県議会発言録へもどる

議事録をみる
中継をみる


2012.9.28 : 平成24年9月定例会 速報
〜一般質問の質問及び答弁要旨〜



1.東三河地域における道路事業の進め方について

 私は、かねてより、道路は、地域の一体化を促進し、産業経済や社会生活を支えるのみならず、災害時の支援物資輸送や復旧活動を担うためにも最も重要なインフラの一つであり、県民の命と生活を守る公共投資として、幹線道路ネットワークの整備を計画的かつ総合的に展開することが重要であると訴えてまいりました。
 東三河地域全体の道路状況に目を向けてみますと、南北に長い当地域の一体化の促進には、山間地域から半島までをつなぐ東三河縦貫道路など南北軸の強化が必要であります。しかし、いまだ整備途上の状況であり、また、南北軸と一体になって各都市の連携を図る東三河環状線についても、トンネルはようやく着工できる運びとなったものの、事業中区間が多いのに加え、豊川を渡る区間が未着手の状況であり、環状線としての姿がなかなか見えず、期待される機能が十分に発揮できておりません。
 それにもかかわらず、最近の公共事業を取り巻く予算状況は、リーマンショック以降の長引く円高不況や、政権交代後のコンクリートから人へのキャッチフレーズのもと、大幅な公共事業の削減が行われてきました。
 本県も例に漏れず、この大幅削減の影響を受け、一般会計における公共事業の今年度当初予算は、平成二十年度当初予算に比べ約二割減に陥っておりました。そのような状況の中、幸いにも、主として道路事業と河川・海岸事業で内示増となっており、今議会において、総額約百七十億円の増額補正予算案が計上されております。
 今議会に上程された補正予算をどのように活用し、東三河地域の道路事業を進めていかれるのか、御所見をお伺いいたします。

(建設部長答弁要旨)
 今回の補正予算につきましては、持続可能で活力ある国土・地域づくりを強力に推進するとした国の今年度の予算編成も踏まえまして、新東名高速道路などの広域的な幹線道路や、空港、港湾へのアクセス道路、また、災害が発生した際に生命線となる緊急輸送道路など、事業効果や緊急性が高い箇所に重点配分してまいりたいと考えております。
 東三河地域におきましては、新東名や名豊道路などの東西軸と接続し、地域を南北方向に結び一体化を図る国道百五十一号新城バイパスや一宮バイパス、豊橋渥美線など、東三河縦貫軸を構成いたします幹線道路の整備を促進してまいります。
 また、東名高速道路と三河港との連携を強化するとともに、中心市街地の渋滞緩和にも大きな役割を果たす東三河環状線につきましては、ミッシングリンクの早期解消に向け、トンネル区間も含め、整備のスピードアップを図ってまいりたいと考えております。
 さらに、昨年度、太和金トンネルの崩落により一時通行どめとなっておりました国道百五十一号につきましては、山間地域の生活を支える緊急輸送道路であり、その整備が急がれることから、新トンネルへのアプローチとなる橋梁工事に今年度着手してまいります。
 東三河地域のさらなる成長のためには、産業経済活動や日常生活を支え、防災面においても大きな役割が期待される幹線道路ネットワークを効果的、効率的に形成する必要があり、今後ともしっかりと道路整備に取り組んでまいります。



2.地域防災の担い手である地元建設業者の育成について

 道路などの社会資本整備は、建設業者が確実に工事は行います。一方で、建設業者、とりわけ地元建設業者は、地域防災に対し非常に重要な存在であります。東日本大震災でも、災害協定に基づき、各地で地元の建設業者が迅速に動きました。通信網が途絶える中、自治体や建設業者は、互いに役所や事務所などに出向くなどして連絡をとり合い、翌朝から多くの業者によって、自衛隊や警察、消防などが人命救助に向かうための道路を通す作業が開始されました。地元の建設業者は、日ごろの活動で地形など地域の実情を熟知しています。自分も被災者でありながら、真っ先に復旧のために行動する、その使命感には頭が下がる思いであります。地元建設業者は、非常に小さな会社であっても、災害時における近隣の救援等、地域に対し大きな貢献をしております。私たち県民は、その重要性を改めて認識しなければなりません。
 しかし、この地域にとって非常に重要な存在である地元建設業者が厳しい状況に置かれています。昨今の公共事業費の削減は、工事発注件数を減少させ、建設業者の受注機会を減らしています。建設市場の規模に対して企業の数が多過ぎる状況になっており、経営や雇用環境が悪化していることがうかがえます。本県では、地元建設業者の受注機会確保のために、入札契約制度の一つである総合評価落札方式において、地域貢献度、地域精通度に対する評価項目を設定しています。その中では、防災協定などの締結状況や、その協定に基づく活動の有無に応じて加点することになっており、地元建設業者の地域に対する貢献が適正に評価される仕組みになっているところであります。しかし、その一方で、技術力を実績で評価することから、結果的に実績のない業者が受注しづらくなっているという問題も生じています。
 建設産業の再生が地域維持の鍵を握っていると言っても過言ではありませんが、本県において、地域防災の担い手である地元建設業者を衰退させてはなりません。現在、大変厳しい状況にある地元建設業者の育成について、本県ではどのような取り組みをされているのかお伺いをいたします。

