県議会発言録へもどる

中継をみる


2019.3.4 : 平成31年2月定例会 代表質問



◯八十九番(渡会克明君)
議長のお許しをいただきましたので、私は、公明党愛知県議員団を代表して、県政の諸問題について、お尋ねいたします。 質問に入る前に、今般の豚コレラにより、甚大な被害を受けられました、養豚農家を始め関係の皆様方に心からお見舞いを申し上げます。また、昼夜を徹して対応していただいた県職員を始め、国、地元自治体、JA、自衛隊、農業土木研究会、建設業界など、多くの皆様方に御礼を申し上げたいと思います。 大村知事におかれましては、先月、緊急要望いたしました、被害農家の方々への経済的支援のため、つなぎ融資の予算措置をされるなど、スピード感を持って手を打っていただき、高く評価したいと思います。 知事は、農林水産省で全国の農林水産行政を担当された御経験もあり、手塩に掛けて育てた豚を殺処分しなければならなかった養豚農家の方々の深い悲しみを、誰よりも御理解いただいているものと思っております。 感染原因の究明等、今後講ずべき課題もあると思いますが、何よりも、今現在、養豚農家の皆様方が物質的にも精神的にも大変つらい思いをされておられます。県として、引き続き、養豚農家や周辺地域の皆様方に対し、丁寧にフォローしていただきますことを初めに強く要望させていただきます。 さて、大村知事には、このたびの愛知県知事選挙において、二期八年間にわたる県政運営の実績と、「日本一元気なあいちをつくり、日本の未来をつくる」というメッセージが、県民の皆様から高く評価され、過去最多の得票数を得て、めでたく当選されましたことを心からお祝い申し上げます。 大村知事は今回の知事選挙を、アフリカで誕生した人類が世界中に広がり、躍進した「グレートジャーニー」になぞらえ、「常に、前進して進化し続ける愛知」を創っていくと述べられました。 大村知事が今回の知事選挙で訴えられた、進化する愛知を創るための政策集「あいち重点政策ファイル330プラス1」に掲げられた、各種施策の実施に、大いに期待をしたいと思います。この代表質問では、こうしたことを踏まえ、県政の諸問題について、順次、質問をしてまいります。

 質問の第1は、「県政運営」について、であります。
初めに、今後の財政運営について、お伺いいたします。 平成31年度の当初予算は、かねてより私たち公明党が求めてまいりました、医療・介護、子育て、また、教育や中小企業支援など、県民の暮らしを足元から支える施策に、しっかりと取り組むとともに、ジブリパークの整備や第20回アジア競技大会の開催など、本県の潜在能力を一層高めるプロジェクトを、着実に前へ進める予算であると受け止めております。 一方で、期待された県税収入は、100億円の増にとどまっており、1,176億円にのぼる基金を取り崩すこととされております。基金の取崩額は、平成30年度当初予算の1,283億円から縮小はしましたが、依然として多額であり、厳しい財政状況が継続しているものと認識をしております。 私たち公明党では、活気ある温かな地域づくりをめざして、地域でお互いに支え合いながら、若者も高齢者も元気で安心して暮らせ、さらには女性や青年が大きく活躍できる、地域づくりを進めることに重きを置いております。 このことは、景気の変動をはじめ本県財政を取り巻く環境変化に左右されることなく、持続的に進めていかなければなりません。 そのためには、積極果敢な施策展開の一方で、常日頃から財政健全化とのバランスを取っていくことが重要であると考えます。 そこでお尋ねいたします。 平成31年度当初予算編成において、財政の健全化にどのように取り組み、また、今後どのように取り組んでいかれるのか、知事のご所見をお伺いいたします。

次に、本庁組織の再編について、お伺いいたします。 知事は、12月県議会におきまして、県政を推進する組織のあり方について、本県を取り巻く社会経済情勢が、大きく変化していることを踏まえ、幅広く検討していくことを明らかにされました。 そして、先日、平成31年4月に実施する本庁組織の再編が発表され、今議会に関係条例の改正が提案されているところであります。 今まさに、急速な高齢化やAIを始めとする先端技術の進展など、本県を取り巻く環境に、大きな変化が生じようとしている時期であり、そうした中で、本年8月の国際展示場の開業や、ジブリパークの整備、第20回アジア競技大会の開催などを着実に推進し、障害がある方や高齢者が元気に安心して暮らすことができ、女性や若者が大きく活躍できる地域づくりを進めていかなければなりません。 今回の本庁組織の再編は、17の「局」で構成する「局制」の導入を始めとする、大規模かつ大胆な組織改革であり、県の仕事を関連する分野ごとにまとめることで、県民にとってわかりやすい組織とするものであります。 私は、大村知事の3期目のスタートにあたり、常に前進し、進化し続ける愛知を創っていくために、組織体制を強化し、県民の皆様とともに、未来の愛知をつくっていこうとする、知事の積極的な姿勢が示されたものと受け止めており、高く評価したいと思います。 特に、私はかねてから、スポーツを障害の有無で隔てることなく、スポーツを総合的に推進し、地域の振興や、豊かな県民生活の実現に活かしていくためには、スポーツ行政を知事部局に一元化することが必要である、と申し上げてまいりました。今回のスポーツ局の設置は、まさに、我が意を得たりといった感があります。 このスポーツ局の設置により、県民のスポーツ活動の振興を図り、障害の有無に関係なく、スポーツ環境を整備することが可能となり、2026年のアジア競技大会の成功に向け、今後、ますます本格化する取組を、強力かつ円滑に推進されることが期待されるところであります。 そこでお尋ねいたします。 今回の本庁組織の再編における、スポーツ局設置のねらいと、今後のスポーツの推進に関する意気込みについて、知事のご所見をお伺いいたします。

