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2013.3.11 : 平成25年2月定例会



◯七十番(渡会克明君)
 私は、歳出第九款建設費第七項都市計画費のうち、都市の緑化についてお伺いをいたします。  本県には、三河山間部を中心とする森林、名古屋圏を中心とする都市の緑、その中間に位置する里山林とさまざまな形の森と緑がありますが、近年、手入れの進まない森林、里山林が増加するとともに、都市の緑については、市街地の大部分を占める民有地の緑の減少により緑の全体量は減少をしております。  民有地は、市街地の約三分の二を占めていることから、この民有地の緑を保全し、ふやしていくことが、都市の緑を確保する上で特に重要となっております。  こうした森林や都市の緑は、人の手を加えなければ良好な維持が難しく、また、一旦荒れた緑を短期間で回復することは困難となります。  そこで、森と緑の重要性を再認識し、県民全体で森と緑を守り育てていくための仕組みづくりに積極的に取り組んでいくことが重要であり、森林、里山林、都市の緑をバランスよく整備、保全する新たな施策を進めるため、平成二十一年度から、県民の皆様や企業の方々に御負担をいただくあいち森と緑づくり税が導入をされました。  この税を活用したあいち森と緑づくり事業では、山から街まで緑豊かな愛知の実現を目指して、手入れが行き届かない人工林の間伐、放置された里山林の整備、保全、都市緑化の推進、環境学習などの取り組みが計画的に進められています。  都市の緑は、県民の皆様が身近な自然と触れ合うことができる場であり、人の目に安らぎを与え、心を和ませるとともに、安全な都市や美しいまちづくりを進める上でも重要な役割を果たしております。  特に近年では、ヒートアイランド現象の緩和や、生物多様性の保全などの環境改善の機能もあることから、住みよいまちづくりには欠かせない貴重な存在であり、都市の緑を保全、創出する都市緑化推進事業が実施をされております。  私の住む豊橋市でも、都市緑化推進事業により、ビオトープの整備、市民の皆様や企業の方々が行う民有地の緑化に対する助成、市道の並木道の再生、市民参加による植樹祭、保育園の園庭芝生化などの取り組みが実施されております。  植樹祭に参加した県民の皆様のアンケートでは、森や緑の関心が高くなった方が七〇%以上、今後も地域の緑化や緑を守る活動に参加してみようと思う方が八〇%以上となっております。また、園庭の芝生化については、園児のけがの減少、園児の環境や緑化への興味の増加などの多様な効果も報告されており、この事業が有効に活用されていると思います。  そこで、まず、この都市緑化推進事業の取り組み状況についてお伺いをいたします。  また、豊橋市の朝倉川では、県民の皆様の参加によりこれまで植樹を行ってまいりました。植樹などを行い緑をふやすことは、水辺の生態系の保全にも役立ち、大変よいことですが、樹木が大きく育ったため、地元の皆様からは、樹木により見通しが悪くなり、景観が悪くなったとの声や、防犯上の問題やごみが捨てられるようになったなどの意見もあり、その管理が課題となっていました。  そのため、県により間伐が行われるとともに、県民の皆様に除草を行っていただいたり、樹木に愛着を持っていただくために、樹木の名前を書いた樹名板を取りつけるなどの活動も行われております。  このように、健全な樹木や樹林を育てるためには、その後の維持管理に取り組み、しっかりとケアをしていくことが重要であると思います。  あいち森と緑づくり事業においても、事業を行った市町村、県民の皆様や企業の方々が責任を持って、その後の維持管理を行っていくことが必要であります。そのためにどのように取り組んでいかれるのかお伺いをいたします。  次に、歳出第十一款教育費第一項教育総務費第四目学校教育指導費のうち、あいちグローバル人材育成事業費についてお伺いをいたします。  現在は、大企業や一部の業種に限らず、さまざまな分野で国境を越えた活動がもはや当たり前のこととなっております。グローバル人材の育成は時代の趨勢となっております。本県の多くの企業においても、海外進出が増加し、英語のみならず進出先の母国語など、二カ国語まで話せる人材が求められる時代となっております。二カ国語は無理としても、せめて英語をコミュニケーションのツールのベースとして使えるようにしておくことは、これからの子供たちにとって、また、本県の産業界にとっても大変重要なことであります。  県内の私立高校では、海外の高校と姉妹校提携をし、長期、短期の交換留学などを積極的に行っている学校が少なくありません。こうした学校の生徒は、実践的英語力や国際感覚を身につけるためのさまざまな機会に恵まれております。  一方、県立高校においては、海外の高校と姉妹校提携を結び、隔年で相互訪問等を行っている学校も一部ありますが、全体としてはまだまだ低調であり、日ごろの学校生活の中で子供たちが海外事情を直接知り、英語の必要性を実感する機会がそれほど多くないと思われます。  今回、県内の高校生の三分の二が在籍する県立高校において、あいちグローバル人材育成事業を立ち上げられ、高校生海外チャレンジ促進事業や、スーパーイングリッシュハブスクール事業等に取り組まれ、経済的理由で留学等をちゅうちょする生徒の後押しをしたり、英語をコミュニケーションツールとして使いこなせる人材育成に力を入れられたりするとのことですが、これは本県の将来にとって大変よいことだと考えます。  特に、スーパーイングリッシュハブスクール校となった学校においては、実践的英語力や豊かな国際感覚を身につけるためのさまざまな取り組みが進められ、学校の特色づくりにつながることが期待されます。  そのため、ハブスクール校の選定については、恐らく多くの生徒や保護者の方が高い関心を寄せられているのではないかと思います。  このことは、極端なことを言うと、学校の評価、志願校の選択はもちろん、志願者数の増加につながり、地域の受験に対する考え方まで変えかねないと思います。  この事業においては、拠点となる学校を十二校指定されるとのことですが、私としては、最初は拠点校の数をもっと絞り込んで、特定の学校を集中的に支援して比較的短期間に高い成果を上げさせる、それから、その成果を他の県立高等学校に広げていくというやり方もあるように思います。  しかし、一方では、各地域に平等になるように支援するという配慮も教育委員会としては必要なことであると思いますし、これまで愛知の教育として大事にしてきた部分であるとも理解をしております。その意味では、県全体のレベルを均等に上げていく上で、各地区におけるハブスクール校の果たすべき役割は大変大きいように思います。  そこで、スーパーイングリッシュハブスクール事業の狙いは何か、具体的にどのような取り組みを進められるのか、また、拠点となるハブスクール校をどのように選定し、どのような役割を期待しているのか、教育長にお伺いをいたします。