(建設部長答弁要旨)
 地元建設業者は、災害時の緊急対応など地域の安心・安全の確保に大きな役割を果たしており、建設部では、地元建設業者の育成と健全な発展のため、愛知県公共工事発注方針を定め、地元建設業者の受注機会の確保に努めております。
 地元建設業者によって円滑かつ効率的な施工が期待できる工事につきましては、コスト縮減にも配慮し、分離・分割発注に努めるとともに、総合評価落札方式において、地域における社会貢献活動を高く評価するなど、さまざまな取り組みを行っております。さらには、近年の発注件数の減少により技術者が実績をつくりづらい状況にあることから、今年度より比較的小規模な土木工事と舗装工事におきまして、技術者の工事実績に関する評価要件を除外した地域II型という特別簡易型総合評価落札方式の試行を始めたところでございます。
 公共事業を取り巻く環境は大変厳しい状況にありますが、災害対応や維持管理工事などはこれからも不可欠であり、その担い手である地元建設業者の皆さんがしっかりとその役割を果たしていただけるよう、建設業界の実情も十分伺いながら、引き続きその環境づくりに取り組んでまいります。



3.あいくる材の活用状況等について

 我が国においては、経済産業活動は成熟期を迎えているものの、近年においても産業廃棄物は減少することなく発生し続けている状況にあります。一方、産業廃棄物の最終処分場確保はこれまでにも増して困難なものとなってきており、全国的に最終処分場の残余容量が逼迫しているなど、産業廃棄物の処分をめぐる問題が深刻となっております。
 建設部が平成十四年度から実施している取り組みとして、愛知県リサイクル資材評価制度、いわゆるあいくるがあります。これは、民間の開発技術により、廃棄物を原料として製造したリサイクル資材を公共工事の発注者である県が認定し、県の公共工事で率先利用するものであります。この制度の構築及び周知により、建設工事により発生した廃棄物の減量はもとより、先ほど述べた県全体の減量化にも大きく貢献しているものと考えております。ただし、廃棄物の再生資源化につきましては、フェロシルト問題に代表されるように、製品の品質が確保できないと環境汚染など大きな社会的問題に直結し、再生建設資材全体の信頼性低下などを招くことになりかねません。加えて、あいくる材は、県公共工事で率先して利用することから、品質の確保はより強く求められるものと考えております。
 そこで、廃棄物を原料として使用したあいくる材の活用状況は現在どのようになっているのか、また、あいくる材の信頼性を確保するため、どのような配慮がなされているのかお伺いをいたします。

(建設部長答弁要旨)
 平成二十三年度の県発注の公共工事では、三十七万トンの再生資源があいくる材の原料として使われており、これは一年間に県内で発生し、埋立処分される産業廃棄物量の約四割に相当するものでございます。
 主要な資材でのあいくる材の利用状況を見ますと、RC40を初めとする路盤材では、あいくる制度を始めた平成十四年度に二万立方メートルであったものが、平成二十三年度には十九万立方メートルと約九倍に、排水側溝を初めといたしますコンクリート二次製品では、一万四千メートルであったものが十二万六千メートルにと、これも約九倍に増加しており、いずれの資材も、平成二十三年度の県の公共工事において約九割をあいくる材が占めております。
 このように、利用量を大きく伸ばすことができたのは、品質の信頼性があってこそであり、今後もその信頼性を維持していくことが重要であると考えております。そのため、学識経験者などから成る愛知県リサイクル資材評価委員会にあいくる制度全般にわたり審査をいただくとともに、申請時には、書類審査に加えまして、職員みずからが工場に出向いて製造過程等の調査を行い、さらに、認定後におきましても職員が抜き取り検査を実施するなど、きめ細やかな対応をとってきております。
 いずれにいたしましても、循環型社会形成の推進のためにはあいくる材の活用は大変重要であり、今後もその信頼性を確保しながら、引き続き利用促進に努めてまいります。