質問の第2は、「支え合う地域づくり」について、であります。
まず、幼児教育・保育の無償化について、お伺いいたします。 本年10月から、幼児教育・保育の無償化が予定されております。 幼児教育・保育の無償化とは、3歳から5歳までの全ての子供たちと、0歳から2歳までの住民税非課税世帯の子供たちの幼稚園、保育所、認定こども園等の費用を無償化するもので、認可外保育施設やベビーシッター、病児保育事業やファミリー・サポート・センター事業など、幅広い保育サービスについても、保育の必要性の認定を市町村から受けた場合、一定額が無償化されるものであります。 国立社会保障・人口問題研究所が、平成27年に実施した「出生動向基本調査」によれば、若い世代が理想の子供数を持たない理由として、「子育てや教育にお金がかかり過ぎるから」が最大の理由となっており、経済的負担を軽減することは、 重要な少子化対策の一つであります。 今回の無償化は、本年10月に予定される消費税率引上げによる財源を活用し、利用者負担の軽減範囲を一気に拡大するもので、子育て世代、子供たちに大胆に政策資源を投入することにより、子育て世代を応援し、お年寄りも若者も安心できる、全世代型の社会保障制度へと、大きく転換するものであります。 しかしながら、無償化に関する実務の多くを市町村が担うことから、保護者への周知や無償化に伴う各種システムの改修等、市町村の事務負担の増大や、また、認可保育施設と比べ、保育士の配置や設備等に係る基準が緩やかな、認可外保育施設も無償化の対象とされたことから、こうした施設において、いかに保育の質を確保するかが課題となっております。 幼児教育・保育の無償化は、経済的な事情に関係なく、希望すれば誰もが必要な教育を受けられる社会の構築に向け、教育負担の軽減を進める ため、私たち公明党が一貫して主張してきた施策であります。 「無償化して良かった」と多くの県民の方々に喜んでもらえるよう、県として、こうした諸課題へ的確に対応し、着実な実施へ向けて万全を期していただきたいと考えます。 そこでお尋ねいたします。 幼児教育・保育の無償化の円滑な実施に向けて、県としてどのように取り組んでいかれるのか、知事のご所見をお伺いいたします。

次に、多文化共生社会づくりについて、お伺いいたします。 法務省の「在留外国人統計」によれば、愛知県内の外国人住民数は、平成25年以降、毎年増加を続け、昨年6月末現在で、25万1,823人と過去最高を記録しております。 こうした中、中小企業等の深刻な人手不足を踏まえ、一定の専門性・技能を有し、即戦力となる外国人材に関し、就労を目的とする新たな在留資格を創設する改正出入国管理法が、昨年12月8日に成立し、今後、さらなる外国人の増加が見込まれるところであります。 この法改正に先立ち、大村知事がリーダーを務めた、全国知事会議のプロジェクトチームは、「外国人材の受入れ・共生に向けた提言」をとりまとめ、新たに受け入れる外国人材への日本語教育など、多文化共生社会の実現に向け、国が責任を持って取り組むよう、法務大臣をはじめ関係省庁に対し、強く要請されたところであります。 そうした働きかけもあり、12月25日には、関係閣僚会議において、本年4月からの新制度開始に向けた「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」が了承されたところであります。 この総合的対応策では、「外国人との共生社会の実現に向けた意見聴取・啓発活動」、「生活者としての外国人に対する支援」、「外国人材の適正・円滑な受入れの促進に向けた取組」、「新たな在留管理体制の構築」の4つの柱のもと、126の施策が盛り込まれておりますが、具体的な方策については、未だ明らかになっていない部分もあり、不安の声が上がっているのも事実であります。 日本人と同等額以上の報酬や、適正な労働条件の確保、悪質なブローカーの排除、技能実習など既存制度の実態把握とその改善など、実効性のある具体策が求められるところでありますが、中でも外国人の方の生活上の相談に対応することが重要であると考えます。 そこでお尋ねいたします。 本県として、新たな外国人材の受入れ、共生に向け、どのように取り組んでいかれるのか。中でもとりわけ重要である、一元的な相談窓口について、どのように対応していかれるのか、知事のご所見をお伺いいたします。

質問の第3は、「魅力ある地域づくり」について、であります。
まず、AI等の先端技術の進展を踏まえた、県の取組について、お伺いいたします。 昨今、人工知能、いわゆるAIの性能の飛躍的な向上により、様々な分野で、AIの適用領域が拡大しております。2045年には、人工知能が人間の知能を上回る、技術的特異点、いわゆる「シンギュラリティ」を迎えると言われており、AIにより私たちの生活や社会が大きく変化していくと予想されております。 そこで、AIの活用について、3点お尋ねをしてまいります。 まず、AI等の先端技術の進展を踏まえた、産業振興について、お伺いいたします。 近年、IoTによって収集した世界中のビッグデータを、AIにより高速・精緻に分析し、生産性の向上や新たなビジネスモデルにつなげていくことが、様々な産業分野において進んでおります。 これまでにない市場を、自ら開拓して成長していく、新規事業者が登場し、既存のビジネスの枠組みを壊す、いわゆる「ディスラプション=創造的破壊」が起きていると言われています。 例えば、「ユニコーン」と呼ばれる企業価値 10億ドルを超える米国、中国の急成長企業は、最先端技術を活用した新たな製品やサービスを、次々と顧客に提供することによって、市場を獲得・拡大し、大きく成長するなど、その存在感をますます増しています。 ご承知のとおり、本県の製造品出荷額等は 約45兆円と、40年連続日本一を誇る、モノづくりの世界有数の一大拠点となっております。 しかしながら、世界では、クラウド、AI、モビリティ、ビッグデータ、ロボティクス、IoT、サイバーセキュリティの頭文字を取った「CAMBRIC(キャンブリック)」が、今後の経済社会の大きな潮流になるとされており、本県の基幹産業である自動車産業においても、自動運転やコネクテッド、また、シェアリングや電動化の広がりの中で、 「100年に一度の変革期」を迎えていると言われています。 私は、こうした激変する環境に対応しつつ、新しいサービスや、ビジネスモデルの創出を通して、今後も、本県が我が国の産業を牽引していくためには、AI等の先端技術のキーテクノロジーを、付加価値の源泉として活用し、競争力強化につなげていくことが何より重要であると考えます。 そこで、お尋ねいたします。 こうしたAI等の先端技術の進展を、県としてどのように認識し、今後の産業振興にどのように取り組んでいかれるのか、知事のご所見をお伺いいたします。

