、国際大会の招致、開催の増加による競技力の向上等が期待できるとされております。本県は、野球やサッカーのプロチームを初め、国内のトップリーグで活躍する企業チーム等の数は東京都に次いで全国二番目でありますし、国際大会や全国規模の大会が開催できるスポーツ施設も数多くあり、こうしたスポーツ資源を生かすことにより、スポーツツーリズムの推進による大きな効果が期待できるものと考えております。教育委員会といたしましては、スポーツツーリズムの推進は県民の豊かな生活に寄与するものであり、スポーツ振興を図る観点から意義のあるものと認識いたしております。
 次に、具体的な取り組みや関与についてでございますが、今年度、教育委員会が主体となって開催しました日・韓・中ジュニア交流競技会愛知・名古屋大会や、ゆめリンク愛知国体、また、あす三月九日から開催するマラソンフェスティバル ナゴヤ・愛知二〇一二等がスポーツツーリズムの推進にも大きく貢献するものであるというふうに考えております。特に、マラソンフェスティバル ナゴヤ・愛知二〇一二は、現在のところ、国内はすべての都道府県から、そして、海外からは二十八の国と地域から、合わせて三万三千人を超えるランナーのエントリーがあり、そのうち、名古屋ウィメンズマラソンの参加者については一万五千人で、そのうち、五五%の方々が東海三県以外からの旅行者となっております。教育委員会といたしましては、今後とも、こうしたスポーツイベントの開催に引き続き努めるとともに、国際大会や全国規模のスポーツイベントの開催を支援してまいりたいと考えております。また、昨年制定されましたスポーツ基本法の趣旨には、スポーツに関する施策の総合的、一体的かつ効果的な推進を図ることが必要とされておりますので、こうした国の動向を注視しながら、教育委員会といたしましても、スポーツツーリズムの推進にできる限りの協力をしてまいりたいと考えております。以上でございます。



◯産業労働部長(木村聡君)
 私からも、スポーツツーリズム及びその関連イベントの誘致、組織についてお答え申し上げます。
 県内外から多くの参加者、来場者を集めますスポーツイベントは、元来、当地が強みを有する武将、産業観光関連の催しや施設とともに、本県にとって重要な観光資源になるものと考えております。県では、これまで、教育委員会の答弁にありましたマラソンフェスティバル ナゴヤ・愛知二〇一二など、スポーツ振興の観点から開催されます大規模な大会、競技会に際しまして、当該イベントの情報を発信いたしますほか、その参加者、来場者に対しまして、当地の観光資源をPRするなどの取り組みを行ってきたところでございます。県といたしましては、国において、昨年六月、スポーツツーリズム推進基本方針が策定されたことなどを踏まえまして、従来の取り組みを継続、強化いたしますとともに、大規模なスポーツイベントの誘致にもしっかり取り組んでまいりたいと考えております。具体的には、名古屋市や観光関係団体と共同で設置いたしました観光プロモーションプロジェクトチームが中心となりまして、教育委員会とも連携しながら、まずは内外のスポーツイベントに関する情報収集に努めてまいります。そして、具体的な誘致候補が絞り込まれた場合には、経済界やスポーツ、教育関係者にも幅広く御参画いただき、当該イベントの誘致活動の推進母体となる体制、組織を設ける方向で検討、調整を進めることとし、地域が一丸となってスポーツツーリズムを推進してまいりたいと考えております。以上でございます。



◯七十番(渡会克明君)
 ただいまは、教育長、また、産業労働部長よりそれぞれ前向きな答弁をいただいたと思います。
 そこで、大村知事に要望したいと思うんですけれども、本県は、産業観光、武将観光、また、エコツーリズム、医療ツーリズムなどなど、観光による元気な愛知づくりを目指しまして、さまざまな施策を展開しているわけであります。私が今回御紹介しましたスポーツツーリズムは、スポーツと観光との意図的な融合、改めて申し上げますけれども、これで本県の経済の活性化やまちおこしなど、必ず私は貢献できるというふうに思っております。スポーツは、子供さんから高齢者の皆さん方に至るまで、非常に幅広く年代を問わず、また、すそ野も、今、産業労働部長のほうからも話がありましたけれども、かかわる団体、協会、業界が非常に多いわけでありまして、非常に愛知県は地域資源に私は富んでいると思います。そういう中で、もう一度私は洗い直しをして、検証をしていただいて、系統立てて、何が一番観光としていけるのかということをもう一回見直ししていただきたいとの思いで、このスポーツツーリズムを出しました。非常に広いものでありますから、ぜひとも検討に値する、このようにも思うわけであります。どうか大村知事におかれましては、スポーツを通じて観光価値の創造を図っていくと、全国をリードする愛知発の積極的な取り組みを要望して、終わります。




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