◯建設部長(近藤隆之君)
 都市の緑化について、二つ御質問をいただきました。  初めに、都市緑化推進事業の取り組み状況についてでございます。  あいち森と緑づくり事業につきましては、平成二十一年度から十年間の事業計画を策定し、計画的に取り組んでいるところでございます。  このうち、建設部が行っております都市緑化推進事業につきましては、緑地の買い取りや整備を行う身近な緑づくり事業が、平成二十四年度までの四年間でございますが、四年間で五十二カ所の実績となってございます。  同様に、民間の屋上や駐車場などの緑化に助成する緑の街並み推進事業が三百十六件、街路樹を植えかえる美しい並木道再生事業が六十一カ所、植樹祭などを行う県民参加緑づくり事業が三百三回でございます。  また、昨年度までの、こちらは三カ年でございますが、三年間に県民参加緑づくり事業で約三万九千人の県民の皆様の参加を得るとともに、四つの事業を合わせまして、約二十六万本の植樹を行ったところでございます。  いずれの事業も、市町村、県民の皆様や企業の方々に好評を得て、要望も年々ふえてきておりますことから、引き続き都市緑化推進事業を有効に活用し、都市の緑の保全、創出に努めてまいりたいと考えております。  次に、維持管理への取り組みについてでございます。  都市の緑には、二酸化炭素の吸収やヒートアイランド現象の緩和、きれいな町並みの形成などのさまざまな機能があり、これらの機能を十分に発揮させるためには、緑を適正に維持管理し、良好な状態を保っていくことが大変重要でございます。  このため、事業を実施する市町村、県民の皆様や企業の方々には、助成金の交付に当たって適正な維持管理をお願いするとともに、名前を記載した表示板を設置していただいております。  きめ細やかな維持管理を進めるためには、県民参加緑づくり事業に参加した方々や、その緑の恩恵を受ける地域の方々が緑への愛着を深めるとともに、管理の必要性を強く認識していただくことが必要で、今後は、表示板に事業の目的や効果を記載するなど充実を図り、自分たちの緑を育てているという意識を高めていただき、広く地域全体で良好な維持管理に取り組む環境づくりを進めてまいりたいと考えております。  以上でございます。