次に、AIを活用した子育て支援について、お伺いいたします。 昨年8月に、熊本県において、AIを活用した子育て支援情報の提供システムの実証実験が開始されたと聞き、早速、調査してまいりました。 このシステムは、スマートフォンの無料通信アプリ「LINE」を活用して、子育てに関する県民からの問合せや相談に、AIが24時間、365日、リアルタイムで回答する仕組で、スマホを介して質問・回答のやりとりを数回行い、最終的に市町村のホームページの具体的な情報に誘導するものであります。一般的な検索サイトとの違いは、AIが対話を通じて相談者の知りたい情報を自動的に絞り込み、適切に案内する点にあります。 熊本県では、市町村や、従業員の子育て支援に積極的に取り組む「よかボス企業」と協働して事業を進めており、本年4月の実用化に向け、システムに入力する想定問答の作成と調整を行って いる状況にあるとのことでありました。 核家族化や都市化に伴い、若い子育て家庭が、孤立感や不安感を感じやすい状況にある中、AIを活用することによって、不安や悩みをいつでも、どこからでも、気軽に相談でき、瞬時に県内全域の情報が得られる環境を整備することは、大変に意義のあるものであります。 誰もが安心して子育てができる社会を実現していく上で、是非、本県においても取組を進めていただきたいと考えます。 そこで、お尋ねいたします。 今後、こうしたAIを活用した子育て支援について、どのように取組を進めていかれるのか、知事のご所見をお伺いいたします。

次に、AI技術を活用できる人材の育成について、お伺いいたします。 我が国を代表する産業県である本県が、将来にわたり引き続き「モノづくり愛知」として全国を牽引していくためには、AI分野の振興に計画的・組織的に取り組んでいく必要があります。その際、重要となるのが、AI技術を習得し、積極的に活用できる人材の確保であります。 そのため、人材の育成、とりわけこれまで全国に先駆けてSTEM(ステム)教育に取り組み、成果を上げつつある、県立工業高校におけるAI人材の育成は、ますます重要になると思われます。 職業教育には、継承すべき精神や知識・技術を、次代に伝えていく役割とともに、時代の変化を的確に捉え、進取の気性(きしょう)や技術革新に対応する知識や技術など、新たな時代を築く資質・能力を育成する役割が求められます。 これまで県立工業高校は、産業界や大学等と連携して、ものづくりの高度な技術、技能を学ぶ、「技(わざ)の探究(たんきゅう)講座」などの実践的な教育に取り組んできました。しかし、これからは、さらに先進技術であるAI技術に関する教育を推進し、学んだ技術を活用できる人材を、計画的に育成していく必要があると考えます。 社会の変化は、求める人材も変化させます。子どもたちが将来、今まさに社会が求めている仕事、いわば「時の仕事」に就けるよう、スピード感をもって学習環境を整えていく必要があると考えます。 そこでお尋ねいたします。 今後、県立工業高校における、AI技術を活用できる人材の育成を、どのように進めていかれるか、教育長のご所見をお伺いいたします。

次に、次期「愛知県人口ビジョン・まち・ひと・しごと創生総合戦略」の策定について、お伺いいたします。 我が国における、人口の減少と東京圏への一極集中に、歯止めをかけていくため、2014年に、「まち・ひと・しごと創生法」が施行され、本県では、2015年に、「人口ビジョン」と「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定しました。2060年時点でも、700万人程度の人口を確保するという長期的な展望のもと、これまで知事が先頭に立って、様々な政策に取り組んでこられたところであります。 その総合戦略については、来年度が計画期間の最終年度となることから、県では、来年度中に、新たな人口ビジョンと総合戦略を策定されるとのことであります。しかし、本県の人口を取り巻く環境は、現行戦略の策定時の4年前と今とでは、大きく異なってきていると考えます。 本県では、人口増加が見込まれる地域がある一方で、すでに人口減少が始まっている東三河のように、今後、人口減少を受け入れざるを得ない地域も出てまいります。 こうした人口減少地域であっても、「一人も置き去りにしない」との決意を持って、そこに住む人々や移住してきた方々が、安心し、夢を持って暮らし続けていけるような、環境をつくっていかなければなりません。 その実現には、インフラ整備だけでなく、地域の魅力や活力を高めることのできる、文化・芸術を根付かせることや、地域を担う子どもたちの教育環境の整備など、様々な角度からの取組が重要と考えます。 将来にわたって住み続けたいと思える地域づくりこそが、地方創生の要であり、次期総合戦略では、人口が減少していく地域へも十分目配りをしながら、「持続可能なまちづくり」を進めていくことが大切な視点ではないかと考えます。 平成29年9月、京都大学と日立製作所が共同で、AI技術を活用し、持続可能な日本に向けた政策を提言しております。これは、149の社会要因の因果関係モデルを構築し、2052年までの35年間で、約2万通りの未来シナリオ予測を行い、都市集中型と地方分散型を比較したものであります。 それによれば、都市集中型を選択した場合には、投資の集中により財政は持ち直すものの、出生率の低下や格差の拡大がさらに進行するとの予測が出され、持続可能な社会の実現には、地方分散型の政策を選択するのが望ましいとされております。 地方分散型を選択した場合には、出生率が持ち直して格差が縮小し、個人の健康寿命や幸福感も増大するとの提言でありますが、実際のところ、地方分散型の持続可能な社会を実現していくことは、容易なことではありません。 そこで鍵を握るのが、先程申し上げましたAI等の先端技術の活用だと思います。 地方に住む若者や女性、障害者など、働きたい方が最大限に力を発揮できるよう、テレワークの導入を促進するほか、地域の働き手が減少していく中で、例えば、ロボット等を導入して労働力を補ったり、自動運転やドローンなどを活用して、地域の交通や物資の輸送手段を維持することも検討していく必要があると思います。 もちろん、すぐに実現できるものばかりではありませんが、将来を見据え、こうしたことを総合戦略においてきちんと方向づけ、実現に向けて着実に前に進めていくことが重要と考えます。 そこでお尋ねいたします。 現行のまち・ひと・しごと創生総合戦略のこれまでの取組の成果と課題について、どのように捉え、次期総合戦略では、どういったところに重点を置いていかれるのか、知事のご所見をお伺いいたします。

