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2018.3.7 : 平成30年2月定例会 議案質疑



◯八十九番(渡会克明君)
 私からは、第四款県民文化費第五項防災費第一目防災総務費のうち、防災ボランティア活動支援事業費について、お尋ねをいたします。  平成七年に発生した阪神・淡路大震災において、全国からボランティアが駆けつけて支援を行ったことがきっかけとなり、ボランティア元年と位置づけられ、また、これを受け、平成十年には特定非営利活動促進法、いわゆるNPO法がつくられたという経緯があります。  そんな中で、本県では、東海地震の発生が危惧されていると言われた時代から防災ボランティアの活用について着目し、昭和五十七年には防災ボランティアグループの登録制度を設けるなど、災害対策を進めてきた点については、評価をしたいと思います。  その後、防災ボランティアの活動も多岐にわたるということで、災害の事前予防や発災後の応急対応にリーダーシップをとれる防災リーダー、あるいは、この地域が被災した場合に駆けつけてくれるボランティアの活動を調整する役割の防災ボランティアコーディネーターの育成に取り組んでいる状況であります。  そこで、まず、愛知県ではこれまで何名の防災リーダー、また、防災ボランティアコーディネーターを養成してきたのか。また、災害時に防災リーダー、防災ボランティアコーディネーターがそれぞれの役割を果たすことができるように、県はどのような取り組みを行ってきたのか、お伺いをいたします。  先日、地元の会合で彼らの話を聞く機会がありました。お互いが熱心に勉強しているがゆえに意見がぶつかっているように感じ取られました。一生懸命防災活動に取り組んでいただけるのは地域にとっても大変よいことであり、彼らの力なしに、行政だけで全ての災害対応を行うことは到底できないことは明らかであります。  近年この地域では幸いにして大きな災害が起きていませんが、防災ボランティアの皆様は、大規模地震の発生に備えて、少しでも被害を抑えたいとの思いで一心に学んできたはずであり、こういった努力がもっと認められ、目を向けられるべきであると思います。  今後も引き続き人材を育成していくことはもちろん必要でありますが、一方で私は、これまで育成してきた人材が積極的に活動していただくことが何より重要であると考えています。彼らのモチベーションが上がり、ますますやる気を起こしていただけるような、県も市町村と協力をし、彼らの活動を後押ししていただきたいと思います。日ごろからのつながりを持っておくと、いざというときに、より連携の強化が期待されるものであります。  こうした方々が力を合わせ、南海トラフ地震のような広域的な大規模災害にも意欲を持って活動していただくために、防災リーダーや防災ボランティアコーディネーターの取り組みが広く知れ渡るような機会や、交流して情報交換する場を設けることで、日ごろの努力が認められ、さらなるやる気や新たな気づきが得られることになると思われますが、県としてはどのように取り組んでいるのか、また、どのように取り組んでいかれるのか、お伺いをいたします。  次に、歳出第四款県民文化費第五項防災費第二目消防連絡調整費のうち、救急高度化対策費についてお伺いをいたします。  自動体外式除細動器、いわゆるAEDについては、平成十六年七月から、救急の現場に居合わせた一般市民が使用することが認められるようになりました。以来、AEDの設置が進み、日本救急医療財団の全国AEDマップでは、三月一日時点で愛知県内に一万七千九百五十八台が登録されております。  また、総務省消防庁が昨年十二月に公表した統計では、愛知県内で救急搬送された心肺停止傷病者のうち、その場に居合わせた方が、救急隊が到着する前にAEDを使用した件数は、平成二十八年では百十件に上っております。平成十七年の八件から約十三・八倍と大きく増加したことになり、多くのAEDが設置されるにつれて、県民の心肺蘇生法への関心も大きく高まっており、AEDが使用されることによる愛知県内の救命にも大きな効果があったのではないかと考えております。  しかし、AEDの使用や胸骨圧迫といった心肺蘇生法は、訓練を受けていないと、いざ救命の現場に居合わせたときになかなかできるものではありません。救える命をより多く救うため、消防本部が開催している救命講習、日本赤十字社の赤十字救急法基礎講習、さらには民間機関が実施する講習など、AEDの使用も含めた心肺蘇生法の講習をより多くの方々に受講していただきたいと思います。  また、これらの講習を既に受講した方にあっても、実際の救命の現場で実施するためには、繰り返しAEDの使用を含めた心肺蘇生法を経験したり見たりする必要があると考えております。  そこでお尋ねをいたします。  一般市民によりAEDが使用されたことで、愛知県内の救命にどのような効果があったか、お尋ねをいたします。  また、次に、住民に最も身近な実施者である消防本部でのAEDの使用を含めた心肺蘇生法の講習の実施状況と、講習を受講した方が繰り返し心肺蘇生法を体験する機会の確保について、県はどのような取り組みを行うのか、伺います。  以上です。