◯教育長(野村道朗君)
 あいちグローバル人材育成事業のうち、スーパーイングリッシュハブスクール事業について御質問をいただきました。  まず、この事業の狙いでございますけれども、県内十二地区に英語教育の拠点となるハブスクール校を一校ずつ指定して、英語をコミュニケーションの道具として使いこなせる人材を育成するとともに、その成果を地区内の高等学校及び中学校、小学校に普及、還元することで、本県全体の英語力の向上を目指すということでございます。  具体的な取り組みにつきましては、大学等と連携した英語指導法の研究、ディベートやディスカッションなど、生徒の言語活動を積極的に取り入れた授業の実施、外部検定試験等の積極的な単位認定、国際機関と連携した国際交流事業の充実、こういったことを考えているところでございます。  また、ハブスクール校を中心といたしまして、小中学校と高等学校の英語科教員の合同研修会を実施するなど、地域の小中学校と高等学校との連携を進めまして、小中高のつながりのある英語教育のあり方についても研究してまいりたいと考えております。  ハブスクール校の選定につきましては、現在検討中でございますが、県内全体でバランスよく事業を展開したいと考えておりますので、国際教養科や国際理解教育に関するコースを持つ学校などを中心に、各地域の拠点となるにふさわしい学校を選んでまいりたいと考えております。  なお、ハブスクール校におきましては、イングリッシュキャンプや高校生海外チャレンジ事業にも積極的に参加してもらうことを期待しているところでございます。  以上でございます。


◯七十番(渡会克明君)
 一点要望をさせていただきたいと思います。大村知事の教育懇談会の議論も参考に要望したいと思います。  あいちスーパーイングリッシュハブスクール事業は、事業目的にあるように、世界を舞台に挑戦し、活躍できる人材を育成するとのことであります。そのように私は説明を教育委員会から受けました。私も大変期待をしているところであります。  これは、大村知事が掲げる世界と闘える愛知・名古屋を目指すためには、県内のみならず、全国からすぐれた人材を集め育成すべきであり、そのためには、生徒、保護者が注目するような特筆すべき教育環境を構築しなければなりません。その具体策として、大都市には欠かせない教育インフラとしてスーパーイングリッシュハブスクールをつくる必要があると考えます。  私は、このスーパーイングリッシュハブスクールをグローバルな特色を持つスーパー進学校として位置づけたらと思います。  例えば、通学区域、いわゆる学区や県内の十二のブロックにはとらわれず、オール愛知から選抜するのを基本とし、あえて地域を意識したとしても、尾張、名古屋市内、西三河、東三河、計四校に、例えばでありますけれども、絞るなど、愛知の教育は県内のどこに住んでいても一定の大学進学環境を提供するといった教育環境の均てん化に重きを置いてきたと思います。それが愛知の教育の特色だと私は思います。  今まではよかったし、これからもこれでよいのかもしれません。ただし、愛知県や名古屋市が厳しい大都市圏間の競争に勝ち抜くには、教育的な是非論は別にして、飛び抜けた進学校をつくることは避けて通れないことであると思います。受験競争をあおり、学校間の格差拡大につながる、こういう反対論もあるとは思います。しかし、学校は、入学試験という選抜を行う限り、必ず序列化が生まれます。現在の複合選抜制度でも存在します。複合選抜の見直しの議論は大いに必要だと思いますが、今回は先に送るとしても、自由競争社会のもとで、子供たちが自分の夢を明確に持ち、その目標に向け、自分で望んだ高校で努力をする、そこには健全な競争が存在すると思います。このことが今の時代、とても大切ではないかとも感じます。  また、産業振興と教育とは切り離すことができません。自動車産業、航空宇宙産業を初め、さらなる国内外からの企業誘致を考えたとき、子女の通う学校の存在を抜きには語れません。  大企業の管理職、教育者、科学者、エンジニアなど、教育環境を理由に愛知県に住むことに難色を示す人がいます。例えば、大企業の在名支店、支社の管理職は、子供が中学生以上の場合はほとんどが単身赴任だといいます。これは、自分の子供を通わせたいと思う中学、高校が愛知県にはないからです。また、愛知県に本社を置く有力企業のトップにも、子供を東京の私立中学や高校に通わせている方が何人もいるそうです。  引き合いに出して申しわけありませんが、東大に五十名以上合格する高校が幾つもある東京の人たちからは、残念ながら愛知県にはまともな進学校はないと思われています。こうした認識を変えるには、東大合格者が全国五指に入るぐらいの進学校を愛知県につくる、こういうことも考えられます。いわゆるスーパー進学校は、本格的な国際空港や高度な医療機関などと同列の大都市に欠かせないインフラとして必要なものであります。  以上、申し述べたことを考えると、繰り返しますが、私は、このスーパーイングリッシュハブスクールをグローバルな特色を持つスーパー進学校として位置づけ、全国に発信すべきではないかと思います。  以上、提案して、要望とします。



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