質問の第4は、「安心な地域づくり」についてであります。
まず、防災意識の向上について、お伺いいたします。 昨年は1年間を通じて、多くの自然災害に見舞われた年となりました。 地震災害では、昨年6月の大阪府北部地震や、9月の北海道胆振東部地震、風水害では、7月に西日本豪雨が発生し、本県においても、台風第12号、21号、24号と度重なる台風により、農作物等を中心に大きな打撃を受けたところであります。 近年、全国各地で毎年のように大きな災害に見舞われている中、本県では、幸い平成20年8月末豪雨以降、災害救助法が適用されるような、大きな災害が発生しておりませんが、それ故、私は、県民の皆様のなかに防災に対する意識が希薄になっていないか危惧するところであります。 現在、私たち公明党では「いのちを守る」、 「いのちの安全保障」という観点から、防災・減災を「政治の主流」に位置付け、中長期的には、行政や住民、企業が、「我が事」として、過去の災害の歴史や教訓を学ぶなど、災害リスクに関する知識と心構えを共有し、社会全体でさまざまな災害に備える「防災意識社会」へと転換していく必要があると考えております。 そうした中、今年は本県が伊勢湾台風の被害を受けてから60年の節目の年にあたります。 昭和34年9月26日に襲来した伊勢湾台風では、死者・行方不明者の合計は、本県だけで 3,260名、全国合わせて5,000名以上にのぼり、昭和9年の室戸台風、昭和20年の枕崎台風と並ぶ、昭和の三大台風に数えられる大災害であります。 伊勢湾台風の60年の節目にあたり、被害に遭われた方々に哀悼の意を表するとともに、この災害を風化させることなく、後世に伝えることは当然の責務でありますが、この機会を捉え、県民の方々に改めて防災の意識を高めていただく取組が必要ではないかと考えます。 防災では、行政などの公的機関による「公助」と、自らが身を守る「自助」、及び近隣や地域で助け合う「共助」の3つが相まって地域の防災力が高まります。 地震や台風といった災害の種類に関係なく、自分の命は自分で守り、困った人がいたら地域で支え合う「自助・共助」の意識を醸成させる絶好の機会になると思います。 そこでお尋ねいたします。 本県が伊勢湾台風の被害を受けてから60年の節目の年にあたり、県民の自助・共助の意識を醸成する取組に、どのように取り組んでいかれるおつもりか、知事のご所見をお伺いいたします。

次に、今後の住宅対象侵入盗対策について、お伺いいたします。 安全で安心な地域を実現するためには、治安が良好に保たれていることが不可欠であります。県警察では、本年の基本目標を「『安心」して暮らせる『安全」な愛知の確立」と定め、最重要課題の一つに「犯罪の抑止」を掲げ、侵入盗を始め多発する犯罪の予防及び徹底検挙に取り組むとしておられます。 こうした中、本県の状況は、刑法犯認知件数につきましては、減少傾向が継続しており、特に 11年連続で全国ワースト1位となっていた侵入盗については、昨年ワースト1位を返上することができました。 しかしながら、住宅を対象とした侵入盗に限定しますと、減少傾向にはあるものの、12年連続して全国ワースト1位が続いている状況にあります。 侵入盗の中でも住宅を対象とする手口には、家人等が不在の住宅に侵入する「空き巣」、夜間、家人等の就寝時に侵入する「忍込み」、家人等が在宅し、昼寝、食事等をしているすきに侵入する「居空き」の3つがあると承知しております。 いずれの手口も、万が一、家人が犯人と鉢合わせになるようなことがあれば、犯人から危害を加えられるおそれも高まるものと思われます。 昨年中の住宅を対象とした侵入盗の被害実態に目を向けますと、「空き巣」が約7割、「忍込み」と「居空き」で約3割を占めるなど、家人の不在時のみならず、在宅中に犯人が侵入した事例も数多くあると認識しております。 また、侵入手口については、無締り箇所からの侵入が約3割、ガラスを割って侵入する手口が約5割を占めており、比較的容易に侵入できそうな住宅を、狙った犯行が多く見られる一方で、大型のバールを使用して、玄関や勝手口の扉をこじ破り侵入するという、粗暴な手口も確認されているとのことであります。 こうしたことから、県民の皆様が最も安全安心を実感したい場所である、住宅を対象とした侵入盗は、大きな不安を生じさせるものであると考えています。 私は、こうした住宅を対象とした侵入盗を防止するためには、県民の防犯意識を高め、自主的な防犯活動を促進するとともに、警察が行う取組を地域全体に浸透させたり、波及させたりすることが極めて重要であると考えます。 そこでお尋ねいたします。 今後、住宅を対象とした侵入盗をさらに減少させるため、どのような被害防止対策に取り組んでいかれるのか、警察本部長のご所見をお伺いいたします。