◯防災局長(相津晴洋君)
 防災ボランティアに関するお尋ねのうち、まず、防災リーダーの養成についてでありますが、本県が平成十四年度から平成十八年度まで実施したあいち防災カレッジや、平成二十四年度から現在まで行っております防災・減災カレッジなどによりまして、これまでに千五百六十名を養成しているところでございます。  市町村においても同様な取り組みを行っていただいておりまして、平成二十八年度末時点で七万二千名を超える防災リーダーが養成されております。  一方、防災ボランティアコーディネーターにつきましては、阪神・淡路大震災を契機として、一市町村でおおむね十名を養成することを目標に、平成八年度から平成十六年度まで実施した入門講座と、現在行っております防災・減災カレッジによりまして、これまでに千四百八十九名を養成しているところでございます。  さらに、市町村や日本赤十字社、愛知県社会福祉協議会等においても、平成二十八年度末時点で一万名を超えるボランティアコーディネーターが養成されております。  これらの防災リーダーや防災ボランティアコーディネーターがそれぞれの知識、能力を十分に発揮していただくことは大変重要であり、地域における啓発事業や防災訓練等において、市町村と連携していただくため、防災・減災カレッジで養成した防災リーダー、防災ボランティアコーディネーターの方々の名簿を、御本人の了解の上で市町村へ提供しております。  さらに、防災ボランティアコーディネーターにつきましては、毎年スキルアップをしていただくための講座を開催しております。  次に、防災リーダーなどに対するやりがい、やる気や新たな気づきの場の提供についてであります。  あいち防災カレッジなどで養成した防災リーダーを中心に組織された五百二十五名の会員を要するあいち防災リーダー会は、地域の自主防災組織の活動を支援していただいており、平成二十四年六月には、本県と防災啓発活動に関する覚書を締結し、講演活動や県の防災訓練、防災イベントへの出展など、県民の防災意識と地域防災力の向上に貢献をしていただいております。  こうした活動が評価され、平成二十四年度には防災功労者防災担当大臣表彰、平成二十五年度にはボランティア活動功労者として愛知県知事表彰、平成二十七年度には防災功労者内閣総理大臣表彰を受賞されております。  また、防災・減災カレッジの開講に加え、昨年十月に本県で開催いたしました地域防災力の充実強化のための全国大会におきましても先進的な取り組み事例を発表していただくとともに、出席者間で交流するなどお互いの意識を高める機会を設けております。  また、十一月にはつなぎ舎と称する防災人材交流のためのシンポジウムを開催し、過去の地震災害に遭われた方の体験談をお聞きするなど、広く県民の皆様と交流する場も設けているところでございます。  表彰受賞者や発表者の方からは、活動の励みになりありがたいという言葉をいただいており、今後もこうした取り組みをいろいろ工夫した上で継続してまいりたいと考えております。  次に、AEDを使用した心肺蘇生法の普及啓発に関するお尋ねのうち、一般市民によりAEDが使用されたことで、愛知県内の救命にどのような効果があったかについてでございます。  県の平成二十八年の調査によれば、本県内で救急搬送された心肺停止傷病者の社会復帰率は、その場に居合わせた方により救急隊の到着前にAEDを使用されていない場合の三四・三%に対して、使用された場合は五七・一%と二二・八ポイント上回っておりまして、早期にAEDを使用することにより効果が確認されております。  次に、県内の消防本部での心肺蘇生法の講習の実施状況と、受講者が繰り返し心肺蘇生法を体験する機会の確保についてであります。  まず、平成二十八年中に県内の消防本部が実施したAEDを使った心肺蘇生法の講習は、消防本部が直接実施したものと、消防本部が認定した応急手当普及員が事業所や防災組織に出向いて行ったものを合わせまして九万九千人を超える方々が受講しておりまして、平成二十四年に短時間で受講しやすい救命入門コースが新たに設けられたことから、平成二十五年以降年々増加しております。  また、講習の受講者が繰り返し心肺蘇生法を体験する機会の確保についてでありますが、繰り返し体験することにより、いざというときに心肺蘇生法をより確実に実施できることが期待できます。そのためには、消防のイベントなどでAEDの体験や短時間の講習を行うことが効果的であります。  したがいまして、こういった取り組みを率先して実施している消防本部の事例について、消防本部と医療機関が構成する各地区の協議会等で県から紹介し、より多くの消防本部で推進されるよう周知をしてまいります。




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