4.交通安全対策について

 ことし、通学途中の児童たちを巻き込む痛ましい交通事故が相次いで発生し、危険と隣り合わせの通学路の実態が表面化しました。
 私たち公明党は、一九九一年以来、通学路総点検を提唱し、通学路の安全を確保しようと、公明党の全国の国会議員、地方議員、党員ら延べ四万三千人と一緒になって取り組んできた運動がベースとなっています。子供たちの命を守るために全力でこの問題に取り組み続けてまいりましたが、痛ましい事故が続発したことから、亀岡市の事故直後の本年四月二十六日、改めて党として通学路の安全対策プロジェクトチームを立ち上げました。同PTは、五月十六日、文部科学大臣に対して通学路の安全対策についての緊急提言を行いました。また、六月一日、私たち県議団も、大村知事に通学路の安全対策についての緊急要望をいたしました。その結果、五月三十日には、文部科学省、国土交通省及び警察庁から全国に通知が発せられ、この夏、全国の公立小学校で、行政や教育委員会、警察などが合同で通学路の緊急合同点検が行われました。六月二十六日には、通学路の安全対策のための有識者による懇談会も設置されました。また、問題解決のため、これまで十回にわたり、交通事故遺族の会などの関係者や関係機関などから御意見を伺い、実際に現場視察なども行ってまいりました。こうした実態を踏まえ、本年七月二十六日に行った二度目の提言では、ルールを守っている歩行者が守られることを最優先課題に掲げ、国に訴えさせていただきました。
 我が国で導入が始まっているゾーン30も、単なる三十キロ制限速度区域と捉えられており、その淵源とも言われ、子供の交通事故を機に、一九七〇年代にオランダの都市デルフトから欧州に広がったボンエルフ、オランダ語で生活の庭という意味だそうでありますけれども、この理念が生かされていないとの指摘もあります。
 そこで、少なくともルールを守っている歩行者は守られることを確保するために、歩行者優先、人間優先の交通体系という理念の徹底が急務であります。そのためには、国に、交通安全対策基本法に人間優先の理念を明確に位置づけることを求めるとともに、国、県も昨年策定された第九次交通安全計画の中での死傷者数削減目標の中に、子供や歩行者の視点を踏まえた目標を追記することが必要ではないかと思います。今回、全ての公立小学校において、通学路合同点検が八月末までに行われました。点検で得られた調査結果を愛知県として集約、分析し、結果に基づく優先課題に対しては、関係部局が連携して予算措置を含めた施策を講じるとともに、今回の点検が一過性のものとならないために、専門家の育成などを含め、今回の安全点検体制を継続させ、検証する体制を再構築すべきであると思います。

4−(1)
本県内においても緊急合同点検が実施されました。県内通学路の危険箇所数とその点検結果をお伺いいたします。

(県民生活部長答弁要旨)
 通学路の緊急合同点検は、平成二十四年五月三十日付の文部科学省の依頼に基づくもので、八月末までに、学校、保護者、道路管理者及び地元警察署などが合同で点検を実施いたしました。点検を実施した危険箇所数につきましては四千六百九十三カ所あり、その全てが対策が必要な箇所でありました。今後は、十一月末までに市町村教育委員会及び学校が相互に連携し、道路管理者及び地元警察署と調整しながら、具体的に対策を検討することになります。

4−(2)
通学路の合同点検は継続的に行われていくべきと考えます。今後、どういう形で継続していくのが望ましいとお考えなのかお伺いをいたします。

(県民生活部長答弁要旨)
 通学路の安全点検につきましては、従来、学校が独自に毎年定期的に実施しておりました。しかし、今回の通学路の緊急合同点検は、学校が抽出した危険箇所を学校、保護者、道路管理者、警察署などが合同で点検することで、危険度を多角的、客観的に判断することができ、さらに、必要な対策も判明するなど、有効な手段であると思われます。  そこで、この連携体制につきましては、次年度以降も継続するよう、通学路の交通安全に関するプロジェクトチームにおいて検討し、年内をめどとした最終取りまとめで方向性を示してまいりたいと考えております。

4−(3)
目に見える諸対策の迅速かつ計画的な実施を図るべきではないかと考えますが、緊急対策はどのように考えているのかお伺いをいたします。

(県民生活部長答弁要旨)
 通学路の交通安全に関するプロジェクトチームでは、通学中の児童の交通安全の確保を最優先に、年度内に速やかに実施する対策をソフト、ハードの両面から検討し、取りまとめたところでございます。
 まず、ソフト対策について御説明いたします。
 通学路における児童の交通事故の多くがドライバーの不注意による事故と見られることから、通勤で車を利用することが多い企業を対象に緊急雇用創出事業基金を活用し、二人一組のPR隊が県内を八班体制で回り、企業訪問を通して、ドライバーのマナーの向上、児童の通学時間帯における思いやり運転などを呼びかけてまいります。また、下校時間帯には広報車を走らせ、走行するドライバーに対し、思いやり運転を呼びかけていくこととしております。
 次に、ハード対策につきましては、まず、今回の緊急合同点検を受けまして、県管理道路のうち、小学校から半径五百メートル以内の道路幅が狭く、当面歩道設置が困難な特に危険性の高い箇所三十四カ所、七キロメートルについて、緊急に対策が実施でき、速効的な効果が期待できる路肩のカラー舗装を実施することとしております。
 また、本年四月二十七日に岡崎市で発生した通学途中の児童がはねられた事故を受けまして、県内全ての小学校区九百七十二学区を対象として、小学校から半径五百メートル以内の通学路について、五月に県警察が独自で点検を行っておりますが、その結果に基づき、道路標識千三百三十二本、道路標示三百五十一キロメートルにつきまして、補修、更新を実施することとしております。