質問の第5は、「活力ある地域づくり」について、であります。
まず、生産性向上と国土強靱化のための、東三河地域のインフラ整備について、お伺いいたします。 東三河地域は、豊かな自然や歴史に培われた伝統文化、農業・工業・商業のバランスのとれた産業構造を有し、製造品出荷額等や農業産出額は全国的にも有数の規模を誇る地域であります。 また、当地域の三河港は、輸入自動車で金額、台数とも26年連続日本一を誇る、我が国を代表する自動車流通港湾として、東三河地域の成長を力強く下支えしております。 この三河港の背後では、物流の大動脈である新東名高速道路が開通し、東西方向の物流体系が大幅に円滑化され、新城インターチェンジ周辺を始め、沿線では、新たな工業団地の整備が進められております。 一昨日には、東三河と遠州、南信州とを結ぶ三遠南信自動車道の、「佐久間川合インターチェンジ」から「東栄インターチェンジ」までの間が開通し、愛知、静岡、長野をつなぐ、広域幹線道路ネットワークが広がりつつあり、三河港を中心とする生産活動圏域の更なる拡大が見込まれ、当地域のポテンシャルも一層高まることが期待されます。 一方、三河港では、完成自動車をはじめとした取扱貨物量の増加により、岸壁や保管用地が不足しており、特に、主要な物流拠点である豊橋市の神野地区においては、効率的な利用が十分に図られておらず、また、三河港と高速道路間の移動には時間がかかり、企業の生産活動に支障となっています。 昨今の少子高齢・人口減少の大波を乗り越えるためには、生産性の向上により、成長力を底上げすることが重要であり、東三河地域においても、優れた地域資源を活かし、今後とも、地域の活力を維持・向上していくためには、AIの活用も視野に入れた、生産性向上のためのインフラ整備を、強力に進める必要があります。 加えて、近年、頻発する大規模な自然災害が、「人間の安全保障」や社会経済活動への大きな脅威となっており、国土強靱化への取組として、災害時における企業の経済活動を維持することができる、インフラ施設のさらなる強靱化が非常に重要となっております。 そこで、お尋ねいたします。 東三河地域が持つポテンシャルを最大限に発揮し、愛知のさらなる成長を支えるための生産性向上と、災害時に備えた国土強靱化のためのインフラ整備を、今後どのように進めていかれるのか、知事のご所見をお伺いいたします。

最後に、あいちトリエンナーレ2019について、お伺いいたします。
いよいよ、今年の8月から「あいちトリエンナーレ2019」が開催されます。2010年に始まったこの芸術祭も今回で4回目となりますが、国内最大規模の国際芸術祭として、この地域に根付きつつあることには感慨深いものがあります。 私は、このように受け入れられてきた最大の要因は、「まちなかや県内各地での展開」が成功していることにあると考えます。特に、2013年の第2回以降、名古屋市以外の岡崎市や豊橋市を主会場の一つとしたことにより、県民のみならず、県外の方々にも、現代芸術を切り口として、それぞれの都市の個性的な街並みや歴史的建造物といった、歴史や文化を知っていただく機会となったと感じています。 2016年の第3回に会場となった、私の地元・豊橋市では、スペイン風の円形ドームが特徴的な「豊橋市公会堂」や豊橋駅からすぐの農業用水路上に建てられた珍しい構造の「水上ビル」などでの展示が、多くの来場者を楽しませるとともに、豊橋市の魅力の再発見にもつながったと感じております。 昨年7月に開催した「文化・スポーツ・観光振興対策特別委員会」に出席された、津田大介芸術監督からは、今回のテーマである「情(じょう)の時代」に込めた御自身の思いとともに、これまで3回のレガシーを引き継ぎながら、新たに「音楽プログラム」を取り入れ、現代美術と舞台芸術の複合的な展開を再構築したい、という意気込みをお聞きしました。 会場については、名古屋市内のまちなか会場を、これまでの長者町から、名古屋駅からも近く、古い町並みや下町情緒あふれる「四間道・円頓寺地区」に変更されました。 また、日本のモノづくりの中心地であり、会期中にラグビーワールドカップが開催される豊田市を初めて会場とするなど、これまでと違った新しいトリエンナーレが期待されます。 津田芸術監督は、「これまでの3回があいちトリエンナーレの第1期だとすると、今回から、新しい第2期に入っていくことを示したい」とおっしゃっており、どのような新しい展開が繰り広げられるのか、8月の開幕を今から大変楽しみにしているところであります。 そこでお尋ねいたします。 開幕まで5か月を切った「あいちトリエンナーレ2019」について、現在の進捗状況と、トリエンナーレのさらなる発展に向け、今後、どのように取り組んでいかれるのか、知事のご所見をお伺いいたします。

以上、公明党愛知県議員団を代表しまして、県政各般にわたる様々な課題について、質問をしてまいりました。 知事始め理事者各位の明快な答弁を期待いたしまして、質問を終わります。 ご静聴ありがとうございました。



◯知事(大村秀章君)
公明党愛知県議員団の渡会克明団長の質問にお答えいたします。 まずは、先の知事選挙におきまして、公明党愛知県議員団の皆様に熱いご支援をいただきました。また、先ほどは質問の中で、過分なお祝いの言葉をいただきまして、ありがとうございました。 これからも皆さんとともに、日本一元気な愛知をつくり、日本の未来をつくる。常に前進して、進化し続ける愛知を一緒につくってまいりたいと考えておりますので、今後とも何卒よろしくお願いいたします。 そして、質問に入る前に冒頭、今回の豚コレラ対策についてもお触れいただきました。私ども多くの関係の皆様、県職員はもちろんでありますが、関係の皆様のご支持・ご支援をいただいて、防疫措置2例を完了させていただきました。大変つらい思いをしながらの作業でありましたが、完了することができたということで、心から御礼申し上げたいと思います。 渡会団長もお触れをいただきましたが、何よりも養豚農家の皆様が物質的にも精神的にも大変つらい思いをされているということでございます。今一番つらい立場にある方、厳しい立場そして弱い立場にある農家に寄り添って、何としても養豚農家の皆さんに経営再建に向けて取り組んでいただくということで、私ども、その点を第一義に考えて、しっかり取り組んでまいりますので、今後ともよろしくお願いを申し上げたいと思います。

それでは、質問に順次お答えをさせていただきます。
はじめに、今後の財政運営についてであります。
平成31年度当初予算は、引き続き厳しい財政状況の中ではありましたが、将来にわたり、持続的かつ積極的に施策展開するための基盤として、財政健全化を着実に推進することも念頭に、予算編成を進めてまいりました。 まず、県債残高は、社会資本整備などに充当する通常の県債と、臨時財政対策債などの特例的な県債の残高がともに減少し、平成31年度末残高は、前年度末を432億円下回る見込みであります。 このうち通常の県債残高は、必要な公共投資を確保しつつ、縮減に努めてきたところであります。「しなやか県庁創造プラン」においては、「平成31年度当初予算時点において平成26年度決算の水準よりも減少させる」との目標を掲げておりますが、同期間で2,200億円以上減少させることができ、この目標を達成いたします。 また、財源調整に活用可能な基金については、平成30年度当初予算で予定していた取崩しを全額取り止め、さらに、財政調整基金に積立てを行いました。 その結果、平成31年度当初予算において1,176億円を取り崩した上で、なお810億円の残高を確保できる見込みとなりました。 今後も、行財政改革の手を緩めることなく、限られた財源を、重点的かつ効率的に配分するとともに、県政のあらゆる分野の取組を通じて、経済・産業を強くし、雇用の確保、ひいては県税収入の増加につなげることにより、健全で持続可能な財政基盤の確立に努めてまいります。

次に、本庁組織の再編についてお尋ねをいただきました。
スポーツ関係業務につきましては、これまで、スポーツを活用した地域振興や2026年のアジア競技大会の開催準備は振興部が、学校体育のほか、競技力向上や国民体育大会、県のスポーツ施設の管理等は教育委員会が、障害者スポーツは健康福祉部がそれぞれ所管するといったように、複数の部にまたがって実施してまいりました。 しかしながら、今後は、アジア競技大会の開催に向けて、本格化する開催準備や選手育成などの事業を円滑に実施するため、スポーツに関する施策を一体的に推進する体制を整備していく必要があります。そこで、今回の再編により、障害者スポーツを含むスポーツ関連業務を知事部局へ一元化し、「スポーツ局」を設置することといたしました。 これにより、アジア競技大会の成功に向けて、県庁一丸となって取り組むとともに、スポーツが備える多様な力を、健康づくりや、産業振興、観光・文化振興など、愛知及び日本・アジアの活性化に活かすことができると考えております。さらに、アスリート育成や、スポーツ大会の招致など、スポーツに関する施策を総合的かつ計画的に進めることで、障害のある方を含め、すべての人が輝くスポーツ王国あいちの実現を目指してまいります。

次は、幼児教育・保育の無償化についてお答えいたします。
幼児教育・保育の無償化は、子育てに係る経済的負担を軽減するとともに、子供たちに質の高い幼児教育の機会を保障するものであり、子育て世代を応援する大変重要な施策であると考えております。 県といたしましては、本年10月からの無償化の円滑な実施のため、実施主体である市町村に向けた予算として、無償化する保育料等の県負担分や、システム改修や保護者の方々への周知等、無償化に必要となる事務費への補助金を本議会に提案させていただいております。 また、先月には、今後準備すべき業務等について、市町村職員を対象とした説明会を開催したところであり、今後とも引き続き、適時適切な情報提供を行うなど、市町村の取組をしっかりと支援してまいります。 また、認可外保育施設につきましては、無償化を機に、より一層の保育の質の確保・向上に取り組むため、県として職員を増員し、指導監督体制の強化を図るとともに、新たな取組として、保育士資格を有し、保育現場での経験豊富な保育専門員による巡回指導の実施や、保育事故防止のための研修会の開催、睡眠中の事故防止のための機器購入に対する助成などを積極的に進めてまいります。 こうした取組を着実に進め、幼児教育・保育の無償化の円滑な実施に向け、実務を担う市町村をしっかりと支援し、県として万全を期してまいります。

続いて、多文化共生社会づくりについてであります。
本県では、東京都に次いで全国で2番目に在留外国人が多く、また日本語指導が必要な外国人児童生徒も全国で突出して多いことから、これまで日本語教育の充実や、外国人県民が安心して暮らせる環境の整備に、積極的に取り組んでまいりました。 そうした中、改正出入国管理法による新たな在留資格「特定技能」が、本年4月から創設されることに伴い、今後、さらに多くの外国人材が本県で就労し、居住することが想定されるところであります。 そこで、本県では、1月15日、関係する行政機関や経済団体、労働者団体などで構成する新たな協議会を立ち上げ、相互に連携し、地域が一丸となって、外国人材の労働環境・生活環境の整備、日本語教育の充実に取り組むことといたしました。 また、来日した外国人の方々に、行政、生活上の様々な情報提供や相談をワンストップで行う「窓口」の整備がとりわけ重要であります。 このため、あいち国際プラザ内の「多文化共生センター」において、通訳を増員し、これまでのポルトガル語、スペイン語など5言語から、ベトナム語、ネパール語など、アジア圏を中心にさらに多言語化を進めるとともに、入国管理局、ハローワークなど、新たな協議会のネットワークも活用し、在留手続、雇用、医療、福祉、出産・子育てなど、幅広い相談にも対応できるよう機能の拡充を図ってまいります。 また、住民に身近な相談窓口である市町村に対して、助言や相談マニュアルの提供、職員研修の実施などのサポートを行ってまいります。 国、市町村等と連携して、こうした取組をしっかり進めることにより、外国人県民の皆様が、安心して働き、暮らすことが出来る多文化共生社会を実現してまいりたいと考えております。

次に、AI等の先端技術の進展を踏まえた産業振興についてお答えいたします。
AIなどの先端技術の加速度的な進展は、大容量データの取得・分析・利活用を可能にし、こうしたデータがあらゆる産業と結び付くことを通じて生産効率向上や革新的な製品・サービスの創出を実現するなど、産業の競争力や構造、さらには経済社会のあり方にも大きな変化をもたらすものと認識しております。 本県はこれまで、世界から人・モノ・カネ・情報を呼び込み、新たな産業、雇用や投資を生み出す愛知型の成長モデルを磨き上げるとともに、モノづくり現場に良質・大量のリアルデータを集積してまいりました。このため、本県産業が引き続き、競争力を維持・強化していくためには、こうした現場データとAIなどの先端技術を連携・結合することで、新たなイノベーションを次々と創出し、持続的な成長を実現していくことが重要であると考えております。 こうした観点から、今年度、AIなどの先端技術を有するスタートアップの発掘・育成・誘引や県内モノづくり企業との連携を進めるとともに、海外先進地の知見を取り込みながら、スタートアップを起爆剤としたイノベーションの創出に努めております。 さらに来年度から、AIなどの先端技術が製品開発や実用化の重要な鍵となる自動運転、ドローン、ロボット分野について、実証実験を積み上げ、2020年を目途として、社会実装された姿を愛知から世界に発信できるよう実用化支援に取り組むこととしております。 県としては、こうした取組を通じ、先端技術がイノベーションと豊かさにつながる好循環を生み出し、この愛知から日本の未来をつくってまいりたいと考えております。