4−(4)
これまでの我が国の道路整備においては、歩行者を主体とする視点が乏しかったと思います。今後は、歩行者の目線から道路を整備するという視点も踏まえ、先ほど申し上げたボンエルフの理念を参考に、いわゆる生活道路では、道路を蛇行させたり、段差をつけたりするなど、事故が起きにくい道路を整備するとともに、歩車分離式信号等の普及を図り、車も人も共存できる社会を目指すべきであります。  通学路の多くは、この生活道路と言われている道路であり、抜け道として使われることなく、また、スピードを控えて走るなど、本来、地域の方々が安心して通行することができる道路であるべきと考えます。  警察では、昨年からヨーロッパの住宅街などで広く実施されている生活道路での安全対策として、面的速度規制などを内容とするゾーン30を推進していると承知しております。報道によると、全国約三千カ所の整備を計画していると聞いております。この対策は住宅地での安全対策ということで、通学路の安全対策にも資すると考えられます。 このゾーン30の現在における愛知県での推進状況と今後の進め方について、警察本部長にお伺いをいたします。

(警察本部長答弁要旨)
 ゾーン30とは、警察と道路管理者が連携して最高速度三十キロの区域規制とカラー舗装などの道路整備を組み合わせることによりまして、生活道路における歩行者等の安全を確保する施策として、当県では昨年十月から取り組みを開始したところでございます。これまでに県内で十七地区を整備し、本年度末までに約七十地区の整備が完了する予定であり、今後も順次拡充してまいりたいと考えております。
 次に、今後の進め方についてでありますが、議員お示しのとおり、ゾーン30は、走行速度の低下と通過車両の抑制を図る対策でありますことから、通学路の安全対策としても有効であると考えております。このため、ゾーンの選定に当たりましては、地域住民や学校関係者等の要望を踏まえますとともに、道路管理者とも一層の連携を図り、効果の上がる整備に努めてまいります。

4−(5)
通学路の交通安全対策は、まさに喫緊の課題と認識しており、スピード感を持って、そして、継続的に実施していくことが子供たちのためにも意義深いものがあると考えております。私としては、交通安全条例の策定も視野に入れるべきと考えておりますが、県としては、第九次愛知県交通安全計画に基づいて各種の交通安全対策を推進していると認識しておりますが、今後、この計画を踏まえながら、計画的かつ横断的な通学路対策をどのように検討していくのかお考えをお伺いいたします。

(県民生活部長答弁要旨)
交通安全対策につきましては、交通安全対策基本法に基づき、第九次愛知県交通安全計画を策定の上、推進しております。  従来、通学路の交通安全対策につきましても、この第九次愛知県交通安全計画に従い、毎年度策定される愛知県交通安全実施計画の中で、歩道整備等のハード面、児童への交通安全教育などのソフト面の対策を個々の関係機関ごとに取り組むこととされておりました。来年度からは、今回の通学路の交通安全に関するプロジェクトチームにおける検討結果をベースに、この愛知県交通安全実施計画の中において、通学路の交通安全対策を独立した項目とし、国、県、県警察、教育委員会等のそれぞれが、通学路に関する問題に対してより計画的、横断的かつスピーディーに対応できるようにすることを考えております。

(知事答弁要旨)
 愛知の将来を、また、ひいては日本の将来を担うことになります大切な子供たちが登下校中に通学路で事故に遭うということはあってはならないというふうに考えております。私は、子供たち、児童を交通事故から断固として守らなければいけないというふうに考えております。  もちろん、児童の交通安全は、県、教育委員会、警察だけで守れるものではありません。国、市町村、企業、県民の皆様全ての人々が児童を守るという意識を強く持ち、取り組みを進めることが大切だと考えております。  通学路の交通安全の確保は決して一過性のものではなくて、継続的に重要課題として位置づけて、地域のお声をしっかりとお聞きしながら、ソフト、ハード両面でいろんな課題が出てきておりまして、そうしたことも中間取りまとめしておりますが、そうしたことを着実に着実に推進をしていきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。




発言録へもどる