続いて、AIを活用した子育て支援についてであります。
少子化の進行や共働き世帯の増加、地域社会のつながりの希薄化など、子育てをめぐる状況が大きく変化する中、子育てへの不安感を解消し、誰もが安心して子どもを生み育てることができる環境をつくるためには、AI等の先端技術を積極的に活用し、子育てに関する相談や情報提供を行っていくことは、重要な取組であると認識しております。 子育て支援につきましては、保育事業や母子保健事業、地域の実情に応じた子育て支援事業など、市町村が主体となって多様な取組が行われておりますことから、AIを活用して子育て支援情報を提供するためには、子育てに関する広範にわたる質問と回答などのデータのシステムへの入力・更新について、市町村の皆さんの協力を得ることが不可欠であります。 また、AIの活用につきましては、他の自治体と共同してシステムを開発・導入することによって、より低コストで効率的な導入が可能であると考えられます。 本県におきましては、県内全市町村が参加する「あいちAI・ロボティクス連携共同研究会」を本年1月に設置したところでありますので、この研究会において市町村の意見をお聞きするとともに、熊本県や他の先行事例も参考にしつつ、AIを活用した子育て支援についての検討を進めてまいりたいと考えております。

次に、次期「愛知県人口ビジョン・まち・ひと・しごと創生総合戦略」の策定についてご質問をいただきました。
本県の総人口は、現在755万人に迫り、人口ビジョンの想定を上回るペースで推移しており、特に、社会増は年間2万人前後が続くなど地方創生の取組は着実に成果があがっているものと認識しております。 一方で、人口の動向は、2017年に初めて自然減に転じたほか、若年女性を中心とした東京圏への転出超過は拡大し、東三河地域における人口流出も続いていることから、こうした状況にも、引き続き重点を置いて対応していく必要があると考えます。また、AIなど第4次産業革命と言われる技術の進展を地域の持続的な発展につなげていくことも重要な視点であります。 こうした社会の変化を捉えつつ、次の総合戦略では、少子化の流れを食い止める結婚・出産・子育て支援や、若者の流入・定着を図るための次世代産業の振興やスタートアップ支援、文化・芸術など、地域の魅力の磨き上げや発信等を充実させていく必要があると考えております。 また、東三河地域の産業振興や就業支援などに加えて、人口減少・高齢化が進む三河山間地域等における生活基盤の確保や移住・定住の促進にもしっかりと取り組んでいかなければなりません。 こうした地方創生の取組の実効性を上げ、県全体の活力をさらに高めていくためにも、テレワークやロボット、自動運転などのICTやAIの活用を積極的に進めてまいりたいと考えております。 未来に輝く「進化する愛知」を創るため、東京一極集中にストップをかけるとともに、全ての県民の皆様が安心し、希望を持って暮らしていただけるよう、有識者や市町村等、幅広い意見を聴きながら、来年度に、新しい人口ビジョンと総合戦略を策定してまいります。

次は、防災意識の向上についてお答えいたします。
昭和34年に襲来した伊勢湾台風は、我が国の防災対策法制の最も基本となる災害対策基本法が制定される契機となった、日本の自然災害の歴史においても特筆すべき災害であります。 また、この台風の襲来から60年が経過し、ご遺族の方々や被災された方々も年齢を重ねられ、災害を経験された方が減りつつある中、その記憶を風化させることなく次の世代に伝えていくことは、我々の責務であります。 近年、集中豪雨や台風等による被害が全国各地で相次いで発生しており、また、雨の降り方が局地化、集中化、激甚化しております。 また、南海トラフでは、マグニチュード8から9の大規模地震が今後30年間に70〜80%の確率で発生すると言われており、仮に発生すれば、本県でも大きな被害の発生が予測されております。 こうした大規模災害が危惧されるなか、県民の生命・財産を守るためには、行政による「公助」はもとより、住民一人ひとりが自発的に防災活動を行う「自助」や、同じ地区内の居住者等が連携して防災活動を行う「共助」が大切であり、すべての県民の皆様が過去の災害に学び、災害に備えていただく必要があります。 このため、伊勢湾台風から60年を機に、犠牲者を慰霊するとともに、災害の教訓を後世に伝えるための行事を開催いたします。 また、近年の大規模な風水害を踏まえた意識啓発や防災教育を、市町村や防災関係機関と連携しながら実施することにより、県民一人ひとりの自助・共助の意識が一層醸成されるよう、しっかり取り組んでまいります。

続いて、生産性向上と国土強靭化のための東三河地域のインフラ整備についてお尋ねをいただきました。
三遠南信地域の玄関口ともなる東三河地域が、観光、産業経済、環境、防災等、幅広い分野で地域力を向上させることは、「日本一元気な愛知」実現の大きな柱の一つであります。 広域幹線道路網の整備が進み、生産活動圏域が拡大する当地域では、道路整備とともに三河港の機能強化に取り組み、物流効率化により生産性を高めることが重要であります。 道路におきましては、昨年、国が重要物流道路制度を創設しており、平常時・災害時を問わない安全かつ円滑な輸送を確保するため、物流上重要な道路を指定し、機能を強化することとしております。 県としましては、この制度を積極的に活用し、三遠南信自動車道、名豊道路等の整備促進や(仮称)浜松三ケ日・豊橋道路の早期事業化を国に働きかけるとともに、国道151号の宮下立体等の三河港へのアクセスとなる道路整備を加速させ、陸上輸送力の強化を図ってまいります。 また、背後圏域の拡大により貨物量の増加が見込まれる三河港では、神野地区等において、岸壁の整備や保管用地の拡張、港湾施設の強靱化等を推進するとともに、来年度から着手する港湾計画の改訂においては、より効率的な港湾物流を目指し、急速に進歩する情報通信技術の活用等、ソフト対策も含め検討を行ってまいります。 今後も、東三河地域のポテンシャルを最大限に生かし、愛知のさらなる成長を支えていくため、陸海一体の総合的、かつ、強靭で安定的な物流ネットワークの構築を進めてまいります。

私からの最後の答弁となりますが、あいちトリエンナーレ2019についてであります。
早いもので今回で4回目のトリエンナーレとなりますが、これまで3回のあいちトリエンナーレでは、子どもから大人まで幅広い年代の皆様に、最先端の現代アートに触れていただく機会を提供するとともに、「まちなか会場」の一つであった名古屋市中区の長者町では、街の賑わいを取り戻す一助となるなど、地域のまちづくりや活性化にも大いに貢献できたと考えております。 8月1日に開幕する、あいちトリエンナーレ2019に向けましては、これまで津田芸術監督を中心に、名古屋市内、豊田市内の具体的な展示会場の検討やアーティストの最終選考作業を進めており、この3月末には、その全体像を発表してまいります。そして、4月1日から、いよいよチケットの先行販売を開始いたします。 今回のトリエンナーレでは、舞台芸術の一つとして新たに「音楽プログラム」を取り入れ、その目玉となる「MUSIC & ARTS  FESTIVAL」では、多彩なジャンルのアーティストが、音楽ライブやパフォーミングアーツなどを、メイン会場の愛知芸術文化センターで繰り広げます。また、「四間道・円頓寺エリア」でも、商店街の一角に特設ステージを設置し、会期中、日替わりで音楽ライブを開催することとしております。こうした取組により、音楽ファンにも足を運んでいただき、来場者の裾野を広げるとともに、賑わい感のあるトリエンナーレを創出してまいります。 これまでの開催で培われた「現代美術と舞台芸術の複合的展開」、「まちなかや県内各地での展開」といった、愛知の独自性は継続しつつ、新たなプログラムにも挑戦することで、あいちトリエンナーレをさらに発展させ、驚きや感動に満ちた魅力溢れる芸術祭になるよう、しっかりと取り組んでまいります。



◯教育長
県立工業高校におけるAI技術を活用できる人材の育成についてお答えいたします。 教育委員会では、ものづくり愛知の未来を担う理数工学系人材を育成するため、「STEM教育」の推進を掲げ、平成29年度から様々な取組を実施いたしております。その中心的な取組として、県立高校5校を「あいちSTEMハイスクール」に指定し、理工系大学と連携して、STEM4分野の学習を取り入れたカリキュラムの開発を行っております。 この研究指定校の一つである豊橋工業高校では、豊橋技術科学大学や愛知工科大学との連携のもと、AI技術の習得も視野に入れた、本県初となるロボット工学科を平成32年度に設置する準備を進めております。あわせて、名古屋芸術大学とも連携し、工業デザインの分野を取り入れ、STEM(ステム)4分野にロボットとアートを融合した「STREAM(ストリーム)教育」について研究しているところであります。 さらに、大学だけでなく、新たな技術開発を進める地元企業と連携して、AI技術の基礎・基本を学ぶ講座を開設したり、生徒が企業に出向いて、AI技術の開発に携わる研究者や製造現場で働く技術者から、直接AIの仕組みや活用方法を学んだりするなどの取組を行ってまいります。 教育委員会といたしましては、こうした豊橋工業高校における取組を先行モデルとして、今後、他の地域の工業高校においても、AI技術を活用できる人材育成の取組を進めてまいりたいと考えております。



◯警察本部長
住宅を対象とした侵入盗の被害防止に向けた今後の取組についてお答えいたします。 住宅対象侵入盗の認知件数につきましては、議員お示しのとおり、12年連続全国ワースト1位という厳しい状況にありますことから、県警察では県民の皆様の防犯意識の高揚を促す取組や被害を未然に防止するための防犯環境づくりを推進いたしております。 まず、防犯意識の高揚を促す取組といたしましては、四季の安全なまちづくり県民運動や参加体験型防犯教室の開催、メール配信によるタイムリーな情報提供を実施しているほか、小学生が毎日、自宅の戸締まりをチェックする鍵掛けラリーなどの取組を推進しております。 次に、被害を未然に防止するための防犯環境づくりの取組といたしましては、警察官が各ご家庭などを直接訪問し、防犯対策の助言をする防犯診断を進めており、昨年中は延べ約50万件を実施いたしました。この取組では、確実な戸締まりや補助錠設置の働き掛けを始め、防犯性に優れたCP建物部品の活用等の助言を行っているほか、地元で活動するボランティア団体との合同防犯診断も実施しております。 また、平成29年7月に開始した簡易設置式防犯カメラ運用事業では、侵入盗の多発地域に対し、短期集中的に防犯カメラ50台と、「防犯カメラ設置推進地区」と明示した防犯プレートを多数設置し、被害の未然防止と地域における防犯力の向上を図っております。 これまでに、この防犯カメラを設置した地区では侵入盗の被害が大幅に減少しており、住民の皆様からも「安心感を得た」などの声もいただいておりますので、来年度は、事業の拡充を図るべく、さらに防犯カメラ50台分の増設整備等に要する費用を予算案に計上させていただいております。 県警察では今後も、これらの取組を継続的に推進することで防犯意識のさらなる高揚を図るとともに、県民の皆様と連携した取組により、自主的な活動を促しながら防犯対策を浸透させ、住宅対象侵入盗を防止するための環境づくりに努めてまいりたいと考えております。




発言録へもどる